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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/11月
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2006年/11月/28日
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「ゼロイン」 6巻 いのうえ空(角川書店)

・あー、6巻にしてやっとおれの思ってる「ゼロイン」になった感じが。
・近未来。女子高生にして、民営の警察である、「民警」のエージェントみくるさん16歳が恋に事件にまっしぐら!(オビから)な物語です。

・ということで、コメディ要素が大幅注入され、すちゃらか度が増したことで、なんつーか、本来収まる場所に収まったようなマンガに「成った」のです。

・とくにデフォルメ描写がとっても印象に残りますね。これまではなんだかムチムチの肉体の方ばかりだなってほうにばかり印象が残ってましたし。

・でもって、その重量感のある肉体同様、「なぜ?」と思うくらい重たい話もかなりシェイプアップされて、気軽に読みながらも随所で感動シーンやアクションを盛り込むなどしてあり、こっちのほうのバリエーションも富みました。

・敵役に運び屋姉妹なども登場したりね。そのわりにあまり警察とか事件とか関係ないところでのラブコメとかあったり、「どないやねん」と思うところも多いですが、それもそれで悪くないですね。

・主人公の女の子がホレてるヘタレ男を争奪するために卓球勝負とか、キスしたしないでモメたり、かなりラブコメです。

・あーと、結局のところなにが変わったのかというと、ミックスが変わったんですね。音楽用語です。通常、音楽は、それぞれの楽器をイッコずつ録音していって、音量や場所や音質などを調整して1つの楽曲に仕上げます。

・なんでもそうですがセオリーってもんがあり、たとえば、ドラムは後ろの真ん中から聞こえるように配置するとか、ボーカルの音は大きめにするとかあります。

・で、本作はとても変なミックスだったんですね。とってもベースの音がファットだった。それが6巻にして、「うわもの」をうまく配置して低音高音のバランスをとり普通になった。やってるのは実は萌え歌なのに、女性ボーカルの声がくぐもってたりね。

・で、いい意味でも悪い意味でも普通になった。相変わらず、いいところはいいままですが、それにたよりすぎなくなった。ま、おかげでちょっと弱くなった感じもありますが、全然許容範囲内。

・あと、みくるさんが「はちゃはちゃ」いわなくなりましたね。

・このサジ加減でいいんじゃないでしょうかね。おれは適正だと思います。
(17:47:21)

「ワイルダネス」 5巻 伊藤明弘(小学館)

・相変わらず「格」がちがいますね。絵が浮いてみえるくらい骨太のハードボイルドエンターテインメントです。そんじょそこいらのハリウッドの100本分以上です。

・そうなんだよね、絵が追いつかなくなってきているんだよな。全然マズイ絵じゃないんだけどさ。テイストが合う合わないの問題。

・アメリカを舞台にいろいろな理由でマフィアから逃げている3人の日本人を中心にした逃亡劇で追跡劇。そして銃弾多数発射。

・5巻ではメインの3人はイマイチ活躍しないけど、裏切り者と、その上司と、現地でのパートナーの珍道中。じりじりとかけひきしながらも緊迫した展開。

・アクションシーンの緩急ということに、かなりコダワリのある作者と見受けられますが、「緩」がバツグンですね。オビに「ジオブリーダーズ」や「ベル☆スタア強盗団」の著者とありますが、どう考えても本作のほうがアクションシーンでは優れてます。まあ、編集のほうは、こんなにも本格的なんじゃなくて、もっとガールが多いやつを欲していた気がしますけどね。

・あと、なにげにゴールがみえない。メキシコにたどり着いたらアガリか?
(18:13:49)

2006年/11月/27日
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「愛… しりそめし頃に…」 8巻 藤子不二雄A(小学館)

・不朽の名作「まんが道」青春編も8弾目です。

・8巻では「トキワ荘」の最重要メンバーであるところのテラさんが結婚するために出ていかれました。
・そこで気になったのが、このマンガの着地点です。「まんが道」サーガにおいて、手塚治虫氏と同等か、あるいはそれ以上の重要人物としてテラさんが描かれてます。たぶん、実際にそうだったんでしょう。
・もうすでにかなりグジュグジュな展開になっている本作においてテラさんという存在は少年期から上京したときのマンガへの情熱ということでの象徴みたいな、「まんが道」、この場合は、柔道や華道などと同じ意味での「まんが道」においてのコーチみたいな存在であったはずです。師匠が手塚治虫氏だとすると、チーム「トキワ荘」のキャプテンになるわけだし、「トキワ荘の青春」というものを成立させていたのがテラさんという存在だったと思うのです。じゃないと、マンガ好きがたまたま集まったアパート以上のものはなかったような気がしますし、そもそも「まんが道」がマンガとして成立していないと思います。

・文章における「まんが道」というのは読んだことがあるんですよね。それこそ、「トキワ荘」を出て赤塚氏といっしょに会社を立ち上げたりとかなり込み入ったところまで。あと、テラさんの末路ったらアレだけど行く末とか。だからこそ余計にそこまで踏み込んでいいのか?って考えたりもね。

・だから、あるいは、テラさんがいなくなったことで、本作は終るのかなと漠然と思っていました。幕引きとしてはキレイだし。でも、続いてますね。

・となると、次のポイントは、彼らがトキワ荘を出るまでか。あるいは、タイトルどおり、主人公の満賀道雄が「愛」を知るまでか。

・ま、ケバ好きで酒好きな満賀さんは、キャバレーのリリーさんにポワーンとなったりしてますけどね。かなりのイキオイでトキワ荘内でも率先してマンガ少年から卒業してますね。青春が性春になりそうな感じが。

