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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/1月
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2006年/1月/29日
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「ポルタス」 阿部潤 (小学館)

・初阿部潤。なんか、手が出なかったんですよね。本当「なんか」。オビの推薦文を書いてる人が気に入らなかったり、なんか、浅そうにみえたり。

・本作はホラー。「リング」以降の日本映画のホラーな感じが濃厚です。「ああ、こういうのね」とねらいがとてもよくわかりました。

「ポルタス」というゲームがあります。ファミコンのゲームです。このゲームには都市伝説がございまして、あるステージにいくと男の子が登場して、「こっちに来る?」とたずねられて「はい」と答えた人は必ず死ぬそうですよ。

・で、主人公の同級生が死ぬところからはじまりますよ。主人公は謎をとくためにゲームをスタートします。そいで、ホラーの世界へようこそと。

・うまくできてるなあと思いました。とくにうまいのはその取り込み具合。さまざまな元ネタをうまく消化しております。別におれはオリジナル至上主義ではないんで、「パクってる!」みたいなことをいいません。というか、それでいうんなら、かなりたくさんのものをパクってますので、それはもはやパクりというレベルじゃないんだと思いますよ。「サンプリング」ですよね。

・ほどよく怖いので、ビデオや映画館でホラーみるのがすきってムキにはとてもいい感じで楽しめるんじゃないかなと。

・けなす要素はないです。ただ、もう阿部潤はいいかなとは思いましたが。よくできたコンピレーションアルバムみたいなマンガはもう間に合ってるんで。
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「はこびや」蒔野靖弘 (竹書房)

・Hな4コマっていうから、期待したら、予想以上にエッチでしたよ。竹書房の4コマっていうから、「くすぐり」程度のエッチかと思ったら、わりに容赦なくエッチでした。「namaikiッ!」ってエッチな雑誌に連載されていたのですね。納得ですよ。

・最初の2編はストーリーコママンガで、3編目から4コママンガになりました。

・バイク便の女子と、受付の女子に、社長の男という感じで、エロエロなネタで展開です。

・21歳で巨乳でメガネでパイパンでふだん三つ編みだけど、髪を下ろすと淫乱になるけど、(穴が小さい&怖いから)処女という、すごい綱渡りなキャラを中心に、いろいろエロエロと展開していきます。

・で、新製品ためしたいと別室でブイーンとモーター音。「ああ、クセになりそうですの」といってて、オチは電動歯ブラシとかね。

・そういうの。最初のストーリーより、後の4コマ。さらにいえば、ややストーリー4コマめいてきた後半のほうが流れはよかったですね。ややエッチな感じはよろしかったけど、ときおり、生々しいネタが挿入されていてややひいたな。
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2006年/1月/28日
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「ウミショー ケンコー全裸系水泳部」1巻 はっとりみつる(講談社)

・おお、はっとりみつる氏の新作は週刊少年マガジンに連載されているのか。
・以前、「アッパーズ」で連載していた「おとぎのまちのれな」のときに、「次はいっそもっと青年誌でそのものズバリのエロエロを連載してほしい」なんてことを当サイトの「コミック」で書いた記憶があるけど、それはかなりまちがいであることを正直に認めましょう。

・ということで、サブタイトルが内容をとても表してるけど、水泳部マンガです。そして、全裸です。なにより1番大事なのが「ケンコー」ですよ。

・沖縄からイカダの家に乗って海を渡ってきた蜷川あむろさん。様子をみにきた「海猫商業高等学校水泳部」の面々にそのタグイまれなる水泳能力を買われて水泳部に入部。

・ま、あとはケンコーな「お色気」満載のコメディがね。さわやかにね。非エロでね。

・あむろさんと主人公待遇の男子との幼児期の出会いがあるってあたりもそうだし、どことなくキャラが「イヌっネコっジャンプ」とかぶってますね。ま、陸上部が水泳部になったと思えば、まあ納得だし、どう考えてもそのころより洗練されてますね。キャラが立ってます。

・あと、全開バリバリのCG処理がすごいね。目がチカチカするですよ(ホメコトバね)。つやつやの水着のオッパイのまろみがたまらないね。

・ということで、気楽におっぱいやら全裸が登場しますが、NO乳首NOディティール。で、実はそういうのがNGな少年誌が実ははっとりみつる氏の約束の地だったのかもしれないなと思ったりもするのでした。はっとり氏は女性の裸の「フォルム」が好きなんじゃないか?と思ったりするですよ。「ライン」というかね。それでエロでもお色気でもない、単純に「いいなあ」ってのを表現してるのか?と思ったりね。だから、かなり女性に対するリスペクトが感じられます。「崇高」とか。よって、女性にもとっても大丈夫なケンコー全裸なマンガです。
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「やわらか忍法SOS」3巻 帯ひろ志(講談社)

・最終巻。
・本作は「週刊少年マガジン」より、対象年齢が低い「コミックボンボン」に連載されていましたが、マガジンに連載されている「ウミショー/はっとりみつる」よりエロさでいえば上です。とっても上です。

・いきなり3巻初っ端のネタは、チン毛が生えるってネタですからね。

・あ、どんなマンガかあらすじ書いてませんね。忍者の修行をしてる快太と、女性忍者ほかがにぎやかに展開するエロ忍者ギャグです。

・で、チン毛が一本生えて、「アレキサンダー」って名前をつけて、自信満々になるってマンガですよ。でも、頻繁に股間をみてるためにほかの忍者に「敵と内通してる?」「股間に通信機が?」と思われたので、バスタオル1枚で「背中流そうか」とアヤメさんが迫ってくるわけですよ。

・敵の女忍者は、「金潰しのお銀」といって、文字通り金玉をつぶそうと股間を狙ってきますよ。で、デパートの屋上に股間を上にして縛りつけ、ふんどしの中にポップコーンを目一杯つめこんで、ハトにつついてもらったりする責め苦を敢行しますよ。

・おっぱいが大きくないと「やわらか忍法」の使い手にはなれないから、貧乳のアヤメの妹(アヤメは巨乳)がとった手とか?

