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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/5月
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2006年/5月/20日
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「しあわせももりんご」 1巻 うさくん (FOX出版)

・ファンシーなタイトルに、ファンシーなペンネーム方が、ファンシーな出版社(きつね出版)から発売されてるファンシーな絵柄の馬鹿下品エロマンガです。

・ランジェリータウンという名前の町が物語の舞台です。そこに住む桃彦というエロエロ大王と、トナリの幼馴染でAAカップが悩みのりんごちゃんと、そのオヤジの巨乳であらずば女にあらずの巨乳専門絵描きのオッサンと、エロ本をエサとして食うカッパが登場してほのぼのとしながら馬鹿でエロなことが巻き起こるというマンガです。

・で、物語のあらすじを説明したけど、まったく伝わってる気がしないんですよ。本作は上記のあらすじにエロイラストを加え、大量のファンシーで薄めた感じの内容になっているのです。

・絵がとにかくとってもカワイイんですよ。ハンパないかわいさ。エロでバカな内容なのにエロもバカも包み込むようなファンシーさ。たとえるならマシュマロホイップクリームでエロとバカを包み込むような。ま、エロとバカはどうしたってエロとバカだったりしますからね。

・絵と話の親和というのは様々な効果を生み出します。たとえば、「北斗の拳」は、あの絵であの内容だから成立しており、逆に、あの絵でおかしな内容にすることで、ギャグになるということもありえます。
・田中圭一氏は、手塚治虫氏や本宮ひろ志氏の絵のタッチを真似ることで、ギャグも破壊力を増しました。

・そういった絵と話にギャップを起すことによる効果は本作にもあります。それはエロでバカなのに下品じゃないって効果ですかね。そこいらはオビで石田敦子氏も注意をうながしてます。不思議になじみのいいほのぼの世界が広がってます。

・中学校の校長は、校長室にセーラー服にいてほしいと思うあまりに、自分のハゲ頭をマウスパッドにしてまで部屋にコンピュータ部のサドを呼ぶM男だったり。
・エロ本が読みたくて読みたくてたまらないのに売ってくれない書店。それを見かねた名も無い男が少年の目の前でエロ本を買って、その場で読み出す。そして、「読み終わったから捨てるか。誰かが拾うだろ」と捨てるのを涙ながらに拾って感謝。そのことから、いらないエロ本を小学校の通学路に捨てる主人公。
・運動会で「ポロリ」を実現させるための究極のコンボとは?
・図書館の机におっぱいを乗せて読書してる巨乳の乳をゆらすためにものすごいイキオイで消しゴムを使ったり。

・と、実は、後半になり、そのエロギャグのノリで普通のギャグが展開していって、それがかなりおもしろいのもなんだかトクした気分なんだよな。「ケツマクラ」とか、「果物戦隊めりこみファイブ」の意味不明すぎる設定とか。

・あとまあ、図書館の司書さんとか、書店の孫娘とか、カワイイ女子も大量に登場しますし、カッパのかっちゃんの「クワー」もカワイイですね。

・とても気にいりました。おれも図書館の司書さんに叱られたいです。
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「並木橋通りアオバ自転車店」 17巻 宮尾岳 (少年画報社)

・そろそろ独走状態になってきましたね。
・こういった(基本)1話完結で、ウンチク交えつつの、オムニバスドラマにおいて、本作はトップの位置にいると思いますね。

・タイトルどおり、自転車店、ひいては自転車を中心としての、レギュラー陣やゲストなどの、自転車ちょっといい話的に展開していきます。

・17巻のツブの揃い方がまた異常。どれも1巻に1話入ってたらその巻全体がキリリとしまり、「よかった」って感想がつくくらいの珠玉の作品が惜しげもなく続く。

・で、17巻1話目「自転車戦隊ナミキレンジャー」が、そのベテランの仕事という点では最高峰かもしれない。

・駅前の不法駐車をなんとかすべき、主人公のアオバちゃんをはじめとして、準レギュラー陣登場しての、戦隊モノに扮しての啓蒙活動をするという。
・ちょいちょいとあるお祭り企画と思いきや、十重二十重にシカケをめぐらせており、かなり意外でバチっと決まったオチまで含めて、「はー」と感心させられる逸品だったりする。
・それ単体じゃ弱いネタをうまくブレンドさせたって見方もあるんですが、そのブレンド具合が絶妙なんですよ。これがそんじょそこらにない味わいです。

・その他、尽きることは無いのか?と思わせるほど、自転車バッグの話、警官が乗る白自転車の話、最新のスグレモノ自転車、中国の自転車と、バラエティに富み、「へー」と「じーん」を両方味あわせていただけます。

・たぶん、大きな視点でみるならば、本作も堂々たるマンネリループに入ってると思います。これはもうこの手のウンチクマンガの宿命です。ここで、読者を飽きさせるか、いつまでも新鮮な気持ちで読ませるかは作者の力量ですし、「継続は力なり」なんて、ベタなコトバは輝きを失わない理由も伺えるような気がします。

