→トップへ/→コミックインデックスへ

ポトチャリポラパ/コミック/2007年
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2007年/10月
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2007年/10月/29日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ムーたち」2巻 榎本俊二(講談社)

・完結。2巻まで出たところに榎本氏の天才を感じるね。1巻で終わる器だと思う。

・このマンガは絶対に必要。おもに作者に必要ですが、読者にも、マンガ全体にも、地球にも、文化にも必要。
「紙屋研究所」ばりに、本作の「コミック」にサブタイトルをつけるとしたら「ようこそ最果てへ」とでも名づけようかしらね。

・本書は「思考」してます。そのレポート発表のようなマンガです。その発表をして、哲学的だの、文学的だの、深いだのいろいろと思うところが生まれるわけです。思考してもらうための思考。そのための表現。

「moo.38 選択地獄」において、主人公の少年・無夫(むーお)は2つに分かれた道のどこにいくのか悩む。悩んだ末に選んだ道で事故にあうとその選択は失敗だったねと考える。それを母に話す。母はドアのノブをまわすのに右か左かを考える。どの指で持つか考える。そうやって無限に広がる選択肢の前に硬直する。それを考えていると考える無夫も硬直してみている。

「moo.52 ダブルウエルカム」からは「セカンド自分」「サード自分」が登場する。この存在は最後まで活用されますね。「山」という漢字を書き取りさせられている無夫を遠くでみつめている自分が「セカンド自分」ってことですね。この「セカンド自分」ってのはすごい表現だと思う。よく、本を読んでいて別のことを考えたり思ったりする感じですよね。

・そして、この思考の果ての最終回は、自分のすべての行動を記録しその中から法則を見出すことに人生を費やしている準レギュラーの男が登場します。


虚山さん
この世界のしくみを
すべて解明
できる
法則が
見つかり
ました


・そう、神になる最終回なのですね。紙とペンと電卓とデータで神になれるのです。そして奇跡がおこります。本作で何回かオチに使われていたコトバで、オビにも使われている「ゴッド・ブレス・ユー」が実際に起こるのですね。

・そのほかにも思考のアイディアや表現がいろいろとつまっております。思考法の「あるある」ネタ集という感じもしますね。

「走っているときはくだらないことばかり考える」「楽しみにしていると時間はすぎない」「世界中で1人になるのは難しい」とかね。

・さて、そういう意味で絶対に必要で有意義なマンガですが、最大に残念なこととして「おもしろくない」んだよね。こういう極北に位置するマンガってどうしてもねえ。まあ、カンタンにいうと松本人志氏がいうところの「レベルの高いお笑い」みたいなもんさ。

・でも、たとえば、[Amazon.co.jp: BUGがでる (1): 本: いがらし みきお]という作品が顕著ですが、この実験の限りを尽くした4コマ(ロッキンオン風に書くなら「ここで1度4コママンガは終わっている!」)があったから「ぼのぼの」があったわけです。絶対に必要なものだったのです。でも、おもしろくはなかったねえ、今正直に考えると。当時は「これが最先端」ってことで興奮してた気がするけど。冷静に考えると笑いはなかった。

・そういわれてみれば、榎本氏も「反逆ののろし」という「ゴールデンラッキー」をさらに先端化させた「おもしろくない」作品のあとに「えの素」を連載してますからね。

・本書はそういった意味で、はかりしれない可能性を感じさせます。はかりしれないくらい次回作に期待です。

・ちなみに。
・もしかしたら本作での「ギャグ」は、無夫のお父さんがまったく同じ顔がなく1コマ毎にヘンな顔をしているところかもしれません。「ヘンな顔」をするのは人間だけだし、赤ちゃんでもわかる原初のギャグだ。そういった原初のギャグをとってつけたように貼り付け「ギャグマンガ」としてるのかもしれません。

・しかし、絵がすごいわ。寒気をもよおすくらいの線だ。この人の画力はどうなっていくんだろう。

・もう1度。次回作を期待します。

(18:46)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「惑星のさみだれ」4巻 水上悟志(少年画報社)


とにかくもう意表をつきたい一心だったから。


・4巻のカバーの見返しの作者のあいさつにあった一文です。本作の核心じゃないかこれ。

・地球を破壊する巨大なハンマーがあらわれた。それを破壊する姫のもとに集う10人の騎士たち。そしてハンマーとそれを操る魔法使いを倒せ!って話。

・すごくイビツな展開をみせてるマンガなんだわ。つまり気味の水道管のように、テンポがかなり変わる。なんたって、3巻の終わりのほうにほとんどの騎士が「こんちわー」とばかりにドバドバと増える始末だもん。かと思うと日常をゆっくり描いたり。4巻はその増えた面子を丁寧に描き、おれの頭に流し込んでいたよ。

・意表をつくのは実はイキオイだけじゃムリなんですよね。新人芸人の奇声を発するギャグがほとんどおもしろくないのといっしょ。

・着実なフリとタイミングが命。本作はそれをテンポチェンジなどでたくみに演出する。早かったり遅かったり、意外な人が意外な行動をしたり、それでいて魅力的なキャラクターの魅力を描いている。今回、それぞれのエピソードが独立した短編のようにおもしろかったなあ。

・カジキマグロの説教なんか白眉だよね。なにいってんの?って読んだことない人は思いそうですが、そうなんですよ。ちなみにカバーめくったギャグも笑ったな。

・ということで、この分じゃ、今後も意表ついて楽しませてくれそうなことがわかりました。となると2巻のときの評価は大幅修正ですね。あれは意表をついていたわけなんですね。

・このマンガにおける「死」は意表をつきたいがための現象で、けっこういつでも誰にでも起こりうるんですよね。そして意表をつきたいがためのわりにちゃんと死が重かったりする。それが独特の緊張感とテンションを保っている。そして、それが底を流れつつも表面はほのぼのだったりギャグだったりする。

・という「けれん」がキツイので人を選びます。絵柄でも人を選ぶかね。ただ、先が読めないってことではおれが購読しているマンガの中でも随一です。
(19:44)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「サイコスタッフ」水上悟志(芳文社)