・で、最終的に快太が得た忍法とは?

・作者はどうなのか知りませんが、非常に、ダイナミックプロのニオイがします。永井豪の幼年雑誌用のエロマンガのフォーマットに忠実にのっとっている感じです。
「へんちんポコイダー」「へんき〜ん タマイダー」「ジャンジャジャ〜ンボスボロットだい」「ハレンチ学園」「00学園スパイ大作戦」などなど。「ボンボン」の直接的な前身ってわけでもないですが(やっぱコロコロに対抗して発刊されたんだと思うし)、同じ講談社の未就学対象の雑誌として「テレビマガジン」ってのがありました。ちょうどおれがそのばっちりの読者年齢だったころ、たぶん、黄金期でもあったような気がするんですよ。

・そういうことを思い出して懐かしかったですし、たぶん、さまざまな年代の方にとっても、当時のジャリエロのいくつかを思い出したりしてなつかしいんじゃないかと。
・良作だったと思います。
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2006年/1月/24日
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「女いっぴき猫ふたり」伊藤理佐(双葉社)

・マンガ家・伊藤理佐のエッセイコミックです。
・1人用の一戸建てに猫2匹と住んでいるサマを描いてます。主な登場人物が家族と担当編集。そして、それより「主」なのが、猫と自分というあたりのかなり身のまわりのムリしてないマンガです。ムリってのはつまり取材とかしてないってことで。

・Webマガジン連載の作品だそうです。[双葉社Webマガジン]←あっとおどろきですが、ここで中身を読むことができます。

・あとがきによると「ユルユル」だそうです。編集のヒトが「そのまま」とか「直すな」といってたからだそうです。

・だから、当初、かなり変わった形態のマンガというか、絵物語風でした。
・ああ、その昔、「ミュージックマガジン」という音楽雑誌でやっていたコンサート観覧記録絵物語みたいな感じの、枠線がないマンガといったオモムキでしたが、すぐに枠線入りの4コマ風エッセイも入るようになりました。

・おれにとっては伊藤氏はエッセイコミックの人で、たぶん1番売れている「おるちゅばんエビちゅ」とか、講談社漫画賞受賞の「おいピータン」やらは読んだことないです。

「やっちまったよ一戸建て!!」って名著があります。たしか漫画文庫でもあったような。伊藤理佐氏が終の棲家と思っていたマンションを引き払い、一戸建てを買って建築して住むまでの話です。
・そいで、本書はその一戸建てでの猫2匹との生活ということでして、「やっちまったよ〜」をエッセイコミック史上10指に入る名著としたものには(いまでもギリギリ入る)やはり興味がわくじゃないですか。

・いやこれが、なんていうかな、かなり「生」な感じがしますよ。この率直な感じは伊藤氏の武器だよなあと改めて思いました。
・最近のエッセイコミックの名著で、なおかつ猫が登場するマンガというと、「長い長いさんぽ/須藤真澄」がありますが、これに比べるととっても「生」です。


インタビュー

「イトウさんにとって猫ちゃんとはどんな存在ですか?」

(…え?なんだろう?
友達でもないし恋人でもないし
娘でも息子でもないし
ましてや
母や父でもなし
いとこじゃないしな
あはは)

「あ ペットですね」


・つまり、そういった何回転かしてるストレートパンチをぶつけてくるし、それが逆に効果的だし、芸風であることを重々承知でぶつけてこられます。
・これ、ストレートなだけに、軌道がわかりやすいし、避けようと思えばカンタンに避けられるんですが、このノーガードな「ゆるゆる」で「生」なスタイルから繰り出されると、ついくらってしまうんですよね。

・ただ、Webでタダで読むことができるものに金を出して読むってのは、もうひとつ抵抗がありますね。それはその商法がまだ過渡期だからでしょうかね。「電車男」の本に金を出すやつはヒルズ族だと思ってしまいますしね。

・ダスキンだかの掃除サービスをたのんでるけど、それが来る前に「下掃除」をしたり、2000円を拾うのにすごい躊躇するわりに311万の本棚を買ったり、自分の「いびつ」を確認しつつ笑い飛ばすあたりのバランスもいいですね。エッセイコミックを描く人はバランス感覚が大事ですわな。

・2巻が出るそうですが、ぼくは買います。マンガ内のキャラの伊藤さんと猫2人が好きだからです。
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2006年/1月/23日
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「長い長いさんぽ」須藤真澄(エンターブレイン)

・何度もマンガ内でネタにされてます。エッセイコミックでも、物語でも。その愛猫ゆずとの最後の「長い長いさんぽ」を描いたのが本作です。単行本未収録の「ゆず」シリーズも同時に入っております。

・まず、ストレートに泣きます。そして、泣いた後に、この本のとてつもなさに驚いて、さらに感動です。

・エッセイコミックというジャンルは意外に古いとは思います。最初はマンガ内における「テレ隠し」であり「自己顕示」だったりして、ちらりと作者が登場するというものでした。それが徐々にメインになっていくんですよね。
・実はそれをベタなくらい順序だてて展開したマンガ家が、同じエンターブレイン(もとアスキー)のマンガ部を作るはめになった原因(すなわち連載されていた「コミックビーム」を発刊するきっかけを作ったということでもある)であるところの桜玉吉氏の名著「しあわせのかたち」だったりするのですね。吾妻ひでお氏の歴史(デビューから不条理日記まで)を単行本5冊で駆け抜け、そして、「漫玉日記」では「失踪日記」を先んじた。で、継続中と。

