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ポトチャリポラパ/コミック/2004年
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2004年/9月
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2004年/9月/30日
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「HEAVENイレブン」4巻 大和田秀樹(秋田書店)

・4巻では全編試合シーンという、でも、これまでなかった王道を突き進んでるサッカーギャグマンガですよ。

・いいよね、主人公のヴァカにもみがきがかかってきて、必殺技は女子のパンティをみないと打てないという、イニシエのシバリ技まで飛び出す始末ですよ。
・本当、どこで、大和田センセは女性エロのスキルを手に入れたのだろう? 4巻でも新キャラが女子だもんなあ。ついでにいえば表紙も。

・そいでもって「漢」感はちゃんとある。ここが一番の武器ですが、健在ではあります。
・正直、腐女子方面には、「たのしい甲子園」のようなトキメキは少なくなったと思いますがね。でも、おれとしては「たのしい甲子園」より本作でヤオイを見出す女子のほうがスキルが高いと思います。
(19:17:40)

「フィラメント」漆原友紀(講談社)

「アフタヌーン」で「蟲師」を連載される方が以前に別名義(志摩冬青)で出された作品集の再編集版ですね。「蟲師」の原型である「虫師」も収録されております。

・断然、最近収録された短編がいいですね。だんちがいにいいです。「岬でバスを降りたひと」と「迷宮猫」です。
・もしかしたら作者はずっと変わらない気持ちで描きつづけてきたのかもしれない。そういう真摯さは初期の作品群からも伝わってくる。

・終点でほかに行き先のない岬のバス停。でも、たまに、降りる人と乗る人の勘定が合わない。そんな岬の売店で働く少女の話。「岬でバスを降りたひと」
・一目見たときに「あっ」と思ったね。長崎の軍艦島を舞台にしたと思しき「迷宮猫」

・これらとその後の短編群のちがいは歴然。初期のそれは頭の中とレンタルビデオ屋と書店にいけば描くことができるものです。それはすばらしいものもあります。いい味のもあります。ただ、熟成された「丸さ」がない感じ。ムリヤリ熟成味というかね。 温泉の入浴剤と温泉のちがいというかね。・この2編はその背景が生きてる。文字通り生活がありその上に存在する感じを受ける。つまり、お話に陰影をつけるリアリティとしての背景がものすごい存在感を主張している。

・なるほど、あと、10年くらいして、短編集が出たら、それはとてもおもしろいものになってるかもしれないなあと思いました。「蟲師」のほうも買ってみようかしら? 一応、「アフタヌーン」の前に連載していた「マグナム増刊」(だっけ?)のときは読んでいたのです。
(19:37:12)

「ラブロマ」3巻 とよ田みのる(講談社)

・3巻ですよ。
・なんていうかな、巧い人だけど、素人くささを出し続けなければという、ヘンなパラドックスに陥った感じがした3巻です。

・根岸さんと星野くんのラブラブ学園ライフを描くというものです。律儀に1回ごとに設定がリセットするのがいいですね。一応、「サザエさん」方式は不採用で、彼らは2年生に進学しましたけどね。

・この連載中にどんどん技術が進歩していってます。それは作画もそうでしょうが、主に、ストーリーなどの練り込みがとくに。
・でも、基本的に青臭い2人が青臭いセリフをいってヒャーってマンガですので、そうコッたストーリーを練りこめないというかね。
・だから3巻でも1本あったワキ役編や、星野クンの少年時代編のキレに感心したりするですよ。

・あと、もう断言しますが、根岸さんの私服のセンスはサイアク。というか、登場人物どれもサイアクな気がします。あれはOKなのでしょうか?おれにはとてもいいとは思えないんですが。

・それとは別に、星野くんが「いい男」になった気が。顔が固まってきたというか。

・いいマンガであることはまちがいないですよ。まったく別のテイストの短編でも描いたらどうだろ? それは本作にもいい具合にフィードバックすると思うんだけどね。
(20:00:04)

2004年/9月/27日
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「つっぱり桃太郎」5巻 漫*画太郎(集英社)

・またへたりこむほど笑ってしまいました。ババアがすごすぎますね。
・でも、漫画太郎氏はそのキャリアの多くをババアの裸を描いて過ごしておられますね。ダイナミックプロのスタッフが来る日も来る日も死体ばかり描かされたのと同じくらいババアの裸を描いておられます。そして、それらをキッチリ笑いにつなげてます。

・すばらしいことです。相変わらずストーリーも破綻せずに続いております。
・ただ、これ、このペースだと、どう考えても終らないだろうな。キジも死んだしなあ。猿も犬も死にそうな予感。
(13:52:44)

「Dr.猫柳田の科学的青春」5巻 柳田理科雄&筆吉純一郎(幻冬舎コミック)

・たぶん、連載していた「BIRZ」じゃあ浮いてたんだろうなあ。
・ということで完結編。
・もともと外伝だったのに、本編より長寿連載になるってのはよくあることでございますわね。本作はまさにそれですよね。

・昭和30年代初頭の「科学万能」「高度経済成長」でイケイケだった東京を舞台として、科学でいろいろな難問を解決するドタバタ科学マンガでございます。

・5巻は地味目なのがおもしろかったなあ。売れない出版社の付録を考えるとかね。台紙2万枚使用のスバル360のペーパークラフトとか。

・まあ、さびしいけど潮時でしたかね。筆吉氏の次回作を期待してます。柳田氏のほうは別にどうでもいいかな。
(14:04:53)

「鉄腕バーディー」6巻 ゆうきまさみ(小学館)

・ ちょっとおれの基準だと、複雑注意報な6巻です。
・いやまあ複雑に展開してるからこそ、ストーリーの奥深さや、それでも「わかる」ことのすごさを噛みしめてもいるんですけどね。

・そう考えると、ストーリーマンガを描いてる人にはこれ以上ない教科書になると思うんですけどね。
・しつこいようですが、「おれ基準」だと、このストーリーの複雑さとわかりやすさはギリギリのラインですよ。そういった意味じゃ頂点のマンガと思います。

・あと、「KUNIE」であった泥団子(これオモチャ屋で売ってたのこないだみかけた)につづき、6巻では、ピンポン玉野球をやってましたね。なつかしかったですよ。・

・もうひとつ。1カットですが、ついにバーディーの乳首が解禁になりましたね。
(14:21:43)

「ふわふわ。」1巻 黒岩よしひろ(竹書房)

・おれはどうも、くの一モノに弱いということを正直に告っておきます。

・で、現代を舞台としたくの一が登場するエロマンガでございます。

・イメクラにいった主人公の童貞君。くの一スタイルのところでたっぷりサービスさせられます。次の日、会社の新人にその女の子が!
・ってことで、主人公の精子が実は大事なナンチャラでそれを巡り、いろいろと、エロエロと丁々発止あるわけですよ。

・このエロエロはともかく「いろいろ」のほうがかなりいろいろと展開しているんですよ。ぶっちゃけ、エロマンガにしちゃあ複雑すぎねえか?ってくらい、いろいろな人間がからんできては、いろいろな展開になるという。
・で、最後は「愛」ってことで、護衛していたくの一・あやなと主人公さんは晴れて結ばれると。考えてみれば主人公はエロエロな目には遭ってますが脱童貞はそれが最初だったりしますよ。

・エロ忍法としては、分身の人形をこするとチンポが気持ちいいってのとか、オナニーをして愛液を霧状に噴霧することにより、相手に幻影をみせたり、キスしてからセックスすることで、上と下から蜂毒をいれてショック死させたり、定番のチンポを切るマンコとかね。

・マンガとして進行させることに重点をおいてあるような感じですね。エロシーンもそれぞれの遊びみたいなところも押さえつつ、基本線のストーリーを展開していってます。
・個人的に、それぞれ妙な男性キャラが味わいがあると思います。主人公の上司キャラの会社員なのにホストにしかみえない容姿とか、くの一の上司キャラの「おまえはナニ影だよ?(伊集院光風)」ってわかりやすいくらいの感じとか、基本的に押しが強いキャラが多いね。
(14:44:11)

「ふわふわ。」2巻 黒岩よしひろ(竹書房)

・2巻となると、「おまえはナニ耕作だよ?(伊集院光風)」とばかりの会社の話に重点が移りますね。
・エロ度も減り、がっつり正面からのストーリーになりますしね。
・まあ、1巻で書き忘れましたが、正直なところ「そんな一生懸命にやるストーリーでもねえなああ」と。
・2巻ははじまるなり、それまで主人公と交際していた恋人が脈絡なしにアメリカに旅立ったり(すげえ伏線とかだったりしたら逆に笑えるよ)、主人公よりも「力」が強いと思っていた男よりも、力が強い女子より力が強い「謎のキャラ」という、どこの貧乏国の経済事情だよ?ってくらいのインフレぶりが凄まじかったりします。