・うわまいった。最高だ。そうとういいぞ。

・ラブレターをもらいました。かわいい女の子が待っていました。そして、宇宙軍への参加を要請されました。主人公は超能力者で、彼女は宇宙人だったのです。
・ということで、宇宙人と超能力者のラブコメがスタートします。なぜ、ラブコメかというと、いろいろな方法をつかっても要請を断る主人公に、自分を好きにさせるという作戦を発動させるわけですよ。

・しかし、「惑星のさみだれ」でわかったんですが、水上氏の最大特長は変拍子な作風です。意表をつかれる展開にシビれっぱなしなのです。日常と非日常の間を高速でいったりきたりします。彼女と部屋で話していたかと思うと、次には、海上でロボットみたいなのと超能力で戦ったりするのです。そいで、クライマックスが相当「大きい」ことになるんですよ。そして、クライマックスあとの「それから」にあたるラストがその「大きさ」に負けてないんですよ。ここいらはネタバレ注意でゴメンですが、非日常でも日常でも相当うまいドラマなわけです。ここいらのたたみかけっぷりに完全KOです。

・作者はつまり、地力があるから変拍子が可能ってことです。「日常」も「非日常」も、それをつなぐ「パイプ」も巧いから、おもしろくできるってことです。このふり幅を描くのが難しいんですよ。


おれだって受験のために封印した…録り溜めしてたアニメやマンガ見るまでは死ねねー!

そんな趣味あったんだ!!

悪いかー!!

…はっ! お、落ちついて力の制御が…

この状況が! 落ちついている場合か!!
ここは必死こいて慌てる場合だっつーの!!
死にたくなかったら祈れえええ!!


・これがクライマックスのすごい状況でのやりとりです。この相当な「非日常」での「日常」の割り込ませ方の自然さとユーモラスさがたまりません。

・ストーリーだけじゃなく、端々からスムーズにわかる各キャラクターの性質もいいです。宇宙人さんのツンデレなところに超能力クンのクール気味なワケとかね。

・ミゴトでした。「惑星のさみだれ」の4巻でもタダモノじゃないニオイがただよってましたが、本作はいよいよすごいわ。

・あーまー、ムリに冷静モードでいうならば、画風と画質。あと前半部。全体的なストーリーのステレオタイプなところなど、難を挙げようと思えばできますが、税込みで620円、そこいらのDVDレンタルしてもどれにも負けないくらいの娯楽と感動はつまっていると思います。ここまですばらしい「構成」はちょっとないですよ。

オススメ
(17:27) *「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/21日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ラウンダバウト」1巻 渡辺ペコ(集英社)

・14歳女子中学生の健全中学生ライフ。「コーラス」で好評連載中です。「コーラス」ってカルピスみたいやつ? ってくらい知りません。

・この普通具合と健全具合がすばらしすぎるのです。リアルはどうか知りませんし、万人のそれであるわけはないんですが、楳図かずお氏の「まことちゃん」のような髪型(自分で切って失敗したのを姉にそろえてもらい気に入ったのでそのまま)の野村真さんとそのトモダチの普通っぽい14歳がすごくよく描けていると思います。

・基本毎回読みきりで、すごく細かい設定があるでなく、彼女らの中学生ライフを微笑ましくみているって図式かな。

・あるマンガ家が好きで、彼のブログをみていると体調不良げなことが書いてあったので、こづかいをはたいてプロテインを買って贈るようなまことさん。
・そのトモダチは委員長体質なことに疲れたり、テキトーな仲間に怒ったりして、それに自己嫌悪で反省したりする。それを創作ダンスであらわしたり。

・その次の登校拒否の同級生あたりから、グーンと加速度がついてよくなるんだよ。いや、ノンビリ気味の中学生ライフって線は変わらないんだけどちょっとタッチが変わってきた気がしてさ。3話目のまことさんがほとんど出演しない登校拒否のコと、毎日プリント持っていく担任が自転車で土手までサイクリングする話が1回目のピークでね。そのあとのまことさんと登校拒否のコの交流もよかった。

・で、5話目の女子中学生5人でエロDVDを借りてみる話と、6話目のまことさんの姉が格闘技にハマっていくネタがもう両方最高で最高で。

・前作「東京膜」でもそうでしたが、恋愛要素が薄いのがおもしろいところだと思うのです。もう発情発情の中学生ライフだったかたもいらっしゃるでしょうが、おれはそういうのよくわからなかったし、それよりおもしろかったことがいっぱいだった記憶があります。物語の女の子たちも、エロDVDを視聴した後、自分らの未熟さに打ちのめされていたし、自分らの「いろいろ」な感情に戸惑っておられるところを丁寧に描かれています。それが恋愛なのかもよくわかってない感覚と申しましょうか。男を好きになるというより人を好きになるという感じがつかみきれてないといいますかね。

・シリアス一辺倒ではなく、まことさんの天然であまり考えていない性格や行動を軸にコミカルメインにゆっくり目のテンポで進行していきます。だいたい、エロDVDをみようと提案したり、物語にする「風」を起こすのは彼女ですからね。ムードメーカーです。

・3話以降、毎話、読後に静かに感動してるんだよねえ。すごくココロを揺さぶられたり、滂沱のごたる涙ってことはけしてないのですが、「いいなあ」とジーンと正座の後の足みたいにアタマの後頭部あたりがしびれるんですよ。ゴルフの長距離パットみたい。静かに転がってコロンと入る。

・本作は渡辺ペコ氏の静的なところを担当してるし、同時発売の「キナコタイフーン」は動的なのかもしれない。そして、おれ感覚だと、静的のほうが上手です。スキです。



まこと:コンビニでキッスがまかり通る世の中なんてホント ポイズンって感じだよ!!
えーこ:ポイズン? 毒?
まこと:反町隆史が歌っていた


・なぜ、反町を知ってる?とは思うけど、まことさんの持ってるCDは長淵と矢沢のベスト2枚ってセンスですからね。

・すごくおもしろかったです。岡崎京子-内田春菊-安野モヨコラインから生まれたたくさんのマンガ家さんの中でも今1番好きかな。あと、小田扉氏あたりのギャグセンスにも通じるところがあるなあ。「擬音」が残るところとか。トマトを食べる音が「はっぷ」だもんな。まことは女子中学生になった「ともお」かもしれないな。
オススメ
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「キナコタイフーン」1巻 渡辺ペコ(太田出版)

