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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/8月
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2006年/8月/29日
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「カラスヤサトシ」 カラスヤサトシ(講談社)

・今どうなってるのかさっぱりわからない「月刊アフタヌーン」において、読者コーナーなどで不定期に連載されている、エッセイな4コマ集ですね。たとえとして適切かどうかわかりませんが、「ファミ通」におけるコミックビーム販促の桜玉吉氏による4コマ「読もう!コミックビーム」が近いかもしれない。

・カラスヤサトシというマンガ家の優雅で電波でユカイなチョンガーライフを自虐ネタのヒロシよろしく4コマにしてます。あの芸人のヒロシとネタがかぶったりして苦悩されているので、ノリも近いものがあるかもしれません。

・エッセイコミックというジャンルで、なおかつ、非取材モノとなると、つまりは、作者自身がどれだけ「マンガ」足りうるかということにたどりつくのです。
・本作、かなりおもしろい「マンガ」ではありますがクセがあります。そういった意味じゃオビのコピーが秀逸であります。編集が勝手につけたそのコピー、作者はものすげえ気にいってないそうですが(そういう内幕もすべてマンガに描いてある)。


キモカッコワルイがクセになる。


・パターンとしては、作者が「やりすぎた」こと、「どうかしていた」こと、「すげえすべった」ことを描くパターンか、まわりのユカイ体験観察か。

・たとえば前者だと、自分の手のひらが中日の星野元カントクに似てるとしてみたり。幼少のころ、「グレムリン」のモグワイがかわいくて仕方ないので、ダンボールで「作って」みたりとか。これは人形じゃなくてモグワイそのものを作ったつもりでいたそうで、ダンボールの中に紙袋などで内臓も入っていたそうだ。子供が生まれたという友人のメールに「命名ハム太郎」と送った瞬間にマズイことをした気分になり電話会社にメールの取り消しを依頼してみたりしてます。

・たとえば後者だと、犬を散歩に連れて行くフリをして喜ぶ犬をまた杭に縛りポカンとした後怒る犬がかわいくてしょうがないので何度もやる女とか、映画が大好きな新入社員(女)に「わいはレイプものはみない(女性に対する気遣い故の発言)」と自信満々にいう「映像=AV」な先輩とか、知人が電車で父親とどこかにいったとき、父親が寝ていたために止まった途中の駅で寝ぼけたまま車外に飛び出して置いてけぼりになった話とか。

・と、こういうエピソードが4コマで279本あります。カバー裏にも、カバー折り返しにも、カバーめくった表紙にもギッチリつまってます。
・そして、エピソードを拾うために読み直しましたら、カラスヤサトシ本人のエピソードが8割以上でした。「どんだけ自分好きやねん」状態です。

・4コマはテクノミュージックに似てると思うときがあります。とくに単行本をイッキに読んでいると、ヘンなグルーヴが生まれてきておかしくなってくるんですよ。
・4コマにしちゃあ1コマ1コマの文字数がハンパじゃない本作はまた非常に不可思議なグルーヴ。
・そして、「ゲラ」になってくるんですよ。それこそ、オビのコピーであるところの「クセになる」わけですよ。だから、半分くらいまで、「字が多くて読みにくいな」「絵はうまくないけど律儀に描いてるよな」「作者どうかしてるよな」と読んでいくうちに「ププ」とブレイクスルーが出てきて、「ハハハハハ」と声に出して笑ってしまうのです。

・ぼくの場合、奈良県出身の彼女とつきあっていた友人の、奈良方言ネタがある66pがブレイクスルーで、83pの「実録怒り5」で大爆発でした。

・あとは、3pに1回くらいの高確率です。パチンコの確変とかそういう感じ? パチンコのほうはわからないんですがフィーヴァー状態、すなわち「ゲラ」になるんですよ。ゲラって関東とか東北はともかく関西以西には通じるよね?

・んまあおもしろい人だよなあってのが最終的な感想ってのは、マンガの感想としてどうかと思ったりもしますが、つまりはそれがタイトルになってるわけだし、アリですよね。

・みんなが「ゲラ」になれるかどうかわからないのでオススメはしませんが、この醗酵具合や寝かせ具合はなかなかたいしたものですよ。あきらかに異彩を放ってるので、異彩好きは要チェケラ。
(14:30:15)amazon

「24のひとみ」 1巻 倉島圭(秋田書店)

・ああ、倉島圭の新刊が出ている。他サイトで発売を知り「あっ」と思い買いました。名前を覚えてるわ。前作「メグミックス」はぼちぼちインパクトがあったのですね。

・ウソばかりつくひとみ先生に「うそつけ」とツッコミを入れる漫才マンガです。

・漫才の台本をマンガ化したような感覚。それは前作「メグミックス」も同じです。というか、後半に、メグミックスの「残り」が収録されてますし。

・ポイントは「マンガ」ということですよ。基本的にしゃべくり漫才です。ほぼ2人の会話で進行しています。「24のひとみ」でいうならば、ひとみ先生がウソをつき、生徒が「ウソかよ」とツッコミ展開します。

・以前、新井素子氏がインタビューかなにかで、自分の小説のマンガ化は難しい。なぜなら喫茶店の会話だけで30ページとかいくからとおっしゃってましたが、本作はそれをやってます。最初から最後まで会話で、1回4ページ。

・構図のダイナミックなことにマンガとしていろいろな意味を持たせてます。1番大きいのは「会話ばかりで単調になりがちだから」ということです。
・前作「メグミックス」ではツッコミの姿が変わることで応対してました。昆虫になったり石像になってツッコミをいれてました。4コマサイズのコマ割で展開するため構図などにコリようがないわけです。

・今作では、よりダイナミックな構図でツッコミを入れたりしてます。あと、背景は心象風景ということですか。実際は廊下や教室での会話が多いからね。
・あー、ファミコンとPS2の演出の差って感じですかね。もっとも絵のほうは本作でもスーパーファミコンレベル(いやじつはホメコトバ)ですが。
・個人的にはダイナミックな構図は「ダイナミックだなあ」と思うけど、笑いにはつながりません。また、コマ割で展開する分、テンポが悪くなり、ギャグの数も1回3ページだった前作より少なくなってます。

・ただ、作者の背中の肩越しからみえる眼前の光景はどこにもないものではあります。どこに進みなにをみてるのかは本作1巻ではよくわかりませんし、そもそもなにかをみてるのかすらよくわからないという哲学的で高尚な感じの感想で煙に巻くというやり方でたまには見逃してくれよ!(by小泉今日子)

