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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/7月
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2006年/7月/30日
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「未来日記」 1巻 えすのサカエ(角川書店)

・やはり、この作者はホンモノだ。前作「花子と寓話のホラー」よりもおもしろいもん。

・未来を知ることができるケータイの日記を持っている12人が殺し合うマンガ。

・神様によって行われる「ちょっとした刺激」としての殺し合い。未来をケータイで知ることができる12人。互いに殺し合わせるサバイバルゲーム。生き残ったものが神の後継者となる。

・12人はお互いに素性は知らない。それを探りつつ殺す。そういう「DEATH NOTE」的なルールの多いマンガ。最近の流行ではありますね。TVゲーム流行の弊害はゲーム脳じゃなくて、こういう「独自ルールマンガ」の台頭にあるのかもしれませんね。それこそ、「カイジ」から「遊戯王」からそういうマンガが多いです。

・で、おれは本作をすっげー支持します。こういうルールマンガはどうしてもルールに囚われて、ダイナミックな展開が難しくなりますが、1巻ではいきなり学校生徒を人質にとるゴスロリの爆弾魔と戦う主人公ってスケールですよ。

・とてもいい感じに楽しく読むことができました。これは人気がでて、作者が思うサマ描いた、作者の構想時での「完全版」で読みたいものですね。たぶん、世にあるマンガのほとんどがその「完全版」ではないと思いますがね。

・展開上まだまだのようなので、絶対にうまく最後までたどり着いてほしいものです。そのためには人気が必要。そのためにおれができることといえば、ここを読んだ人におもしろいから買ってくださいと書くことですよ。すなわち。

オススメ
(16:41:41)amazon

「水惑星年代記」 大石まさる(少年画報社)

・なんだか、着実にいいマンガ家になってきてますね。大石まさる氏の新刊です。デカイサイズで値段も高いです。カラー掲載はカラーで載ってる大盤振る舞いです。それはそうしても売れると編集が踏んでおられるからですね。

・いっとくよ編集。あんた正しいよ!

・水の惑星での連作短編集です。前短編集「空からこぼれた物語」とか、キャラが連綿としてつながります。世界もいっしょですかね。軌道エレベータがあるくらい宇宙開発が進んでいる地球、日本での物語ですか。女性が主人公の話が多いです。あと、宇宙関連の仕事も多いですかね。つまり、宇宙の中の水がある惑星の話という感じで。

・トーンが少なく、丁寧にかけ網を重ねた絵で、これまた丁寧に丁寧に話が展開します。

・テンションを落として、「りんりん〜」や「ピピンがピント」よりもしっとりとゆったりと話が展開しておりまして、それがまたいい感じなんですよね。

・あー、モトもコもない発言をしてみようか。鶴田謙二っぽくなったなー。

・女の子を描きながらその実、女の子のいる場所を描くという、女の子描写を「推進力」につかう手法。とてもいいです。鶴田謙二氏も使っておられる手法ですが、双方とも別の味わいがありますし、別にそれをもってパクリってんじゃないんで。
・その推進力で「SF」ってのもいいですよね。してみると、半裸のヨロイを着た女性が登場する中世ファンタジーってのは実に理に適ったものなんですね。

・みんな「かわいい」人ばかりでねえ。それは女性ばかりに限りませんが、基本的に大石作品には「こいつ嫌い」ってのは1人も登場しませんよね。それでいて、すばらしい景色が広がるステキな世界。的確な描写。大きいオッパイ。清潔なのに色っぽい。

・大石氏は作品を出すごとに自分のこれまでを踏まえておられるのがスゴイですね。着実にBESTはNEXTです。本作も前短編集から「りんりん」や「泥棒猫」や「みずいろ」「ピピンがピント」があるから本作です。

・ヒーリング&クールダウンマンガですね。今年の夏はコレで乗り切りましょうってオビと同じこと書いてるね。

・もしアニメ化やら劇場映画化されるならテーマソングは「水の惑星/タイツ」で決まりですね。


水の惑星に落ちて/運命を食べる
水の惑星に落ちて/君と会い/そして君を抱きしめる
UP&DOWN

[Amazon.co.jp: GIRLIC REPLICA: 音楽: タイツ]

オススメ
(17:52:45)amazon

2006年/7月/28日
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「あるいて一歩」 1巻 武田すん(メディアワークス)

・ド直球のひとつ屋根の下アパート同居ラブコメ。
・貧乏なのを隠し、特待生で授業料や住居を免除してもらいエリート学校に入学した主人公(男)。しかし、入居するアパートは学校の敷地に囲まれたボロアパートで、大家や住人は残らず女性だった!

・で、同級生の大家さん(父の形見のアパートなんだと)とラブコメな展開。

・これが、いろいろなキャラがいるけど、2人のラブコメにかなり収束されているのです。もうちょっと余裕を持ったらどうよ?って思うくらい、まっすぐにアクセル全開にそのラブコメ展開です。

・1巻のあいだは、えんえんと主人公が大家さんに告白するしないで、うまい具合にもつれていくという展開で終始してました。ときおりウフーンなシーンを挿入しつつ。

・あっさりしてそうで細かい描画。ドテ高パンティ描写がすげえです。ただ、ほかの描写はパンティなどの女体および女体オプションほどじゃないですね。台所の下に大家さんが隠れるところからのカメラアングルだと、主人公の顔は映りこまないだろ?等、背景と人物の対比がかなりいいかげんだったりします。ガン描写(オタク女性が同居人でいるのです)とかが細かかったり、趣味の部門はスゴかったりするのがまた。

・キャラはもうちょっとだけ掘り下げ気味にしたほうが感情移入しやすいんじゃないでしょうかね。とくに、主人公と大家さん。妙に、彼らの行動に納得し難いところがあるのです。
・たとえば、主人公の貧乏がバレるのを極端に嫌うこと。本命の大家さんにバレバレだし、ライバルで猛アタックしてくる女性にもバレてるんでどうでもいいじゃん?と思ったりするんだけど隠そうとしてるね。その理由をちゃんと書いてあるならまた話は別だけど、貧乏という理由で子供時代からバカにされていたってだけじゃ弱すぎる。
・大家さんがアパートの評判を気にしすぎなのも不自然すぎる。これまた理由も説得力も弱い。
・そして、ほかのキャラは性格と基本設定以外すべて弱い。ただ、キャラ自体、少ないからとても明確で分かりやすくはあるんだけどね。もう2〜3エピソードやキャラを立てるアクセントをかませればよかったんじゃないか?と思ったり。

・そうなんですよね、基本的によく動いてエロくてかわいいキャラが多いけど、性格とかでの深みが足りなくて、やや薄くみえるんですよね。絵自体も薄いし。

・テンポがいい。そしてシンプルな「告白する」と目的に向かいまい進してるのであまりややこしくもならずに展開して読みやすいです。それとほどよいエロ。

・2巻ではどうなるんでしょ? 一応買います。
(14:44:34)amazon

「変わってるから困ってる」 藤枝奈己絵(青林工藝舎)

・いろいろとよくわからないのにぐいぐいと引き込まれる負のオーラに満ちているマンガ集です。とくにタイトル作。

・消しゴム工場で働いている女性。同僚でなにかあるとすぐにキレてしまうメガネ男子にホレている。本人は盗癖がどうしても直せずに、会社の人のモノや雑貨屋で万引きを繰り返す。そんな2人があるときお互いにマズイところを目撃しあう。

・と、どんどんおかしな方向にころげていく。そして登場人物が基本的に「変わってる」(って表現じゃ足りない気がするが)方が多いので、先が全く読めないんだよ。
・しかも、そのわりにいかにもマンガ的な超展開はなくて、丁寧にロジカルに現実的にイヤな方向にころがっていくんですよ。それがかなり「ええっ!いやだなあ」ってところにころがっていく。
・全7話で「アックス」で連載されてるようですが、毎話の「ヒキ」がかなり上手いですよね。毎回主人公がピンチってのはいっしょですが、毎回ちがった種類のピンチに落ちます。ここいらの上手さは特筆すべきところです。

・そいでオチがすごいわ。「シガテラ」オチというとちょっとわかりますか。「李さん一家」というとモロですか。実は1番イヤなオチですよ。ま、大局的にはヘンな人がヘンなことをちょっとだけしたってマンガなのかね。

・絵は、ぶんか社の女性4コママンガ家に毛が生えたくらいのところです(念のため書いておきますと本作は4コマではありません)。その不安定な感じも、いうたら青林工藝舎(前の青林堂)伝統のものかもしれません。

