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ポトチャリポラパ/コミック/2005年
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2005年/7月
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2005年/7月/30日
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「花子と寓話のテラー」3巻 えすのサカエ(角川書店)

・相変わらず好調の3巻ではあるが。
・そろそろ、どっちか決めて欲しいなと思いました。

・本作は、都市伝説や迷信のタグイをまとめて「寓話」として、それにちなんだ事件を解決する寓話探偵の話です。亜想探偵と助手のカナエさん(1話目で被害者でそれ以降助手という探偵モノの定番)と、トイレの花子さんの花子さんの3人がメインです。

・3巻では「隙間女」「赤い紙青い紙」「メリーさん(の人形)」と、まあ、それぞれ検索していただくと1発でそれにちなんだ話を読むことができる有名なところを料理してます。

・本作は、事件を解決しつつ、各キャラの事情にも触れるというこみいった展開になってます。亜想探偵の複雑な事情や、カナエさんの探偵さんへの愛や、それらを知りつつ、いろいろと画策してる花子さんと、まあ、いろいろと人間事情がね。

・事件の解決と、各キャラの事情という2つの柱があるんですけど、おれはもっともっと前者にバランスをおいてもいいような気がするんですよね。3巻でいうと「隙間女」がわりに純粋な事件のみで、とてもおもしろかったです。とくに想像もしない2段オチでしたしねえ。

・どっちがスパイスになってるのかよくわかりませんが、もっとおれは純粋に事件を楽しむような展開のバランスを希望します。手を変え品を変えちゃんと毎回おもしろいし、毎回「寓話」が生きてるというとてもおもしろいマンガなのでなおさらそう思うのです。

・いやまあぶっちゃけ、個々の人間関係や謎をはらむ展開はうぜえかなって。
(16:19:13)amazon

「イリヤッド」8巻 東周斎雅楽&魚戸おさむ(小学館)

・幻の大陸アトランティスを追い求める考古学ロマン。8巻になりました。
・相変わらず上手いマンガですよ。本線がありまして、それにさりげない枝葉をつけつつも、それも本線につながったりする。このインターミッションというか、閑話休題が、絶妙のアクセントになるんですよね。

・8巻ではギリシャのアテネで、テイクアウトの肉まん屋を作ろうとして、日本で美味い店を探す話がおもしろかったね。

・推測ですが、アトランティスネタはボーダイな資料やらそのネタの裏づけに時間がかかるので、閑話休題が必要になるんじゃないかなと思われますよ。

・そして、8巻後半ではググググと真相へのカギがね。
・いや、正直、読み終えると、「肉まんの絵が美味そうだったな」とか、そういうことのほうが記憶に残りがちなんですけど、読んでる間の知的好奇心の満たされようはハンパじゃないですし、おれが現在読んでるマンガじゃ文句なしに1番ですよ。

・すばらしいのは、原作もそうですけど、パンパンにつまってる情報の少ない「余地」にちゃんと人物を描写している魚戸氏のたしかな筆力じゃないかなと。
・後半に登場した、けっこうキーパーソンになりそうな、主人公と因縁のある考古学者なんて渋いキャラ付けですよ。うなるくらい複雑で人間臭く描かれてます。

・クールで知的でストイックな大学教授。教え子の色仕掛けを軽くぶった斬る。そして、なにもかも劣ってる主人公が、それでも気になってしょうがない。けど、クールさを装って接する。

・東周斎氏の方針か、魚戸氏の方針かよくわかりませんけど、基本的に「性善説」で人間が描かれてます。ひどい裏切りをする人もいないし、徹底的な悪人もあまりいない。それでいながら、深い人間描写ですよ。

・ま、もう8巻なんで、今から追いかけろよとはいえませんが、漫画喫茶にあったら読んでみてくださいよ。歴史ウンチクと人間描写ってところを重点的にね。
(16:44:51)amazon

「ピアノの森」10巻 一色まこと(講談社)

・いろいろあっての待望の最新巻ですね。

・掲載していた「アッパーズ」がつぶれちゃったから、同じ講談社の「モーニング」に移籍して連載し、やっと単行本がたまったので刊行といったオモムキです。

・森の端という娼婦街で育った少年カイ。森に捨てられたピアノを弾いてるうちに、ピアノの天才になりましたよ。
・それをめぐる大河ドラマです。

・9巻あたりから少年じゃなくて青年になりましたよ。しかも美青年。夜は女装してキャバレーでピアノを弾くバイトをしてますよ。

・正直、そこになってからはおもしろいとはいえ、全盛期より落ちたなあとは思ってます。それは10巻になっても同じかな。
・でも、「モーニング」連載分からはグッとおもしろくはなってきてます。

・青年になりゃあ、色恋沙汰とかいろいろありますがね。そういうところもいいんだけど、やっぱり、個人的には天才のピアノが世の中を騒がしていくという展開がよかったのかもしれない。「モーニング」からはそういう展開になっています。たぶん、便所姫と彫り師とカイの三角関係的になっていくのかしらね。

・そして、そういうの全部とっぱらって。「とてもおもしろい」です。レベルが他のものとちがうところでの評だと思っていただければ。

・すごいピアノを弾いてるシーンで、「本当にすごいんだろうな」と思わせる、あるいは感動させる。これはすごい描写というほかないじゃないですか。実際、音は描くことができないんだからさ。

・ちょうど今、新装版で出直してるから、買えば? すっげーおもしろいよ。
(17:49:52)amazon

「御石神落とし」2巻 永久保貴一&増田剛(白泉社)

・とある神様にとりつかれたために精力絶倫でどんな形にもなり、なおかつフェロモン出まくりの石のチンポを持った青年がエロエロ大活躍するエロエロ民俗学マンガです。エロエロです。

・2巻ではブロンド美女のメアリーといっしょに旅することが多くなりましたね。

・昔の性におおらかだったころの日本の文化とともにうまい具合にエロもからめて、エロいわ、ウンチクはあるわで、なかなか美味しいことになってるんですよ。

・たとえば、一夫多妻制がなくなり、一夫一妻制になったのは、男側の希望だとか(身体がもたないから)。
・祭りの日に村中で乱交をいたすのは、神様といたすって気持ちになるとか。 ・墓参りとは、先祖代々を供養する気持ちが「+の気」として石に宿り、それを拝みにきた人に還元する行為とかね。

・ま、披露する機会やタイミングがむずかしい知識がたまっていきますですよ。

・あとがきマンガによると、作画の増田剛ことうらまっく氏は今新聞の日刊連載をやってるみたいですね。死ぬほど大変そうです。がんばってほしいものですね。
(18:07:56)amazon

「弾 AMMO」4巻 山本貴嗣(蒼竜社)

