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ポトチャリポラパ/コミック/2004年
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2004年/5月
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2004年/5月/27日
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「ふぁにーふぇいす」2巻 かかし朝浩(ワニマガジン社)

・オタクでダメ人間でブサイクに彼女ができる。そういうマンガの2巻目です。待望ですよ。

・世にオタクマンガは数あれど、本作が革新的なのは、そのぬるま湯のようなサークルに留まらないところですね。元はたぶん、自意識の高さと理由なき被害者妄想のせいで集団の場になじめないハズレモノという意識で、そういう特定の場にはいなかったんだろうが、彼女ができたことで化学変化が起こり、自発的強制的に人脈が広がる。そういうところを描いてるのが革新的です。

・2巻はそれがさらに顕著で、クリスマスプレゼントを彼女と買うためにアルバイトをする。そこでできた「仲間」とクリスマスプレゼントを買いに行く。バイト先(コンビニ)で起したゴタゴタのために彼女が拉致される。さあ、どうする。と、波状的にトラブルが起こる2巻です。
・主人公のオタクはそうなるたびにヘタレだったり、ヤケクソの行動力を起したりして、クリアしてます(冷静に考えると結果オーライばかりの2巻ではありますが)。

・だけど、そのたび、本人も気づかない微量ながらの変化がみてとれます。なんとなれば、「成長」と表現してもいいです。それがおれにはとてもうれしかった。そうです、メチャクチャ感情移入してます。

・主人公の無意識下の変わらなければという思いと、わかっていながら踏み出せない一歩、挙句の果てに開き直り、などに、いちいちビビッドに反応してしまうでございますよ。「そうだよ〜わかるよ〜」と、インスタントジョンソンの「ありがとちゃん」のようにうなずいてしまうのですよ。ちょっとたとえがせまかったかな。

・バイト先のキャラが動かしやすかったのか、主人公とからむ機会も多くなります。バイトするとそうなりがちですよね。高校時代バイトしてたりすると、意外に学校よりバイトの方が得るものが多かったりしますしね。
・そういうところもよくわかるのですよ。ちなみにバイト先は非オタクの面々です。クール&ビューティーの馬手(めて)さんがステキですよ。ドレッドヘアでバイオレンスな犬飼さん(男だけどね)もいいです。

・なんつーか、ドタバタラブコメの体裁をとりながら、かなり深いところをえぐっている感覚がとてもおれにはすばらしく感じるんですよ。

・ということで、実はありそうでなさそうであることはあるけどあまり上手いものはない「オタクの成長物語」の中でも、群を抜いておもしろいのです。

「なーんか、全部イヤ」

・と、非オタク気質が満点の奥さんは読後こうおっしゃってました。なるほど、それも一理あるかもしれない。
・なぜ、これがドラマ化になっていないのか?「げんしけん」みたいにアニメ化にならないのか? 売れてないのか?って考えるといろいろと弱点も思い浮かんだりもする。主人公がキモいとか、主人公の彼女がありえないとか、オタクが主人公のわりにオタクが喜ぶようなパロディネタがないとか(まあ、表紙カバーめくると、ゲーム好きな作者らしいネタがあるんですけどね)、そして、オタクが主人公のわりにオタクっぽくないとかね。たしかに、主人公みたいなオタクのタイプはマイノリティかもしれない。でもいるんだ!おれがそうだったから。あと、絵も「萌え」とかは薄いと思われますし。

・だから、おれは胸をはってオススメするね。おれにとってかなり近いオタクストーリーだしね。主人公を心底応援するね。バラっちガンバレと。

・あー、唯一残念なのは、1巻でナイスキャラだった、大洞さんの出番が少なかったことかな。
(17:58:02)

「スティル・ボール・ラン」1巻 荒木飛呂彦(集英社)

・1,2巻同時発売ですよ。これは大正解ですね。最近は流行ってますが、これほど読み応えがあり濃い同時発売はめずらしいかも。

・位置的には「ジョジョの奇妙な冒険」の7部にあたるそうですが、前の「ストーンオーシャン」からそうですが、昨今のクソ長いマンガを読まない、カルシウムの足りない若者に配慮して、つながってるけど別物ってラインになりましたね。

・ストーリーとしても、前作のウッソーンってラストのためにリセットがかかったみたいで、すべてちゃぶ台返しよろしく設定一新になってしまいました。これまでの面々が、ちがう役でちがう設定で登場してるのをみると、どことなく「漫画ゴラク」で連載していた「バイオレンスジャック/永井豪」をホーフツとさせますね。あれも、マジンガーZだのキューティーハニーなど、パロディなんやら、マジなんやら理解に苦しむ(楽しい)キャラが続々登場してましたからね。

・1890年、アメリカを横断するレース「スティールボールラン」。くわしいルールはあるみたいけど、基本的に、馬などで、アメリカ大陸を横断すれば莫大な賞金がもらえるというもの。妨害アリなんですよね。とにかく、いくつかあるチェックポイントに早くたどり着いたほうが勝ちというもの。

・1巻ではキャラが続々と登場します。名前だけきくと懐かしの名前が見受けられます。名前以外はすべて一新されてますけどね。
・そして、スタートの火蓋が切られるまでが1巻です。たしかに、そこまでだと煮えきりませんよね。

・今回、基本的にキャラがすべてダーティーな感じですね。


「スティル・ボール・ラン」2巻 荒木飛呂彦(集英社)

・1,2巻同時発売の2巻では、最初のチェックポイントまでのレースです。これがもういきなりレッドゾーンってくらいコーフンのルツボですよ。
・基本的に馬を使ったアメリカ大陸横断レースですが、はじまってそうそう荒木節が炸裂ですよ。2部をホーフツとさせるスピード感で疾走していきます。
・そいで、タダのレースに終らせるワケがなく、すでにして、様々なギミックがあちこちで散見されます。それは1巻時からあったのですがね。スタンドらしきもの、ツェペリが使用する鉄の球、妙に静かに脅威をはなってるディオ、そして、下半身マヒのジョジョ。自分の足で走ってるインディアン。などなど、「なんじゃこりゃ」な要素が山のようにありますよ。

・しかし、馬の、ナンデモアリのレースなんて、考えただけでも描くのがめんどくさそうですよ。なんだか変則的な連載形態をとってますが、それもむべなるかなといったところですよ。

・そして、読者でよかったと思います。ものすごい楽しいです。そこにいるかのように熱狂してます。
・最初のチェックポイントまでは短距離走だったので、それ以降の長丁場にはさらに期待が持てますね。

・これ、それで、サイコーにいいのは、80巻にもわたる「ジョジョ」サーガを読まなくても話がわかるということですね。読んでおいたほうが楽しいのはまちがいないですが、蓄積がなくても大丈夫だと思います。独特の「アク」がありますが、なれると、まあ、2巻を読み終わるころには、とてもそれは美味しいことに気がつくでしょう。

・すなわちオススメですよ。1,2巻併せてね。
(18:43:43)

2004年/5月/26日
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「女子大生家庭教師濱中アイ」1巻 氏家ト全(講談社)

「妹は思春期」の作者って「週刊少年マガジン」に描いているのか。あの「それ」が初単行本化。

・女子大生家庭教師濱中アイさんは、中1のボクの家庭教師です。センパイにいわれて、中1のボクを色気で惑わす家庭教師たれ!という暗示を受けたので、いろいろとやってみるというけど、実は処女でそういうことはまったく不得手なんで、それがおかしいギャグマンガですよ。

・まあ、それが最初の設定であとは「なるたる」(素で書きましたけど「らぶひな」ですね。いっしょにすんなよ)ばりに女性キャラがワラワラと登場するほがらかマンガです。しょせん、少年誌連載ってことで、トクイとされる、「妹は思春期」ばりの、ヤング岩谷テンホーばりの下ネタ展開も控え目でねえ。

・そいでこれがおもしろかったりするんですよ。ショートギャグというよりショートコメディですか。作者は4コマよりショートで展開したほうが合ってるよ。

・氏家氏の描くデフォルメキャラがいいんですよね。「U」を逆さにした感じのニコ目がいいんですよ。

・ということで、編集的には、モヤモヤを換気するエロギャグ要員としたような気がしますが、中1のボクがかなり淡白な性格なので、女4人(女子大生2人と同級生2人)と温泉に合宿にいっても、なんもなんもというサッパリになるんですね。
・そもそも、下ネタが爆発してる「妹〜」にしても「そういうところ」はサッパリだし、シリアスな絵にエロさはないですしね。

・高校生キャラがまったくいないのは、「妹〜」にかぶらないようにしてるんでしょうかね?