・古泉智浩氏に近いものも感じられます。内容とか絵とかはちがいますが姿勢というか。

・短編が何篇か収録されてますが、この長編のドライブ感がキモだと思われますので、これからも長編を描いていただきたいと思います。妙なメジャー感が見え隠れしてるんですよね。もしかして内田春菊になれるかも? それとも岡崎京子? 本作もドラマ化? 堀北真希主演?(ワレながらいいキャスティング)

・さて、親しみやすい絵と読みやすい話なので、奥さんに読ませたところ、「全くダメ。理解不能。最低」という思った以上の嫌悪を表しておられました。やっぱメジャー化はおれの錯覚か。だけど、嫌悪するほど入り込むマンガということはいえますよ。

・そういうココロにザックリくるマンガであることです。
(17:43:26)amazon

「おキツネさまでchu」 4巻 速野悠二(秋田書店)

・最終巻。
・サエない男が願いをかなえるためにキツネの神様と合体し美少女になって女性に憑依した悪霊を祓うセクシー霊能コメディ。

・このマンガは、男が女子になってしまうのがキモだったんですよね。つまり、登場人物は女子だけになってしまうのです。だから、ブレーキがかかるわけです。女子同士じゃ本番行為がないですから。で、数打てとばかり大量露出になるんですね。

・ところが4巻で逆に主人公が恋焦がれてる本命から椿棒(ちんぼうと読む)が生えるわけですよ。つまり、ブレーキが壊れるわけです。そして、本番行為解禁になるわけですが、精神体が固まったものであるからして、本当の本番行為ではないと。皮1枚でセーフになるという。うまく考えられてます。新しい(でもないか)フタナリのカタチでしょうか。

・で、そのおたがいを知らない最後の対決を軸に最終回へと流れていきます。

・しかし、冷静になると、このマンガ、主人公以外はほぼ10代と20代の半裸か全裸の女性しか登場しないマンガですね。まさに描きたいことだけ描くための設定と展開といったオモムキで、とても潔いマンガでした。

・しかも、女体に対してのリスペクトが感じられます。「女性の裸はいいなあ」と崇め奉ってる感じが、下品を阻止してるのかと思われますよ。少年誌っぽいタッチでもありますしね。
・でもって、パーツやフェチってんじゃなく全体的にスキなようでね。ま、お尻が好みっぽくもありますが。

・次回作は女性以外の描写に挑戦されるんでしょうか?
(18:20:17)amazon

「女子大生家庭教師濱中アイ」6巻 氏家ト全(講談社)

・最終巻。女子大生の家庭教師と教え子の禁断のラブコメディということにはまったくならないマンガのまま終りましたね。
「ノホホン下ネタ」とでもいうべきでしょうか。積極的に下ネタなのに、エロさがまるでない。まあ、爆笑もないんですけどね。だいたいあまり下ネタでは爆笑ってのもないか。

・ということで6巻では、いろいろあって最後に四十八手でからんでる(もちろん双方衣服着用)オチとか、筆を大根おろしで削って「筆下ろし」ってネタとか、そういうのが目立ちましたね。

・でも、さわやかに卒業しました。

・もしかしたら、ちゃんとした直球ラブコメを描くことができるんじゃないかい?
(18:37:30)amazon

「魁!! クロマティ高校」17巻 野中英次(講談社)

・アニメ化、実写映画化された、大ヒットギャグマンガも最終巻。でも、全然そんなカリスマ性がないまま17巻ってのはスゴイことかもしれないね。もう、明日にでもブックオフで全巻1冊100円で並んでそうな感じあるもんね。

・また最終回も林田で終るもんな。林田ってのは、「おそ松くん」におけるイヤミみたいなノリかもしれないな。結局、主役だったみたいな。たしか、「おそ松くん」の最終回もイヤミが主人公の話だった記憶がある。

・で、本編の最終回のあと作者が登場するグズグズしたのがつづくのもなんだかいいですね。

・とにかく、命がけで脱力してテキトーを心がけたマンガで駆け抜けたので作者はとてもエライと思いました。

・最終巻ということで、人気キャラのメカ沢やフレディやゴリラやバンチョーちゃんなどを出してましたが、それもテキトーでしたね。

・トータルではまあまあかしらね。1巻からおもしろいのとつまらないのが混在してたし、その割合はおれの感性で増減してましたけど、だいたい印象は1巻から17巻までいっしょでした。それもスゴイことですね。
(18:49:30)amazon

「あまえないでよっ!!」 6巻 宗我部としのり(ワニブックス)

・なんだか、今後長くなりそうな気がした6巻です。いろいろな設定強化やら仕込みがあったような。

・尼さんがたくさん登場するハーレムラブコメです。6巻では、不調になっていた主人公の男の能力がよみがえり、「適乳」の敵役だった少女を救い、彼女はいったん舞台から退場してしまいましたね。スキだったのに。

・でもって、6巻の主役は、太い眉毛に褐色の肌がステキな雛美さんでした。裸に白装束1枚で滝に打たれた後の雛美さんをおんぶするってとってもナイスエロシーンが6巻最大の宝ですね。

・そして変身。今後、尼さんたち、めいめいに変身するんですかね。いろいろと大掛かりな展開になりつつあります。

・そんな中、ストーリーを展開することに囚われすぎず、ちゃんとエロを展開してるのがステキすぎ。
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2006年/7月/24日
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「せんせいになれません」 4巻 小坂俊史(竹書房)

・4コマ王子の最新作は最長作で代表作の教師4コマです。
・考えてみれば今教師ネタって難しいですよね。ニュースとかみてると痛感するわ。
・そんな中、こういうダークサイドでちゃらんぽらんでありながらどこかピースフルな世界というのは、実はけっこうスゴイことなのかもしれないなと思ったりします。

・ベルマークで卓球台が買える。でも1卓しか買えない。ということで、ほかの小学校とベルマークをかけて麻雀勝負する。
・筆箱やノートを忘れた生徒が多い。「ちょっと待ってろ」と出て行く教師。かなり経って、パチンコの景品をかかえて、「クギをしめてやがって手間取った」
・生徒にコックリさんをさせてそれで出た目を競馬につぎこんだり。
・給食の献立票の記載ミスで生徒全員のプリンが余り、それをどうムダに使ってやろうか(プールに入れるなど)で会議が紛糾したり。

・冷静に現実に即して考えると微妙なラインをついてるなあと。そういわれると、4コマ王子のキャラはどいつもこいつもダメ人間要素が旺盛な反社会性を持っているキャラばかりだな。

・それなのに、平和。本作でも、こんな先生ばかりだと生徒も無軌道になりそうだけど、そうならないし、そうならない説得力があるんですよ。ここがスゴイ。

・たとえば、晴れた日に「こんな天気の日に算数なんかやってられない」って、遊びにいくとみせかけて、社会をしたりする。
・プールサイドを走らせないために、見学者の生徒にトラップをしかけさせる。
・テストは阪神優勝セール付。わからない問題でも、阪神のことをホメると点数がつく(でも、阪神のことの事実誤認は徹底的に減点するからマイナス点がつくってオチ)

・あと、女性キャラが多い4コマ王子ですが、徹底的に萌え要素がないところもいいね。カワイイけど非萌え。ここいらの徹底ぶりはひょっとしたらいしいひさいち氏より上かもしれんな。

・個人的にわからないネタが増えてきたのが気になります。この場合の「わからない」というのは2種あって、「こんなオチ?」ってなぜ掲載したのかわからないってのと、4コマまで読んで笑いどころがまったくわからないの。
・これ、4コマのコミックがあるとどんなマンガ家でも1冊に2個以上は確実にあります。ま、それが4コママンガのクオリティの目安とも思われますが(この目安で1番精度が高いのは「OL進化論」の秋月りす氏だとは思う)、絶対ということでもないです。ホームランが混ざってたりするとまたちがいますからね。

・いうても王子。さすがの出来栄えではあるんですけどね。毎回の表紙での4人の教師の遊びっぷりがステキ。
(15:02:01)amazon

「ぺし」 2巻 風呂前有(講談社)

・大阪の小学校の地味なデキゴトを描いた、ナニまる子ちゃん?な話です。

・ディティールの笑いのようですね。レンズがグググとズームしていく笑いというかね。マクロレンズの絵ですね。
・井上さんというキャラがでてきます。彼女が朝、なにげなくさりげなくアタリマエのようにランドセルから、パンケーキを取り出して食ってるのをみてから、彼女の行動が気になって仕方なくなったいじめられキャラの坂田クンが、給食のとき、スパゲッティを鼻の穴から出したのをみて、飲んでいた牛乳をイジェクトしてしまった話。

