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ポトチャリポラパ/コミック/2006年
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2006年/12月
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2006年/12月/2日
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「夜桜四重奏〜ヨザクラカルテット〜」 1巻 ヤスダスズヒト(講談社)

・いやまあ世代論なんてのはウゼエって世代なんですが、明らかにおれの次の世代の方用だなと思いました。
・似た感触は「ソウルイーター」や「ワールドエンブリオ」からも感じますね。たぶん、逆におれの立ち位置から、前の世代が眺めるとすれば、それはSF用語だったり、ファンタジー用語がそびえてる感じですか。

・女子高生の町長がユカイな仲間といっしょに巨悪と戦ったりするバトルマンガです。

・鉄砲の弾を横から叩き落すことができるツンデレ女子高生や、言霊を使うことができるメガネ巨乳に、ココロを読み取ることができるロリ猫耳に、普通の男の4人で難問をクリアします。

・この現代ベースでいつの時代かよくわからない世界。なおかつ、意味ありげなオブジェ(この場合町にある七本の霊桜とか。妖怪とか)があります。
・このいろいろと混ざった世界ってのはもう主流でございますね。完全にどこかに所属してる世界の話のほうがめずらしいくらいでね。時代考証より自由な想像力の翼を!って。別にそれにあまり意見はないんです。アタリマエですがそれにしても「よいものがあるし悪いものもある」ってことだし。ま、次の世代のモノだなとは思うのですがね。

・かわいくてキレイな絵に、見失わないアクションと、かなり地力があるとは思いますが、いかんせん、話自体の力がとても弱い。だから、1巻で、キャラはとてもよくわかりました。だけど、話はよくわからないし、いくつか散りばめられた伏線っぽいものもカケラも興味がわかないのです。あとがきマンガで2巻からおもしろいとありましたので、2巻をためしてみたいとは思いますが、現時点ではキャラを動かしているだけという、読み終わると残っているものがとても少ないマンガではありますし、とても皮肉なことですが、巻末おまけマンガでパロディチックに描かれていた、男1人が女ばかりのアパートに入居することになったエロコメ風の話のほうが全然おもしろそうだったりね。オッパイさわって「アルデンテ!」って思うのはとてもいいネームだなと。パクリっぽいけど。

・さて、おれが買うきっかけになったのは1巻の表紙なんですよ。主人公のツンデレ女子高生(いまのところデレがないんだけどさ)がエレキギター持っているんですよ。それで、「アクション」とあったので、変わったアクションなのかしら?と思ったのですが、どうも1巻分にはたんなる小道具で、本編には1箇所も登場しなかった気がします。ま、いいんですけどさ。

・なんつーか、おもしろくできるのに妙な出し惜しみっぽいものを感じた1巻でした。一応2巻までは試したいと思います。
(18:17:45)

「乙女ウイルス」 2巻 鈴菌カリオ(小学館)

・オビの私屋カヲル氏のコメントがとても秀逸。


昔の自分を見るようでつらい。


・そうなんですよね。表現しようという熱意と、至らない未熟さや青さ、アマチュアの純粋さと汚さ、後先考えずに暴走しまくる猛進。そういう感触は2巻でもかなり健在です。洗練とか、熟練とか、無縁な感じ。それを「売り」にしようかって狙いっぽいものはやや嗅ぎ取れますけどね。だけど「まあおちつけ」といいたくなるテンションでキャラが突っ走るオムニバス読みきりでございます。

・女3人でイタリア旅行の「アンラッキーナンバー3」
・戦隊ヒーローの女子が鹿の隊長と不倫関係にある「鹿祭り」
・シティーガールになるために上京した少女「お上りサンバ」とかありますね。

・底なしにテンションが高い方々があちこちの体液を撒き散らしながら疾走(ときには失踪)するサマはツボにハマるととてもステキなんでしょうが、ヘンに入ると、冒頭の私屋氏のコメントのようになるわけですよ。

・個人的ベストは「いまなく」。これはギャグ要素が薄いのですがバレーボール部3年の最後の部活の話。こういうなんでもない話を「そこそこ」のテンションで丁寧に描くってのが、ブレイクスルーになるような気がするんですがね。

・そろそろ長編にチャレンジしてみれば?
(18:57:08)

「レモネードBOOKS」 2巻 山名沢湖(竹書房)

・読書家の彼を持つ彼女のショートラブストーリーというかコメディか。

・図書館をハシゴするような彼をびっくりしつつも受け入れてうまくやってるカップルの話ではあまり間が持たないみたいで、2巻では、彼女の親友で同じく強い本読みのほうにシフトしてますね。

・兄が読書家で、元カレも読書家。で、2人とケンカしたりしながらもそれぞれに距離を取っていると。

・本ネタといっても、内容ではなく「読書」そのものを指してるので、随所に撒き散らしてある通好みのネタを知らなくても大丈夫です。たとえば、カラオケで彼が歌うのは大滝詠一氏の「座・読書」だったりね。

・ネタ出すのが難しそうなマンガなのによくいろいろな方向から攻めていくなと感心しますです。

・相変わらずファンシー風味も健在で、それぞれのキャラは「カワイイ」ですしね。
(19:06:54)

2006年/12月/21日
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「百合星人ナオコサン」 1巻 kashmir(メディアワークス)

・よくわからないままはじまりすっかりおもしろくなってるというパターンが夢のようにすばらしいkashmir氏の最新作を読む限り、やはり「○本の住人」はKRコミックだけのことはあり、かなり抑えていたんだなということが伺えたのです。