・エッセイコミックのある点でのキモは「なにを描いているか」ということです。作者に起こりえたことをどこまで描いているか。

・マンガでつらいのは、そういった点において、かなりの工程を踏まえてるということです。読んでいるうちにはその場で起こったことのように感じますが、ネタを体験し、ネームを切り、下書きをして、ペン入れをして、仕上げをして、その手を離れてからもたくさんのヒトの手を経て、目の前に1冊の本としてあるわけです。

・たとえば、どっちが「ラク」とはいいませんが、字だけの場合より純粋に物理的に時間的にシンドイことはわかります。よくいわれることですが、「100万台の自動車レース中、10万匹の暴れ牛が乱入してきた」なんて文章をちゃんと描かなければならないのがマンガ家ですからね。
・で、考えてもみましょうよ。ダンナと連れ添う前からいっしょにいた16年いっしょにいた猫との別れを、あなたは「悲しかった」以外のことで表現できますか? マンガに描けますか? それを完成できますか? つまり、それっすよ。

・一歩踏み込めるか。これがエッセイマンガ家の資質を見極めるうえでかなり重要。踏み込めるヒトのエッセイコミックはかなりの確率でおもしろい。逆もまたかなりの確率。

・本作では「そこまでいいのに」と思うくらい踏み込んでます。どっぷり頭までつかってます。そのどっぷりの真価は「後編」で発揮されます。

・前編でもそうでしたが、すべてにわたっていろいろな感情が錯綜してるのが読み取れます。そして、それは錯綜してる感情を余すところなく描いてるということに気がつくわけです。錯綜してる感情を表現できるヒトは錯綜してません。つまり、本作は強靭な意思や「なにか」によってコントロールされてるわけです。そして、それはちゃんと「オモシロ」まで表現してるのですよ。本編実はギャグの含有量が多かったりします。

・愛猫の死においてなにを思ってどう行動するか。当事者であり傍観者(主役はゆずだからね)であり主観であり客観でありペットであり飼い主でありパートナーであり、とさまざまな立場で須藤EYEがきっちり記録で記憶してもらってるわけですよ。

・後編、ゆずだけを焼いてくれるペット葬儀社をみつけて、そこまでの(最後の)長いさんぽをしてる須藤一家。そして、葬儀社のジジイの余計な演出のシーン。ギャグになってますからね。鼻水が描かれ、青筋が立てられ、「ブヂ」という擬音。そして、その3ページ後の、おれ的にはもっともきたシーン。ここいらの緩急が絶妙だったり。

・全編、きっちり「仕事」されてるんですよ。アタリマエのことですが、アタリマエのことじゃないんですよ。だって、「描かない」という手をとることもできるんですからね。

「だめんずウォーカー」をかいてたくらたまこと倉田某(最近みないね)は自身の離婚について詳細を語ったか?(もし、詳細を語ってたらごめんね)

・つまり、沈黙を貫くのもアリです。エッセイコミックを描く人はすべてを描かなければならないなんて決まりはないんでね。その前提で、ここまで描いた本作の細かさに感動します。ま、同時にひきますけどね、正直。よくもまあそこまでといろいろな意味で思います。それはおれが「薄い」人間だからだと。

・ラストページ。ゆずを置く祭壇をペイントしてる須藤氏。コタツに入りつつそれを眺めている夫のヒト。そして、ゆずの骨。それらを鳥瞰してる図。それは、ゆずの目でもあり、それらをマンガとして統治してる須藤氏の目でもあり、そして、「神」の目でもあると思った。須藤氏じゃない神。それは宗教的なアレじゃなくて、なんつーかな、いろいろな「念」がこもったものの象徴としての神というかな。うまくいえてない気がしてしょうがないんだけどさ。

・本編(長い長いさんぽ)はずっと俯瞰(見上げる)の構図が多いのです。たぶんかなり意図的なものです。それはつまり猫の視点でもあり、卑下の視点であり、ざんげの視点でもあると思うのです。ゆずに対する「ごめんね」でもあるし、沈殿してるさまざまな感情でもあると。そして、「天に召される」=「死」でもあります。彼女らは何度も空を見上げてます。祈ったり思ったりしてます。
・それがラストページ、「離れる」という感じ。そして「離す」。すなわちある点での決別。そして「終わり」。「みそぎ」でもあるか。それらをひっくるめた鳥瞰に感じました。

・それは読者にも同じ効果があります。作者の読者への配慮にも思えます。意思やメッセージにも思えます。本作の感情に飲み込まれて悲しみにくれ続けなければならないですからね。それくらいの力があるのですよ。だから、ちゃんと物語から引き離さないと。そういった意味での鳥瞰。

・当初に書いたとおり、感動とか泣けるとか私も猫飼ってたから…って、そういうことでいいんですけどね。一読者なんだから。ただ、読むとやはりゆずの冥福を祈ったりいろいろ思うところはありますよ。それすなわち名作ってことでね。
オススメ
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2006年/1月/22日
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「あにふぁみ!」1巻 南京ぐれ子(一迅社)

・小2の下のガキはカワイイ絵のマンガしか読まない。で、本作はとても気に入っておりますですよ。「2巻が出たら絶対買って」といわれておりますです。

・おれにとっては「あかてん☆ヒーロー!」の南京ぐれ子氏の新作と位置づけてます。戦隊ヒーローと悪の女首領とのラブコメでした。

・本作は、吸血鬼と妹のラブコメか。吸血鬼にかまれると、男は子供になり、犬やニワトリや猫は人間になります。そういうことで、弟みたいな兄と、犬の少年と、男前なニワトリが登場してドガチャカするというもの。