・熱っぽいのに学校でやる映画がみたくてしょうがないみおちゃんは保健室でクスリをもらってきましたが、やっぱり眠くて暗い体育館で眠くてグルングルン首を振り回したり。それで坂田クンがまたオロオロしたり、ヘッドバッドもらったり。

・倍率の高い望遠鏡をのぞくのと似てますね。ポイントが合う人はとても楽しむことができますが、そうじゃない人は「なんだこれ?」となってしまいます。また、1冊の中でもそれが混在してしまいがちです。ここいらのツボが難しいところですね。

・おれ的には、漢字のテストで、わからない漢字を、教室のいたるところから読もうとするネタとか、自画像の鼻の下のミゾの話とかはピントが合ってますが、体育用具倉庫で驚かすネタ(オールカラーなんだな)とかは「?」となってしまいます。
・奥さんはおれとちがいナワトビネタとかがツボだったそうです。

・女の子はかわいいし、ネタは基本的にほのぼのしてます。ただクローズアップの容赦ない感じがそれだけじゃないなにかを感じさせますね。
(17:53:26)amazon

「るくるく」 6巻 あさりよしとお(講談社)

・あれ? 萌えやエロが消えたな。なんだろこれ。

・絵に煩悩がなくなった気がするです。

・悪魔ほかがビンボーなロクの家に居候してドタバタはあまりせず地味に毎日を過ごしてる、アットホームな装いで毒がたっぷり含有されている悪魔ギャグですか。

・るくという悪魔の姫君の少女でロリなかわいさと、ペロだっけ?ナイスバディによる無造作なエロってのは、「ワッハマン」とか、あるいは以前よりありましたが、どうもそれぞれ萌えとエロが薄くなったような気がするのです。

・なお、ほかのところは全くです。このままマッタリとしつつも、いくばくかの謎を引きずり、なおかつビンボくさいギャグとして進行はするんでしょうね。そこいらのデキはさすがです。

・あ、萌え薄いとかいいましたが、豚のスキヤキだったときのるくちゃんの顔はサイコーでした。肉を食べない奥さんの実家のスキヤキも豚でした。あのときを思い出しました。
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2006年/7月/23日
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「暁星記」 6巻 菅原雅雪(講談社)

・シアワセでありますね。完全描き下ろしでの6巻です。これは発売されたことに価値がありますし、それを読むことができるのはシアワセですよ。作者も描くことができてシアワセじゃないでしょうかね。モーニングコミックはたまにこういう「商売とかちゃうねん」って良心的なことをしてくれますよね。だって、採算とか難しいでしょう。2010年をめどに劇場アニメ化ってメジャー性もねえしなあ。

・いいミステリーを読むとホッペタが熱くなるとは、内藤陳氏の名言です。頬杖しながら夢中で読んで、手に汗握ってしまい、ほっぺたが熱くなるそうです。
・おれの場合、いいSFを読むとあまりのイマジネーションの大流入により、脳がオーバーフローして、後頭部が熱くなります。場合によってはフリーズします。それは快感ではあります。

・本作はもうちょっとでソレかもしれません。

・あらすじはややこしいんです。木星を舞台とした大活劇でありハードSFだったりします。そいでいて、ファンタジーなことがどんどんSF的合理的解釈がなされていくんですよね。その感じがスゴイというかなんていうか。でも、それは引いた視点でみてる読者にとってそうなだけで、物語の中の大多数はその表層的なデキゴトに振り回されていたりする。
・たとえば、TVゲームのRPGの世界において、勇者であるプレイヤーはそれがゲームであることをしってるけど、村の住人は大魔王のカゲにおびえながらもめいめいの生活を営んでいるという感じに近いか。

・来年の夏、7巻をもって完結する予定だそうです。読み終わったら読み直したいなとボンヤリ思ったりしますが、長い期間地道に描かれてるだけあって、かなりタッチが移ろいでます。久方ぶりの6巻ではまた5巻と絵がちがう気がします。

・しかし、アリ塚の要塞で、恐竜と胞子に乗っ取られた原人が侵略してくる攻防戦はすごかったね。よくおれが書くフレーズの「なにがおこってるかわからない病」を逆手にとったようなかなり接写気味のカメラが異様な迫力を生み出してるという構成。かなり難しいことをされてる感触。ま、成功したかどうか微妙でもありますが。意外にロングに引いた絵が少ないマンガなんですよね。
(16:37:18)amazon

「鋼の錬金術師」 14巻 荒川弘(スクウエアエニックス)

・相変わらずおもしろいとはいいきれなくなってきてるなあ。
・かなり話においていかれるようになった。老いさらばえたなあ。
・で、どうなんでしょ? 14巻ではラスボスとの1stファイトをはじめ、かなりキーとなる戦い(バトルのみあらず。対峙し会話する戦いもあったり)があったり、人間関係の変化などもありました。

・おれ感覚だととってつけたかのように登場したシン国の皇子やらも話に混ざってきましたね。彼らの登場あたりから、おれ的には物語のスムーズを阻害された感覚。

・で、思った以上にとってつけた重要なキャラなんだな。ちょっと文章的に矛盾してそうですが、彼らは、「大事ですよ」というアナウンスとともに素っ頓狂に現れたイメージがあるんですよね。あの小さいパンダといっしょの少女もそうだけど。

・もうかなり話やらキャラを忘れてることに気がついた14巻です。まだ読み直して補完しようとは思ってます。それくらいのおもしろさはあります。14巻はおまけが11ページもあり、そこでの短編のキレがまたすばらしかったりもするんですよ。
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2006年/7月/21日
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「らき☆すた」 3巻 美水かがみ(角川書店)

・毎巻感想が変わるなあ。女子高生がワイワイしておる萌え4コマです。3巻目。
・今回キャラが多すぎでまったく把握できない病が勃発。どう考えても多いし、それだけのキャラをまわす必要性は薄いと思う。

・本作、キャラ萌え4コマのようにみえてかなりネタのほうに重きをおいてる。とくに3巻ではそれが顕著というか、これまでの流れで、一応の完成形とでもいうべきものが見受けられる巻ではあります。

・オタク向けのネタの最も薄いところをついている4コマだと思われます。固有名詞をできるだけ削りながらも、女子オタクライフをうまく描いてる。実にこのバランス感覚こそが作者の宝だと思われます。
・ほら、オタクくさいブログとか読むと、「これ日本語?」って思うときがあるじゃないですか。自分の知ってる世界こそが全てで展開してる人。
・ああいう人と対極にあるマンガ。つまり、それは、一般人に「オタク」を説明できる双方の感覚を持ち合わせてるということですよ。ちょっとしたバイリンガル。というか、むしろ、バウリンガルというオモムキもありますが。

・たとえば。プロ野球の視聴率低迷により、延長時間が短くなることに「そんなだったらいっそ延長時間なんかなくせ」と思ったり。
・大人買いって言葉はあるけど、やってることは大人じゃないよなあとか。
・発売されたばかりのゲームのネットでの攻略情報に、「この人たちは仕事とか大丈夫なのか?」と心配したり。
・一般人に自分の描いたマンガを説明したり(キャラの友情を描くとか〜)。

・ここいらのうまい薄め方や、「そういわれりゃそうだよな」というもっともなツッコミや、「あるある」ネタは真剣にホーと思ったりします。ま、まちがっても爆笑したりはないですが。

・3巻になると、いわゆるあざとい萌え要素はキレイになくなりましたね。そこいらも最近の定番でしょうかね。もともと1巻とかではムリしてエロかったり萌えを挿入してたけど、好きなワケでもないんで、人気に伴い、「別にいらね」って徐々にフェイドアウトしていくパターン。女性マンガ家が男性読者が多いマンガで描く場合のパターンですね。それこそ高橋留美子氏あたりからずっとそうじゃん。「犬夜叉」にオッパイは出てないでしょ?
・逆に男性マンガ家はいつまでも描きます。「よつばと!」の水着シーンとかね。

・ま、本作の場合、3巻の方向がまったくもって正解。女の子たちは十分かわいいしね。別に本作をズリネタにするやつぁいないだろうし。

・PCの画面ネタは伝わりにくいのでやめてほしいです。あと、キャラはもうちょっと整理したほうがいいかもなあ。だってあまりそのキャラがそこにいる意味がないもん。あとはいい湯加減で楽しむことができました。
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「ケメコデラクス」 1巻 いわさきまさかず(メディアワークス)