・ダウンタウン松本人志氏が提唱されていた、「女はお笑いに向いてない説」というのがあります。

「全身タイツを着ても胸のふくらみに目がいってしまいオモシロがわかりにくい」

・というのがその根拠であり、おおいに頷くとともに、考えてみれば、マンガにもそれがあてはまるのであり、女性キャラのみ登場するマンガでは、破壊的な笑いを生み出すギャグマンガは成立しにくいのです。なぜなら「カワイイ」は1番強いからです。

・本作、そういった意味じゃ、男のレギュラーキャラはカワイイショタ弟のみで、あとは女性で展開してますし、ボケ担当のナオコサンはクールにボケるタイプで表情やテンション芸じゃないし、普通に美人なのです。ま、外観だけは。

・それなのに破壊的だし、ギリギリだし、笑えたりするのです。後半のいくつかのギャグに本誌記者はハラを抱えたのです。

・本作は百合星人のナオコサンがみすずさんを主なるツッコミ役に従えて、おかしな方向にのみハメを外していくというギャグマンガです。

・読み解くカギは本作の初回版についてるMOSAIC.WAVの主題歌にあるのです。いや、というか、MOSAIC.WAVそのものにあるのです。

・MOSAIC.WAVというユニットの音楽を聞くと、インスパイヤでリスペクトで引用で影響でその他モロモロで「P-MODEL」という一応現役続行してる(はず)のテクノユニットを思い浮かべてしまいます。音使いのセンス、メロディライン、ブレイクや、イントロ、間奏、アウトロなど、「あ!」と思う瞬間が多々あるのです。「キュイーン」や「ようこそひみつの雀ばらや」などがその筆頭ですか。

・それにかわいい女性ボーカルやコーラスが乗っていて辛抱たまらんことになっているのです。

・つまり、本作もそれかなと。

・粉砂糖のように「カワイイ(幼女分が多い)」が全体にまんべんなくコーティングされていますが、それをナメとっていくとなにかが現れてきます。

・と、実は「なにか」がなにかよくわからないのですけどね。幼女分やオタク分、あと、廃墟分とかミリタリー分の隠し味も多々ありそうです。それらがいつしか「カワイイ」を上回って「笑い」というカタチで現れてくるんですね。苦い薬の「糖衣」としての「カワイイ」という効果もあるのです。
・だから、本編の口絵にある廃墟にこしかけるみすずや黒ナオコサンは「逆」なんですね。みすずや黒ナオコサンをナメとっていくと廃墟が現れるのです。

・で、それら「中身」を混ぜるミキサーはドイツ製という気がします。西川魯介氏や伊藤伸平氏も愛用してそうな気がします。それらの方とは混ぜているものがちがうのですが、混ぜる感じが似てるというかね。滲んでくるドイツテクノロジーというか。たたえよ鉄カブトというか。

・それでいて、吾妻ひでお氏が発明した歴史に残る発明であるところの、「パロディだけどモトネタがわからないのに楽しい」というのも炸裂してます。ちなみにこれにいい名前がありません。あと、鴨川つばめ氏もその起源かもしれません。

・細かいネタを読み解いて「あれは**のパロだぜ」とオタク風をふかすもよし、「みすずカワイイなあ」と思うもヨシ。あと、ヘンなマンガだよなあとゲラゲラ笑ってもいいわけです。個人的にはこの最後が超重要。これをクリアしてないとそれは普通のオタク向けマンガだからして。

・割合とやりたいようにやられている感じがとても爽快ですねー。人にすすめにくいのが難点ですかねー。わかる人が「出会う」マンガかなと。だから、とっくに出会ってバボーンとやられているとは思いますが万が一出会ってない人のために書き記しておくのです。くれぐれも初回版のCD付きをオススメしておきますから。「げんしけん」の9巻初回をあきらめちゃってもCD付きを。
(18:19:48)amazon

「よつばと!」 6巻 あずまきよひこ(メディアワークス)

・敗因は「楽しみにしすぎた」ことかね。なるべくそういうのを避けようとは思ったのですが、つい楽しみにしてしまったのですね。だから個人的には「あれ?」と思ったのですが、今、軽く読み直したところ、別段他の巻と大差なくおもしろいことがわかりました。

・よつばという幼女がバボーンとしてるマンガです。全然わかりませんね。

・本作にしても「クレヨンしんちゃん」にしてもポイントは、実際にその年齢のガキはいわないだろう台詞の妙味ってのがあると思うのです。


…ちょっとこばらがへったときもたべる


・この場合「こばら」。テレビや本で知る可能性がありますが、意外に使わないと思うのです。前の巻では「しぇふをよべ」ってのもそうかな。

・本当にいってるかどうかはこの際どうでもいいんです。「(5歳のコが)いわなそうでいいそうなこと」ってラインが妙味なんですね。
・引き合いに出したクレしんだと、「しゅっぱつおしんこーきゅうりのぬかづけー」とかいろいろありますね。

・よつばが秀逸なのはちゃんと5歳のコが考えて、覚えて、なおかつ、ウケを狙ってない風なコトバをチョイスしているところです。そしてそのコトバにも歴史を感じさせるところです。


とーちゃん
すげー!
ビルゲイツみたい!!


・ここでよつばが「ビルゲイツ」を知るにいたった経緯を考えてみるのとおもしろいよなあ。テレビかなんかに映っていて、とーちゃんが説明するところとかね。


こどもって
くいしんぼう
だから…


・6巻ではこの台詞が1番秀逸かしらね。このシチュエーションと間がすばらしい。

・で、苦言も書いておこうかしら。毎回、設定とか上積みされているのが本作や前作の「あずまんが大王」の流れですが、今回、つながりすぎじゃないか?