・しかし、ずっと現役だからか絵にブレがまったく見受けられませんね。これはスゴイことですよね。アシスタントワークの比重も大きいですが、基本の線のしっかりしてること。すばらしいことです。生涯現役ですね。
(13:39:36)amazon

「そこはぼくらの問題ですから」 桂明日香(太田出版)

「マンガエロティクス[エフ]」に連載されているのにエロくないマンガです。そりゃあまあ「ラビパパ/安田弘之」ってのもあるからね。別にエロマンガ誌にエロじゃないのがあってもおかしくないんだけどさ、おれはエロと思って買ったので、あまりの非エロっぷりにかなり拍子抜け、いや、むしろ抜けなかったということが最大ガッカリポイントです。

・変態ばかり寄ってくるヤエコさんが美形ロリコンの変態さんと同居するラブコメ。

「爆走ハイテンション」とオビにありますが、その爆走ぶりやハイテンションぶりは、おれ感覚だと、「女の子向け」と感じました。

・朝ゴハンにモチをついたり、鼻血ドバーっと出したり(この表現、最近女子向けに多い気がする)ね。「おもしろい」と思うけど、同時に「女の子向け」だよなあと。
・いやそれが悪いということではないんですが、ツボがちがうので大爆笑に至らないと。テンションの高さやその間などはハイクオリティだと思います。単純に「好みの問題」かと。

・ヤエコさんを筆頭に激しくボケたりツッコミいれたりして、駆け抜ける全1巻ではありました。ツボにハマる人は大爆笑できそう。

・しかし、これが連載されてるということは「マンガエロティクス[エフ]」は完全に女の子向けになったんだなあと。
(14:57:20)amazon

「まほおつかいミミッチ」 3巻 松田洋子(小学館)

・最終巻。すごい魔法使いだけどみみっちいミミッチが内職と保育園ライフを満喫する話だよう。

・ラストページの「ほのぼの」終了がなぜかとても心地いいのが、これまでの松田作品との大いなる差異かもしれないなあ。みみっちくて現実的なミミッチが最後のところ、元ヤンのママに甘える感じが、恥ずかしくもとてもいい感じだったりします。

・そういや、ミミッチのかわいさってのは、リアル幼女の、乳くさいヨダレで口元とよだれかけベトベトのそれを連想しますね。ホッペまわりのぷくぷく具合もそうか。

・3巻では会いたかったパパと会えたときのミミッチがとてもいい感じ。自分がイイコだってアピールして、段々と興奮して息が切れてきたかと思ったら号泣。ここいらの流れは実際に子供がいないと描けないところだよなあと思ったけど、松田氏に子供がいなかったらおれは大マヌケ。

・それは併録されてる「お母さんといっそ」でちがいがよくわかりますね。

・次は、主婦層が読むようなファミリー4コマとか「本当にあった〜」からみの「かわいい」方担当でガシっとブレイクしてもらいたけど、作者は大好きなムーンライダーズ同様、ひねくれてちがう方向にいってヒットとは無縁になるんだろうかなあ。(参照:[ほぼ日刊イトイ新聞 - がんばれ、ゆうがたフレンド。]→下のほう)

・あと、この本の装丁はとてもすばらしい。ここしばらくの「おもしろ装丁」ではずっとNo.1だと思う。とくにカバーめくったあとのチラシ(つまり、この本のカバーはチラシの裏に描かれているということになってる)が3巻のは最高。
(18:06:28)amazon

2006年/11月/24日
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「ディアスポリス 異邦警察」 2巻 リチャード・ウー&すぎむらしんいち(講談社)

・2巻。日本を舞台とした21世紀の無国籍映画ってオモムキですか。ただし、小林旭はいませんし宍戸錠もいませんが。
・不法入国ということで理不尽な目に遭ってる方々のための都庁と警察。もちろん「裏」がつきます。その裏警察の久保塚が活躍するアクションです。

・2巻ではいきなり中国の殺し屋と中近東の女アサシンが新宿の雑居ビルの屋上でチャンバラをしてます。もうクラクラする状況。

・そいで、ガイジンアレルギーな「影」の警察との戦いがはじまりますよ。

・と、状況とかはかなりフックが効いてますが、内容はかなり真っ当なアクションマンガでして、ゆったりとみていられるのがいいですね。1巻よりもさらにゴラク度が上がった気がします。
・それでいながら、日本で居ながらアジアンな空気は依然濃厚なままかもし出されており、そこいら原作よりも、すぎむらしんいち氏のディティール描写の細かさと確かさがサエますね。

・今後も安定して期待していられる有望株ね。
(17:52:32)amazon

「答えは3つ」1巻 とんだばやし(小学館)

・ふり1ページにボケ3パターンが続く4pギャグ。「IKKI」連載。

・たとえば、満員で混雑してるハンバーガ屋だけど、彼女の立ってるレジのところだけ客が1人も並んでいない。そのワケは?
・97歳で大往生したおじいちゃん。遺族がお棺をのぞきこんでビックリ。彼の最後のイタズラとは?

