→トップへ/→コミックインデックスへ

ポトチャリポラパ/コミック/2007年
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2007年/11月
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2007年/11月/23日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ステージガールズ」1巻 上野毛あさみ&黒岩よしひろ(デジマ)

・高校時代に天才と呼ばれていたステージガールズというお笑いコンビ。ところが、デビューしたのはボケのカメちゃんだけ。別の相方と組んでいる。天才ツッコミとよばれたシゲは家業の食堂を継いでいる。

・というあたりからはじまりまして、過去にあったこと、若手女芸人の過酷で悲惨な日々などを描いております。

・作画は(とくに)エロ方面でのべテラン・黒岩よしひろ氏。掲載は、首都圏でタダで配っているって話題になった「コミック・ガンボ」。

[GUMBO.JP でコマジェネしよう!!](会員になったら読むことができるようです)

「ふわふわ」という作品しか黒岩氏のことを知りませんが、本作は、エロ要素はほぼなくて、ちょっと派手にドガチャカかつ丁寧に芸能界を追ってます。なんつーか「ふわふわ」での超展開とか超変なセリフみたいなものはあまりなく、よくいえば堅実に、悪くいえば普通に物語は展開していきます。そこいらは原作の力でしょうか。

・ちょっと内容に立ち入りますが、おもしろかったのは、ステージガールズを解散させた漫才界の黒幕です。ほかにもちょこちょこモデルらしき人は登場しますが、めちゃくちゃ納得の人が黒幕です。ま、松本人志氏なんですが。

・松ちゃんあんなんとちゃうで!的な擁護とか、あいつならやりかねんと、現実とごっちゃにしたバーチャル世代じゃないんで、おもしろさはそういうところより、「漫才」「お笑い」という物語においてイコンといいますか、アイドル(偶像)といいますか、象徴としての存在はやはり、漫才なんてほとんど20年近くやってないダウタウンの松本氏になるってのが印象的だなと思ったのです。もうカリスマがずっと不在のお笑い界なんかなと思ったり。だいたいほかにいねえもんね。ああいう重宝なキャラ。ビートたけし氏はそういう点では過去の人だしね。

・ま、リアルってことでいえば、「吉玉興業」ってところがお笑いを仕切って牛耳っているってのはそのとおりだよなとは思いますけどね。

・そういうことでいえば、女優としてデビューしたい女が話題づくりや知名度アップのためにお笑いをやっているって感じは中山秀征氏がABブラザーズにいたときと似てはいますね。

・と、まあ、気軽に楽しく読むことができます。ちなみに、amazonでのレビューで気がついたのですが、登場女性キャラがモーニング娘。と関係あります。彼女らの起死回生にこれをドラマ化したらどうだろうとかベタなことを思ったりしました。学芸会になるからダメか。

・気になることといえば、越えなければならないハードルがたくさんあることかな。たぶんに着地点はステージガールズが再結成して漫才で成功を収めるというところだと思うのですが、まだ、2人は解散してからニアミスはあったけど、再会すらしてない始末ですからね。ツッコミのほうは芸能界にいないまま1巻が終わりますし。「これってちゃんと終わるの?」と。最近、そういうことばかり考えてマンガを読んでしまうなあ。というのも、最近のマンガは風呂敷を広めにひろげる傾向が強いからなあ。回収できる見込みができてから伏線を張れって。
(16:46)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「白球少女」1巻 山崎毅宣(フレックスコミックス)

・野球キライの野球天才少女が田舎の高校に転校してきて、彼女をひきいれようと野球部の面々がドタバタするマンガ。まだ、ボールを投げるくらいしか野球に関係したシーンがない気がする。

・ダイナミックなアクションシーン。カワイイ女子。と、せっかくの絵の才能があふれてることだし、ちゃんと野球をすればいいのにと思いますが、彼らはわりと遊んだりダラダラして過ごしてます。学校に出没するドロボウを捕まえるのにボールであてたり、主人公の少女の家にみんなで遊びにいったりとか。