「ポポ缶」の作者の新作。なんだかとてもよくわからない。
・はじまりはエロゲーのように、大昔少年のころ結婚を誓った少女との約束の夢。夢から覚めたら、自分の部屋でウエディングドレスを着た女性が戦ってる。で、「私がおまえのヨメだ」と。

・ん?これなんて「すもももももも」?と思いますが、アプローチは全然ちがいます。

・ケメコですね。ケメコは人型ロボットです。なんていうか、作者はこういう体型が好きなのか?って独特のフォルムです。「ポポ缶」のデフォルメもそうでしたもんね。キューピーちゃんみたいな凹凸のあまりない感じのままやや肥らせたみたいな感じ。おっぱい部も大きくもないのにややダルンと垂れてる。
・んで、そこからナイスバディの美少女が飛び出すんですよね。

・そして、話はいろいろと謎をはらみながらショートで巨乳の幼馴染と三角関係もまじえての学園ラブコメ的に展開しますが、ギャグがケメコのフォルムギャグがメイン。目が覚めたらいっしょに寝ていたり、教育実習生として淫乱教師なコスプレしてたりな。ここがとても謎なんですよね。

・絵自体は「ポポ缶」時より、たくさんたくさん「ケロロ軍曹」を読み込んだなって感じで、吉崎成分を取り入れたことにより、ますますかわいい絵になりましたが、ケメコなんですよね。そこがよくわからない。

・作者はそのケメコを描くのが楽しくてしょうがないみたいなことをあとがきに描かれてるのがまたよくわからない。

・やたらとエッチな女体ばかりに、ケメコで相殺って感じでしょうが、エロ度が上がったことで落ち着きが悪くなった感じもあるなあ。ここいら痛し痒しなんだろうけど。そういったところも「ケロロ軍曹」っぽいところですが、それよりも女体がエッチっぽいんだよなあ。

・そこいらのサジ加減が今後の課題でしょうかね。萌えさせたいのか、勃たせたいのか、笑わせたいのか。
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2006年/7月/16日
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「ライチ光クラブ」 古屋兎丸(太田出版)

・1980年代伝説の劇団「東京グランギニョル」の舞台を古屋兎丸氏がマンガ化したものです。
・おれもたしかにその時期を生きてましたしなんなら「宝島」やら「DOLLS」「ラッキーホラーショー」「月光」「ガロ」なども追かけてましたし、この東京グランギニョルもたしかに聞き覚えがあります。
・ただ、まったく知りません。丁寧に丁寧に避けてきたところです。

・耽美、猟奇、演劇、少年愛、超常現象、奇跡、秘密結社、この手のはなんだかストイックに避けていたんですね。たぶん、カンタンにいうと怖かった。立ち入ったらマズイところのような気がしていた。

・おれが恐れたのは、多分、丸尾末広氏が原因じゃないかと思う。ガロでも、ここ系統はかなり避けていたもんな。「少女椿」がとても怖かったんですよ。おぞましかったというか。東京グランギニョルのほうでも宣伝美術担当。そらあ、避けるわ。演劇それ自体も苦手だし。
・で、現在。オッサンになって感受性が鈍くなった状態で本書を読むと、当時、この手のにハマらなくてよかったなあと思いますね。かなり人生が変わっていたんだろうなと思うくらいインパクトがあります。

「光クラブ」という少年の集団。工場が多い町のかたすみにある秘密基地でロボットを作り上げている。名はライチ。彼はある崇高な目的のために作られた。そして順調と思われた彼らの計画は少しづつホコロビをみせはじめる。そしてジャンジャンバリバリ。

・なるほど、「丸尾末広みてえ」ってのはホメ言葉になるんでしょうかね。読んでいるうちにあのころのフラッシュバックがものすげえイキオイで。あのころの空気というか「触感」が蘇る気がする。小さい判型の「宝島」とか「東京おとなクラブ」とか読んで、いろいろムダなものがモリモリ頭に入ってきた時期。

・そして、古屋兎丸氏は、おれが丹念に避けていたところをど真ん中に享受していたのですね。最大限のリスペクトを持てる才能をフルに発揮してぶつけておられます。

「パレポリ」という初期の作品において、その手のをギャグ化していたときは、茶化す対象なのか、ソンケイの対象なのか、判断しにくいところがありましたが、なるほど、ど真ん中におられたのですね。よくわかりました。

・で、最長連載だし、たぶん、世間的にも代表作とされてそうな「πパイ」も、本作のための予行練習というあとがきも非常によくわかります。最長連載でありながら最大の実験作だったんですね。数え切れない実験と練習をされていたのです。すべては本作のために。

・ということで、かなり「マジ」です。それはとてつもない迫力で伝わってきますよ。そして、古屋氏のマジを受け止めるくらい、原作のほうもすばらしい。実際、アレンジは加えられているし、演劇ということでちがうんでしょうが、すげえ話だよなあと思います。随所にある演劇っぽいカッ飛んだ展開はとくにそう思います。

・ま、最大の問題は「なぜ今?」ってことなんですけどね。時代を超えたクオリティ?とたずねられるとどうなんだろうか。
・1980年代の「あっちのほうの」モノや空気を通過してこなかった方々にはどのように映るのだろう。おれはそれでも強烈なインパクトはあると思いますが、「なんでこうなるの?」って疑問も多少あるような。

・それはたとえば「わたしは真悟」を読んでたりとか、丸尾末広氏の著作、グランギニョル的なアングラ劇、ボーイズラブでないJUNEとかの耽美とか、そういう記号を知ると知らないの差があるような。ま、そういうことでいうとおれは前記のとおり知らないことが多いのですがね。

・いやまあだから20年前の幻の名作の復刻版っていわれても「ああそうか」と思う感じ。ただ、当時の作画技術ではできないことがちりばめられてますけどね。

・アーティストの方がライフワークとされるものってあります。たとえば、全然一般的じゃないですが、PANTAの「クリスタルナハト」とかね(実はきいてませんが)。
・本作は古屋兎丸氏にとってのそれであることはまちがいないです。そして、それが駄作のワケがないじゃないですか。おれはギャグマンガ家としての古屋氏が好きです。それでも本作は名作です。そういうことです。

オススメ
(15:08:30)amazon

「創世記」 星園すみれ子(青林工藝舎)

・いわゆる「ガロ」系のダークサイド部門の新人さんでしょうか。
・少女たちが登場する怪奇マンガです。
・絵ですよね。少女たちの髪の1本1本、草の1本1本を書いておられる。スクリーントーンはほとんどナシでかけ網も手書き。どことなく中世の宗教画などを思わせるようなタッチでいて、昔の貸し本マンガの少女マンガのような感触もある。
・でいてスプラッタ風味。ほぼ少女のみ出演で百合な感じ。

・少女だけのサーカスでの惨劇「テヲレマ館」
・塔の機械仕掛けにより、少女たちのクビにかかるロープがランダムに上がるロシアンルーレットな「塔」
・ドールハウスの人形たちを眺めることだけが楽しみの少女「ドールハウス」

・で、タイトル「創世記」がやはりすごかった。聖書のそれのパロディということになるんでしょうか。生首の少女が旅に出るって話なんですけどね。登場するキャラはすべて少女と同じ顔なんですけどね。

・すみません。正直に書きます。よくわかりませんでした。よくわからんなりに独特の味わいなどは感じ取ることができました。「ネムキ」とか買ってる方とか、怪奇マンガが好きなかた、少女がスプラッタな感じが好きな人、耽美とかああいうのが好きな方はいいんじゃないでしょうか。
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「安倍窪教授の理不尽な講義」 1巻 滝沢聖峰(小学館)

・おもしろい。
・森元総理のようなでっぷりとして不敵な表情を浮かべておられるガンコな教授が主人公の「超常現象なんかウソさ」マンガ。

・まず安倍窪教授というキャラがおもしろい。美食家で、講義中の「へぇ〜」を極端に嫌い(おれは雑学を話してるワケではないという理由)、超常現象というコトバに異様に反応し、知識豊富で、行動力があり、なおかつ狡猾と。ま、「喰えない」人ですわな。

・それに助手の生徒2人って布陣で、いろいろな「超常現象」に挑むわけです。だから、構造としては、サギをしている人がいない「TRICK」みたいな感じかしら。

・コンビニのポルターガイスト現象からはじまって、歩く人形、池の巨大生物、海坊主、幽霊屋敷、古代文明、UFOと謎を解き明かしていきます。
・謎にハバがあるのがおもしろい。いや、ま、ぶっちゃけ、ホンモノからきちんとしたトリックまでいろいろなんですよ。