・ボケに関西若手芸人のニオイがしますね。というか、大喜利ですやん。笑い飯の方々によると結局のところ若手芸人の飲むと最後は大喜利になっていくそうです。

・ツボにはまりそうではまらないボクだったので、残念ながら笑いはしなかったのですが、バリエーションに命をかけてることはよくわかりました。豪快に滑ってたり、超大型のクエスチョンマークが頭上に浮かぶボケもありましたが、ギャグマンガとして楽しかったですね。

・個人的にはサッカー日本代表の結果を録画したビデオで知りたいのに知ってしまった3つのワケと、いつも仏頂面の彼女が満面の笑顔になるネタの3つ目の大オチがよろしかったか。

・たぶん、ポリシーとして「なんでもあり」でなるべくボケのバリエーションを豊富にしてるとお見受けしましたが、パロディと下ネタはかなり向いてないと思うのでやめたほうが吉かと。
(18:14:38)amazon

「トランスルーセント 彼女は半透明」5巻 岡本一広(メディアファクトリー)

・最終巻。
・半透明になる病気の少女と、少年の交流を描く、学園ストーリー。

・最終巻は正直これまでに比べるとしょーもなかった。なんだろう、とってつけたような最終回を挿入して終ったような。ネタ切れで失速したのか、打ち切りでやる気がなくなったのか。あるいは、当初の予定通りだったのか。もう一波乱ニ波乱あってもいいような気がしたのにえらい静かに終った。

・でもって、すべてを大河内さまがかっさらっていった感があるし、本作の実質的クライマックスは27幕の「大河内さんの告白」といっていいんじゃないか。美人で生徒会長で取り巻きが大勢いるんだけど、主人公の彼氏を横恋慕という、典型的な悲恋ツンデレ。彼女の雨上がり決死隊・宮迫バリのドロップキックは最高。

・トータルではとってもいいマンガと思います。未読の方は気軽にお試しください。
(18:41:41)amazon

「鋼の錬金術師」15巻 荒川弘(スクウエアエニックス)

・1巻まるまる回想の巻。本作は主人公がけっこうないがしろになるんだけど、本作は最高潮なくらいないがしろだったか。

・物語の発端にあたるイシュヴァールでの内戦について。ま、「戦争の悲劇フォー!」(by HG)ですね。古すぎ。

・もう本筋からは勇退した(死んだ)面々とかも活躍しておりますし、彼らの過去もよくわかります。読者としては、このあとあいつはどうなるこうなるってのがわかりながら読むという楽しみがありますし、実は、それができるってのは最高に難易度が高い技術だと思うんですよね。それをかなりスマートにやっておられる。もっとも制作側は血反吐モノでしょうが。

「わ、ヒューズだ!なつかしー!」みたいなノリで読んでいける。ヒューズが死んだのが4巻だったことを考えるとこれは驚異的なことですよ。なにが驚異っておれみたいに話忘れる男がそれを覚えてるってことですよ。

・カバーを取ってある背表紙では毎巻死んだ人が天に召されていきますが最多ですね。
・ああそういえば、そのネタを知った「BSマンガ夜話」にて、いしかわじゅん氏が「死が軽い」とおっしゃってましたが、今回はどうだったんでしょうね? 15巻のようなマンガを書くことができるマンガ家ってそう多くないと思われますよ。もちろん、いしかわじゅん氏にはできないでしょう(だから劣るということではないのですよ。念のため)

・そろそろクライマックスにいくか。
(19:04:44)amazon

「ラブやん」7巻 田丸浩史(講談社)

・なんつーか、男度がうなぎ上りのマンガではありますね。キャラ設定上では女性のはずの面々がどんどん男らしくなっていかれるんだな。
「体育会系ダメオタク」とでもいいましょうかね。全員オタクのフィールドに留まりつつも性格や思考や指向がマッチョメンな感じ。そのギャップに笑うという図式です。そしてその笑いに女性もどんどん侵食されていきまして、なんだか、「魁!」なマンガになっていってます。男塾でもクロマティ高校でもアリ。つーか、田丸作風はみんなそうなのかもしれないな。

・いやま、おれは属性がないので逆によくみえるような気がするのですが、オタクの方々が好むマンガには往々にして、マッチョ系とか、ツッパリ系ってありますよね。これはオタクであるけど男でもあるってことの表れなのか、オタクのたしなみなのか、故ナンシー関氏の名言であられる「世の中はヤンキーとファンシーで構成されている」なのか。ま、議論は尽きない感じですので多くは追求しませんが、本作もそういう方向にバリバリ突き進んでますね。

・とりあえず、「オナホールの精」の回は大名作ですね。(その回の)表紙にあたる1ページ目に洗面器で使用済みオナホールを洗浄してるマンガの主人公ってのも画期的だよなあ。おれも「プロホーラー」(プロのオナホール使い)を目指そう!と思いました。そうか、オリーブオイルか。
(19:31:03)amazon

2006年/11月/17日
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「つぶらら」 1巻 山名沢湖(双葉社)

・すごくいい。うろたえるくらいおもしろかった。
・いや、山名沢湖氏は好きな作家であるし、たぶん、商業単行本はすべて買ってもってます。最初の「いちご実験室」以外は発売日ノータイム買いです。

・でも、本作はその自分内の評価を大きく上回るくらいよかった。

・高校に入学しました主人公(女)。クール&ビューティーでミステリアスな雰囲気かつ近寄り難いオーラがでてるように感じられてます。あー、「あずまんが大王」だと榊さん。吾妻ひでお作品だと「ミニティ夜夢」(シラネエよ)。
・授業終るなり帰り、早弁したり、授業をサボったりと、不良だったり不可解だったりする行動をよくしてます。そういった意味でクラスメイトから興味津々の彼女。でも、実のところ、彼女はキャラメル☆エンジェルというアイドルガールズユニットの熱狂的なファンで、彼女らの夕方のオビ番組がみたいからソッコーで放課後家に帰っているのでした。