・ということで、1巻じゃなにもわからないです。たんねんに部員を描いてますが、もっと物語を進行させてそれにうまくからめればいいだけの話じゃないですか。いろいろなところで妙な含みを持たせずにガシガシ野球をしたり、試合をすればいいんじゃないかと思うのよ。野球マンガのキモはそこだし、そこを描かいてない1巻は、別にラクロスでもセパタクロウでも詩吟でもなんでも成立してますからね。野球である理由付けが見当たらない。これはもったいない。

・たんねんに丁寧に描いてる部員はおれにはちっとも覚えられてない。ただ、楽しそうにやっているってのはよくわかります。それはたとえば、「究極超人あ〜る/ゆうきまさみ」などに通じる、部活で仲間とわいわいやってるシーンが本当に楽しそうとかね。でも、それには野球カンケイない。

・現状、2巻以降読みたいとは思えない。本作だけじゃなくて、ほかのマンガにもそう思うけど、もっとせっかちでいこうよ。1巻で打ち切りだと思っていこうよ。美味しいところをもっと早いうちに出そうよ。
(18:24)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/11月/16日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「日常」2巻 あらゐけいいち(角川書店)

・取り上げるの遅れてもうしわけありません。好調第2巻です。

・2巻でもっとも増えた要素は「カワイイ」と思われる、女子がたくさん登場するギャグマンガです。ネコとロボット(女子高生型)も登場します。

・以前、「それでも町は廻っている」3巻 石黒正数(少年画報社)で、キャラがかわいくなりすぎて違和感があるなんてこと書きましたが、本作ではそれはありません。すごくプラス材料です。とくに、1回おきくらいのペースではさまる、チビッコ天才博士と女子高生ロボット(後でネコも参加)の4コマのやりとりはすばらしいかわいさです。でも、もしかして、これって「萌え4コマってこういうのか」って恣意的なやつかもしれません。つまり、ギャグとしての「萌え4コマ」。ただし全力投球みたいな。

・ロックバンドのアルバムで考えるといいかもしれません。1ファーストアルバム(=1巻)ではその時点のすべてを詰め込んだもので、セカンド(=2巻)ではファーストの延長にありながらもより成熟した演奏テク(女子がカワイイなど)と、新味(萌え4コマがそれになるか)をくわえ、なおかつ、完成度がより高まったという、セオリーどおりのよくできたセカンドアルバムといったオモムキです。しかも、ボーナストラックとして、連載前の「日常」プロトタイプも収録って、インディーズ時代の曲がボーナストラックってオモムキですね。

・通常コマのギャグは、誇張がエスカレートしていくもの、緊迫した状況が加速していくものと、基本2種ありますね。ま、同じようなものか。とにかくエスカレートしていくタイプ。

・2巻で分類すると、誇張が〜は、ダジャレを相手にしてくれないからどんどん大げさになっていくもの。緊迫した〜は風邪でフラフラなのに手品をみせるといいながら、どんどんタネがこぼれていくもの。

・個人的に、小テストに添える挿絵のネタは大笑いでした。おれはこのタイプが大好き。

・無音ツッコミや無音リアクションも、最近は廃れつつあるパターン(思えば、ダウンタウンが、シュールなボケにきっちりツッコミというカタチで登場しマンガにも影響を及ぼしているってことなのかな)ですが、作者の処理はすばらしいです。新たなパターンを作りつつありますね。

・1巻でもあったサイレントをまたさらにうまく利用してます。「日常の27」のように全編サイレントってのもそうですが、それの応用になるのかしら、だいたいすべてで1ページに1コマ以上、無音(コトバがない)のコマを用意してるあたりの緩急の画面構成が巧いです。無音コマで笑えるマンガです。

