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サクラ大百科 第十一巻

Volume 11

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7/25 収録


オフィシャルなんて恐くない?
サクラ2第弐弾

・神をも恐れぬ大暴走2
黒鬼会の目的は?

まさるな蒼紫さんのご執筆


帝国歌劇団・花組公演「愛ゆえに」。
その観客の大半は、オンドレ役のマリアのファンで占められている。
今日もいつもの様に公演が行われ、つい先程大盛況のうちに幕を下ろしたばかりだ。
カーテンコールも終え、舞台袖で一息つくマリア。そこに、モギリの大神一郎がやって来た。

大神:やぁ、マリア。舞台、ご苦労様。
マリア:いえ、隊長こそ・・・今日はいつにも増してお客さんが多かったから、大変だったでしょう?
大神:ははは、まあね。ところでマリア・・・君に話しておきたいことがあるんだ。 舞台が終わったばかりで疲れてるだろうけど、着替えたらサロンの方に来てくれないか?
さくら:・・・ふーん。マリアさんと二人っきりで、一体何のお話をするつもりなんですか?
大神:いいっ!? さ、さくらくん!
さくら:あたしだって頑張ったのに・・・マリアさんばっかり・・・。
大神:わ、悪かった! さくらくんも、お疲れさま。でもマリアとは、決してやましい事をしようとしていた訳じゃないんだ。うん、そうだな・・・ついでだから、さくらくんにも来てもらうとしよう。いいかい、さくらくん?
さくら:はい!(*^_^*
マリア:やれやれ、現金なんだから・・・それでは隊長、20分後にはサロンに参りますので。行きましょうか、さくら。
大神:頼むよ。




マリア:お待たせしました、隊長。
さくら:それで、お話って何なんですか?
大神:ああ。実はこれは・・・由里くんから入手した情報なんだが・・・この帝都に黒鬼会という、新たな脅威が迫ってきているらしいんだ。
さくら:ええ!?
マリア:黒鬼会・・・似てますね、黒之巣会と。何か関係があるのでしょうか?例えば、六破星降魔陣の発動の際に姿を眩ました、紅のミロク・・・。
さくら:ミロク(弥勒)って言うくらいだから、復活の可能性は大きいですよね。
大神:ああ、それは確かにあるかもしれない。君たちが言うように、黒之巣会の生き残りかもしれないし、奴等を操っていた影の組織という可能性もある。その両方ということもあり得るが・・・しかし、全く関係のない新しい組織という可能性も、十分にあるんだ。 だから、今から敵の正体を詮索するのは止そう。敵が誰であろうと打ち破るだけだ。それが俺たち、華撃団の使命だからな!
さくら:大神さん、かっこいい・・・。(ポッ)
マリア:・・・しかし隊長。敵の正体はともかくとして、その目的や戦力を見極める事は必要なのでは? 黒之巣会の時の二の舞は御免ですし、せっかく、いち早く情報を得ることができたのですから・・・。
大神:ああ、分かってる。その為に、今日はマリア達に来てもらったんだ。え・・・と・・・そろそろ由里くんが来るはずなんだが・・・おっ、来た来た。
由里:はぁ、はぁ、大神さん、お待たせしました。ちょっと事務の仕事に手間取っちゃって・・・あら、マリアさんに・・・さくらさんも一緒なのね。 お二人とも、舞台、お疲れさまでした!
マリア:ありがとう。ところで隊長、由里には一体何を?
大神:由里くんには、現在、知り得る限りの情報の収集と分析を頼んでおいたんだ。
由里:そうなんです! もうバッチリですよ。何から話しましょうか・・・そうねぇ、まずは黒鬼会の戦闘能力ですけど・・・。
さくら:・・・ゴクッ。
由里:これは、全然分かりませんでした!
  ガクッ
大神:ゆ、由里くぅん?
由里:だって、しょうがないじゃないですかぁ。まだ、一度も帝都に現れてないんだし。でもまぁ、黒之巣会以上降魔未満くらいに考えておけばいいんじゃないですか?
大神:そ、そんな曖昧な・・・。
由里:どっちにしても彼らの戦力だけでは、帝都を混乱させることはできても、完全に破壊するまではできないと思うんです。もっと絶対的な・・・巨大な力を利用するんじゃないかと・・・そう、あの六破星降魔陣のような。
マリア:それは、確かに言えるかもしれないわね。しかし私たちも馬鹿じゃない。同じ手は二度と通じないわ。と、なると、一体どんな手を使って・・・。
由里:でしょ? だから、あたしもそのことについて、主に調べてたんですよ。その結果、ある一つの可能性に行き着いたんです!
さくら:な、何なんですか、それは?
由里:その可能性について語るには、まず、5年前の降魔戦争まで遡らなければいけません。
大神:(ま、まさか・・・)
由里:その降魔戦争では、出現した巨大下級降魔を、真宮寺一馬大佐が破邪の血によって・・・
大神:わぁあああああああああ!!!!!
由里:きゃっ!?
マリア:・・・・・?
さくら:ど、どうしたんですか、大神さん? いきなり叫んだりして・・・。
大神:い、いや、その・・・そう! 思い出したんだ。さっき下のロビーで、さくらくんのファンの子たちが大勢詰めかけていて・・・ぜひサインをもらいたいって。
さくら:ほんとですか!? ・・・でも、今は大事なお話の途中だし・・・。
大神:いや、そんな事はいいから、はやく行ってやりなよ。な、何といっても、お客様あっての帝劇だからね。
さくら:・・・わかりました。じゃあ、マリアさん、由里さん、ちょっと失礼しますね。
 