・自転車はいいですね。と、素直に思えるマンガです。すなわち、このマンガもいいですねと。
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2006年/5月/14日
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「大阪ハムレット」 1巻 森下裕美 (双葉社)

・しばらく名前みないなと思っていたけど、こんな名作を描いていたとは。

・大阪人情話オムニバスといったオモムキの連作短編集です。話がつながったり、前後編もありますが、基本的に1話完結です。

・もうすでに「少年アシベ」の森下裕美氏ってのすら古い言い草になるんでしょうかね。もともとWJ出身だったりもするんですよ。たしか、「少年ジャンプ」と「ガロ」と同時デビューとか、そういう感じだった記憶が。

・もともと4コマの人じゃないのが久しぶりの非4コマ作品ってことになるんでしょうかね。

・おれは「森下裕美」という名前だけで買ったのでかなりビックリしましたが、上記のとおりとても楽しく読ませていただきました。なんとなれば何度か涙が。

・かなりガラの悪い、手が早い、ヤンキー高校生が、国語の先生に「ハムレットに似てる」といわれます。で、図書館でシェイクスピアの「ハムレット」を借りて読んでみるという表題作「大阪ハムレット」

・大好きだったオバチャンの最期をみて、「女として生きる」と宣言した小学生のボクの話「乙女の祈り」

・不妊に悩んでる夫婦の妻のほうの久しぶりの同窓会「名前」

・前後編、中3なのに大学生とごまかして年上の女性とつきあう男子の苦悩を描いた前後編「恋愛」

「乙女の祈り」のボクがふたたび登場。今度は離島で恋に落ちるゾ。「おんなの島」

・ということで、すべて掛け値なしの名作。

・ポイントは絵だね。「ここだけのふたり」「少年アシベ」、あるいは、もっともっと昔のデビュー時からあった「ヘンな人」を描くという嗜好が、本作ではピークに達してますね。

・こう、美人(男も女もね)を描くってのはカンタンだと思うのです。わりに古来からの美のパターンってのがありますし、それはけっこう画一的だったりします。だから、ぶっちゃけ、記号のカタマリであるマンガにおいては「美人」は1人描ければそれでいいんですよね。それは美人という記号なだけですから。それにエロやキャラを付加するためにいろいろと描きこんでいったりするわけですよ。

・本作、そういった点において「美人」はただの1人もいません。「乙女の祈り」のヒロくんも、「名前」のアイコも、「恋愛」のユカさんもとてもカワイイですが、「美人」という記号にあてはまるような画一的なわかりやすさがありません。

・そう、すべてがこの「ヘンな人」から派生した、オリジナリティあふれる「顔」になっていたりします。

・これまでの、4コマ作品においてはデフォルメでカワイイもの、ヘンな人として描かれたそれをコママンガでも応用してるんですね。うん、とっても伝わってないなと書きながら思ってるんですが、ここ重要なところなのでもうちょっとがんばってみるよ。

・ベタにたとえると「ドラえもん」。このマンガは記号という点においてはものすごいものがありまして、ドラえもんはあそこでは普通に存在してます。だれも「なんだありゃ?」とは思わないわけです。「ドラちゃん」だったりします。いろいろな設定を飲み込んだ上に、のび太の家にいるロボットとして認知されてるわけです。ま、どう考えても現実的ではないですね。「ドラえもん」の存在自体、世界を変えるほどのものだったりしますからね。
・ドラえもんはともかくとして、そこで登場人物は異様なまでに設定とキャラが合致してます。しずかちゃんは美人。スネ夫は金持ちで小ズルイ。ジャイアンは乱暴モノ。

・そういうキャラにそういう顔ですね。それがキャラと設定の親和性というか、決まりというか。安心して物語をみることができるわけです。

・だからこそ、あだち充は1種類しか女性が描けないのに、「魅力的な女性を描いてる」なんていわれるわけでね。それはつまり「魅力的な女性」を1種類描くことができるからですね。

・で、本作は、4コマにおいての記号としての「ヘンな人」ってのから派生して、そのままコママンガになったようなヘンな感じがあります。そのヘンな人が泣けるドラマを演じてるということが特徴だったりします。長所でも短所でもあると思うけど、それらはこの絵をどう取るかってことかもしれない。

・いうてみれば美男美女が登場しないドラマですわな。それにリアルを感じるか、滑稽を感じるか。おれはというと両方感じられました。そして、それらはすべてプラス評価だったりします。まあ、「リアル」っても造形的にはデフォルメされすぎてリアリティはないんですけどね。
・だけど、女として生きたいヒロくんは、女装したり、女性化を目指してる男性特有の気持ち悪さ(あえてこの表現)がきっちり現れてるし、年下とつきあってるくせに甘えることに一生懸命のユカさんは「お姉さん」で「甘ったれ」という2種類がちゃんと描かれてます。