・ハシ休めということでもないですが、博士たちの4コマもすごくいい感じ。このまま「きらら」とかで連載してもOKでしょうしね。

・このペースが保たれればサイワイだよなと思います。小冒険くらいはOKだけど、あまり各方面に突出しすぎるとちょっと美味くなくなる可能性はありますね。2巻のバランスはサイコーです。あらゐ氏のマンガ家人生において行き詰ったときなんかは2巻を読み直せばいいと思います。とくに「カワイイ」のバランスがすごい。

オススメ
(17:35)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「空想科学X」1巻 saxyun(メディアワークス)

・生玉子を割るでしょ。そうすると、玉子のカラのカケラが入り込むことがあるじゃないですか。それを取ろうと容器の中に手を入れても、白身のヌルっとしたやつでなかなか難しい。指を近づける圧力みたいのでスルリと逃げたりする。

・いやまあsaxyun氏のマンガについて語ろうとするのはそういうことかなとたとえに用いたのですが、あまりいいたとえじゃないですね。

・博士と助手のダラダラ科学4コマです。マッドサイエンティストっていうほどじゃないユルさですね。講談社ブルーバックス風味の装丁もステキですが「理系ってこうだろ?」ってかなりまちがってボケていってる非理系のギャグです。だって、「暑気払い」ってテーマでの1本で、うなぎを背中から入れて「ひゅーっ」って叫ぶ理系ギャグってないでしょ?

・マンガのネタのひとつに「低反発枕」って新発明があります。ネコ型の枕ですがセリフをしゃべりはじめます。「学校行きたくねえなあ」「…行くけど」って。つまりちょっとだけ反発してるってことですね。本作もそうかもしれない。

「ゆるめいつ」でもそうだけど、「ユルい」とか「脱力」をハシラにしてそうなイメージがありますが、それに囚われすぎると、saxyun氏の作風というか芸風を見逃す気がするんですよね。とはいえ、上記の玉子のたとえのようなとらえどころのなさが非常に難しさをかもし出したりするんですよ。だから、「低反発」な作風じゃないかと。
・磁力の弱い磁石の同じ極同士をゆっくりと近づけるとフニャンと力なく避けていく。そういうあらゆるものにやわやわと反発しているのがsaxyun氏の持ち味じゃないかなと推測してみたのですよ。断言するには資料が少なすぎるので推測です。

「ゆるめいつ」のほうは、ファミリー4コマor萌え4コマシバリといいますか、少し配慮している風ですが、本作はバリバリやりたい放題気味です。このファミリー4コマとバリバリ時の対比は作者の本質らしきものをみるのに有効じゃないかと仮定してみたりもします。kashmir氏の「百合星人ナオコサン」と「○本の住人」とかね。

・この不確定性のカタマリのようなマンガでひとつ断言できることは、カラーのグリグリ目のコトさんはすごくカワイイということです。本編でもこの目でやってほしいと思うのですが、万が一そのことを知った作者に反発されたらイヤなので、カワイイよなあとコッソリ書くに留めておいて、リクエストとかはしないのです。
(19:21)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/11月/15日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「まちまち」1巻 かがみふみを(双葉社)

「ちまちま」という双葉社のかがみ作品と逆だから「まちまち」ってことなんでしょうか。まあ、後半にちゃんとタイトルの内容が描かれてますけど。

・背の高い彼女、背の低い彼氏が、お互いにお互いの身長を気にしつつも、愛を育んでいく不純異性交遊マンガです。不純じゃないですね。純異性交遊マンガか。いや、まだ足りない。純は「準」のほうかな。異性交遊の前段階です。交遊してないもん。交友ですか。
・などとくだらないコトバ遊びはここまでにして。

・お互いに好いているのですが、背の高さがネックとなり、お互いが「つりあわない」と思っているところからはじまります。そして、おずおずと告白し、探り探り交遊していくんですが、ほんのちょっとしたことがネックになったりしてまたギクシャクし、またお互いに歩み寄っていくというものです。半歩づつ「すり足」で歩み寄っていきます。