・それをいつでも仏頂面してるか、ふてぶてしい笑みを浮かべて解決する教授ですよ。

・こう、どことなく、気品が漂ってるのが味わいですよね。ま、よくいえばってことですが。悪くいうならもうひとつ入ってこない感じがあります。絵はしっかりしてる。話もおもしろい。アクションなども豊富。だけど、入ってこない。
・これは悪いことばかりでなくて、おれはほかに星野之宣氏あたりにも同じような感じを受けたりもします。アカデミカルというか、なにか1枚はさまってる感じ。静かにテンションが高まるというかね。

・よくできてますよ。
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2006年/7月/13日
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「うつうつひでお日記」 吾妻ひでお(角川書店)

・1番のオドロキはおもしろかったことかもしれない。

・ベストセラーになった傑作「失踪日記」を描いていたころの日記です。
・淡々と貪欲に読者やらテレビやら音楽やらラジオやら女子高生を吸収しては吐き出してる日々を綴っておられます。2行で評価される書物たちはいっそ小気味いいくらい吾妻氏にとってのウンコの記録です。

・これでインターネットに接続してから10年くらい経ってます。あ、おれのことですよ。恒例の「おれ語り」がスタートですよ。
・インターネットの存在意義は吐き出すところでした。アウトプットといいますか。これまでの人生でのインプットをものすごいイキオイで吐き出していた10年でした。それはチャットからはじまって、掲示板型のレビューページ、そしてWEBサイトにブログという風にいろいろとカタチを変えてます。

・当初、ネタは湯水のようにあふれていたですよ。書いても書いてもキリがないくらい書くことがありました。それがおもしろいとかそういうことは些細な問題です。結果論です。
・これまでの人生のインプットを出していたので当然のことですよ。ところが意外に早くそれは枯渇です。ある種の宿便みたいなものが出きったらあとは、自転車操業的に咀嚼もせずに出すような感じです。

「描けない」という理由で失踪した吾妻氏にとってのそれはまさに死活問題でした。長年のギャグマンガ家ライフによりかなり枯渇していたことは想像に難くありません。ありとあらゆるところからのものを出し尽くさないとギャグマンガはギャグマンガとして成立しないですからね。しかも「天才」として「天才の作品」を求められていましたからね。

・だから、この日々はひたすらインプットの日々だったんじゃないか?と思ったのです。それくらい1日2冊くらいのペースで書店で図書館で本をむさぼってます。あと「エンタの神様」やら「笑いの金メダル」やパフィや大西ユカリやCKB(渋いし若いねどうも)をむさぼってます。

・そして最大のオドロキは、その成果が本作内で現れているんですよね。
・前半部の1話のときは同人誌で発売されていた同タイトルの再録で、その後、2回掲載誌を変えて連載されていたのですが、アカラサマに絵がよくなってきてます。
・これは「ななこSOS」で失踪して以来の何度か復活していたときよりも顕著です。前に1回使ったので使いたくなかったのですが、これほど合ってるコトバもないのでまた使います。「顕著の星」です。

・正直ブレはありますが、4話以降の絵のシャンとしてるっぷりは涙が出てくるくらいうれしいです。細かいこといわせてもらうと、太田出版からでてた「夜の魚」のあとがきマンガくらいの絵のクオリティに戻った感じ。

・そしてそれよりうれしいのは5話冒頭のギャグ。おれ、ひょっとして吾妻ひでお氏のマンガで声出して笑ったの20年ぶりくらいかもしれない。これだよ。おれはギャグを読みたかった。笑いたかった。「ヤドリギ」や「センパイ」や「ブキミ」に笑ったからこその長年の吾妻ひでおファンですよ。それを思い出したね。ま、ほかの人に笑えるかわかりませんが、おれが1番好きなパターンの吾妻ひでおギャグです。

・そういうことは別に、タイトルどおりの「うつ」な人のマンガニッキとしてもおもしろいことになってるので、内容が地味な分、「失踪日記」より旨味が少ないような気がしますが、その「失踪日記」のころと比べても画期的にシャンとされてる感があり、なんつーか、RPG的な成長がとても興味深いマンガだったりしますよ。これ1冊でも明らかに「マンガ」としての質が上がっていくのがわかります。し、うつなところは変わらないようにみえて、コマ間を読むじゃないですが、いろいろと余裕ができているような気がします。ま、こういうのって本人じゃないとわからないところもあるんですが。

・さらに2006年6月のあとがきマンガがさらに磨きがかかってる。

・そういった点で、本書は「完全復活か?」と思わせるようなすばらしいものになってます。本人さんはもうギャグマンガは描かないとかなにかであった記憶もありましたが、おれなんかの1000倍も現代感覚を身につけておられることだし、絶対にキレのあるものを描くことができると思うのだけどね。

・ということでありがたいものでしたが、元マンガ家のオッサンの地味な読書感想日記じゃない?っていわれるとそれまでの気がしてるので、オススメはやめておきます。
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「みぞれの教室」 日高トモキチ(角川書店)

・久しぶりですね。
・夏休み前に転校してきた謎の多い美少女。彼女にひかれる主人公。そしてひと夏の思い出。

・えらい正面切って青臭いカードを切ってきたなと思いました。一応、現代の話のようですがすべてが古臭い。かなり「あえて」そうしてる感じ。

・主人公の先々に夢のように現れて消える「みぞれ」の正体とは?ってだれもが「そうじゃないか?」と思うようなところに真正面。正月に和尚が2人歩いてこれがホントの和尚がツー(お正月)くらい真正面。

・いつの世でも開き直った方は強いと申しますか、ダイソーで「THE ベタ」というコーナーがあったら本作が平積みというか、とにかく作者にとっての「夏」「青春」を煮詰めて煮詰めてできた結晶のようなものですよ。

・巨乳少女、スクール水着、深夜の学校、深夜のプール、旧校舎の時計台、人がいない浜辺、だれも知らない秘密の入り江、雨、風、押さなかったころの封印された記憶。そういったベタを描こう!と意気込んだ感じです。

・ヒトコトで感想を書くと「これなんてエロゲ?」ですけど。

・いわゆる80年代初頭からの綿々とつづくラブコメの「夏」部門を作者なりに咀嚼して「どうじゃ!」とぶちまけたような感じですね。

・ただ、もはや遠い昔だし、こういうイイコトがなかったので余計に他人事です。妄想もしませんでしたし、ぶっちゃけうらやましくもない世界なんですけど、それは個人的なアレで、たぶん、多くの男子にはドーンとくるんじゃないでしょうか。

・なぜ今コレ?っては最後まであったし、そういうオッサンが読む本じゃない気がするけど、かといって10代が読んでどう思うかな?って。古臭いもん。主人公とトモダチのやりとりとか、江口寿史の「GO AHEAD!」だもん。
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2006年/7月/9日
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「日本ふるさと沈没」 VA.(徳間書店)

・映画が公開される「日本沈没」に合わせて、参加マンガ家がふるさとを「日本沈没」にからめて沈めようというアンソロジーマンガ。

・北海道からは、吾妻ひでお、あさりよしとお、唐沢なをき。
・東北は遠藤浩輝。
・北陸甲信越は米村孝一郎。
・関東は西島大介に伊藤伸平。
・東海は鶴田謙二に恋緒みなと。
・近畿はひさうちみちお、トニーたけざき、空ヲ。
・中国はいしいひさいち、寺田克也、TONO。
・四国は宮尾岳。
・九州は安永航一郎、ヒロモト森一、幸田朋弘。
・で、全国にとり・みきと。

・検索にひっかかることを期待して全員ならべてみました。

・内容のパターンでいうと、北海道3連発でSFショートショートなオモムキ。それこそ原作の小松左京オマージュっぽかったり。遠藤浩輝のも自著の短編にあるワイヤーで吊るされる地域ネタってあったよな。それをからめてる。

・ご当地名物モノでいうと、恋緒みなと氏の名古屋人はMYミソを持ち歩いてるって食い物ネタからはじまって、いしいひさいち氏の岡山人なら大爆笑しそうな隣県との仲の悪いってネタ(岡山県が沈むのに隣県はどこも受け入れてくれない)、米村孝一郎氏にひさうち氏は、ご当地の神様というかそういう考古学的なアレ。このパターンが意外に多かったか。たしかに、日本各地が沈んだらその土地の神様はどうなる?ってコトはありえますからね。そんなことを気にするのが日本人なんだなとも思いました。これが発見だったり。