・おもしろいですよ。おれは「妹〜」より好きだし、マッタリ系のギャグマンガとしてかなりいいと思います。
(12:04:03)

「妹は思春期」4巻 氏家ト全(講談社)

・エロ度が低い下ネタ女子高生4コママンガも4巻です。

・いや、冷静に眺めると(まあ、冷静に眺めるものじゃないんだけど)全てに上達がありますね。以前、あるレベルで止めてると書いたけどさ。
・ネタも洗練されてるし、絵もそう。
・だからって、爆笑したり、エロ気分になったりはしないわけですよね。そういうラインが非常に上手いなあと。エロへのエスカレートへのレベルを途中で止めてるってことですかね。

・耳年増の妹、趣味はバイブなどのアダルトグッズ集めだけど、処女(多分)。
・エロ本収集が趣味で、妹のトモダチが泊まりに来てても日課のオナニーはやめられない兄。妹のヘンな誘惑にツッコミを入れるのがシゴト。

・ほかにもキャラいろいろと。ちょっと多すぎて収拾つかなくなりかかってるけど、まあ、おれ感覚だと、見分けはつくし、マシなほうかな。ほかにもっとひどいのはあるし。

・しかし、話煮つまる→キャラ増やすってコンボは定番中の定番であるのですが、これはやればやるだけワヤになる可能性が高いので、極力控えてガマンしたほうがいいよなあと思います。
・多人数のキャラをうまく動かすというのは、かなり高度なテクニックを必要とされると思います。女性マンガ家全般はその傾向にありますけど、おれの感覚だと、売れてるマンガ家はすべからく「ガマンしてる」人だと思いますね。

・本作もガマンしてる方と思うのですが、描き分けがアレなもんで、「だれこれ?」がたまにあるんですよね。そして、それでも、前記のとおりマシなほうなんですよね。

・ということで、このマッタリした流れを描けるのが武器なんでしょうね。おれはそれを目当てにまた買うでしょう。
(12:32:31)

「ぴっぴら帳」1巻 こうの史代(双葉社)

・最近発売された「完結編」の前の巻にあたる1巻。amazonでとりよせましたです。

・1人暮らしで食堂勤務のキミ子さんとセキセイインコの「ぴっぴらさん」と仲間たちのほのぼの4コマです。
・1巻では「ぴっぴら」さんとの出会いやその他のキャラとの出会いがありますね。1巻だからアタリマエか。

・ビックリしたのは、完結編で描かれる最終回の伏線がすでに張られていることですね。カバーめくった表紙や本編に。まあ、描き下ろしでの後付けですけど、明確なビジョンを持ってる方なんだなあと感心したり。

・誰が書いたどんなマンガでもいえるんですけど、やはり最初の方は「若い」ですね。この表現が正しいのかわからんけど、「ぎこちない」や「なじんでない」というと語弊がありまくりですので、「若い」。だから、今回のように逆順で読むと、若さがよくわかりますね。1巻からだと、作者も読者も作品内のキャラも徐々に馴染んでいくのでわかりにくいのですがね。

・本作で具体的にいうと、20歳超えてる設定のキミ子さんが完結編より余計に幼くみえますね。ぴっぴらさんとかもいろいろとちがいがあるかもしれませんが、おれはトリより女の子のほうに目がいくタチなのでそっちのほうはよくわかりませんでした。

・登場キャラも、キミ子さんとぴっぴらさんは当然として、1巻と完結編ではちがうキャラが目立つし、完結編ほどストーリーが動かないですね。でもって、完結編にあった「味(こうの史代味)」も薄いですね。そういった意味でも「若い」なと。

・でも、おもしろかったですよ。「若い」=「つまらない」ってことじゃないですからね。
・トリ好き、トリを飼ってる方は、マストバイ。

・夏に「夕凪の街」の単行本が双葉社からでるそうです。しかも、その話の続編を描き下ろしで併録だそうですよ。今年はこうの史代イヤーですね。うっしっし。
(14:45:26)

「ラヴラビイズ」1巻 松本英(秋田書店)

・中1少女の学園ショートギャグ。
・オビに「ナマヌルイ美少女マンガに萌えつきた方に贈る無秩序ギャグ!」ってのに気に入り購入。まあ、あと、「巨乳っ娘」とかにも惹かれました。正直ですね。表紙にもスクール水着に貼ってある名札が読めないくらいの巨乳の北見さんがいますしね。

・内容はどうなんでしょう? たしかに、凡百の美少女ギャグマンガとはちがいますね。
・主人公はメガネ・ミツアミ・デコの少女。かなり凶暴。そして、その飼い犬ラヴ。顔だけ美少女の犬。そいで、そのクラスの仲間たちといった具合で展開していきます。

・1p1ギャグで、薄く話がつながりつつ展開していくという、「ぱにぽに」パターン。おお、ぱにぽにもパクられる時がきたのか。っていうか、「やす子の太陽/山浦章」とか、「ドクター秩父山/田中圭一」なんかもそうですね。

・そして、ここまで出したマンガで内容も表現できますね。「ぱにぽに」+「やす子の太陽」+「ドクター秩父山」といったオモムキですかね。まあ、下ネタは少ないですけどね。で、1番近いのは「やす子の太陽」ですか。

・で、あとほどに進むと、どんどこキャラも増えていきますよ。しばらくガマンしてたけど、途中から開き直ったかのように出てきます。キャラとしては、後半に登場する、改造少女で悪と戦ってる八重歯の少女がいいですね。それからさらに混沌さが増してきますよ。その少女と戦ってる悪の軍団が登場したりね。

・絵はかなり丁寧です。逆にいまや貴重なほどの丁寧さ。昔の少女マンガ的というかね。似た人が思い浮かびそうで浮かばないけどね。

・個人的な好みはやはり巨乳の北見さんですか。ひどい目に遭う要員ですし、あまり出番はないですけど、数少ないまともな感性の持ち主だったりします。

・ちょっと評価は保留します。まだ、なんともいえない。いろいろ、「ツボ」が見え隠れしてるのに、押さないの?って、もどかしい感じなのです。

・1番よかったのはカバーの北見のパイオツ画(リンク先ばっちり北見だけだなあ。本当の表紙はこれ)と、カバーめくった表紙のギャグですね。
(15:21:46)

「えに☆さむ」1巻 しまだわかば(秋田書店)

・本作と「ラヴラビイズ」は「月刊チャンピオンRED」に連載されてますね。この2編がギャグとして掲載されてるってのはオモムキがありますね。近いといえば近いし、わかるといえばわかるけど、遠いような気もするという。そもそも「チャンピオンRED」ってまだあったのか?と思ったり。

・舞台がファンタジー。漠然とした西洋。漠然とした中世。まあ、RPGの世界ですね。価格単位が「G(ゴールド)」なところ。

・でもって、なんでも売ってる店「えに☆さむ」を舞台としたほがらかショートギャグ。これまた1p1ギャグで1話がゆるくつながってるというパターン。流行ってるんでしょうかね?