・新人映画監督のキナコさんは世界のクロサワばりのワガママを炸裂させてみんなから嫌われて、あまつさえもプロデューサーを蹴飛ばしプロ1作目なのに業界から干されました。そこに救いの手を差し伸べたのがAV業界。それでAV監督をめざすことになりましたとさ。キナコさん、23歳で処女なのに。

「マンガエロティクスエフ」連載。

・2作同時発売で、「ラウンダバウト」とはガラリと舞台が変わるのがおもしろい。ノリもちょっとちがうか。原案(はと実鶴)があるからかしら。
・AV業界がネタとはいえ今のところそういうシーンはほぼありません。というか、「マンガエロティクスエフ」とか今どうなってんの?創刊号からしばらく買ってましたけど、発刊ペースとかよくわからなくなって購読止めて久しぶりにみたら女の子向けに変わっていてビックリみたいな感じだったんだけど。エロっちい要素ありのおしゃれレディコミって感じかしら。

・本作、かなり動的です。ドタバタと目まぐるしいイキオイで展開するジェットコースターなマンガです。ちょっと性急すぎるような気がするくらい。

・1話目に、プロデューサーを蹴るシーン。2話目に現場で吐く。3話目で花を背負う。というふうに、キナコさんは派手に活躍しております。短気ですぐカッとなるくせに妄想癖があり、なおかつ処女ですからね。

・で、1巻のクライマックスはヤバそうなタレント事務所に拉致された先輩監督(キナコさんじゃない)を奪還するために殴りこむって展開ですからね。それはちょっと派手すぎねえか?と、ちがった種のハラハラをしてしまいましたよ。

・あー、「バタアシ金魚/望月峯太郎」の主人公カオルを思い出したな。直情径行で突如ぶっち切れた行動をする、まあ、だからタイトルどおりタイフーンになるようなキナコさんですよ。
・という方向で考えるとまだちょっとハジケ不足もあるんですが、これからかもしれませんし、もうちょっと逆に丁寧にAVの撮影とか、そういった地味な問題にあたふたするのもいいんじゃないかと思ったりもします。
・いずれにせよ、2巻に期待したいところです。
(18:55)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「特攻!メイドサンダー」2巻 やぎさわ景一(秋田書店)

・特攻服を着たメイドさんと2人で暮らしている少年のギャグマンガです。2巻目です。表紙はずいぶんと狙ってますね。裸エプロンだもんなあ。

・ということで、着実にハーレム化は進行しておりキャラは増えていきます。カーボーイのアメリカメイドさんに、特攻服メイドさんの舎弟が学校の先生と。

・性善説のマンガ世界ゆえに、ヤンキーギャグとか、ギャグゆえの暴力などがあったりしますが、もんのすごいピースフルです。THE平和。
「特攻服を着込んだ、ヤンキーのメイドさんがいたら?」というネタを与えられるとして、どういうマンガにします? やっぱり暴力メイドさんが、ご主人さまをイビるような感じしませんか? ちょっとニュアンスはちがいますけど「仮面のメイドガイ/赤井丸歩郎」みたいな感じかね。

・でも、本作は基本的に善人ばかり登場するマンガでなかでも主人公のご主人様とヤンキーメイドの魔騎さんがとくに善人だからなあ。

・物語においての「平和」ってのはホメコトバばかりでもないんですね。起伏に乏しい退屈なものになる危険性をはらんでいます。ただ、それは本作にはあてはまらないんですけどね。

・なにがどうしてってよくわからないくらい、本作はおもしろいです。なんだろう、パンチラやムネチラとか水着のサービスショットはあるけど下ネタはないこととか、暴力シーンはあるけどさっぱりしてること。キャラ設定が安定してること。作画全般もすごく安定している。テンポがいいし、なによりも女性がかわいいしね。
・と、「ド丁寧」なんですね。「ド」がついているのです。これがだれにもマネのできないやぎさわ節を醸してるのです。断言しときます。
・すべて1人作業というのも貢献しているのかもしれない(それもギャグにしている)。

・同じメイドさんギャグということで、「それでも町は廻っている/石黒正数」なんて思い出しますが、あれとはまたちがった意味の味わい。どっちもオーソドックスだけどちがう種類の「平和」だよなあ。おもしろさのレベルは同じと思うけど。

・描き下ろしも多数。師匠というか、元アシスタントをしていたそうな「元祖浦安鉄筋家族/浜岡賢次」ばりのセルフ解説もあるし、読み応えも十分の誠意ある1冊です。

・ただ、表紙のあざとさから勃起したいムキから「騙された」と思われるヤンギメンもいるかもしれないな。いいから使え。使用できるだろ。わからんけど。おれはセイバー香奈さんがいいです。ちょっと薄幸でおバカなところがカワイイ。

オススメ
(19:58)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/20日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「進め!怪人くらぶ」1巻 鈴木典孝(KTC)

・闘うヒロインオンリー漫画の「ヴァルキリーコミックス」というなんだか反則じゃねえの?って雑誌に連載されている、反則気味のマンガです。

・マジメな委員長(withメガネ)はストレスがたまると怪人に変身して学園でイタズラをしては、いやがっていたり泣いていたり悔しがっている女子の顔を写真に収めることでストレスを発散させていました。
・ところがあるときロボット少女が転入してきてそのお目付け役になりました。
・ということで、委員長時にも怪人時にもヒドイ目、エロい目に遭う委員長を微笑ましくじっとりした目でみるというマンガです。

・毎回のきわどい怪人コスチューム。それとロボ子さんと委員長さんがドタバタしているうちに半裸でおっぱいモニュモニュな感じになるという、とってもわかりやすく安心してみていられます。それはなんとなく反則かと思うくらいに。