・ということで、アイドルオタクを隠しながらも、学校生活とアイドル追っかけ(テレビとかで)の2つに振り回される学園コメディというマンガです。

・この主人公がとてもいい。かわいい。ややもすれば古臭いと思えるくらい昔の素朴な(ココロを持った)女子高生。まあ、ガールズユニットが夕方にオビで出演してる番組ったらねえ。「夕ニャン」がありましたから。それを楽しみにそそくさと帰る彼女がとてもいい。
・で、熱中しすぎて、ヘンな方向に転がっていくんですね。家のテレビとビデオをみすぎて壊したり、男子生徒が学校に持ってきてたDVDをこっそり借りて、授業をサボって視聴覚室でみたり、早く家に帰りたいあまりに運動会のほとんどの種目に出ることになったりね。

・あ、主人公の名前は「つぶら」です。だから、タイトルが「つぶらら」ですね。あらためて知ったり。

・もうひとつ軽いテーマとして「田舎の不利」というのがあります。これがまた思い当たるんだ。たとえばキー局にないラジオをきくために四苦八苦したり、壊したテレビ代を弁償するためにバイトしたりするのになかなか決らなかったりね。

・これらを真綿にくるんであるのがまたいいんですね。山名沢湖氏の芸風というか作風ではあるんですけどね、この真綿にくるんだ「女の子ファンタジー」な感じは。フワフワのモコモコ。まあ、そういう感じは1番薄いのが本作なのかもしれませんがね。

・自分で買ったテレビでみる「キャラ☆エン」たちに「そこの居心地はどうですか?」とココロの中で話しかけるなんてネームは山名沢湖氏以外にありえないでしょう。

・すごくいい。とてもおもしろい。とくに1巻最後の体育祭応援団編がとりわけすばらしい。やや感動してる自分。とても「青春まっさかり」。だいたい毎回あるみひらきがまたすばらしいんだよなあ。

オススメ
(17:59:14)amazon

「岳」 2巻 石塚真一(小学館)

・山岳での遭難救助をボランティアで行っている島崎三歩の活躍を描く1話完結山岳マンガ2巻。
・2巻はとりわけ重かったし、それを読むことで思い知るんですよね。救助の人たちは助けるためでもあるけど、死体を回収するためでもあるんだと。そして、そこでもドラマが数多く起こるということで、今回は「死」がそこにあるって話がとても多かったです。

・でも、三歩はいうわけです。死体にも生きてる人にも「また山においでよ」と。

・感動で涙って感じとはちがいますが、深くて暗いところになにかがゆっくりと通り過ぎる。

「山に登る」ってなんだろうね? と根源的な疑問をもったりするくらい考えさせられますね。

・しかし、お笑い用語じゃなくて文字通りの「寒い」マンガであることです。しかも、外じゃなくて中から冷える感じ。

・1巻から画力が向上してる気がします。したがって迫力も増量。
(18:33:07)amazon

「ういういdays」 4巻 犬上すくね(竹書房)

・4巻か。「カイジ」なみに時間が進んでないね。
・プラトニックラブを極めるような恋愛ショートですが、このじわあっとした時間の進みはなんじゃ。
・よく、男女のカンケイをABCなどと表わします。伊集院光氏が昔やっていたラジオのコーナーでの基準「小文字のabc」でゆっくりと段階を踏んでいく男女のアレですよ。
・今回は、女子から男子にふれるというものです。顔の汚れをぬぐったのですよ。

・これがおもしろいのは男女でabc(小文字ね)の区切りってちがうんじゃないかな?と思ったことです。そして、犬上先生は「女子はこうだから」というのをお教えいただける貴重なお方だったりするのだなと。

・それはプラトニックに限らず「恋愛ディストーション」などの肉体関係アリアリになってからでもわかりますね。男女の細かい進展は犬上先生に教わろうと。逆はあまりやらない方ではありますよね。ラブラブ度が退行していくサマというかね。

・先生にホレてる科学部の男がいじらしいなあと。あいかわらずカワイイ男子を描くのがトクイ。なにげに女子より男子のほうがかわいいんだよね。
(19:42:43)amazon

2006年/11月/13日
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「花咲け!おとめ塾」 上下巻 陸乃家鴨(少年画報社)

・上下巻でそれぞれに短編1本づつ併録というスタイル。
・大正時代の女学校が舞台のエロマンガです。ああそうだよそうだ。エロマンガなんだよチミィ。

・文武両道であり、なおかつ、「たしなみ」として性の実技を教えると。で、赴任してきたドイツ語の男性教師が、性の授業の「備品」としてイロイロエロエロな目に遭うという。

・大正時代あたりって、「御石神落とし / 増田 剛、永久保 貴一」という作品の明治の農村編とそう離れてないあたり、今よりも女性が性に対して開放的だったりもするんじゃないか?と思ったりね。それでいて良家の御嬢様の学校でそういうことを教えるのは理に適っているのかしら?と絶妙な設定にナットクしかかります。まるで、本当に金をくれる淫乱セレブがこの世に存在してそのお誘いのメールが届くかも?と思うくらい。

・とはいえ、大正時代に設定した最大の理由は、ハカマも描けるし、セーラーも描けるからってのもあるようです。と、服装にこってるようで、いろいろな服を着た女子が登場します。んで、どちらかというと生徒よりも先生のほうがバリエーション多いのかしら。

・あっちのほうもバリエーションが多くて、アブなところは外だったり大勢(男1vs女大勢)なくらいでノーマルなほうながらソツなくいろいろな場面を作ってエロいですね。途中、性知識もちょっと割り込ませたりの工夫もあります。