・シナリオがしっかりしてるということに驚かれると思いますが、それをこのキャラがキッチリ演じてるというところ、泣かせられるところが本当にすごいところだなと。

・それぞれシンプルな線でヘンな顔というのもスゴイ。そいで、「出オチ」で笑わせられるような顔なのに感情移入して泣かせられる。このヘンな感じがたまらない。

・4コマ以前の森下氏の話ってこういうカンジだったよな。「金魚のまくら」とか「荒野のペンギン」とか。絵はいわゆる画一的な美男美女が登場するものだった。
・で、本作はそれに4コマ以後の絵が載ってる。1粒で2度美味しいじゃないか。

・あと、もうイッコは全編通しての大阪弁ですね。これがかなりシックリきてます。おれの大阪や関西に対する憧れがあるのかもしれませんが、もう「異国情緒」くらいの表現でもいいくらいの効果を生み出してます。異国・大阪という感じでね。


福田先生スンマセン
しばらくやさしい
見てたって下さい


・こういういいまわしとか「あー」と思うよ。

・ということで名作。双葉社は最近すごいです。

オススメ
(14:16:46)amazon

「SPEED」 1巻 金城一紀&秋重学 (小学館)

・ザ・ゾンビーズシリーズ第3弾ですって。「レボリューションNo.3」「フライ,ダディ,フライ」に次ぐものです。

・家庭教師の謎の死。その謎を解こうとした女子高生に魔の手。そしてゾンビーズが魔の手から女子高生を助けたことで、その謎に挑むことに。事件は思ったより深みへ。

・ということで謎めいたまま2巻へ進みます。

・痛快な話ではあるんですよ。ゾンビーズの面々もすばらしくいい男ばかりですしね。ゲストキャラの女子高生もそらもう秋重画の美少女も絵に負けないくらいいいキャラ。ゾンビーズ側のメンツはみんな好きになる。

・ただ、無敵すぎてね。「レボリューションNo.3」でのゾンビーズの苦悩や葛藤は、「フライ、ダディ〜」以降はあまり見受けられないですね。そこがスムーズすぎるのがややタマにキズ。

・あと、いうことはない感じ。秋重氏の作画はやや脂が抜けましたが、よりなめらかになった感じがありますし、謎をグイグイとつきとめていきながらもゾンビーズの熱い男を描く原作もステキです。

・このシリーズはそれだけ読んでも楽しむことができる仕様ですので、どちらさまもどうぞ。2巻出てからでもいいですし。完結してからでもよろしいかと。
(17:31:45)amazon

2006年/5月/13日
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「ソラニン」 2巻 浅野いにお (小学館)

・あー。おれの負けだな。おもしろかったわ。
・こう最後のページを読み終わったあと、大量の放尿の後のようなブルルとする感覚がした。あれって男特有の感覚だそうですが。女性だとどうなんだろ?

・こう、わりに安易なところでのニューウェーブフォロワーみたいな感じに位置付けていたんですよね。まあ、実際そういうところですよ。おれはそういうニューウェーブなものが大好きなサブカル党のシニアクラスだもんで、この手のにはくわしいつもりではいるんで、「そんじょそこらのもんじゃ満足せえへんで」と、メガネ&出っ歯な関西商人風に思ってはいるんですよ。

・男女が同棲してます。女性は会社を辞めました。男はだらだらとバンドをつづけてます。そして、女性のためにけじめつけようと思ったらバイク事故で死にました。そいで、彼女はけじめのために彼のかわりにバンドをやりました。ライブをしました。終りました。

・これが全2巻のあらすじ。めっちゃネタバレ。

・なんていうか、マンガです。こんな表現どうかと思いますがね。「純マンガ」というかね。いろいろなものを削ぎとって、マンガっぽいマンガ、マンガたらんとするという意思を感じられるんですよね。気のせいかもしれない。

・そいで、本作もどこか「物語」という感じがある。いつもの浅野いにお的な話ではあると思うけど、あえて「地続き」じゃなくしてる感じ。

・それには絵の効果が大きいか。これまでで1番マンガっぽい絵だし、おれ、この絵は大好きだ。ああ、素直に書いてしまった。女の子はカワイイし、その上にリアルな背景。随所にマンガ的な遊びもある。デフォルメもいいし。トータルでとても好きな絵だ。最初にスタジオでギターを「ひとかき」したときのメイコや初ライブでのマイク前のひとこと「こんばんは」など、しびれていたわ。

・そいで、キャラが重視されてる。キャラもすごい好きだ。メイコも種田もベースもドラムもとてもいい。

・まだ、ヘビの足がニョロリとしてるような話ではありました。花屋のボウズとか必要だったのか?と思ったりしますし。過去編のインサートもややヘビの足ぎみに多かったような。ラストも雰囲気1発で押し切った感じがありますし(スキですが)。

・でも、浅野いにおが好きになったね。素直に次回作に期待します。変に弱点をなおさなくても許してもらえそうなトクなマンガ家ではありますよね。だから、そのまま突っ走ってくださいな。
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2006年/5月/12日
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「パチ漫」 かわかずお (洋泉社)

