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ポトチャリポラパ/コミック/2005年
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2005年/9月
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2005年/9月/30日
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「ストレイリトルデビル」2巻 森小太郎(メディアワークス)

・2巻です。1巻のときは単巻モノと思って手にとったのでした。

・悪魔の世界に落ちてしまった少女はいろいろあって学校で過ごすことになりましたよ。
・そういう悪魔と神がいる「ハリーポッター」な話でございます。

・相変わらず超絶な絵でカワイイ悪魔少女やら神少女がたくさん登場して、なおかつよく動きます。あとなにがいる?って感じのマンガですが、2巻になってもまだ加速がついてるよ。2巻ではデフォルメが多くなり、それがまたかわいいんだもんなあ。

・でもってやや大河っぽい感じがありますが、それならそれでそっち方面にガンガン話を進めたほうがいいような気がするなあ。あと、キャラの固定化と明確化をそろそろしたほうが。なんか各キャラ、まだなんか事情がありそうな気がしますが、そろそろそういうの明確にしてストーリーに没頭できるようにしてほしいというか。

・しかし、カワイイよなあ。眺めてるだけで飽きない絵ではあります。
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「はるうらうら」1巻 たかまつやよい(双葉社)

「だって女だもんっ! 」ってのがたいそうエッチだったので名前を覚えてしまったマンガ家さんの非エッチなOL4コマです。

・社長の1人娘ですが、社長に溺愛されすぎてるのがイヤで、1人暮らしをはじめて、一応父親の会社にはいるんだけど、一切、その身分をばらさないようにしてるという設定。

・作者は男女で、かなり込み入った分担をされており(本作に細かい仕事の流れが紹介されてました)、それがとてもいい具合に混ざってるのですよ。男女のどっちにも偏ってないというかね。ただ、本作の基本はほのぼのですがね。

・基本的にはストーリー4コマな体制で、1本1話なカタチで4コマで落ちながら、薄く話が続いていきます。

・たとえば、社長が誕生日。娘からのプレゼントを心待ちにしてるけど、娘はころりと忘れてる。だから、メールとか、業務連絡(会社のね)で、それとなく伝えるも、取引先が倒産して、渡されることがなくなり、失意のうちに倒れてしまう。で、目覚めたら娘が実家で待ってて、プレゼントもくれる。ハッピーハッピーと1話。

・娘の天然のお嬢様っぷりと、社長の親バカっぷりと、会社でのキレ者社長ぶりなどの、ほのぼのとしながらも微妙なひねりがある。作画も「重い」んですよね。しっかりしてる。妙に肉感的な主人公だしね。こういうとき女性作画だと、そういうセクシャルなところを抜いてきがちですが、巨乳だったりしますからねえ。しかも、わりに無駄に巨乳。だってそういうマンガじゃないもん。

・まあ、しっかりした4コマストーリーマンガですね。ゲスト多数。
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2005年/9月/29日
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「麦わらドリル」原一雄(小学館)

「のらみみ」の作者の短編集。

・つまり、小学館には藤子不二雄が集まるということなんでしょうかね。「のらみみ」の作者はとても藤子不二雄だったということがわかるような短編集になっております。とくにF。

・たぶん、Fが現代の人だったら、こういうマンガを描いていた気がします。テイストがとても似通ってる。

・意外に王道と思われてる藤子不二雄氏ですが、愚直なまでの手塚治虫フォロワーから、Aの多趣味や西洋かぶれ、FのSF好みなどが加わり、独自の絵柄を模索しつつ、「F」になり「A」になったのですよ。

・そして、Fに顕著ですが、どうも「元」をいじるってのが好きみたいですね。たとえば、昔話をいじったり。自分の作品である「オバケのQ太郎」をいじったりもしてます。ただし、それは表層的な、安易な言葉での「パロディ」というのとちがって、もっと根本や根源から変えてるものです。

・もうちょっとぶっちゃけると、強烈な「自分の絵」があるから、それがパロディとはわかりづらかったりするんですよね。藤子不二雄はその「もと」を海外や日本のSFからいただいていたと思われます。

・そういった点で原一雄と藤子不二雄は似てると思う。姿勢というかね。

・アライグマが川の対岸でパンツを洗ってる「岸辺のあらいぐま」
・アイスキャンディーと夏の街を歩きます。アイスキャンディーくんはどろどろに溶けていきます。「アイスキャンディー君」
・夢枕に妖精が現れます。ひとつだけ望みをかなえるとのことなので、飼ってるハムスターの言葉をわかるようにします。「ハムスター日和」

・こういうナンセンス系。

・川原で背中に変な機械を背負って歩いてるオジサン。聞くと未来からタイムマシンでやってきたという「20世紀捜索願」
・チラシをもらう。怪獣と出会うことができるという。そしていく男「奇遇」
・世界が滅亡してオッサンが2人残された世界。そして、あるタイムマシン。「サンシャイン」

・こういうSFのショートショート系。

・いたる感じがします。「のらみみ」にいたり、原一雄にいたる。それぞれは習作であり、秀作です。で、よくできた短編集にもなっているわけです。順調に積み重ねてきた成果といった感じです。

・正直デキにはムラがありますが、それらも必要なことです。小田扉氏が「団地ともお」にいたるように、原氏が「のらみみ」にいたり、それまでの経過として本作があるのです。

・でも、いいですよ。
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「のらみみ」 3巻 原一雄(小学館)

・短編集「麦わらドリル」と同時発売の居候キャラギャグマンガ最新刊。

・つまり、「ドラえもん」があちこちにいる世界です。あっちでは「ドラえもん」ですが、こっちでは「オバQ」で、「チンプイ」で「スパンク」で「ハムタロー」で「ガンモ」だったりするわけです。
・そして、それを斡旋する仕事もあります。その斡旋所に居ついてしまった「のらみみ」を中心とした、居候キャラの事情マンガですね。

・よく3巻までつづいてます。だって、毎話、新キャラを創造しないといけないしね。それにネタをからめないとダメだし。それぞれ特性があったり事情があったりね。話もミステリ仕立てだったり、泣かせだったり。

・設定がひねったところにあります。最初からひとひねりしてあり、それをさらにひねることになるという、不利といえば不利なマンガなんですよね。なにが不利かって、いたずらに煩雑になったり、難解になります。それはカワイイ絵とかじゃフォローしきれなくなるところもあります。

・3巻ではややそのワナにはまった感じですね。おもしろいのですが、「麦わらドリル」のときのような奔放なネタの短編をみてると、この「シバリ」の多いマンガはキツそうだなあと思います。いや、もう1回書きますが、それでも鬼のように健闘されて「おもしろい」んですけどね。やや、その大変が透けてみえるような。そんな3巻でした。
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2005年/9月/26日
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「鉄腕バーディー」10巻 ゆうきまさみ(小学館)

・やっぱ、いろいろとフォローいれてても、どうしても派手にぶっ飛ばすって感じの展開に向かいきれないのがゆうき氏の限界なのかなと思う10巻です。

・じっくり丁寧に描くから生まれるモノは多いですよね。リアリティをはじめとして。でも、同時に損なわれるものも多い。そこいらの兼ね合いってのは悩むところではございますね。
・1エピソードとして10巻を超えるってのはやはり考えどころではあるんですよね。