・あと、話も展開していきます。1人の男勝りの令嬢と恋に落ちる。でも、まだ身分の差というものが存在していた時代ということでの、メロドラマはあります。

・個人的には、主人公が心因性のインポな状態になったとき、キモノ+割烹着+マスクの保険医との医療チックなプレイのシーンが新鮮でしたかね。襷姿萌え。

・短編も含めよくできてました。
(17:42:21)amazonamazon

「○本の住人」 1巻 Kashmir(芳文社)

・芳文社のKRコミックはカンボジアよりも地雷が多く埋まっていると古文書には記されているのですが、ときおり本作のようなのがあるので火中の栗を拾う。あるいは、虎穴に虎子という覚悟も必要です。すると本書のような作品にも出会えるワケです。というよりも「チョコレート/しおやてるこ」以来かもしれんな。

[yama-gat site]で知りまして、そのまま、[ネコにテルミン]の人なんだと知りました。だから買いました。

「知らなかったの?」
「ええ。知りませんでした」

・現在もくわしいというわけでもないんです。以前メッセで教えていただいてチラチラと眺めていたくらいです。かわいらしい絵を描く才能のあるネット有名人の1人だなとは思ってました。

・絵本作家のお兄ちゃんと2人で暮らしている妹の小学生ライフ4コマ。

・ほのぼのベースでいながら、よくある毎回最後はホロリとかいかないで突っ走るのがすばらしい。
・ネット的なオタクネタにかなり傾倒していきます。「これってオタクネタ」と、非オタクが判断する5倍くらいの濃さ。それでも控え目。濃いけど控え目って、あえて抑えてるのがアリアリとわかる。そのためにあちこちから滲んでいるのです。このオーラがメジャー化を妨げるんじゃないかと心配になるほど。

・この手のほのぼの4コマはキーパーソンが全体のカラーを決めるといっても過言。いや、過言ですが、たとえば、「あずまんが大王」におけるトモなどのように「かきまぜ」役がポイントになる場合が多いです。

・本作では、当初兄がその役を担っているけど、次第にそれは「ちーちゃん」が背負うようになりますね。美少女でハーフでツインテールで性格破綻で日本語苦手というかなりの合成獣です。彼女が作品全体をおかしな方に持っていきます。

・ナリとかは全然ちがいますが、とり・みき氏の出世作で代表作である「るんるんカンパニー」をはじめとして多数登場されている秋田冒険王先生をなぜか連想しましたね。奇をてらってワケのわからんことをやるサジ加減が似てるのかな。

「前立腺肥大は切らずに治せる!」

・これが1番意表をつかれましたね。

・そしてそんなハンチクな知ったかぶりは全部ぶっとばすかわいさが本作には濃密にあります。ただ、このかわいさも濃いけど控え目かもしれないんかなあと思ったり。

・おれは気にいりました。たぶん、ここを読むようなキミも気にいるでしょう。
(18:46:51)amazon

「賭博墜天録」 8巻 福本伸行(講談社)

・すげえことになってきたな。変則麻雀対決をやってるおもしろギャンブルマンガなんですが、5枚牌を捨てるだけで単行本1冊です。こんなことはあるのか? しかも2人の麻雀ですからね。

・それでいてとりあえずコミックで読む分にはサラリと読むことができ、なおかつ、「あーおもしろかった」くらいの感想がでるレベルにあるのはすごいですね。もっともおれ感覚だと雑誌は完全にNGでしょうが。イライラで死ぬと思います。

・いちおう、今までのシリーズは13巻づつになってます。今度がどうなるかわかりませんが残りは5巻になってしまいました。なおかつ、これまでのシリーズは2〜3のちがったおもしろギャンブルがあったのですが、今回、変則二人麻雀だけでここまでです。かなりのドロドロした時間の流れであることはまちがいありません。かなり見限ってる方も増えてそうな気がします。

・おれはまだ大丈夫です。かなりギリギリではありますが大丈夫です。

・えー、「アカギ」の透明牌は商品化したけど、8巻で登場したあのルーレットは作るの?
(19:37:15)amazon

「赤灯えれじい」 8巻 きらたかし(講談社)

・大阪のヤンキー金髪女とヘタレ男のうれしハズカシ同棲ストーリーも8巻。
・ただ、2人でベタベタしてるだけで楽しく思えるのはどういうことなんだろうね。8巻も給料が出たからって焼肉食べて、ラブホに入って、2人で泡風呂をキャッキャいって入ったけど、のぼせてしまい、行為に及ぶことができなくて、そのまま寝てしまう。だけど、そういう2人がとてもいい感じだし、うらやましいと思う。

・ま、こっちも「カイジ」同様、けっこう遅々とした展開ですが、そのドロドロの時間が心地よくもありますね。
「時間稼ぎ」というより「じっくり描いている」というホメコトバも成立しそうですしね。

・とはいえ、8巻ではついにプロポーズですよ。とりあえず、それぞれにチラチラしてる異性のカゲはきちんと払拭して、彼らにはうまい着地点をみつけてあげてほしいなと思います。
・たぶん、他の読者もおれといっしょで大波乱や、どんでん返しをこのマンガには望んではいないんじゃないかと思うのだけど。

・もう全然「赤灯」じゃねえし「えれじい」でもないんだしさ。とりあえずのゴールを用意してあげてほしいなと。8巻のセリフにもあった「結婚後のほうが大変」なワケだしさ。
(19:53:34)amazon

2006年/11月/11日
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「おジャ魔神山田くん!!」 1巻 ダイナミック太郎(講談社)

