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ポトチャリポラパ/ミュージック/2003年
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ミュージック/2003年/5月
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2002年/5月/10日
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「IN MEMORIA FUTURI」ゲルニカ(TECN-42858-60)

・ゲルニカは、戸川純、上野耕路、太田蛍一の3人からなるユニット。
・当時YMO人気で細野晴臣氏が立ち上げたレーベル・YENレーベルよりデビューした。ああ、YENレーベルと書くだけでもうダメです。数々の思い出がぶわあと蘇る。

・ま、思い出はともかく。

・YENレーベル最大の収穫は、戸川純を世に出したことではないかと思うのです。ついでにいうなら、その後、細野氏が立ち上げたノンスタンダードレーベルの最大の収穫はピチカートVですかね。

・「戸川純」は存在自体が発明といえるような画期的だと思う。それは以後、ジャンルとして認識されるほどのものだ。
・よくいわれてるだろう、椎名林檎氏への影響はかなり大きいと思われる。戸川純氏がいなかったら、今の椎名林檎もまた存在しないだろう。
・腺病質な女性の心理や生理を歌う。たぶん戸川純氏に影響を与えた先達もいるだろう。ただ、一般的に認識されたという点では戸川純氏ほど市民権を得た人はいないんじゃないかな。それは、実に今でもそうかもしれない。

・さて、そうやってみると、椎名林檎氏と戸川純氏の似ているところは数々ある。ただし、その多くは、戸川純氏のソロアルバムであるところの「玉姫様」からのそれが多い。
・なぜなら、上野耕路の、太田蛍一のマネできないからだ。
(念のために書いておくと、椎名林檎氏が戸川純のマネだからダメってワケじゃないですよ。椎名林檎氏のいいところはほかにいろいろある。とくにいいと思うのは、そのバランス感覚だ。これは戸川純氏にはないところだ。あと、長くなるので省略)

・ともすれば、戸川純が在籍していたユニットみたいに認識しておられる方が多いようだが、おれは、上野耕路氏の曲と太田蛍一氏の歌詞があってこそのゲルニカだといいたい。

・と、いいたいことを先にいって一安心しておいて、ゲルニカの紹介。

・戦前の音楽のパロディっぽい線なのかな。今、イチバンわかりやすいのは、北朝鮮のテレビ番組で頻繁にかかる労働賛歌とか、将軍様賛歌とか、ああいう感じですよ。


北の果てサハリン 我等が誇り大油田(大油田交響楽)

駆け巡れ国土を 伸びてゆけ 世界へ せばまりゆく地球よ(交通賛歌)



など。かとおもえば、ラブソングもあるし、スケートや山登りを楽しんだりもしてるわけです。
・「昔」の「モダン」な音楽といった感じです。

・本作は3枚のアルバムと1枚のシングルを完全網羅した、ゲルニカのカンペキ版です。ただ、ミックス違いとかアレンジ違いのモレがあることをおれは知ってるが、さしあたって全容は捉えられます。

・ゲルニカファーストアルバムの「改造への躍動」がとくにすばらしい。
・ゲルニカの商業的成功(というか、ぶっちゃけ、戸川純人気だわな)によりオーケストラになったシングル。その後の2枚目「新世紀への運河」3枚目「電離層からの眼差し」は、元々が音大の作曲科に所属する上野氏のホームグラウンドのものとなってしまう。その音楽は、まがいモノっぽいけどホンモノの弦やホーンズの音になる。鬼のように完成度の高い「音楽」。これが「高すぎる」んだね。

・一方で、1stは予算がないことから、シンセサイザー使用で、なおかつ、ガクガクブルブルとなる仕様として、4チャンネルのカセットレコーダーによるレコーディングなのだそうな。チープなシンセストリング、そして、4チャンネルゆえの広がりのない音像。しかし、ありえない芳醇な音像。これ、4チャンネルで宅録したことある人なら、いかにスゴイかってわかると思う。

・そして、おもしろいことに、その環境のため、以前も以後もありえない、純粋な意味での「オリジナル」なものができあがった。世界中ドコを探しても無い。未来にも過去にも無い。いいきれる。
・キッチュでいて深遠。ポップでいて非ポップ。未来でいて過去。すべてのものから等距離で離れている音楽。それは曲も音も歌詞も歌もそうだ。
・そして、だれも真似ができない。当時の機材を用いて同じ環境でレコーディングしても到達できないだろう。それは、ゲルニカのメンバーにもいえることだ。
・2枚目以降はたぶん、再現できるとは思う。

・ということで、1stだけでも聞いていただけたらいいなと思いました。と、検索したら、残念なことにないんですよ。2枚目3枚目はあったのに。
・で、もしよろしかったお高いですが、本作も。4200円の価値はあります。ゲルニカ全部持ってる人も、ライブ音源、デモ、未発表、なおかつCDEXTRAでライブ映像まであります。

・ああ、ゲルニカ公式サイトでちょっと音が聞けます(ライブですね)。

・すごいですよ。

・おれが音楽を聴きはじめに、ダビングテープで聞いたのが最初。「へーこんなのもあるんだなあ」と思った。それから、愛聴していた。
・実は、戸川純氏よりも断然ゲルニカのほうが好き。一応、YENレーベルでの戸川ソロは一通り聞いてはいたんだけど、「ゲルニカのほうがいいなあ」とは思っていた。妙にもてはやされているのもおもしろくなかったし。
・そして、それから、20年経つ。本作は20周年記念盤ですし。20年もいろいろ聴いてきた。そして、わかった。「すごい」と。似たようなものがない。曲のよさ。それを20代前半の若い3人がなしとげたこと。
・上記の「すごいですよ」というのはそういう「すごい」なんです。
(21:22:12)




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