・そんな中、あまりご当地ネタじゃないTONO氏のは目立っていたかもしれない。ま、おもしろいこともなかったけど。

・だいたいそういう感じかしらね。原作をいじるか、ご当地で広げるか。で、原作者のファンクラブにも入ってらっしゃる(たぶん、今回の監督さんとも知り合いかトモダチかでしょ?)大トリにとりみき氏は「日本沈没」の大パロディと大リスペクトで大団円と。

・とてもよくできてました。久しぶりにおもしろいアンソロジーをはじからはじまで楽しませていただいたといった感じです。参加メンバーも原作もご当地もリスペクトしつつけっこう完全燃焼げなGJでしたよ。それぞれの味を出し尽くしてましたし。

・しかし、西高東低なんですね。これは全マンガ家の分布にも即してるんでしょうかね。手塚治虫氏が荒木飛呂彦氏が東北(仙台)出身なのをきいて東北出身のマンガ家は少なくてロクなのがいねえっていってたとおり1人ですからね。北陸甲信越も1人ですが。
・一方関西中国九州が多いこと。と、別に競うようなことでもないけど、なんだかさみしくなったりね。富山県出身マンガ家が参加してないってのもあるんでしょうけど。

・あと、どうせ映画も同時に公開になることだし、このメンツとはもうしませんが、「日本以外全部沈没」のアンソロジーコミックも読んでみたいなあ。こっちのほうがネタ的にはとても困らないんじゃないか? まあ逆に載せられないネタも多そうだけど。だって、北のお方とかどうするの?って話じゃん。

・楽しいですよ。好きな作者はちゃんとその仕事をしてますし、知らない作者のもおもしろく読むことができるんじゃないかなと。

・あ、書き忘れてました。おれは「日本沈没」を原作も映画(新旧)もTVドラマ(伊集院光氏がフェイバリットだそう)も知りません。おれはリアルタイムだと「復活の日」からです。ま、こっちも知らないけど。ついでにいえば「首都消失」も「さよならジュピター」も。おお、おれはあまり小松左京が好きじゃないのか。100冊くらい読んでる気がしてたけど。

・でも、このマンガは楽しかったです。

参照
[漫画家マップ]
[出身都道府県別漫画家一覧 - Wikipedia]

オススメ
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「耳かきお蝶」 2巻 湯浅ヒトシ(双葉社)

・すばらしい。1巻でオススメだしましたが2巻もです。

・江戸時代、耳かきを生業としてるお蝶さんのお気楽ホノボノお江戸コメディ。

・と、1巻ではそうだったのですが、2巻では「展開」してます。

・お蝶さんは、色っぽい美人さんで耳かきをしてもらうと天にも昇るような心地になりリピーター続出ですが天然でおきゃんでホレっぽくてそそっかしいという愛すべき人。そのお蝶さんが本気になった男と、その男が世話になってる娘との三角関係があったり、なんやかやあってうまくいって長屋にいったときに隣にいる色っぽい妾さんが粉かけたりとか、けっこう波乱万丈な恋愛模様が繰り広げられるのです。ま、そこはそこなんですけどね。

・ともかく。オビにも「名作」と記してある「火の華銀次」がすばらしすぎた。2巻のオススメの7割はコレ。

・これはお蝶さんもほぼワキにまわっているし、これだけで完全に成立してるし、ぜひ、機会をみつけてこれだけは読んでいただきたいなと願います。

・花火のかけ声である「玉屋」「鍵屋」の「玉屋」のほうの花火職人銀次の話です。花火バカ一代の銀次は、職人として、だれもみたことのない花火を上げることを生甲斐としてるが、一方で、火薬を扱う職業。先輩も後輩もどんどん目の前で消し飛んでるサマをみてるので恐くてしょうがない。だけど、そこは江戸っ子、奥さんの前でしか全身が震えて恐がるサマはみせない。
・そして、「オランダ花火」なるものを知る。つまり、西洋の花火ですね。火薬からしてちがう。その分、これまでどうしても出せなかった色が出せる。銀次はツテをたどり、密輸をしてる人にたどりつき、火薬をわけてもらうことに成功する。
・しかし…

・ということで涙ボロボロですよ。

・同じオビに「名作」とある「江戸の花」もよかったね。こっちは火消しのほうの話。こう、江戸時代のプロフェッショナルというか、職人さんが登場される話が好きです。「仕事がんばろ」とガラにもなく思ったりね。

・前巻よりウンチクというか講釈が増えたかね。でも、相変わらず流れるような描画はさえわたるし、オビで「エマ」の森薫氏がおっしゃられているようにとても「明るい」江戸の世界が描かれており、それがまたとても居心地いいんですよ。いい意味でユルいですからね。ウソもいっぱいあるけど、「それ、史実とちがう!」と目くじら立てて読むもんとちがうし。

・実はこういう話をドラマ化するのが時代劇に新しい風を吹かすんじゃないか?と思ったり(ま、金かかりすぎてダメだろうな)。

オススメ
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「カリスマ探訪記」 雁須磨子(白泉社)

・あの、雁須磨子氏のルポマンガ!と思ったので買ってみました。というほどおれは雁須磨子氏をくわしいワケではないんですがね。

・2部制になっておりまして。1部では「探訪記」ということで、各界の著名人との対談マンガで、2部では「放浪記」ということで各地で突撃体験ルポってな構成。さらに、放浪記の途中で担当が変わります。

・個人的には担当が変わりS岡さん(たぶん女性。なぜ多分かというとネコ)との珍道中になってからが最高だったなあ。S岡さんがなんかとてもカワイイんだ。ま、個人的すぎるのでおいといて。

・最初の探訪記では、魔矢峰央氏からはじまって、新宿の母、マツコ・デラックス、内藤ルネときて、やなせたかし氏で終るというもの。セレクトがスゴイですよね。なんかちょっと偏ってるような。どこにどうとはいえないんですが。
・どうしても、その人と、その人がいってることを描かなければならないということに気をとられるので(アタリマエですね)、なんとなくカタイ感じがしましたが、おっしゃっておられることはイチイチ興味深くて、きっちり拾い上げておられるなと思いました。個人的には内藤ルネ氏とかづきれいこ氏がおもしろかったです。

・で、放浪記では、うってかわって担当とのかけあい漫才気味に、オーラ写真撮ったり、滝にうたれたり、断食したり、ヨガしたりしてます。

・白眉は前後編の富士登山ですかね。夜中に登ってご来光を拝むってツアーですが、これのしんどい感じがとてもよく伝わる。そう、放浪記での「しんどい」感がとってもよく出てましたね。
・だから、逆にそれらがほとんど感じられなかった「ハリ&酸素バー」の回に異様に興味を持ったり(いや、鍼に興味あるのよ今)ね。気持ち良さそうだったし。

・やっぱり女性むけなんでしょうかね。でも、おもしろかったのは雁須磨子氏のカリスマ性によるものかしら(一応目的はカリスマのある作家になるためという命題のもと探訪したり放浪していたのです)。

・自画像をぞんざいに描く人は実は美人という法則がありますが(おれ内に)、実物の雁須磨子氏はけっこう期待できそうな気が。
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2006年/7月/8日
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「さんさん録」 2巻 こうの史代(双葉社)

・最終巻だなあ。なんでだろう?
・息子夫婦と同居して専業主夫をしてる参平さんを主人公とした「ハートフルストーリー」。ほかにコトバはなかったのか?オビの人?

・と、あえて、2巻で打ち切りになったと仮定して、なぜ打ち切られたのか? もうちょっといえば弱点はなんだったのか?と。

・くわしいといいきれないですが、商業誌では全部コミックを持ってますくらいのこうの史代ファンとしては、知る限り、初の男性が主役の作品でした。

・あとがきにも書かれておりますが、あえて苦手な人種であるところの「じじい」を描いたと。

・いやまあじじいを描けていたどうかというと個人的にはビミョーと。どうひいき目にみてもじじいより息子の嫁とか、子供とか、仙川さんという女性のほうがイキイキとかわいくはつらつと描かれていた気がします。

・第2のポイントはその仙川さんにもあるかもしれない。徐々にですが、じいさんと仙川さんとのラブロマンスめいたカタチになっていくんですよ。これがまたどうかな?というくらい不自然でね。

・もともと、参平の息子のヘッドハンティングということで知り合いになったやり手のキャリアウーマン(にしてはいつも会社員らしくない格好をしていた気がするが)です。そいで美人で、気性が荒いが素直なところもあるという。それがジジイの相手するか?ってひがみにも似た、やっかみにも似た感情がサクソーしたのです。