・店主女、アルバイト女、店舗内店舗女、海賊に憧れる少女の4人の女性がほぼすべてですね。男性度がひどく低いですね。いついっても休みの「えにさむ」にいっては空振りするドワーフ兄弟くらいかな。

・いわゆる「そういう」雑誌のどれに載っていてもおかしくないクオリティがありますね。手堅くほのぼのしてますね。キャラもカワイイし。

・別に中世の意義がどうの!って声を張り上げるものじゃないしね。店長萌え〜とかいってるといいんじゃないかな。

・ちょっと、ひっかかりがなさすぎるとは思いました。
店長:おっとり、巨乳、メガネ
バイト(アリエッタ):線目、ドジ、「**ッス」口調
ピアノ:気弱の押し売り業。
アルト:海賊志願、ロリ、海賊帽いつも着用。無口。

・それぞれ微妙に変わった設定であるけど、それが強烈になにか(主に「萌え」)を喚起するってことはないですね。

・ただ、アリエッタが、メガネをかけると美少女になる(いつも線目なのは、目が悪いから目を細めてるため)って設定は、いいかなあとも思いました。

・凡庸というと悪い気がしますので「普通」と表現しておきます。RPG世界のマンガが好きな人にはもうちょっといいかも。

・1番はコミック描き下ろしであろう店長のグラビアでしたね。本編でもあのパイオツを表現すればよかったのに。本編より大きくてやわらかそうでよかったです。
(16:02:40)

2004年/5月/23日
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「GANTZ」13巻 奥浩哉(集英社)

・13巻はGANTZ世界での「VS.恐竜」編がいよいよヒートアップしてるところですね。
・まだ、ぎこちなさはありますが、今回はちゃんと主役以外のキャラを動かす努力が見受けられるのがいいですね。まあ、そのための仕込みもありますけど、それ以外にもスーツをまとったオッサンやらグラビアアイドルやらも動かそうとしてます。
・しかも、敵が恐竜だけあって、これまで以上に派手ですしね。

・と、無邪気にアクションを楽しみました。
・TVアニメも大人気放映中だそうですね。オビにありましたよ。みたことねえけど。
(18:00:21)

「ぱにぽに」5巻 氷川へきる(スクウエアエニックス)

・5巻ですよ。「あずまんが大王」のパチモンとよばれながらも(まあ、おれが呼んでるんですが)、本家「あずまんが大王」の巻数を突破しましたですよ。

・その記念なのか、原点回帰な話が目立つ巻でしたね。だから5巻のあらすじをごくカンタンに書くなら「あずまんが大王のパチモン」といえますね。
・女子高生のほがらかショートギャグです。

・これまでいた飛び道具的なキャラ(ウサギとか、魔法少女とか)はわりにおとなしくしてて、普通キャラがほがらかに学園ギャグをやっておられました。

・おれは相変わらずキャラで一致する人は全キャラクターの1割いるかって感じですのですからして、「いい読者」ではないと思いますけど、5巻は楽しかったですね。今後もこのサジ加減でお願いしたいところですが、たぶん、作者は飽きっぽい。だから、6巻では反動でワヤになると思う。

・5巻で個人的に好きなキャラは「マホ」の人です。名前はわかりません。
(18:10:24)

「ぽぽ缶」2巻 いわさきまさかず(メディアワークス)

・けっこう間がありましたね。すっかり忘れかけてました。
・店にあったみたことのないRPGをローディングしてみたら登場した女性がポポミ。あと、グダグダ。
・と、最近は主流になってる、設定だけいろいろあってあとグダグダってやつですね。いっそ、くだらない設定はみんな外したら如何なものでしょうかね? コリン星からやってきたとかな。
・設定を全面に押し出すならもっとしつこくしつこくその設定を繰り返さなければならないと思うのですよね。「ガラスの仮面」とかな。

・まあ、そんなこんなで2巻では女性キャラ追加でなおかつ表紙ということでその人気や作者のお気に入り度がうかがえるのですが、おれもサイコさんサイコー!とは思うのでよかったです。

・結局ほのぼのギャグマンガあたりで落ち着くのでしょうが、そのギャグに、西原理恵子氏の影がちらほら見受けられます。「萌え」もわかるけど、サイバラもわかるといった感じでしょうかね。

・ただ、「ぽ・マン」というネタがよくわかりますが、女性が主人公でメタクタするギャグマンガでも、やっぱり、主人公のパイオツとかそういうところに目がいってしまってダメですわね。もうひとつ笑いをそがれているような気がします。森三中の村上でも、やっぱり、ハマちゃんにオッパイモミしだかれていると、なんとはなしに「ハマちゃんいいなあ」と思ったりするもんなあ。ここいらは男の悲しき業ってやつですね。
・ということで、中途半端な位置付けである主人公ポポミさんより、女子として描いてるサイコさんのほうがステキにみえるし、ほかのみんなもそうみたいなのはしょうがないところですね。

・ポポミさんオチは控えてちがうところでギャグを開発したほうが吉と思いました。
(20:30:32)

2004年/5月/20日
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「殺殺草子 大江戸奇想天外」駕籠真太郎(平和出版)

・どこかで、駕籠真太郎をみくびっていたなおれ。そして、本作と、「奇人画報」(この後やります)で見直したな。

・タイトルどおり江戸時代を舞台としたものです。第二次世界大戦を舞台にすれば「輝け!大東亜共栄圏」になるし、ロシアを舞台にすれば「踊る!クレムリン宮殿」になるし、また、そういった路線かなと思っていました。
・ただ、ある点ではその通りですが、本作は綿々と話がつながってるのがスゴイ。

・江戸時代、飢饉時に、米のかわりに身体の一部をもって年貢とする藩、天外藩がありました。実質、そこを牛耳ってるお姫様の破天荒な活躍をえがいたものですね。
・生体実験はやるわ、死んだ農民の臓物でフロに入るわ、テーマパーク(地獄の)を作るわ、忍者は登場するわで、しっちゃかめっちゃかです。最後は徳川にもたてつくようになるわけです。

・とくに、後半登場する忍者が画期的ですね。これまでにないアプローチな気がします。毛を自在に操る忍者ですよ。これがなかなかグロでねえ。それからの展開がまたすごかった。そして感心した。「駅前浪漫奇行」でゆきつくところまでいってしまった感じがあり、これからはその引きだし内で使いまわすって感じかなと思っていたので、そういった意味でも画期的な展開ではあった。ストーリーとしてつながっていること、読み応えがあること、それでいて、ちがうパターンの駕籠真太郎をみせたこと。

・いやあ、そうか、駕籠真太郎はギャグマンガ家なんだなあと。いろいろな意味ですっきりしましたよ。

・そして、ふと、本作を山田風太郎氏がご覧になったらどう思われたのかなと夢想したりする。
(18:26:30)

「奇人画報」駕籠真太郎(太田出版)

・本作が最新短編集。こっちも「殺殺草子」同様、新機軸が多くてよかった。駕籠真太郎氏、いかなる心境の変化?と思ったり。

・本作は「あつめももの」シリーズが白眉ですかね。様々なものを集める方々。駕籠氏の登場人物ってパラノイアな方ばかりなので、これはもってこいのテーマではありますね。あと、掲載雑誌が「マンガエロティクスF」(まだ続いてるんですね)ということでエロティクスなものが多かったですね。

・片想いの彼が触れたものをすべて所有する女子。最終的には彼に近づく女性もすべてコレクション。
・フェラチオしている女性の写真をコレクション。まあ、ハメ撮りってやつですか。それをコレクションする男。
・カードで女性を攻略するエロゲーにハマる小学生。
・女性の吐瀉物を集める女性。

・これら、いつものようにカタログ的にネタを集めるだけじゃなく、短編としての完成度が飛躍的に高くなってることに驚きました。どれもみな「お話」としてとてもおもしろいんですよ。

・とくに、恋人が殺されて、その死体がバラバラにされて、あちこちに謎めいた文とともに放置されるのを集める恋人の話はちょっとした「世界の中心で愛を叫ぶ」ですよ。いや、どんな話か知らないけど、同じくらいの完成度がありそうだなと。シバサキコウ主演で映画化してほしいくらいですよ。

・駕籠真太郎氏は、コマンドを変えたのだと思うのです。前は「ガンガンいこうぜ」だったのが、今は「いのちをだいじに」にしたのじゃないかと。モノのように扱われる人間を、「人間」としてとらえて描くことに興味がむかわれたのじゃないかと。それに関しては、「殺殺草子」にも同様のものを感じる。
・その方針はとてもいい決断じゃないかとおもわれるのです。結局、「ガンガンいこうぜ」路線はもうやり尽くされた感がありますしね。

・個人的には「駅前虐殺」以来のおもしろさとインパクトがありました。おもしろさはいつでもあるのですが、久しぶりにインパクトのある話、印象に残る話が多かったなと。
オススメ(あ、めちゃくちゃ人を選びますけどね)
(18:49:30)

2004年/5月/17日
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「公家侍秘録」4巻 高瀬理恵(小学館)