・パロディマンガにあらず、パチモンのマンガということで、「パチ漫」だそうです。

・そういうパチモンマンガをあつめた第一作品集です。

「足立のゲン」では、「はだしのゲン」の絵柄で、「あしたのジョー」を。
「名たんていカゲマソ」では白装束とタマちゃんネタを。
「コースをねらえ」では、丘がティッシュくばりの女王になるサマを。

・と、モトネタの絵柄をいただいて、なおかつ、「飛躍」しないで、本人が描きそうな構図やセリフを利用して描くという、「パチモン道」を貫いておられるのが特徴ですね。たとえば、しりあがり寿氏のような「サザエさん」一家が離散とかそういうトビ方はしないワケですね。

・模倣する絵が似てたり似てないのがしょうがなくもおもしろい。そら、資質というものがありますし、才能もありますからして、全ての絵柄が似るワケではないんですよ。それは、パロディ系のマンガを描く人に共通してます。唐沢なをき氏も、上野顕太郎氏も、しりあがり寿氏も、微妙なのがあります。

・で、逆にパチリ元の「オリジナル」度を思い知ったりするんですよね。ま、思い知ることができるのは同時にかわかずお氏のオリジナルへのリスペクト度も同様に高いからだったりもします。

・西岸良平氏ですね。この完成度の低さは突出してます。話はすごくいいんですが、絵の完成度ね。なるほど、逆に難しいってことで、おれ内の「マンガ家絵のうまいランキング」で西岸氏が上位にいることを変則的ですが証明できてうれしいです。
・あと、手塚治虫氏や藤子不二雄A氏のもキツイですかね。シンプルな絵は基本的に1本の線でガラリと変わりますからね。

・そういや、あとがきの長谷邦夫氏に指摘されてハッとしましたが、「PLUTO/浦沢直樹」ってつまりパチマンじゃねえか。ものすげえ金かけて正面突破でパチマンを描いてるワケですよ。「ライオンキング」もそうか。そういったところに比べると駄菓子屋的な親しみやすさはあるね。PLUTOはショッピングモールの雑貨屋のスミにある駄菓子コーナーみたいな感じか。

・ああ、つまり、王様を楽しむのに似てるのかもしれないな。王様っていたでしょ? 直訳ロックとかいってたの。あれに似てるわ。そのニッチぶりなところなんかすごく似てる。

・残念なのは、パチマンらしくない値段だったことかな。「パロディマンガ」みたいな値段じゃない?
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2006年/5月/7日
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「あふがにすタン」 ちまきing (三才ブックス)

・これはつまり「びんちょうタン」のパクリということになるのですか?

・というより、またWEBマンガをつかんでしまったよ。これ、絶対にオモテのどこかみえるところに表記しておいてほしいわ。ビニールで包まれてるから中身はわからないでね。でもって、おれはわりとそういう情報ナシで店頭で直感ってのを大事にしてる派ですからね。
・で、ソンしたってまでいうと、ちょっとセコイ男に思われて、女子の人気が下がるからアレなんですが、購買時考慮する要素にはなりますよね。あるいは、ネットで確かめてから買うのもいいかなと思いますし。

・本作、発売したのは2005年の7月でけっこう前です。作者のサイトはいろいろあった末に「ない」です。よって、WEB上で読むことはできなくなってます。どこかでみる方法はあるのかもしれませんが、そこまで探すほどじゃないですからね。
・ここいらWEB世界のおもしろいところですよね。文字通り「跡形もなく」なりますからね。ま、検索サイトに跡形はあるのか。

・で、本作おもしろかったです。

・アフガニスタンという実在の国を1人の少女として展開する擬人化マンガの手法ですね。あるいは、森羅万象萌え化への挑戦ですか。
・あふがにすタンは、いじめられっ娘で、「ぶりてん」や「ろしあん」、本当は仲良くしたい隣人のぱきすタンなどにいじめられても「あふ」としかいえないけなげな少女なのですね。

・で、まあ、あと、時事ネタや歴史に沿っていろいろと展開していくわけです。
・たとえば、21世紀初っ端の有名な911テロなんかは、あふがにすタンの家に住まった猫が「めりけん」ちゃんに噛み付いたから起こったわけですね。で、さすがに強い強いめりけんちゃんにはかなわないので、ぱきすタンもたじきすタンも協力してしまう。そして、めりけんちゃんの1発がくるけど、猫はヒラリと身をかわして逃げて、あふがにすタンだけ「あふー」と痛がるワケです。

・とてもわかりやすい。一方でとてもブラック。そしてその一方であふがにタンが萌える。と、とても多くのものを内包してるワケです。一方をとれば「安易」「単純化しすぎ」「茶化しすぎ」という意見もあるでしょうが、これにより、アフガニスタンについての理解が深まるという点では、パロディ元の「びんちょうタン」をはるかに凌駕してるのですよ。少なくともおれはそう。