・1巻より、「そういった点」での暴走っぷりはスゴイです。
・ただ、1巻よりエロ度が下がったかな。
(14:54:09)

「無敵鉄姫スピンちゃん」大亜門(集英社)

・下ネタ満載のギャグですね。打ち切り度満点のジャンプコミック単巻モノ。コミック描き下ろしのあとがきがせつねえな。

・でもおもしろかったな。少年誌の中でもアナーキー方面に特化したギャグってのはかなり賛否がわかれるところで、個人的に否が多いですが、本作はよかったですね。

・けっこうある点でギリギリなところがいい。有名な「目からコミックビーム」をはじめとして、細かいネタが多いですね。いちいち挙げませんが、おれにもわかるものが多くてありがたかったです。

・天才エロジジイ博士と、その孫の女子高生と、博士に作られたロボットのトリオ漫才をベースにいろいろと展開。最初男にしか見えなかった女子高生がツッコミですか。
・で、エロネタでボケるんですけど、これがエロくない絵が、いい風にアレしてるワケですよ。だから、下ネタでも安心なんです。萌え知らずですから。でも、スピンちゃんはかわいいけどね。

・個人的に爆笑ポインツとして、入田恩さんが暴れた時の対処法ですかね。
・あと描写として、ブスをブスに、ホモをホモに、変態を変態に、すごい正面突破で描いてらっしゃるのもよかったな。基本って感じがしました。

・ぜひ、ブレイクしてほしいものです。次回作も買うと思います。そして、それはオススメがつけられるといいなあと思います。
(18:12:07)

2004年/9月/24日
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「ハチの子リサちゃん」伊藤理佐(双葉社)

・考えてみれば。おれにとって、伊藤理佐氏は、「エッセイマンガ」の人だ。
・多分、デビュー近辺であろう、エロネタまじりのショートギャグをオヤジ方面の青年雑誌に連載していたのは知っていたし、その後、「ちんこまんこ」と書く女性マンガ家の1人として売れていったのも知ってる。当時、「チンコマンコ」をキーワードに売れていった人は多いね。パンクムーブメントみたいなもんか? イカ天ブームとか。 とにかく、ああいった感じでエロネタでなおかつ女性向けじゃないところで「女性マンガ家」として売っていくパターンね。今も名前が残ってる人だと、内田春菊とか、岡崎京子とか、実にけらえいことか。
・ただ、おれにとって伊藤氏はそういう有象無象の1人でした。精子飲んだ女性の中の胃袋の精みたいなのが怒るマンガとかしか覚えてません。

・で、おれが「おお、やるな」と思ったのは、「ミュージックマガジン」のコンサートレポートマンガで すよ。伊藤氏が毎月いろいろなライブをみてその感想を書くマンガ。つまり、ミュージックマガジン側からすれば、「そういうの」、すなわち、「軽チャー」みたいなノリだったのだろうね。それに応えつつもきちんとカラーをだしつつ仕事をしていた。

・そして、エッセイマンガ史上ベスト10に入る名著「やっちまったよ一戸建て!!」ですよ。これは同時におれ内では伊藤氏のベストでもありますよ。

・それ以来なのか、わかりませんが、エッセイマンガということで買いましたよ。

・本書はいわゆる自伝的エッセイマンガです。長野のかなり山のほうに生まれ育ったリサちゃんのおバカな幼少を描いてます。タイトルはわかりますよね? 長野といえば虫食いですよ。だから、まんま。ハチの子をムシャムシャ食えるほど(家の中では父親とリサちゃんだけ美味しいそうです)元気で意地汚いリサちゃんですよ。

・で、また、ここどこよ?ってくらい田舎なんですよね。実際、おれが現在すんでいるところも山のほうの田舎ですけど、ここほどすごいところじゃないですよ。ちょっといったらこういうところもありそうですけど、夏休みは8/17までってことはなかったし、女子は中学校のときズボンじゃなかったし、登山もあったけど、命がけじゃなかったよ。あと、土葬でもないよ。

・そういった「素」でスゴイところに目がいきがちですが、伊藤家の普通にビンボーっぷりや、それらを実に冷静な視点で眺めていて記憶している伊藤氏の頭の良さ、それをマンガにできる能力がただただすばらしい。いぶし銀ですよ。

・あったことを「こうだった」と、マンガで表わす。これが実はとてつもなく難しいことだったりするんですね。だって、それはその人にとってだけ「こうだった」ってことなんですから。だから、前述した内田春菊氏のエッセイマンガなんかにゃあ、「なんじゃそりゃ?」ってのもあるんですよ。そう、あんまり巧くない人のエッセイマンガって「?」になることが多いです。たとえば、少女マンガのコミック描き下ろしの左端の余白になんか描いたりするじゃん? ああいうの、すげえ意味不明なのとかありますからね。そして、その才能といわゆるフィクションのマンガを描く才能ってのはあまりシンクロしてもいないのがおもしろかったりしますが、そこまでぐだぐだ掘り下げると、いつのなったら終るのかわからないので、ここまでということにして、要するに、「こうだった」を共感を得て、理解してもらえて、なおかつ笑えるところまで昇華できるのは、やはり神が与えたもうた天賦の才ってやつですよ。

・本作では父親が圧倒的にナイスキャラ。性の目覚めをオヤジのイラストで知るとかな。無類の土器好きとか。

「山の初恋」は、まさに先の読めないジェットコースターロマンスが繰り広げられます。これの話を読みながら「次はこうなる」って予測できる人はいないでしょう。5歳のリサちゃんと同じ顔になると思います。

・でもって、おれが感心した話は、「有線社会」ね。ギリギリわかりそうでわからない話。村に有線の電話機があって、いろいろとアナウンスしてくれるってものの話。これで1本ネタとして作ってるあたりの手際のよさやまとめの巧さに伊藤センセの熟練の技術を感じさせるわけです。さすがバツイチで一戸建て持ちだなと思いますよ。

・バッチリオススメ
(18:00:07)

「単車野郎」きらたかし(トランク出版)

・関西系のバイク雑誌「月刊ゲットバイク」に連載してる単車乗りのエッセイマンガ。1回2p。
・描いてるのは、「赤灯えれじい」を描いてるきらたかし氏ということでね。そうなってみると、なるほど「赤灯〜」でもバイク描写に命を削ってるよなあとは思う。

・オーソドックスに、著者のバイク遍歴を語ってますね。
・バイク歴ってのは、同時に、コケ歴であることもわかりますね。同じ乗り物エッセイコミックでもある「ガタピシ車でいこう」にも通じる、ガタピシ歴でもあるしね。

・特筆すべきは、月刊ペースで月2pで描いてて、75話収録ってことは、6年以上描いてるのに、絵がブレてないことですかね。最初からかなり完成されている。しかも、全体的なトーンもブレてない。いろいろな意味で完成されてるね。

・そいでもって、これを読んでるとバイクに乗りたくなるかというとまったくならないんですが、バイク乗り、とくに筆者はオフロード野郎みたくて、その手のレースや、山道ドライブが多い分、余計にコケてるんだけど、それでも乗りたくなるんだろうなあって魅力はわかりますね。

・おもしろかったです。
・本書は、トランク出版で通販で買います。「「単車野郎」単行本 通信販売コーナー!
(18:36:09)

「ガタピシ車でいこう!!迷走編」3巻 山本マサユキ(講談社)

・ボロ車バンザイ!半エッセイマンガ。たぶん、いろいろと創作が盛り込まれてると思うのですよ。個々のエピソードはリアルなものが多いとおもいますが、金持ちの家のガレージに閉じ込められる話とかウソくさいもんね。かと思うと、中のみえるガラス張りのトラックにパンダイルカがあったから追いかけていったら黒と白のゴミ袋だったってのが、本当にあった話だったりして油断がなりません。

・また、本編以外に「ベストカー」で連載してる「日本裏名車道」や「日経クリック」連載の「バラさずにいられない」も収録しており、例によって読みきりもあるし、初回限定版でステッカー、カバーの裏にリバーシブルカバー。めくったあとの表紙にもマンガ。というゴテゴテした作りになってます。内容をよくあらわしてますよホント。

・いまや、おのおのの連載も限りなくボーダーになっていき、ものすげえPCシステムが搭載されてるアキバ仕様の電脳カー(ワンボックスなのに荷物が全く積めない)とか、ウニモグとジムニーのレースとか、いろいろなものが混ざって、ほとんど「月刊山本マサユキ」ってな個人雑誌なものになってますね。このシリーズ=山本マサユキの生き様といったカタチで。
・そういった点では、桜玉吉氏のエッセイマンガと通じるところがあります。お互いのさらけ出しっぷりに実はあまり大差ないんですよね。
・マジメな青臭いフィクション読みきりもありますしね。