・あくまでテンポよく、にぎやかに、ポップに、かわいく展開していきますが、そのためにかなり丁寧な処理をあちこちに施されていることを忘れてはいけないのです。

・前記の「あかてん☆ヒーロー!」では女首領の丸い丸いパイオツ目当てで買ったのですが、今回は純粋に好きなマンガ家の作品として買いましたよ。でも、やっぱりちょっとは「そういう」ところがあるかとは思っていたのですが、かなりそういった方面では健全ですよ。13歳の妹の入浴シーンが1話目にあるんですけどね。

・で、そういうの抜きに、基本的にかわいいヒトかかっこいいヒトしか登場しないんですよ。それがとてもいい感じ。

・とりあえず、下のガキがとても気に入ってるみたいだし、2巻は買いますよ。
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2006年/1月/19日
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「素人童貞」にったじゅん(三和出版)

・2ちゃんねる等のAAで有名なにったじゅん氏の最新作です。
・にったじゅん氏の基本構図は、童貞が経験豊富な女性に筆下ろししてもらうというものです。ほぼ、そのバリエーションだけで、単行本も4冊目といったアンバイです。
・まー、基本的に、エロ方面でも、「**がトクイ」ってのは強い武器になりますからして、「童貞の初体験」に特化してるという姿勢はとても強力な武器なのですが、4作目では、いろいろと冒険されてる感じがあります。

・とくに顕著なのは、童貞が登場しないマンガがあることですか。初っ端の連作であり、たぶん、タイトルのきっかけとなった、「夏体験物語3」の3部作。ラストの「バレンタイン大作戦」「セックスフレンド大作戦」では、経験前だった少年が、経験済みの少年として登場されている。

・この「バレンタイン大作戦」「セックスフレンド大作戦」は、女性がひどい目に遭うという点でも、これまでの3冊にもなかった画期的な点でもありますね。潜在的鬼畜少年を目覚めさせてしまったガールが結局ふられるって話でうすよ。失敗だと、個人的には思います。基本的に男が初体験でもあるけどひどい目に遭うってほうがやっぱりしっくりくる感じはありますね。

・そう、童貞が初体験を教えてもらう。多大な快楽を与えられる。その代償として基本的にひどい目に遭う。そういう図式がやはり真骨頂でしょうねえ。

「それでもいいからやりたい!」

・こういう男の想いが感じられます。実は、童貞のみならず「ゲスト」扱いの経験豊富な男子も、図式としては奴隷なんですよね。わかりやすいでございますよ。

・そして、本作のみならず、にったじゅん氏のマンガは非常にわかりやすい童貞気質をあぶりだします。にったじゅん作品でグッとくる方は童貞気質が高いと思われます。もちろん、おれもグッとくるよ。

・たとえば、登場する女性の多くは「名器」です。手の感触はもちろんのこと、がんばれば、口の感触も想像はつきますが、女性性器の感触だけはわかりえない童貞において、「名器」だの、「二度と忘れられなくなる」だの、「満足するまで離さない」だのは、やはりかなりくるものがあると思われますよ。ん?もしかしておれはただ自分の性癖を書いてるだけ?とも思いますが、多分に、女性性器の感触にこだわってるマンガは童貞気質が高いと思いますよ。これまで読んだエロマンガでの感じだと。

「素人童貞」ではその女性にかなりアクセントをつけてる作品も多いですね。
・上記の「夏体験物語3」の3部作の、ヒトの性欲を見分けられる母。内向的だけど「肉便器」指向が高い妹。「肉便器」ということを見破られて、息子専用の肉便器にされた女性教師。
・インパクトでは屈指の「CRUSH!」でのマッチョでハードコアなSEXで文字通り童貞をCRUSHさせた森先輩。

・今後はこういったキャラ重視のパターンが増えるのかしらね。シチュエーションはもう尽きた感じがありますからね。
・ま、そのシチュエーションにしても「学校」にこだわってますね。そこいらがまたやりたい盛りの童貞は現在通学中というとても上手いところをついてます。「もしかしたら」を匂わせるのはSEXビジネスの基本ですからね。

・いわゆる「普通」の作品も入ってますよ。先輩が女性で後輩が男性。その逆もある。同級生もある。お決まりの体育館倉庫だったり、部室だったり、自分の部屋だったりもします。

・よくできてますよね。ただ、これまでの3作品よりインパクトは弱いし「これ、ツボ!」ってのが個人的には少なかったです。
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2006年/1月/15日
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「フロマンガ」1巻 吉田戦車(小学館)

・風呂ネタの4コマです。
・最近だとなんかありますかね?の、1ページ1本のワイドテレビライクな横に長い1コマが4コマ続きます。「ドクター秩父山/田中圭一」なんかをホーフツとしますね。

・わりと、初期のほうに開き直った感じで、女子の裸を描いてますね。そうか、吉田戦車's乳首はこういうんだね。まあ、単なる「o」ですけど。

・内容はいつもの「吉田戦車」ブランドです。たとえば、「軽石」が本当に軽いことに感激してる女子大生。サウナに世界の時刻として時計がズラズラ並んでいたり。熱い湯を水で薄めたつもりが、蛇口に「酢」とあったりね。

・と、なんだか、おもしろかったです。実に風呂ってのは、吉田戦車氏に合ってる感じですよ。

・あと、久々に4コマで爆笑したなあ、吉田戦車でも久々かもしれない。50pです。奥さんも爆笑してました。

・カウンターネタが多かったですね。おもしろいけど、ややくどいかな。「父親と風呂に入らなくなる日」と書いた手動のカウントダウン機です。それを娘が押して、父親ががっかりするというネタ。