   タッタッタ…
 
大神:ふぅ。
マリア:今のは・・・嘘ですね。隊長、一体どうして・・・。
大神:い、いや、いいんだ。それより由里くん、話の続きを。(破邪の血統について、まださくらくんに知らせるわけにはいかないからな・・・)
由里:分かりました。えっと、どこまで話したかしら・・・そう、真宮寺大佐によって降魔は封じられたんですよね。その命と引き換えに・・・。
マリア:5年前の戦いで、そんな事が・・・。
由里:ふつう下級降魔は大きく成長して、その後、上級降魔へと進化します。つまり下級降魔は、その姿が大きければ大きいほど強力だということです。
大神:・・・・・? 話が見えてこないな。その事と今回の件と、一体どう結びつくっていうんだい?
由里:分からないんですか、大神さん? 陸軍対降魔部隊はたったの4人・・・しかも真宮寺大佐は、その中でも最高の戦闘力を持った人だったんですよ。並の降魔を倒すための犠牲にするには、あまりにも惜しい人材なんです。
その人が、自分という戦力が欠けることになっても封じなければならないと感じた相手・・・その下級降魔は、普通じゃなかったということです。
マリア:確かに、わざわざ「巨大」と呼ぶからには、その大きさは異常だったんでしょうね。そして真宮寺大佐は、その降魔が上級降魔へと孵化する前に、何とか封じ込めようとした・・・。
大神:それじゃあ、黒鬼会が利用しようとしてるのは・・・。
由里:そう、ズバリ、その巨大降魔じゃないかと思うんです! 六破星降魔陣が発動しても、破邪の封印は解けなかった・・・少なくとも、それほど巨大な降魔は現れませんでしたからね。 そして、敵はその封印を解き、上級降魔へと進化させて、その力を利用するつもりなんじゃないかと・・・。
マリア:しかし、その仮定が正しいとしても、黒鬼会はどうやってその封印を解くのかしら? あの六破星降魔陣さえもはねのけた破邪の力を・・・。
由里:それについても、あくまで推測ですが、考えられる可能性があります。それは、さくらさんの持っている霊剣・荒鷹です。そして、その荒鷹と対なるものとして存在するという、もう一つの霊剣・・・。
大神:も、もう一つの!?
由里:ええ。そして、その二つの霊剣の力を合わせる事によって、何かしらの力が発動するんじゃないか・・・と、思うんです。たとえば、破邪の封印を打ち消す様な・・・。
マリア:目には目を・・・と、言う訳ね。
大神:・・・そうか・・・ありがとう、由里くん。今日は色々と参考になったよ。しかしまぁ、これはあくまで仮説に過ぎないわけだからな。無視するわけにはいかないけれど、深刻に考えすぎる事もないだろう。
由里:そうですね! 一つの可能性ばかりに目を奪われると、真実を見誤ってしまうことになりかねませんから。
大神:ははは、まったくだ・・・って、さくらくん!?
さくら:・・・・・・・・・・。
大神:(や、やばい・・・今の話、聞かれたのか?)や、やぁ、さくらくん。ファンの子達とはうまくいったかい?
さくら:・・・大神さん・・・どーして嘘ついたりしたんですか ・・・?
大神:い、いや・・・それはその・・・実はきみのためを思って・・・。
さくら:下にいた人たち、みんなマリアさんの女性ファンばかりだったじゃないですか。(ニコ)
大神:(な、なんだ、その事か・・・助かった) あ、ああ、そうだったのか。ごめんごめん!
さくら:「お待たせしましたーっ!」って飛び込んでいったら、何よ、あんた。あんたなんかに用はないわよ」とか、「自分で人気あると思ってんの?ずうずうしいとか、さんざんなこと、いわれたんですよ。(ニコ)
由里:ま、マリアさんのファンって、通のこわ〜い常連さん多いからな・・・あははは・・・
大神:あ・・・あはははは。そんな事があったのか。でも、考えてみたらそうだよな、マリアには女性ファン。すみれくんには男性ファン。カンナには子供のファンアイリスには中年のファンって相場が決まってるけど、さくらくんと紅蘭はどうにも中途半端で・・・・・はっ!
さくら:いいたいことはそれだけですか、大神さん?(ニコ)
大神:ぅあ・・・さ、さくらくん、その腰の剣にかけられた手は・・・。
さくら:かちゃっ。←鯉口切る音
 

破邪剣征、桜花放神ーっ!!!
 
大神:ぎゃぁあああああああああーーー!! !!!
さくら:桜花放神! 桜花放神! 桜花放神! 桜花放神! チビロボー!!! 桜花放神! 桜花放神! 桜花放ー神ーーー!!!
マリア:ち、ちょっと、その辺にしときなさい、さくら! 本当に隊長が死んでしまうわよ!
さくら:はぁ、はぁ、はぁ・・・ぐすんっ。
大神:な・・・なん・・・で・・・チビ・・・ロボ・・・が・・・ガクッ。
マリア:隊長!?
由里:大神さん!!
さくら:・・・・・。
紅蘭:ニヤリ。

<終>  

 まさるな蒼紫さんからさらにサクラ2関連のご投稿が到着しました。試験中にもかかわらず精力的なご執筆には、ただただ頭が下がるばかりの私であります。
 さて。黒鬼会の目的。なかなか大胆な予想ですが…黒之巣会との関連はどうなんでしょう。ミロクについては「太正帝都回顧録」の中で、わざわざ「行方不明」と表記されています。荒鷹と対になる霊剣の存在も「サクラ大戦の謎」で、あるらしいと書いてあったそうです。よくあるパターンの設定ですし、あり得るかもしれませんよ、光の剣ゴルン・ノヴァと…ってスレイヤーズTRYだよそりゃ。
 気を落とすな、さくらくん。私はいつでも君のおっかけだ。ストーカーではないぞ。


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