・個人的に最大に残念なのは、少年誌ということで、下ネタが激減したことですね。
(18:10:14)amazon

「ホン!」 いしいひさいち(徳間書店)

・GHIBLI COMICS SPECIALということで、あのジブリがからんでるホンですね。
・形態としては前作「フン!」が、「となりの山田くん」「ののちゃん」に登場する犬のポチが登場する4コマを中心にエッセイやコママンガなども集めて編集したものに準じてます。
・本作では、「がんばれタブチくん」で登場したキャラが小説家だったら?という世界で、ヒロオカ監督の売れない純文学作家を中心として、売れっ子だけど、大衆小説家としてバカにされてるタブチ、編集者のヤスダ、大物作家としてハラ、で、「ののちゃん」ではセンセイだったフジワラ先生などが登場しており、小説家ネタの4コマが多数収録されております。

・で、ほかには、書評マンガが33本。ヒロオカのお手伝いさんのカンタンな書評と、そのホンをネタに4コマが1本という、以前に[Amazon.co.jp: ほんの本棚: 本: いしい ひさいち]という同じ本を出されてますが、それの最新版が読めます。わたくし不勉強でわからないものばかりですがオビによると「ポール・オースターから安野モヨコまで」だそうです。マンガも4冊くらいあります。「夕凪の街/桜の国/こうの史代」が最初に取り上げられてますがその4コマでのヒロオカ氏のリアクションはまったく正しいですね。
・ほかの作品もいちいち読んでみたくなるね。「切れない糸/坂木司」とか「となり町戦争/三崎亜紀」あたり興味があるなあ。
・あと、レビュー自体の短いながらも読者を読む気にさせる名文が勉強になりますねえ。ムダに長くなる自分の文章が恥ずかしい。

・目玉は、ヒロオカ氏の短編小説が4編も収録されていることですね。これがまたおもしろいんだよ。ああ、久しぶりに「こういうの」読んだなあという気分に浸れ、本読まない症にはオトクな気分でした。

・けっこう小説家として食っていくのは大変なんだろうなあと、普通に心配したりしてみました。
(19:11:57)amazon

2006年/8月/24日
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「げんしけん」 8巻 木尾士目(講談社)

・荻上がかわいくてかわいくて。
・荻上がかわいくてかわいくて。

・と、2回立て続けに読んで、2回とも同じ感想を最初に持ったオーラス前の8巻です。12月に9巻発売完結です。限定版はドラマCDと同人誌付きと、どっかのオタクくさいマンガ情報サイトで書いてあったよ。

[Amazon.co.jp: げんしけん (9) 限定版: 本: 木尾 士目]

・オタク同士の恋愛にみせかけて、オタクの持つ業と、表現することの業を描いた8巻ですね。恋愛はその責め苦を耐えた荻上へのごほうびみたいなもんですよ。

・大学のオタクサークルの話です。荻上というココロを閉ざし気味の女の子が所属してます。彼女は合宿の酒の席で告白しました。中3のときクラスの仲間と同級生男子のカップリングをしていて遊んでた過去を。ところがエスカレートして、ハード気味な「やおい」本を出すことにし、彼女はイラスト担当でうひゃうッひゃと描いてました。ところが、それを当事者が知ることになりました。当事者はショックで不登校で転校になりました。それ以来、彼女は攻撃的で自暴自棄で殻に閉じこもる性格になりました。

・そして、それでも止められなかったオタクでBLとね。8巻でそれを受け入れる彼氏もできました。オメデトーよかったね荻上と。

・おれくらいの立場ですら「たまらない」と思っているくらいなので、もっと深いところに足をつっこんでる方(同人誌出したりー、BL好きだったりー)は「こんなオイシイことねーよ!」といいながら、さらにたまらないんじゃないかな。ウギャーと叫ぶくらいたまらないかも。荻上側の立場はよくわからないけど、やはりたまらないんじゃないかと思うのですよ。

・一応、「同じ属性同士はうまくいかない」派ではあるんですが、本作をみてるととてもうらやましいですよね。オタク属の男子には夢かもしれないアキバデートを描いた描き下ろし4コマなんかいいなあと思うわ。

・えー、ここで話題が変わりまして。

「マンガ」になるとならないって感じがするのです。木尾士目氏だと、「げんしけん」より。そして、浅野いにお氏なら「ソラニン」。読んでないけど、たぶん、ひぐちアサ氏なら「大きくふりかぶって」よりそうじゃないかなと思ったり。それぞれのたとえが通じてるかわかりませんが。


経験も想像も全て駆使して…
自分を全部ぶつけて描くのがマンガでしょう?



「げんしけん」の8巻で荻上が吐いたセリフです。実はとっても痛いセリフです。多分にプロとしてあえて「成功」してる方でも多そうと思われますが、これを額面どおりに受け取るのはアウトなんです。

・だって、全部ぶつけられたマンガは「重い」から。

・こう、読者って多分にそういうところにはビンカンかと思います。「そういうところ」をうまく文章にするのは難しいんですが、「地続き感」とでもいいますか。
・つまり、額面どおりの経験や想像を駆使した作者がみえすぎるものをドカーンとぶつけられる感じ? そのキャラの後ろにいる作者がすっかり伺える感じ?

・これらはいわゆる「中2病」と呼ばれる期間や、そのウイルスが多量に残存してる期間には、とても効果的。うまくいけば「若者たちのバイブル」になり得ます。
・そうつまり、「全部ぶつける」ということは、正面からノーガードでぶつけるってことじゃないってことですよ。まあ、それをも込みで「全部ぶつける」って見方もありますが。

・つまり「マンガ」になってるかどうか。ま、要は、キャラとして魅力的かどうかという結論に至るんですが、そこでの「作者」ってのは意外にジャマってことですよ。
・もうちょっと具体的にシンプルにいうと、あまり後ろにいる作者を感じすぎると、どんな萌えキャラだって勃たねえよってことです。エロマンガや、もっといえばアダルトビデオなどの実写ですらそうです。その最大の弱点は、「これって男が作ってる」と思うことです。一発でフニャチンです。

・逆に、いかにも作られたようなマンガマンガしてるキャラのほうがそれを感じさせにくいという現象も生まれます。この矛盾はけっこうあちこちで見受けられます。とくにマンガに限らないですが。自分のことや実在する人をモデルとして生々しく描くと上手く描けているような気分になりますが、意外にね、シラけるときもあるんじゃないかなーって。というか、おれはシラけるね。最近はとみにそうだね。