・ちなみにおれはもう娘と風呂に入ってません。
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「サマータンク」吉田戦車(講談社)

「フロマンガ」と同時期に出て、「講談社+小学館、汗と汗のコラボレーション」をやっていたのです。最近はこういうの多いですね。おれとしては、キャンペーンとかいいから普通に出してほしいなあと思うのです。ま、それはともかく。

・こっちは「夏」を中心とした「季節」の吉田戦車です。

・こっちの吉田戦車もそうですけど、なんか、両作品とも「エッチ」な感じがあります。

・もともと、そこはかとないエロというか色気は、おれの「エロレーダー」に反応していたのですが、この2札は割合と顕著だったりします。

・夏防衛団隊と冬々団との戦いを描いてます。夏に「冬」を持ち込もうとする冬々団の陰謀を夏防衛隊が守るわけです。

・で、それぞれに夏防衛隊スパイのジュンとか、冬々団の毛皮大好き女なんか、2人ともとってもいい感じです。毛皮大好き女なんか「セクシー」と表現してもいいんじゃないか。あと、まあ、SEXシーンもあるしね。猫のだけど。交尾シーンっていうほうが適切だし。挿入の音が「ぺすっ」ってのがすげえ印象に残ったり。

・ただ、基本的には、ジュンの父親の夏大好きな父さんを中心に話が展開し、このむさくるしい暑苦しいオヤジで落とすというのがあまり個人的にはおもしろくありませんでした。これも「吉田戦車」のひとつではあるんですけどね。
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2006年/1月/12日
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「鉄板少女アカネ!!」1巻 青木健生&ありがひとし(少年画報社)

・伝説の鉄板を残して失踪した父親を探しに屋台をやりながら探す少女アカネの鉄板グルメマンガ。

・こう、「工夫」というマンガジャンルがあると思うのですよ。困難があります。それを工夫で切り抜けるというマンガ。このジャンルは「料理」からはじまったと思うのですよ。そう、「包丁人味平」。牛次郎氏ですね。男ドドブスですよ(by赤塚不二夫)。彼がこのジャンルを作り上げて、それは今なお続いてますね。

・工夫に知識(ウンチク)を加えたものが、「ネオ工夫モノ」とでもいうんでしょうかね。小学館が特許をとってるのかと思うくらいやってます。味平自体は、集英社(ジャンプ)で、その後、講談社でもガンガンやっておられたのですけどね。

・本作では、名古屋風味のお好み焼きからはじまって、新しいタコヤキの「たこさん焼き」を大阪で。神戸ではプルコギサンド。「朱いかた焼きそば」「海鮮鉄板焼き」と、どんどん南に向かってますね。ご当地の名物を鉄板で焼くってパターンです。

・本作はその工夫具合がちょうどいいですね。鉄板モノってのもあるけど、味が想像しやすく、「うまそー!」ってのが大きいですね。

・原作も作画もその工夫もハッキリクッキリしてますね。すべて線が太い感じ。
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2006年/1月/10日
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「新・中学生日記」5巻 Q.B.B.(青林工藝舎)

・5巻ですよ。すげえなあ。もしかして、青林工藝舎史上(というほど歴史ねえか)初の5巻じゃないか。作者の実はかなり長いキャリアの中でも最長作品になってますよ。

・人生で1番恥ずかしい年である中学生時代を描いていて、「朝日中学生ウィークリー」という中学生相手の新聞なのか、雑誌なのかよくわからないのに連載されているのもポイント高いですよね。これを中学生が読んで「あるある」と思ってらっしゃるのでしょうかね。

・中学生のあるクラスを淡々とユカイに描いてるのですよ。5巻には、オビにあるように、「いよいよ物語が動き出す!」とありました。まあ、たいした動きでもないんですが、逆に気がついてしまうんですよ。シリーズ5巻目。「新」がついてないのからなら6冊目も読んでいて、すっかり、登場人物を好きになってましたね。
・それまでは、「あるある」の中学生のデキゴトのためのキャラで、「いたいた、そんなやつ」のための機能としてのキャラという側面が強かったのです。でも、実は、もとから魂が込められており、「生きてる」キャラだったのですね。みんなとてもいいキャラですよ。

・ということで、5巻では、女子の元気印のボケ役を買って出る「キノジュン」と、わりあいと普通キャラでありながらもナイス中学男子の「ハンザキ」との誤解ロマンスが後半に。表紙も。きっかけは、ハンザキが買って気に入ってたパーカーとまるっきりいっしょのものをキノジュンが着ていて、ハンザキが気にしてしまいギクシャクした動きになる。
・あと、クラスの番長キャラが、ひそかに想ってる、チビでロリでポエマーな天然少女と席が隣になるってネタ。

・ああ、甘酸っぱいなあ。今だと、中学生はパソコンの占いのところで相性を確認したりしてるんかねえ(そういうシーンがある)。

・次以降も展開があるのでしょうか。あと、リアル中学生はどういうふうに本作を思っているのかちょっと知りたい。

・あと、高いね。中学生は買う気なくなる値段だわな。ONE PEACE2冊より高いもんな。

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2006年/1月/9日
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「真・異種格闘大戦」2巻 相原コージ(双葉社)

・おお、おれが定期購読してる唯一の格闘技マンガだなあ。
・地球上の真のナンバー1を決めるという異種格闘試合マンガです。最大の特徴はすべての動物が参加してるということです。で、18歳にしてあらゆる格闘技のガチンコ勝負で頂点に立った「人間」は1回戦でカバに負けて死にました。あと、ケモノ同士が戦ってるという「なにこれ?」ってマンガになってるのです。