・まあ、けなげなあふがにすタンの主要産業がアヘンの栽培ってのもすげえなと思いますね。

・たとえば、「アンパンマン」。「機関車トーマス」「トイストーリー」「カーズ」など、あえていえば「びんちょうタン」もそうかもしれないけど、この手の擬人化モノは対象がジャリということになってますが、本作では、そのセオリーに則って制作されてますが、あきらかにちがうところに向かってます。ここいらの飛躍がオタク文化の真骨頂なのかもしれないなあと思ったりします。少しづつずらしていくうちに製作者ですら意図しない地点まできてしまうという。
・本作にしても「びんちょうタン」ありきで、「タン」つながりで、「あふがにすタン」になったわけで、その「びんちょうタン」にしても、「**タン」という女性や子供の愛称である「**ちゃん」の変形からきてるもののシャレからきてるわけですが、「びんちょうタン」のイメージから「あふがにすタン」にいった瞬間にかなりのゆがみが生じてるのです。

・というか、「びんちょうタン」の出自はよくわかりませんが、「萌え擬人化」というジャンルが存在しますからね。食べものから地名から、いろいろありますよ。ここいらを延々とたどっていくと、かなり奥が深いことに気がつきますし、それはそのまま日本オタク史をなぞっていくことにもなるのです。

・そいで、ガキにも読むことができるという平易さがあります。すごい話ではありますね。

・ただオールカラーといえ80ページの本文に1ページ4コマ1本で解説1ページというものに1500円は高すぎですね。もとはWEB上でタダで閲覧できたものだし。
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2006年/5月/5日
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「金田はじめの事件簿」 あさりよしとお (白泉社)

・幻の作品だったそうで。たしかに20世紀の連載ですからね。それに描き下ろしの最終話を足しての堂々刊行だそうで。
・初出は「ウルトラジャンプ」だそうで、あさりセンセイが集英社で仕事をされている。そして、かなりなアレな作品だったりする!

・ということで、20世紀末あたりにブームだったですかね。「じっちゃんの名にかけて」のあの人気マンガのパロディ風、ブラック学園推理ギャグマンガですか。安易っちゃあ安易なスタンス。

・でも、実は、かなりなマニアなそうで(江戸川乱歩氏のマニアだそう)。

・40過ぎた少年探偵や、全裸の探偵などが登場したり、検死解剖した監察医が死体を腹話術の人形にしたりなどの、わりあいと「いつもの」感じのあさり節に、いわゆる学園推理のパロディ的な、どんどん人が死んでいくので、教室がカゼで学級閉鎖直前のようだったりなどの、学園推理マンガを皮肉った感じになっております。

・あとがきを読んだから思ったのかどうか微妙なところですが、途中からの路線変更(集英社オトクイの規制ラッシュですか?)なのか、主人公の少女探偵さんの立ち位置が微妙に移ろいでいくんですよね。漫才用語でいうところのボケからツッコミに変わっていく感じで。

・最初は、おかしな助手と名推理で刑事がツッコミというカタチでしたが、途中から上記の少年探偵など、おかしな人物、すなわちボケが流入しすぎて、少女探偵のほうもツッコミにかわるという感じだった。というか、どんどん脇役になっていく感じ。

・ああ、そういや、そんな探偵マンガあったね。江口寿史氏のやつで。あれと同じつまらなさを感じたな。あ、いやいや。表現訂正。あれと同じ「おもしろさ」を感じたな。
・江口作品においてのソレ(ひのまる劇場ですね)と、あさり作品においての本作ってのは位置的に似てる気がする。

・ということで、レアトラックス集にあまりレアな感じがないのと同じような、それでもいつものあさりよしとおマンガでしたかね。

・あ、でも、絵はこのころが1番脂が乗っていたんじゃないか?ひょっとして。
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「Dear Monkey 西遊記」 2巻 白井三二朗 (講談社)

・オビのコピー「無呼吸読破、確約!」ってのはあまりうまくないですね。そういうニュアンスとはちがうなあと思います。息つくヒマなし!みたいな感じではないです。
・意外に、息つくヒマがないストーリー展開ってのは、「安定」してるんですよね。つまり、ある程度の目的地があり、それぞれのキャラクターが読者内でもきっちり把握されていて、その上に則って「おもしろ」がふんだんにテンポよくあるのが、「無呼吸読破」だとは思うのです。

・2巻はそれを超えて、心臓が止まるような展開になるんですよね。

・軽くあらすじ。玄奘の妹が、妖怪によって仕組まれたニセ玄奘の天竺行きを阻止するために、それより早い天竺行きを目指す。その道中で、「まちがって」ゴクウやハッカイなどが仲間になります。でも、妹はそのほうがなにかと都合がいいので、いっしょに旅をすることになってました。

・それがバレた2巻です。だいたい2巻の中間くらいかな。それが2巻のクライマックスだったり。

・このとき、すべてがバレた後の1pづつぶちぬきで見開きの2人の表情が絶品。ゴハンが2杯食べられるよ。うすうすわかっていた双方、それでも隠していて、お互いの信頼というか、楽しさみたいのが芽生えてきた上での、双方のウソと裏切りが露見した自己嫌悪と自虐とバツの悪さ。そういうのを余すところなく表情の絵だけで描いてる。すばらしい。