・と、まあ、そのパターンにバッチリ荻上さんもハマってるんですけどね。彼女は自分が好きな男性をだれかとカップリングしてしまうという業に悩まされてる。
・しかし、自分の描いたBL本のモデルが自分の絵をみて「勃った」といわれるのはどんな気分なんだろう? しかも、そのモデルのことを好きなんだしな。

・そして、そのことに悩んでいるというキャラとして「マンガ」の中で成立してるわけです。そこがすごいということを書きたいわけだったのです。すげえワケのわからんことを書いてる気がしてきました。

・その荻上氏自身もモデルがいたり、作者成分が入ってるかもしれないけど、「マンガ」としてのキャラ度が高いおかげでスッキリと「荻上かわいいよかわいいよ」とハァハァできるわけです。

・雑誌未掲載の描き下ろし2話と、それまでが、みょうにつながってるようなつながってないようなヘンな感じがしましたけど。それぞれにジョイントがいるんじゃないか?と。

・いやでも荻上がかわいくてかわいくてしょうがないのでいいのです。最終巻も楽しみです。なんならもう限定版を予約しておこうかコンチクショーという気分だったりします。もう5巻くらいからずっと同じコトを書いてそうな気がします。
(17:46:45)amazon

2006年/8月/22日
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「マリマリゾンビ」 渡辺電機(株)(双葉社)

・渡辺電機(株)さんの作品からにじんでいるピースフルな雰囲気はやはり吾妻ひでおマニアがなせる業なんでしょうかね。死やグロがあふれているのにとても平和な、大学サークル4コマ。

・女性4人と男1人に、あとで犬が1匹加わる大学サークルのユカイな暮らしを4コマで綴っております。女性がそれぞれおかしな感じで、部長のマリさんは宇宙人で、あとメイドロボと、猫娘と、魔王の娘がいて、主人公は1話目の1回目の4コマでマリさんの乗っているUFOとぶつかって以降死亡して、マリさんに改造されてゾンビです。で、毎回、猫娘に食われたり、魔王のカマでバラバラにされたり、メイドロボに再生してもらったりしてます。

・そういう内容なのに、なぜか牧歌的でピースフルで、なんとなればその場にいたいくらいのパラダイス感が。

・あと、エッチなんですよね。このエッチさが漂うのも学会が注目する点ですよ。たとえば、猫娘が発情して、「おまえで間に合わせるか」とゾンビにいうなり、猫耳アタッチメントをつけるなり、ムッシャムッシャと食べはじめたりします。で、「カマキリかよ」となるのですが、それまでの感じがちゃんとエッチ。

・サークルをつぶすための聡子さんがまたおれが大学時代好きだった人と同じ名前なところもいいですが、彼女もいい味を出してますよね。「おっぱい触らせてあげる」って色仕掛けが最高ですよ。

・ということで、代表作「(株)」って会社マンガを大学サークルにしてプラスアルファな、「同じ」テイストのマンガなんですが、あと、最終回近辺のヤケクソ感も最高。1回、あきらかにノリをリセットしてから、なんだか、ヤケクソで展開してて最高。アルバム収録に足りないからってデモテープバージョンを足したって感じがいいです。22話以降そんな感じが。

・1回、普通に成年コミックを描いてもらいたいもんだなあ。ほら、似てるとされる、榎本俊二氏も1作、本腰いれてエロエロな短編集とかありますしね(「Enotic」に収録)。
(17:49:53)amazon

「これが未来だぜ!」 古泉智浩(青林工藝舎)

「てきとうなSF&ホラー作品集」だそうです。現在、セックスをするとゾンビになる長編を連載中ですからタイムリーではありますね。「青春金属バット」の実写映画化も決まってますしね。ノリにのってます。

・エロいことを考えたら変身して自慰で射精する要領でビームを発射して敵を倒す「変身エロイダー」

・重症の中2病の主人公をはじめ超能力があるものたちが集まって戦うってことだけど、結局、ダラダラしてるだけなのに長編の「四番目の男」。XBOXファンというのが泣けてしょうがない。

・ヤク中の男が主人公でラリりながら巨大ロボットに乗り込む「巨大戦闘メカガロハロ」が1番かしらね。このメカの造形はスゴイね。あと、武器を交換するたびに対応プログラムをCDROMで読み取らせるなどのアイディアとか。

・あと、映画の「ヘルレイザー」の麻雀版の「ヘルレイジャン」とか。

・いい意味で現実的なんですよね。特殊な能力を持たされる男が、矮小なことばかり考えていたり、特殊能力をそういうことに使ったりね。悪事ですらないんですよ。反社会的な作文を書いたけど、提出した瞬間、「やばい!」と思って、特殊能力で時間を止めて取り返したりね。

・で、悪い意味でグズグズなのが多いです。オチ禁止シバリみたいのにコッてらしたようで、あえてオチらしいオチを避けてグズグズした感じで終ってる中途半端な感じが、らしいといえばらしいんですが、本作はちょっとアレでしたね。
(18:29:09)amazon

「ナエガユル」 1巻 琴義弓介(少年画報社)

・えーと、[Amazon.co.jp: GLAMOROUS ROSES 琴義 弓介]という成年コミックを買って読んでます。買ったときはそうとは知らずに買いましたが。

・ディザスターサバイバルですよ。カバー裏に書いてあります。ディザスターってなに? カゲスターなら知ってるけど。あと、バブルスターも知ってる。原ヘルス。

・ま、冗談はさておき。東京で地震がおきます。主人公の少年は、オッパイのでかい女性が足をはさまれて動けないのを発見して助けます。そいで、地震直後の地獄のような都心部をおんぶしながら歩くわけです。
・タイトルは「地震が揺る」で「ナエガユル」と読むみたいです。

・地震のあと、混乱してる中、人のやさしさや知人との再会などを果たしたけど、このオッパイの大きな女性が二重人格だったりするんですよ。おい、それってディザスターサバイバル?