・ファーストシーン。通学電車。主人公の彼女は、満員電車の中、身動きがとれず、なおかつ背が高いので、つり革が顔に当たってすごく不快がってます。朝からブルーです。
・隣の背の小さい親友にヒトコトいってポジションを変えさせてもらったりとか、いろいろ手がありますが、背が高いのに気が弱い彼女はいえません。ま、「気が弱い」ってのはかがみ作品のメインキャラの宿命ですけどね。


じめじめした
プラスチックが
ぺとぺと…


・この表現、なにげにかがみ作品に通じるものがあります。例によって彼氏も彼女もウエッティに悩んでいます。じめじめしてます。でも、その悩みは第三者的には軽いものです。本作でいえば再三再四繰りひろげられる身長の高低差の悩みとかね。だから、まさに梅雨時期の妙に湿ったプラスチックのつり革のような感じですよ。

・そして、それがつり革のように不快だったらアウトですが、このウエットさと軽さは逆に、微笑ましさと愛らしさに転化されるわけです。

・親友のコがウサギのヘヤピンを持っている。つけてみなよといわれるがデカイから似合わないと固辞するも、強引な親友につけられる。自分でもまんざらじゃないけど、それをつけて出たところ、彼氏(この時点ではまだつきあってない)にみつかる。彼氏はヘヤピンのキャラがかわいくてクスと笑うが、それを似合ってないから笑われたとショックを受ける。あとで2人で会ったとき、もうヘヤピンをつけてなくてなおかつ落ち込んでいる彼女に問いただして、その場でつけさせ、「ちゃんと似合ってかわいい」といいながらお互いに真っ赤になるんですよ青春〜。

・と、ハタからみてるとかなり「どうでもいいよ」と思えることを、当事者なみにどうでもよくなくさせる手腕は相変わらずですね。この2人に感情移入してるわけでもないですが、なんだかドキドキしてしまう。すごくデリケートだでよ。「カイジ/福本伸行」とはなにもかもちがうけど、「緊張感」ってことでは似たようなものがあったりして。

・つーか、おまえら身長差気にしすぎだよ! って怒鳴りたくなるくらい。身長のことで慎重になりすぎってなっ!

・わりとかがみ作品全部に共通しているのは、「相手はなにを考えているだろう?」って悩むところですよね。でも、これこそが意外に世界の最大にして最高の謎なのかもしれないですねと知ったような口をききつつ終わるのです。
(18:19)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「おたくの娘さん」3巻 すたひろ(富士見書房&角川グループパブリッシング)

・まいった。やっぱこの人、すげえわ。

・2巻の終わりでは、「レイニー止め」(作者解説による表現)だったのです。オタクの男がふとしたことで9歳の子持ちになってしまい四苦八苦というコメディですが、2巻では風邪をひいて調子の悪い、娘を置き去りにして、エロゲーの発売イベントにアキバで並んでいたのですが、そうこうしているうちに娘さんは入院になってしまうという重い重い展開でした。

・もともとがギャグ配合が強めなマンガにおいて、ここまで重くして収拾がつくのかとたいそう心配していたのですが、すばらしく鮮やかにクリアしました。3話かけてカンペキにクリアしました。100点満点の「リセット」でしたよ。で、4話目(19話)から、新展開という。
・ま、リセットと書きましたが、それまでの蓄積データは残ってますし、レベルアップもしている、リセットです。父と娘の絆が強まったってね。

・思った以上のクリアの鮮やかさになんか騙されてる? とか、アラをみつけようと反射的に構えてしまうのは、おれの悪いクセですね。素直に感動すればいいんだよな。それくらい、手品のような鮮やかさなんですよ。その後も、かなりうまいエピソードをはさみ、なんかの冗談のように脱力する小ネタをはさむという巧者ぶり。