・そつがないんですよね。カワイイ以外いうことない女性描写、細かすぎるけど活きている設定、おさまりのいいギャグ、たぶん雑誌倫理としてあるだろう「エロ基準」を遵守してるとか、なんていうかな、オタクセンスの「規格内」にきちんと収めにきている。その上に、ちゃんとおもしろい。

・作者はSEEDコミックというWEBマンガで連載されていた「しこたま」という本を買って読んでました。そのころより、やりたいようにやりつつうまく要望に応じている巧さを感じます。

・しかし、「水際のエロ」である「少年誌エロ」はこの先どういった方向にいくのでしょうか。闘うヒロインとか、百合とか、そういう微エロ専門誌もたくさん登場してますしね。全作品「やるっきゃ騎士(ナイト)」の月刊少年ジャンプってことですよ。だから、この先、エロはどういった細分化をされていくのか?ってね。

・まあ、そんなこと考えずとも委員長(潮香さん)の発育している身体つき(しかも、委員長時の隠れ巨乳と怪人時の半裸と一粒で二度美味しい状態)と、ロボ子(ようこさん)のロリボディ(カスタマイズ可能)とをタンノウしてればいいんじゃないかなと思うのです。そこいらが微エロの最大有利な点ですね。カワイイ女の子を眺めているだけで幸せ。
(18:13) *「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「ごうがいっ!」まるのすけ(双葉社)

・新聞部と新聞部をたおすためにある闇の新聞部がある学校の戦いを描いたマンガ。
・という設定は100%カンケイない、カワイイ女の子がとにかくこれでもかと登場する。それはいっそのことすがすがしいくらいですし、大局的にみれば、萌えマンガってみんなそうですね。「かわいい」を愛でるために特化した構造になっている。

・太い線にアップ多用で、シンプルな描画だけど、描き分けはできている。そして、いろいろと割り切っている、というか、切り捨てているので、かなりシンプルな描画に負けないシンプルなストーリーがおれには計算外でした。
・それどころか、肝心の女性描写にしても、萌え方面の描写にしても、体操着か制服しかない、舞台はジャスト学校のみ、もっといえば放課後の部活動のみです。授業風景も、顧問の先生も、関係者以外の生徒もいないというストイックさ。
・エロがらみにしても、パンチラすらなく、スカートがちょっとめくれたり、おっぱい触ったりってラインです。

・おれは、シンプルな線で描かれたマンガが好きです。なぜかというと、逆に、すごく美麗な線で精緻な描きこみのマンガがクソって事例に多く出会っているからかもしれません。
・絵がカンタンな分、「なにか」があるから、マンガとしての商品価値が出るという観点で、おれはシンプルな線のマンガが好きです。たとえば、すごく話がおもしろい。少ない線なのにすごく効果的な絵。すごくインパクトがある。

・本作は、その切捨て具合にすごくインパクトを感じました。純粋に技術力の問題もあるんでしょうが、「いらない」で奥行きとかその他のものをばっさり切っている。そいで削げ落とした挙句の「純萌えマンガ」としてそこにあるという感じが。

・実際、切り捨てすぎで、奥行きとか、話とかは、「これはひどい」レベルに足を踏み入れているくらいなんですが、そのレベルなのがおれなんかには刺激的です。

・学校を舞台としたマンガは鉄板でおもしろくなる要素がたくさんあるのですが、「ちゃんと」描くとこれほどめんどくさいところはないですよ。教室に30〜40人ほどの人間がイスに座り授業を受けているという絵はすごくめんどくさい。それを巧くごまかしたり省略したりするのがプロの腕のみせどころですが、本作は、制服=学校というくらいに省略しているのが斬新。

[COMIC SEED!「世界初!完全無料月刊WEBコミック誌!!」]

・と、本作はこのWEBコミックに連載というのがポイントなんですね。実際に、今、本作もあわせていくつか読んでみたところわかりました。

・WEBコミックにおいての作画法というのはあるんだなと。すなわち、精緻に描いてもあまりそれがよくわからないんですね。PCの環境にもよりますが、わざわざアップにしてまで背景がどう描けているかをチェックするようなもんじゃないと。じゃあ、小さい画面でもなにが描いてあるかわかりやすいのが1番ではないかと。

・これはあれですね。週刊マンガの時代に逆行しているかのようなおもしろさがあります。当時の雑誌の紙質や印刷技術だと、細かいトーンや細かい描き込み、特殊な画法は、印刷が飛んじゃうんですよね。だから、イキオイ、シンプルな感じで、なおかつわかりやすい記号的表記が台頭し、現在のマンガになっていくのです。

・現在のWEBマンガも過渡期っちゃあ過渡期で、どうするのが正解か、いろいろとプロもアマも模索中で、正解はまだ出てない感じです。選択肢も多いですしね。「猫村さん」だってWEBマンガですし。

・そして、WEBマンガの紙化といいますか、コミック化もいろいろな問題があるんだなと思いました。ま、ぶっちゃけ、大味にみえるんだよ。まあ、本作、そういうエクスキューズ抜きでも、そうとう大味化は意図的にも施してありますけどね。

・一応いる主人公の手にはたいていおっぱいがモニュンとあるって「キィちゃんのおっぱいハンター」な状況とか、やっぱりいいよな。そこは大味じゃないしきっちり仕事してるなっと思います。不慮のおっぱいタッチを極めているマンガとはいえるか。

・いろいろと過渡期のマンガってことになるんだろうなと。あと、おれも体勢を崩し、とっさに出した手にはもれなく女の子のオッパイの感触がある来世をめざしていきたいとの思いが残りました。
(18:00)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/16日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ファンブル5」桝田道也(ソフトバンククリエイティブ)

・はじめての理系ギャグ入門といったオモムキです。
「Yahoo!コミック」に連載しております。「好評掲載中」ですって。最近はWebコミックが花盛りですね。そろそろWebコミック専門のレビューサイトとか現れてもいいころかもしれません。

・5人のメンバーで行われるシチュエーションコントでしょうか。スターシステムともうしましょうか、レギュラー5人がさまざまなシチュエーションで、さまざまな役割で、コントをするって感じ。ヤングにわかりやすくいうと「大人の漫画」的かな。青島幸男氏が脚本書いて、クレイジーキャッツがコントをしていたアレよ。おなじみだろ。