[dis・as・ter - goo 辞書]


━━ n. 天災, 災害 (a 〜 area 被災地); 災難; 大失敗; 失敗作


・作者はいろいろと勉強されておられますし、古今東西の「そのて」に触れてるとは思われますが、たぶん、もっとも参考にしたのが「ドラゴンヘッド」と「救命病棟24時 3ステージ」って感じがします。そいで、みならってはいけない、「ドラゴンヘッド」のワケわからないままウヤムヤに進行していくってのと、救命病棟の、実際に東京ぶっ壊すワケにいかないからなんとかごまかすってのを見習ってるような気がしてしょうがないです。

・作者はオッパイほど、崩壊した東京を描くことや、パニック状態の人間を描くことに一生懸命じゃない感じ。

・で、たぶん、表紙の、大地震の後、倒壊してる東京を、オッパイの大きい女性をおぶって歩くというイメージが最初じゃないかと。そこから逆算してストーリーを組み上げた感じがします。実際、いいイメージだと思います。

・だから、二重人格設定は、「まあ、このままじゃ終りそうだもんな」ってわかりはするんですが、長引かしてもなあとも思うわけだし、それこそ、ディザスターサバイバルってのには弱いわけです。

・いや、ぶっちゃけ、災害マンガって多分1番描くのがめんどくせえんじゃないかと思うのです。定規で描いた世界が崩壊してるワケですしね。だからこそ、荒地が舞台になる場合が多かったりするんでしょうね。「ドラゴンヘッド」も最初はトンネルの中だったし、「サバイバル」というさいとうたかを氏のこれこそがディザスターマンガの最高傑作ってなマンガでもそうだ。だから、都心部はそれほど描くのが難しいと。
・ま、そういう中、かなりがんばっておられると思いますが、ぶっちゃけ、オッパイ描画ほどの魅力はないわけです。まあ、そのオッパイにしても、わりとプロユースというか、クセのある感じの描画なんですよね。

・2巻はどうなるんだろうなあと。2つの意味で怖いものみたさがありますね。
(19:47:55)amazon

2006年/8月/17日
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「かんなぎ」 1巻 武梨えり(一迅社)

・ふと思いたって買いました。「迷走ばかりのコミカル&シリアス伝奇コミック」というカバー裏の文章にほだされたのかもしれません。
・トゥーピュアピュアボーイの主人公が、御神木で樹の精霊を彫ったら、それが実体化して少女が登場。少女は神様だった。そいで同居することになり、あと迷走。という居候マンガ。

・絵がすごいしっかりしてる。堅牢といってもいいくらい、それぞれの構図やらデッサンがこなれている。そのままマンガの教科書になりうるくらい。同じアングルがないってくらい、様々なところに「カメラ」がある。もちろん、そのどれからみても少女はかわいいし。

・ケガレを祓うというのが少女ナギというか、神様としての目的で、霊感のある主人公も巻き込まれる。彼女はそのための武器として魔法少女アニメのグッズであるステッキにカシコミカシコミの紙を添えたもので祓うことになっている。それに幼馴染(主人公に恋心)がカンチガイしたり、美術部(主人公が所属)の面々がからんだりして、にぎやかな学園生活プラスちょっとした伝奇って感じです。

・現状、どう転がるのかはわかりません。というより、どう転がってもいいような「受け」を用意してるような印象。それこそ、2巻で完結してもいい感じで。

・ナギさんと主人公のどつき漫才めいたやりとりや、「ギャグ」と書くほどの破壊力はないですが、小ネタの笑いはかなりいいテンポでして、瞬間接着剤のネタや、二重人格のネタはかなりいいと思いましたよ。

・ありがちな最初にドババババとキャラを出してってのもなく、徐々にうまくキャラを馴染ませていく感じも巧いと思いました。そう、全体的に「巧者」な印象です。スキが少ないんですよ。

・露出にたよらないエロさが漂っているのもいいね。「エロス」ってか。かなり薄味ですが。だいたいラブのないラブコメみたいな感じですしね。主人公とナギにあまりそういう感じがないです。

・微妙な謎や、ときおりあるシリアスをうまく2巻以降で展開させられるといいですねと思いました。
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「宙のまにまに」 1巻 柏原麻実(講談社)

・天文学コメディ。

・メガネの主人公が引っ越してきた。子供のころ住んでいたところだ。そこでは幼馴染の「みーちゃん」がいて、いつも振り回されていた。
・で、高校になって再開。また振り回されつつ、なりゆきで天文部に入部。そして、キャラが増えてにぎやかに展開の学園コメディ。

・天然元気娘で主人公を中心にまわりを引っ張りまわす「みーちゃん」に、そのツレで落ち着いたお姉さん肌。主人公をカゲ(でもないか)ながら慕うクセ毛を異様に気にしてるシャイガールに、天文部を目のカタキにしてる生徒会長と、いい女性キャラ配置。

「かんなぎ」でも思いましたが、ラブコメの体裁でいて「ラブ」分が弱い感じ。そいで高校生のわりに幼い。で、ギャルゲーよろしく全員が主人公に好意アリ、でも、ラブは薄いと、まあ、居心地のいい世界がね。

・で、天文部ネタがけっこうありまして、ちゃんと天文マンガになってるなあと。夜にみんなで集まって山の上で星をみるなんてなんだかとてもよいですね。

「わあっ」ですよ。
・みーちゃんが、新入生勧誘で、校舎の屋上から星をまいていたときの歓声が「わあっ」。これになんだかとても感じ入りました。まあ、なつかしいネタですよね。王道の少女マンガ歓声です。
・それでいて、みーちゃんの「歯」描写ね。表紙にもありますが、少年マンガの主人公の口元だよな。

・そういった感じで、随所に「往年」なところがありますが、連載は「アフタヌーン」。おお、購読しなくなって久しいアフタヌンは今どうなっておるのか。

・アフタヌンったら、これとは真逆のラブ道一直線のラブコメ「ラブロマ」ってありましたよね。本作は登場キャラの愛憎のもつれで泥沼という展開ってのからは激しく遠い気がしますね。このまま永遠の寸止めでドタバタドタバタと過ぎていく模様。

・オタク4コマの「辣韮の皮」にも似たようなキャラが登場しましたが、ショート&メガネ&巨乳で文芸部。で、文芸ネタにモーレツに食いつきがよくなる生徒会長がやはりとてもいいです。

・2巻以降「展開」するんでしょうか。
(18:01:05)amazon

「時をかける少女」 筒井康隆&琴音らんまる(角川書店)

・劇場版長編アニメ「時をかける少女」のコミカライズです。劇場版のほうはみてません。なぜなら富山県でやってないからです。監督は富山県出身ですのに。話題になっているのに。

・そういう前提でこれからのヨタ話、おつきあいねがいます。

「時をかける少女」ってなにがいいってタイトルに尽きるんじゃないかと思います。とてもイメージがひろがりますよね。それでいて、「かける」が文字通りいろいろとかかるわけです。「駈ける」「翔ける」「描ける」「賭ける」「架ける」。