・とくに「ぎゅうにゅうはいたつ」あたりから。軽くでいいから設定リセットがあるほうがいいよなあと思う。緊張してくるんですよね。「ここは覚えておかないとダメなんじゃないか?」とか。

・そしてそれでもおもしろいわね。ふーかはやはり最高だわ。こういう娘がほしい。あるいはみうら。よつばじゃなくて。
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2006年/12月/16日
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「宇宙の白鳥」 1巻 山本ルンルン(ポプラ社)

・山本ルンルン氏の新シリーズスタートってことです。出版社が変わりましたが、連載していた「朝日小学生新聞」も変わってませんし、装丁の感じもいっしょです。
・まあ、あまり過度の期待もせずフラットな気持ちで読んだところ打ちのめされました。年末になってなんだか名作によく出会っている気がするな。

・本作、端的に表現するなら、女の子の「パーマン」です。じゃあ「パー子」だって? うるせえよ。

・ひょんなことから宇宙パトロール隊に入隊することになった星野コロナちゃん。学校とパトロールの二重生活が大変ですががんばってます。今日も腕時計型のレシーバーから指令がきたら、トイレからステーションに瞬間移動して、白鳥型の宇宙船(池のボートの白鳥チック)に乗って様々な宇宙人の悩みを解消します。

・本作は設定がすごい。とりわけキャラ設定が神の領域。

・主人公コロナちゃんは、この手のマンガでは画期的といえるすべてに対して優等生。勉強もできるし体育もできるしカワイイ。しかも男女先輩後輩分け隔てなく人気がある。んまあ、端的にいってドラえもんにおけるしずかちゃんです。
・ただ、1点、「おせっかい」というところが突出してるのかもしれない。なんでも背負い込んだり責任を感じたりする。よって、あだ名は「委員長」です。

・そして、相方で同級生(女)と、教官にあたるやつは双方オチコボレという。しかも、心理用語っていうか、精神病用語での、「共依存」ってやつで、お互いがダメだからほおっておけないという理由をタテマエとしてダラダラとしてるってアンバイ。そいで、コロナちゃんの「おせっかい」が出て「ほおっておけない」となるんですよ。コロナちゃんの場合はマジ。

・この2人の「ダメ」なところが、リアルでリアルで。相方はかっこいいパトロール隊の制服が着たいという理由のみで、ミッションも学校生活もダラダラだし、教官は、指示するでなし、教官室でゲームを延々やってたり、家族(子持ちなのよ)のためにウソのミッションを仕込んだりの公私混同ぶり。

・それでいて、オールカラーで超ファンシーなカワイイ絵で展開というこれまでのルンルンの画風そのまま。相方はメガネっ子だし、教官は、クマのヌイグルミ風よ。ま、わかる人にわかりやすく説明するなら「マシュマロ通信」のクラウドっすよ。

・あと、宇宙パトロール隊の設定もよくできてる。「パーマン」と最大にちがうところはコピーロボットの有無ですね。本作はないです。現実の時間で1分がパトロール隊では1時間活動できるので、「ちょっとトイレ」の間にミッションをクリアすることができます。
・で、「ロボコン」よろしく、ミッションをクリアしてポイントを稼ぐのです。「ロボコン」じゃなくて「ガンツ」っていうべきでしたね。
・でもって、彼女らは「見習い」なんですよ。「おジャ魔女」ってことですね。正式な隊員になるにはポイントを稼がなければならないと。だから、やる気のないパートナーと教官のケツを叩いているということです。

・鬼のように描き込まれてるバタくさい絵(アメリカンスクール風の学校。モダンなインテリア。一方では宇宙描写はサイケ)なのに、超ウエッティな和風小学生ドラマという山本氏の持ち味はそのままで、1巻での4話。設定紹介の1話2話。学校に重点をおいた3話。ミッションに重点をおいた4話と、展開も完璧。1話のページ数が長いけど、ムダな要素はゼロ。きちんと伏線貼って、きちんと回収してる。

・あと、ギャグの間がとてもいい。ゲラゲラではないけど、ニコリと笑える感じ。

・かなり薄く薄くなったけど、ずっと底のほうに漂うダークサイドなココロの闇のようなものも健在。主人公も完璧なようで完璧じゃないからね。そういう人間の汚いところや移ろう気持ちもちゃんと表現されてる。

・キャラこそ小学生だけど、大人にも通じるダークサイドなところ描写はホントうまいよな。たとえば、主人公はおせっかいが高じて「自分がいないとまわりがちゃんと動かない」と奢っていたり(後で反省したり)、相方はノラリクラリ仕事を逃げる(学校でもパトロールでも)ことに開き直っていたり、教官は逆で遊んでいることを隠そうと必死だったりね。
・で、みんな基本的に「いい人」ってのが逆にすげえリアルなんですよね。だって絵に描いたような悪役(たとえば、ONE PEACEに出てくるようなの)ってのは逆にいないもんね。みんな視点を変えればいい人です。

・あと、どういうマジックか知らないけど、150ページオールカラーでどうして580円(税別)なんだろう? 山本ルンルン氏の本はたいがいそうだよね。

オススメ
(18:59:43)amazon

2006年/12月/14日
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「拳鋼少女リク」 1巻 弐篠重太郎(ソフトバンククリエイティブ)

・どこで連載されているとかは例によって知りませんが「月刊少年ブラッド」からドーンと発売されていた中の1つです。


実は、巨乳。


・このオビのコピーがおれ的に殺し文句になってしまいました。だけど、結果としてこれはかなり秀逸なコピーであることに読み終えて気がつくのです。

・中華風と日本風と昔と今が混在してる世界。ブロマイド屋は表向き、裏では「なんでも屋」を引き受けている格闘技に長けている親娘がいた。そいで、毎話いろいろなたのまれごとを解決するという展開。