・前提として「とてもおもしろい」というのは変わってません。だから、テンポというかリズムの問題になるんかな。あきらかに「停滞」「時間稼ぎ」ではないのがまたはがゆいところでねえ。話はちゃんと動いてるんですよね。

・10巻では、千明(これで"ちぎら"って読んでIMEで1発で変換できるとはね)の問題がひと段落ついた(わりとこれが煮え切らなかったのがやや消化不良な印象を持った原因かもしれない)。今度は主人公の姉の問題になるのね。
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「でろでろ」5巻 押切蓮介(講談社)

・霊に寄られる体質のヤンキー兄と、美少女の妹の、ホラーギャグマンガ。

・今回、「いいはなし」が目立った。これがとてもうまく決まってるんですよね。

・静かに花をみてほしいという桜の精の願いどおり黙って桜をみる話。
・今回背表紙にも登場の人気キャラの「カントク」と少女の原宿デートの話。
・過疎の村に1人で住んでいる少女の話。

・ここいら、すげえうまくいってるけど、あえて、そっちを追求しないのがいいですよね。あのー、「ダメおやじ」ってマンガがそうだったんですよね。家族中にイビられるってマンガだったのに、ほのぼのウンチクマンガになったんですよね。

・とりあえず、このマンガの一番の怪奇現象は登場女性キャラがカワイイことですよ。それは相変わらず。なぜだろうね?
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2005年/9月/25日
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「オレンジでりばりぃ」3巻 ボヘミアンK&宗我部としのり(JIVE)

・世界で一番おもしろいカーリングの「物語」です。マンガはぶっちぎりで世界一です。もしかしたら、西洋の方で、視聴率平均70%というお化けカーリングドラマとかあるかもしれませんが、それよりまちがいなくこっちのほうがおもしろいです。

・そして、ふと気がつきましたが、スポーツマンガを意図的に避けているおれにとってかなり珍しいスポーツマンガです。なぜ避けてるのは長くなるので省略です。

・1巻はギャグが強調されており、はちゃめちゃなキャラ主体に展開して、2巻ではそれらが部として成立しつつも、カーリングの基礎の基礎を描き、3巻からついにスポ根マンガとして本性をみせはじめるですよ。

・存在を匂わしていた2人の重要キャラが登場です。いわば、ライバルですか。そして、ぐいぐいと熱い展開になっていくんですよ。
・スポーツマンガはわかりやすいんですよね。決まったルールのもと勝敗がはっきりと決まってるところで勝利を目指すわけです。そりゃああんた燃えるわけです。でも、それは短期集中型になりがちなんですよね。瞬間湯沸かし器的にボッと燃えて熱くなって消えると。
・それは飽きやすいって弊害もあるわけです。だから、スポーツマンガはコストパフォーマンスの点ではやや弱いわけです。って、結局、省略しないで書いてしまいましたね。

・本作もスポーツマンガである以上、その轍を踏んでいるはずです。たぶん、飽きるでしょう。でも、現在は超燃えてるわけですよ。ボーボーですよ。

・しかも、そのスポーツマンガとしてかなり忠実な展開です。3巻はいわば特訓編です。ちゃんと丁寧にいろいろなエピソードをはさみつつも特訓してるんですよ。ちゃんとルールも戦術も織り込みつつ、ギャグまでまざってるし、おっぱいもあるわけです。テンコ盛りですよ。

・いや、2005年は宗我部としのり大躍進だったんじゃないですか。アニメ化もありましたしね。

・本作まちがいないです。オススメ
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2005年/9月/24日
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「デス・プリ」1巻 吉田蛇作(小学館)

・おお、吉田蛇作が小学館から。
・ってほどくわしくないんですけどね。

・たぶん、最初期の「蛇作地獄」ってのは持ってます。あと、何作か、雑誌で読んだりして知ってます。というくらい。

・でも、覚えてるのはこのペンネーム(もしかしたら本名かもしれないけど)が異様に残るものだったんでしょうね。内容のほうはそう覚えてなかったし。「あ、吉田蛇作が小学館から出てるわ」って理由で買ったんです。

・幼馴染と久しぶりに再会したら、幼馴染には異世界の女王になってて、地球を征服しにきてたのでした。

・そういう設定で、美少女との同居コメディ。

・エッチはパイオツどまりですね、今のところか、これが最露出ラインなのかはよくわかりません。

・と、読んでいるうちに、このメーターの振り切れた感じがとてもなつかしいなあと。

・世界征服を軸としてドタバタということで、構造は「ケロロ軍曹」ぽいか。

・で、最初は幼馴染のみりこさんの世界征服としばらく異世界にいたということ、そのときにつれてきた従者(魔女っ娘のお供みたいなの)などの奇行がギャグになってましたけど、そのうちに他キャラが主人公の男も含めて奇行に走っていくのです。

・普通の人間の奇行のほうが笑えるってことですよね。

・最高なのはみりこの親ですね。ずっと行方不明の娘が突然帰ってきてどうしたか? かなりアングリしました。

・ということで、後ほどぶっちぎれてていい感じになってます。このまま変な人ばかりでる変なマンガでいってほしいです。

・いいです。2巻では爆笑できそうな予感があります。そのときに謹んでオススメしたいものです。
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2005年/9月/23日
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「トランスルーセント 彼女は半透明」2巻 岡本一広(メディアファクトリー)

「透明病」という奇病がある世界でのラブコメです。タイトルどおり彼女が半透明です。

・と、キャラの立つがままに2巻は展開していきました。これは正解でしょうね。

・彼女はおとなしくて目立たないタイプの女性で、自分の目立たなさとかを自分の透明病に重ねてしまうような感じで、どうしてもまわりがぐいぐいと話を引っ張っていかないとダメじゃない? 話が動かない。

・ということで、彼氏の唯見と生徒会長の大河内の2人がぐいぐいと話を引っ張っていく感じ。

・もちろん、そこで、完全にそっちのほうにフォーカスを合わせるわけでなく、主人公は主人公ってことで、ちゃんと立ってるし、透明病のほうもしかり。

・だけど、大河内さんですよ。7幕と8幕でのほぼ主人公をはる2話はサイコーです。その後もかなりいい脇役としてカッコたる地位を占めてます。

・キャラを読者にわかってもらえばそのマンガはほぼ成功です。だから、本作は1巻の時点で成功済みです。それをより強固なものとした2巻です。すべてによくなった2巻です。

・ただ1点、話のキモである、「透明病」の割合がおれ的にはほんのちょっと少ないかなと。「サトラレ」ほど緻密な詰め将棋的に世界を構築しろとはいいませんが、もうちょっとだけ。このままキャラ主体のラブコメになってもそれはそれでOKなんですがね。
オススメ
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2005年/9月/22日
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「アカシヤの星」3巻 たくまる圭(小学館)