・あるときはダンジョンに入るパーティー。あるときは長距離移動中の宇宙船。あるときは魔法のランプを手に入れた若者達。後半になると5人って設定すらわりにあやふやになってきて、アルキメデスの風呂場でひらめいて裸で走るってのを大勢でやったり、さとりの化け物(読心術をもってる妖怪ですね)と、スフィンクスの対決など、かなり希薄になってくる、毎回読みきりのなんでもありのギャグマンガになっていく。
・後半は、「モーニング」で連載されていた「浅倉家騒動記」のようにCGがあったり、写真撮影ネタ、はては、中野シズカ氏ばりの鬼のようなトーンワークネタまで登場する。

・まついなつき氏が、とり・みき氏のマンガを称して「理系ギャグ」としたのがそのはじめといわれますが、本作は、同じ「モーニング」の先輩ギャグマンガ家で理系ギャグ使いの上野顕太郎氏をホーフツとさせる、「やりすぎ」感がステキ。

・あと、高度を隠しつつ、意図的にヌル目にして、なおかつ下ネタを盛り込む感じも、「少年向け」を意識しておられる。下ネタったって、エッチ方面より、ウンチとかです。

・感心するけど爆笑しないって感じですかね。本音トーク炸裂でもうしわけないですが。それは、上記の「浅倉家〜」のときにも思ってました。

・それはたぶんに、ギャグ純度が高いことに起因する、キャラの魅力不足が原因かと推測します。

・本作においても5人は、かなり記号化したキャラであり、線目の少年、ロリ娘、食いしん坊のデブ、セクシーめがねお姉さん、編み笠の男というキャラは見た目以上の情報を与えられておらず、話によってフロントだったりワキだったり、ボケだったりツッコミだったり多彩。そのことがさらにコント感を増している。理由はよくわかるのです。でも、モノ足りない。そういう感情はどうしても浮かんできます。

・だから、本作は「モノ足りない」という点では共通してますが、ちょうど、いわゆる「萌え4コマ」の対極に位置する作品じゃないかなと思われます。萌え4コマは、本作とは逆にキャラメイクこそが命で、あとはキャラxキャラの化学反応で起こるオートマチックなやりとりを記録してればアニメ化決定!って感じですからね。

・どちらが正しいということはありません。だけど、どちらが求められているかというと結果はあきららかですよ。タイプミスじゃありませんよ。本作1巻で終わってますし。

・ただ、キャラメイクをギャグのために割り切る姿勢はまことにアッパレです。ギャグに生きギャグに死す。ネタも新鮮だと思いますしね。
・だから、ただ1アクセントほしい。なんでもいいから1アクセント。絵とか、ギャグの傾向に統一性を持たせるとか、邪道だとは思うけどパロディ系をちりばめたりとか。
・そうなることで純度は減りますが「飲みやすく」なるわけです。そこいらは結局バランスとか個性になるわけです。

・とりあえず、表紙は弱点だよな。ゲーム的なシチュエーションが多いけど、あの表紙だと中身を誤解されるし、本来そういうのを読みたい人からは敬遠される気が。

・無数の針の山が生えているダンジョンを鉄の草履を履いてクエストするネタと、らせん階段が延々と続く塔の頂上からすごくイヤなものが転がってくるネタが好きです。

・次回作も期待しております。
(19:36)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/8日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ゲヘヘのヌベコ」1巻 鈴木一世(講談社)

・すごくヘンなマンガ。ジャンルとしてはエロコメ、ラブコメになるのかね。

・カバーみかえしにドーンと載っている「カイジ」ばりの名セリフが本作をよく表しているかと存じます。オビの文句「心温まるブス漫画決定版!!」は賛同しかねます。


アタシみたいなブスな女は
ガードゆるくして
フ*ラでもなんでもしなきゃッ…
女やっていけねーんだよ!!


・バイト先で出会ったブスな彼女は、フェラが超一流です。で、いろいろありながらもカップルを続けているという内容。

・ポイントはヌベコさんです。マンガにおけるブス描写ってのはすごく難しいです。なぜなら基本的にみんな美人だからね。みんなかわいくなっちゃうし。
・ヌベコさんもおれの感覚だと見かけは普通にカワイイと思います。ピラニアチックな牙が生えている口元にカマボコの目に明るいときの猫みたいな細い目にでかい泣きぼくろ。
・で、スタイルはかなりいい。そもそも、メイクさえすれば美人に「化ける」ことができるって設定ですからね。

・彼女は性格がブスなのかもしれない。というか、正直なところ性格設定が破綻しているような気がする。かなり横紙破りな行動を繰り返す。
・たとえば、彼氏が邪険にした腹いせにメイクしてそこいらの男を逆ナンして、彼氏の家でフェラしてたり。彼氏を好きになった女子高生に「もっとアプローチしろ」とけしかけたりね。タイトルの「ゲヘヘ」は彼女の笑い声だし。豪快でガサツで破綻している。

・最初、昔の少女マンガのギャグ、たとえば、土田よしこ氏とか岡田あーみん氏などのドタバタしたキャラが「**じゃー!」って叫ぶようなのを連想したけど、それはパターンとして参考にはしているのでしょうが、本来の行動パターンはまたちがうところにあると思われます。

・それはもうひとつのポイントのフェラです。どうしてこういう設定にしたのか完全にはわかりかねるところでありますが、フェラチオをすごく推してきてます。通常のエロコメでは、エロは「ツカミ」のような役割を果たし、キャラを立たせるための推進力とだけ使用してあとはストーリーとかキャラの魅力貯金で勝負して、エロはないがしろになったりするのがあります。しかし、本作、最初から最後までフェラが重要です。「kissXsis」のキスよりも重要です。
・実際、ピラニアみたいな牙を持ったヌベコさんがフェラをしているシーンは墓場で骨をしゃぶっている妖怪的でもあるんですがね。