・かなり純粋なエロマンガになってきましたね。の4巻。相変わらずどこで連載されていて、どういうタイミングでコミックが発売されてるのかよくわからないままだなあ。

・キレモノの女性刑事AMMO(あもう)さんがレイプされたりしながらも犯人をぶちのめすレイプ刑事アクションです。とにかく、合意はナシで、レイプされます。主人公も登場する女性もレイプされます。でも、レイプした人はたいていAMMOさんに半殺しから全殺しされます。そういう意味で、レイプ願望がある人に向いてそうで、そういう人は徐々にEDになっていくんじゃないかと思わせるマンガですね。

・今回は、永遠のライバルである怨堂(死刑囚として刑務所にいる)が手配した悪党に、バイブでフタをされて、バイクで階段を転がされるという責め苦がハイライトですかね。

・ということでして、エロいというより、純粋にAMMOさんに「大変だよなあ」と同情してしまいます。
(18:25:41)amazon

「ねこだま」えびふらい(講談社)

・毎月、マンガを買う予定を書いてトップページに貼り付けてある。と、これを検索してくる人が多い。で、本作も多かったな。ちなみに今日多いのはマンガじゃないですけど小桜セレナかな。ま、それはともかく。

・エッチな方面で活躍されてる方の初非エッチマンガらしいです。勉強不足で知りません。おれはエロマンガは内山亜紀で止まってますから。うそですけど。

・小学生女子の主人公。母親はコスプレ好きで、じいちゃんがいて、お父さんがいて。そこに、猫の軍隊がやってきてしまう。パラレルワールドなんですかね。猫たちが戦争をしてるところの一個小隊っての?がきてしまい、居候するという。えーと、「ケロロ将軍」?(わざとまちがえたのよ)

・ということでの異世界の人などがくるフジコFな居候ギャグです。実際には8匹くらいいるので庭にテントを張って野営してるんで居候ではないですが、同居ですか。

・女子はアタリマエとしても、全ての作画がカワイイでございますね。それでいて丁寧。学校のシーンで、机の中まで書き込んであるんだもんな。そこが最大の魅力かもしれない。

・エロマンガを多く描いてる方が非エロマンガ雑誌より依頼を受ける場合、つまるところ求められているのは「かわいい女子」の1点がメインですからね。そこは軽くクリアされております。コスプレ好きでナイスバディの母親ってのもかなりスパイスになっております。スパイスっていうか、オチにもなってますけどね。

・で、かなり常識のある猫たちなんですね。いうても軍人猫ですからね。その設定が最初から最後まで足を引っ張る感じ。
・ここで、もっといろいろ誇張強調すればよかった気もします。たとえば、かなり古風な考えに囚われてるとか、さもなくば「ケロロ」のように、ガンプラ大好き等の俗っぽいところなど、「弱点」を用意すればよかったんじゃないかい? 弱点=チャームポイントってのは往々にしてよく聞く話ですしね。わりに全体的に平坦なイメージが。


ネタがネタだけに、もっとヤバイ話とかも考えてましたが描けなくて残念です。

・作者のあとがきですが、作者がこんなことを考えてるほうがよほど残念です。それこそ、あんたらが得意な同人誌で展開しろよってことですよ。ヤバければヤバいほどおもしろいなら、手塚治虫じゃなくて早見純とか駕籠真太郎がマンガ界の巨匠になっとるわな。

・そういうマイナー体質にとどまらなくてもいいくらいメジャーな絵がもったいなあと思いますよ。メインストリート狙えますよ。

・ということでして、絵はたいそうOKでしたが、ほかはもうちょっと考慮の余地が残る作品となりましたね。エロ作品も今度試してみたいなと思いました。
(20:12:46)amazon

2005年/7月/29日
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「サナギさん」1巻 施川ユウキ(秋田書店)

・マンガ家で1番長持ちするのは「みんな同じ」でなおかつ「おもしろい」ものですよ。いきなり結論ですが。
・吉田戦車、中崎タツヤ、中川いさみ。考えてみれば小学館に多いですね、「みんな同じ」で「おもしろい」マンガ家。
・施川ユウキ氏はそういう1人です。

・もはや死語になりかかってますが、テキストサイト。それ以後のマンガ家さんといったオモムキがあります。なんていうかな、単語をひとつ取り上げて、それをこねくりまわす感じの。

・本作はすべて強化版といった感じですか。とくに「かわいい」を強化した感じ。定番商品なのに「ますます美味しくなりました」とつけるような感じ。

・中学1年女子のサナギさんと、トモダチのマフユさんで繰り広げられる「不思議系ほのぼのギャグ」です。秋田書店っぽい、コピーでいいですね。カバー裏表紙にありました。

・もともと小さい4コマのコマ(あ、書き忘れてましたが4コママンガです)にさらに小さくキャラを描くことで、「プチ」なかわいさを強調してました。もとからそうでしたけど。

・下ネタもないし差別ネタもない、たしかに「ほのぼのギャグ」ですが、そのジャンルに入れるのも抵抗あるような。ものすげえニッチを狙い撃ちしてるネタが多数あります。

・会話のみで展開してる。あるいは、1人が延々妄想してる。4コマ目に殴られる(=ツッコミ)って3パターンのフォーマットを用いて、たとえば、全然面白くない話。「色々あった挙句結果刺し身が乾いた話」。だれもいないはずの自分の家に電話をかけて、今見知らぬ同居人が天井裏から降りてきて受話器を取ろうとする瞬間を想像して「こえー」となったり。そういうネタです。

・サナギさんが授業中オナラをガマンする話がとてもよかったです(オナラが出そうだからロマンチックな話をしてって感じの展開)。萌えました。

・うーん、でも、誰がどうおもしろがってるのかイマイチ想像つかないよなあ。もちろんおれは好きですが。は!そう思うやつが買ってるのか。誰もが知ってる「知られざる名作」的なところがあるのかしら。
(18:07:40)amazon

「HUNTERxHUNTER」22巻 冨樫義博(集英社)

・幻影旅団まで登場してしまいました。ますます、スケールが大きくなり、複雑になり、おもしろくなってきてます。この際描写とかはカンタンに目をつぶることができます。
・ただ、おもしろくなればなるほど不安がよぎります。「幽☆遊☆白書」のようなことになるんじゃないか? この仕事嫌いマンがちゃんとこの話を描ききる根性を持ってるのか?とかいろいろと考えてしまうのです。

・幻影旅団は昆虫軍団相手にラクショーで勝っていくバトルが前半で後半は主人公のゴン&キルアのバトルの22巻です。バトってばかりです。バトガールです。それはバドガールです。

「ちゃんと終って」

・それだけがのぞみのマンガです。「ちゃんとして」でもないし「終って」でもないです。ここらへんは死ぬほど多いですけど、「ちゃんと終って」と思うマンガは珍しいとは思います。
(18:50:17)amazon

「GANTZ」17巻 奥浩哉(集英社)