・最終巻。
・本編は、「そりゃあ泣くよなあ」という展開でした。子供がらみの泣かせに弱い人はオイオイと泣けるでしょう。

・多国籍タウンのアカシヤ商店街の幼稚園の物語でした。泣かせます。

・それよりも、同時収録の中篇「僕らは長く夢をみる」がよかった。

「俳句甲子園」て、年に一度松山で行われてる俳句の甲子園ですよ。これを題材にしててね。本格俳句バトルマンガというとても珍しくもおもしろいものがあります。
・その戦い自体のおもしろさ、俳句のおもしろさ、そして、たくまる圭氏のキャラなどが凝縮されてて、とてもそれがいいアクセントになってます。そして、青臭い。こういうのがなかったらたくまる圭じゃないですしね。
・そして、あからさまな泣かせじゃないのに読後の感動は、「アカシヤの星」3巻分にも匹敵します。
・だから、ぜひ、連載化してほしいと思いますが、半端じゃできないくらいハードルの高い連載になりそうですよね。だって、俳句を考えないといけないしさ。何十倍の負担になるじゃん。
・でも、俳句っていいですよね。そういうことを思い出しました。そして、俳句とマンガは相性がいいですね。

・ということで、機会がございましたら、ぜひご一読を。本編もいいですよ。
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2005年/9月/21日
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「ワイルダネス」4巻 伊藤明弘(小学館)

・なるほど、オビにある「ハードボイルドアクションの最高峰!!」というのは素直にうなずくのです。

・アメリカを舞台にそれぞれの事情があって逃げてる日本人3人(うち女1人)。それぞれの事情ゆえにそれぞれおいかける3組の追っ手。
・という「パックマン」がまだまだ続いてる4巻です。追いつ追われつです。

・個人的に伊藤氏の最高峰と思うのは、テレ隠しがないことじゃないかと思うのです。ここいら、うまく説明できるか自信がないんですが、たとえば、代表作である「ジオブリーダーズ」はいくつかの「なんちゃって」的な展開があります。スカすというか。

「こんなこと描いてみたりして」ってテレ。おちゃらけ。

・おれはあまりくわしくないんですが、もともとエロ方面の方みたくて、そこから派生しての「ジオブリ」には、その名残みたいのがありますが、「ジオブリ」のありとあらゆる意味での「成功」と、技術の向上により、本作があります。

・で、本作はテレや逃げ的な要素がないんです。あー、ちょっと表現訂正しようか。ないように見受けられます。

・つまり、おれには、内藤陳氏が紹介していた海外ハードボイルドや、数々のアクション映画、もちろん歴代のアクションマンガと比べても、まったくヒケをとらないものになってると思われるのです。だから、最高峰です。

・さて、そう思ったのも4巻ではまたかなり難しいことに挑戦されてますからね。

・追われる生活に精神的にも追われてきてる娘さんが深夜の廃墟のドライブインで妄想と戦った末に味方を誤射。そして、あてもなく逃げ出す。そこを追っ手が。って展開。

・銃を1発撃つことの意味。その重み。これまでと逆を描こうとされているのですよ。ドンパチのシーンはかなり大事です。というか、そこが売りだった伊藤氏です。でも、そこを抑えられるだけ抑える。動と静の静を重点的に、ちゃんと描こうとしてる意欲を感じられるのですよ。

・だからといって「抜いて」るところは皆無。実はちゃんと「テレ」や「逃げ」に該当しそうなコミカルな要素も混ぜ込んでいる。

・ということで満喫です。4巻は砂漠がメインの舞台でしたが、読んでるこっちも口の中に砂が入ってじゃりじゃりしてるバーチャル体験ができるほど、最高峰でしたよ。まだ、4冊。洋画のDVDより安く手に入りますよ。どうですか?
(13:40:43)


「デビル17」3巻 豪屋大介&西条真二(角川書店)

・すげー強くてモテモテの高校生がドッカンドッカンやるマンガ。わーい。

・3巻では主人公のD-17のライバルのD-13が登場しましたー。

・ということで、いい意味でとても安い感じが、「ああ、ジュヴナイル(今だとライノベですね)ってこんなだった」と懐かしく思い出されます。

・銃弾1発に重みがあるのもいいですが、シャワーのように降り注ぎ、虫のように人間が死んでいくってのもそれはそれでいいもんです。こういう作品は若者の心のバランスをはかるためには絶対に必要です。

・そして、若者でないおれの立場からは、なんか、処女みたいな乳首ばかりだよなあと。みんな「大きい」のはいいんだけど、みんなコピペしたようなオッパイの形してるし。

・そう、エロもアクションも、もうひとサジくらい過激なのがいいかなあと思ったりします。

・しかし、エロもアクションも本作よりかなり控えめだった「鉄鍋の醤」(西条真二作画ね)のほうがすべてに過激に映ったのはなぜだろう。ここいら奥が深いところです。
(13:57:48)


「ナッちゃん」16巻 たなかじゅん(集英社)

・女だてらに工夫と技術と情熱で父親の残した鉄工所を守るべく奮闘してるナッちゃんの活躍を描いた1話読みきりの鉄工マンガです。16巻にまでなりました。

・ナッちゃんもここんところ色気づいてて、出入りの業者の辻口さんって男とのあまりぱっとしない進展ぶりが、辻口のお母んやメガネっ娘キャラの知佳ちゃんなんかも巻き込んであーだこーだとにぎやかしい16巻でしたな。

・で、この手のマンガのぱパターンとしてうやむやと。まあ、進展して、恋人付き合いするってのも手なんですけどね。最近はそっちのほうが主流かもしれないな。「美味しんぼ」の2人も結婚したし。

・ま、知佳ちゃんの色仕掛け作戦なんかでのマンガ描写なんだし、もっと夢があってもいいんじゃないか?と思わせる、妙にリアルな腰まわりの肉付きとかは、やっぱりたなかじゅん氏はマジメな人なんだなと思わせます。あるいは、どすけべえ。樽ドルチックでね、ほかであまりみない感じ。

・というか、最近表紙とかも妙に色っぽくしすぎなんとちがいますか? 必要以上のフェロモンはいやらしいというより「もったいない」感じがします。
(14:16:27)


2005年/9月/20日
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「ひとひら」1巻 桐原いづみ(双葉社)

・双葉社の「コミックハイ!」に連載されてまして、この雑誌自体が一回休刊になって復活したときに、そのまま復活してるそうです。すなわち、人気があるみたいですよ。

・演劇マンガですね。演劇部と演劇研究会のある高校に入学した内気なあがり症の少女を主人公に据え、はじまる物語。

・基本的にキャラが命で、それぞれのキャラの微妙な関係やその変化を丁寧に丁寧に追っかけていくタイプのマンガです。なんか、含むような書き方をしてますが、あまり気にしないでください。

・やっぱり、気にしてください。つまり、あまり語るところがないわけです。人間の好き嫌いと似てるところですね。本作に登場するキャラを好きになれるかどうかってのがとても大きいと思いますね。

・極端なあがり症ですが、「声」が魅力的な主人公が、ひとくせのある部長他の演劇研究会の面々に、演劇部の面々にふれあい、成長するという骨子で、それぞれのキャラを好きになるか嫌いになるかという感じですか。

・そういうマンガなので、キャラは当然、描き分けられてますし、それはかなり巧いです。話の方向は、いわゆる少年誌にありがちな、「優勝」とか「勝利」的なものとは無縁です。とくに復活後はさらにマッタリしていった感じ。
・絵もいいですね。おれは表紙でいわゆる「ジャケ買い」したんですし。まあ、双葉社だし、「アクション」じゃないから、エッチなのかなーって淡い期待があったことは内緒にしておこうとは思うのだが。そこいらはまったくでした。