・まったくスキがないんだけど、なんだろ、たとえるなら、「渡辺篤史の建もの探訪」に登場するような、デザインが斬新で、住環境も考えられて、遊び心も忘れてないけど、実際住んだらすごく落ちつかなそうと思う家のような感じといったらいいか。
・そう思うってコトはどこか引っかかるところがあるって思っているんだけど、それがなにかよくわからないってことなんですね。

・とはいえ、90%は「おもしろい」なんですよ。それは間違いありません。なんとなればオススメ出してもいいくらい。ただ、10%になにかひっかかるものがあるってことです。

・端整すぎるのかな。「物語ですよ」って感じが強すぎるのか。

・うんまあ、ひねくれモノのつける負け惜しみみたいなケチなんですけどね。たてもの探訪の家にも実際に住んでいる人がいるように本作をすごく気に入ってる人がいるでしょう。というか、すごく正直にいうと本作もたてもの探訪の家もうらやましさからの嫉妬みたいな感情すら巻き起こっているのかもしれない。なぜそんな感情なのかはよくわからないんだけど。おもしろすぎて悔しいのかしら。

・主人公の性格がどうもおれの中で相容れないものがあるような気がするのかもしれない。現段階でもっとも近い感情の理由がコレ。あとは4巻での宿題ということにさせてください。

・ということでほぼオススメです。おもしろいから読もう! とくににっちさんの鼻がおもしろい。たがみよしひさ氏の描く鼻ってこれだよな。
(19:37)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/11月/10日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ヒャッコ」2巻 カトウハルアキ(フレックスコミックス)

・やった。きたぞきたきた。
・1巻のとき、「夕日ロマンス」と戸口の裏くらいにはもうおいでなさってましたが、おれ的にビッグバンがきました。このマンガサイコーです。すんげーおもしろい。

・女子高生の日常ギャグ。トラコさんとクラスの面々の暮らすを描いているわけです。

・毎回1キャラ登場パターンは2巻でもわりと健在で、これはあんた「すくらっぷブック/小山田いく」かってくらいクラスの女子全員を登場させるまでやるつもりか?ってイキオイです。

・また、キャラがもう何百回転かしたあとのベタ中のベタで推していきますね。もうTHE昭和な感じのベタさが、かえって新鮮に感じるパターン。

・ロボットを作るくらい頭のいい科学者女子。
・貞子チックな暗くて友達がいないロングヘアーで顔も隠れてる女子。
・ナイスバディでうざいくらい人なつっこすぎる泣き虫女子。
・1人が好きな読書家女子。
・あたりが2巻からのニューカマーかな。これら(プラス今までのキャラも)を上手に配置しての集団劇もいいですね。ドッジボールとか。

・たとえば、「バンブーブレード/五十嵐あぐり」あたりがもっとも先鋭的ではあると思いますが、キャラメイクにおいて、セオリーというもの、定型というのは存在すると思われるのです。「バンブーブレード」あたりはそれをできるだけスカすことで新たな「カワイイ」を模索しているのですが、本作ではあくまでベタなんですよね。それでいてなんだか知らんけど、猛烈に新鮮な「カワイイ」がそこにある。

・いやもうなんかすごく久しぶりなんです。なにがかというとキャラに愛着ができて、「**もっと活躍しねえかな」とか、「この**の顔サイコー」とか思いながら読むの。中1のウチとこのガキと同じじゃねえか。「骸様ァァアアアア!!!!!!!!(何」ですよ。なんなら、恒例のキャラ人気投票に応募ってなくらいですよ。というか、前記の「すくらっぷブック」もそうだったな。キャラの1人に同名がいてね。そいつが活躍しねえかとずっと注目していて、画面のハシッコに映っただけで、「あ、ここにいる!」ってね。

・タツキというお嬢様キャラの家に無断で遊びに行くトラコご一行というネタで胸がつまったのです。なんだろう?すごくヘンな感情が渦巻きました。そして最後のトーマとのエピソードでも。
・別段泣かせる意図もカケラもないところで勝手にハマって感動しているという痛さですが。