・合理的な「らんま1/2」な感じですかね。それに「巨乳」というキーワードがかなり密接にからみあってる。この設定がすばらしいね。

・オッサンは、昔は精鋭の軍隊のさらにエリートだったのですが、ひとつ弱点として、巨乳が好きすぎるというのがありました。そいで、リクがいても仕事そっちのけで趣味の巨乳ビデオ鑑賞に余念がありません。そういうことで、リクは巨乳だけど、それをさらしで隠してるのです。
・そして、彼らの格闘流派は呼吸が大事で、胸をさらしに巻いたために呼吸が乱れて本気が出せない。つまり、本気を出すためにはさらしを取り巨乳を開放してやって戦うという展開です。すごく理に適ってる。

・サッパリして「白い」絵ながらも、必要十分で魅力的な描き込み。一応少年誌だからこれだけすばらしい設定ながら巨乳描写はかなり寸止め。色気がない子だよね。元気があって好感はもてますが。

・話もかなりご近所な展開ながらも、いかようにも広げられる「待ち」があります。格闘メインにもいけるし、大きな事件に巻き込まれるのもいいし、毎話読みきりのほのぼのギャグでもいける。あるいはラブコメ? とはいえ、フロシキを広げすぎないほうが吉とは読んだね。

・WEBコミックで無料で読むことができるみたいよ。(2007年1月からだけど)
(17:49:39)amazon

「迷彩都市」 2巻 我孫子武丸&中山昌亮(竹書房)

・麻雀殺人事件刑事ドラマも2巻で完結。
・意外というか、とてもキレイに終りましたね。原作者と作画それぞれ(つまりマンガと小説で)に後日談的描き下ろしまでついてるという豪華仕様。

・連続殺人事件。死体のあとには麻雀牌が。その意味するところは?と、たまに気まぐれでやる2時間ドラマ枠での豪華なやつ的な感じで展開していきました。ただ、これほどまで麻雀に密接な2時間ドラマはありえないですがね。

・ほどよくけれんがあり、トリックがあり、スリルがあり、盛り上がり、クライマックスに大逆転がありました。

・特筆すべきは、交通課の婦警で、麻雀がトクイという理由でチームに引っ張り込まれてた「ウンジャク」ちゃんがとてもカワイイことかもしれないね。これは中山氏の手柄でしょうね。中山氏のキャリアの中でもとくにカワイイんじゃないかと。

・このコンビで、このチームの活躍を再び読みたいなあ。これで終わりはもったいない。
(18:15:38)amazon

「彼女を守る51の方法」 2巻 古屋兎丸(新潮社)

・地震マンガの2巻です。
・お台場で地震があって、そこで知り合った子らとレインボーブリッジを渡り「脱出」するまでを2巻では描いてます。
・地震下でのあらゆる困難に対して恋心が芽生えはじめている2人です。なんつーか、逆説的に「人間ってすげえな」と思ったりしますよ。
・こんな人がたくさん死んだり、たよりになる同行者がひょんな最期だったりしてるのに恋愛感情が起こってるんだもんな。なおかつ、後半登場したキャラとはちょっとした三角関係になったりね。

・いや、古屋氏って、いろいろなエクスキューズ抜きで、真っ当な王道を描くマンガ家になっているよなあと思います。ちょうど、歩んでいる道が藤原カムイ氏に似ているような。さしづめ本作は「雷火」か、「ドラゴンクエスト ロトの紋章」か。

・あと、相変わらずビジュアルがすごいね。地震ウンチクもすごいけど。

・でも、お台場を脱出して、どこにゴールがあるんだろう?
(18:38:40)amazon

「おたくの娘さん」 1巻 すたひろ(角川書店)

・Webコミックってことでね。

[スタスタ〜すたひろBOX〜ヒロヒロ]

・ここで読めるのよ。でも、まあ、本で読んだほうがいいやね。最近は普通にそう思うようになってきた。もちろん、「おもしろいもの」ね。

・で、本作は「おもしろいもの」でした。ラッキー!

・ゴリゴリのおたくさんのモトに年齢一桁の娘さんがやってきます。そして、うれしはずかし親子ライフがはじまるのです。でも、おたくになれてない娘さんと、生身の人間になれてないおたくさんとでドタバタするわけです。

・えーと、作者もなれてないよなあと思うのが最初。実際、本作と同年齢のガキがいるものとしてみると、なかなかフィクションのいい娘さんなワケですよ。それを筆頭として、おたくネタはリアリティあるけど、キャラ的にはそれが薄い感じで、逆に安全圏にいるエンターテインメントとして楽しく読むことができますね。ここいらリアルにしたり、逆にもっと踏み込んだりしたらシャレにならんしね。あと、リアルにすればするほど成立しませんし。あんな聞き分けのいいおとなしい小4はいない。

・たとえば「ふたりはピュアキュア」のDVDをみつけた娘さんがお父さんと親密になりますけど、お父さんは押入れにピュアホワイトの抱き枕も持っていたりね! しかも裏のプリントがかなりえぐくてね!