・んまあ、このマッタリした感じはちょっとよかったかな。ただ、地味ではあるので、2巻とか出てても気がつかない可能性があるです。
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「ほいきた! りんご組」江咲桃恵(白泉社)

・久しぶりに少女マンガ系のギャグはどんなことになってるのかしら?と思って買ってみました。「LaLa」連載ですって。

・女性による理系ギャグというスタンスです。えーと、キャラの特性や設定は細かくあるみたいですが、基本的に、それを無視しても楽しむことができるようなネタで勝負してます。学園ネタがメインですかね。

・足が速い友人に「梅雨どきの牛乳みたいだよ」とホメたり。
・友人の家に泊まりにいったら、石鹸と米酢があり、それぞれシャンプーとリンスとして使えといわれたり。
・両手が荷物でふさがってる状態で、押して開けるタイプの自動ドアを頭突きで開ける少女とか。

・と、まあ、基本は「あるある」ネタであるのですが、そこいらのネタを汲み取るセンスは独特のものがありますね。んー、近いラインでおれが知ってるマンガ家でいうと、辛酸なめ子氏に似たものを感じます。方向性と実際に取り上げてるネタはかなりちがいますが。

「あるある」ネタだけに、爆発的な笑いはないし、その「あるある」は当然ながら女性のそれに特化されてますので、おれは逆に「へえ」と感心したりもある感じ。

・たとえば、英語のリーダーのときに感情を込めて、女性言葉で訳して読んでる少年におもしろさを汲み取ったりね。そういう視点はありそうでない。そういうのが随所にあります。ファーストフードで、「おしおき」と称して、席をはずした彼氏のアイスティの残り一口の中にレモン液を全部投入して知らん顔してるってネタとか、まったくおれの中にないタイプのものです。

・その結果、読んでいくうちに妙にそのリズムにのってくるんですよね。けっこう「ククク」的な笑いがありました。

・だからトータルで、いい意味での「変なマンガ」といえます。たまに絵で落としたりするのが意表をつかれてていいです。とくに最後のほうの「イカ」はなにかツボでした。

・ちなみに絵は辛酸なめ子氏よりずっと巧いです。ただ、上手な部類には入りませんが。
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「ぺし」1巻 風呂前有(講談社)

・最初はみくびっていたけど、ちがうんですね。このマンガはかなり侮れないものがありますね。

・東京の男の子が大阪の小学校に転校してきて、みおちゃんという天然の美少女ほかに振り回される、萌え系ショートギャグ。

・というよくあるもんだと思ったのですよ。実際、「そのとおりじゃないか」と思った方も多いかもしれない。

・ポイントは小学生女子の下ネタに代表されるような、「いらん」ネタにあると思われます。後半から「どうしたん?」ってくらい暴走してきます。

・冷静に考えて「そこまで描くか?」ってネタです。たとえば給食を食いながらウンコの話をする小学生です。してたような気がしますが、現在だとえんがちょですよね。
・あと、校外で掃除しててエロ本をみつけるってネタとか、ウサギの金玉の話とか。

・男子がテレてて女子が堂々としてるってのもポイントかもしれない。いつか逆転するんですが、それがまだ「幼い」ということを強調させられる仕掛けになってる。

・それは、表紙にあるとも思われます。表紙にはみおちゃんが描いてありますが、彼女の目のはしっこにはミゾみたいのが描かれてます。実際の人間にもあるやつです。あのー、目の鼻のほうのはしっこのところに目くそたまるところあるじゃないですか。あれ。前に細野不二彦氏が鼻の下のミゾをギャグにしてましたけど、それを思い出しました。

「そんなん描かなくてもええやん」

・と、こう思われるネタをキヒヒと笑いながら「なら描く」と、描いてるいじわるな作者が想像できそうです。
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2005年/9月/19日
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「デビューマン」2巻 吉本蜂矢(少年画報社)

・7年ぶりの2巻だそうです。おれはそんな待ってません。
・たしか、1巻は、「ヴィレッジヴァンガード」ってスカした本屋で、CDとか雑貨もあるようなハイカラなところなんですけど、どんどんマンガ系の品揃えやスピードやその他もろもろがアジャパーなことになってる本屋で、「昔のマンガだけど絶対におもしろい」みたいなポップに、「あ、これをけちょんけちょんにけなすとおもしろいかな」というダークサイドのおれが全開で買ったのでした。

・まあ、実際、1巻はあまりおもしろくなかったように思います。なぜなら、この2巻を買うのに躊躇してましたもん。

・ところがこの2巻がとってもおもしろいから大笑い。いや、実際、声をだしてゲラゲラ笑いました。

・なんだか、久しぶりだなあ。ある点で直球の笑いかもしれない。感じとしては古谷実氏が「稲中」のころにはあふれんばかりにあった種の笑い。そして、いまや、搾り出さないとない感じの。

・3人の男子高校生の煩悩まみれのおバカライフですね。1巻読んでなくてもわかると思います。おれは読んだけどきれいさっぱり覚えてなかったのに、ゲラゲラ笑いましたし。

・この理屈ぬきで無防備で安心して笑える感じは久しぶりです。もう油断して「こいつらバカだー」と笑う感じ。

・ほれ、上記の古谷実氏なんかが顕著かもしれんけど、ギャグだけにとどまらないじゃないですか。油断できないというかね。
・あと、パロディものもおれにはほんのちょっとだけ構えたりしますよね。元ネタわからないって緊張があったりしますからね。そういうのもあまりないです。
・その代わり、時事ネタがありますし、7年のスパンで書かれてるのか、ドリームキャストネタとかもありますよ。「はなまるマーケット」とか。

・後半ほど、描かれてる時期が新しいということですが、絵がどんどんすばらしくなってますが、ギャグがブレてないのがすばらしいですよね。ほら、江口寿死とか絵がうまくなると反比例してつまんなくなったじゃん? 226pのトビの表情と、背景なんか最高でした。

・ということで堪能です。いまどき珍しいくらい無防備で笑えるので、笑いたい方、オススメ
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2005年/9月/17日
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「ディエンビエンフー」西島大介(角川書店)

・西島氏はまだ挑戦中ですね。

・今度は戦争だ!ってか。ということで、「世界一かわいい、ベトナム戦争」が本編です。

・ソースは忘れたのでもうしわけないですが、サイン会にいった人によると、全5巻の構想による1巻目です。そう考えると大変におもしろいベトナム戦争マンガです。これで終わるなら打ち切り丸出しマンガです。

・1965年、ベトナム、サイゴンで従軍カメラマンのヒカルが出会った11歳の少女。彼女はヒカルの目の前でアメリカ軍兵10人くらいを抹殺した。そして、ヒカルの「ハートを撃ち抜く」と。

・ファンシーな戦争という、ありえない構図がキモで、「世界一かわいい〜」なんてオビのコピーがつくのですが、その実、かなりスプラッタな展開でね。ありえないくらい人が死んでいくマンガというのが、ありえなくないって事実だったという相反するところを描き出すのがキモなのですかねってなに書いてるのかよくわかりません。

・ま、毎回、気持ちよく首が飛んだり、血が出たり、バリバリ人が死んでいくマンガです。そのために西島マンガ1動きます。少女は宙を舞い、泥に潜り、銃弾をかいくぐり、米兵を殺して回ります。