・そうなんだよな。当初のライン通り「ジジイを主人公としたほのぼの専業主夫ハートフルストーリー」をやればよかったんだよ。イモ判のように同じのを繰り返していればよかったんだよ。変化は家事の内容にすればいいんだし。それが「展開」しちゃったんだよ。

・こう展開するのが好きなマンガ家っていますよね。物語のキャラに変化を起したくなるというかね。物語をかき混ぜたくなるタイプというか。その世界はその世界でうまくいってるからとくに波乱を起さなくてもいいんじゃないか?と思うのに棒をつっこんではグジャグジャとかき混ぜる。

・本作では仙川さんがその役割。そいでうまくかき混ぜるんですが、それは「ハートフルストーリー」じゃねえし。ハートフルのフルは「振る」なのかって感じでね。

・だから、やや煩雑かなって。まあ、人気がないからテコいれとしてのアレなのとか、いろいろと考えたりもするんだけど、読者がそこまで考えることもねえんでな。やや煩雑かなって。

・そう考えると、おれは人気がなくて打ち切りだったのかな?と勘ぐる必要もねえって結論に至ったりしますが、ここまで書いたのでこれはこのまま。

・と、個人的には仙川さんは色っぽくてよかったし、娘の乃菜は毎度毎度サイコーだったし、それらの微妙な感情が渦巻くまま迎える最終回あたりはとても難しくて読み込みがまだ足りてないのかしら?と思わせるようなオモムキ深さを感じられたし、とても楽しんで読むことができました。おもしろかったです。

・バレンタインの話がとくによかったね。好きな人のためにチョコレートケーキを作れとせがむ乃菜ののっぴきならぬ表情が絶品だったし、ふられる一部始終を参平が知ってるのを知ったときの乃菜の怒り狂った顔もよかった。よかったというか、こうの史代氏にしか描けない顔だよな。あの炊飯器を使ってつくるチョコレートケーキは美味そうだったし。
・ほかにも手が止まり、「ほお」とみとれるシーンは多数。

・そこいらのマンガならオススメですが、こうの作品で考えると、「こっこさん」ほど手が止まらなかったし鮮烈なビジュアルがなかったし、「ながい道」ほどバラエティに富んで遊んでないなと思ったし、「夕凪の街〜」ほどショックはなかった。

・んーまー、だから結論としては、サイコーにちょっと足りない。なにが足りないのかわからないけど足りないと思ってしまう。オススメできないのが歯がゆいほどだけどオススメはできない。
・で、ぶっちゃけると、じじいってもっとなんていうかやっかいだよなと。ちょっと参平さんはかっこよすぎだよな。
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2006年/7月/4日
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「東京クレーターのアカリ」 2巻 磯本つよし(少年画報社)

・惜しいです。もうほんのちょっとって感じ。

・近未来。東京に隕石が落ち、巨大なクレーターができる。犠牲は少なかったが、その隕石には原因不明の未知のウィルスが含まれており、生物は巨大化するようになり、下界から遮断されるようになった。そんなクレーターの駐在さんアカリの奮闘記。

・空を飛ぶバイクみたいのに乗り廃墟の東京を飛びまわるコメディ風味のアクションマンガということでもいいです。

・一応の設定をあえて軽めにからめつつ、エアバイ(空飛ぶバイクね)アクションを主眼に、基本ほのぼので展開してます。

・2巻ではアカリのライバルである、美女3姉妹の強盗とか、軽く恋敵っぽいのも配して、キャラのほうをかなりテコいれしております。そこが1巻からの最大の変化ですね。それは効果アリです。

・ただ、やっぱ、マンガは「人」だなと思ったりするね。本作は、東京クレーターの不思議な景色やエアバイのスピード感などのメカアクションなどは極上です。それに見合ってないキャラです。1巻よりギャップをかなり埋めましたがそれでもまだ足りない。皮肉な話ですけど、景色とかアクションもまた進化してるんですね。

・なによりアカリと3姉妹の女性率アップ+露出度もアップしてるのに、一見そう感じないところですよ。とてももったいないです。

・おれみたいに「背景背景」といまわのキワにもいってそうな、マンガ内における背景を病的なまでに重視するような男にはとてもおもしろいマンガです。ただ、同時に「うー、もったいねえ」と思うのがはがゆし。

・なんだろう? 本当、背景以上に力をいれて描いておられるアカリですが、もうちょっと響かないんですよね。この響かない具合は、「迷彩君」の竿本悟氏にも通じるものがあります。人よりメカを描きたがる人特有のアレですかね。「ガタピシ車」の作者もそうかも。

・おもしろいことに真逆の人のほうが多いんですよね。人しか描けない人。というか、それすら怪しい人も多いですが。でも、売れてる人は多いんですよ。だから、「マンガは「人」」ってのは、金になるって意味ではかなり重要なことだったりします。

・あと、本作を読んでいてキョーレツに思うのは、「ヨコハマ買出し紀行」ね。同じような「リセット後の世界」やオリジナルなメカがあちこちに登場しますが、受けるイメージがまったくちがうことね。

・いやしかしなぜだろうとは思います。作者もかなりわかってるからこその2巻での大テコ入れじゃないかと思います。

・ああ、もしかして、「恋をすればいい」とか?

・3巻期待してます。しかし、灯台の屋根の上に住むジジイいいよなあ。
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「仕切るの? 春日部さん」 2巻 竹内元紀(角川書店)

・zipファイルのように、下ネタをギュウギュウに圧縮してつめこんだマンガの2巻です。でも、乳首描写はナシという感じ。

・ただ、このシリーズになって、ツッコミやボケが微妙になっているのが気になるな。春日部さんがボケだったりツッコミだったり、副会長がツッコミ担当だったり。

・しかし、絵はやや荒れ気味になりましたね。それでもなおカワイイのはえらいなあと思いました。

・あと、下ネタのサジ加減と、数多いながらもオリジナリティがあふれてる感じもステキです。あくまで、下着までって描写で、ビジュアルよりコトバでの下ネタを中心にしてるけど、けして、えげつないのや大人向けのもの無用の考えオチや幼稚なものも少なめで、ボケてはツッコミ、ボケてはツッコミを繰り返してます。


(目安箱に対して)
なんだ…オレはてっきりおっぱいの大きい後輩の女のコがこの箱の上におっぱいを乗せて 「どこ見てるんですか? センパイのエッチ」
っていう箱だと思った

そうするための箱なんてこの世にはない!!


・というやりとりが好きでした。

・セリフが多いので読むのに時間がかかりますが、そういった点ではコストパフォーマンスが高いです。ただ、下ネタしかないですが。

・作者は自分の進むべき道をまちがいなく進んでますね。たのもしいし、ついていこう!と思いました。
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2006年/7月/3日
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「すずめすずなり」 3巻 秋山はる(講談社)

・完結です。2巻でどういう着地点を用意してるのかと思っていたのですが、あっと驚き、着地しないんですね。

・アパートの大家の娘(中学生)に好かれてるサラリーマンの主人公。主人公は会社の先輩が好きで、3巻の最初でドーンとふられました。
・で、ぐじゃぐじゃして終了。

・でも、3巻はよくできてました。なぜか? 3巻では中学生の娘に完全にピントを合わせて、彼女を描くことに専念したからです。これがすばらしく正解。

・もともと、彼女がポイントなのですが、なぜか、彼女を中心には据えつつもほかにピントを合わせてる感じではがゆい展開だったのですね。これがはがゆかった。

・純朴で純真でウブでまっすぐで思春期で、モヤモヤしてるけど、ときには思い切った行動をする彼女を描くためのマンガだろうとやっとわかったよ。いや、ほかのキャラを描くのも大事だけどこの3巻くらいたっぷりと彼女を描きながら展開すべき話だったんじゃないかと思うのですよ。

・結局のところ、中学生とネンゴロになったりもできないわけで、モヤモヤしたまま、結局、遠目では現状維持で話は終るわけです。もともと話のふり幅も小さい、ミクロなイベントが流れていくマンガ(でも、全然リアリティもない)だったので、そうそう大げさなこともあるわけはないんですが、最後までわりと丁寧に描いて、終ることができたんじゃないかと思います。作者はどのように考えてらっしゃるかわかりませんが、オビにあるように「すっきり晴れやか-完結」とはいえそうです。

・次回作はもうちょっとピントを絞って、イベントが派手な、3巻に準拠したカワイイ主人公を中心に描く「今までどおり」な作品がよろしいんじゃないかなと思います。
(17:50:38)amazon

2006年/7月/2日
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「ボーイズ・オン・ザ・ラン」 3巻 花沢健吾(小学館)