・あと、冷蔵庫にビッシリ食玩のチョコが積み上げてあり、トクイ料理は「チョコ料理」のお父さん。

・ドールに4万の服を着せて、娘にはユミクロとかね。

・ま、でも、次第に親子の絆を深めていくって感じかしらー。

・えーと、あとがきマンガでオタク以外の人の感想が知りたいとのことだったので、11歳のガキ(女)と8歳のガキ(女)と、37歳の女(奥さん)に読ませてみました。

11歳「まあまあ」
8歳「おもしろかったよ(こいつちゃんと読まない)」
37歳「ダメ」(設定からして受け付けないらしい)

・とのことでした。

・おれはすごくおもしろかった。2人の親子にどちらも感情移入し気持ちがくみ取れて愛着を持ちました。2人の「成長」が楽しみです。あと、いまだ登場してない「母」とかね。まあ、2巻が楽しみです。
(19:08:15)amazon

「すいへーりーべ!」 1巻 吾妻ナオミ(ソフトバンククリエイティブ)

・非常に少女マンガだよなあと思った。低年齢向けの少女マンガにあるギャグマンガのニオイがします。

・生物部ギャグとでもいいましょうか。宇宙人の美少女と、その秘密を知ったために生物部に入る男。で、部員が5人いないと以下省略って生徒会との争いなどもからめ(いや、文化部は必ず生徒会とのモメゴトがあるね。体育系はめったにそういうのないのに)て、ほがらかほがらかにGOGOと。

・カワイイけど微妙にデッサンとか歪んだ絵で、今のところ軸がブレブレのギャグを展開。で、ほのぼのに徹してなくて、妙にアナーキーなギャグがあるところが逆に少女マンガ的かなと。

・特筆すべきは第5話の「対決! 生物部vs生徒会」ですね。世にもめずらしいトランプで勝負です。「スピード」「神経衰弱」「ババ抜き」ですよ。1話が長いページ数なので5話は読み応えがありました(ほかは長いと思ったのもありました)。最近の「カイジ」より手に汗握りました。それは誇張表現。

・妙に女性が寸胴なのが逆にリアルなような、平板にみえておもしろくないような、微妙な感情が渦巻きます。まあ、「通好み」ってことはいえるかもしれませんね。

・で、今、冷静になると、おれがこの本を手にとってしまったのは、「吾妻」という苗字のせいかもしれません。超偉大な先達と同じ苗字で1冊分の印税を得たと思うなら作者はラッキーかと。
(20:03:09)amazon

2006年/12月/9日
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「続水惑星年代記」 大石まさる(少年画報社)

・速いペースでの2巻目です。毎回30ページくらいですので単行本化するのが早いそうです。すばらしいことです。各方面に感謝でございます。

・読みきり短編作品集です。前後編も含めて6本の「珠玉」のほかにコトバがみつからない「綺羅星」のような作品があります。すぐにコトバがみつかってるじゃないか。

・それぞれは薄くつながりがあったり、前作や他の作品ともリンクしておりますが、それはファンへのお楽しみどまりで、仮に本作を初大石作品として読んだとしてもほぼ100%に近いカタチでお楽しみいただけると思います。

・それぞれ、映画化できそうですね。実写でもアニメでもいけますよ。しかも、オムニバスじゃなくて、1本1本独立した商業映画として成立させることができるんじゃないか? 今、邦画が調子いいみたいしよ。

・やることがみつからない女子高生が煮詰まってイキオイで家出してみる「I MY WINDOW」
・ナスカ平原の緑と地上絵を守る女性のもとにきた日本人のカメラマンの卵の話「ナスカ」
・前後編の超大作。ハリウッドのメジャー配給会社が社運をかけた超大作の原作としても全然まったくOKかと思う「AROUND THE WORLD IN 8DAYS(8日間世界一周)」。大好きな教授の結婚話を阻止するために地球1週の気球レースをするというもの。このスケールと設定(未来の地球ね)、ラブストーリー度と、あと、ちょっとあるお色気とそれと同じ程度の感動とね。
・一転して天文学部の三角関係in夏合宿なラブコメ「宇宙を向いて歩こうin summer」 
・そいでなつかしの「りんりん」(そういうシリーズがあるのよ)コンビが活躍する、列車の廃線跡をたどり自分らのかつて住んでいた家をたずねる「廃線跡の秘密」

・と、作者のあとがきマンガ。

・大満足のフルコースを堪能したかのようでもある。「AROUND〜」がメインディッシュで、「廃線跡〜」がデザート。ほかはよくわからんけどさ。

・今回わりと全体的に夏めいてましたね。個人的には「I MY WINDOW」での主人公女性の裸体描写に新しいものを感じました。非ボインでいながらロリじゃない。そう考えると大石氏の女性は2種類だったんですね。

・1巻のときに鶴田謙二っぽいと書きましたが、すでに追い抜きましたね。大石氏は仕事をしてる分、鶴田氏よりエライね。おれは基本的に大傑作をポツポツな寡作な作家より、良作を量産してる作家のほうがダンゼン好き。しかも、本作、大傑作だしね。

オススメ
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2006年/12月/8日
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「最強伝説黒沢」 10巻 福本伸行(小学館)

・最終巻11巻と同時発売。終わり際、そういうイベント的にちょっと派手にした真意がイマイチわからないけど、けっこう打ち切り度が高いマンガではありますね。それは11巻のほうでやります。

・10巻では9巻あたりから続いている公園に住まうホームレスを襲うチンピラとの戦いを描いてます。そのエピソードの終了をもってマンガも終了ということになります。

・こう、ふっと10巻の黒沢の顔をみていて、気がついたのですが、彼は、福本氏のモーニングでデビュー作であり賞をもらった「ワニの初恋」に登場するワニなんじゃないか? だれかとっくの昔に指摘してると思いますが。(参照:[ワニの初恋])

・好きな人のために自分の立場や容姿を省みずシャカリキに動いていたワニはいろいろあって中高年になり、ホームレスのババアのいろいろあったろう半生に感情移入しておのれを奮い立たせていると。

・いや、50手前で熱い男ですね。でも、これまでのテンポから、このホームレス編はさらに急速に「伝説」に仕立てていかれた気がしないでもないです。「やっつけ伝説」です。