・あ、書いていて思ったけど、彼女=ベトナム兵の象徴ってことなのかしら。

・あと、基本的に「ファンタジー」を描く人ですね。「凹村戦争」では現代、「世界の終わりの魔法使い」では架空の世界、そして今度はベトナム戦争を舞台にしたファンタジーなのか。

・でも、そういう小難しい理屈で本作を語ろうとするのは、西島氏の狙い通りって感じがしてイヤなので、随所にあるエロシーンがやっぱり巧いよなあとポトチャリポラパらしい感想を。
・まあ、基本的に細かい描き分けできるような人じゃないからみんないっしょだけど、11歳の少女なのでロリ度が高いですね。で、圧倒的に強いってことで、エロティックです。

・続刊を待ってます。
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2005年/9月/16日
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「異郷秘話」羊崎文移(今日の話題社)

・たぶん、2005年最大の「残念賞」ですね。
・S級におもしろい話に、0点の絵という組み合わせです。よくありますが、これほどキレイに分離してるのは久しぶりにお目にかかります。たとえるなら、鹿児島産の黒豚のカツを一流料亭の方がつくった出汁と最高級の烏骨鶏卵でとじたものを、紙粘土を小さく丸めて白米としたものの上にかけて「さあ、召し上がれ」と。あるいは、松坂牛の最高級のフィレ肉をさっとあぶったものに、有機栽培のニンジンなどのグラッセを添えたものに、最後の仕上げとばかり、一面に火をつけたヘビ花火が皿の上でニョロニョロと蠢いているのを「さあ、召し上がれ」と。

・東京「24区」の「時和区」を舞台とした、架空の懐かしい話。
・主人公の女性の家は時和区で豆腐屋を営んでいましたが、店主(父親か)が死んだために店じまいをすることになりました。
・そこで、時和区の思い出を記録していこうと。

・帝銀事件などの終戦直後の5大謎事件と呼ばれる時和区での事件の真相を探ろうとか。
「雷屋」デパートの謎とか。
・人が住んでいない団地にいったり。

・彼女の目を通して今まさに消えゆく「昭和」を「記憶」していくというマンガです。

・その展開はなに?と思うところもありますが(アニメのサントラを延々聞いてたり、自己反省の必要以上と思われる長さとか)、題材自体、とてもとても魅力的なものです。
・とくに、雷屋の謎の話は、ぜひ、モデル元であろう、浅草の松屋とかの、さらにモデルになった画像をひとめでいいからみたいと思うほど。まあ、絵がアッチョンブリケだから余計にそう思うのですね。

・そうなんですよ、なぜこの作者は「マンガ」という表現法を選んだのだろう? そして、なぜ選んだ、その大事な構成要素である「絵」をないがしろにしてるんだろう。デフォルトで下手ってのもあるんだけど、どう考えても仕上げが雑とか、インクが切れかかってるのかカスレだらけの絵は描き直そうと思わないのか?とか、キャラを斜めにレイアウトすれば、単調なコマ運びがごまかされると思ったのか? とか、解せないところが多いです。

・まあ、マンガが「好き」なんだと思うけど、税別で850円という値段、逆に文章だけだったら意外におれはOKかと思ったけど、絵がねえ。足を引っ張って、値段を高く感じさせたりね。

「マンガの絵なんてなにが描いてあるかわかればいいんですよ」なんて、内田春菊氏は「笑っていいとも」かなんかでおっしゃってました。その是非はともかく、絵はそれだけで武器にはなる、マンガ家にとってはとても重要なものと思われますし、ものすごいぶっちゃけて、なおかつ、かなりフォロー気味にいうとしたら、「もっと絵の練習したら?」といいたくなるものではあります。
・なにが描いてあるかわからないのか?っていうと「いや、かろうじてだけど」と答えておきます。

・だれか、ちゃんと背景を描くことができる人がリライトしてほしいなあ。あ、するりとぶっちゃけ。

・ちなみに、作者はアウトサイダーアートを気取ってらっしゃるようですが、んー、それはそれで微妙に方向性がちがうんじゃないかなと。まあ、本作が作者にとってどう位置するモノで、他にどういうものを描いてらっしゃるかは、残念ながら興味がないんですが、絵の巧いパートナーをみつけるか、原作者を目指されたほうがいいんじゃないの? それが「話」のためでもあると思われますよ。
・流行の言葉でいうところの「もったいない」と。
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2005年/9月/15日
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「すもももももも」2巻 大高忍(スクウエアエニックス)

「これが王道! これがラブコメ!!」
・などという大きめの風呂敷は、さすがにアレかと思いますが、好調の2巻ですね。

・格闘ラブコメみたいなカタチの1巻でした。許婚のもも子さんは年中発情してる則巻アラレみたいな超絶パワーのチビッコでした。そして、彼女とヘタレの彼氏をつきまとう刺客が次から次へ! という展開でしたが、その中の1人が最強の妹キャラとして活躍していた2巻でした。

・もともと、もも子さんがチビッコだったので、その妹キャラである「いろは」さんとちょっとかぶってる感じはしましたけど、どっちかというと変則ハーレムな、2巻からの展開のほうがすっきりしてていい感じではありますね。愛の刺客ってか。

・で、普通の方と思われていた、年中顔を赤らめてるメガネっ娘+委員長もその愛の刺客だったぞなもしというまま10月発売の3巻につづくといった次第です。

・なぜかモテる主人公のオトコってのが「王道」ですよね。ラブコメの王道は、読者に近い、わりと長所がみつからない(かといって著しい短所もない)同性(オトコ向けはオトコ、女向けは女)が主人公で、理由もなくモテなくてはいけません。

・相変わらず、スムーズさが欠けた、急ブレーキ&急発進な、アクセルもブレーキも全体重をこめて踏んでるような展開も、もしかしてそれが「売り?」って気にもなってきました。

・イキオイってことでいうと、おれは最初期の「ONE PEACE」を思い出しました。イソップが登場する前あたりまでの。
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2005年/9月/13日
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「ロボこみ」4巻 やぎさわ景一(秋田書店)

・4巻で最終巻。んー、他の出版社なら妥当と思うけど、秋田書店なので、いろいろと考えてしまう。ちょっとしたことで大河連載になりがちな出版社じゃないですか。
・ただ、「なかったこと」にするのもトクイな出版社なので、ちゃんと終わったのは喜ばしいことですね。

・ロボットなのに、まわりは美少女と思っていて、主人公の石上くんだけ、どうみてもロボットにしかみえないという基本設定で、ロボットのところが、幽霊だったり、宇宙人だったり、エスパーだったり、化け猫だったりするんです。そして、それなりにモテるという、変なキャラで固められたハーレムものになってます。

・4巻で終わったというラインで「理由」を考えるとするなら、キャラは思い切り振り切ってる「はず」なのに、妙におさまってる感があるんですね。コマの中にキレイにいておとなしくしてる感じですか。

・でもって、長年アシスタントをやった「浦安鉄筋家族」の影響が強く、オチのパターンとか、理系ギャグ的なのとかもありますが、それのはじけ具合もおとなしい感じ。

・まあ、律儀な人柄がよくあらわれてますよね。ものすごい常識人だともお見受けします。

・正直、活路は「エロコメ」にあると思います。4巻でもけっこううずくところはありました。連載1話目から考えていたっぽい最終回のアレもとてもいい感じ。 ああ、もっとやわらかい表現だと、ギャグより萌えを追求気味にしたほうがいいんじゃないかな。
・あと、思い切りやれるように青年誌はどうよ?