・フェラのテクにヌベコさんは絶対の自信を持っています。フェラテクで男を陥落させることにヨロコビを感じてます。それはブスとしての人生を送り学習してきたところで、上記の自虐的なセリフにもつながりますが、同時に最大の武器としても自覚しバンバン使用しています。

・随所でそれを伺えるシーンがあります。これまた、前記の女子高生のアプローチにしても、自分のフェラテクで彼氏、もっとくわしくいうと彼氏のチンポは完全に手なずけているからこその自信だったわけです。といいながらも、女子高生が告るときは心配で隠れて見守っているってお茶目さやかわいさもあるんですが。

・つまり、ヌベコさんって、チンポ自慢のヤリチン男が主人公のエロコメのキャラパターンに即しているんですね。一見みすぼらしい容姿だけど実はセックス達人ってマンガは大昔から綿々と続いております。それを女性キャラに変えてみたってココロミが本作じゃないかと。
・ヤリチンがいろいろな女とやりつつも実は本命の前だとツンデレっぽく振舞うってのも定石ですからね。

・さらにポイントは、ヌベコさんと主人公はフェラだけしか進展してないこと。1回、最後までいくチャンスがありましたが失敗してます。どっちもまんざらじゃないけど、これ以上進展するのがこわくて思いとどまってます。この寸止め感。ほかの男のチンポをしゃぶるのに躊躇ないのに最後まではいってない関係も、前記のヤリチン男子のマンガ的ではあります。

・行動も言動も伴ってはいないんだけど、結局、本人も気づかないところで彼氏に一途ってのがまたいいんですよね。

・でさ、正直なところ、えらいムズムズくるマンガなんだわ。そこいらの成年コミックよりくるんだよ。フェラシーンを中心としていろいろが。なんだろ、このへんな臨場感。前記のとおり墓場で骨しゃぶっている妖怪チックなビジュアルなのにえらくくる。ギャグとしてみてほしい数々がそれと機能せず「エロ」が喚起されてしまうというのはどうなんだろう?
・ちゃんとおれは「そこいらの成年コミック」を読んでいるので説得力があるとは思われますよ。

・正面きって「エロい!」と断言するのはためらいが生じるのですが、ずっとヌベコさんのことを考えてしまうインパクトはあります。マンガには「マンガ力」という絵の上手い下手などに収まらない読ませる力がありますが、同時にエロマンガには「エロ力」というのもあると思うのですよ。これも絵の上手い下手カンケイないです。ただ、「エロ力」は「マンガ力」のそれより普遍性が弱い。個人の嗜好によるものが多いですから、強くいえないところが歯がゆいです。おれがただヌベコさんやフェラシーンが好きなだけなのかもしれないし。でも強く感じたのは事実なのでそれを書き記しているのさ。

・マンガとしては不安定要素が多いです。ヌベコさんの揺らいでいる設定とか、話のぐらぐらな感じ、ギャグのキレとか、そもそもの基本的な描写も。主人公の2人がどっちも人間的にしょうもないことも。

・ただ、その上で、今後、どういう展開を経てケリをつけるのか?って興味はあります。とくに「フェラ」をどう扱うのか。というのも、フェラシーンのない5話がすごくつまらなかったしね。
・でもそれよりなにより、やっぱりヌベコさんがいいのです。毎日決まった時間にフェラしにきてくれる彼女なんて最高じゃないか。「おっしゃあしゃぶらせぇぇ〜」だもんなあ。

・ここまでと、書店で手に取ったり、amazonなんかで書影をみて「ないわあ」と思った諸君には読んでみてくれとおれはいいたい。読むと動くから。ヌベコさんの魅力が伝わってくるはずだからさ。

・まあ、女性には「なんだかな」という気持ちが残るマンガかなと思われますが。

・主人公のアパートの部屋にはダンボールが敷き詰めてありますが、あれはアタリマエのことなんでしょうかね(畳とかフローリングを汚さないようにってことでしょ?)。
(14:38)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「赤灯えれじい」11巻 きらたかし(講談社)

・実はエロい「赤灯えれじい」。というか、ヤンマガのコミックって定期的に変化球のエロマンガをだしますよね。「ゲヘヘのヌベコ」もそうですし、エロという視点でいえば「工業哀歌バレーボーイズ」とかもすごくエロだし、最近はちがうけど「彼岸島」だってエロ満載でした。

・1巻でカップルになり、エッチして、同棲して、わりと定期的にやりまくり、11巻に至りやっと「いきそうだった」と思ってるチーコさんだったりするのですよ。女性は難しいのですね。

・工事現場の交通案内のバイトで知り合ってからかなり紆余曲折を経てる2人を丹念に追い続けているマンガです。10巻あたりからチーコさんのモトカレを並列で描くようになり、11巻でついに接触をはかるモトカレですよ。微妙な三角関係を描いてます。

・あと、11巻で気がついたのは、大阪を舞台としたこのマンガでの登場人物のガラの悪さですかね。チーコさんからしてヤンキーですが、やたらと暴力が渦巻いているマンガだし、登場人物たちのいる環境です。
・112話では、ラブホに努めているチーコの彼氏が客に殴られ、居酒屋に勤めているモトカレが客を殴ってます。117話では、チーコが彼氏をケリ、その2人の仲むつまじいところをみたモトカレが荒れて止めてある車を蹴ってます。

・まあ、かなりのロケハンして、2人の愛と同時に大阪の風景なんかも週刊ベースでよくできるなってくらい丁寧に描いてます。そういう丁寧さがウケてるんだろうなと思います。たぶん、丁寧に描写していくと大阪の暴力にあふれるところも描写しないとダメなんでしょう。そして、丁寧だからこそ、エロシーンがまたいいんですね。こういうじっくりエロ描写ってのは毎回エロシーンがないとダメな成年コミックではありえませんからね。

・ということで、今後、チーコさんが絶頂を迎えるのか?って裏の目的もできたのでおもしろさが増しました。
(16:23)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「HUNTERXHUNTER」24巻 冨樫義博(集英社)

・いろいろあるのはわかります。伊集院光氏もラジオでネタにされているくらいだし。でも、コミックで買い続けているものにはあまりカンケイないんですよね。別にほかに読む本はいっぱいあるし。