・江戸時代の京都を舞台に、貧乏公家の家にある宝の刀を守る役と、そのおきゃんな娘を中心に、笑いあり、涙あり、チャンバラありの物語。

・これが、どこか超越してるかのごとき時間を超えた完成度の高さ。10年前でも10年後でも名作。
・劇画調の基本としながらも硬軟自在の作画。これでもかの江戸ウンチク。また、それが非常にミゴトに物語に溶け込んでおり、謎解きあり、アクションありのストーリー。

・4巻では、やや謎解きと浪花節が多かったかな。それが不足であるはずもなく。
・江戸時代でも流行り廃りがあって、たとえば、和菓子に、有名人のお墨付きをつけてもらって流行させるとか、塩ジャケがかなりご馳走だったり(よって、新巻鮭があちこちにたらいまわしにされる)、園芸ネタも今に通じるものがありますね。珍しいモノだから、独占販売したいとかね。

・とくに後半にあった前後編の「寒山拾得」と「清水窯の姑嫁」あたりは、「ギャラリーフェイク」の江戸時代版みたいな、美術ネタで、なおかつ泣ける、とてもいい話でした。

・この濃さやおもしろさは4巻までほとんど変わりません。すばらしいことです。ぜひたくさんの人に読んでほしいと思います。普段、マンガを読まないような方にもおもしろいかと。もちろん、マンガ読みにも、認めざるをえないおもしろさがあると思います。時代ものだったりして、ややとっつきが悪いかもしれないですが、それで敬遠するのはもったいないです。
・おきゃんな娘の薫子さんなんか、萌えますしね。

オススメしとこう。
(20:24:38)

2004年/5月/15日
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「レヴォリューションナンバースリー」2巻 金城一紀&秋重学(小学館)

・同名小説のコミカライズ。2巻目。

・おれは、1巻を読んで原作を読んでこの2巻に接しました。

・泣いたね。かなり素で泣いてしまいました。

・正直1巻は原作にけっこうアレンジが加えてあり、原作を読んだ後だと、「んー、よくがんばってるけど、やや蛇の足気味なのかなあ?」と思っていました。これは1巻を読んだ後の感想ということになってしまいます。1巻を読んだ時点で原作を読んでませんでしたし。

・あらすじとしましては、オチコボレ男子校の生徒が人生の一発逆転をかけて、名門女子高の文化祭にいってナンパしまくろう!そして、お嬢さんにおれらのDNAを継承してもらおう!という名のもとに結成されたゾンビーズの物語です。

・1巻では、かなり、「マンガ」寄りになってました。作画の秋重氏によるアレンジがいろいろとありました。ただし、2巻は、グググっと「原作」にシンクロしてます。そうだ、おれが読んだ原作に絵をつけるとこれになる!と思いました。

・ちょっと内容に踏み込みます。ゾンビーズのリーダーがいます。原作では病に伏せているところからはじまりますが、マンガでは2巻で病に伏せます。と、原作に急速に沿っていきます。
・もしかして、「ツカミ」として1巻が必要だったのかしら?と思ったりします。 なにせ、原作では女性は登場してませんからね。

・そして、彼らの青臭い友情に、素で感動して、泣いてるおれですよ。

・2巻でも、なるほど、アレンジや、1巻からの(原作にない)設定の引継ぎ等ありますよ。でも、それは断じて蛇足ではないのです。それぞれのキャラは原作同様ナイスガイばかりで、なおかつ、原作以上のいい演技をみせてくれますよ。そのために原作をより芳醇にふくらませた感じのアレンジに変わってました。
・南方も、舜臣も、ヒロシも、山下も、アギーも、モローも、そして、敵役のマンキでさえ、いいキャラになって、マンガでいい演技をみせてくれてます。

・1巻はうーんと思いました。でも、2巻は原作ファンにもぜひ読んで欲しい。そりゃあ、小説で読んで各自がアタマに描いたキャラとはちがうかもしれない。ただ、2巻を読み終えたら、ガッチリ一致してる。それぞれは秋重画のキャラ以外にありえない。おれはそうだったし、他の方もそうなるのではと希望もややこめて確信してます。

オススメ。泣いたし。
(16:41:54)

「並木橋通りアオバ自転車店」11巻 宮尾岳(少年画報社)

・おなじみ、「ヤングキング」の良心部門。アオバ自転車店を中心に、自転車のあるオムニバスストーリー。11巻目。

・これが、ここしばらくまた加速度的によくなってきている。小学館の「ギャラリーフェイク/細野不二彦」「壁ぎわ税務官/佐藤智一」、集英社の「ナッちゃん/たなかじゅん」、などとタメをはってる、1話完結ストーリーですよ。

・10巻では準レギュラーの女性キャラが一挙登場でちょっとおちゃらけだった(おもしろかった)のの反動か、11巻はじっくり型のストーリーが多かったね。

・全身黒づくめの自転車に乗る探偵の過去編をドーンとおき、硬軟自在の自転車がらみストーリーです。

・ベタなラブコメ風でいて、ありそうでないオチだった「不自由なコトバ」「伝えにいこう」(これは前後編ですね)。このオチは本当意外だったなあ。学園舞台で、好きな男に告白した女子。ただ、メールとかわからない彼だったので、思い切って家に逢いにいったら、インターホンから若い女性の声。「は! 彼はだれかいい人がいる?」という話のオチですよ。はじめて読むパターンだし、今後、だれも真似しないような飛び道具でした。それでいて完成度が高い。

・新女性キャラの風紀委員長と、アメリカの金持ちのお嬢さん(こっちは準レギュラー)との対決「ヤマトナデシコ・デテオイデ」。アメリカに、ママチャリがないことを知ったりする。

・アオバ自転車店オールスターの「プロとして」「春へ贈ろう」(個人的にはベストです)

・そして、前記の黒づくめ探偵の「約束」「黒き慟哭」

・おお、1話完結とかいって前後編パターンが多いですね。書き込んでみるまで気がつかなかった。ははは。

・自転車ネタとのからみもスムーズになり、全体の完成度は高くなる一方です。

・一話完結モノってのは報われない形態だと思います。でも、おれはがんばって支持していきたいなと。こういういいもの読ませてもらったら微力ながらでも応援していかないとねえ。
(17:09:52)

「イリヤッド」5巻 東周斎雅楽&魚戸おさむ(小学館)

・おれなんかにゃあ、金魚のフンみたいにいつまでもニョロニョロと続く「20世紀少年」より、「MONSTER」と「MASTERキートン」を合わせたような本作のほうが断然おもしろい。

・また、5巻くらいから、グググとおもしろくなってきたね。「敵」がその姿をみせたからですかね。まあ、正確にいうとちがうんですけどね。

・アドベンチャー考古学ミステリーです。伝説とされているアトランティス大陸についての研究をしたために、学会を追われ、台東区で骨董屋をやってる入矢の冒険物語です。おお、久しぶりにあらすじ書いたかな。

・様々なネタを駆使してます。考古学に限らず、ありとあらゆるネタを投入。そして、あくまで物語はスリリングに、アクションあり、謎解きあり、と、ぐいぐいと読み進められます。

・たとえば、最初に「トラッキング」というネタが登場します。警察官が行う足跡を追うための技術です。
・そして、追っ手から逃れるために、農家ならありそうなものを使って脱出しますよ。
・アマゾンの語源を知ってます?
・紙幣で人を暗殺する方法。
・ペットボトルの空容器で作るブーメラン。
・ヴェネツィアの秘密の水路。

・この手のマンガじゃ、たぶん、今はNo.1と思われるウンチク量です。しかも、ジャンルも多岐にわたってる。初期の「ギャラリーフェイク」、前記の「MASTERキートン」、それらの全盛期をもしのぐかもしれない。かといって、物語をおろそかにするということはないですよ。そこいらはベテラン、魚戸おさむ氏の力量によるものが大きい。ヴェネツィアの秘密の水路のシーンなんざワクワクしますよ。

・ああ、今、電撃的にアタマに浮かんだので一応記しておきます。小学館お得意の、1話完結のウンチク盛り込みマンガのルーツって「美味しんぼ」かなと思ったけど、あれだね、「ゴルゴ13」なのかもしれませんね。

・とても楽しいです。惜しむらくは刊行頻度がやや低いことか。
(17:34:06)

2004年/5月/10日
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「万祝」3巻 望月峯太郎(講談社)