・アレだね。トラコさんが「あずまんが大王」におけるともちゃん的な、ひっかきまわし役になっているのは、キャラが続々増えても対応できるための必然だったのですね。人の領海範囲にズケズケと入り込むことができるキャラじゃないと話が進行しないしね。
・1巻では思わなかったけど、トラコさんはいいコだなあ。

オススメ
(19:22)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

2007年/11月/9日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「キューティーハニー a GoGo! 完全版」永井豪&伊藤伸平(徳間書店)

・徳間書店でRYU COMICSだと。なつかしくて涙ちょちょぎれるわ。と、本作もなつかしすぎるわ。

[ポトチャリポラパ/コミック/2005年3月/「キューティーハニーa GOGO!」1巻 永井豪&伊藤伸平(角川書店)]

・2005年の3月ですよ。まだ、モーニング娘。がトップアイドルだったころですよ。Wが両方ともバリバリの現役だったころです。

・ということで、完全ではあるけど完結していないと作者もあとがきで書いておられる伊藤伸平版「キューティーハニー」です。
・いっとき、アフタヌーンとかモーニングであった、「デビルマン」をネタにいろいろ描くってトリビュートの流れにあるものですね。換骨奪胎っていうんでしたっけ。そういうもので、伊藤氏の新作としての「キューティーハニー」ですし、直接のトリビュートもとは庵野監督の劇場実写版ですからね。それにしてもすでに大昔です。そういや、このころ、マンガ原作の実写映画化って妙に流行ってましたね。今もわりと流行っているか。

・その流れで連載されたものでしょうが、全10回で打ち切られ、単行本2巻以降、6話以降にあたるものは、まったくオリジナルの「学園編」になったりします。

・そして、はじめから終わりまでぎゅうぎゅうにアクションをメインとした娯楽が詰め込んであるわけですよ。

・今作は伊藤氏のナイス長所の悪フザケが原作があることだしって、少しユル目の控えめ(ないわけではない)にしてあるのがかなり効を奏しているようで、キューティーハニーの原作というか設定もきちんと踏まえていっているのが新鮮だし、あらためて話作りなどが巧い人なんだなと思ったりもするのです。

・突如東京に巻き起こるテロ(反重力で電車を空から降らせるというテロ)、そしてシスタージルなるものの犯行声明。それに敢然と向かう謎の美少女・キューティーハニー。
・公安庁・秋夏子は一連の騒ぎにまきこまれるばかりか、キューティーハニーこと、如月ハニーと運命をともにしてしまうのダー。

・と、やはりポイントは単行本未収録の学園編ですね。1巻でとりあえず、グランドプロローグ的な感じでキレイに終わってて、仕切りなおしとしての「学園編」です。
・丁寧に伏線を張って、おもしろくなっていきそうなときに、打ち切りを宣言されて、伊藤氏がとった対処は?ってあたりを注目して読むとすごく興味深い。いいよ、「伊藤伸平」ここにありだね。
・打ち切りマンガで漢をみせたっていうと、何話分か「なかったこと」にして、予定通りの最終話をなんのエクスキューズもなく載せた「ファニーフェイス/かかし朝浩」とか、今後の展開予定を主人公の夢見に立った神様(作者)が話しまくる「そして船は行く/雑君保プ」など思い出しますが、本作のアレっぷりもそれらに負けず劣らないものがあります。なにより、終わっているしね。

・あと、ハニーと夏子さんに漂う、ほんのりとした百合風味もなかなか。

・未完(一応帳尻は合わせてありますが)ではありますが、そこに目をつぶり、実は展開するはずだったろう学園編のあれやこれやを想起しつつも、刊行されたことに感謝したいなと思うし、意義は十分あるとも思います。

オススメ
(19:01)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「魔女っ娘 つくねちゃん よせあつめ」まがりひろあき(講談社)