・結局のところケンカばかりだったしね。つまり、学園番長マンガの番長が土木工事のオッサンになったって話でも成立ですからね。ヒロインが80歳のホームレスのババアでね。
(12:10:35)amazon

「最強伝説黒沢」 11巻 福本伸行(小学館)

・最終巻。ミゴトに打ち切りでした。そしてそれでも読み終えたあとの感動。感動のあとに「おい、考えてみれば福本作品でまともに終ったやつってあるのか?」と思い当たり、さらに「おい、考えてみれば長期連載マンガの最終回って覚えてるか?」となるわけです。

・いや、実際問題、マンガにおいて1番印象に残る終り方ってのは「打ち切り」ですよね。だいたいが人気があればダシが出切るまで使用するし、たいてい、2番ダシ、3番ダシまで使用されますね。

・そういうことで、連載上の終了時はネットでも話題になりましたが、冷静に考えると2番ダシがあるうる終り方でもあるんですよね。

・ホームレス対暴走族の公園での戦争がはじまりました。一時は押していたホームレスチームですが、すんでに臆病の風が吹いたホームレスのジジイたちのおかげで、奮闘空しくどんどん圧されていく黒沢たち。そして、それでもがんばる姿をみてホームレスが最後の最後に奮起。しかし、満身創痍の黒沢は動かなくなる…。

・と、なにげなくサラリとあらすじをネタバレで書いてしまいまいたが、ネタバレって怒るレベルじゃねえだろ!ベタ中のベタです。でも、まんまと感動です。ちゃんとそこまで持っていくことに成功した福本氏の技量にただただ感服。

・ただ「黒沢2」はノーサンキューだし、「アカギ」や「カイジ」もかなりマンネリとダラダラに磨きがかかっているので、おれの中での福本依存度はうなぎ下がりではあります。
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「ニコイチ」 2巻 金田一蓮十郎(スクウエアエニックス)

・ハラハラドキドキの2巻です。

・妻を早くして亡くし、残った子供のため(やはり母の愛は大事だろうってことで)に、「母親」になった男。家では女、会社では男の二重生活の中、「女」の自分にホレられる女性が現れ、さあ大変。

・2巻ではその女性と女性の姿のまま恋仲になってしまいます。相変わらず男のときは嫌われているという状況で。

・さて、なにがハラハラドキドキかというと、作者、この状況をうまく収めることができるのか?ってことですよ。かなりややこしいことにまで発展してます。
・もうベテランといえるキャリアでしょうが、なんとなくどことなく危うさを感じてしまうのはなぜだろうか。まあ、悪くいうと作者の技量に不安があるということですね。

「マンガだし」ってエクスキューズ抜きに、「あるわけねえだろ」ってツッコミが多々あるし、そもそもの前提の設定からしてよくわからなすぎる。それでいてイタズラに複雑になっていく主人公をはじめとしての各キャラの思惑は、その不安定な設定の上に成り立っているもので、説得力が弱いのですね。
・あと、男視点からいうと、「そんなこと気にするか?」ってことも多いですね。彼女のためにナプキンを買って(女の姿で)、女子トイレに入って渡すなんてラクショーじゃね? 曲がりなりにも妻子持ちだったんだしよ。

・一方で、ハラハラドキドキをいいようにいうならば、それでもおもしろく読んでいるわけだし、かなりそれぞれのキャラに感情移入してるんですね。

・主人公も含め、男キャラに深みがなくておおむねみんなバカってのもまた感情移入が深くなるんですよ。ホント、主人公も主人公の息子も会社の同僚も、ホレられる女のモトカレもみんなバカ。大バカ三太夫ばっかり。

・まあ、いずれガケから落ちることがわかってるレールの上を走ってるマンガですが、なんとかうまく落としてほしいものです。とくに誰がどうなってもいいんで主人公は幸せになってほしいかなと。
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「ダブルフェイス」 11巻 細野不二彦(小学館)

・一見さえない金融会社のサラリーマン。実はその会社社長にして、悪を討つ正義のマジシャン。
・という毎話読みきりの「仕事人」パターンかと思いきや、11巻は大きく話が動きます。そう、11巻にして「展開」ですよ。
・主人公の過去を謎ということで11巻全部ひっぱったし、以後つづくというカタチにしていた。
・しかも、それまでのものも全部織り交ぜている。時事問題を織り込み(悪徳IT企業が六本木ヒルに拠点をかまえる等)、マジックの小ネタがあり、悪者をこらしめるのも工夫されている。

・いくつかのブロックに分けられる、細野氏のキャリアにおいて、今が第*期にあたるのかはよくわかりませんが、「ギャラリーフェイク」からはじまった大人マンガ期ではあると思われます。

・たとえば、よくいわれていた「ギャラリーフェイク」を手塚治虫氏の「ブラックジャック」にたとえるとしたら本作は「七色いんこ」って感じですかね。位置関係力関係人気関係が似ている。
・ところが、そのバランスを狂わせようとしてみたのが11巻ですよ。あるいは、12巻で完結するための伏線なのかもしれませんが。

・これには、今の細野作品で最重要であると思われる、「電波の城」が関与してるんじゃないかなと思ったりね。この作品のアグレッシブな姿勢がいい風に作用したんじゃないかとね。

「電波の城」を手塚作品にたとえるとしたら「アドルフに告ぐ」とかかね。

・ま、ともあれ12巻以降の展開が楽しみ。
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「ONE PEACE」 44巻 尾田栄一郎(集英社)

・エニエスロビーでの死闘完結の巻。
・44巻は43巻とはちがった意味でとても驚かされた。44巻ははもしかしたらいい意味かもしれないけど、「ONE PEACE」を読んでいてはじめて意表をつかれた。