・今回はテンコ盛り度がちょっとだけ低いような。なんか、整っていないような。
(18:59:14)

2004年/9月/19日
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「ニニンがシノブ伝」3巻 古賀亮一(メディアワークス)

・さ、待望の忍者学園ギャグも3巻目ですね。
・アニメ化になりましたね。もう大ブレイクですよ。実は拝見させてもらいましたよ。アニメはおもしろくないですね。なんだか違和感あったですよ。そして、それこそが実は、本作の魅力ではないかと推測してみるテスト(古いね、この表現)。

・マンガとは絵にふきだしがありセリフが書いてあるわけで動かないものですよ。絵ですからね。
・ところが、場合によっちゃあものすごい動いて見えたり、ものすごい喋っていたり、歌が聞こえたりするんですよ。これこそがマンガの魅力ですよね。「まんが道」で手塚治虫の「新宝島」の疾走感にKOされた満賀と才野の時代から綿々と続いてるところですよ。みんなの心の中には、アニメ化や映画化する前から、動きまくってるんですよ。

・でも、本作は、それをもう2まわりくらいまわって、動いてないんですよね。

・3巻では、これまでとちがい、かなりロケーションやら設定やらも変化をつけてがんばってますが、基本的に、音速丸とサスケらがグダグダとやりとりしてるのがステキなマンガにはちがいがないので、シノブが幼女になろうが、台風で大騒ぎだろうが、ろ組が初登場しようが、わりに些細なことだと思うのですよ。
・動きを感じられないというのじゃなくて、積極的に感じる必要がないというか。

・おおまかにわけてギャグマンガ(マンガに限りませんが)のギャグは2種類ありますよ。「絵」で笑わせるか「言葉」で笑わせるか。本作は圧倒的に「言葉」ですよね。まあ、「絵」の筆頭は現在だと「元祖浦安鉄筋家族/浜岡賢次」になりますかね。古賀氏の絵は「ユカイ」というより、「シノブのおっぱいやわらかそう」って感じを強く受けます。
・で、こう書くと、動いてもないし、ユカイじゃないし、エロい絵なのか?ってことになりますよ。全然ちがうんですよ。でも、そうなんですよ。

・つまり、絵と話のつながり具合が絶妙ということでね。いい言葉ですよ「絶妙」。まさに絶で妙。合ってるようで合ってない。合ってないようでベストマッチ。

・それら全部ひっくるめて、「ニニンがシノブ伝はいいなあ」ということにつながるわけですよ。そして、アニメだとノリがちょっとちがうなあということになるのです。

・で、マンガとしてみると3巻は前述したとおり、話や絵に冒険が見受けられましたね。それは正解のところもあるし、無駄にコリすぎと思えるところもありますが、古賀氏はそのセンスでオンリーワンな方なので大丈夫です。

・冒険成功は、「お茶くみ人形、激走するの巻」ですかね。ハイテンポな動きでみせるギャグは新機軸ですよ。
・で、冒険失敗は、「図書館、お静かに願いまするの巻」ですか。時間軸を前後するのが目立ちましたが、無駄に複雑になると思いますよ。この回はまったく無駄な気がしましたし。

・でも、おおむね、幸せな世界はますます健在ですね。おれも「い組」の忍者の一員として、端っこのほうにいたいですよ。

・ちなみにアニメは声があってないような気がしました。シノブと音速丸がとくに。
(16:35:14)

「ゴムテ 犬」中川いさみ(小学館)

・小学館はよくこういうことをするよなあ。「じみへん 生しぼり」とかな。
・ちなみに「犬」と「人」が同時発売で、奥付を見る限りは「犬」のほうが2巻です。

「スペリオール」で連載されていた4コママンガですよ。その中のキャラである、ゴムテさんに飼われてる飼い犬のケビンを中心に構成されたのが「犬」巻です。
・これは大胆な手法かと思われますが、執筆当初はそういうことを想定して描いてるワケでもないので、結局、「人」も読まないとワケがわからんところもあります。

・しかし、ケビンがとてもカワイイです。出世作の「クマのプー太郎」のころから、人化してる動物描写はかなり上手です。かなりペシミストで、すぐに包丁を振り回すケビンです。でもカワイイです。

・そういった風で犬から動物ネタをいろいろと収録。「犬」でおかしかったのは、満員電車で電車がゆれて、ついつかんだ、ポニーテールの女子高生の「しっぽ」がブチっと取れて、切り口が「シャー」とばかりに牙をむいておそいかかるやつですね。ただ、文章で説明するとなにがおかしいのかさっぱりわからないですよ。
(16:46:47)


「ゴムテ 人」中川いさみ(小学館)

・こっちは「人」です。これが3巻目です。もしかして最終巻ですかね。中川いさみ氏のマンガはいい意味でどれもいっしょなので、あまり関係ないですね。すでに「ニュースの牛」というのが連載してるようですし。

・人ってくくりもなんだかなと思いますが、つまり、「ゴムテ」からケビンネタを抜いたのが本書ということになるんでしょうかね。
・で、ゴムテさんの部下である、独身の並木がかなりフィーチャーされてますね。だから、「スピリッツ」で連載されていた本格大河サラリーマン4コマであった「大人袋」的な味わいの「人」巻ですか。

・取調べ中のロボコップが腹部のオーブントースターでエビドリアを作って、取調べしながら、犯人とハフハフつつきあうシーンがすばらしかったですね。ここいらのぶっとび具合と、絵のかわいさが、中川センセの人気の秘密でしょうか。

「中川いさみがいっぱいある」と女子高生が「ヴィレッジバンガード」で狂喜乱舞してましたからねえ。「へえ」と思ったモンですよ。あれでもうちょっとアレだったら声もかけていたかもしれません。

・あと、どうもページ数のからみだったのか、SARSがものすごい流行していたとき、ケビンがハクビシンに間違えられるなんて、中川マンガでは珍しい時事ネタがありましたね。
・ケビンが大半のマンガということですかね。
・でも、久しぶりに中川いさみおもしろいなあと思いました。
(16:55:08)

「銀魂」2巻 空知英秋(集英社)

・ありま、おどろき売れてるみたいですね。累計100万部突破ですよ。なにがそんなにティーンのココロをとらえたのだろう?

・おれは否定的な「なんでもあり」な世界設定ってのが、実は、ティーンには「まるで普通」のことなのかもしれませんね。なんたってあいつら、生まれる前にドラクエがあったんですからね。うわ!気持ち悪!

・江戸幕末風味のどこかよくわからんエイリアンなんかが跳梁跋扈するような、宇宙関係もまざった、新撰組なんかも活躍するような世界で、探偵稼業をやってる3人組の活躍を描いたギャグマンガです。

・そういや、まさにおれの世代がド真ん中ですが、当初ギャグとしてはじまって後ほどにシリアスなドラマになったのでいうと「キン肉マン」なんかをホーフツとさせるようなシリアスなところもありますね。

・でもって、この世界観ナンデモアリな基礎は「ドラゴンボール」かと思われるんですよ。これも当初、ギャグマンガでしたからねえ。

・まあ、その分析がなんの役に立つのかわかりません。本作もそういった中にあるマンガだよなあと。別に江戸時代を舞台にしても現代世界を舞台にしても普通に成立しそうですが、なぜか、そういう設定にしてるんだよなあと思います。同様のことは、「ONE PEACE」でも「HUNTERxHUNTER」でも感じます。でも、本作でより強く感じるのは、「世界」描写がこなれてないからだと思います。漢字2文字で表現すると「未熟」。

・ただ、「未熟」なのは、全体的な意味での描写が弱いだけで、作者自身の頭の中には、強固な世界があるってことは、2巻巻末に収録された読みきりでも伺えるし、100万部売れたってことはそれを支持する人も多いんですね。

・で、おれが2巻を買ったワケはというと、やはり、やりとりの巧さですかね。会話シーンに魅力が大きいですね。あと、ヒロインの神楽がいいですね。
(17:41:26)

「銀魂」3巻 空知英秋(集英社)

・で、おれが3巻を買ったワケはというと、ヒロインの神楽がいいからですね。あと、2巻の最後はヒキになっていたので、買わないとしょうがないじゃないですか。

・ちなみに、仲間を助けるところでストレートに主人公にああいうセリフ(仲間がどうたらこうたら)を吐かせるあたり、おれとは別の感性の人だよなあと思ったりする。


「ジャンプ史上初! ヒロインがゲロを吐いた漫画だァァァ!!」

・んー、オビの狙いすぎてるけど、あるスジの人は大喜びしそうなコピーなんですが、この場面がわかりませんでした。

・もういいかなあ。
(17:56:31)