・そして2巻後半では別々に行動することになり、1人で天竺を目指す妹のほうの行動を読者は見守ることになります。そこでも波乱万丈ではあるんですけどね。

・だから、中間でヒトイキはあるんで、無呼吸ではないなと。

・ま、どのように決着して、またいっしょの旅になるんかなーっと3巻を楽しみに待ちたいところです。
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「コーヒーもう一杯」 2巻 山川直人 (エンターブレイン)

・1話完結読みきりマンガの2集目。めでたいことです。

・後半にある「クロージングタイム」から「1周」したって感じがとてもよかったですね。

・なんかみたことあるんですよね。以前の山川作品で。おれの気のせいなのかもしれないけど。
・20年営業してる「白樺」という喫茶店。そこでは亡き夫の教えに忠実に、コーヒーをアタリマエのようにちゃんと煎れて出してるオカミがいる。その喫茶店を軸に展開する話。
・そして、それから先の話がみんないいんだ。いや、おれがそう思ってるだけで、クオリティは変わらないしずっといいんだけど、「クロージングタイム」以降の作品が大好きなものばかりでしたね。

「犬と猫」では自分とトモダチが犬で、まわりが人間の中、「合コン」に参加する話。
「絵の中の喫茶店」では故人の絵に描かれた喫茶店を探す女性の話。
「風邪をひいた日」は、熱でモーローとしてるとき、かつての恋人が看病に現れる幻覚をみてる話。

・こう、実にあまりショートショート的な意外なオチも用意されてない感じの話です。でも、いつも飲むコーヒーがいつもの味であるように、これらもいつもの山川直人作品という感じでね。

・あと、絵がますますスゴイことになってきてるね。真っ黒です。

・本作の1巻を読んでおられる方はなにもいわずに買うでしょうし、1巻を読んでない方はそっちを読めという感じですので、とくにオススメはしません。

・好き嫌いがハッキリするキライがありますよね。
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2006年/5月/4日
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「電波の城」 1巻 細野不二彦 (小学館)

・かなり圧倒されます。

・3つの話が進行します。たぶん、2巻では1本に融合しそうですが、1巻時点では3つの話として並行で進んでいきます。

・謎だらけの主人公・天宮がつぶれかけた芸能プロダクションを「居抜き」で買取、フリーのニュースキャスターを目指します。
・実直で地道ながら警察をも凌駕する捜査能力の若手が迷宮入りしそうな殺人事件の謎を解きます。
・才色兼備のカガミのようななにをやっても1流の天才ジャーナリストが日本人女性初の宇宙中継をして、凱旋帰国して、殺人事件に興味を持ちます。

・そういうテレビ業界マンガです。
・本作、ひょっとしたら、「太郎」ぶりに、設定リセットしない連載じゃないかと思うのです。
・設定リセットとは、1話〜3話くらいで完結して、またその設定に戻るってパターン。「ギャラリーフェイク」などはそうですよね。
・そうじゃなくて、延々と、この3つの話が、こうなってこうなって続いていきます。その展開のスリリングなこと。

・業界側の視点で、なおかつ、ニュース番組の裏側および芸能界、テレビ業界をミッチリコッテリとウンチクを交えて展開していきます。ここいらは「太郎」での地方信用金庫。「ギャラリーフェイク」での美術業界。「ダブルトリック」でのサラ金業界などの描写と同じで定評があるものです。相変わらずどれだけ詰め込むの?というくらいふんだんにネタは盛り込まれてます。

・そして、本作の「圧倒」はもうひとつ別にあるんですね。このタイトル、2種類の意味を持っているんですね。

・テレビ業界と、主人公・天宮のコトです。そう、この女、かなり電波です。

[Amazon.co.jp:ごめんあそばせ 1 (1)バーズコミックススペシャル: 本]というOLギャグマンガの主人公をホーフツとしながらも、それをさらに超える電波っぷり。
・美人の外見で、もと地方FMのキャスターをやっていた以外の過去がまったく明らかになっていないし、キャスターを目指す理由すらよくわからない。それでいて、ときおり行動がまったくワケわからないという。

・そういうことで、いろいろと先が読めそうで読めない中、主人公のキャラが強烈に光り輝いているようなマンガなんですね。

・ちゃんと読んでないで、よくわかりませんが、安達哲氏の「お天気お姉さん」とか、国友やすゆき氏の「こっこちゃん」などの、キャスターものとちがって「お色気」を否定してるところもスゴイ。
・主人公の在籍する芸能プロダクション社長が、「抱かないと(どんな女かわからないから)プロモーションできない」とばかりにレイプしようとするんですね。でも、鉛入りのヒールで鼻骨を叩き蹴るんですよ。

・ま、その後も、オーディションでライバルにハバネロ入りのジュースを飲ませられたときのリアクションとか、ときおりみせるわからない動きやこだわりなど、とっても電波です。

・だから読んでいる間、とてもドキドキします。主人公のキャラと物語の相乗効果です。

・ああ、やっぱりマンガ職人、すごいキャラを作り上げたなあ。と、そのときにふと思い出すのです。

・たとえば、最初の出世作「さすがの猿飛」のヒロイン。未だに興がのるとタモリ氏がやるモノマネでもお馴染みの「GU-GUガンモ」のお金持ちのヒロイン。ラブストーリーの「ママ」のヒロイン。