・ということで、おれはまったく肯定ですので次回作超期待。
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「魁!! クロマティ高校」14巻 野中英次(講談社)

・刑事編だそうです。
・アニメ化が決まって映画化が決まってゲーム化が決まっても、クロマティに訴えられても、変化がないってすごすぎますが、芯がブレまくってるってのがさらにすごい。
・基本はもはやあとかたもないんですよね。作者自身も5話先も想像ついてないんじゃないか。

・いきなりプロレスからはじまってます。そして、「出せ」っていわれたから「出すよ」とばかり、人気のあるみたいな、メカ沢とゴリラがこれまでにないくらい活躍して、KISSみたいな顔した不良の会議ネタが続いたと思ったらトートツに学年が変わるわけですよ。それで、下級生が入ってきます。

・まあ、楽しくやってください。おれはワンパターンでもなんでもゴリラとフレディが登場したらかなり幸せです。メカ沢は普通です。だから、14巻はかなり幸せでした。フレディがもっと出るともっと幸せだったかもしれません。
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2005年/9月/11日
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「もてね!?」甘詰留太(白泉社)

・純粋「成年コミック」の「キミの名を呼べば」ってのは名作なんですって? あまり最近のエロマンガ家さんを知らないおれの耳にも届いてました。たしか、「週刊現代」だか「週刊ポスト」の成年コミック傑作選に載っていたんですよ。

・で、名前はつねづね。で、縁がありましたので、というより単巻だったので本作を決めました。

・幼馴染の操は毎朝主人公を起こしにくる。その急速に育ってる身体を押し付けたりしながら。
・で、家でも学校でも従順になついてる恋人的なものと思っていたら、操はある日婚約してしまう。
・それはそれとして学校を卒業するまでは「いつもどおりでいたい」と主人公にいう。

・彼女の真意は? 2人の間の進展は? といった感じで展開していくラブコメです。

・エッチシーンは主人公の妄想と、天然な彼女の無意識のエロポーズとかでまかなってます。

・ポイントは「あばら骨」かなと。オッパイがあるけどあばら骨も浮き出てることで、成長期の少女をアレしてるってことですよ。

・あと、なんか非常に水分を感じる描写ですね。べっとりじゃなくて、中に水(つまり血液)がつまってるなあと思わせるようなしっとりした描写。

・あばら骨+しっとりってことで、なるほど、こりゃ人気が出るわなと。

・話のほうも、主人公の野球部を止めたいきさつや、婚約者、野球部のライバル、メガネっ子と、非常に堅牢な展開です。安心してエロに没頭できる頑丈なレールがしかれてます。

・そして、エロのほうもあからさまなほどたっぷりあります。

・というか、これほどエロ妄想してて毎朝夢精してるくらいで、なおかつリアルでもなついてくるカワイイ幼馴染がいて、どうして、ここまで距離をとっていられるんだ、この主人公?と思うくらい。

・いろいろなところに力が入りすぎている感はありますね。完成度は高いけど、読むほうにもやや緊張を強要しているような。

・あー、ちょっといいフレーズ。内容がつまりすぎてこのマンガは圧縮ファイルになってるんですよ。だから、読者がそれぞれ解凍して読まないとダメな感じ。それもまた心地いい緊張でもあるんですけど。
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「パワフル・ガールズ!」大波耀子(幻冬舎)

・エロいマンガと思って手に取ったのですが、予想以上にエロくて赤面してしまう感じでした。

・エロマンガ集です。作者のバイオグラフィとか知りません。あと、知りませんでしたが幻冬舎っていつの間にか、手広くエロを手がけてらっしゃるのですね。幻冬舎を中心として、エロ作品を集められてます。

・基本的にパイオツデカ子さんがかわいらしくみだれるという感じです。シチュエーションはこってます。そして女性視点ですかね。

・競馬にうつつを抜かしてる「先輩」にグラタンを作ってあげる後輩。でも、ペットとしておねだりしないとやらないとかいってエッチになだれこむ「懲りない彼女」

・姉のウエディングドレスを作るデザイナーの弟。でもって肉体関係あり。採寸しながら「忘れられないよ」的結合「幸せになるために」

・満員電車で痴女していたしてしまう「女子大生に御用心」

・ああ、女性が積極的ってのがおれのツボなのかしら。

・あと、ポイントはかなり試行錯誤されてもおられますが、オッパイ描写ですね。存在感があります。とくに乳首まわりが。そして全体的に「つゆダク」になってますし。

・テンションが高くて、あくまで明るいトーンに統一されてるのもいいですね。

・と、丁寧にエロいですよ。エロがすべてに優先しているので、安心して興奮できる一品です。
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2005年/9月/10日
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「のの美捜査中!」2巻 重野なおき(白泉社)

・1巻は「1」とついてませんでした。そしてあとがきに「売れるようなら続刊がでます」と書いてました。で、なんとはなしに不景気を感じましたし、厳しい世の中と感じるとともに、シビアだけど合理的で理にかなってるとも思いました。

・さて、そういうことをぶっ飛ばすイキオイで重野なおき氏は売れてましたね。おれは「のの美」以降のファンですが、ちょうどそれくらいからガーンとでてきた感じがします。もちろん私見ですが。各書店の4コママンガ枠の中でもけっこう割合が増えてきてるような気がします。

・で、2巻です。
・どうみても小学生にしかみえないロリというよりチビ、でも、東大出の才女で推理抜群ののの美が大活躍の「ありそうでなかった四コマミステリーギャグ!」です。

・1話完結で4コマ1エピソードでつづきます。これが1巻ほど「ミステリー」じゃなく、ほかの刑事のキャラにややおんぶにだっこな感じになり、のの美と、パートナーの軍平とのプチラブロマンスもあったりします。なにより「謎解き」が毎回じゃなくなります。
・まあ、つまり従来の4コマっぽくはなってきてます。それが是なのか非なのか。おれはプラマイゼロのいってこいかな。

・それでも、刑事モノの4コマとしては、あまりほかに例がないですし、話題の広げ方や、キャラをうまく配置してたりね。アイドルを1日署長とか、署内でドラマ撮影とか、身辺警護など、うまくからめてきてるしねえ。

・今、4コママンガ全部をならして、ひとつの国を作るとします。その場合、世界の中心にいるのは重野なおきかもしれません。愛を叫ぶかどうかはともかく。これは平均点ってことじゃないですよ。すべての点で「真ん中」にいる。つまり、王道。すなわち王道。2005年度の4コマの「スタンダード」です。

・どうかな?

オススメ (22:28:24)amazon


「ひがわり娘」4巻 小阪俊史(芳文社)

・4コマ王子の最高傑作であり、最高ヘタレキャラであるまみさんが登場です。

・毎回性別とトモダチ以外の設定がガラリと変わるヘタレ女子の笹木まみさん。たとえば、金がないからアパートに冬眠する笹木さん。マミアナ共和国の通訳として活躍する笹木さん。路上のフォークシンガー、卒業式、手紙を書く、などなど、毎回、シチュエーションがちがうわけのタイトルどおりの「ひがわり」な感じで話が展開するんですよ。

・ということで、田舎にある広大な体育館3つ分くらいの家具屋くらいある引き出しの多彩さですよ。その多彩さに反して、ブレてない、笹木さんほかの性格など、舌をまくほかない4コマのマエストロですよ。マエストロってどういう意味?