2004年/9月/16日
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「まるっと 病院パラダイス!」安斎かなえ(竹書房)

・考えてみれば、田島みるく氏の「本当にあった愉快な話」ってのはかなり画期的な漫画でして、4コマで投稿ネタをやるという変則的なスタイルでありながらも、それで1ジャンル築き上げているんですよね。一瞬のうちに後追いが充実したのでそう目立たなかったんですが。
・その元祖である、「本当にあった愉快な話」人気に便乗した読者投稿専門エッセイコミックという特殊な連載連載作品が本作です。

・ものすごい余談ですけど、この投稿系エッセイコミックってなにげにエロマンガ家の人が描いてますよね。ひろせみほ氏とか、浅井裕氏とか。

・話戻して本作は、タイトルでも「まるっと」(これはTRICKのマネなの?)おわかりでしょうが、病院モノです。作者も元ナースだそうでね。

・本当にあったこんな病院、患者、ナース、心霊現象などなど。
・読者投稿専門〜の雑誌の最大の特徴として、その購買層ですよ。ほぼ9割が女性でしょうし、当然、投稿するのもそう。よって、産婦人科ネタが異様に多い。胎盤が出ないからって、手を入れてかきだす話を「恐怖」として描かれてますよ。おれは生物学上出産できないのでその痛さとかわからんですが、女体の神秘をあまりエロくない意味で感じまくりますね。
・出産して難産で退院して、ガキ(かなり以前に出産した)にドーンと飛び乗られたショックで痛みが走り、トイレにいくと、5cm幅の得たいのしれないものが出てきたそうですよ。まあ、胎盤の残りだったそうですが。そういうのな。うわあと思います。

・あと、まあ、本書でこんな感想を読むことができるのはポトチャリポラパだけだと思いますが、ムカデにお尻を刺されて、とりあえず、獣医に診てもらったときのお尻描写がやわらかそうでエッチでしたね。本人たちは必死なんでしょうが、出産するときに看護婦さんが妊婦のおなかの上にまたがってヨイショヨイショと押すシーンとか考えようによっちゃイヤラシイかも。

・やわらかそうでいうと、本書はそういったことで、「シモ」の症状が異様に充実してるマンガなんですが、表紙絵がとてもかわいいので、上のガキ(9歳)も下のガキ(6歳)も興味シンシンでみてました。性教育として役に立ったのかしら?

・まあ、出産はドラマですね。人の数ほどいろいろありそうですね。それをいうなら、病院や病気もドラマですね。だから、本書が成立するんですね。
・1巻完結だし(一応ね。こういうので2巻が出るのはよくあることですが)、女性にも男性にも勉強になると思いますし、オススメ
(19:30:42)

「あっきうのどこまで呑むの?」あっきう(ぶんか社)

・しみじみ思うよ。西原理恵子氏はマンガ史に残る人であり、かつ、けっこう汚点かもって。
・もう、彼女のスタイルは世の中のマンガ家の垂涎なのかしらね。とくに女性にとっては読者も描き手もとても魅力的なのかもしれないなあ。

・ま、その手のやつ。

・あっきうって4コママンガ家(よくわからん。読んだことはあると思うけど)がダバダバと呑んで呑んで呑み倒すエッセイマンガです。交友も広く、そのエピソードもハチャメチャでね。だから、西原氏のチャランポラン系のマンガが好きな人にはとても楽しいんじゃないかな。

・ただ、その盛り上げの「楽しく楽しく」みたいな演出がもうひとつ稚拙かな。ときおり、「おっ」ってのがあるんだけどね。おれが1番「おっ」と思ったのは、カバー裏の酔いつぶれたあっきう氏がビールの空き瓶に囲まれてケツを半分出して寝てる絵かな。

・で、朝から晩までビールを飲み倒してたのですが、後半はそれじゃあアレってことで、いろいろなイベントに行ったりしてますよ。スキーやら競艇やらサバゲやら。

・お友達のあかほりさとる氏によると、美人で巨乳だそうです。ネットでお顔を拝見しました。ああ、あかほりあかほりと。これからもあかほり原作におれが触れる機会はないんだろうなあとちょっと思った。

・おれは呑まない人なので、酔っぱらいの気持ちが理解できないところがあります。
・マンガとしては稚拙ですが、飲兵衛には「ビビビ」とくるものがあるような気がしないでもないですよ。おれは呑むという行為も呑んで大暴れしてケラケラ笑ってるって人も、とても不愉快に映るので仕方ないですね。そういうことをいうとなんで本書を買ったのだ?ってことになりますね。答えは思い出せません。

・ああ、くらたま(西原フォロワーでもっとも成功した方)を伊藤理佐氏が「マンガはつまらないが本人がおもしろい」と評したように、マンガより本人のおもしろさがクローズアップされてそうですよね。残念ながらそれをはじめてのあっきう読者であるおれが共有できなかった。残念。

・まあ、それはそれとして。これからもがんばって呑んでください。

・しかし、呑みジマンをする系の女性はなぜにああなんだろうね?この「ああ」はいろいろとあるので省略させていただきますが。

・あと、そうだ。どうしても書いておきたいことは、コミックオマケとして仲のいい人にコメントをいただいているのですが、その中に、アリtoキリギリスの石井(小さい方)がコメントを書いておられます。これがちょっと他に類をみないほどのつまんなさです。イヤな言い方ですが、本書がおもしろく感じるくらいの苦さがあります。おめえそれでも商売として人を笑わせる人か? 石井氏は役者としての活路をちゃんと作った方がいいなあと思いました。
(19:53:44)

「恐怖体験-霊能者は語る-」流水凛子(あおば出版)

・女性のエッセイコミックというと、霊モノも定番ですよね。これまた、雑誌やコミックのオマケあつかいでいろいろな人が描いてる気がしますね。でもって、こういうのをかなりがんばってらっしゃる方もいるしね。

・流水りんこ(ながみって読むのね)名義で「インド夫婦茶碗」で有名な方ですよね。これ、巻末の初出とかを読むと1995年とかでかなり古い。おれはこの作者の作品は知らないです。みょうにこなれた感じの舞台慣れしたおもしろくないベテラン芸人的なニオイを感じたからかな。

・これはかなり偏見ですが、女性のギャグマンガ家で、おれがもろ手を挙げてファン!って人があまりいないのは、これが大きいです。

・かなりそれをデフォルメにした決定版ってのが、アメリカで成功したコメディアンのTAMAYOね。おれは、女性のマンガ家の、とくにエッセイコミックに、このTAMAYO臭を感じるとダメ〜ってなるタイプ。TAMAYOってもわからんか? えーと、はじめて入ったスナックや喫茶店なのに、そこの名物ママがいきなり、おれのプライベートゾーンに土足で踏みにじってくるっていうかね。そんななれなれしくも寒い感じ?

・だから、本書を買ったのは、これまでのお笑いエッセイコミックってのとかなり毛色がちがう感じってのと、本書、「あおばエッセイコミック第1弾」ってことでね。やっぱ、「エッセイコミック」ってカンムリがつくくらい、エッセイコミックとは女性のものなのだなあという気がして興味を持ったから。

・内容はなんだろう? この手の恐怖エッセイマンガってのは、本当にあったことなので(少なくとも作者や作者に話をしてくれた方には)、「こういうことがあったよ」と提示してあることに、「うわ、本当にあったことやて。こっわ〜」って感じになるのがパターンですよね。本作もそれ。
・だから、「こういうこと」=「恐怖体験」が、スジが通ってなくても、怖さが足りなくても、それは本当にあったことだから仕方がないんですよね。そう考えるとオビのコピーは絶妙です。これを考えた人は天才ですよね。

「事実は小説より奇なり」

・この「奇」ですよ。奇怪、奇妙、奇天烈、これらは話自体にもかかってますが、話の構造にもかかってるワケですよ。

・恐怖マンガは1にも2にも読むときの年齢ですよね。これを小学生で読むとかなりアレでしょうね。そういう視点を思い出すと、本作は、どの話も「逃げ場所」や、うまい着地点が用意されてるし、安易にショックシーンに向かわないし。

・本作のポイントは、「インド夫婦茶碗」の作者だけあって、インド人(正確にはチベット人)の恐怖体験があるところかな。あと、シリーズ通して登場する霊能力者がいいですね。

・丁寧でよくできてると思います。いい仕事をしてるなと。だけど、流水氏の他作品は読みたいとは思わないかなと。
(22:13:33)