・おお、ふざけたタイトルと作者名だけで、ノリで取り寄せてもらったけど、アタリだったよおい。

「コミックボンボン」連載。なにをやってもついてない楽喜くんが拾ったランプから現れた魔神が織り成すドタバタギャグマンガ。

・このマンガのノリはおれが夢中になって読んでいたギャグマンガと同じテイストを感じられるよ。ギャグはイマドキのものが多いですが、ギャグをつめこむだけつめこんで展開する方法やどうしようもない下ネタのまま成立させているサマ。オチてそうでオチてないカオスのまま投げ、次の回ではなにごともなかったり。ギャグに丁寧で律儀なツッコミなど、これぞ正しい少年向けのギャグマンガじゃないですか。良識ある大人がマユをひそめ「くだらないもん読むな」とムゲにするようなギャグマンガですよ。おれはこういうのを読んで育ってきたんだと懐かしいという感情が生じるくらいです。ま、まちがいですが。たぶん、おれが読んでいたときのものよりクオリティは高いと思います。
・あと、パロディネタを控えてるのも好きですね。やりたくなる気持ちは理解できますが、いろいろな点で節制したほうが身のためだとも思うのですね。それをやるたびにファン層を狭くするだけだしね。そもそもパロディはサンデー系のほうがトクイってイメージありますしね。

・いい。燃え尽きるタイプのギャグですが、がんばって燃え尽きてほしいものです。こういう一瞬のきらめきこそがギャグマンガの最大の魅力です。重力に負ける前の巨乳グラビアアイドルのように。彼女らは美しい。そして同様にこのマンガも美しい。アンドおかしい。何度かツボにアタリました。

・最後に「ウンコは天才!」

オススメ
(17:35:59)amazon

「デトロイト・メタル・シティ」 2巻 若杉公徳(白泉社)

・思った以上に売れ、2巻目からブレイクだろうと大量に入荷するのパターン。本作それの久しぶりのやつですね。あと、その大量の入荷に応えるデキ。

・オシャレ音楽がやりたいのにデスメタルをやらされるハメになり、なおかつ数々の伝説を作り上げることでのし上がっていくDMC。2巻では戦争だ!とばかり、数々のインディーズバンドが対決していくのですよ。

・ガールズパンクバンドとか、ヒップホップと対決したりね。1巻から受けて正しい展開の仕方だと思います。丁寧に盛り上げてましたし。

・2巻で興味深いのは、イヤでイヤでたまらないDMCのクラウザーという役に飲み込まれている主人公ですね。こういった風に設定を書き換えていくギャグマンガってのはおもしろい。興味深い。
・ただ、それが進みすぎると、素とキャラが同化してなにもおもしろいことがなくなると思われるので、今後のサジ加減が難しいんだろうなあ。
・カンチガイで伝説ができていくってパターンもそろそろマンネリ化するし。

・それでも2巻は最高でした。ピークなのか、先があるのか。3巻が待ち遠しいです。
(17:54:08)amazon

「時間救助隊TIMER(タイマー)3」 能田達規(講談社)

・その昔「週刊少年チャンピオン」に「おまかせ!ピース電器店」というそれはそれはおもしろいギャグマンガが連載されていたのです。その作者は、サッカーマンガとそういうマンガを順番に連載していたのです。だから、「おまピー」の次にやったサッカーマンガが終わったとき、またそういうマンガを連載すると楽しみにしていたら、サッカーマンガのあとにまたサッカーマンガでおれはずいぶんガッカリしたことを覚えてますよ。「秋田書店の編集みんな死ね!」とたむけんバリに思いましたよ。

・と、思ったらそういうのを「シリウス」で連載はじめたのですよ。いや、「シリウス」ってのはスゴイね。講談社はメインストリームじゃないマンガ雑誌からお宝がゴロゴロしてるね。アッパーズやミスターマガジン、あとボンボンもそうだしね。スコラもそうか。

・で、本作。時間を3分だけ時間を止めることができ、その時間内に助けられる人は助けようという救助隊の話です。

・ここいらのワンダーと現実の混ぜ具合が絶妙。地続きだし、血の通ったSFです。

・3分巻き戻しても、その場に到着できない事件はもう「どうしようもない」と割り切ってんですよ。そこいら、目の届くところで正義の味方という藤子不二雄氏の「パーマン」チックではありますね。ま、実際問題すべてのヒーローものは目の届く範囲内の正義を守ってるに過ぎないんですけどね。

・で、その「シバリ」の中での最大限に広げられたスペクタルがたまらない。それは「おまピー」からの伝統芸ですし、おれは読んでないけどサッカーマンガにも活かされていると思われますよ。

・間に合わないから「空を飛んで」駆けつけるとか、飛行機を「ちゃんと着地」させるとか、「おまピー」よりリアリティ重視なだけにかなりハデに展開してます。

・なおかつ、後半、テロリストをなにより憎む、日本の防衛軍にテロと間違われてさらにヒートアップするという燃える展開になりますよ。

・ほんと、1巻で終わりなのがもったいない!