・おお、3巻にしておもしろくなってきた。
・やっと、展開が本格的になってきたからですね。本格的というか、本線というか。

・謎の居候・カトーが正体を現す。そして、女子高生フナコは彼と彼が盗み出した、じいちゃんからの宝の地図を求めて船出する。

・こういった感じで、これから海洋アクションアドベンチャーといった感じがみえてきましたよ。3巻までがグランドプロローグだったのですか。正直1巻分量はムダだった気がしますが、これから、ハイテンポで濃く展開することを期待しています。

・と、書くだけ書いておきます。

・でも、この3巻まで、あまり飽きることはなかったですね。「バタ足金魚」仕込みのギャグ&アクションに、「ドラゴンヘッド」の細密描写を融合させるのに必要だった時間だったのかもと思えばいいかなと。

・個人的にはギャグのほうはまだキレが戻ってない気がしますが、その他の部分でかなりカバーしてるような気がしますし、リアルとウソのものすごい薄いラインを押さえてるアクションや設定はとてもいいなあと思います。リアル一辺倒ではムリが多いですが、かなり地に足がついているので、庭であいさつして頭突きで灯篭を叩き割ってもそれはそれなんですよね。ここいらの境界線。たとえるなら、カンフー映画〜マトリックスでのアクションと、ガチンコの空手の試合の中間点。この微妙なサジ加減は「バタ足金魚」のカオルがやるムチャを思い起こしてニヤリとしたりしますね。

・うむ、3巻以降は普通に「おもしろい」と書けそうですね。
(17:43:46)

「鋼鉄の少女たち」4巻 手塚一佳&しけたみがの(角川書店)

・すっかり、個別のキャラ、物語の背景などが、すっとんでいるということを思い知った4巻です。

・タイトルどおりのマンガです。戦中を舞台に少女たちで構成された戦車部隊を描いているものです。たくさん少女たちは死んでいったりします。

・そういうことで、「そういうやつ」が読んでるものとして以下お読みください。

・ポイントはリアルな戦場描写で、そこに少女たちというミスマッチにありますね。一応、異世界が部隊になっているみたいで、耳のとがった少女だの、細かいちがいはありますが、おおむね少女だしね。しかし、あの耳だと、ヘッドフォン的なものはそういうものになってないとおかしいような気もしますね。

・で、4巻の白眉は、敵兵にレイプされて妊娠、臨月になり、移動途中戦いに巻き込まれる。そして、破水。という出産劇でしょうか。

・そういう場面場面ではまだおもしろいですね。
・弱点である、描写時の線の細さは、かなりこなれているような気がしますし、ところどころあるギャグめいたところもよかったですね。

・しかし、シミジミ、変わったマンガですね。
(18:53:08)

「元祖!浦安鉄筋家族」6巻 浜岡賢次(秋田書店)

・んまあ6巻です。タイトル変えてもすっかり大河連載ではありますね。いろいろ描いてるでしょうが、結局、これだけって感じになってますよね。

・いや、まあ、ムダにってのは悪いんですけど、ますます絵が細かくなってますね。
・小学生のガキどもが書初め大会で家中を墨だらけにする。
・家にソファーを買ったためにあらゆる人が押し寄せる。

・それがあまり笑いに直結してませんが、スゴイ絵ではありますね。

・これが、超大ネタって段々ナリを潜めてきてるんですよね。屋形舟の簡易トイレにウンコが詰まって沈没するとか、そういうの。で、日常的なことで、なおかつものすごい細かい写実的な絵ってのが多くなっている。これはどういう心境の変化なんだろうかね。

・おれはギャグマンガ家は段々「普通」がおもしろくなる現象というのを提唱したい。キャリアをつんでなおかつ現役で継続してギャグマンガ家をやってると段々普通の、些細なところにおもしろさを見出して、それをマンガ化する。スケールが小さくなっていくんですよね。例外はあると思うんですけど、たとえば、パッと思いつくままにマンガ家をあげると、吉田戦車氏、森下裕美氏、いしいひさいち氏、あたり。地味で普通だけどおかしいマンガってライン。

・浜岡氏もその現象が起こったのですが、破壊力というのが武器の人で、そのインパクトを、絵を細かくすることによって、醸し出してるのかと思ったり。それくらい6巻は地味な話が目立った。サランラップの使い終わった棒で1本作ったりしてるもんね。

・ふと、「8時だよ全員集合」を浜岡氏の絵で忠実にコミカライズするのってあんがいとおもしろいんじゃないかと思ったりしましたよ。バラエティをマンガ化ってのは意外にだれもやってないところかもしれない。まあ、それはつまらないからですよ。でも、それをおもしろくできそうな数少ないマンガ家じゃないかなと思ったり。
(19:29:47)

2004年/5月/7日
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「魔女」1巻 五十嵐大介(小学館)

・魔女が登場する連作集です。どういう連載形態なのかはわかりませんし、今後どうなるかわかりませんが、3編の作品に共通するものはあまりありません。キャラも時代も舞台も別。ただ、タイトルどおり「魔女」というのがキーワードになっている感じですね。

「SPINDLE」と「KUARUPU」が長編。
・手に入ることのなかった恋人のため、街を憎み乗っ取ろうとした女。その憎しみが魔女としての力を覚醒させる「SPINDLE」
・恋人を殺された呪術師がその力を「癒し」ではなく「呪い」に使う「KUARUPU」

・絵ですよね。ものすごいシンプルなところで絵が持つ力ですよ。これに圧倒されますね。話はどっちも構造的にリベンジということですよ。

・この魔女の行う「魔法」(魔女っ子のそれではなくもっとおどろおどろしいの)描写ですね。これがすべてとはいいませんが、「うわーすげー」ってことになるとは思いますよ。

・と、話が劣るみたいな印象をもたれたら困りますが、その絵にふさわしい話ですよ。けして劣ったり、マイナス要因ではありません。ただ、絵がすごすぎるってだけの話ですよ。

・ということで、ひとことで感想を述べるなら「すごい」と。

オススメ
(18:22:21)

「ゴーストママ捜査線」2巻 佐藤智一(小学館)

・いまや、「ただいま!」(集英社)の、というより、「壁ぎわ税務官」(小学館)(そういや、これのドラマ化では主役は故いかりや長介氏だったな)の佐藤氏のシリーズですね。意外に長いインターバルでの2巻でしたよ。

・元婦人警官の母、死んでしまったが、形見のメガネを息子がかけたら、幽霊の母がそこにいた。で、いろいろと事件解決って1回完結の話です。基本は幽霊の願いをきいて成仏してもらうって形かな。

・1回完結職人ではありますよ。佐藤氏は、もしかしたら延々そういうノリで、マンガを描いておられるのではないだろうか。しかも、ほのぼの→泣ける的。ガンコ一徹の職人ですよ。

・その線は外さずに、バラエティに富んだ話作り。
・2巻では、1人暮らしの老人が死に、飼い犬の引き取り手を捜しに独立した子供たちを訪ねる。

・サーカスの団長が、サーカス団の行方が気になって成仏できない。

・母1人で、タバコ屋をやりながら息子を育て上げる。息子はきまぐれでSF小説なんかを書いてる。その先行きが気になって仕方がないから成仏できない。

・ベストはペンギンの話かな。動物園から条件付で借りたペンギン。だけど、世話をしてるばあちゃんが死んだ。そして、ペンギンが脱出。ばあちゃん(の幽霊)の望みはペンギンを南極に返してやりたいことだが…。

・正直、1巻からのインパクトは薄れましたが、高水準ではあります。表紙のひさうちみちお風が、味わいですね。
(18:51:16)

「サムライダー」3巻 すぎむらしんいち(講談社)

・3巻は回想編。
・おれは未だに、復刻版のほうを読んでないバチあたりなんですが、なんとなくわかりましたね。これは復刻版と同じストーリーなんでしょうか。
・やっぱり、すぎむら氏の出世作のリメイクなだけあって、丁寧に描きたいって思いが伝わります。

・未来。日本はアメリカの州のひとつになる。そして、ある地方都市に夜な夜な現れる甲冑姿に身を包んだライダー。1人で暴走族1つを壊滅させたりと、噂をよんでいます。
・そして過去に因縁があるメンバーもその都市に集結して、いろいろな思惑をはらんでいるというストーリー。その過去の「因縁」が語られた3巻なのですね。