2004年/9月/14日
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「シガテラ」3巻 古谷実(講談社)

・オビ「ついに残忍な毒の扉が開く!」なんてことが書いてありますが、おれとしては、知ってるやつが死にかけてるということと、同レベルで、自分の童貞喪失のことを気にかけてるのがおかしくもあり、実際そうなんだろうなと思ったりするリアルさがあったり。
・そうなんだよな、このマンガ、妙に現実離れしてる設定の上にリアルで展開してるみたいな気持ちの悪さがある。

・自分をいじめていた男がラチられて死にかけてる。今までまったく女性に縁がなかった主人公がものすごいかわいいコと相思相愛で、セックス目的でラブホテルに入ったりする。そのどっちも普通はないね。おれは17歳にはなかったね。でも、あったらこうなるかなというのはあるかも。

・そういう感覚が古谷氏の最大の魅力だよな。どうして、中高生男子の気持ちをそのまんま持ってるのだろう?と思ったり。

・そいでもって、一応、「稲中」から追いかけ続けておりますが(個人的ベストは「グリーンヒル」)、段々エロになっていきますよね。次回作は、遊人なみのエロエロになるんじゃないか?(当然、それはないと思って書いてますよ念のため)
(21:49:44)

「武装錬金」4巻 和月伸宏(集英社)

・いやあ、ギャグのキレが一段とよくなりました。もうすっかり笑うためのマンガですね。
・だから、いつでもどこでもギャグを忘れないでね。いや、ストーリーは正直よくわからなくなってきてます。大筋はわかるんですけど、細かいところは、「説明!」って感じで、あまり巧くない説明をされてるので頭に入らないんですよ。まあ、それは本作に限ったことじゃないですし、おれのアルツハイマーが進んでるだけですので気になさらないでもいいんでしょうが、そういうのが増えると、アルツハイマーなりにおもしろくねえなあと思います。そのヤバイ感じがみえかくれしはじめた。

・まあ、ギャグがいいですよ。銭湯のシーンでは普通に笑ってしまいました。おれは一回でも声を出して笑った作家には愚直ともいえるくらい尽くすタチですよ。女性だったらさぞ一途でしたよ。男子だから気持ち悪いストーカーとしてジメっと追いかけていこうかと。

・だから、ものすごいストレートな望みとしては「もっと笑わせて」って。
(22:10:29)

「チキンデイズ」1巻 吉野ケイイチ(少年画報社)

・古本屋で立ち読みしたんですね。そこで買うほどじゃないなと思ったけど、あとでどんどん気になって、普通の書店で買いました。

・ものすごいシンプルなラブコメです。酒屋の高校生が向かいに越してきたお好み焼き屋の娘にホレる。同級生ね。で、この娘がとんだトラブルメーカーで問題ばかり起こすと。

・というか、その手の設定はそこそこで本当にノーギミックなラブコメです。なんたって、ヒロインの名前が小松タネ子(困ったね子)ですぜ? シャレかよ。

・ときおり、少年誌でもユルイくらいのエッチシーンもはさみつつも、基本的にはラブコメで展開です。作画はもうひとつ安定してません。毎コマ、タネ子ちゃんの顔がちがうし、ストーリーもノーギミックだけど、ときおりギクシャクしてたりするし、ムリ目だったりする。

・でも、読後はさわやかで、とても心地がいい。7割の力で鮮やかに歌いこなすベテランの、真逆のベクトルです。毎回完全燃焼な感じでね。

・ということで、買ってよかったなあと思います。楽しかったです。このほどよい甘酸っぱさとヌルさが最近おれはとてもいい感じです。
(23:12:34)

2004年/9月/10日
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「ナツノクモ」2巻 篠房六郎(小学館)

・読めばおもしろいんだけど、読み出すまで、読み進むまで、読み終えるまでに時間がかかるものがある。小説でも雑誌でもマンガでもある。まあ、本作がおれにとってそうだってことなんだけどね。
・おれの場合、最近は小説とか読まないです。読む時間がないから。だから、マンガがおもに物語に触れるモノになるんだけど、読み出すのが億劫になるものがあります。考えてみれば、前作、「空談師」もバリバリそういったタグイのマンガでした。

・1巻のエピソードから、やっと本編にいってる感じであるんですね。ネット世界での「ゲーム」を描いてるマンガ。すでに、現実もゲームも追いつけないところに立ってます。ここに人類がたどり着くまでおれは生きてないと思う。それくらいにシステムが洗練され人間関係がからみあってる世界ですね。一応現在と地続きになってますが、かなりスパンがあるんじゃないかな。

・そういった意味じゃ、究極のプレイ日記になるのが本編ですね。エンジン男だっけか? それを主人公として、愛憎渦巻き、しかも、オフとオンと2種類(基本的にオフは描いてません)の事情があるという複雑な構造になってます。

・だから、読むぞ!って気合が必要。また、「アンチ・ベタ」な作者なので、無用の説明を避けようとしてるフシがありますから、行間や、事情を読み取ってあげないといけない。こういうの突然「うぜえ」と思ったりするのがボクですので、余計に読み始めるのがメンドーだったりします。

・でも、本書のように読むととてもおもしろいものもあるので、食わず嫌いで「ワケわかんね」で切り捨てることはしないのです。

・2巻で大活躍した「3悪」がサイコーにいいですね。ただ、こいつらのせいでちっとも話が進みやしねえ。

・あと、もっとすちゃらかなギャグマンガが読みきりとかでもいいいから読みたいです。「禁ネット」のシバリつきで。
(15:15:57)

「DEATH NOTE」3巻 大場つぐみ&小畑健(集英社)

・売れてるのか? おれはかなり置いていかれそうだな。
・名前を書くと、その人が死ぬというデスノート。それを巡り、丁々発止のやりとりだけど、これ、気が狂いそうなほどルールが細かい。でもって、ノートを拾った秀才大学生に焦点を合わせて、彼を追いつめようとしてる刑事との心理戦が繰り広げられる。

・でもって、もう1人、ノートを拾う。 これで、おれは急速に興味がなくなってきたな。だって、「なんでもアリ」すぎるじゃん? 元々ルールも勝手に決められるって、つまり、昨今の流行りであるマンガ内、オリジナルカードゲームなどの独自ルールに沿って動いてるのと同じです。ああ、どっちかというと、「カイジ/福本伸行」のほうが近いかな。オリジナルギャンブルね。

・で、緻密「っぽく」動いてるんですが、「なんでもアリ」なんで、そう緻密でもないんですよね。原作者のサジ加減ひとつですよ。「実はこんな設定があった!」みたいなことをどれだけでもつけくわえられますからね。
・それでも、これまではストイックにいってましたよ。それが、もう1人のノートの持ち主ときたもんだ。

・そんなマンガで楽しみは小畑センセの絵ですよね。なにげに「いい顔」のオッサンコレクションなマンガになってます。キラのお父さんがダンディだとか、フケ専にはたまらないでしょう。おれは「さくらテレビ」のディレクターかプロデューサーがステキだなあと思いましたよ。
(15:29:11)

「ジオブリーダーズ」10巻 伊藤明弘(少年画報社)

・8巻9巻と、ちょいと番外編みたいな感じだったので、すげええ久しぶりって感じです。

・しかも、10巻、はじまって早々にシビアに展開してますよ。だって、主要人物が「撃たれて」ますからね。タバくんのことですが。

・で、こんな書き方はどうかと思いますが、ますます作者巧くなったね。実は、おれ、ジオブリーダーズ本編のストーリーはわりに置いていかれがちなのです。ほとんど、アクションの妙とか、スチャラカの楽しさ、姫荻さんのオッパイなどに惹かれて読んでいたワケですよ。

・だけど、今回、本編がとてもおもしろい。ストーリーのからみ、アクション、各キャラの動きなど、「なつかしい」ってのももしかしたらあるかもしれないけど、たぶん、純粋におもしろいんだと思う。いや、これまでがつまらないってわけじゃないんですよ。でも、とても楽しかった。まあ、読んだ時の体調や気分にもよりますけど、「ちゃんとしたアクション」を読みたかったからかな。

・11巻楽しみ。そろそろいい感じで大詰めだし。
(15:37:50)

「女神の赤い舌」4巻 ウヒョ助(小学館)

・うわ。びっくりしました。4巻にして、「本編」としてのストーリーが語られはじめましたよ。しかも、かなりスケールがでかい。んー、世界規模ですよね。

・もともとは、半年だけ同棲した謎の少女がタイで新興宗教の教祖様をやってる?と思い、東京で大道芸人をしているテツオがタイに渡るという話ですよ。それがああた、チンギスハーンの復活まで話がふくらんでますよ。なにげにネタバラシしてますけどね。

