「上野茂都唄草子 其の四 「布団が俺を呼んでいる」上野茂都(OFF NOTE NON-8) |
・「無人島レコード」という本があります。無人島に持っていく1枚のレコードを取り上げ、その理由を書くというエッセイ集で、その中で、「雲/つれれこ社中」を知りました。これはたいそうすばらしいアルバムでかなり愛聴してます。現在進行形です。「肉屋」など、今でも無性に聞きたくなるときがあります。 ・その中心人物である、上野茂都氏のソロです。4枚目ですね。 ・さて、それとは別に5月は、ゲルニカに大ハマリでした。リンク先を読んでもらえればおわかりのとおり、おれは、ゲルニカ=戸川純ではなく、上野耕路派です。 ・そして、本作は、「上野耕路の入魂サウンドコンクリート」によるものですよ。おれは、上野耕路に飢えていたんですよ。まだ、ゲルニカショックの余波の真っ只中だったのです。 ・本作、全17曲入りで、上野耕路バッキングは最初の9曲。残りはスタジオライブですね。これが、ライナーノーツによると、上野氏の自宅6畳間による完全宅録だったそうですが、完璧ですよ。 ・なるほど、21世紀になるとゲルニカを宅録したらこんな感じだったんだなあと、いろいろと想像が広がる。打ち込みしてる人には聴いて欲しいもんだなあ。 ・しかも、後で理由がわかったのですが、かなり、リラックスムードで、随所にお笑い箇所を挿入されておられる。たとえば、「取り得の私」って曲のイントロは、バカラックのオマージュだったりしますよ。そのほかにニヤリとする箇所がいろいろと。YENレーベル通もニヤリとできるかもしれんね。 ・基本的に上野茂都氏のほうは三味線弾き語りで、そういうのも聴きたいなあと思ったころには、バッチリ後半のライブがその欲求に応えてくれる。 ・三味線のゆらぎのある音が、やっぱり本分なんですよね、茂都さんの場合。 ・で、カッキリしてる耕路サウンドだと、ちょっとヒカシューみたいに聞こえたりして。そういえば、耕路さんはヒカシューのボーカル巻上公一氏と組んだことも多いね。「さいざんすマンボ」のカバーなんか、心底シビレましたよ。 ・これ、帯がおかしいんですよね。「東京洒落男・上野茂都」。彼の場合、オシャレの洒落じゃなくて、ダジャレのほうなんですよね。そう、彼の作詞も相変わらずスバラシイの一語ですよ。 > 君と別れて めがへるつ とってもめがへるつ 目方が減るからめがへるつ やっぱりはらへるつ (めがへるつ) > ・とかねー。 ・そいでもって題材がわりと身近なものが多いんですよね。生活に根ざしていながら、どこか生活から隔絶してる不思議な位置です。四畳半フォークの貧乏くささとはまた一線をひいたところに存在します。 > 徹夜自慢のあん畜生に 教えてやりたい布団の心 布団は何にも言わないけれど 布団の気持ちは良く解る 寂しい時でも 嬉しい時でも 布団はおいらの友達さ 布団よ今夜も有り難う 有り難う (布団が俺を呼んでいる) > ・とりあえず、ダジャレキライな人は向いてないね。これだけは忠告しておきますよ。 ・こういうのが、シャレっ気たっぷりの(このシャレはまたちがうシャレですね)上野耕路サウンドに乗ったり、三味線の音に合わせて、朗々と歌われるんですよね。 ・ああ、すばらしいすばらしい。救われますよ。 ・そして、上野茂都氏のサイトでわかった驚愕の事実。上野耕路氏と上野茂都氏は実の兄弟なんですね。ああ、驚いた。まったく音楽の接点がないんだもんなあ。まあ、本来、上野茂都氏のほうは、絵本描いたり、焼き物やったりしてるんですよね(前記リンクで作品をみることができます)。だから、芸術家兄弟と。 ・つのだたかし(タブラトゥーラ)氏と、つのだ☆ひろ氏みたいな感じですかね。 ・オススメ (19:18:41) |