・これらの女性はみんなそれぞれヒロインらしさと同時にかなりのクセが内包されている。それを「個性」と捉えるのもいいんだけど、どうも、それ以外になにかあるんじゃないかしら?と思ったりもするのです。

・そういわれてみれば、細野マンガにおいて、いわゆる「女神」キャラって1人もいないんじゃないか? パーフェクトな女性というかね。
・ま、だれかヒマな学生とかは研究してみてください。おれの考察はここまでにしておきます。意外と奥深いと思われますよ。

・そういう細野女性キャラ史上最高にイってますけどね。

・スゴイですよ。これまでの細野マンガから(いい意味のほうが多い)突き抜けてますので、多くの方、お試しください。
(15:37:51)amazon

「いい電子」 6巻 みずしな孝之 (エンターブレイン)

・毎年でてるアレですが。

「ファミ通」連載のゲーム素人のゲームマンガってことになってますが、300回突破しておいて素人ぶるのってどうだろうねと根本的な疑問をもったりもしますね。同年代ではもちろんのこと、ゲームを遊ぶという環境において、かなり恵まれていると思うのですがね。いろいろもらってるし、便宜をはかってもらってるし。
・本作での「シロウト」発言のたびに、内田春菊氏のマンガであった、風俗で「ボクはじめてです」と強調したらやさしくしてもらえると期待してる童貞のネタを思い出す。あと、2ちゃんねるでの初心者ぶりとか。
・ま、余計なツッコミでしたか。

・うまいんだなあと思いました。だれと比較してというと、「気になったもんで」のはやのん氏です。同じ、ファミ通系列でのゲームネタエッセイコミックでしたが、やはり、ダンゼン本作のほうがおもしろいです。まあ、はやのん氏のマンガを読んで認識してるのはどうかなと思いますが。

・6巻ではゲームプレイマンガのうまさが印象的でした。なるほど、そこでシロウトを強調するアドバンテージが生まれるワケなんですね。「くわしくはわからないけど楽しかったー」的な。それが間口を広げるのに役立つワケですね。

・そういわれてみれば、現在も多数連載をもっておられる売れっ子のみずしな氏ですが、ついにおれが買ってるみずしな作品はこれだけになってしまいましたね。ほかのがつまらないワケじゃないと思います。おれが読む気がなくなっただけで。6巻でいっしょにマージャンやっておられる、重野なおき氏や小坂俊史氏はおもしろいんですけどね。なんでだろう? よくわかりません。今度なにかためしてみたいとは思ってます。

・しかし、Tシャツにアイロンってかけるもんなの?
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2006年/5月/1日
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「ちまちま」 かがみふみを (双葉社)

・エロのないエロマンガというかね。

・作者はエロマンガ家です。1st作品集では、かなりロック通であるみたいで、あちこちにその手のことを書いてましたし、その趣味がおれに似てて、そういうことで好感を持ったりしてました。そのからみかどうかわかりませんが「ミュージックマガジン」の輸入レコード屋のカット書いたりしてました。
・その後は、わりと縁がなく、ロリっぽい単行本をみるたびに「ああ、元気でらっしゃる」と思うくらいで、久しぶりではあります。

・身体も精神も小さい幼い感じの女子中学生が、身体はでかいけど、精神が小さい幼い感じの男子中学生とうれしはずかしでつきあうというマンガです。

・これが、「いやらしい」。おもに2つの意味があるこのコトバの両方含んでます。「いやらしい」。

・こう、男女の初々しいつきあいはじめというと、「ういういdays/犬上すくね」とか「チョコレート/しおやてるこ」などを思い出しますが、これらとはかなりちがったアプローチです。とくに「チョコレート」はいろいろな意味で好対照なのです。

参照:http://www3.plala.or.jp/sukekyo/comic/2006/c0603.htm#c51

・女性作家における男性(男子中学生主観)視点が「チョコレート」で、男性作家の女性視点が本作と。

・こう、男女の仲のレベルアップをなにで確認するか?ってことですよね。
・いろいろありますが、ザックリとわけると、女性は「同意」で、男性は「接触」で得るのではないかと。話や行動に同じをみつけて「そうだよね」「ね」と同意を得ることで少しづつ経験値がたまるのが女性で、「うわ、こんな近くにきた」「胸の谷間がああ」「やわらけえ」とかそういうことで経験値と精液がたまるのが男性と。ま、こんなん書くほど実際の場数も、マンガなどの物語のソレも知らないんですけどね。

・で、後者を女性視点で描いてるからいやらしいのが本作なんですよ。本作、「手を握る」ということに双方かなり一生懸命になり、しかも、お互いにそれをいいだせないという展開が白眉だったりします。クライマックスだったりするんですよ。
・それ以前は、物理的な意味での「接近」ってことにかなりお互い意識されてますしね。