・なによりも何年ぶりのコミック? ちゃんと話を覚えていたよ。これがものすごいことだなと思うわ。

・虫の国に戦いを挑むゴンたちってことでね。いろいろと戦っているわけですよ。この緻密さとギリギリの状況で一歩一歩手を進める緊張感はやはり唯一無二のものがあります。アッサリ目の絵(ホメコトバ)がさらにストイックさを醸していますよ。ギリギリの白い絵。
・敵方もかなりいい感じで「スキ」ができているのも上手い。コムギがいいねえ。鼻水がいい。

・ということでおれはすごく満足でした。まー、毎週ジャンプで読んでいる人には怒り狂うだろう休載前の展開であることは想像に難くありませんが。おれもジャンプ読んでいたら「ふざけんな冨樫」派になってました。

・少なくともおれはゆっくり待つのでちゃんと終わらせてくださいね。みんなもそれまでに「HxH」くらいおもしろいマンガを探して読みながら待っていればいいじゃない。
(18:19)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/6日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「盆堀さん」いましろたかし(エンターブレイン)

・たまにいましろたかしが読みたくなるときがある。正直いうと全部読みたいが時間と金の都合で「これはいいかな…」と見送るのがあるわけなんだけど。今回は手にとった。なぜなら「盆堀さん」だから。

・盆堀さんという44歳のオッサン他、いろいろなオッサンのなにもはじまらなくて終わらない日常のカット&ペーストを描いた短編連作集。

・これが本当に身もフタもないくらい、ヤマもオチもない、ああ、こういうのもヤオイなの?ってくらいの、オビにあったコピーのような「清々しさ」というのはどうかと思いますが、実にワビサビなんですね。

[Amazon.co.jp: 釣れんボーイ: 本: いましろ たかし]

・連載していた「コミックビーム」においては前作にあたる、マンガ家ひましろたかしの日常を描いた、エッセイコミックっぽい、この作品とトーンというか、リズムやテンポなど通じるものはたくさんあるのですが、世の中にケチばかりつけていたひましろたかし氏とちがい、本作の盆堀さんや、フライが趣味の盆堀さんのトモダチのオッサン、スロプロ無職で本作じゃドラマチックなほうの春山など、登場人物は、世の中にケチをつけるより、半ばあきらめている感じが多い。「つまんねーな」と思いつつ、少しアクションを起こしつつ、それでも積極的に怒りだすということではないんですよね。

・それが端的にわかる表紙。マンガの一部がそのまま表紙になってます。

・医者にいわれて走ることにした盆堀さん。前を歩いている犬を散歩している女性の尻を「いいな」と眺めます。そいであと5人の女とつきあおうと考えながら走り続けますが、予想以上にしんどいジョギングに5人はムリだから3人でいいなと思うのです。

・登場しているキャラの思考回路はまったくわかるのですが、完全に同意できないのは、おれがまだ「釣れんボーイ」のひましろと盆堀さんの間にいるからかしらね。

・本作の、いろいろと惰性でいながら、缶のコーンスープのような底に少し残るコーンの粒のような希望があるのが、余計にダルさをかもし出しているのですね。

・前記の盆堀さんの女に対するかなりダウナーな貪欲が顕著ですが、うっすらとした欲と野望を抱えながら「いいことねえかな」と思いつつも大きく踏み出すことなく1日が過ぎていく感じがすごくよくわかるんだな。もうハッと気がつくと傍らに寝転がっているような感じ。でも、それは恐怖とか嫌悪じゃなくて、「あ、そこにいたのか」って確認のようなもの。

・しかし、缶の底に残ったコーン粒を口にしたとき残るのはなんだろう。それは60歳70歳になったいましろたかし氏が描いてくれるのだろうか。
・と、まあ、人は選びますので、「そんなマンガ読みたくない」と思った方は素直に止めておかれたほうが吉。得られるものはありません。女性にも向いてなさそう。ま、男のギラギラしながらも空虚な思考回路を垣間みることができますけどね。
(19:00)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/10月/2日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「わたしたちの好きなもの」安永知澄&河井克夫&上野顕太郎&しりあがり寿(エンターブレイン)

・エンターブレイン発というか、「コミックビーム」発の実力派作家の安永さんが、ベテランオッサンマンガ家の原作に挑む、異色のコラボレーションです。原作者もエンターブレイン色が強い、上野顕太郎氏にしりあがり寿氏に、青林工藝舎色のほうが強い気がするけど意外にコミックビームと被っている気がする河井克夫氏。ま、御三方をヒトコトで表すと「THE 異色」と。それぞれ雑誌掲載時に「異色」とか「奇才」「鬼才」と称されるような方ですよ。だれかお1人だけでも創刊号に作品を提供なされると、その雑誌自体がいきなり方向性を見失うくらいの磁場を持ち合わせておるような。

・そのオッサンらを相手取り、秘蔵っ子の安永さんがまた誠実にがっぷりと相手をされ、すごく読み応えがありまして、なおかつ「ウケ」が広いマンガに仕上がってますですよ。麻雀用語でいうと、「多面待ち」です。

・まず、それぞれの原作ファンの方、ロンです。それぞれハネマンです。原作者の新作を読むことができます。「わたしたちの好きなもの」は河井氏の、「ちぬちぬとふる」は上野氏の、「なぎ」はしりあがり氏の新作です。彼ら以外に書くことができない話です。そして、どこでも読んだことのない新作です。

・作画の安永ファンの方もロンです。倍マンいただきます。これだけもアクの強い原作をしのごうとして必死の安永さんのけなげさに涙。そしてその結果生み出された作品の新たな安永色に涙。安永氏の今後に燦然たる影響を予想し、次回作が恐ろしいことになりそうだとの戦慄に武者震いと涙です。

・そして、上記の作者を1人も知らないあなた。大変残念なことですが。ヤクマンです。しかも親のヤクマンですから48000点です。ご愁傷様。4人の才能があふれる作品を1冊でまとめて読むことができますよ。おもしろさが軽く見積もって4倍から2兆倍です。読み終わったあなたはその時点で必ずや日本一の幸せ者になっているはずなのです。