・と、4巻ではあとがきが興味深かったですね。やっぱしんどいのね。かなり毎回大変だという弱音がありました。それがまたヘタレキャラのマンガらしいともいえますが、真剣に難しいことをしてるとは思いますよ。

・実際問題、設定ができて、キャラができれば、あとテキトーにエロや萌えなシーンをいれれば「もえよん」やら「きらら」で連載もてたり、本を出してもらえたりする世の中で、それと真逆の方向に進んでるんですからね。

・5巻で100回いきそうですが、その先はわからんとあとがきにありました。たしかにそうでしょうねえ。

・で、きびしいこと書きますが、4巻はこれまでに比べややクオリティが落ちていたよな。もちろん、2005年の4コママンガにおいてのある点での最先端で最前線なんですけどね。そんじょそこらの人がたどり着けるところじゃないんですけどね。
(23:29:29)amazon


2005年/9月/9日
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「マカイど〜」1巻 大和田秀樹(角川書店)

・2冊同時発売(機動戦士ガンダムさん)の1冊。

・今回は、SFギャグですよ。

・基本的に、大和田マンガに共通するのは「ヴァカ」。ヴァカを主人公やそれに類した位置に据え、いろいろと展開するギャグです。
・そして、基本的に、ヴァカを「スポーツ」で動かしてました。スポーツという「ルール」内に、規格外のヴァカが大暴れすることにダイナミズムと笑いを生み出してました。
・たとえば、スポーツに関係ない、「警死庁24時」や「大魔法峠」にしても、試合会場で格闘技という、どことなく「スポーツ」の枠内にありました。

・将来総理大臣になって地球を救う働きをするヴァカのヨネゾウを守るために100年後の未来から片道切符でやってきて「真界堂」でヨネゾウのために未来の道具で助ける。

・そう、本作は、「ヴァカ」を「ドラえもん」に放り込んだわけです。

・で、飲むだけでアタマのよくなる薬やら、つけるだけで怪力が生まれる軍手やら、人を自在に操ることのできるコントローラを使って、「ヴァカ」を表現していくんですね。

・今のところ、ジャスト「ドタバタ」です。これが実にいい。ヴァカのヴァカなりの欲望や本能にしたがって命がけで全力で、あと未来の道具を使ってヴァカなことをしていくわけです。

・中途半端に「ストーリー」を加えずにヴァカのまま突っ走ってもらいたいものですね。ツライと思いますが。そう考えると「ドラえもん」ってのは偉大ですよね。というか、かなり偏った用途に使う道具が多いということがわかります。

・次もおもしろかったらオススメします。かなりオススメしたいところですが。
(22:22:00)amazon


「ピピンとピント」3巻 大石まさる(少年画報社)

・完結巻。相変わらず単行本1冊余すところなく読者に楽しんでもらうという創意工夫と愛情と情熱に満ち満ちた熱い熱い1冊です。

・2巻で主人公ピントはあちこち漫遊していろいろとみてまわりひとまわり大きくなってふるさとに帰ってきました。で、また、地元の女子にモテモテの生活がはじまるのです。旅先でもモテモテでしたが。

・で、相変わらず、ハイテンションでちょっとエッチでそのうえ「健全」にほがらかに過ぎていきます。
・1巻と話がつながっており、「ああ、そういやそんな設定あったな」のもありましたねえ。写真を写すと主人公がややケダモノちっくに変身して女の子を襲うとかね。

・そういうのも込みでさわやかな青春ドラマとして、男の子&女の子の成長物語として、あとパイオツなども込みでとても楽しむことができました。ありがとうございます。と感謝したくなります。

オススメ
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2005年/9月/8日
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「歯ぎしり球団」吉田戦車(大田出版)

・ほぼ10年前に連載されてたものに、描き下ろしで「小説歯ぎしり球団」を加えた「完全版」という名の復刻でした。
・これがかなり微妙に忘れてるのです。


ヨシダはスコラに限る!

どういうワケか、小学館よりもスコラや白泉社なんかのヨシダのほうが面白い。中川いさみなんかもスコラのほうがいい。いろいろ理由は考えられるが、スコラの編集のほうが持ち味を生かせるんだろうな。と、いうわけでヨシダの最新作はタイトルでわかるように野球物だ。イカス装丁はあの、伝説の「伝染るんです」の装丁でおなじみの祖父江慎だし。内容はますます好調なあのノリだ。湯葉やたくあんと野球をするんだよ。紅一点が秘密結社の戦闘員でお父さんが改造人間なんだよ。個人的にはカナリアとエジプトラーメンのセガレのラムセス一世が好き。


・復刻だから、おれも復刻してみました。今は亡き投稿型レビューサイトに投稿した文章です。発掘ですよ。
・そして、思い出しました。吉田戦車の作品にしてはおもしろくないので、ぼやかした書き方をしてますね。
・でも、それは「当時の」というみかたもアリかもしれません。

・3部構成になっております。「旧」は大人の草野球で、「新」はタイトル以外、とりあえずリニューアルして仕切りなおして、なおかつ小説を書き下ろしたそうです。

・旧では吉田戦車らしいもともとあるちょっと変なものに偏執的にこだわるパターンで、フライがあがると揚げ物のフライを連想しておなかが鳴ってしまうチーム。あたると本当に死んでしまうデッドボールを投げる主人公など。

・新では中学の野球チームとして、「部」に昇格するために、校長が連れてくるチームに勝てというもので、蛇のスネークスや宇宙服を着たNASAズ、悪の改造人間の野球チームであるズンズン団などね。

・どちらも、野球というフォーマットに「吉田戦車」を流し込むとどういう化学反応が起こったのか?という結果発表で、本作はいろいろと切磋琢磨中でしたが、それ以降の吉田氏の活躍をみるに、ひとつの雛形として重要な作品であったのではないかと思ったりもしますよ。
・たとえば、スパイにすれば「油断ちゃん」。学校の先生モノにすれば「学活!!つやつや担任」など。

・当時のあとがきでは、野球マンガを描いてるうちに広島カープのファンになったりもしたそうですが、新装版(本作)によると、まったく野球に興味がなくなったそうです。

・吉田戦車を知らないヤングや「殴るぞ」からのファンは、こういう一面もあるんだと知るには手ごろかもしれません。というか、最近は「こういう一面」がなくてさびしいですね。
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2005年/9月/6日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「(株)〜かっこかぶ〜」4巻 渡辺電機(株)(集英社)

・最終巻です。氏の最長記録マンガということになりますか。

・渡辺氏のえらいところは仕事をしてるところですね。ちゃんとお下劣会社4コマを描いてます。その律儀さが、昨今の根気がないヘナチョコばかりのマンガ家業界において最大のギャグになっていたりしてねえ。

・安定してるんですよね。ネタも絵も。プロだからアタリマエってことが全然アタリマエじゃないのがマンガ家ですからね。なおかつ、集英社ですよ? 江口やら富樫やら萩原やら仕事しないことがアイデンティティみたいなマンガ家を多数輩出した出版社じゃないですか。ま、生え抜きではないんですが。