・原作や、大林宣彦監督の原田知世主演のアレは、両肘を内側にした御嬢様走りの「駈ける」でしたが、今回のは、「駆ける」のほうがあってますよね。全力疾走感がありますし、上記の「翔ける」というイメージもあります。

・主人公の少女はひょんなことでタイムリープ能力を得ます。時をかける能力ですね。
・で、同じ時間を何度も繰り返します。高2の夏休み直前を何度も何度も繰り返して、満喫してます。時間を戻しては毎回ちがう遊びに興じて「サイコー!」とよろこんでます。
・ところが、同じ時間を何度もリセットして、失敗を成功に変えたり、ソンをトクに変えてるうちに歪みが生じてきます。

・主人公って「おジャ魔女どれみ」のどれみみたいなあと思いました。ドジで直情径行で感情的で相手を振り回しなおかつ「イイコ」という。最後ので全部チャラにするようなタイプ。同性からは「ずるい」って思われるような。

・実際、男2人と野球をやるようなドリカム状態にいながら、そのバランスが崩れることを極端に嫌い、告白されるとタイムリープすることで逃げまくる。

・と、劇場版の「うる星やつら ビューティフルドリーマー」を思い出したりしました。この映画も、今が永遠に続けばいいのにと思う少女(ラム)の願いが閉じられた世界の永遠につづく学際前夜祭というカタチで具現化したわけです。

・本作はその願いがタイムリープのたびに徐々にほつれていくのです。時間を戻せても人のココロの変化を戻すことはできないと。そして、自分のココロもそうだったと。

・ま、甘酸っぱい青春のアレなアレだよなあと。

・いや、で、作画が巧いですね。ま、劇場版をどれくらいアレしたって評価はできませんが、タイムリープの特撮描写などがスゴイよくできてるなと思いました。未見のアニメを妄想させてくれます。
・ちなみにアマゾンレビューによると、最後の芳山さんのエピソードは劇場版より「描いて」るそうです。

・昔、月刊少年誌でよく、封切の洋画のコミカライズがあったのですが、そういうのまた復活すればいいのにと思いましたよ。
(19:14:29)amazon

「瀬戸の花嫁」 10巻 木村太彦(スクウエアエニックス)

・10巻目にして、長々とつづいた「学園編」が終わり、「メイド喫茶編」になりましたよ。人魚な女子がたくさん登場するマンガということで「マーメイド喫茶物語」と。

・で、あと、だいたいいっしょ。カワイくてクセのあるキャラがドタバタやってるギャグマンガです。

・このマイナーチェンジ的な変化にふと思ったさ。
・昔からよくマンガ入門やスクールのタグイには、「自分が体験してるから学園モノを描こう」なんてのがありますが、実は、学園モノってネタというより、物理的に描くのがとても難しいんじゃないか?
・体育館の全校集会を1コマに収めるめんどくささ。1クラス全員がイスに座って授業を受けている。廊下をたくさんの生徒が歩いている。

・絵ゴコロレスなおいらにも「こら、難しいわ」と思いましたよ。

・ちなみに、本作は徐々に絵がシンプルな線になっている印象。背景との乖離がひどくなってるし。

・ネタ的にもややアレ。11巻以降巻き返しを期待したいです。
(19:44:56)amazon

2006年/8月/8日
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「碇シンジ 育成計画」 2巻 GAINAX&高橋脩(角川書店)

・もう10年前なんですよね。「新世紀エヴァンゲリオン」ってアニメがありました。そのアニメがはじまる前にドラえもんにもしもボックスを出してもらい、「もしも明るいエヴァだったら」といってみたらこうなったってのが本作です。ゲームが直接の原作になるんですか? だから、アニメをモトに作ったゲームをモトに作ったコミックですか。まるで牛乳を主原料としたオナホールくらいねじ曲がった感じがします。

・とはいえ、本作。アニメを通り過ぎたものとしては、なんだかこのシアワセな湯加減がたまりません。アニメを知ってることが前提です。今はそういう副読本みたいなブツが増えましたね。オタク社会の最大弊害ではあります。

・どうせ1巻のときと変わらないんだろう?としばらく買いませんでしたが、まさに予想通りの1巻から引き続くヌルさです。真夏日のヒザくらいしか水がない子供用のプールくらいヌルイです。

・そしてそれがたまらないのじゃあ。悲惨なアニメとちがい、ここでのアスカやらレイやらシンジはとてもイキイキとした「ラブコメ」の世界のキャラを演じている。リアルでいうと、アニメのも、こっちのもヘンではありますからね。
・シンジはレイの手を握りたがり、アスカはレイやカヲル(2巻で登場)と接近してるシンジにヤキモチを焼く。

・そういう感じです。なんだか、作り物の作り物というヘンな感覚があり、それも含めてシアワセな世界ですね。沖縄に修学旅行にいっております。ただ、伏線がずっと底を這ってるのが伺えるのがコワイですね。それが吉と出るか凶と出るか。

・いやまあ原作公認の同人誌って感じも強いのですし、おれはこの手のパロは嫌いということで売ってきたんですが(どこで?)、1巻に引き続き、2巻も、「本作だけ許せる」と思います。あ、あと「犬ガンダム / 唐沢なをき」も許せます。
(14:13:14)amazon

「金平 de R」 金平守人(エンターブレイン)

・連載10周年だそうですよ。連載10年で単行本5冊と、かなり着実ですね。
「コミックビーム」の巻末に居座り10年か。この連載もそうだけど、「コミックビーム」がつづいてることにもおどろきだったり。

・ということで、基本毎回読みきりのギャグマンガ集5冊目。手法としては、「月刊少年マガジン」に絶賛連載中(なのかどうか知らない)の「花鳥風月紆余曲折」佐佐木勝彦氏と似てますが、mixiのコミュだと、金平氏81人(おれ入ったから82人)で、佐佐木勝彦氏20人(おれ入ってる)だからどっちかというと金平氏のほうが圧倒的に知名度が高いみたいですね。歴史は佐佐木勝彦氏のほうが上だと思いますが。

・さて、本作。10年目として円熟味が増してきました。そんなもん増してもあまりプラス材料にならないギャグマンガにおいて円熟した金平味みたいのができてきて、「なにかいてもカネヒラ」という堂々としたものが生まれてきて、パロディやってもカネヒラ。自爆してもカネヒラ。鬱入ってもカネヒラ。同じネタ使いまわしてもカネヒラと、なにやっても「いーんだもーん」という開き直り力が強くなりましたね。