・ただ、なーんか、「スタア学園」に比べてイマイチかなあって。ものすげえカッチリしてるからなんでしょうかね。

・「スタア学園」のように行き当たりばったりで追い詰められての苦し紛れが大フィーヴァーということがないです。
・その先の読めなさがおもしろかったですけど、そんなのばかり2つも3つもやるわけにもいかないですからね。当然の帰結ともいえます。まあ、話の流れで、しょうがないところもあるのかしらね。
(19:06:31)

「時をかける少女」1巻 筒井康隆&ツガノガク(角川書店)

・名作「時をかける少女」のリメイクですね。
・いろいろな点で「なるほどな」と思いました。

・中身はかなりちがいます。アレンジといいますが、たとえば、昭和歌謡を今風にかえたような。「亜麻色の髪の乙女」「ひょっこりひょうたん島」ってな感じ。

・そいでもって、どっちかというと、原作小説というより、大林宣彦監督の映画版のそれに影響を多くもらっています。

・最大の特徴は「萌え」を大幅注入したってことでしょうかね。かなりそれ風になってます。オビでゆうきまさみ氏が「すごく新鮮!」とありましたが、ほぼ別物かも。というか、おれも、今、ふと思うと、大林映画のほうしかイメージがないんですよね。

・というか、ぶっちゃけると、原作はたしかほとんど短編という感じのもので、それを映画でふくらませて、マンガではさらにさらにふくらませた感じだな。
・ラベンダーの香りで、「時をかける少女」になること。名前、基本設定。これ以外のところは同じところを探すのも難しい感じですよ。

・で、ああ、これは、つまり、合法的な、同人誌の手法であるんだなと。たとえば、ONE PEACEのゾロxサンジってので同人誌を出すのの延長ですよ。
・いや、まあ、そう切り捨てたらすげえもうしわけないんですけどね。根っこの構造はそうじゃないかな。ネタ元「時をかける少女」を作画のツガノ氏がいじくったらこうなりましたという感じです。様々な要素を付加して、換骨奪胎じゃないけど、たとえば、仮に、「原作者:筒井康隆」を消し、タイトルを変えても、「なんか「時かけ」のパクリみたいけどおもしろいや」ってな感じになりそうな。

・そこが非常におもしろい。逆の発想だと思うんですよね。原作がある。それを忠実にマンガ化する。たとえば、川崎のぼる氏なんかがそうらしいですね。そいでもって、有名なところで「明日のジョー」なんてのは、原作者が、「いつ、おれの原作使うんだ!」とかいって怒り出したそうですよね。原作のはじめは、力石と少年院で試合するところからでした。

・でも、本書はそういうのともカンケイないところに存在してる感じがする。それは原作へのリスペクトがないってわけじゃなくて、原作は、「2ちゃんねる」用語でいうところの、「燃料」みたいなもんでさ。

・とりあえず、本書のデキはともかく、おれはこの手法は肯定したいと思う。これは、昨今の絵のレベル「だけ」向上著しい、マンガの描けない方への福音じゃないか。この構造はゲームのそれにも近いような気がする。その線でいうと、絵がちがうだけで、同じゲームでもかなり毛色がちがって感じるじゃないですか。それですよ。もしくは、ハリウッド映画のリメイクとかね。今のVFXの力で、過去の有名作をスゴイものにして作る。
・ものすごい長い目でみれば衰退ではありますが、そうこうしてるうちに「マトリックス」が生まれたように、なにかが出てくる可能性ってのもあります。そう考えるなら、この手法自体がかなりの「燃料」になるのではないかと思うのです。中途半端にパクるよりよほどいさぎいいし、思い切りよくできるんじゃないかなあ。

・肝心のマンガとしての本書のデキは、これがまた逆なこと書きますが、なるほど「萌え」系のマンガってのは「いらないもの」を詰め込んで構成されているんだなあということがわかりますね。そして、それを「まあまあおもしろい」と思える自分を発見したりね。けして、不味くはないです。むしろ、「キャラが掘り下げられている」などと絶賛する人がいてもおかしくないと思います。まあ、こういう書き方をするからには、おれはそう思っていないんですけどね。でも、こんなふうに「長くする」んだ。と、勉強になりました。それ自体は不快じゃないですし。

・筒井康隆氏自体、映画の「時かけ」のパロディ描いていたくらいだし、いいんじゃないかな。どんどんやれば。

・と、今、ふと思い出しましたね。「コミックバンチ」で連載されている(もう終ったか)「リプレイ」もまさにそのパターンですわ。

・こういうの、だから、どんどんやっていこう。小説のコミカライズなんてケチなことをいわないで、マンガのリメイクをやっていくといいんじゃないかな。手塚治虫氏の諸作品なんか、それにはうってつけじゃないですか。「アラバスター」とかさ。
・たとえば、師走の翁氏作画の「IL」とか、しのざき嶺氏作画の「奇子」とか読んでみたくない? エロかよ! いやいや、エロはこういうときはかなり効果的ですよ。たとえば、「パイパニック」とかよ。

・ということなので、本書はぜひ「成功」してほしい。商業的にも作品的にも。まあ、後者はどうかな〜?と思いますが。
(21:30:22)

2004年/5月/4日
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「ぴっぴら帳 完結編」こうの史代(双葉社)

・以前、「タコシェ」にて、同人誌「こっこさん」(連載はメジャー誌でしてましたけど)を買ってから、一時期、本作品の1巻目(調べたらあったのでamazonで取り寄せることにしました)を探してました。
・でもって、どうこうしてるうちに、「夕凪の街」という「アクション」に掲載された作品がネットで話題になったりね(未読)。

・えーと、以前、「こっこさん」の感想(前サイト)を書いたところ、ファンページで本人かそれに近い方から「もっと素直にホメろ」的なことを書かれたので、素直にホメます。「おもしろかったです」


・そういうことで1巻は読んでませんが、「ぴっぴらさん」というセキセイインコと2人暮らしをしているキミ子さんの日常スケッチな4コママンガです。

・ともかく絵ですよ。すばらしい絵。鳥たちの描写がすごいですね。みたことのない鳥描写。写実的っていうんじゃないですよ。鳥ってこんな動きや格好もするのか!って感じの描写。でも、そのせいで、非常に表情豊か。感情が手にとるようにわかる。
・で、人物。キミ子さんは22歳にしては幼い感じをうけるのですが、これは手足が大きく描いてあるってのも理由なのかしらね。また、丁寧な動きですよね。手の演技、足の演技、表情、とてもいいですね。

・美味い絵っていうんでしょうか。絵をながめているだけであきません。鳥好きにはもっともっとたまらないでしょうね。
・でかい絵がまたいいんですよねえ。毎回の表紙にあたるところとか、あとがきのキミ子さんの部屋(アパート)の俯瞰図とかね。
・4コマというせまいコマで窮屈そうでもありましたね。

・話の方も、後半恋愛模様などが混ざりはじめ、なんていうか、今となっては非常に新鮮な、4コマらしい最終回がありました。ビジュアル系4コマに慣らされてたんだなあと逆に気づくほどです。

・いいマンガですよ。前後逆になりましたが(あまり気にしなくても大丈夫ですが)取り寄せた1巻楽しみです。
・あと、ついでに描いておくと、「夕凪の街」は同人誌でコミティアやタコシェで入手可みたいです。なんとか、手に入れてみたいなと思いました。
(17:01:10)

「ナッちゃん」12巻 たなかじゅん(集英社)

・なんだか早いペースででてるような気がします。おもしろいのでウエルカムなんですが。
・ナニワの人情工夫鉄工所マンガですよ。女だてらに旋盤まわすナッちゃんが今日も活躍しますですよ。

・10巻あたりから加速がついたかのように女性キャラが大盤振る舞いになり、12巻では、特撮オタクが好きな番組のヒロインに「似てる」という理由で主人公のナッちゃんにホレていたんですが、その番組のヒロインも登場ですよ。

・でもって、巻末には特別読みきりということで、準レギュラーキャラのメガネっ子を主役に据えた「CHIKAちゃん」まで登場。コンピューターウイルスと戦ってます。ただ、ネタがネタだけにやや地味でしたけどね。

