ぱるの食い意地はスゴイ。餌は充分に与えているのだが人間の食べるモノの方がやはり味も濃くて美味いらしい。この前は落ちている海苔巻きを拾い食いしようとして怒られた(汗)(っていうかどうして道ばたに切った海苔巻きが落ちていたのか謎だ・・・。寺の前だからお供えか何かだったのだろうか???)特に煮たり焼いたり揚げたりしたお肉の匂いなんて、〜もうたまんない!!といった感じだ。更に”つまみ食い”という行為そのものに得も言われぬ快感を覚えるらしく、家でつまみ食いに成功したときのあの満足げな表情といったら・・・・・・笑える。

そんなわけで、ぱるの目の前でそういうものを食べようものなら”必殺ちょーだい”攻撃とともに、何とか欠片でもかすめ取ってやろうと食べてる人間の廻りをうろうろし始めるのだが、人間のモノを食べさせるのは健康の為に非常によろしくないので、心を鬼にしてあげないようにしている(たまに負ける人がいたりするが。自称意志堅固な父だが(汗)でもお菓子は届くところに絶対置かないし、残飯の類は細心の注意を払って処分するようにしているのだが、しかしどんなに注意を払っても、ちょっとしたスキというモノがつい出来てしまう。
 
ある日、私がおやつに前日の昼食の残りのケンタッキーフライドチキンをレンジで温めて食べようととしていると、つぱるが、ふんふんふん!と鼻をひくつかせて、私のところへやってきてしまった。
”うおおお、しまったあああ!!”

・・・・・・こういう場合は、キッチンとリビングの間に簡易バリケードを築き、流しの方を向いてこそこそ食べることになっていたのだが、うっかりしていた。特に今回はケンタッキーフライドチキン。こういうジャンクフードの類は以前の飼い主が与えていたのかぱるは大好きらしく、”ちょーだい攻撃”も鋭さを増す。こうなってしまうと、玄関に追い出そうとしても決して大人しく出て行こうとしないので、残る手段は食べ物を持って2階に上がるかしない。当時、ぱるは階段の上り下りを怖がっていて、どれだけ呼んでも2階に上って来ることはなかった。

すっかり食べ終わって部屋でくつろいでいると、不意に聞き慣れない足音が階段から聞こえてきた。・・・人間のモノにしては軽やかすぎ、そして固い爪か何かで木の床を弾くような足音。そしてわずかに開いていたドアの隙間から進入してくる白い物体。

「うおおおお!ぱるー!!」

塩と香辛料で味付けられ、香ばしく油で揚げられたチキン。ぱるの嗅覚はそんな魅惑の香りを、人間が感じる何百倍も鋭く嗅ぎ取、根深い恐怖心を一気に吹き飛ばしてしまったのだ。

ぱるはいままで未知だった空間に喜々として匂いを嗅ぎまわり、そして見つけてしまった。私が食べ終わったケンタッキーフライドチキンの骨。あっという間に骨をほおばると、喜びいさんで疾走した。
「くるあ!!」
何事かと母親が飛んで来たが、壮絶な追いかけっこの末に、ようやくふんづかまえて口をこじ開け、骨を取り出した。しかし時すでに遅く、ちょびっとだけ飲み込んでしまった様子。ぱるはご機嫌な表情で舌なめずりを繰り返しているが、・・・こんなに固くて脂っこいモノ、よく食う気になれるもんだ。大丈夫か???(案の定、翌日下痢ピーだった。大丈夫じゃなかった(汗)

そっこーで骨の類を始末した。私も一応ぱるを叱って(※登ってきて盗み食いをしでかす方も悪いが、油断して、しかもだらしなく部屋の床に骨の入った皿を置いておいた(!)こっちも悪いので「一応」という注釈がつく(苦笑)ヤツを1階に降ろして今度はドアをきちっと閉めた。しかし、再び獣の気配。
「・・・ぱる?」
呼びかけるとドアをひっかく音がする。おそるおそる開けると、たーっ!と飛び込んできて再びふんふんふん!とケンタッキーの匂いを探索している。もうないっつーの。

そんなやりとりを繰り返していてそのうち夕食時になったが、ヤツは器のドッグフードをてんこ盛りで残している。食えと小言をいってもぷいと横を向き、見上げる先は階段の先の私の自室(汗)どうやらヤツのおはぎ程度の大きさの脳味噌には、「ねーちゃんが二階に行くのは美味しいモノを食べに行く」→「二階に行けば美味しいモノがそこにある」という、おかしな図式が出来上がってしまったらしいのだ。

「〜あのなあ。2階に行くと必ず美味しいものがあるって訳じゃないの!」
そうはいっても相手は所詮はケダモノ。私が二階にいると何度でもやってきて部屋の外でドアをがりがりしてしまう。そこで私は暫くリビングにいることにした。そ知らぬ顔でソファーで新聞を読みはじめると、ぱるも一人遊びをし始めたので、”お、やっと諦めたな?”と思った矢先、今度は私無しで(!)一人で2階に駆け登り飽くなき探求をしに行くという勇気ある行為に走ったのだ。この一件来、階段の上り下りにすっかり自信を持ったぱる王子は、一階と二階を自由自在に行き来をするようになった。・・・・・・素晴らしい。やはりこの世に生きるモノの探求真の力の源は、やはりこれら食う寝る遊ぶの欲求にあるのだ。

しかし、これじゃあ賢いんだか何だかよう分からん(汗)
                             
             

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