・ということで、続編があったり、またこういうマンガを描いていただけるよう願いをこめたいなと思います。とてもおもしろかった。

オススメ
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「暴れん坊本屋さん」 3巻 久世番子(新書館)

・最終巻。ほとんど「スラムダンク」ばりに人気絶頂のまま終っていきましたね。
・もっとも連載している雑誌「季刊ウンポコ」では発展形のエッセイコミックを引き続き連載されてるようですがね。

・本屋さんに勤めている筆者の2足のワラジエッセイコミック。本ネタ満載。

・本屋さんに人材が集まらない話からはじまり、テレビで紹介された本をあわてて発注したらブームが去って在庫の山だったり、某分冊百科(毎月オマケ付きでそろえるとラジコンが完成したりするアレ)ネタとか、本のプレゼントネタとかやりますが、やはり本作品の白眉は「細かい」ネタですね。

・たとえば、本についてるスリップのネタ。オビのネタ。こういう細かい部品のようなもので1本作り上げるあたりが本当にすばらしい。どちらも普通に本を買って読むモノにはナジミのあるものでありながら「へえ」と感心するようなコトガラが満載。

・ということで、3巻分まるまるおもしろいままで駆け抜けましたね。ときおりある自分ネタに偏りすぎた普通のエッセイコミックの回ははどうよ?って気がしましたけどね。
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2006年/11月/6日
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「ふたばの教室」 1巻 八神健(白泉社)

・23歳なれど、とってもチビッコが教師として平成生まれの小学5年生の生徒たちの担任になる。ああ、こうやって設定をあらためて書くとまた冷静になるもんだね。

リアル「ぱにぽに」?

・ま、内容は全然ちがうんですけどね。180度方向がちがう。

・作者に関しては名前は存じております。「ななか6/17」という作品も名前は存じております。ただ中身は存じてなかったのです。

・とってもおもしろいですね! ビックリするくらいおもしろかったです。もっとコメディやギャグ寄りかと思ったら、いい意味でしっかりしたテレビドラマのよう。
・かわいい絵柄の少年誌っぽいキャラ描画と精緻な背景画にドッシリと丁寧なドラマが乗っており、なんだか戸惑うくらいに、「ちゃんと」してました。極端にたとえるなら、教育ドラマの人形劇かと思ったら「どうなってるの?」の離婚特集の再現ドラマをはじめられたような感じ。

・小さくて威厳が無いので当初ナメられるワケですよ。だれもいうことをきいてくれない。それを3話がかりで解決するんですよ。それにもう軽く感動ですからね。そして感動してる自分に「え? マジで」とばかり驚くのです。これはむしろ作者の情報を前もって知らなかったがゆえの感動ですね。

・4話以降は、こうやって生徒1人1人の悩み解決編になるんだろうか。それもいわゆる昔のテレビドラマのようでいいですね。昨今の学園ドラマってよくわからないんですが、「金八先生」シリーズのように派手な展開ではないようでそれがまた好感。

・内気でおとなしい子がドッジボールでケガをするんですよね。そこからPTAに火がついて大騒ぎの巻。

・ふたば先生をはじめとしキャラがとてもかわいい。もちろん描画もそうだけど中身でもいい「演技」をする。萌えとかそういうんじゃない方向でカワイイ。学校にランドセルを背負ってくる先生ってのはなにげにビジュアルインパクトがスゴイね。

・おもしろかったです。小3のガキもおれの持ってるマンガじゃ1番おもしろかったと。

・ま、ぶっちゃけトークでいうと、いい意味でも悪い意味でも「テレビドラマ」のレベルなんですね。あるいは2巻以降それを覆すのかどうかは気になるところです。
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「えの素トリビュート」 榎本俊二とゆかいな人びと(講談社)

・かつて「モーニング」に連載されていた「えの素」という作品のトリビュートです。
・全9巻のこの作品はギャグマンガ全体を変える可能性が高かったけど、作者の体調不調などの不幸のせいで、一時まごうことなき全ギャグマンガのトップに立っていながらも現在妙に「知るひとぞ知る」状態になってるのが悔やまれるところです。

・しかし、もうこの時点で余談ですが、全9巻って同じような不遇のギャグマンガ「マカロニほうれん荘/鴨川つばめ」といっしょですね。こっちは「えの素」よりも知ってる方が多いですか。

・トリビューターが基本2pのトリビュートと、ベスト1作品をセレクトして掲載というカタチ。

・メンバーはオビに書いてあるのでネタバレもなにもないのですが、相当数の方がいらっしゃいます。生協の白石さんから萩尾望都(あ、おれ、もしかして生まれてはじめて「萩尾望都」ってタイプしたかも)までとするか、横山プロダクションからメビウスまでとするか。ともかくとてつもないメンツです。
・ただ、ひとくくりにしてみるとすればキーワード「ヴィレッジヴァンガード」って感じですかね。オシャレ本屋「ヴィレッジヴァンガード」にヒラ積みされてるような作者が描いてる感が強い。

・女性が多いのが特徴でしょうか。でも、以前、投稿レビューサイトでレビューを書いたときも女性の反応が多かった気がするので女性ウケするナニカがあるのではと思われます。

・特筆すべきは、軽く10年経ってる現在、少なくとも絵柄に限っていえば、まったく古びてないことですね。ビックリするくらい通用してる気がします。そしてスピード感もまったく現在です。これが約10年前に描かれたとはとても思えません。

・そして、率直に描きますとトリビュート部分はたいしたことねえです。本編を持ってない人が買うための「とっかかり」、ファンアイテム、好きな作家がトリビュートしてる等の理由ならばOKですし、「やっぱおもしろいな」と再確認する意味もOKですが、もし「えの素」本編をお持ちでない方がいらっしゃるようならぜひ9巻をそろえていただくほうが吉。税別940円は、ブックオフの105円コーナーで9冊(あるかどうかは知らない)そろえられることに使ったほうがよろしいんじゃないかと。もちろん、おもしろかったら、通常の書店であらためて本書と、全9巻をセットで購入されることをオススメします。そのときに全9巻読んだのにあらためて「おもしれえな」と思えることでしょう。