・本編ではそのチカちゃんと男を取り合ったりしてなあ。すっかり、ちょっと年齢高目のラブコメな展開になってきてますよ。

・まあ、それでも、毎度毎度の鉄工工夫とかもキッチリですからねえ。しかも、読みきりだしなあ。

・11巻がけっこう悪ノリだったのか、反動でややおとなしめの12巻でしたね。
(18:14:59)

「ギャラリーフェイク」30巻 細野不二彦(小学館)

・30巻かあ。でもって、単行本累計1000万部だそうですよ。細野先生とバルセロナ美術館ツアーに行きますよ。まあ、オビの情報なんですけどね。

・もう、今となったら、「「美術」界のブラックジャック」な話ってのもなんだか座りが悪くなった感じがしますよね。堂々としたモンですよ。

・と、30巻ですが、妙に暗い話が多かったな。湿っぽいというかね。

・美容整形ネタ、祇園祭、旧校舎取り壊し問題、アンティーク人形、鳥かご、などなど、古今東西硬軟混ぜ合わせて調理するのは天下一品ですが、今回はしょうゆ味がやや目立ったというところですかね。

・30巻で特筆すべきは、「赤ずきんちゃん、ご用心」ですかね。ここにメガネの少女が登場しますが、なかなかこれはその手の方がチェックするんじゃないかな。そういや、「さすがの猿飛」のときなんかは、萌え系(当時こんな言葉はなかったですけどね)のマンガ家だったんだよなあと思い出しましたよ。細野不二彦の美少女はかなり注目されてましたもんねえ。
(18:46:23)

2004年/5月/3日
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「泡日 AWABI」高浜寛(有学書林)

・最近は「描き下ろし」というコピーにすっかり弱いのです。本作も表題作が74枚の描き下ろしということが決め手になってしまいまいした。青林堂の「イエロー・バックス」はチェックしてましたけどスルーしました。だから、決め手は描き下ろしです。

・チェックとか書きましたけど、買ってはじめて女性であることを知るくらいでたいしたチェック度合いではないんですけどね。

・そして、この描き下ろしで表題作「泡日」がとにもかくにもすばらしかった。
・老人ホームの前で若い女性が溜池に倒れている。それを知らせたのが、要介護5のジジイ。もうボケボケなんですね。だからって、身内の女性が、もう1度再現してみてくれと頼む。

・そのほか、「奇面組」のメンバー(小学生同士のグループがそれぞれ「奇面組」メンバーをあてはめている)の解散な「ファニーフェイスファミリー」など、「ガロ」などに掲載された短編がいくつか。

・絵がね。なんていったらいいんだろう? モノクロなのに、色をつけてるような感じの。「ヌーベルまんが」っての? いや、全然わからんけどさ。手間のかかった感じのマンガですよ。フランスのBDとか? パリの本屋にゃあ、マンガは絵画集のコーナーにありますしね。そういう感じのスゴイ絵です。遠近感がちゃんとあるって感じのね。ほら、一般的にマンガはすべてにピントがあってるじゃないですか。

・ただ、その絵の度合いにしても、おれは、前記の「泡日」が1番シックリきましたね。正直、他の短編は、短いページ数にいろいろとつめこもうとして、ネームも絵も、過多な気がします。だから、濃いくてね。それが、74枚の描き下ろしだとほどよい感じ。

・何回も観ることができるいい短編映画のようなオモムキ。って書いてる間に2回読み直したし。「泡日」だけ。いい話だけじゃないところがいい。

・オシャレーな絵に内容のギャップもまたおもしろいんですが、読み返すたびにしっくりとなじんでくる感じ、その細かくて丁寧な描写の味わいが増してきます。なるほど、名作ってこういうことなのかなと。っていうとホメすぎになるかな。

・たぶん、「泡日」がなかったら「なるほどね」で終ってたかも。つまり、おれに「合ってた」ってことですか。「泡日」が高浜寛解読のキーワードになってくれたというか。
・あー、だから、ほかのがつまらんってワケじゃないんですよ。それぞれおもしろかったですよ。「なるほど」って感じでしたよ。損したとは思いませんでしたよ。「泡日」がおれにとって特別ってだけの話でね。

オススメ
・しかし、なにがどうしてこうもキたんだろう?
(16:34:34)

「ラクィンタ カーメラ LA QUINTA CAMERA」オノ・ナツメ(ぺんぎん書房)

・おお、ぺんぎん書房らしからぬ絵。まあ、ぺんぎん書房らしい値段(900円+税)ではあるんですが。

・内容も絵柄もかなりぺんぎん書房っぽくないですね。なにせ、萌えない。

・イタリアが舞台です。留学生に部屋を貸してる4人の男たち。そしてゲストであるルームメイトといった具合の連作集。

・絵がまた思い切りがいいですね。イラストレイテッドな絵。線が太くてビシっと描かれてる。で、描き分けもバッチリ。基本的に、ドラマティックに推移していくようなストーリーではないし、絵が絵なので描き分けができてる、というか、おれがキャラを見失わなかったのはたいしたもんだなあと思いましたよ。こういうときすぐに置いてかれるもんでね。

・で、話がいいです。後半ちゃんと盛り上がるしね。ピシッと終っていい話でしたよ。

・ただ。あとがきが余計だった。


このマンガを読んで
イタリア行きたいなー
留学してみたい、と思って
もらえたら すごく嬉しいです。


・いや、作者にはものすごい思い入れがあるかもしれませんが、マンガ自体は舞台を日本にしても成立するもんだと思ったね、悪いけど。たんに、フランスかぶれのイヤミ(おそ松くん)のようにイタリアかぶれがそういうマンガでっち上げたんかよ?と、悪いほうにどんどん勘ぐってしまうんですよね。

・多くのファンタジーマンガが、その剣と魔法とドラゴンは、おまえのマンガに本当に必要なのか?と思うように、本作も、イタリアが必要と思わせるものは少ない、とおれは思ったね。まあ、あとがき読んで強く思ったね。もうちょっとぶっちゃけた表現で、「カチン」ときたね。あとがきの直前までは好印象だったけど。

・こちとら、イタリアもイタリア人も知らんわ。ついでにいえば、作者の思いいれもバックボーンも知らんわ。だから、最低限「外国」であればいいんだよ。このマンガがイタリアにこだわるワケもマンガ内からは読み取れなかったしな。そう思うと、「イタリア」は単なる自己満足じゃないかなと思ったし、少なくともおれは「イタリア行きたいなー」とはまったく思わなかった。

・いや、本当にもうしわけなくてひどいことを書いてるなと思います。マンガはおもしろかった分、余計にもうしわけないと思います。

・でも、おれはカチンときたんだ。おもしろかった余韻を冷まされたような。

・残念でした。
(17:10:05)

「ホムンクルス」2巻 山本英夫(小学館)

・ああ、2巻でました。
・1巻がすげえ売れてるみたいですね。オビに書いてあります。小学館は最近アケスケだなあ。そりゃあ2巻も出さないとダメでしょう。

・トレパネーションというデコの中央に穴を開けると超能を得た、クルマに寝泊りするホームレスの物語です。

・2巻では、能力に目覚めた男がロボットにみえたヤクザの親分のところにいく。

・そいで、タイトルである「ホムンクルス」という単語もでてきましたね。「人造人間」ですよね、たしか。

・1番の売りは、その人の内面がヴィジュアルでみえるということですね。インパクトがスゴイですよね。で、たぶん、語られることのない人々は、「こいつはこうだからこうみえる」ってのを早く知りたい気持ちです。

・もしかして作者がこう見えてる!? ってのはギャグになってない可能性がありますね。
・まあ、作者も身体に気をつけて、安定した作品供給のほうお願いします。
(17:50:42)

「少年少女」4巻 福島聡(エンターブレイン)

・最終巻ですね。少年少女の登場するオムニバス読みきりマンガ。

・1巻から完成度は異様に高かったのですが、毎巻そのクオリティが上がっていったような気がする。でも、おれ的には3巻がピークだったかもしれない。4巻は、というか、4巻もクオリティは高かったけど、どうもピンとこない話が多かった。
・いや、さらに高みを目指したという、ものすごい高レベルのマンガが続いたのですが、高レベルすぎてついていけなかったかなあと。極力言葉を使わない表現とかね。キャラの表情で語るとかね。まあ、ついにというか、誰もが1回はやりたがるサイレントマンガもありましたしねえ。