・今回巻末の作者のエッセイがとてもおもしろかったね。
・作者はGANTZを描ききりたいそうです。ちゃんとした最終回までいきたいそうです。「どうかな?」とは思いました。
・個人的にはもうどう終っても「そうか」で納得しますし、惜しくないです。この先にアッと驚く展開になるのかしら? そうなるんならなるでそろそろその片鱗をうかがわせてもいいんじゃないか? まあ、あちらこちらに片鱗をバラまいてはあるんだろうが、それがどうにもこうにも読者としてのおれにはわかりづらい。「ああ、これはそうなのかな」と思うのはあるけど、それをわかってあげる必要はないわけでね。

・かなり最初期よりおれは「理屈ぬきでヒャーヒャーいって読むマンガ」と位置付けてるし、作者もそう捉えてるのかと思っていたけど、そこいらは業なんですかね。
・かなり綿密な東京ロケハン(ってもデジカメで撮りまくりって感じかな)を行い、そこに異形なものや異質なことをはさむ。それは精密で細密なほどおもしろい。だからCGは必須ですよ。そういう理由でのCGマンガということがわかったので満足です。

・17巻では池袋を舞台にやりたい放題でよかったです。これに心酔してる方は池袋にいるだけでトリップできそうです。
(19:22:10)amazon

2005年/7月/28日
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「嫌韓流」山野車輪(晋遊舎)

・話題の1冊です。

・韓国のやり方をマンガ化したものです。いわく、竹島問題、パクリ、歴史捏造、ウリナラ起源等、ネットや、とくに2ちゃんねるを眺めてると多くこの手のニダニダしたものを目にする機会は多いでしょう。そういうことをマンガで丁寧に描いてあります。

・この手のマンガを読むたびに「ゴーマニズム宣言/小林よしのり」の偉大さを思い知るわけです。昨今はとんと読んでませんが、こういうもののフォーマットを作り上げたということで、あるいは、手塚治虫(現代漫画)、さいとうたかを(劇画)、赤塚不二夫(ギャグマンガ)などと並び賞されるほどかもしれませんね。

・あと、もうひとつの功績は、その手のマンガは「文芸書」としてランクインするって決めたことっすかね。いくら世間的に話題になっても「ONE PEACE」とかに勝てるわけないんだしさ。

・で、なにより、小林よしのり氏が光り輝くのは、長年描いていたという地力があるのでマンガとしておもしろいことですね。伊達に主要少年週刊誌全誌で連載経験してねえぜと。

・そういう感想であるからしてマンガとしてのおもしろさはないですね。作画レベルは、どこのB級学習マンガだよ?レベルです。
・ゆらぎのある(コマ毎にちがうという意)人物描写、仕上げ前?と思う背景描写、そして、人物がそこに存在できない背景との非マッチ具合。ふきだしでセリフばかりの画面構成。1番のギャグは、石原都知事の似顔絵?ってくらいなもんですよ。まあ、THIS IS 若輩者&未熟者といった感じです。
・オビにある「あまりにも危険すぎて各社に出版拒否された問題作!」ってのは、そういった意味なのかい?って気さえしてきますですよハイ。

・さ、落としておいて持ち上げますよ。これから持ち上げますよニダ。

・ただ、マンガにおいてミラクルはしばしば起こります。そう、このマンガはサイコーにおもしろいのです。

・どっちが先だっけ? 「ゴーマニズム宣言」もそうだけど、この手の内容のおもしろさ1点で勝負してつき抜けるという画期的なマンガとして「ナニワ金融道/青木雄二」がありますよ。あのマンガも絵的には書き込みは鬼のようにすごかったけど、基本的に作画テクという視点からはかなりアレでした。でも、実に今でもおもしろがられてますし、「カバチタレ!(現在、「特上カバチ」)」を筆頭に確実に潮流ができております。

・サイコーな点は、これが「マンガ」になってることです。まったく矛盾が生じる感想だよな。でもそうなんです。文章にしたものなら、書籍やネットにあります。でも、それらをベースにマンガ化してるというところが本作の値千金なところです。マンガとしてもっとおもしろければ値万金だったのですが、描いたこと自体がすばらしいのです。そして出版した出版社もすばらしいです。

・そして内容です。知っていたか知らなかったかという点では、個人的に半々かな。だからとても有意義でした。この情報自体が極上のおもしろさを内包してるわけです。

・読後はたいていの人と同じく「韓国許せないニダ!」となりますし、1度いった韓国旅行で感じたモロモロがなんかわかった気がしたですよ。あいつらはおれらを金の持ってる犬と思ってみていたんだ。なるほどねー、いろいろとガテンがいった。

・たぶん、本作を受けて、いろいろな動きがあると思われます。おれはぜひ、「反嫌韓流」とか「嫌嫌韓流」みたいな「マンガ」を読みたいなと思います。


「韓国には…そもそも誇れる文化なんて無いのだから!!」

・このセリフが1番痛快で目からウロコでした。そういやそうだよな。おれはいつも不思議に思っていたんですよ。たとえば、とてもポケモンに似た絵を描くときに「おれだったらもっとうまく描いてやろう!」とか、「ポケモンよりおもしろいゲームを作ってやる」なんて思わないのかしら?って。なるほど、そういう方向に向かおうとしないのはベースになるものがないからなんだなと。だから、「ローカライズ」なんかができないんだな。

・そう考えると、前記の「反嫌韓流」とかはムリかなあ。

[FAR EAST-極東-]

・作者のサイトです。マンガを読むことができます。

・作画などのレベルと内容のおもしろさのバランスを鑑みて買いかどうかおのおので判断してみてください。おれは「おもしろかった」ですが「オススメ」まではいかないなと。少なくとも「マンガ」にする以上、そっちのレベルもある程度ほしいもんなあ。まあ、こういう方はマンガの精進するくらいなら1編でも多く、情報を仕入れてマンガにしたほうがいいですからしょうがないところなんですが。
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2005年/7月/23日
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「赤い花束」高橋留美子(小学館)

・6年ぶりの短編集だそうだ。「Pの悲劇」「専務の犬」に続く非SFの短編集。角の生えたトラ縞ビキニも、水がかかると女性になる挌闘家も、ヘンな光線で子供になった名探偵も登場しないのです。最後のは作者がちがいますね。

・日常の市井の人々の喜怒哀楽に視点を向けて描いてます。この路線の前作と比較するとさらに登場する人物の年齢が増してる感じがします。そろそろ定年にリーチがかかってるサラリーマンって感じか。それ以前のは、もう一線ではないけど、まだまだ若いものには負けはしないといった感じだったかな。

・で、ぶっちゃけ、デキにムラがありますね。バラエティ豊かにキレイにまとめてはいるんだけど、なんていうかな、「いい話」で落とすってところの「いい話」ってのを強調しすぎな気がします。