・さあ、かなりどこかにいってしまった3巻のような気がします。読み終えたあと、怒りとクエスチョンマークが湧きあがりました。そのワケを書きまして感想と変えさせていただきます。そして、4巻以降の展開も予想してみたいと思います。そして4巻はその予想通りだったら5巻以降はいらないと思うことにします。

・あらすじを書きます。ネタバレします。

・サエないヘタレな男がいます。会社員です。同じ会社の女の子が好きです。イケメンで女になれた感じのより大きなライバル会社のエリートさんに手伝ってもらったりして、ホテルまで入りましたが未遂です。その後、1人暮らしの彼女の部屋まで入ったのに、そこでチョンボしてふられました。
・そして、彼女は別の男とつきあってることを知ります。上記のイケメンです。で、彼女はイケメンにふられます。ふられてから妊娠してることを知ります。主人公は堕胎につきあわされます(男のつきそいが必要だそうで)。手術代すら代理にもってこさせるイケメンに、怒りが爆発し、会社で仕事中に電話をかけてケンカを売ります。そして、後ろで聞いていた社長もバックアップすることになりまして、社長は元ボクサーのオッサンを紹介します。

・と、3巻までのあらすじです。で、このマンガはなにを目指してるのか、わかりそうでまったくわからなくなりました。

「ボクシング」は1巻の1話目からずっと薄くテーマとして漂わせてました。それが3巻の終わりにようやく具体的になったわけです。

・つまり、復讐のためのボクシングです。

・ただ、その動機がまったく意図不明なんですね。キャラクターの意図もわからないし、それにより作者の意図もわからない。それこそ糸の切れたタコのようなマンガですよ。

・これ、イケメン視点で考えると、イケメンは悪いことをしてないんですよ。これが最大の謎。イケメンは段階を踏んで、フリーになった女の子とつきあい、段階を踏んで男女のカンケイになり、むこうも同意してる。そして、男女間のもつれとして別れる。それがセーフでもアウトでもそれは男女間のコトですわな。で、別れたあとに女性は妊娠したことを知る。でも、イケメンは顔こそ出さないまでも金を出すという、まあ「オトナ」の対応をしました。

・主人公はこの間、まったくの部外者だし、いろいろなキャラにもそういわれてるし、自分でもわかってそうです。だけど、憤り、ケンカを吹っかけるのです。

・前作「ルサンチマン」でもそうでした。直情径行がブサでヘタレの皮をかぶった主人公です。彼の行動は純粋に自己満足です。復讐でも正義の行いでもありません。「スキだった女を泣かせたから殴る」というのみです。そのためにボクシングをならうって展開になっているのです。

・ま、よく似てるとされる「宮本から君へ」というマンガにおいては、主人公の彼女がレイプされたから復讐するという大義名分がありました。ボクシングで復讐というつながりでは映画化された「フライ、ダディ、フライ」もありましたね。これは娘がレイプされました父親が復讐です。

・これに比べるとかなり弱いんですよね。大義名分の「義」がないんですよ。だから、とても謎なんです。もっと悪くするのはカンタンでしょ? たとえば「ONE PEACE」の敵役のようにわかりやすいくらいえげつないことをさせればいいんです。そいで、ぶん殴りやすくするだけでいいんですよ。
・ところが、このイケメンは、最初から怪しさをかもし出してはいましたが、実に紳士でイケメンなんですね。嫌う理由が少ないわけです。実に3巻までの間にも冷静に考えれば考えるほど主人公が殴る理由がまったくない。それは上記のとおりです。

・それなのに、「殴るべきだ」という演出を作者は施してる。それが謎。つまり、作者が主人公に無用の暴力を煽ってるんですよね。その構図がなんかとてもイヤなんですよ。

・主人公はホレた弱みで気がつかないでしょうが、どう考えても、この騒動の真ん中にいる女の子が悪いでしょ。この3巻においての行動は主人公よりもアタマがおかしいんじゃないの?と思ったりします。 そして、それも作者はそうとれるように演出してます。たとえば、妊娠した超音波写真を写メールでイケメンに送ったり。主人公とつきあえばよかったといわせたり。そいで、イケメンとの子を堕胎につきあわせたり。「どのツラさげて」と思わせようとしてるでしょ?

・そして、「そのツラ」をちゃんと描いてるんですよ。しかも「かわいく」。

・この先、主人公にボクシングやらせると思うわな。で、イケメンと対決はすると思う。で、そこに存在するのは意味のない暴力以外のナニモノでもないわけです。つまり、「暴力反対」を訴えたいの?っていいたくなるくらいの暴力です。

・この物語の着地点はどこだ? ゴールはどこに存在するんだ? 1巻の最初に登場し、2巻に再び登場し、3巻にはでなかった、ボクシングをする少女はどうからんでくるんだ?

・別に主人公だけじゃなく、全ての登場人物が少しづつおかしいんですよね。明らかになってないこともありますが、行動の意味がわからない。というより、ぶっちゃけ、そう描く作者がわからない。

・イケメンの妙に嫌われたがる態度(バカじゃないからうまく切り抜ける方法も心得てるはず)。イケメンの本命とされるメガネ女の真意(ソープ嬢にいわれたとおりバカとしか思えない)。ソープ嬢のムダな怒り(いや、彼女はまだマシなほうかもしれない)。社長の行動。で、主人公の同感できそうで、「こんなバカやらねえ」と共感できないところまでぶっちぎれる無謀さ。

・ま、4巻の流れでそれらの意味は伺えるとは思うので、4巻は買います。で、伺えたら「やっぱそうだったか」でいいし、想定外でしょーもなかったら「ダメだこりゃ」で、おもしろかったら「おみそれしました」と。まあ、「やっぱそうだったか」になりそうです。

・そいで、なんかイヤなのは読後、なんだかやはりドキドキしてることです。多少コーフンしてるんですね。そういううまさはあります。認めます。でも、このドキドキが空ぶかしのようなムダなドキドキな気がするのです。ぬかドキドキ?
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「マンホール」 3巻 筒井哲也(スクウエアエニックス)

・最終巻。「マンホール 打ち切り」で検索された方がいましたが、そうなんでしょうか? ビミョーかも。
・なんだか3巻は駆け足に大急ぎで旅支度をしてる印象がありました。

・バイオホラーです。ビジュアル化がとてもむずかしいジャンルだと思われます。なんたって敵が小さいものですし。

・一般的なホラーのパターンだと、まず人が殺されます。犯人がわかる場合もあるし、わからない場合もある。どんどん殺されます。そいで、物語の半分くらいで、その敵と戦おうとするわけです。そういった点で、物語の質が変わります。

・本作、その敵がフィラリアですから。寄生虫ですから。で、そのネタ自体を引っ張ることなく、首謀者を追うというカタチにシフトさせたのは新しいとは思われます。その恐怖もビジュアルもかなり工夫されてると思います。

・ただ、地味なのです。派手に展開できるのは、それがなにかわからない初手のみです。

・いや、実はちがうのですね。たぶん、作者は初手の恐怖や不気味さを後半も用意していたと思われるのです。
・たとえば、最終舞台の犬をたくさん飼ってる犬屋敷。学校のウサギ小屋アラシ。首謀者の最期。あと、警視庁なうてのハッカー。老刑事など、いろいろと動かしやすい活躍しそうなキャラもなんか期待したほど動かなかったし。好意的にみても「描ききった」ワケではない感じをややうかがわせたりね。

・もっと、いろいろと「ホラー」な演出をしたかった気がしますが、後半、ストーリーを進行させるのに躍起になってた印象。

・本作はでも1巻から3巻にかけて飛躍的に絵がよくなりましたね。よくなるというのも微妙な表現ですが、筒井哲也の絵になっていったというかね。もっと個人的に描くと、女の子がとてもかわいくなった。それでいて、ちゃんとホラーにもなってるし。1巻の最初のほうはそこいらギャップがあった気がした。

・ハッピーエンドのホラーには絶対に必要な「after」をきちんと描いてる。というか、このラストの決まり具合が作者のレベルが上がってるのを如実に感じられるところです。

・投げっぱなしの気持ち悪いだけのホラーは意外にカンタン。それをきちんと緩衝させ、気持ちよく臭みを抜いてくれる「after」をいかに気持ちよく描いて「終った」と読者に感じてもらうことはとても難しいことですよ。
・よくいったもんですよね。「終わりよければ全てよし」っての。

・ということで本作において、コメディタッチのやりとりという重要なアビリティを手にすることにできた作者の次回作はとても楽しみです。「ラブひな」みたいのも描けそうです。わからんけど。
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・[ケージバン]