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ポトチャリポラパ/ミュージック/2002年/10月
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ミュージック/2002年/10月
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2002年/10月/24日
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「Computer House Of Mode」Spank Happy(KICS965)

・デカダン風味のウィスパー女性ボーカルのテクノポップ。
・以前にあったスパンクハッピーとはボーカルチェンジで、なおかつ、1人抜けたんですね。ハラミドリ氏から岩澤瞳氏に変ったんですね。まあ、実質、菊地成孔氏を主体としたユニットになっちゃった感じですね。

・このデカダン風味のウィスパーボイスにテクノってのは懐かしい。だから、ヤングメンには新鮮に映るかもしれない。
・ディップインザプール、カヒミカリイ、コシミハル、そういった80年代(ま、カヒミカリイは90年代か)を彩った歌姫さんらを想起しまんな。
・現代で近いところをいうと、Tommy february6かな。でも、決定的にちがうのは、かなりの思想や理論武装が挿入されているってことだな。Tommy february6ほど悦楽的でもないし、ムード1発な80年代利用って感じでもないんだな。だから、逆にいうと難解かもしれない。でも、80年代テクノと難解ってのは切っても切れないものだしねえ。難解っていうよりインテリジェンスか。


何で何でウソをつくと眠れるの?
あたしはあなたが好きあなたが一番好きなの
(フォーエヴァー・モーツァルト)

・とか

この退屈な国には
もうお金がないわ
街が絶滅しそうね あなた最後の望みよジャンニ
(ジャンニ・ベルサーチ暗殺)

・こんなの。ゾクゾクしますね。こういうスカしたフレーズの数々。

・で、アレンジャーにキャプテンファンクとかいろいろ起用しているのですが、おれは個人的に1曲目とラストのアレンジャー・パードン木村氏がサイコーに気に入りました。とくにラスト曲「ホー・チ・ミン市のミラーボール」が最高でした。もしデカイレコード屋で試聴機があったら迷わず10曲目を聞いてみてください。
・歌詞は、女トモダチとベトナム旅行して、ホーチミンのディスコで踊ってる女の子。世界のどこでもミラーボールは美しいという歌。なんと、平和のメッセージソングだったりしますが。
・YMOは人民服を着て「ファイヤークラッカー」を演奏していたが、スパンクハッピーはアオザイを着て踊ってるワケですよ。そういうのがうれしいし新しい。

・スケッチ・ショウよりも「新しい」と思いました。岩澤瞳氏のウィスパーボイスはロリ心を刺激しますしね。(2002/10/23・11:27:58)
「Electric Mud」Muddy Waters(UICY3201)

・おもしろいよなあ。おれが黒人ブルーズシンガーのCDを買うなんて。変れば変るもんだ。しかも、その変化は誰の影響でもない、てめえ自身の内からのものなんだからな。

・去年、安いCDを闇雲に買うというブームが起こった。もちろんおれ内に。この手法は、「クイックジャパン」なんかにたまに載っていた「レコードやくざ」と同じ手法。流行や新品幻想を無視さえすれば、CDは1/10の値段で買える。たぶん、この1年で「趣味:レコード鑑賞」歴20年の半分、もしくは半分以上のCDを買ってる。全部ではないが、それらを流してると、名作だからいい。オリコンチャートにあるからダメ。浜崎あゆみだからクズ。とかそういうのは本当に意味がないと思う様になってくる。いや、浜崎あゆみは今もってちゃんと聞いたことないし、これからも聞くことはないと思うが。
「浜崎あゆみ気持ち悪いじゃん」
・とは義妹の名セリフだが。

・さて、その安CD買いは、近所のTUTAYAがレンタルと同時に通常CD店を増築してオープンした際の、古いCD300円ワゴンセールがありまして、おれはウヒャウヒャいいながら60枚くらい買わせていただいたの がはじまりなのです。
・だいたいが、300円以下なら、なんでもいいんですよね。ジュークボックスで1曲100円で聞くと思えば、3曲分のつもりだし。ま、今はシビアになったので、シングル程度だと300円も出せませんが。
・その中にあった、ソウル&ブルースベスト30にマディウォーターズが入っていたんですね。これがまたサイコーによかったんですよね。
・あんね、カーネーションの名曲「THE END OF SUMMER」って曲にサンプリングで使われている「ヘイ!」ってのが狂ったように入ってて、なんだかその迫力に飲まれてたんだねえ。ちなみにそのベスト30はそれ以外はあまりおもしろくなかった。

・で、これじゃないかなあと推測して買ったのが本作です。長い前フリだなおい。

・でも、その曲は入ってなかったんです。そして、「でも」、本作は非常におもしろかった。

・発表されたのは1968年。おれの生まれた年。サイケ文化真っ只中で、マディも本人があまり希望しないながらも、サイケアプローチの作品を作らされるハメになった。それが本作なんだわ。
・マディのブルースに影響を受けたジミヘンドリックスの影響を受けたのが本作ですね。ヴァンヘイレンがキンクスの「ユー・リアリィ・ガット・ミー」をカバーしたのを受けて、ヴァンヘイレンのパロディ曲を発表したキンクスみたいなエピソードだね(時系列でいえば逆なんだけど)。