・あくまでハイテンポで、アクションもストーリーも高密度でグイグイ進んでいますよ。二つの塔での戦いなんかは、4巻でも白眉のアクションでしたしね。

・おもしろいですよ。まだ追いつけますよ。
(15:50:23)

「極道一直線」2巻 三上龍哉(小学館)

・ヤクザの「クロマティ高校」です。うわ、端的な説明。
・基本的にスキンヘッドの組長がボケて組員がつっこむ感じかな。
・いつも思うけど、画力を1番ムダに使ってる最高峰の人だよなあ。精緻なようで、「クロ高」の人の絵は雑だからねえ。その点、こっちは真剣に精緻だからな。CG処理バリバリだしね。

・不思議なことに笑いの破壊力ってのは絵が精緻だと弱かったりするんですよね。作者はそれも把握してワザとずらしてるけど、それでもまだ精緻だったりするんだよねえ。マジメな方だと思うですよ。

・なんか、もうひとつなんですよね。ギャグの方向性も、間とかも悪くないんだけど、爆笑にはむすびつかない、ムズムズしたじれったさがある。

・なんだろう?ここいらは天性のものかもしれないですねえ。

・ただ、これはおれの感じですから。おれはほかに好きだけど爆笑できないってことで、喜国雅彦氏もいます。そう書くと似たところあるなあ。ともに小学館ってのも似てるし。おれは小学館のギャグにはほとんど影響を受けなかったもんなあ。田村信氏くらい? あと吉田戦車&中川いさみってあたりかな。

・でも好きなんですよ、本作。この微妙な気持ちをわかってくださいよ。まあ、ゲラゲラ笑えるギャグマンガばかりがエライということでもないんでね。ゲラゲラは飽きると再読するのがキツくなるからね。
(16:49:20)

「ナッちゃん」13巻 たなかじゅん(集英社)

・ナニワを舞台に女だてらに鉄工所を切り盛りするナッちゃんの活躍を描いた1話完結読みきりマンガも13巻目だっせ。

・カバーみかえしコメントにもあるように、13巻でもニューキャラが登場し、どんどん女性キャラが増えてきてますが、13巻のは失敗でしたね。メガネっコなんですが、キャラが立ってない。萌えがないのはまあほかのもそうだからしょうがないにせよ、もうひとつおもしろみのないキャラなんですよね。ナッちゃんの働きっぷりに感銘を受けて、給料なしでもいいから、ナッちゃんのソバに居させてくれっての。経理畑にいたから、帳簿なんかはバッチリだし、料理も得意。
・もう1味か2味、なにかほしかったところだよなあ。なんか物足りない。

・でもって、女性もいいかげん増やしすぎでけっこう回すのがキツくなってきましたね。最後の時代劇編はよかったですよ。チカちゃんがメガネつけてませんでしたけど、あの時代、メガネあったんじゃないかい?

・ん、でも、ほかはいいです。高田さん(新加入のメガネっコ)はもうちょっといろいろと付加して使えるキャラにしてあげてほしいです。
(17:02:58)

「なななな」3巻 原田将太郎(メディアワークス)

・世界で1番設定が関係ないマンガですかね。警察マンガなんですよ。で、女性キャラの多くがレギオンってロボットなのかな。
・は!それだけか。知っておく設定って。
・と、思っていたら、3巻ではちょっと話が動きましたね。どうして、この手の萌えてりゃオーライなマンガの多くはストーリー展開しようと考えるのだろう?

・ふーむ。読んでる間は楽しいからいいか。

・あと、最近のパターンとして、主人公の男は、シャイなアンチクショウで、あと全員女ってのが多いです。そんな中、本作は3巻でスケベな男を投入しましたね。そいつがあちこちでセクハラ。これが久しぶりな感じで新鮮。

・ただ、個人的に、萌えが薄いですね。なんていうかな、警察なら、もっとその設定を活かせよ!と。
(17:30:01)

「すぱすぱ」3巻 三宅大志(角川書店)

・あー、冷静に考えると、本作も「なななな」と同様、あまり設定とか関係ないですね。まあ、基本的に萌えマンガはイメクラの設定程度の設定でいいんですかね? いいんですよね。
・ところが、作者はそう考えてなかったりするのが不思議なところですよね。本作は5巻で完結する予定だそうですよ。んんん?って気もしますよ。終るのを予定して描くようなマンガか?って。

・それはそれとして「なななな」より萌えますねえ。

・今回は普段はロリなんだけど、キスすると、ボインボインになる許婚と同棲していて、同級生のドジっ娘がいて、妹がいて、メイドやらゴスロリのコスプレサービスや、おなじみの日本最高の文化である混浴があり(おれ、脱衣場が別で、中の風呂はつながってる露天風呂って、萌えマンガでしかみたことがないぞ)と、萌えのバーサク状態ですよ。「ふわわわわわー」ですよ。こんなのリアルでいう女は相当美人じゃないと正拳突きですよね。こういうところにマンガのワンダーを感じますよ。2Dでだけ存在するキュートですよね。

・いや、だからこそ、中途半端なストーリー指向はちょっとシラけるんですよね。それが著しく悪いとはいわないけど、なんていうかな、オスカー女優を目指すために、AV女優が奮起するようなもんでね。ボイストレーニングをしたから良く通るあえぎ声ですよ!っていわれても、「そうですか」ってしかいえないし、そもそもAV女優の演技派ってのはシラけたりね。つまり、萌えマンガのストーリー指向ってそういうことなんじゃないかと。まあ、それで成功した人も多いですよ。でも、たいていの人は、「なかったこと」にしてますよ。みやすのんきとかみやすのんきとかみやすのんきとか。

・5巻で終るのはいいけど、中途半端に「ストーリー」にしないでほしいなあと思いました。
(18:28:36)

「彼岸島」8巻 松本光司(講談社)

・ありまー。まだまだ続くのね。
・でも、これまでは否定的だったけど、8巻で、「これはこれでいいかな」って意見に転向しました。理由はカンタンで「おもしろいから」です。

・本書は、横溝正史+バイオハザード+ヴァンパイア+インベーダーなどの様々な要素をもってましたが、ここに「RPG」が加わったんですね。主人公はなんと吸血鬼退治のために修業をしてますからね。しかも、本作の中盤くらいで「8ヵ月後」ですよ。8ヶ月間主人公は修業して、別人のように強くなってますよ。ジョブチェンジですよ。おどおど主人公から、強いヒーローになりましたよ。しかも、その「8ヵ月後」の処理に久しぶりの手法をみましたよ。石ノ森章太郎先生の「漫画入門」に描いてあるやつですよ。

・んー、で、どうなるんだろう? 9巻以降が読めないな。どうなってもいい感じになってるからな。案外と9巻で終ったりってことも考えられそうですけど、次巻予告では最終巻となかったからしばらくは続くんだな。
(18:57:57)

「骨董屋とうへんボク」1巻 赤石勝市&柳葉あきら(集出版社)

・骨とう品専門誌「集」に連載されてるマンガですよ。知らないですわなあそりゃ。しかも、いわゆるコンビニにたくさんおいてあるワラ半紙の安い紙質のものです。値段もその分343円+税ということになってますが。

・で、集出版社のサイトに1話、2話載ってますが、1話はまるごとオールカラーだったのですね。これは「集」か、このサイトでしか読めません。本作ではモノクロ収録です。でも、かなり手を加えて、カラーをそのままモノクロに印刷して読みづらくて汚いってことはありません。

・そうなんですよ、まず、かなり精緻なんですね。絵が達者ですよ。誰に似てるんだろう? 漫画ゴラクとか、そういった大人の劇画雑誌でみられる感じだけど、その中にあってもかなり上位レベルですよ。と、今、調べたら、作画の柳葉あきら氏はマガジンで「銀の鼓動」ってマンガを描いていた人みたいね。

・で、まあ、骨董の世界での「ギャラリーフェイク」みたいな話だと思っていただければ、まあ、ノリはお分かりいただけるかな。

・これが、かなりエグくて特殊な世界なんですね。骨董の世界って。
・基本はリストラされたサラリーマンが師匠といっしょに骨董の世界にはいっていくという定番の展開ですが、骨董の世界が全てですから、そういう定番のほうが安心して読むことができる。たとえば、はじめて、骨董市で、同業者たちとセリをしてるけど、声がでないとかね。
・たとえば、「ハマリ」という言葉。商品価値がないものを売りつけるってことです。たとえば、映らないテレビ。エンジンがかかるけど、耕すためのクワやスキのない耕運機など。同業者同士で騙し合うんだもんなあ、客なんざカモ以外のなにものでもないんですよね。

・ということで、ストーリーの展開こそは定番ですが、ストーリー自体、あと、作画自体もややクセがある感じで、全体的に「珍味感」が漂ってます。燻製みたいというか。

・ちょっと病みつきになる人がいるかも。安いことだしお試しアレ。
(19:46:26)

2004年/9月/9日
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「オリオン街」1巻 山本ルンルン(JIVE)

・アニメ化され、あの、かるま龍狼大先生にも注目されておられる(現在、氏のサイトのトップ絵)「マシュマロ通信」以前に描かれたものみたいです。
・おれはアニメのほうは未見ですし、当然、本書や「マシュマロ〜」が連載されている「朝日小学生新聞」とか読んでません。

・だから、謎なのですが、これ、1話が異様に長いですね。「マシュマロ〜」も長いと思っていましたが、本作はそれ以上に1話が長い。そして、「マシュマロ〜」は長くてダレるなあと思ったけど、本書は感じなかったなあ。これはどういうことなんだろう?