・いやまあ導入部からのネタだし今にして思えばわかりやすすぎるのですが、もういいかげん長いし、すっかり忘れていたところにドーンと「感動部門」がやってきて、かなり久しぶりに「おおお!」ってなりました。チョッパーが仲間になるとき以来かひょっとして。

・いやまあホント、ウソップが大変な。本当に本当に大変。あんなモンスターハウスの中にいるんだもん。みんなアホほど強かったり能力があったりするんだけど、ウソップだけだもんね、普通っちゃあ普通の人。砲兵としてのクルーだけど、あの船が大砲撃ったのみたことねえしね。海賊の話のわりには地上戦ばかりだし。
・そういや、なんだって、「悪魔の実の能力者は泳ぐことができない」ってワケのわからんシバリを1番最初に設定したんだろう? 泳ぐことができない主人公がいる海賊の物語ってなんだろう? まあ、単行本にして44巻目にツッコミをいれることじゃないんですが。

・ということで45巻以降もウソップを眺めていたいと思います。彼は度胸だけでいうなら登場キャラで1番かと。
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「ろ〜ぷれ」大見武士(少年画報社)

・いつも新刊コーナーで武林武士氏とまちがってヒヤリとする大見武士氏の新作です。(参照:[Amazon.co.jp: 武林 武士: 本])

・タイトルを新刊発売のサイトで知り、「あれ、「ネコネコパンチ」の人、いまどき中世RPGなマンガをやるの?」と思ったけどさにあらず。
・タイトルの「ろ〜ぷれ」の「ろ〜」はローション、「ぷれ」はプレイ。すなわちローションプレイのことです。本邦初(かどうか知らない)(と、思ったらカバー裏に青年誌初ってあったので、ほかではあるのかもしれない)のローションプレイ専門マンガです。

・引越し先のアパートに荷物が紛れ込んでました。徳用ローション。で、それが乾いていたカップルの間をとりもって潤滑にするってオムニバスドラマ。

・同じアパートを徳用ローションが巡回するんですが、そこの巡回する経緯やら、ローションプレイに至るまで、各プレイのバリエーションなど、とてもうまい。

・1話目は引越ししてる男。手伝いにきている昔馴染み。お互いに一線を越えて男女のカンケイになりたいけどいえないもどかしさ。で、配達まちがいのそのローションをいじって遊んでいる女に人のだから止めろと止めようとしたらお互いにかぶってしまい、ローションプロレスのようになりそのままエッチ。
・2話目はそのローション他の荷物を引っ越した2Fの窓から落として、下で洗濯物を干していたサラリーマンに直撃。そして彼は両腕骨折。ローションはドサクサで返し忘れれる。そこに彼の美人メガネ上司が見舞いにきて、「不便だから身体を拭いてやる」となったところ密着して、男が勃起。「男はこうなるとツライのだろう?」と一生に一回はいわせてみてえもんだ(byミスチル)な台詞をいわれ、手で処理しようとしたところ、なれてなくて痛い痛いとなったので、上司がローションを使ったところサイコー!とそのまま最後まで。
・と、ローションが巡り巡りつつして全6話に、ローションプレイ読みきりがつくと。全部ヌトヌトのマンガです。

・これがちゃんとオチまで決って、なおかつあとがきマンガもおもしろくてって、相変わらず1冊での完成度がとても高いですが、ギャグ度よりエロ度が高いのがやや残念かな。そっちのほうがいい人も多いでしょうが。もうほぼ成年コミックですね。

・カバーめくったおまけマンガのローションの歴史もおもしろかったね。いわゆる水溶性ローションの「ぺぺ」って最初医療目的だったのね。知らなかった。

・ローションっていいですね。

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2006年/12月/4日
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「ニタイとキナナ」 高室弓生(青林工藝舎)

・税別1600円という価格に少しひるむようになってきた昨今です。そんな中、踏み切ったのは、みなもと太郎氏のオビのコメント。


「良心作」の極致です。


・あと、青林工藝舎のブランド。それとおれの感覚だとちょっと前まで単品1000円以上のコミックスってのは良作しかなかった。高いけどおもしろさは保証されていたから選ぶのはとてもラクだったのです。
・という、「ああ高いマンガはやっぱりおもしろいなあ」と背伸び気分と、清水寺から飛び降り気分で買った結果大満足だった高校時代の、青林堂や東京三世社の高いマンガを買ったときの感慨を本作は思い出させてくれます。

・もう結論。今もっとも1600円を出す価値のあるモノです。万人の金銭感覚価値基準はちがうでしょうがそれらを考慮しても1600円を出して得られる多さは本作にかなわないと思います。つーか、厨房ノリで「コレ買わないやつ終ってる」とかいってみたり。

・本作のあらすじを書きます。縄文時代を舞台としてニタイとキナナという夫婦が生活してます。そして子供が生まれるまでの話。

・そう、縄文時代のホームドラマです。いやホームドラマですらないかもしれない。通常の感覚での「ドラマ」というほどのことは起こってないもん。夫婦ケンカや浮気もないしね。生活を描写してるという意味ではむしろ「記録」というコトバのほうが正しいのかもしれない。

・本作を読んでいると後ろにいる作者と作者の後ろにある図書館いっぱいの本が透けてみえます。まあ、作者がみえるというのは、巻末にある1ページのウンチク講座というエッセイコミック的なのがあるからかもしれませんが、とにかく本から得た知識と想像力をありったけつぎ込んでます。1ページの情報量の多さに圧倒されます。ただ、それらをまったく感じさせない情報量の多さに匹敵する作者の配慮と愛と娯楽性の提供にも圧倒されるわけです。みなもと太郎氏のコメントのとおりなのです。