・これらが、スゴイってのはわかるんですよ。でも、それらはおれにはあまり「おもしろい」とは思えないんですね。残念なことに。おれはそういう表現を高めるのなら「わかりやすい」ほうをとります。

・ただ、全巻通して、ラストに登場してるヨシコとゴローの登場する昭和大阪マンガ「希望」は最終回にふさわしいドンとしたものだったですね。4巻ではベストだと思うし。婚姻届破ってからの展開はすばらしかったです。

・ということで、とてもいい短編読みきりシリーズでした。
(18:47:59)

2004年/5月/2日
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「拝み屋横丁顛末記」2巻 宮本福助(スタジオDNA)

・待望の2巻です。どちらかというとおれなんかより何倍も奥さんが待望してましたが。

・祈祷屋などが集まった、拝み屋の横丁。そこの長屋の2代目と、店子が巻き起こす、心霊ネタまじりのドタバタコメディ。

・女性の喜ぶ要素が多いと思います。下ネタのない品のいいギャグやキャラ。人死にのないマイルドなドラマ。そして、全体を覆う丁寧で高い完成度。ちょっとホロっときたりね。
・おれなんか、あまり耐性がないんで、カンタンに「動物のお医者さん的なやつ」ってフォルダにしまっているんですけどね。

・2巻では横丁の名物3バカジジイに対抗する科学者3バカジジイが活躍したりと、基本的にトラブルメーカーの3バカジジイをさらにフィーチャーしてますね。ああいうジジイになれたらいいなと思ったり。

・ということで、読むとほのぼのした気分になれますよ。個人的には福引の回が好きですね。7等の景品に「悪魔の書」ってのがバカみたくて。

・おれが思った以上に奥さんが気に入ってらして、オビにあった、「特製ブックレットプレゼント」を送ろうとしてましたよ。
(15:58:08)

「瀬戸の花嫁」4巻 木村太彦(スクウエアエニックス)

・ああ、毎巻微妙に設定が変わってましたが、4巻でパターン確立した感あり。

・瀬戸内海の人魚の秘密を知ったために嫁さんとしてもらうことになりました埼玉の少年。でも、人魚一家は瀬戸内の極道で、人魚はその1人娘だったのです。そいで、埼玉に嫁いできたはいいですが、いつの間にか一家も引っ越すわ、人魚のライバルっていってるアイドルとは同居するわでしっちゃかめっちゃかなドタバタラブコメです。

・4巻ではさらに人魚の許婚まで登場。大金持ちの息子で、スポーツ万能、学業優秀、イケメン。だけど、広所恐怖症。
・ということで、ますます、「うる星やつら」度にみがきがかかっておりますが、正解だと思いますよ。これでしばらくイケるでしょう。やっぱり学園ラブコメは無敵。

・4巻はそういうことで、ヒロインの人魚、燦(さん)ちゃんの影が薄かったですかね。もともと、おっとりしてて動かしづらいキャラではありますからねえ。

・そして、4巻で、おれは同居してる人気絶頂のアイドル歌手(人魚だから歌が上手いってことで)ルナさんに萌え萌えと。最後の話はよかったです。久しぶりにラブコメ読んでドキドキしたですよ。
(16:09:55)

「ハレグゥ」2巻 金田一蓮十郎(スクウエアエニックス)

・2巻はラブコメ教化巻ということで、まるごとラブコメ的な展開になってましたね。ムダにたくさんいるキャラという本作の特徴を生かして、いろいろなシチュエーションのラブコメを展開。キャラも覚えてもらって2度美味しい状態。

・意外に「ちゃぶ台ひっくり返し」度が高いマンガです。元も子もなくなるセリフをいわせたり、楽屋落ちやらせたら非常に上手いですね。そこがおれが一番好きなところかもしれない。

・ということで、ラブコメ編でも、最後の最後で、この巻全部をパーにするようなステキなちゃぶ台返しがありましたよ。

・まあ、おれは相変わらずキャラ覚えてないですけどね。
(16:19:12)

「ほっぷすてっぷじゃんぷッ!」3巻 岡田和人(秋田書店)

・カエルにかまれたためにカエルの持つ特殊能力を身に付けてしまった女子高の用務員を主役として、かなりスケールの小さい「スパイダーマン」をやっておるのが本作です。ああ、スケール小さくした分、エロを山盛りで。

・なぜか、1,2巻では「これでもか!」ってくらいだった、乳首透け(いかなる衣服からも存在をアピールする乳首&女性器)が控え目になってましたね。
・それに付随しますが、布描写がもうすごいことになっているんですよね。だから、単なる定食屋ののれんにもその技術がいかんなく発揮されていて、隠微なのれんってワケのわからんことになっていたりします。のれんはたいてい麻でできてるからあんな風なシワは絶対にできないと思うのですが、それはそれでこのマンガではOKなんでしょうかね。

・まあ、ほどよいエロコメとして楽しめるのではないでしょうか。その分、語ることがないんですけどね。

・これから冬がくるという設定になり、カエル人間なだけに冬眠をしたくなってるそうですが、どうなるんでしょう?
(16:45:17)

「青春ビンタ!」5巻 私屋カヲル(少年画報社)

・エロバカ童貞コメディもなかなかの大河連載になってきましたね。なにげに私屋カヲル氏の最長連載とか?

・今回は5巻にして、女性キャラの増員がありましたね。これまでは、ロリな桃香、巨乳なアミの2人ががんばっておられたのに、その間に属するメガネっ娘でクールな瀬乃さんが参入しましたよ。なにげに描いたけど評判よかったから準レギュラー入りって感じですかね。

・さて、どんどんエロがエスカレートしてきてます。カバー見返しで台湾版が18歳未満禁止になったってネタにしてましたけど、日本版でもかなり近いものがあるんじゃないかい?

・とくに巨乳のアミさんはマゾ体質なのが全開で、あちこちでスゴイ目に遭ってます。衆人環視の中で辱めを受けるってパターンが多いです。医者にクスコ挿入されるところまで描いたら、さすがに、「いいのか?」って思ったりしましたよ。

・でもって、4巻あたりからムリな展開が少なくなった気もしますね。その手のネタが尽きたのか飽きたのか。自分のオッパイをコントローラになりすまし、ゲームしてると思わせてペッティングとかね。

・今回は、新キャラ・瀬乃さんのエロサイト攻略編がありましたね。いつのネタだよ?って感じでもありましたけど。イマドキはQ2ダイアルにゃあつながらんでよ。

・あ、あと、私屋センセが女性だなあと思うのは、海音寺先生という保健室の先生キャラがいることですね。いそうでいないキャラですよね。エグすぎる。「やけくそ天使」の阿素湖素子というキャラに近いものがあるけど、ここまでじゃないもんなあ。そこいらの差がおもしろい。今回、御神体の男岩というチンポ型の岩(っても、大きさは人2人分くらい)に処女を捧げるというシーンがありましたね。

・ちょっと前の巻までは、「男心がわかってない」と思っていましたが、最近はそこいらのツボの押さえ方がうまくなったなあと思いましたですよ。
(17:29:27)

「警死庁24時」6巻 大和田秀樹(角川書店)

・最終巻。トートツな気もするけど、仕方ないわなあ。なんつーか、「魁!男塾」なんかのインフレインフレの展開にずっぷりハマってましたからねえ。でもって、延々警察官同士で戦うという不毛なストーリーでしたしね。

・登場人物が強くなりすぎて、そんじょそこらの犯罪じゃ意味がなくなってきたんですよね。一瞬で解決ですから。だから、超人同士で戦わせるという方向に。さすがにそれはアレだろうなあってことで終了。そういった感じがします。

・最終的にすぐにスッポンポンになるおかしな警官の物語ということで。いや、おれは好きですけどね。でも、サッカーマンガである「HEAVE ELEVEN」のほうが好きですよ。

・ただ、本作は大和田秀樹氏的にとってはかなりスキルアップの作品でしょうねえ。本作をサカイに女性がぐんとかわいくなったしねえ。ラブコメになったし。
(18:05:14)


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