・だから、えらい変則的な動物マンガというみかたもありです。

・1巻では、ヒトvsカバ、アナコンダvsヒクイドリ、インドサイvsライオン(ごめん、この試合は自信ないわ)の3試合ありましたが、2巻では、ナイルワニvsシマウマとマウンテンゴリラvsスイギュウと2カードのみで、なおかつ、ゴリラvsスイギュウは2巻では決着がついてないという、まあ、格闘マンガ、いや、スポーツマンガ特有の、「時間がゆっくり流れていく病」に罹ってます。

・動物マンガとしては、かなりの擬人化があるもので、それと同時にかなりの動物ネタも含めているので、ノリとしては、動物能力を持ってる超人同士の対決みたいな感じですかね。まあ、「格闘」としてみるなら、「ボクシング」と「相撲」で戦うとして、ボクサーの特色(フットワークが軽い。パンチが鋭い等)と、相撲取りの特色(打たれ強い、重いので一発逆転がある等)が、その動物の生態になってるとしてもいいのか。

・それにドラマ。たとえば、シマウマは草食動物として肉食動物に食べられるという食物連鎖を断ち切るために立ち上がった革命家として、名前が「チェ・ゼブラ」となってるのですよね。そう、あの、チェ・ゲバラのパロディキャラっぽいスタンス。ご丁寧に2巻の冒頭では、その革命家の文章を引用してますよ。

・相原氏のマンガの最大の特色は、「細かい」ところです。性格がそうさせているのか、とにかく、ディティールが異様に細かいことです。この「異様」ってのはなにかというと、だれも好まないような細かさなんですね。
・初期のエッセイ的ギャグマンガにおいては、「ベタ化」というか「通俗化」を徹底的に避けた個人的なことを書いてました。詳細に、トイレでの行動や、オナニー方法を描写されてました。これで、「笑え」ってことですけど、なんだか、その細かさ(たとえば、ティッシュをしきつめてオナニーする等)に圧倒され、逆に今まで記憶に残っていたりします。

・そういう細かさは創作モノでも発揮されており、本作も以前描いていた忍者マンガでも、つじつまを合わせることと、情報を盛り込むことに、病的なものを感じさせるほど細かいですよ。

・だから、本作は大変なんですよね。動物ネタ、格闘、擬人化された動物の事情、あらゆるものを詰め込まなければいけないので、かなり読み応えはありますけど、逆にいうとそれはうっとおしいことにもなるわけです。「細かいよ!」と。あと、「長くなりそうだよ!」とも。
・ただ、つじつまも合ってるので、「そうかよ」と思いながら読んでしまうんですよ。なんか釈然としないものを感じながら。ああ、軽く結論付けると、構成と、ストーリーをスムーズに進行させるためのスキルが少ないんでしょうね。

・で、本作の最大の問題は、「終わるのか?」ということです。もっと厳密に描くなら「終わらせることができるのか」と。2種類の意味での危惧されます。1つは、連載誌が休刊してたことのある「アクション」ということ。もう1つは本作自体の人気がなくて打ち切り、あるいは、路線変更のために人気があるけど打ち切り。どっちもありうる。相原氏はマメなので描ききる根性はあると思われます。

・あー、考えてみれば、これと「シートン」が連載されてる「アクション」って相当ヘンな雑誌ではありますね。
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2006年/1月/8日
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「働け!メモリちゃん」1巻 若狭たけし(集英社)

・1回6ページのショートギャグです。作者は巨匠・矢島正雄原作のヘルパーマンガ「どんまい!」なんてのも描いてるくらいの方ですよ。絵はだからものすげえ完成度高いですよ。
・どうして、ギャグマンガを描くことになったのがもうひとつわからないけど、ギャグマンガですよ。

・新入社員のメモリちゃんと、部長のダブルボケに挟まれて、ツッコミをいれる男(麦原)という、図式の会社マンザイのマンガですね。

・もう、ムダにキレイな絵です。たとえば、田中圭一氏やしりあがり寿氏の、ギャグとしての劇画ってんじゃなくて、マジでキレイな劇画の絵です。そこがまず大きい。それぞれの処理の丁寧さも劇画のそれです。だから、1回6ページでも普通にさまざまな劇画テクを駆使して描かれてますね。

・だけど、たまに、「企画」として、劇画のすごい方、池上遼一氏とか、松森正氏が、「おふざけ」で描く、「なんちゃってギャグ」とはちがい、かなり前向きにギャグマンガです。

・絵がきれいなのは「個性」と思ってね、とばかり、それをそう強い武器とするでなし、完全にギャグのため使役してるのが、すごいというかなんといか。

・そいで、肝心のギャグですが、これがその「絵」ってのを差っぴいても、ヘンなんですよね。よくもわるくもヘン。

・ブーブークッションに引っかかって笑われるメモリちゃん。仕返しということで、麦原に、部長の椅子にブーブークッションを仕掛けてとたのむ。で、部長が腰を浮かした瞬間、椅子にクッションを挟もうとしたら、鼻っツラで屁を直撃される。で、麦原はひっくり返ると。

・すげえ、ベタな話でしょ? これを6ページ。しかも、劇画のテクを駆使してね。

・バレンタイン。メモリちゃんは、麦原先輩にチョコレートを渡す。でも、それはどうみてもウンコ。で、いやがらせ?と思ったら、一生懸命作ったけどうまくいかなくてごめんなさいと。でも、どうみてもウンコ。で、いろいろ追い詰められて食うことになる麦原。

・うーむ。おもしろい。そう、なんかとてもおもしろいんだ。たとえば、吉田戦車、うすた京介、あるいは、小田扉あたりまでふくらませてもいいけど、そういうセンス先行のいわゆる天才タイプとは別ベクトルにあるんですよね。