・縄文の方々の文化の豊かさに驚き、自然物や人への愛に感動し、って、チンプな感想しか出てこないくらい圧倒的なんですよ。

・長老である巫女婆の占いや予言に従い、自然の摂理に逆らわないように、生命をもらい食べることで生きることへの感謝を絶やさず、其々に宿る神様へ感謝し、よく働き、よく宴会をし、生きてるわけですよ。ああ人間賛歌人間賛歌。

・登場する食べものがいちいちうまそうだったりねえ。鮭を聖なる魚としてアタマからシッポまで美味しくいただいたり、つわりのキナナのために山の奥までコゴメ(山菜)を採りにいったり、獲れ立てのウニを食べたりね。

・ものすごい素でそういうところに感動しつつも、もうちょっと奥のほうで、考証のすばらしさや、描写の確かさ(実はわりとマンガマンガしてる絵なんですけどね)、それらを極力わかりやすくなおかつまちがいなく伝えようとする技量に感動するという、「感動のダブルバーガーやあ」状態です。

・あくまで考証に忠実でありながら、その当時、かなり有効である、精霊やらそっち方面の描写もあるってのがまた読みやすさにつながっている。出産専門の巫女である、「産巫」の少女とかいいキャラでしたよ。

・そう、出産もすごかったね。村に出産専門の場所があるのね。今でいう産婦人科か。サウナみたいなものもあったしね。

・ああそうか。ドラマがないと書きましたけど、生活それがすなわちドラマってことですね。わかりやすくクライマックスを出産にしてましたけど、1日1日がドラマの連続だと。

・なんだよ、チンプな感想しかでてこないじゃないか。

・いや、ま、すごい作品がまだ世にはあるもんだなあ。「コミックトムプラス」という廃刊になった雑誌で連載されていたようですけどね。
オススメ
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「土星マンション」 1巻 岩岡ヒサエ(小学館)

・ちょっと取り上げるの遅くなってもうしわけないと謝罪するくらいおもしろいわ。岩岡氏は作品を更新するごとにベストを更新しておられるような気がする。

・地球に住むことができなくなった未来。人類は地上35000メートルに地球の赤道をぐるりと取り囲むようなリングの宇宙ステーションを建てて生活してる。
・主人公ミツは亡き父の跡を継ぎ窓拭きの仕事に就いた。ステーションの「外」に出て、窓を拭く仕事だ。宇宙からのチリやらなんやらで窓はすぐ汚くなるんだね。それをキレイにする仕事。危険が多く父もそれで命を失った。地球に落ちた。
・そんな世界での(だいたい)1話完結のストーリー。

・読み終えて、ああこれは岩岡氏のアダゴオルだと。イーハトヴでもオズの国でもいいんですが。

・ユートピアではありません。むしろ住みづらいにちがいありませんが、この世界の構築の完成度の高さがハンパねえんですよね。それは現代の日本の学校を舞台にした前作(になるのか?)の「花ボーロ」よりも高い。
・非常になじみがよく、アタリマエのようにおれもその世界を眺めていられる。
・SF考証がどうとかそういうことも大事なんでしょうが、この「土星」となってしまった地球のリングのところですんでいるという設定をすんなりと飲み込めたということがスゴイ。
・そいで、宇宙服を着て窓拭きというビジュアルも味がある。背景がしっかりしてるんだ。中途半端に未来にしてない、現代のそれをベースに天井がある空とか、家の天井はすべて窓(すべて天窓)になってるなど微妙にヘンなところを加えるという「まちがいさがし」な背景ね。やきそば食ったり、ラーメン食ったりしてるのもいい。「天然モノ」とかいって銀杏もってきたりね。

・そんな舞台を岩岡作品でおなじみのポワンとしたのんき気味のキャラが暮らしているってのがとてもいい。

・とくに5話以降の毎回窓拭きのゲストが登場するのがいい感じ。窓を拭く理由とかをからめていくんですよ。

・ああ、キャラにしてもこれまでの岩岡作品には登場しなかったタイプもいますね。主人公に殺意を持つくらい憎んでいる真とか。

・ステーションの外で暮らしている若い女性と猫がいいですね。猫も宇宙服を着てるんですよ。

・2巻も期待します。限りなくオススメです。
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「ワールドエンブリオ」 2巻 森山大輔(少年画報社)

・1巻は苦手なSF伝奇ジュブナイルなのにとてもおもしろかったので、新鮮なヨロコビとともに2巻を心待ちにしてました。
・1巻では荒川弘氏がオビを描き、2巻では和月伸宏氏。ああ、なるほど、共通点がみえたような気がしたよ。
・2巻では「タカオ」という新たなキーマンが登場する。そいで、囚われの身となった主人公の脱出劇にからんでくる。1巻よりややガチャガチャしてる。
・こうしてみるとキャラクターを登場させるのは難しいもんですね。2巻は、タカオをなじませるための巻でなおかつやや失敗気味ですかな。

・1巻のホラーな雰囲気がなくなり、すでにしてヒーロー同士の空中チャンバラになってるのも残念。そんな中途半端で絵がキレイで面白味が少ない「武装錬金」を読みたかったクチではないので残念。

・絵がキレイってのは作者の最大の長所でありますが、裏目にまわることも多いんですよね。残虐描写がキレイすぎるとか、アクションが素通りしすぎるとかね。

・と、キツ目に書きましたが、依然として楽しんで読ませていただきました2巻です。3巻から「真章」ってオビ裏のアレに萎え気味でございます(よくあるパターンすぎで)が、まだまだ期待してます。

・あ、でもあれっすね。1〜2巻の展開が「惑星のさみだれ/水上悟志」に似てるような。双方3巻どう出るかってのは今のところは興味あります。
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・[ケージバン]