・とくにあまりギャグがない「ヘルプ」という作品は顕著です。高橋留美子がこんな話を描くんだって、寝たきり老人になった自分の親の話ですよ。今までは嫁さんが面倒をみてくれてましたが、嫁が入院して、介護が大変!って話です。
・そして、表題作「赤い花束」もそうかな。心筋梗塞で死んだ自分の葬儀を眺めてるって話。宴会の途中で死んだものだから、ハラ踊りのためにハラに顔が描いてあり、頭にネクタイでハチマキしてあるってのがギャグで、随所にくすぐりがあるけど、「いい話」で落としていた。

・いや、みんないい話なんですよ。凡百のマンガ家にはたどり着けない境地であることはまちがいないですよ。
・だけど、これまでなら、もうひとひねりしてさりげなく目立たなくするとか、もうひとつオチをつけたり、いろいろなワザを仕込んでいてストンと「いい話」で落としてなかった気がするから、なんかなあと思ってしまうのです。

・そんな中、義母と嫁と2人で旅行する「義理のバカンス」は最高だったな。あの微妙な空気や距離感がねえ。義母の「義」って字はかなり大きなちがいだよなあと。

・実は「犬夜叉」はリタイヤしたおれです。だって終る気配がねえんだもん。だから今どうなってるのか知らないのですが、個人的には次の作品集は6年といわずもっと早いスパンで出てほしいな。あと、SFのギャグめいたスチャラカな短編もできたら読みたい。
(16:43:34)amazon

「ジュゲム・ジュゲム」5巻 ケイケイ(講談社)

・カバーの裏の見返しに「全5巻」なんて書いてあったので、これがもしや最終巻ってことですか?

・いわゆる「負け犬」なOLさんの日常を取り上げたショートギャグです。1回8p。

・なんだか最終巻だったからか、それともそういう傾向だったのか、微妙に重い話が混じってましたね。彼氏のアパートにいたら突然、将来を誓い合った女が乗り込んできてはじまる修羅場のネタ「だれの勝ち!?」から加速度が増してブラックでダークでヘヴィなネタがつづきますね。いや、基本はギャグなんですよ。

「野沢(直子)さん、顔色悪いですよ?」
「げっけーい!(月経ね)」

・こういう野沢直子さんのギャグに笑えないおれだから本作後半を笑えないのかもしれない。

・とくに容姿の話は女性にはタブー中のタブーってのが非常によくわかる2編「リバウンド克服法」「わかってください」はとびきりヘヴィだったなあ。

・加速がついて、つい、ここまで描いてしまった的な「うっかり」を感じるのですが、真相はどうなのでしょうか。それとも次回作ではさらに一皮むけるのでしょうか。

・基本的に女性内のゴタゴタを描いていてるのですが、ものすげえ会社の金を使い込みしてそれが発覚したのにまだ会社にいる男のネタなんてのもありまして油断ができません。

・最終巻というのはとても残念ですが、いい意味でどこでなに描いても同じだろうから、次回作を期待します。

・唯一ひっかかるのは、オビの「mixiなどネットでもファン増殖中!」という一文ですが、そうなの? mixiのコミュはないようだけど。
(17:23:11)amazon

「電子遊戯黙示録」マツダ(宙出版)

・うーむ。今年に入り使用頻度がかなり上がったので思い切って「おおぞらしゅっぱん」で「宙出版」って出るように登録したよ。
・ゲームネタのショートギャグですか。
・やや謎の構成になってますね。わりに元ネタがわかりやすい(おれみたいなやつでも8割以上はネタがわかったし)ものをわざわざ伏字にしてるんだよねえ。「月刊コードエクスプレス」というとってもアレっぽい雑誌に連載されていたので、「これ以上モメゴトを増やすのもアレだよな」という作者のやさしさなんでしょうかね。

・しかも、ネタが微妙に後ろ向き。最新ハードがドリキャスな感じ。だから、余計におれによくわかる。

・良ゲー好きの天使ちゃんと、クソゲー好きの悪魔ちゃんが、ゲーム好きのボクの家に居候!って設定です。あと、ギャルゲー好きのコも登場します。
・でも、一瞬後にその設定はどうでもよくなりますけどね。たんに進行のお姉さんという感じで。

・絵がいいんですよね。黒と白とがカッキリしてて。ハイキーってやつですね。女の子たちはカワイイし。おっぱいの質感がもうひとつこなれてないけど、「そういう」マンガではないし。どっちかというとツルペタ属性だし。いや、だから、そういうマンガじゃねえっての。

・で、ネタですよ。後半につれ、どんどん実名ネタにシフトしていくんですよね。最初は大雑把な「ゲーム」ネタって感じだったのに。だから、伏字がどうにもこうにも奇妙になるというかね。
・でも、ゲームの映画化(アニメや実写)のガイドとか、クソゲーを集めたテーマパークや、セガの歴史すごろくなど、「へー」とか「ああ、そういやあったな」なんて懐かしい気持ちになれます。

・却って、同人誌だったら、伏字ナシどころか、すべての図版を使用できたのかしらねえ?と思ったり。

・ゲーム好きな人には普通におもしろいんじゃないかな。ただし、ゲームの前に「オールド」がつくか。最初に触ったコントローラがPS2とかだとアカンわ。歴史書にするには偏りすぎてるしね。
(18:20:15)amazon

「うちの大家族」2巻 重野なおき(双葉社)

・たぶん、今、1番精力的に作品を発表してる4コママンガ家じゃないか。鬼のように発行点数がある。正直「また重野か」と思うほど、新刊の棚には並んでますよ。

・その中でおれが買ってるのは本作です。なんか、ほかのはイマサラかなあと思ったりね。あと、[Amazon.co.jp: 本: のの美捜査中! 2 (2)]も買ってるか。

・でも、本書の完成度をみるたびに、今からでも押さえるかなって思ったりね。

・千葉県花見川区(この設定の意味だけわからんな)に住んでる大家族の4コマです。えーと、父親と三男五女の9人家族に犬か。長女の愛子さんが亡くなった母親の代わりに家事を切り盛りしてるんですね。

・舌をまくのはそのバランスです。奇跡のようです。それぞれのキャラが立ってるのは「アタリマエ」として、各キャラが毎エピソードに必ず1回はからんでくるようにできてる。そのバランスのよさ。

・正直、キレは弱いところもあります。たとえば、運動会。隣人。大そうじ。なんかが大家族の場合どうか?ってドリフ大爆笑の「もしも」シリーズチックに(ってたとえが古いですね)展開していきます。あるいは、家族の誰かに焦点を当てるのもあります。長女が風邪で倒れたからみんなが代わりに奮闘するという定番のネタもあります。