・オビで森薫氏(荒川弘氏と並んで最近オビでよくお見かけしますね)がおっしゃってるように、基本的漫画技術がかなり高い方なんですよね。とくに作画。各人のタッチをマネるのが巧いし、自分のタッチもカッコたるものを持っておられる。それでいて、その才能をムダに使い倒してる感じがステキです。アルプスの清流で使用済みのオナホールを洗浄といったオモムキ。

・とくに感心したのは、森薫氏のサイン会に潜入したときの「失踪日記」時の吾妻ひでお氏のタッチのパロディです。これのミゴトさは、実は本家のタッチより安定してる分、上手なんですよね。森薫氏とか失踪日記の吾妻ひでおタッチで、なおかつ、吾妻氏の描画する女性よりかわいいんだもん。

・あとね、ギャグの切れ味の「悪さ」はわりと最初より一貫してますが、ギャグとしてのシリアス系みたいのが、以前にまして巧くなられました。巻末の「マヤとマユ」「PIECE」は真剣によかったです。

・ギャグの切れ味の悪さがキモなんでしょうね。パクってうまく切るよりも、失敗して「あーもう!」とか「おれはもうだめだ」となるほうを選択してる感じ。ダダスベリ上等!ですよ。

・本作、いつもに増してエッセイコミックな話が多い気がしますが、「コミックビーム」にはエッセイコミック描いてナンボって先人であるところの桜玉吉氏の教えに従ってらっしゃるのでしょうか。それが実にいいところ入ってたりします。

・それでいて、「なんだかくん」や「教えてテポドン先生」なんかのキャラネタもある。単発のギャグも豊富だし、上野顕太郎氏ばりの理数系ギャグ(今、一人者はついにというか上野顕太郎氏になったよね)もある。なによりシリーズ最厚で、かなりバラエティに富んでいるし読み甲斐がある。

・そして、なんともいえないエグ味も健在! カネヒラマンガを嫌う層が確実に存在するんだろうなとファンでも思わせるクセ。鮒寿司のような感じか?食ったことないけど。

・いろいろ描きましたが傑作です。オススメしてみよう。これから読んでも無問題よ。
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「NAKED BLACK ネイキッド・ブラック」 森田柚花(角川書店)

・こんな中身のないマンガ久しぶりに読んだな。
・森田柚花氏とは「DANCE DANCE DANCE」で出会いました。2巻まででてこの先どうするつもりかわかりませんが、未完の、絵以外はかなり完成度の低いタイムスリップマンガです。

・あれはもういいとして、本作は、新刊であれからどれくらいの進歩をしたのか見極めようと思って買ったのです。そうしたら、どうも連載自体は「DANCE DANCE DANCE」よりも以前のもので、さらにさらにアッチョンブリケだったという次第です。

・本作は架空のRPG大作を勝手にコミカライズしたといったオモムキでしょうか。そのRPGのゲームソフトのみを参考にして描いた同人マンガ。つまり、設定資料集とか、ノベライズ、コミカライズとかない状態。参考にしてない状態。そらそうだよな、「ネイキッドブラック」は作者のアタマの中にしかなかったんだから。

・だから、たいそう困ったことにあらすじを書くことができないのです。2回ばかりじっくり読んだつもりですが、「つまりなんだ?」って感じが濃厚です。そして、一応単巻扱いになってますが、完結してません。

・魔界と人間界がある世界。猫耳の魔界の少年がいます。人間界の金持ちの坊ちゃんにケガをしてたところを助けられました。坊ちゃんはその無口な猫耳少年をかわいがって家でめんどうみてました。その坊ちゃんが好きな幼馴染の少女が、それをおもしろくないと思いました。そいで、魔方陣で魔物を呼びだしました。おどかしてやろうと思ったのです。あと、話がよくわかりません。

・舞台は時代も背景も不明な西欧風。飛行船とか飛んでました。魔物が人間を襲ってました。教会がありました。レーダーもあります。拳銃もあります。魔法もあります。さてなんでしょう? 答え:RPG風。

・なんだか、話がいってこいして、時間の変化がよくわからんし、各キャラクターの行動がよくわからんし、突然前触れなく新キャラが登場するし、全体的にもったいつけてるし、ネーム少なく説明的なセリフがないからそれがなにを指してるのかわからんし。若い男女ばかり登場するのでキャラを見失うしで、苦行っぽいです。

・最大の弱点は、そのRPG風です。「RPG風」ってことで、数々のお約束を読者に丸投げしてる感じが、つまり今の日本における「ファンタジー」というものですが、本作は前記のとおり、どのゲームのコミカライズ?ってくらい、丸投げです。これまでのRPGのお約束や文法に丸乗りのタダ乗りで、自らの世界構築を放棄って同人シゴトがどうにもお粗末でねえ。

・いやまあ気持ちはわかります(おれはビームサーベルとワープ航法と波動砲の世代です)し、今となってはファンタジーマンガは多数存在しますしね。「わからないほうが悪い」くらいのことはいわれそうです。でも、わからないんですよね。ガンコジジイのように「ワシャわからん!」といい続けるのです。だってちゃんとわかる優れたものもありますからね。

・そういう理由でおれは全般的に剣と魔法とYシャツと私みたいな世界が嫌いなんですよ。だから、本作に限ったことではないんですが、本作はそういった方面ではかなりひどい方になります。かなりわかってあげないとダメかと思います。

・ただ、絵はいい。やっぱり絵は好きだなあ。たぶん、描き下ろしらしいカラー口絵や表紙の絵はもっといいのです。あと、描きたくないものをごまかすテクも巧いです。たとえば、空を飛ぶ戦艦とかは、シルエットですし、ぞんざいな街並みだったりします。あと、手足のディティールを描かなかったりね。

・そうか、現在休載中らしい「DANCE DANCE DANCE」はアレで進化したものだったのかということがわかりました。まあ、両者に通じる、話をムダにもったいつけるやり方とか、モノいわない人物がたくさん登場して意味ありげな表情でみてたりなどは伺えましたね。

・と、話がアレすぎるんで、原作付きを描いて修業したらどうでしょうか?と思ったら、オビの裏に、「.hack// G.U.+」ってのを連載されてるとの情報。アレだ、マルチメディアなアレだ。それは読むことができないな。だって妖怪マルチメディア展開だし。いろいろわからないとわからないものはおれは必要ないんだ。

・ということなので、それを通過した作者の新作を期待したいなと思います。
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「奥さんバレー」前田千石(双葉社)