・しかも、後半にむけてどんどんワケがわからなくなってくるんですよね。「どこ、ここ?」って途方にくれるほど、ワケのわからないところにいるんですよ。とくに、部長のパートナーというかなり「やっつけ」たキャラが登場するころは本当、誰もいないところに連れて行かれますよ。

・これはその場所の独特さがおもしろいし、ギャグとしてもおもしろいんですよ。乗せられているというかね。たとえば、麦原とメモリちゃんのラブロマンスとか、エロネタとか、そういうところを強引に避けているあたりのストイックさもまたいいのか悪いのか。純ギャグとして立ち続けてますよ。

・でもって、すごいオリジナリティがあるような描き方をしてますが、それがそうでもないんですよ。いろいろ混ざった結果、どこ?ってことになってるんですよね。なつかしくもあり、新しくもあり、なおかつ、よくわからなくもあり。

・おお、つまり、おもしろいけど、よくわからないってのがおれの正式見解。

・ただ、メモリちゃんがかわいいのでオススメ
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2006年/1月/7日
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「ひだまり家族」1巻 ほへと丸(芳文社)

・悪名高き(いや、おれだけですけどね)、芳香の芳と文章の文の会社、芳文社の4コママンガですけど、オビのコピーにやられたので購入しましたよ。

「ほへと丸 初コミックス!!」

・エ!? ほへと丸って有名なの? って思ったですよ。おれの流行アンテナにひっかかってなかったのですよ。しかも、有名な方の絵とは思われない感じの、非萌えな絵ですよ。それで逆に気になったですよ。
・有名な方ですけど、絵があまりメジャーじゃない感じってことは、すげえおもしろいんじゃないかなと。

・まあ、かなり陰険な視点ですが、まあ、わりと正直に買った動機です。

・ほのぼの4コマです。
・やり手の母親がバリバリのビジネスウーマンで単身赴任で、父親と小学の妹と、暮らして、家事と勉強をやりくりしてる中学生女子が主人公といった感じの変則家族コメディです。

・不思議なネタが多いんですよね。ほのぼの4コマの宿命として爆笑はないんですけど、「ほのぼの?」と思うようなネタがたまに紛れ込んでますねえ。

・家具の端っこが削れてるんですよ。なんだろう?と思っていたら、中学生が家事のたびごとに、足の小指をひっかけて痛いからって彫刻刀で削っているのですよ。
・しつこいセールスマンに塩をまき、この靴だと悪いことが起こるからお清めに塩をまき、ナメクジに塩をまくから、玄関が白いなあって。
・となりの猫が干した布団の上に居眠りにくるから、猫除けにペットボトルを置く。でも、マンションの3階だから危ない、だから、吊るす。そして、ついでにカラス除けにCDを貼り付ける。で、なぞのオブジェを父親がみて「なんじゃこりゃ?」

・こういう4コマ。つまりは、こなれてないってのもあるかもしれないし、独自の世界があるとみることもできる。寺島令子氏や、真田ぽーりん氏、たぶん、ほかにももっといらっしゃると思います。おれにとっては女性マンガ家で多いです。

・4コママンガということで、基本、読者を笑わせにきてるわけですよ。だけど、笑いって一概にいえないくらいいろいろありますよね。ただ、一概にいえるのは、「センス命」ってことではあります。作者の笑いのセンス。それを受け取る読者のセンス。ここがシンクロするといい「笑い」が生まれます。
・そのセンスがちがうと笑いは生まれませんし、逆に「つまらない」といわれたりもします。ところが、このセンスがずれすぎると逆に「なんだこりゃ?」となったり、ときには笑いが生じたりもします。

・つまり、本作のセンスのずれ具合は、かなりおれには「なんだこりゃ?」と興味深いものだったります。

・4コマ雑誌の「センスの合わない」ものや、新聞4コマのベタを極めたものともまたちがうラインに存在します。

・ま、「笑う」「笑えない」の2分化で問われるなら後者なんですがね。

・あと、絵ももうちょっとなんとかできそうな気がします。いろいろ発展途上です。このセンスが伸びるのかベタに染まるのか。ま、書くほどは興味を持ってないんですけどね。

・小学生の妹がカワイイ。
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2006年/1月/4日
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「ロボとうさ吉」1巻 加藤和恵(講談社)

・作者のことはよく知りませんが、講談社のコミックにはさまっていたリーフでの「シリウス」が創刊されるときに異様にインパクトのある絵が、この「ロボとうさ吉」だったのです。いまだに「シリウス」はどんな雑誌なのかよくわかりませんが、「ロボとうさ吉」は買おうと思っていたのです。

・で、読んだ印象は、中学生がルーズリーフにシャーペンで書いた物語という感じが濃厚でしたねえ。いや、これは「稚拙」という意味にとられたらそれはおれの意図とちがうのです。

・なんとスペオペです。
・ガラクタでできてそうな辺境の惑星。そこに1人で住んでいる少年。そこに地球に向かおうとする脱獄者が漂着する。はじめてできた友達に追っ手が迫る。なすすべのない自分の非力を嘆いてる少年に声が聞こえる。「おまえがのぞめばてにはいる力が」と。

・こう、中学生のときのふと心に浮かんだネタを研磨し続け、ン十年。その磨かれ倒した宝石を「今」の技術で描き倒すというアレです。

・その核にあるピュアネスな「思い入れ」みたいのが、良くも悪くも「重い」。いわく、芯がある物語にもなるしうっとおしくもなる。

・ただ、本作はとっても読んでもらいたがってます。そのために出来得る手は全部打ったし、最大限の努力を惜しんでないという、「大人」なところもビンビン感じ取ることができます。ダイナミックなアクションシーンや、ベタでどこかみたことあれど、その分、なじみがいい各キャラや、各舞台設定やストーリー。