・でもって、ラストに泣かせる大ネタを用意してきてますよ。長男でストリートミュージシャンでフリーターが家族のために歌を歌うですよ。かっこいいですよ。ただ、歌詞を掲載するのはどうかな。

・ということでちゃんとした4コマを描く人ですよ。ちゃんとした4コマを読みたい方はどうぞ。

・裏カバーの見返しにあった音楽の趣味がおれの好きなのとけっこう重複。こういうのけっこううれしいわな。
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2005年/7月/18日
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「ややBUSU」3巻 綾小路あや之&前川かずお(講談社)

・最終巻。
・タイトルどおり、「ややBUSU」の彼女を持つ平凡(よりモテるか)な男の苦悩を描いたものです。
・3巻では、その彼女がアイドルを目指すという超展開。そして、その目的は「美人になる」こと。つまり、自分がトップアイドルになるってこと=世間一般でトップ=美人という図式で、世間的な美意識を曲げるという暴挙に出ました。そして成功してハッピーエンドと、おまえネタバレにも程があるだろうということですよ。

・この世間の美意識を曲げるという展開は、小林よしのり氏やら筒井康隆氏が似たようなタイプのギャグで描いてました。「最終フェイス」と「苺の日」だったかな。
・だけど、それよりもスマートにすっきりと「真っ当」にいけてます。なにより、このややBUSUの「MOMO」をかわいいものとして扱ってるのが素晴らしいところです。そして、ムリのないハッピーエンドです。ま、逆にいうとやや意外性のないものにもなりましたが。でも、すでにこれまでが超展開なのでその上をいってしまうとムタクタですからね。

・ま、たぶん、人気があればこの芸能界編がもうちょっとつづいたのかしらね。それには及ばず、しおしおのぱぁと最終巻です。なんとなく、それはそれでナットクがいきます。すっきりしてて、おれなんかにはOKです。ここいらは原作者の構成力のタマモノでしょうか。

・ラストページの描き下ろしっぽい見開きでぐっときました。だからOKです。おもしろかったです。
(13:50:31)amazon

「Landreaall」6巻 おがきちか(一迅社)

・すっかり、中世RPG的世界の学園マンガになってますねえ。

・全てに意味がある。ここが本当にありがたいところです。たぶん、前提として「そういうのが好き」ってのがあるとは思うのですね。でも、「好きだから描く」ってのはかなりピンからキリまでありましてね。あくまで「そういうのが好き」だからって別にどこでもありうる話に香辛料程度の設定をふりかけたものから、その世界のそのシステムじゃないと存在しない話というのまで多岐にわたります。
・もちろん、読者にとってよりありがたいのは後者ですし、本作もまるで後者です。それでいて、「設定はプロットの従者」というコトバはおれが今でっちあげたのではじめて目にするものでしょうが、昨今は「これだけぼくは考えてる」って9/1の自由研究の発表会みたいなマンガになりがちのも多いですが、本作はそのワナにもかかってません。まちがいなくボーダイで詳細な設定はあると思われますがそうは思わないものがあります。

・そして、最高にすごいなあと思うのは、相変わらずアクションシーンでなにが起こってるのかわからないし、荒涼とした白い背景ばかりの絵で、なおかつ、人物も顔のアップとかバストショットばかりなのに、上記のようなホメコトバを書きたくなる完成度の高さですよ。
・いわゆる人物も簡素な線でサラサラと描かれてて、スキルの低い人なら「下手な絵」と切り捨てる可能性がありますよ。実際、話ほど絵の完成度は高くないとは思いますがね。

・ちょっとあらすじ書いてみようかな。おれが理解してないのがバレるのがイヤで避けてきたんですが。
・その国の王様になる可能性がある主人公とかつて一瞬だけ幼馴染だった男がひどく憎んでる。その男は彼の秘密「聖名」を知ってるという。「聖名」は名付け親の大司教と本人しか知らない尊いものであり、なおかつ、それを知ることで「呪う」ことができるきわめて重要なものである。そして、それを部外者が知ってしまう。そこで、その幼馴染が拉致監禁され、主人公らは奪還に向かう。
・これら、全ての登場人物がそれぞれの思惑を持って行動してる。意味のない行動をしてるものが1人もいない。いや、アタリマエのようでそうではないんですよ。なおかつ、各小道具、時代、舞台、などの設定がこれまた生きてるし、なにより「冒険」してる。魔法使いや魔法なども必要だからそこに在る。その感じがいいんですよね。

・たぶん、現実の時代考証とかを照らし合わせると、かなりチャンポンになってると思われる、まあ、「ドラゴンボール」以降のイマドキのものだと思います。だからこそテキトーにやってるとすぐに破綻するのですし、「なんじゃそら?」ってことになります。ちなみに、「ONEPEACE」も「HUNTERxHUNTER」も「なんじゃそら?」要素はあります。本作にもあります。ただ、少ない。

・おもしろいですよ。おれみたいな門外漢にもおもしろさを分け与えていただいてもらってます。それがありがたいと。
(14:26:24)amazon

「ダブルフェイス」7巻 細野不二彦(小学館)

・すべてのオタク系マンガ家は細野不二彦氏の転身を参考にすればいいと思いますねえ。
・このシリーズも7巻になりましたね。

・普段はさえない消費者金融の社員。趣味はマジック。でも、裏では人の恨みつらみをかわりに晴らしてくれる仕事人。ちなみにその消費者金融も社長だったりする。

・細野氏はかなり早い段階で「金」に目をつけてましたよね。なんたって、アニメ化もされ多分かなり儲かったであろう「GU-GUガンモ」という細野版「おばけのQ太郎」とでもいうべきガキ向けギャグマンガにおいて、なぜか猫が社長を勤める子供向けの消費者金融という、えらいナマナマしいネタがあります。また、恐ろしいことにそれがわりに最終回(泣けるんだこれが)の伏線だったりもするんですよね。

・そのほかにもプロボクサーと信用金庫の営業マンという2足のワラジのボクシングマンガ「太郎」においてもかなり金融ネタが混ぜられてました「ごめいでーす」てのはここで知った言葉だったりするしね。

・で、7巻。前中後の3部作という、「ギャラリーフェイク」でもあまりやらなかった大ネタ「シロウサギの跳躍」をかましてくれました。デイトレードネタですよ。

・本作には3つの柱があります。金融(サラ金がらみが多いかな)ネタ、マジックネタ、困ってる人の事情(これが時事とシンクロしてる)ネタ。この3つのバランスがとれており、なおかつ融合しているのが最良です。

・シロウサギ〜の大作はもうかなりいろいろとまじっており圧巻でした。ほかにもスキミング詐欺、ダチョウ肉の投資とかね。ただ、マジックネタが少ないのと、金融ネタもそうかな。