・で、安定したネタと絵で、エログロですからね。 もちろん、かわいらしい絵なので、汚くないんですけどね。で、相変わらず女の子もかわいいんだよね。おれ的には、一回、真剣にそこを極めてもらえばいいんじゃないかと思うくらいさ。この絵柄で、勃たせにくるマンガですよ。やや意識的にかなり手前に線を引いてるように思われるんですよ。
・だから、特別読みきりの「妹」はよかったねえ。ここを追い求められるとおれ的にはいいかなあ。

・次回作はすでにいろいろ描かれてらっしゃいますし、すでに水準は保っていらっしゃるし、それに不満はないのです。ただ、エッセイコミック的な1コママンガな書き込みや、サイトブログのようなキレややけっぱちなところがほしいよなあと思いました。どこか、「枠」に収めてしまう完成度がありますねえ。「やっちまった」ってのがないんで、それはいいんですが。
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2005年/9月/5日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「マリアナ伝説」3巻 ゆうきまさみ&田丸浩史(角川書店)

・最終巻です。
・終わってみると「これはなんだろう?」という気分が限りなくふくらんでくるとても不思議なマンガです。
・ゆうきまさみ氏が原作で、田丸氏が作画。たしか、その縁も描いてあった記憶があるけど、そのスジが通っていたとしても、おかしな組み合わせにはまちがいのないところですよね。

・男子シンクロという「ウォーターボーイズ」(影響を受けるのはイヤだからゆうき氏はみてないそうですが)げな話に、「漢」と「変態」を盛り込んだギャグマンガです。

・3巻はめっきりラブコメになっててねえ。「アルプス伝説」でもそうでしたし、「ラブやん」でもそうですが、実は田丸氏の「ラブ描写」はとてもいいんですよ。甘酸っぱいようなほほえましいような。
・とくに観覧車での告白シーンや、プールサイドでの「スマン今の無しーっ!」はいいです。

・でもってアホか!ってな試合シーンに、オビにもあったような「衝撃のエンディング」ってのは、やや引く感じ。ちょっと恥ずかしいラブコメってラインで終わらせてほしかったね。

・1巻からそうだったけど、微妙にお互いに歩み寄ってる感じは最後まで抜けることはありませんでした。田丸氏はゆうき氏のよくできた話を忠実にマンガ化しようとしすぎていたし、ゆうき氏は田丸味をかもし出そうといろいろと努力されていたみたいですが、「鉄腕バーディー」や「ラブやん」のほうがおもしろいんですよね。どちらかといえば。1+1が2にならなかった感じですかね。

・ただ、お互いに得るものはあったような気がしますので双方の今後に期待です。
・ああ、そういや、タイトルはなぞのままだったか。
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2005年/9月/4日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「愛と青春の成り立ち」川崎ぶら&秋重学(小学館)

・あの、「フライ、ダディ、フライ」のコミカライズの秋重氏と川崎ぶら氏の「ニナライカ」コンビによるバンドマンガですよ。2001年からかなり長い時間をかけて紡がれてますし、描き下ろしも2編入っております。

・太鼓の人が主人公です。高校生です。バンドまみれです。バンドと音楽にかなりささげてます。でも、高校生男なので性欲にも振り回されたりします。でも、たとえば、「BECK」やら「グミーチョコレートパイン」の高校生に比べると、かなりピュアに音楽にささげてますね。

・原作の川崎氏は、よくあるバンドマンガの定番である、メンバーの確執や、売れてビッグになっていくってことを丁寧に「アンチ」したそうです。それがより純粋なところを強調されてます。
・これがかなりいいなあと思うのです。本当、悩んでもいますけど、「バンド」というベクトルにむかって、音楽三昧バンド三昧な高校生活です。
・いつもリズムを刻んだり、これはと思うフレーズをメモったりねえ。彼の向かってる先に「売れる」とか「モテる」とかじゃなくて、純粋に技術向上であったり、ロックの神に出会うとかであるところがまたいい。
・こういう純粋さは何回転かしてスルリと入り込むことがあるんですよね。

・もちろん、そう思わせる技術は必要ですよ。

・秋重氏も意外に絵が変わってらっしゃって、21世紀の秋重学の絵の変遷も楽しむことができますよ。元から巧い人なんで、そのときのセンスだけなんですよね。そういった点では手塚治虫氏と同じですよね。手塚氏もいつの時代の絵もいつでも再現できたそうです。

・ある点で「お約束」がないバンドマンガな分、やや刺激が少ないと感じる貴兄もいらっしゃるかもしれませんが、それをありとあらゆるテクでフォローしてるってあたり、プロの味わいです。

・結論。プロがもてる技術をもってピュアを描いた良作。オススメ
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2005年/9月/3日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「よつばと!」4巻 あずまきよひこ(メディアワークス)

・すごいよなあ。どんどん死角なしでおもしろくなっていく。37歳の男も36歳の主婦も10歳と7歳の女児にも平等におもしろいマンガでございますよ。家族全員で楽しく読むことができるマンガで、それぞれが本域で「おもしろい」と思うマンガです。ここがすごい。

・あれっすね、キャラが立つってのは普通ですが、あずまきよひこ氏の場合、前作の「あずまんが大王」でもそうでしたが、エピソードや設定が強烈に立ってるんですよね。この立たせ方が「よつばと!」になってより強力になったね。

・たとえば、よつばのお父さんは翻訳の仕事をしてます。でも、よつばがいいかげんに教えたために隣りの3人姉妹のふーかさんは「コンニャク屋」だと思ってます。だから、スーパーでよつば親子に会ったときその話題を切り出します。もちろん、かみ合いません。

・この「コンニャク屋」というエピソードは4巻にはありません。たしか1巻じゃなかったっけか。それをさしたる伏線や前兆もなしに4巻に炸裂させるあたりの技術は、実は、だれが思っているよりも高度ですよ。ソレが証拠に、マネしようとしてあえなくゲチョゲチョになってる「ぱにぽに」の死体があたりにゴロゴロ転がってるじゃないですか。

・そして、同じ巻内だとそれはもう縦横無尽ですよね。4巻だと、「失恋」と、「つくつくぼーし」ですかね。読んだことのある人同士ならこの2つのキーワードで30分は話できるでしょう。

・そして終らない毎日が終りつつあるんですよ。なにかというと、1巻からずっと「夏」だったのが、ついに「つくつくぼーし」と「失恋」で終りつつあるんですよ。もしかしたら5巻から「秋」か?

・キャラの「色」のつけ方も相変わらずいいですね。「みうら」というキャラクターを呼ぶのに「ランボルギーニミウラ」とオッサンに呼ばせるセンスね。
・あと「ギャー!」ね。各キャラは叫んでます。これがとてもいいですね。ブドウ虫を手のひらにおかれるみうらが「ギャー」。ふーかが失恋をばらされて「ギャー」。あさぎが冷蔵庫にアイスクリームが無くて「ギャー」。とてもいいです。

・3巻ではあまり活躍しなかった長女と次女が活躍したのもバランスという点ではナイスです。

・いいマンガでありますね。「あずまんが大王」の最終巻である「4巻」を超えて、なお、加速がついておもしろくなるという。
(19:40:16)


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