・やや、その壮大さに負けかけてますけどね。とくに背景描写。すげえがんばってますが、1巻で登場する2つの場所は、もうちょっとどういう場所かって説明のための背景がほしかったかな。作者は技術は伴ってるけど、描いてないって感じがしてもったいない。

・ということで、久しぶりのスペオペジュヴナイルの新作。そしてかなり傑作となりうる可能性はありますよ。
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2006年/1月/2日
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「ラブロマ」5巻 とよ田みのる(講談社)

・最終巻。描ききりましたね。よく描けてました。
・とくにラスト3話の、最終巻3バージョンのたたみかけは圧巻。3バージョン、ちがった「終わり」を描いてましたね。
・いい意味でも悪い意味でもどことなく作者が浮かんでみえるようなアマチュアリズムがありましたし、別にそれはそれでいいやというスタンスではありそうですね。

・おれのこれまでみてきた限り、このアマチュアスタイルは、マンガ生活を続けていくとたいてい払拭されていきます。払拭されない人はマンガ家としての仕事は減ります。ま、江口寿史のこといってるんですけどね。あんなんなってもマンガ家を気取ってるのは、あいつ1人でいいよ。

・ということで、この作品はこれでいいけど、次回作はとっても重要かと思いますし、ぜひ、がんばって、本作を上回ってほしいと思うのです。

・おっと、これじゃあ、そこらへんのマンガサイト的な、「読んだ人前提」の例のアレだな?

・直球ラブコメです。思ったことをストレートにぶつける男子と、それにあきれながらも惹かれていく彼女を描いてます。
・1巻はかなりインパクトがありました。駆け引きのない直球をぶつけ合うカップルのラブコメですからね。
・そして、インパクトはすなわち、「つづくのか?」と思うわけです。
・でも、いろいろなイベントをこなしつつ5巻まで続きますからね。しかも、関係は強固なまま。ここがまた「いい話」ってことになります。
・5巻では「みかん」までいくわけですしね。
・そして、男のマンガでは珍しく、「その先」を示唆してるのがいいですよね。実際問題、「みかん」の後のほうが長いですよね。

・なにげなく広がりのある描写がいいですね。空間の広さが感じ取れます。それが本作のさわやか風味に貢献してるとは思いますね。

・よかったです。
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「団地ともお」6巻 小田扉(小学館)

・オビが復活した6巻です。新刊のオビの有無は人気のバロメーターではありますよ。ともおも5巻では無かったです。
・そして、オビのコピーはよくわかりませんでしたが、「1〜5集大増刷」てのはいい報せですよ。売れてるんだ。そりゃあそうだよ、おもしろいんだもん。自分が好きなマンガが売れるのはうれしいですね。昔はもうちょっと微妙な感情(自分だけの楽しみなのに等)がありましたが、今は素直にうれしい。

・6巻では、また1巻のときのような、鮮烈なネタがあった気がしました。鮮烈というのは、「そのネタ(視点)があったか!」ってポンとヒザをたたくようなの。

・マウンテンバイクがくる根津を転ばせたからマウンテンバイクのかわりにおぶって移動するともお。
・辛いものを食べることが大人だからガマンしていろいろと辛いものを食べるともお(この話で犬の排便に爆笑してるともおは素敵に小学生だと思う)。
・雨の話もいいね。

・そういうのと並行して、また、ちょっと逸脱していく、ともおの世界で展開している非ともおな短編読みきりみたいな話も増えていったか。やはり、5巻のまとまりは奇跡的なものがあるんだなと。他の巻が悪いってことではないんで勘違いなさらないでね? 全部おもしろいんだけどね。

・6巻では青戸さんという美人なのにバカというナイスキャラが活躍してましたね。彼女はいそうでいないキャラですね。そんなこというと、小田作品のキャラはそういうのが多いか。「生感」があるんですよね。マンガのキャラ以外のなにものでもないんだけど、どこかに「生」なピリっとする感じが潜んでる。怪我した指で洗い物をするような感じか。

・おもしろいのはまちがいないです。アニメ化しようよ。「ちびまる子ちゃん」枠とかで。
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「トランスルーセント 彼女は半透明」3巻 岡本一広(メディアファクトリー)

「透明病」という病気がある、今の世界に似た世界の物語。3巻目です。

・これ、あくまで文系な展開するのがいいですね。理系に徹しすぎると透明病はムリがありそうですからね。透明になった人から抜けた髪の毛はどうなるのか?とか。
・ここいらは、似たコンセプトの「++がある世界」モノの「サトラレ」とはちがいますよね。

・本作も3巻ともなるとさらに「中学生」度が増しましたね。登場人物が中学生ってのが本作の最大のミソですし、ときおり、「透明病」関係ない、ほのぼの中学ライフになりかかりますし、それがまたおもしろかったりもするのです。

・中学ってのは微妙な年頃ってのをイマサラながらに思い知らされます。あるとき「大人」だったけど、次の瞬間「子供」になっていたりと、めまぐるしくその属性が変わるんですよね。

・そのくせ、エッチ要素をやや盛り込んでるんですよね。これがジャマなような、うれしいようなね。
・本作では、透明病の彼女が、ヌードになって、彼氏の部屋に侵入するという、ドキドキシーンとかあるんですよね。ここいらのバランスがまたいいですね。なんつーかな、中学時代の青春をみょうに神格化し、祭り上げるようなことをしないってことなんですしね。

・ということで、安定した3巻です。このままいけるような気もしますし、ガーンと新展開に向かうのもいいかもと。
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ケージバン