・だから、いっそのこと、不定期連載にして、1巻に「シロウサギ〜」レベルの大作を一挙掲載し、コミックには2編程度収録するって形式にしたらどうだろう? 長い目でみたら、あのー、300円くらいのワラ半紙でできてるいわゆるコンビニコミックにするときも収録しやすいんじゃないかなと。
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2005年/7月/12日
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「ONE PEACE」38巻 尾田栄一郎(集英社)

・37巻はつまらなかったんだけど、盛り返した感あり。つーか、このごに及んでデキにムラがあるってことが尾田クオリティってことですよね。

・尾田センセのすごいところはブラックジャックの顔の傷くらいアカラサマな伏線を張り、まだ心配なのか「伏線張ったよ!」と大声で怒鳴って、やっと安心して、その伏線を回収することができるって性分ですよね。
・アクアラグナやら海の上を走る列車とかとても不恰好に回収してました。まあ、回収しないでほったらかしってマンガ家も多いので、ちゃんと回収するところはかなり評価に値するんですけどね。
・キューっという感じで、すべてが収束して、関連して、方向性が定まって、一気呵成に進むという巻です。こういう直線にアクセル開放って展開だとやっぱり強いね。
・ニコロビン奪還に、ウソップxサンジ(サンジxウソップかな?)チームにフランキー。そして、それを追うほかの面々にプラスアルファと。

・サンジ抱いて!って久しぶりにサンジに濡れ濡れになりますよね。やっぱり、サンジが活躍しないとダメですよ。

・これからしばらくは安定かな。
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「フライ,ダディ,フライ」下巻 金城一紀&秋重学(小学館)

・映画も公開してる、金城一紀原作のコミカライズ下巻です。
・なんか、アッサリ終った感あり。よかったんだけど、後半スピードがつきすぎて、おれが感動したのは、金城氏のコミック解説という名の作画秋重学氏の賛辞で、「あ、終ったんだ」って思うくらいです。

・娘をボクシング部の男に暴行されて、ひょんなことで知り合った少年とひと夏の特訓の末、復讐しようとする話。

・そう、今になって軽く読み直しつつわかった気がする。ポイントは最後の復讐シーンじゃないんだな。そこに至るまでなんだ。つまり、その直前までがとてもいいんですね。その盛り上がりに比べてあっけないんですよ。でも、それはワザとなのかもしれないなあと。

・最近はどうなんだろう? 一時期、バトルマンガの多くは「特訓」がまったくなかったです。特訓はしたことになってますが、それはマンガでは描かれませんでした。「ドラゴンボール」が顕著ですね。特訓ルームみたいのあったじゃないですか。そこでなにやったかはよくわからないことになってました。「ONE PEACE」もそうですね。ルフィが悪魔の実を食べてから、ゴム体質になってからの「特訓」は省略されて、もう次のシーンではスーパーマンでした。

・それと構成比率がまったく逆なんですね。だから、戸惑ってたのかなあと思ったり。

・目的は相手に勝つことや、復讐じゃないと。ま、バトルマンガじゃわからないような難しいことを表現していたんですね。それが性交したのか失敗したのかはボーダー上です。けっこう分かれる気がします。おれはどっちの立場もわかるからです。

・個人的には「姉妹作」であり、前作でもある、「レヴォリューションナンバースリー」のほうがよかったかな。
・岡田准一ファンが本作読んでどう思うか知りたい。おれにとっても舜臣は秋重画のほうでしかありえないから。映画のほうもみてみたいなんだよなあ。
・ま、オススメ
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2005年/7月/9日
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「みのりの日々」2巻 井上博和(少年画報社)

・完結巻。
・小学生のみのりがマッドサイエンティストのおじいちゃんの家に連れてこられて、ロボットのとくこさんや巨大猫にさせられたじょむにーやらと楽しくやってるギャグマンガ。
・だと、思っていたんだけどね。

・どうも、2巻では熱意や努力があさっての方向に向かっていった気がした。みひらきで落とすギャグマンガというハチャメチャなSF風味のギャグ、すなわち、「岸和田博士の科学的愛情(全12巻)」的な方向かと思っていったら、どういうわけかウエッティで情緒的に「泣かせ」が入ってきてます。
・で、いろいろな意味で不幸だなあと思ったのは、案外とそれがうまくいってることですよね。作者が器用だったし力量があったのでしょうね。
・でも、ダメだろ?

・つまり、たとえるなら、テツandトモがつんくプロデュースでマジの歌を歌ってるような感じに近いというか。「それはだれの望みなんだ?」と。

・とりあえず、「なんでだろう」は?って気分のまま、本作はそれでも「おもしろく」読み終えてしまいました。

・んー、なんていうかな、悪い意味で「やりすぎ」だったのかもしれない。メイドロボットが出会い系サイトで知り合った人たちと合コンしたり、オカマのお姉ちゃんに好きな人が現れたり、みのりの両親がいたなつかしの展開をしたり、読者はそれを読みたい?とか考えなかったのかな?と。
・個人的には、すちゃらかギャグのままで通り過ぎてほしかったのです。
・ま、次回作にちょっと期待。
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「トランスルーセント 彼女は半透明」1巻 岡本一広(メディアファクトリー)

・マンガが好き。絵を描くのが好き。話を作るのが好き。で、マンガ家になろうと思います。そらもうそうしたら描きたいものがあるはずです。でも、「描きたいもの」=「おもしろいもの」ではないのが世の理です。これは断言してもいいです。そして、もうひとつ断言してもいいのは、「描きたいもの」=「おもしろいもの」を目指してない人はおもしろいものを描けません。

・と、大多数の人が陥りがちなワナが、その「描きたいもの」を優先させ続けることです。だから、様々なものが追いついてないので「描きたいもの」を自ら貶めてしまうという悪循環に陥るわけですよ。
・ここで具体例を挙げるのは簡単です。とてもたくさんありますからね。そして、逆があまりないんですよね。本作はその数少ないひとつです。

「透明病」にかかった中学生少女が、自分の境遇に悲しんだりしながらも、まわりの温かい声援にけなげにがんばるというものです。
・透明病とは、透明になっていく病気です。透明になる以外は別段健康な人間と同じです。

・2つのポイントがあると思います。まずは「透明病」。この「もしもボックス」に頼んだ、「SF(少し不思議)」な設定は、たとえるなら、映画化され、ドラマ化された「サトラレ」に近いものがあります。「**」がある世界。つまり、「**」だけが、この世界とのちがいで、それ以外は同じ。だけど、それは小さいようで大きなちがいだったりします。本作は「透明病」のある世界。そして、主人公は透明病にかかってる少女。それで、どこまでこの世界を広げられるか。本作では健康保険もきくくらいありふれた病気だったりします。