・1巻と2巻のベストセレクションな「不完全版」に対談とかちょっと描き下ろしつければマニアは買うし、アニメとかで知ったビギナーも買うしウハウハ商売です。

・つくねちゃんというお茶目な魔女がいろいろやらかすギャグマンガです。ほのぼの+バイオレンスな感じでね。

・宇宙人が侵略してきたとき、「これ以上やるとひどい目にあわせるわよ」というつくねちゃんの警告を無視した宇宙人は婆ちゃんを末期がんにするという魔法だったりするのですー。

[「少年シリウス」Web漫画:魔女っ娘つくねちゃんWEB]

・これ以上どういうマンガか知りたい向きにはこれをどうぞ。すごく正直に書くと、「新鮮」というのもありましたが、こっちのほうがおもしろかったです。作品自体は「理系ギャグ」のジャンルに近いとは思われるんですが、展開そのものはオーソドックスに起承転結を踏んでいかれる感じのものが多いので、横紙破りのネタ(音声付がとくに)が多いWEB版のほうがより理系ギャグとはいえます。

・意外に死んだり爆発したりが多いけど、下ネタなしで、健全に展開するマンガですね。ま、微妙に変態は多数出演されているんですがね。
・弱点はそのさっぱりしすぎなところですかね。艶っぽさのカケラもないんですね。「つくねちゃん萌え」じゃねえし。

・とはいえ、ファーストインパクトはなかったけど、相変わらず笑ってしまいました。

・上記リンクみて気に入った方はどうぞ。ちなみにアニメはみてません。アニメもいいみたいですね。
(17:21)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)

「よいこのしごと」1巻 まがりひろあき(竹書房)

「魔女っ娘つくねちゃん」の作者による初の4コママンガ。
・普通のOLが就職した先が悪の秘密結社で、怪人や戦闘兵とともに会社ライフをくりひろげるほのぼの4コマ。

・毒は強いんだけど、あたりがサッパリしている作風の人がファミリー4コマ向けに、毒を控えめにしたらどうなるのか?って興味があったのですが、とくにクオリティが落ちていないことに驚きました。

・ぶっちゃけ、仮面ライダーの世界観を下敷きにしており、「**男」って、カニとかニワトリとか犬との怪人がいたり、セクシーな衣装の女幹部がいたり、社長というか首領はよくわからないものだったりしますが、主人公のOLさんは普通の会社の制服を着て、日夜デスクワークに励んでおります。

・雰囲気は和気藹々とした会社4コマで、それが悪の結社というところがミソ。たまには、正義のヒーローと戦ったり、悪事もしますし、目標は世界征服ですが、普段はほかのことでもうけたりとかね。

・たとえば。
・お昼休み、OLさんは弁当で、怪人が「おすそわけしてよ」っていうのに、豚男にトンカツ、カニ男にカニコロッケ、トリ男にトリのから揚げをあげようとして「わざとやってる?」とツッコミいれられる。
・OLさんが悩んでます。同僚の怪人たちが「どうしたの?」とたずねます。そうしたらOLさんが悪の結社で働いていたらサンタさんがプレゼントくれないんじゃないか?と。

・つくねちゃんもそうだけど、無邪気にまわりを傷つけるってキャラではありますね。

・ヌル目で、特撮ヒーローパロって、シバリの中、被りやパクリがないってのはやはりすごいことですね。ネタ自体もどこまでもマニアックになるような題材でありながら、かなり手前で抑えています。

・と、まあ、同時発売の「魔女っ娘つくねちゃんよせあつめ」もそうですが、ストイックなところがありますね。NGのネタを厳密に守りつつも、かなり細いスキマからネタを掘り出しているようなそういった種のストイックさ。

・ヌルさの中にまがり節をにじんでいまして、楽しませていただきました。おれはファンだなとも思いましたけどね。
(19:25)
*「この「コミック」は参考になりましたか? はい / いいえ」(amazonにリンクしてます)


・[
ケージバン]