・はじめての水族館デートで偶然、手が触れて、そのまま手を握る。このときの描写は「甘酸っぱい」とか「初々しい」というより、前記のとおり2つの意味での「いやらしい」って感じなんですよ。

・表紙になってるくらいですから重要だと思うのですし、オビにも「こんな小さな事でうれしくなる」なんて書いてありますよ。つまり、方向性としては、こういう小さいドキドキを積み上げて恋愛の塔をぶち上げるんやあ。まさに恋愛の新東京タワーやでえと。彦麻呂のようにいいたい気持ちはわかるのです。

・けど、それにしてはいやらしすぎるのがまず1点。性行為描写のないエロマンガの手法で盛り上がってますね。作品内でもツッコミが入ってますが、「手を握る」という行為がとても大きなこととして描かれてますし、最初のそれはまさに処女喪失の感じでしたからね。
・あと、主観視点がときおり移ろうのはどうだろう?と思った。一応メインは小さい女子の視点だけど、ときおり大きい男性視点になったり、それが物語内で一貫してない感じとかはやや散漫だし、それぞれ把握できたりできなかったりするのは不安になるね。

・だから2通りの「いやらしい」なんですね。男はいやらしいの基本的には好きですしね。ただ、オバチャンが眉をひそめるほうの「いやらしい」ってのも含んでるわけです。

・どうせだから、女性はどう読む?と思って奥さんに読んでもらいましたけど、おれよりは普通に「ういういしいね」くらいの受け止め方なので、おれは少し変な自意識なんかナと思ったりしました。
(13:29:31)amazon

「ボーインズオン・ザ・ラン」 2巻 花沢健吾 (小学館)

・ダメだ。おれにはムリだ。

・なにがダメかって、オビに両親からコメントもらってるあたり。作者のセンスか、編集のセンスか知らんけど、少なくとも、作者には了承を得てるから両親のコメントをとれるわけでね。
・創作は基本的にはオナニーで、商業的なそれはすなわち公開オナニーということで、その公開オナニーの感想を親に求めるのはねえ。「どんびき」ってやつになります。とくに本作、内容が内容なだけに余計にひくわ。
・ウケねらいとか、開き直りとか、いろいろ考えられますが、どのパターンでも絶対にやったらダメだとおれは思う。読む前から読者(おれ)にイヤな気持ちを与えるよ。

・あと、なにがムリかって内容。1巻のときからより空回りのほうに加速している。スタックしてるクルマのアクセルを踏んでる感じで。タイヤが空に飛んでいきそうないきおいで回ってる。

・サエないサラリーマンが主人公。同僚の女性といい感じになったけど、結局自滅するカタチでふられる。

・おれはこの主人公を笑えばいいのか、同情すればいいのか、軽蔑すればいいのか、痛がればいいのかわからない。

・で、このあと1巻の冒頭と2巻の冒頭に出たボクサーの女性とつきあうと正解なのか、ふられた女性とヨリが戻るのが正解なのかもわからない。そのどれに主人公がナットクするのかもわからない。

・そして、その答えを読みたいと思う気持ちはそんなに高くない。0ではないけど、1巻から2巻にかけてゴッソリ減った。

・そして最大の問題点は本作、完成度は高いってことだな。だからこそ、タチが悪い。イヤにえぐりこんでくるワケですよ。
・おれが読者にいえることといえば、この手のマンガになんかを得たような気がするならソレは錯覚だよということですかね。おれが「宮本から君へ」をみてカンチガイしてたときの気持ちを読者にはもってほしくないなと。ムダだから。

・3巻どーしよーかなー。たぶん、また、田西がイヤな目にあって泣いてるんだろうなあ。かわいそうに。(って、おめえ感情移入しまくってるじゃないか)
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「ほっぷすてっぷじゃんぷッ!」 8巻 岡田和人 (秋田書店)

・最終巻。
・いろいろと「どうよ?」と思うようなところはありましたが、終りましたね。いい位置に着地させてまして、さすがベテランと感心しましたです。

・カエルにかまれて、カエル能力を得た、女子高の用務員のオッサンの活躍を描いたスパイダーマン的なエロコメ。

・7巻あたりから、ひくようなダークネスな展開になりましてね。それこそ「退治」されるにふさわしいような敵が登場し、9巻で退治したという感じでしょうか。そう考えると超人マンガってのはその力を発揮できるような敵が必要という点で難しいものですよね。

・ヒロインの親友をレイプした男、その男をシャブ中にして、さらに凶悪にしたやつら。そいつらとのラストバトルということで、全編そんな展開ですが、エロをおろそかにはしないってことで、相変わらず、どんな服で、どんな乳首やねんってな感じですし、随所にエロシーンも盛り込んでます。

・ティッシュペーパーのような被服に、ブロンズ像のような硬度をもった女体じゃないとこのマンガのようにならないような気がしますが、そこいらがもっともファンタジーってことで、現代社会でのヒーローの生き辛さをなにげに語ってて読み応えがあった9巻ではありました。
(20:07:10)amazon


・[ケージバン]