・そして、「透明病」はどこまで物語に食い込ませることができるか。まず、部分が消えていきます。そのビジュアルがかなり新鮮でした。手の先、ひざだけなど。そして、全身が消えます。また、現れます。そういう風に周期的な動きをしてます。
・少女が透明になるというのもポイントですね。[透明ドリちゃん]という実写特撮ドラマが過去にあり、それも透明になる少女の話でしたが。ポイントは透明になってからのことじゃなくて、透明になりつつあることなんですね。だから、透明になることは「病気」なんですよ。女湯のぞき放題なり〜ってのとはちがうわけです。

・自分の存在も透明になるなんて思春期の少女らしい悩みに囚われたり、悩みやアクセントになるわけです。少女は演劇少女で舞台に立ちたいと思ってますが、透明になったりして、とてもムリだって父親に反対されたりするんですよ。

・まあ、透明になって見えないってことはつまり少女は裸ってことで、それをひっかけた萌えポインツもちゃんと用意されてるあたりがすばらしいところでもあるんですけどね。

・もうひとつのポイントは、「透明病」と同じくらい大発明といえそうな、主人公の相方である少年マモルです。
・かなり、少年なんですね。プラモデルと絵を描くことが大好きで、もともと彼女に近付いたのも、プラモの飛行機を透明状態の手で持ってもらうためで、「すげー、本当に飛んでるようにみえる!」なんてよろこぶくらい少年だったりするんですね。

・彼女よりも、この少年のまっすぐでえらい行動的な性格は、「ラブロマ」の主人公くらい画期的だよなあと思ったりします。そのまっすぐなところ、純真なところに感動を覚えたりします。とくに、1巻でのクライマックスともいえる、彼女が本格的に病気を治すために転校するってエピソードでの彼には泣かせてもらいました。それから彼はすごいですよ。少女の父親との戦いもよかったですね。そしてその後も。

・そうか。モテるオタクってのはこういうことなんだな。

・あと、本編でもオマケでも大活躍の生徒会長・大河内さんもナイスですね。

・ぶっちゃけ各キャラの描き分けも微妙なところです。あだち充的に「髪型だけじゃん」なところがありますが、ムリをせずに「愛」でフォローしつつ展開してます。この「愛」具合がとてもいいです。愛ですよね、やっぱり。

・連載してる「月刊フラッパー」は大丈夫なのか? とまれ、久しぶりに「みつけた!」って気分になりました。オススメ
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2005年/7月/4日
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「ラヴラビイズ」2巻 松本英(秋田書店)

・北見の乳。
・北見の乳。

・あとネコミミ。

・これでだいたい書きたいことの80%は終えたな。

・ということで、中学生女子が登場するギャグマンガです。北見というキャラクターはオッパイがでかいのです。あと、キャラ強化のために後半はなぜかネコミミがつきました。そういういじられキャラです。好きです。

・別に少年誌連載じゃないけど寸止めでした。まあ、設定からしてまずいところがあったのでしょうか。

・完全キャラ主体の王道といえば王道のギャグマンガです。最近の王道らしく男性キャラはほとんどいませんし。で、学校や海や山やでほがらかに展開していきます。

・最終巻でした。まだ、載ってないのもあるそうですが、なんとか、次回作でホームランをかっとばして、緊急収録してもらえるといいですね。

・あと、個人的には北見の乳以外に立ったキャラがなかったので、次回作はそこいらを考えつつ、少年誌じゃないなら出し惜しみせずに、なおかつほがらかにがんばっていただくとこれサイワイかなと。
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「DANCE DANCE DANCE!」1巻 森田柚花(マッグガーデン)

・えー、古来から、色の白いは七難隠すなんてことをもうしまして、かつてのガン黒ブームなども結局は「ブスの悪あがき」ってあたりでファイナルアンサーげな雰囲気でございますわね。

・小説家であり、室井祐月センセの元ダンナの高橋源一郎氏の文芸評論によると「漫画家は絵も話もうまくないといけないから大変だ」みたいなことを書いておられました。
・ただ、「色の白い」と同様に、絵が上手い漫画家はかなりな確率で大丈夫だったりします。原作付きなどいろいろな手段がありますからね。

・このマクラから、今後の展開を予想されましたか。

・さて、表紙の絵に惹かれました。表紙の絵だけはよくて中はダメってのや、カラーとモノクロの絵がちがいすぎるってありがちですが、中の絵もすばらしいです。

・ただ、話が超残念です。

・少女が100年前にタイムスリップします。そこで知り合ったものとぐだぐだやってます。

・タイムスリップものはとても難しいジャンルです。なぜかというと2つの世界を描く必要があるからです。元いた世界とタイムスリップした世界。

・さて、本作。元いた世界がよくわかりません。これが致命的です。だから、比較しようがないわけです。少女がショックを受けてることで「かなりちがうんだな」と読者は推測するほかありません。
・そして、舞台は日本ではありません。どこかヨーロッパ臭いところというほかはわかりませんし、主人公がどの時代の人かもわかりません。1800年の人が1700年にタイムスリップしたのを2005年の「外国人」がみてどうちがうか?って考えるのは、雑誌巻末のまちがいさがしクイズよりもむずかしいしめんどくさいことです。

・だから、逆に、多くのマンガ家は躊躇する分野だったりするんですね。1話目にいきなりタイムスリップしてるんですが、あきらかに情報が不足してます。「どこに」タイムスリップしたのか?じゃなくて、「どこから」タイムスリップしたのかという情報がありません。「まったく」とつけてもいいくらいです。
・しかも、タチの悪いことに、少女がもといた世界もどうも現代ではない感じすらあります。そこはキレイで美しい町ではありますが、時代や時間を感じさせる背景や小道具はいっさいありません。クルマも走ってません。それがオチのトリックになってたら本作は最悪です。
・どうしても腰をすえて描かなくてはならないので、多くのマンガ家が躊躇するんですね。

・本作は、「どこから」も「どこへ」もない状態です。タイムスリップじゃなくてもいいくらいです。パラレルワールドとかね。

・まあ、ともかく、設定としては「少女は100年昔の世界にたどりつきました。そして困ってます」ということを2話目までに「飲み込ま」ないといけません。了承しにくいんですが、そうしないと以後の話がわからなくなりますし。

・さて、ここまで書いてなんですが、作者は実は、とても背景を丁寧に描いておられます。だけど、その背景が「意味」するところがとても少ないです。
・たぶん、まちがいなく、「バックトゥザフューチャー」はごらんになっておられるでしょうが、作者の場合、あの精密な機械のような脚本の仕掛けをあまり重要視されてない感じです。あの映画は現在と過去の対比をかなり丹念に、ときにはベタだったり、かなり隠していたり、十重二重に仕掛けをほどこしてました。というより、ある点で、「仕掛けしかない」ような映画でした。すべての小道具は「対比」のために存在してました。たとえば、街並み。地形。カンバン。人物。
・それに比べて、本作は「大丈夫?」と思うくらい無策で気分優先のものになってるようにお見受けします。
・たとえば、少女がいたクリスタルベルと、100年前のクリスタルベルと、どうちがうのか、ベタベタな背景の対比とか、目立つ場所の対比とかすればいいのに。もっというなら小道具でもいいわな。人物でもいいよ。
・100年前の世界にいって、とりあえず家にいってみると、なにもなくてショックを受ける。さて、このマンガ、その少女がいたもともとの「家」の描写がないです。ビックリです。だから、ショックを受けてるってのは顔をみればわかりますが、同情しにくいんですよね。