・ちなみにおれの「えの素」ベストはメビウス氏といっしょでした。あるいは、ここにないのなら、郷介の看病にいく葛原さんの回かな。「個人的にはいやですが社会的にはOKです」だっけ。

・あと、トリビュートにサイレントネタをあげてる方がいないのは「やはりな」とも思いました。それはそれでおもしろいけどやはり落ちるよなと。

・トリビュートで1番は芦奈野ひとし氏。あと鶴田謙二氏も4pも描いてるのは評価したい。
・えの素キャラで1番は田村亮子氏かな。彼女は今ごろどうしてるんだろうか。

・と、おれも家にあるはずの全9巻を読み直したい気分でいっぱいです。
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「バンパイヤ 昭和不老不死伝説」 5巻 徳弘正也(集英社)

・昭和編完結しました。「苦戦」したそうです。
・と、書きたいことの多くはカバー見返しの作者のあいさつのところで書かれてるのでやりにくいのですが、篤彦というとても複雑な人間を描くための5巻だったようです。

・不老不死(でもない)のバンパイヤがいます。名前はマリア。彼女の能力を求めて古今東西いろいろな人たちが動きます。奪おうとしたり、崇め奉ったり。その都度、彼女は守護者をそばに置きます。彼女を守る超能力を持った人間。

・昇平という少年は念動力で彼女を守ります。一方、篤彦は教団を作り、日本を変えることで彼女を守ろうとしてます。5巻ではそのバランスが一気に崩れました。そしてドンドンバリバリのお祭りになります。その果てに昭和編が終るということです。

・昇平の一途なマリアへの思いと、篤彦の複雑すぎる思いのコントラストがミソだったんでしょうが、5巻で「壊れて」からの篤彦はややわかりやすすぎた気がしないでもないです。それでもすごいんですけどね。あとその葛藤とか心情をくわしく描写してたら5巻じゃカタがつかなかっただろうし。

・6巻からは近未来編です。またグダグダがはじまるのだろうか。ちょっと心配。
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「便利屋みみちゃん」 1巻 吾妻ひでお(ぶんか社)

・ギャグ引退宣言しても描き続けられていた作品の1巻です。まだ連載は進行してるそうです。すばらしいことです。

・そして、ヒットした「失踪日記」を受けての、オビにある「失踪日記の番外編 放浪日記」って文字がなによりも大きいのがさびしいところですね。
・往年のシンガーがニューアルバムを発売するけど、ボーナストラックに過去最大のヒット曲の最新録音バージョンが収録されてるようなオモムキですね。あと、「あづま童話」も同時収録です。

・便利屋のみみちゃんがいろいろな依頼をエッチでかわいく解決するという展開です。「みこすり半劇場」が求められているものを忠実に再現しております。

・ま、中身のほうはリハビリの経過日記をみてるようなオモムキです。とはいえ、テンポや間に往年の面影がよぎったり、あきらかに新しいなにかが注入されてるのをみると「おっ!」と反応してしまう旧ファンの悲しいサガよ。なんだか、生殺しのまま進行していく感じ。
・それでも、時事ネタ注入の「みみちゃん」や、シュールネタがうれしい「あづま童話」。それぞれもうちょっとキャラがひねくれてればさらにいいんだけどね。

・あと、絵のキレも増していってるのがうれしい。25話の願いごとをきく魚のギャグでのみみちゃんのリアクション顔はもうおれが知ってる吾妻ひでおキャラといっしょだと。

・そういうことで感動するなよとセルフツッコミもあるんですが。

・で、かなり残念ですが、「放浪日記」がやはり1番おもしろかったり。いや、1番はあとがき2pかな。吾妻ひでお氏のあとがきマンガはどれもこれもおもしろいわ。これがおもしろいところに「次はモアベター?」と期待してしまうんですね。久しぶりに「こらこら」があったしね。自分のキャラをどうにかする元気が出てきてるんですね。

・仕事すればするほどキレが増してらっしゃるので周りの方はうまくおだてて、失踪されない程度にガシガシ仕事をさせましょう。
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「ゴーゴー こちら私立華咲探偵事務所」 1巻 渡辺航(新潮社)

・勝手から気がついたのですが「コミックバンチ」連載なのですね。
・かねてから気になっていた作者です。「制服ぬいだら」と「電車男」と、両方でコミックを買うかどうか迷った末に買わなかったという記憶が残ってます。記憶が残るほど買うかどうか迷ったということです。

・で、本作。ムチャクチャやる女性が所長の探偵事務所の話。新入社員の男がそれに振り回されてドタバタする感じのギャグです。

・あまり探偵らしくないような気がします。もちろん謎解きなんかはないです。

・これがとても不穏な感想を書かせていただきますと、「ほどよくつまらない」。

・そう、ベタながら丁寧にドタバタさせ、一定のクオリティを保ちつつ、どこかに極端にぶれるわけでもなく、平均的な、お約束ギャグを繰り出しつつ、うまく流れていく。
「こんなの最低。こんなのが掲載されている雑誌は絶対に読まない」と思われるはずもない、雑誌にあってジャマにならないヌルさ。

・そして、その中から微妙に光るキャラやギャグ。「つまらない」と思いつつも雑誌で読んでいるうちにファンになってしまうというパターンですね。

・女の子がかわいいし、萌える感じからエッチ方面にいくのかと思いきや、そういうネタを封印ぎみなのがまたおもしろい。ま、これは今後どうなるかわからんけど。2巻の予告は巨乳ネタがあるような感じになってたし。

・キャラが多すぎな気がせんでもないです。あと、微妙なキャラに過去ありのネタ。ここいらが個人的にはややウザ。
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・[ケージバン]