・マシュマロ通信と同じの、バタ臭い、無国籍な感じの町(ただ、登場人物の中身はまるっきりの日本人ってのはマシュマロと同様)で、幼馴染のスモモとみどりの2人の小学生少女のお話ですよ。

・最初の話がすごかったですね。いろいろなトビラが開きましたよ。

・スモモとみどりは幼馴染だけど、いつまでもダサくておしゃれとかにあまり興味をしめさないみどりにスモモはちょっと嫌気がさしてきた。そいで、クラスのオシャレグループと仲良くなっていく。ある日、そのグループのリーダーが「今度の休みにみんなで遊園地に行こう」と。スモモはちょうど誕生日だし、非常に舞い上がるが、リーダーのいった「みんな」にスモモは入ってなかったんですね。

・なんていうかな、非常に日本の女子だよなあと思うのです。マシュマロ通信のどこかディフォルメされたキャラとちがって、非常に女子のメンタルだよなあ。作者はスモモのような小学生だったのかなあと思ったりね。

・そして、なんていうかな、この展開、自分も心の奥底に静めていたような記憶がブクブクと浮かび上がってくるような感じ。まさか、こんなポップでカワイイ、山本ルンルン氏の絵でトラウマを刺激させられるとは思いもよりませんでしたよ。
・おれもこういう1人で舞い上がって踊った経験はありますね。

・しかも、マシュマロ〜にも共通するところですが、悪人がいないんですよね。上記のオシャレグループの子たちもいい子なんだよ。それが余計にトラウマを刺激するんだよ。だって、そこに憎しみがあるなら、まだ1人で踊ってないからな。

・で、ほかの話もいろいろな刺激があるんじゃないかな。とくに昔小学生女子だったことのあるヒトは。

・んー? となると謎ですよ。マシュマロ〜以前に描かれてるのに、長くておもしろいんだよな。構成とかもカッチリしてるし、伏線の張り方なんかもミゴト。ま、「マシュマロ〜」とちがった味付けなんだけどさ。たぶん、マシュマロ〜での意図的なイメチェンがまだ馴染んでなかったのではないかと推測してみますよ。

オススメ
(19:31:47)

「マシュマロ通信」3巻 山本ルンルン(JIVE)

・なんか、最近は毎月、山本ルンルン関係の書籍を買ってるボクです。ていうか、毎月出てるし。今月も出るし。

・2巻までは、ページが長くて構成がダレてると書きましたが、どんどんよくなるホッケの太鼓的に、中身がこなれてきてますし、主人公であり、マスコット的存在である、クラウドをうまくからめてくるようになった、2巻の終わりのライムの話あたりから非常にいい感じ。
・で、3巻までで、各キャラの紹介編が終ったという感じですかね。

・これから、どういう展開が待っているのかわかりませんが、各登場人物に焦点をあててその問題をクリアしていく。学園ドラマのみならず連続ドラマで集団劇の場合の常套手段ですね。これを続けておられますね。3巻では、クローブという音楽オタクがプロデューサーをする話から、サンディの双子の弟編まで。

・まあ、ともかく、声を大にしていいたいのは、クラウドがカワイイことですね。おれの中のサンリオピューロランドが、クラウドが登場するたびにパレード開催ですよ。ちなみにおれの中にディズニーランドはいないんですよ。

・チョコとミントとドロ遊びをしてるクラウド。ジャスミンとタップダンスの練習をするも、いざ本番で、ビビってしまうクラウド。雨降りの中、雨ガッパを着て、サンディを迎えにいくクラウド。そして、最後のチョコとミントの話では全編登場で狂喜乱舞ってやつですよ。

・カワイイよなあクラウド。萌えるよなあ。
(20:12:13)

「オレンジでりばりぃ」1巻 ボヘミアンK&宗我部としのり(JIVE)

・おれとしては、「マシュマロ通信」が発売されている出版社という理由で、本書を買いました。考えてみればものすごい理由ですね。
「コミックラッシュ」という少年誌が発刊されてるそうで、その連載作品みたいです。

・これが非常におもしろかった。2学期はじまって最初のおもしろさといった感じですよ。別におれ学生じゃないんですが。

・カーリングマンガですね。アイススポーツですよ。石みたいのを滑らせて、ほうきでガッシュガッシュやって、的に近いほうが勝ちってゲーム。

・主人公の女の子は親友がボーリングをやってるから、ボーリングをやり、転校していってカーリングをはじめたから、カーリングに興味を持ったわけですね。
・で、様々なキャラが現れて、ちょっとエッチ(少年誌なので)で、ギャグたっぷりの、スチャラカカーリングギャグマンガですよ。

・原作付きということで、カーリングネタがしっかりしていて豊富なのはアタリマエとして、本作のキャラ&ギャグがとてもすばらしかった。

・おれにはすばらしいと思った。だが、これはけっこう読むヒトにとってちがうと思われる。ぶっちゃけ、10代〜20代前半あたりにどうみえるのか?って考えるとね。
・あと、そのときにマンガを読んでいたか読んでいないかってのも大きいかも。

・ぶっちゃけ、オマージュ的なんですよね。1980年前後の爆発的にあったギャグマンガ、そして、はっきり具体的なタイトルを挙げると「マカロニほうれん荘」が大きいかな。でも、それだけじゃないよな。

・キンドーちゃんとトシのコンビを、本作のエンドーくんとリンさんにあてはめるのはカンタンですよね。でも、それだけじゃないと思うんですよ。おれは、こういうのズラズラ並べて、「おれってくわしいだろう?」的なことは好きじゃないし、実際問題できないですからね。そういう資料となるべきしっかりした知識がないですから。調べるのめんどくさいですから。

・で、新鮮だったのが、いろいろなキャラの縮尺が、その時代のモノなんですよね。これが何回転かして、非常にいいね。

・主人公のミホは、ナイスバディの女子高生ですよ。オッパイ大き目。よく半裸になってます。でもって、上記のリンさんは、「球」なんですね。そして、顧問をやってる家庭科教師は少女というか、スケールがちがうんですよ。
・そうなんだよな、昔はそういうムリ目な縮尺のキャラが同じコマに映ってたんだよね。そして、それこそが、ある点での「マンガ」の最高のアドバンテージだったりするんですよ。これこそがマンガの持つ最大のマジックなんですよ。3Dやアニメだと表現しきれない世界です。

・って、いまや、アニメやゲームや映画も、その手法を洗練させて使ってますけどね。

・そいで、ま、ちょっと書きましたけど、エロのほうは、「着替え」ですかね。主人公でエロ要員のミホさんはたくさん着替えたり、白いパンツがみえたりしてますよ。
・あとがきマンガにありましたけど、そもそもなんでカーリングを題材に選んだかというと「カーリングの投球フォームってグッとくる」ということだったりしますからね。エロのほうも重要なファクターですよ。

・うーん、おれとしては「なつかしい」ってのがありましたが、そういう素地のない人にはどのように映るのでしょう? そこまで考えるとなにもかけなくなるのでここはひとつオススメ
(22:54:18)

2004年/9月/4日
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「瀬戸の花嫁」5巻 木村太彦(スクウエアエニックス)

・いいですね。いいラブコメになってきましたよ。
・今のあらすじを単純に書くと、東西のヤクザの組長の娘2人からそれぞれホレられて、なおかつ家に押しかけられ、なおかつ1人は現役トップアイドルで、もう1人は許婚で、お互いの組はあまり仲がよろしくなくて、組長はその少年を殺したがってるという、少年のあまりうれしくないハーレムっぷりを「それでもいいよなあ」と思いながら読むわけです。「それでもいいよなあ」度合いが高い人ほど、おれはトモダチになれると思うよ。