・ひょんなことで義姉のバレーの特訓をすることになり、うやむやのうちに個性的な6人のメンバー全員といたすことになります。あ、エロマンガですよ。

・全7話で、1話1人というパターンで進行していきます。それぞれのキャラもよく考えられており、バリエーションやシチュエーションも豊かです。お色気系から、ロリまであります。

・ただ、その行為自体のバリエーションはちょっと薄い気がしますね。まあ、おとなし目の雑誌掲載ってことだからかもしれませんね。いわゆる「行為中」になってからはバリエーションがない感じが。2pとかで行為は終わるし。

・もうちょっとづつ工夫があるとよかったかなと思ったり。本編とカンケイない「遊び」を少なくして、あまったページをもうちょっと設定にからませたりして、深みってほどじゃないけど、キャラに味わいを出させるとよかったんじゃないかなと。

・たとえば、義姉は天然で、バレーといったら体操服にブルマーといった先入感で登場しますし、体育のときに下着はつけないというまちがった知識のためにノーブラノーパンで特訓に臨みます。主人公はその無防備ぶりと、転んで密着したイキオイでだれもいない体育館でカンケイを持ってしまいます。
・これ、一応、最終回の伏線にもなってまして、主人公はその義姉が好きってことになってますし、義姉は義姉で鈍いながらも主人公がメンバーといちゃいちゃしてることがおもしろくないし、そのとき以来手を出してないことがおもしろくないんですよ。
・いや、それなら主人公目線で話をはじめて、義姉が好きだって設定をもうちょっと強調させるべきじゃない?

・ま、それもとりあえず終わらせるためのとってつけたような展開ではあるんだけどね。

・ほかには、チビっ子で大阪弁のいつも学生に間違えられそうなロリキャラがいますが、大阪弁なところや、非常勤教師ってこと、あと、ダンナが今まで手を出してなかったからこれまで処女って設定のすべてがWHY?だったりとかね。

・かような設定をもうちょっと話しに積極的にからませるとキャラに奥行きが生まれるじゃないかなと、おれはどこの編集だよ?

・長所は、義姉と不貞(つまり、兄の妻とやってるってことだし)をはじめ、不倫不倫不倫不倫と、すごいことになってますが、それぞれのメンバーのダンナのカゲを極力薄くしたりすることで罪の意識フレイヴァー(これはこれで興奮材料になるからね)を犠牲にしてまで軽くしてるので、さくさくと読むことができることかな。

・同時収録の短編も軽くエッチというのが特色でしょうか。軽いのがエッチのほうにも及びがちなので個人的には軽くしつつもうちょっと濃いエッチシーンが望ましいところでしたかね。重くしないでもいいですが、もうちょっとアクセントとかねえかなと。
・あるいは、エッチにいたるまでの不自然さの払拭ですか。なんか、「抱いてください」か「あらチンポかたくして」って2種類が多かった気が。

・いやだから前記のとおりもうほんのちょっとづつなんつーか物足りないっていうかな。

・あー、ブルマ属性にはそれよりキますかね。カバー裏にはありましたけど、メンバー全員の体操服&ブルマ姿ってのは本編にもほしかったですね。それやるとキャラ差がみえなくなるのかしら?
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2006年/8月/5日
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「真・異種格闘大戦」 3巻 相原コージ(双葉社)

・動物同士戦わせて真の1番を探そうというマンガ。ヒトは1回戦でカバに敗退したので、以降、えんえんとケモノ同士が戦っております。その3巻目です。

・と、1,2巻目はわりと冷めた目でみてましたが3巻がとてもおもしろかったね。
・2巻から引き続きで、「ゴリラvs水牛」勝負のあと、「イヌvsオオカミ」の2戦。どんどん、戦いが長くなるのはこの手の宿命ですが、それはいい意味で調子に乗ってきてることでもありますからね。

・動物マンガにおいてキモはどれだけ「人間」要素を注入するかということで、本作においては、すべての動物はコトバを解しており話をしておりまして、草食動物と肉食動物といった、本来の食べるもの食べられるものとの間の試合も成立させたりしてます。

・でもって、それぞれの動物特性というのもアリで。

・2巻あたりからはじまった動物それぞれのミニドラマみたいのも3巻では大爆発ですよ。ぶっちゃけそのせいで1試合が長くなったんだし、そのせいでおもしろくはなってます。

・3巻では土佐の闘犬と野生のオオカミとの対決です。闘犬と飼い主(少女)との交流をバックボーンに展開です。

・そいで3巻のクライマックスの1pにおれはシビレたね。「そうきたか」と。そいで、闘犬ではないけど、イヌを飼ってるものとしてはちょっとナミダです。本来笑わせようとしてるような意図もあるんでしょうけどね。

・おもしろかったです。しかし、もう飽きたね。ちょっと「見切った」感があります。このまま続くのはしんどいかも?と思ってる自分がいます。
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「ミス&ミセス」 阿部川キネコ(双葉社)

・高校時代の大親友。その後、一方が専業主夫(子持ち)で、一方が売れっ子イラストレーターになっても大親友のままという4コママンガですね。

・本作は、高野文子の「るきさん」あたりを引用なタッチでそれが内容に合っております。
・カバー見返しにあるように作者本人もかなり自覚されているようで、たとえば、オタク漫研の「辣韮の皮」とも、チッチとサリーな「お菓子な片想い」ともちがっております。

・ただ、絵のタッチほど、ネタのバリエーションはないようでね。基本は「いっしょ」ではありますね。阿部川印といいますか。

・1話1テーマでユルく話をつなげていく、ストーリー4コマの手法で、「ミス」と「ミセス」の立場のちがいを浮きたてたりするという展開が多いです。

・たとえば、「呼ばれ方」ね。妙齢の女性をどう読んでいいか。30代で未婚に「奥さん」と呼ぶのか「お嬢さん」と呼ぶのかとかね。
・既婚、未婚では、墓参りの意味がちがうとかね。たとえば入るところがどこ?とか。

・既婚未婚の親の問題とかね。既婚は親が2組いるわけだね。

・ま、そういう対比ものと、キャラをうまく活かして、たのしい「女の友情」4コマが展開していきますね。

・奥さんが大絶賛でねえ。ああナルホドと思いました。奥さんが絶賛するものにはおれは軽い疎外感を覚えるんですよね。本作の場合、それは「女の友情」ですわね。あっさりした高野文子な絵のわりにドロっとしたところも描かれてたりして、なんとはなしの違和がね。まあ、いつまでも女に幻想を抱いていたいドリームチェイサーならではのいいぐさなのかもしれませんがね。