・それでいて、突如似つかわしくない設定が顔を出します。彼女は実は理数系で100年前の発明少年が四苦八苦していた蒸気機関の問題を解決したりします。これにしても読者は「そうなの?」とハトが豆鉄砲をくらってるしかないんです。どうも、冒頭からの流れでは夢みがちで、おびえてる、どちらかというと文系の少女ってイメージがあったのがここでひっくり返ります。
・そして、オドロキですが、その後、その設定はあまりカンケイないです(少なくとも1巻が終るまでは)。

・そして冒頭に戻ります。それでも、絵が最高です。それらの欠点を目をつぶってあげることがギリギリできます。カワイイ主人公。やさしくてかっこいい100年前のトモダチ。謎の人物。丁寧な描写、絶妙の表情。とにかく主人公を筆頭に人間がとてもイキイキしてますよ。
・どことなくカルピス名作劇場やら教育テレビのアニメ、それに「バックトゥザフューチャー」ほかのなんだかほっとするようなほのぼのとした人物のやりとりはとてもいい感じです。

・まあ、だから、ガタガタでグラグラの舞台上で、一流の役者が、穴だらけの脚本や演出をそれでもがんばって演じてる劇という感じですかね。

・作者ももちろんですが編集ももっとアドバイスしたりなかったのか? 同人誌に描いてるんじゃないからよ。これをオールスルーだと、編集がいる意味ねえだろ? せめて設定だけでももっといっしょに考えてやればよかったのに。
(19:14:04)amazon

「DANCE DANCE DANCE!」2巻 森田柚花(マッグガーデン)

・最新刊2巻です。
・1巻から引き続いてます。100年前の世界でシュビドゥワなままです。つまり、少女が剣と魔法の中世に時空の間に落ちたってのの亜流なワケですよね。問題はファンタジーからファンタジーという舞台的な変化の味付けにタイムスリップを使用したのですが、あまり効果がないところですよね。

・で、ものすごい初歩的な、タイムパラドクスが登場してますね。
・運命を変えれば未来も変わるってな。ここいらはある程度割り切らないとダメなところです。
・敵も登場しました。市長に巣食ってる悪魔ってか。

・1巻では「バックトゥザフューチャー」をひきあいに出したのですが、2巻のところでは「ターミネーター」をひきあいに苦言を呈しましょうか。

・あ、絵は相変わらずすごいいいです。もっと地に足ついたものを描いてスキルを高めたらいいと思いますよ。

「ターミネーター」という話は、機械が人間を支配する未来から、機械にとって脅威な子供を生む母親を抹殺するためにターミネーターがやってきてそれをレジスタンスの若い兵士が阻止するという映画でしたよね。
・じゃあ、なぜ、兵士は片道だけの自殺行為に等しい旅に出かけたのか?

「DANCE DANCE DANCE!」では、どうも少女に未来を託した謎の男たちがいます。そして、彼女が未来を変えたら彼らは消える運命にあります。

[ベストセラー小説の書き方]という本によると、「自己犠牲」のキャラはうそ臭いから控えたほうがいいとありました。つまり、自分を犠牲にするにはするなりの理由や目的や考えが必要ということです。

・まだ、このキャラには目的や「意味」が見当たりません。実は、主人公もそうです。うやむやのうちに登場キャラと、いい町を作るためにがんばるということになってますが、その理由がわかりそうでわからないです。

「ターミネーター」の兵士はガードする女性(サラだっけ?)に恋をしてたんですね。彼女に会いたかったってのがその理由だったのですね。

・恋愛はこういうときにしのごのいわせない説得力をもつのですが、本作は、まだ、あまり恋愛要素が強くないです。

・さて、3巻ではどうなるのでしょう? いちおう3巻まではつきあいます。
(19:33:48)amazon

「まろまゆ」1巻 氷川へきる(メディアワークス)

・出世作の「ぱにぽに」は4コマじゃないのに、4コマっぽいイメージがありまして(まあ、「あずまんが大王」のパクリだと思っていたからだと思うのですが)、本作はバリバリの4コマなのがヘンな感じ。

・喫茶店を舞台とした4コマです。萌えない女子高生と猫とオタクなマスターが登場するやつです。あと「ぱにぽに」と似てます。

・ふと、おれってなんで氷川へきるが好きなんだっけかな?と自問自答したくなるようなまったりとした世界が流れてます。この場合の「まったり」ってのは、4コマ目でオチてない4コマやら、元ネタを見失いがちでありながらもノーフォローなので読み飛ばすしかないパロディものだったりが河口近くの流れでゆったりと過ぎていくところです。

・そのゆったり感と、みょうに肉感的な女性描写がアレなのかもしれない。エロいよね、氷川へきるの描く女性はどことなく。猫アレルギーのフリをする疫病神の妙子ちゃんなんかもエロかったし。あと、デカレンジャーのコスプレもズキュンときたしな。

・ああ、「ぱにぽに」より、そういったところは考えてるのかな? 一応アウェイだからいろいろと気を使ってるのかしら。

・しかし、おれってなんで氷川へきるが好きなんだっけかな?って自問自答するあたりが、もうワナにハマってますよね。

・本来、「おれって氷川へきるが好きなのかな?」まで巻き戻して考えることですから。
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「ぱにぽに」7巻 氷川へきる(スクウエアエニックス)

・7巻だってさ。
・アニメ化だってさ。
・つーか、終わりどころをまちがえたから、「ぱにぽに」だけのマンガ家になるかなと思っておりましたところ「まろまゆ」がありましたので、逆にすげえなあと感心してます。今のところ芸風は1個だけみたいし、結局のところ「ぱにぽに」の氷川へきるが描くナントカ!みたいな感じのマンガ家ライフになりそうですけどね。

・7巻はまた初心に返った感じで、バラエティ豊かに、悪い意味での脱線や偏重もほどほどに、1年C組のメンバーを中心に展開されてますね。
・ぼくは1巻から人物の把握が難しいんですけど、実は5巻あたりからちょっとわかるようになってきてます。だから、マンガスキルが上がってるんじゃないかと推測します。もちろん、おれと作者の両方ともです。おれは読むほう、作者は描くほうです。

・7巻ではボーイッシュになった姫子がよかったです。なんてことも描くことができるようになりました。おれの不断の努力の成果ですよね。
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