・5巻では、アイドルのほうと結納するところ、すでに許婚であるほうの組長の娘が殴りこみにくるところが白眉ですね。

「こんな俺を… 愛してくれるの? ルナちゃん?」
「この私様が人間如きを愛する訳無いじゃない!」

・このやりとりがやっぱりベストですかね。

・ストイックなほどアニパロがない分、「これならセーフだよな」的に、「ドラえもん」やら「座頭市」なんかの万人にわかるパロディを模索したりしてます。

・あとは、サカナ顔のヒットマン3兄弟ネタがストレートにおかしかったな。

・そうなんだよ、木村氏は、平成の「ベタ」を模索してるような気がする。自分の描くもので最大公約数を絶えず探ってる気がする。本作はそういった意味じゃ、当初、壮大な実験作だったし、かなり意図的にターニングポイントとしたものだと思われるんですよ。アカラサマで不自然なくらいのイメチェン。でも、3巻の終わりくらいからは、すっかりなれて、5巻に至っては、もうかなり「王道」と思えるくらいですよ。いや、それはちょっとウソです。未だに、「これはどうして?」って思うところもあります。でも、それも肯定です。

・でも、5巻の表紙にも登場して、なおかつ、「メガネをとると美少女」という王道をいって、なおかつ、1編まるごと割いたわりには、委員長編は失敗だったかな。まあ、実はものすごい斬新な展開で、オチなんですけどね。ここまでボケ倒すのはなかなかできないですよ。

・いいですよ。シミジミいい。
(19:34:38)

「サムライダー」4巻 すぎむらしんいち(講談社)

・けっこうクライマックスになりましたかね。
・本作、デビュー作のリメイク(まったく別モノですね)なだけあって思い入れがちがうのか、わりに全体的にシリアスな展開で、「スタァ学園」で本格的なファンになったものとしては、もうひとつ息苦しい感じがします。

・でも、やっておかないとダメな種類なんですかね。

・次で終わりかな。もうあらすじとかはヤボなんで省略です。
(19:38:38)

「バジリスク 甲賀忍法帖」5巻 山田風太郎&せがわまさき(講談社)

・最終巻。
・ちゃんと終らせたところがすごいですね。なんぼでも続けたり、延ばしたりしたかったろうに。とくに編集のほうが。そのための講談社漫画賞じゃろがい!って気持ちだろう。でも、終らせた。それが「原作」に忠実ってことですよ。どこかのバトルロワイヤルに聞かせたい話ですよ。

・甲賀忍者と伊賀忍者の戦いです。わかりやすくいうと、ハットリくんとケムマキの戦いです。もっとわかりやすくいうと香取信吾とガレッジセール・ゴリです。ただ、ハットリくんが伊賀か甲賀かわかりません。伊賀かな。

・で、10人づついて殺し合うわけです。山田風太郎原作なだけがあってキテレツなキャラがたくさん登場しますが、セオリーとしてキテレツは早めに死んでいきます。キテレツなだけに使いどころが難しいからですね。で、正統派で強いのが最終的に生き残るという形になりますよ。これは考えてみれば「ジョジョ〜」にも「ドラゴンボール」にも「ONE PEACE」にも通用しているセオリーであります。

・だから、絵的に、最終巻ともなると地味になるわけですよ。しかし、せがわ氏のすごいところはそれらをかなりうまく視覚化していたということです。ミゴトでしたよね。で、案外とサッパリした表記が多い(だろう)山田原作に文字通り「肉付け」をしていた感じです。オッパイとかやわらかそうでしたしね。おまえはそれしかないのかよ。

・5巻で終ったってところがスゴイです。エライ。
(20:23:04)

「元祖! 浦安鉄筋家族」7巻 浜岡賢次(秋田書店)

「元祖」表記になってから100回記念(意味ねえよなあ)ってことで、オールカラーが巻頭に収録。なんか、本人もあとがきで書いておられたけど、ドラえもんチックな普通さがあります。逆に新鮮だったり。意外に、「小学*年生」ってのに浜岡センセは描けるんじゃないか?と思ったりね。

・今回、いかりや長介氏追悼ということでの、ドリフ全員集合オマージュがものすごいよかったですね。

・そういうのでもわかるように、なんつーか、伝統工芸的ないぶし銀の味わいになりつつあります。それに新鮮な笑いはありません。爆笑もありません。でも、「おもしろい」です。そういう感じ?

・のり子のデコ。99円ショップで買った「自動車」ネタ。あと、イヤでイヤでたまらないみたいな、描き下ろしおまけ3p(原稿料が発生しないってのも大きいんでしょうね)もおもしろかったよ。

・いいですよね。一時期飽きてたんですけど、何回転かして楽しいです。
(22:39:32)

2004年/9月/2日
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「まんがサイエンス」9巻 あさりよしとお(学研)

・いや、「ノーラコミック」になってますが、ほかにノーラコミックってあるのだろうか? というか学研はマンガ撤退したんじゃないんか? まあ、知らないんですが。

「なつかしーなー」って人もかなりいそうですね。「5年の科学」「6年の科学」で連載しておられるあさり先生のライフワークですよ。もう、「ライフワーク」といいきれるほどですよ。学習マンガですね。

・今回サブタイトルが「からだ再発見」ってことで、からだネタ、総ざらえですよ。最新の情報を斬新な切り口で紹介ですよ。たとえば、人間の目はデジカメで換算すると何画素になるか?とかねー。カゼについてのかなりぶっちゃけた正体とか。脳みそとコンピューターどっちが優秀か?とか。
・とにかく、「こんなのみんな知ってるよ」って人は少ないんじゃないかな。それくらい様々な「へー」があるわけですよ。ベタですけどね。

・そして、最後は「死」についてですよ。実は、若返り、命をリサイクルしつづける生物が現実にいるんですね。ビックリだわ。
・まあ、死ぬことに意味がある!なんて、小学生につきつけられてもなあ。これでトラウマになる人も多かったりしてね。
・今になると、いろいろとオモムキがあります。ガンの仕組みとかね。

・忘れますよ。残念なことに。ジジイですし。だけど、一瞬、すげえアタマよくなったような気になります。そういうマンガですし。

・あとは、意外にいろいろなタブーに向かっているところがいいですね。小学生の男子女子に各分野の変な教師が現れるんですが、たとえば、その舞台が女子の身体測定だったりねえ。ウンコネタの被験者は女子だったり。なにげに、そういうところを刺激されてる小学生もいそうですね。ちょっとした「目覚め」のきっかけになったりねええ!スカトロジストとかねえ!
(23:16:32)

2004年/9月/1日
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「刺星」中野シズカ(青林工藝舎)

「模倣すら許さぬ超新生星!」ってオビのコピーは主に絵にかかってますね。
・すげえ絵ですよ。
・この「すげえ」はいろいろなことにいえるのですが、とりあえず、1枚あたりの製作単価が高そうかなと。
・スクリーントーンをメインにもってきて貼り倒した絵。カンタンにいうとそういう絵なんだけど、たとえば、リアルに仕上げるためのトーンテクニックみたいのとはちがうベクトルにあるもの。それこそ、冒頭の「模倣すら許さぬ〜」のとおり、どうやったのか想像もつかないもの。おれはまったく描くことには門外漢ではあるからなおさらでしょうが、たぶん、描いてる人にもわからないところがあると思いますよ。重ね貼りや、削りなど、トーンのテクを駆使して、物理的にもほかでも「重い」原稿になってます。

・話は「ホモが嫌いな女子はいません」げな、耽美耽美と草木もなびく話が多いですかね。少年はとりあえず必ず出演しまっせ!って感じかなあ。
・おもしろいのは、こういう作風で、「和」を描こうとしてる作品が多いことですね。
・表題作の「刺星」の「昭和」な感じ、「鈴木翁二」のモダンな感じ、そして、耽美との感じは、懐かしくも新しい。
・「春雨小僧」は、さらに古いか。「大正」までいきそうな感じ。

・でもって、たむらしげる風味、鴨沢祐仁風味と、すべてを吸い込んで吐き出したら、「中野シズカ」になっていた。

・と、「絵」の人です。絵ですべてをおさえつけねじ伏せるタイプ。

・今はすでにスクリーントーンをカリカリ削るのは時代遅れになってるスタイルですよね。だから余計に追随者ナシですよ。

・個人的には、ポップでカワイくてメルヘンな「Three Little Aurora Boys」と、少年のでてこない、女子高生のちょいレズげな、「シナモン」ですかね。

・絵ばかり強調してます。もちろんそれだけじゃないけど、それを凌駕して絵なんです。
(10:38:22)


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