・ちなみに、本作、どっちかというと、未婚のイラストレーター目線が強い感じがありますね。独身バンザイと。よく結婚なんかしてられるとかね。ま、それで作者をダイレクトに結びつけるのは安直というか、そもそも既婚か未婚か存じませんし興味もありませんからアレなんですが、地続き感はありますね。人間誰しも最初は独身ですからね。そういった意味じゃ、既婚者も元独身者ということで、独身の気持ちが理解できるために、独身ネタのほうが広くにアピールします。

・いや本作はおもしろかったです。でも、「るきさん」が恐ろしいほどの名作だったことが本作でよくわかりました。だって、なにも起こらない誰にも憎まれない感情が侵入してこない、無菌室みたいなマンガだったんだもんね。「るきさん」にくらべると「ミス&ミセス」は起きるもんね。そういう「比較」は意味がないことを知ってなおかつそう書いてみます。
・念のためにもう1度書いておきます。本作はおもしろいです。奥さん大絶賛です。奥さん、思うところや触れるところが多かったんでしょう。

参照:[Amazon.co.jp: るきさん: ホーム: 高野 文子]

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2006年/8月/4日
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「はやてxブレード」 5巻 林家志弦(メディアワークス)

・いや「剣の舞」のくだりで笑ったなあ。ハラ抱えて笑ったよ。マジで声出して笑った。
・おれはこういうマンガ家さんが1番大事です。兵隊でいえば元帥くらいです。
・もともと、女性マンガ家とはギャグのセンスがちがうのでハラを抱えて笑うことは限りなく少ないです。今、パッと思い出すのは、新井理恵氏くらいかな。ちょっとその下を金田一蓮十郎氏って感じかな。もちろん、ギャグマンガにもいろいろあることはわかっていますので、それはすなわちマンガ家としての格付けで上下って話でもないんですが、おれ内ではとにかく声を出してゲラゲラ笑ったマンガ家は貴重なのです。あまりいないからです。だからみつかった場合一生ついていこうと思いますし、ひいきにします。

・ということで、女子含有率100%スチャラカ剣劇学園ギャグアクションマンガの5巻で、無事におれ内の特別枠に入りました。

・当初は間があいたことだし、正直にいって、もはや把握してないキャラも多いので、読み進め辛く、「あーしんど」と思ってましたが、おれ内になれが生じて加速がついたころにはサイコーになってました。

・ということで、割合と物語的にはインターミッション的な巻ではありますね。学園祭に照準が合ってましたしね。いろいろなお遊びが多い巻でありましたし。

・長くなるんかしらね? 意外とゴール位置がみえない。
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「BAMBOO BLADE バンブーブレード」 3巻 土塚理弘&五十嵐あぐり(スクウエアエニックス)

・女子含有率80%のスチャラカ剣道学園ギャグアクションマンガが3巻目。

・3巻はひたすら主人公のタマちゃんが可愛かった印象。主人公の面目躍如といったオモムキかしら。戦ったり、バイトしたり、いろいろと青春してる感じ。

・ニセの学園生活っぽいですね。ドラマみたいに、その場その場だけ生徒として学園生活してるって感じで。部活やってバイトやってってってね。

・もともとが小さくてポーっとしてる女の子がとても剣道が強いってネタに肉付けしたような話で、その肉付けがとても魅力的ということです。

・こういう平面的な、記号な感じの「学園生活」ってのは、どことなく演劇的ではありますよね。で、キャラを立たせることだけに注力してる感じ。

・ともすれば薄っぺらく感じられるところが、明るく魅力的なキャラを適材適所でよく動かしてるためにそう感じにくくなっている。

・ただ、3巻冒頭の試合シーンなんかは、かなりなにが起こっているのかわからない現象を感じられ、「ああ、試合シーンは難しいのかしら?」と無用の気遣いをこっちがしなければならなかったりねえ。まあ、「すごいことが起こった」という認識をもつくらいでいいんだろうけどさ。
・そういうのとか、モノと人や背景のスケールが合ってないシーンとかでちょっとアレ?と思ったりするかね。「薄い?」って疑問が生じるというか。

・そいでもって女子剣道部員が出てないと画面が辛いね。3巻の最後の顧問教師が新たな火種を作る回とか、回転寿司を奢ってもらうの回なんかは、純粋に「かわいい」が不足しておもしろくなかったり。「カワイイ女の子」推進力が重要ということが逆によくわかるのですね。

・トータルでは好調といえます。
(13:57:48)amazon

「電NOWジャーニー」 マミヤ狂四郎(三才ブックス)

・そういやなぜかマミヤ氏の同人誌をもってるなあ。

・クーロン黒沢氏や、がっぷ獅子丸氏あたりの、流れで「ゲームラボ」な感じの方で、本作は、電脳なアジアなバックパッカーな裏サイバーなレッツラピーコピコなマンガです。

・ポイントは電脳でアジアをみてることですね。つまり、バックパッカーって、リュック背負ってビンボー旅行ってよくありますが、そのリュックにノートパソコンが入ってる旅行ってことです。で、アジア各国の電脳事情みたいなものが伺えるというのが新趣向でしょうかね。
・例によって海賊盤ダイスキな紹介もばっちり。DVD1枚にロッキーが全部入ってるやつとか。

・なんかとてつもなく懐かしくなりました。もともとがクーロン黒沢方面からインターネットの世界に興味をもちましてね。「GON」とか「BUBKA」なんかの裏モノブームっての? ああいうのに電脳だったり、「遊撃手」だったり「GURU」だったり「インターネットマニア」だったりね。

・そういった方々は現代もなおそういった感じでアジアのあちこちに生息されているのね。本編に出たゴキブリのように。

・インドにあるディズニーランドの正々堂々としたパチモン「MGM Dizzee World」に大笑いし。
・インターネットカフェの消し忘れMP3データをぶっこ抜いて。
・日本一まずいラーメン屋として有名な「彦龍」にいったマンガを「彦龍」マンガの一人者であるピョコタン氏とコラボしたり。
・カンボジアで時間貸しでPS2を遊ばせるゲームセンターがあり。
・バイクが盗まれてでてきた顛末。ヤフオクで振り込めサギにあった顛末。アキハバラでコピーソフトを買ったけど動作不良だったのでクレームをつけたり。アキハバラの絵売りをルポしたり。

・おなかいっぱいになりました。

・今はこうなのかと思いました。勉強になりました。ただ昔とちがい「おお、タイに行きたい!」「アキバでコピーDVD買いたい!」ってのはなくなりました。
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・[ケージバン]