・んー、で、発表当時ブルースファンには総スカンだったそうで(だから、本作の初CD化はかなり遅かった)あるが、逆にサイケ真っ只中には支持されたと。だから、おれも聞けるワケで。でも、そういったものを望むヒトにはサイケな要素が少なすぎであるが、それでも、隙間をねじ込むように入ってくるエレキギター。ふとしたハズミで自己主張したがるリズム隊を押さえつけるかのようなマディの無闇にドスの聞いたボーカルと、非常にテンションが高いことになってます。

・で、本作を聞くと、キャプテンビーフハートがブルースマンってのがわかりますね。なるほど、これの発展系が「トラウトマスクレプリカ」になるんかなと。

・うむ。気に入った。けど、おれがいいと思ってたのはどのアルバムに入ってるんだろう?(2002/10/23・12:19:02)

2002年/10月/4日
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「Audio Sponge」Sketch Show(CTCR14224)

・元YMOの細野晴臣氏と高橋ユキヒロ(個人的には幸宏よりこっちのほうが気分)氏の新ユニット。ゲス トに坂本龍一氏が参加しているのが話題になっているみたいけど、実際、教授(坂本氏のニックネーム) は、曲のモチーフや部品をデータで送ったりしてるだけで、スタジオで3人が根をつめて作業したっての じゃないみたいね。だから、2人の作品ってことにしましょうや。あと、テイトウワとかもかんでるみたいけど。

・いわゆるテクノですね。潔いくらいにテクノで統一してます。それが非常にうまくいってる。

・80年代中ごろから、CDになり、90年代中ごろまで、ハイファイ命な感じがあった。クリア至上主義。その反動で、90年代後半からノイズ音まじりの音楽が出てきた。もともと、ロックにおける必須の楽器であるエレキギターはギター音をアンプによって歪ませることにより、ロックだったからな。だから、ノイズってのはロックへの回帰運動だったんじゃないかなあと。

・で、今、現在はどうかというと、そのノイズ音をさらに磨いているんか?と、本作を聞いて思いまし た。聞いてて気持ちのいいノイズ。一見矛盾している命題に立ち向かってるオッサン2人ってのがスケッ チショウなのかと。
・ラジオやテレビの映らない鳴らないところの音、シャーという音。マイクをスピーカーに近づけると鳴 るハウリング。アナログモデムやFAXの音。ケイタイ等の様々な電子音。そういう「ノイズ」を研磨して、あちこちに忍び込ませる。そして、それが思わぬ相乗効果を生み出している。音楽の不思議。

・突然だが、おれはテクノが嫌い。テクノから入った「趣味:音楽鑑賞」の道だが、いつしか、どうでも いいところに追いやられていた。「要素」としてのテクノは好きだが、全開のそれを買うのは電気GROOVE の「A」以降ない。だから、久しぶりなんだよな。

・というより、テクノとテクノポップはちがうんだよ。おれのきいたYMOやヒカシューやプラスティックスやP-MODELは、テクノポップだ。ロックとロックンロールが、ハードロックとヘヴィイメタルがイコールじゃないように、テクノとテクノポップというのはどこかに線がある。それはまあ、アリテイにいうとそれぞれ個人の持つ幻想みたいなもんかもしれない。
・だから、おれ内に「テクノ」と「テクノポップ」の境界線がある。本作はその境界線上をまたがっている。なんとなれば橋渡ししているというか。おれはそう位置付ける。

・という、ワケのわからん文章も読み飽きた頃だろうから、シンプルな評価。
・ザ・サークルや映画のカバーなどもあるし、細野氏作曲の「スネークマンショー」収録の「ごきげんいかが123」もセルフカバーしてる。ほかに、「WILSON」だの「FLYING GEORGE」という誰に捧げた曲かわかりやすいのもある。
・すべては1曲目。「TURN TURN」。これが全ての流れを決めたのではないだろうか?この曲の到達点から逆算して、すべてに配分された感じ。2人の生み出した音。これを基本に、カバー、ビーチボーイズ風、ジョージハリスン風、そして、ホソノ風、ユキヒロ風といった感じに。

・テクノポップ知らない人にはテクノに聞こえますし、テクノポップ知っている人には懐かしくも新しい 音に聞こえるハズ。おれは後者ね。

・「YMO」1回コッキリの復活で作られた「テクノドン」よりはよほど風通しのいい音になってます。音 のどこをとっても「YMO」が刻み付けられていなければならなかった「テクノドン」に比べると、スケッ チショウは「YM」とか「MO」「YO」とか「あ、はいっちゃた?」って感じ。

・ということで、緩く聞ける最新テクノです。(2002/10/04・14:59:48)


sukekyo@violet.plala.or.jpケージバン