・好きになった男子が次々と失踪するのでいつしか恋に臆病になった女子の半生を80ページのボリュームで描いた、表題作。

・82pのいろいろあったあとの主人公の顔は名著[Amazon.co.jp: 女の生きかたシリーズ: 本: 河井 克夫]の流れにあるものとしか思えないですし、よくこの顔を描けたと思いますし、ここだけでも安永氏のすごさが伺えます。あのラストのモノローグも河井克夫の作品そのものだしなあ。
・それをうまくふくらませたとしかいいようのない、安永風の肉付けもミゴトです。

・続く、上野作品がもっとも異色の取り合わせとはいえます。上野原作は2本あります。「ちぬちぬとふる」「カノン」。まったく毛色のちがう2作品を提示する上野氏がなにげにいじわるだし、さらに「カノン」は故人になられた上野氏の妻の実話をベースにしてあるというシリアスなものだったりします。
・上野氏のトクイな壮大なバカ話を安永氏が丁寧に再現した「ちぬちぬとふる」は、なんだかバカバカしさに2クッションくらい入り、ヘンなバカバカしさが生まれてます。

「カノン」は同名の有名なクラシックの曲にまつわる、小学時代のダークな思い出話は、なにもいわずに提示されると上野原作とは思えず、その思えない具合が、逆に凝り性で読者の意表をつき続けてきたマンガ家ライフの上野氏っぽさを伺え、アクのなさからか、どこまで安永氏が自分を入れたのかわかりませんが、もっとも違和感のない「混ざり具合」でした。
・ギャグ配合多目の作品集でもありますが、ホラー要素(サスペンスといいますか)も多目ですが、この「カノン」が1番怖かったね。

・いくつかの作風があるようにおみうけするしりあがり氏原作の「なぎ」は、なんだかすごく初期の作品のようなバカバカしいやつです。昭和の喜劇映画をマンガ化したかのような。そういや最後の舞台は映画館だな。しかも、あの場面で「ゲド戦記」が出てくるのは、しりあがり氏の原作にあったのか、安永氏のアドリブか。力んでバカやる感じがうまくでていたなあと思います。

・と、たまに、テレビ局がどういった風の吹き回しか金かけて丁寧にドラマ作って4夜連続放送ってやったりするじゃん? そういう感じがしたなあ。なんか、軽い気持ちでみていたらすっげーおもしろくて超ラッキーみたいな。

・と、本作の1番いいところは、たとえば、しりあがり寿ファンが本作を読むことで、河井克夫氏の作品をあたったり、と、多方面に広がりをみせることです。そういった意味でも、全員知らない人はド級のラッキーです。宝物庫のカギをみつけたようなものですから。まあ、そういう意図もあって、後半「これでもか」と作画&原作者のエンターブレインの単行本を紹介しているんですね。残念ながら河井氏のはなかったですが。

・かくいうおれも、安永作品をそろえたいと思いました。イヤ、マジでマジで。「やさしいからだ」とかまだ「コミックビーム」購読していたころに読んだのだけど。

・もう、ここまで読んだ時点であなたは当たり牌をつかんでます。観念して買いましょう。

・で、1番笑ったのは、安永氏の書いた「あとがき」だったりします。そりゃあ親は心配するよなあ。

オススメ
(13:57)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「片岡さんちのクリコちゃん」1巻 地下沢中也(講談社)

・読まずキライで、「パパと踊ろう」は読んでませんでした。「つまらないだろう」と決め打ちで。同じ理由で「アゴなしゲン〜」も読んでませんね。
・そいでもってイーストプレスの「コミックキュー」で連載されていた「兆し」、あとで「預言者ピッピ」として単行本化になるものを読んでかなり認識を新たにし、いつ完成するか、そもそも連載する場所があるのか、というかイーストプレスはやる気あるのか?といろいろな疑問を持ちつつも、「イブニング」に連載されている本作を買ってみたのでした。

・そば屋の娘のクリコちゃんを軸に家族がほのぼのしてるギャグマンガです。ホームドラマです。

・ただ、「異質な視点」を除いては。ここが地下沢氏の真骨頂なんだね。「預言者ピッピ」でもっていたもやもやを本作で解消した。

・本作おれが買った決め手はオビのキャッチコピー「もしも女味のジュースがあったらさあ--飲むかい?」です。仕事明け、クリコちゃんのお父さんが店でビールを飲みながら、オヤジ(クリコちゃんからすれば祖父)とそんな話をするという感じです。
・ギャグの構造としては、実の親子でどうしてそんな中2病的なしょーもない話をするんだ?ってことになりますが、その大前提の視点は、中2のみならずそんじょそこいらの人には思いつかないものです。

・あまりそば屋ネタが多いということもないんですが、とにかく一般的なほのぼのに「これ?」って異質なネタがするりと入り込んで、その居心地の悪さに驚きつつも、成立しているところにも驚く。

・就職活動に失敗した店屋の常連のニートのコージくんがやけ酒あおりつつ傍らにあったサッカーボールを蹴ったらそれがスカウトの目にとまり、Jリーグ入りしたり。
・夜寝るとき、まだ自分の部屋の天井に触ってないことに気がついたクリコさんが触ろうとちゃぶ台の上にイスを置いて、なおかつその上でジャンプしてみたり。
・生まれてきてからの分を書き出して、1分ごとに更新するために寝不足になるクリコさん。
・浅い小川だけどうじゃうじゃに藻が生えていてにっちもさっちもいかずに穏やかに流されているお父さんを助けるために家族全員が服を脱いでロープにして助けたり。

・ありえないくらい飛んでいるところ、現実と地続きのところと2つありますが、それぞれ、異質だよなあと感心する。それでいてあくまでベースは1回8ページのほのぼの家庭マンガですしね。

・正直なところツボに入ってゲラゲラってのはありませんでしたが、ニヤリくらいはありましたし、なによりその着想の異能さに深く感心してしまうってのが多かったです。

・ファンになりました。

・あと、そば屋の奥さんがエロいのでよかったです。またおっぱいを描いてください。
(19:51) *「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)


・[ケージバン]