10/10〜 12/1収録
・舞台音楽が…どうして
サターン音源なの?
紅蘭: | 大神はーん、ご苦労はん。舞台の修理、どないなってる? |
大神: | やあ紅蘭、だいぶ片づくには片づいたんだけど...まだ、見ての通りで… |
紅蘭: | あーあー、今回はふたりともかーなりはでにやってしもたからなあ、こら大変やわー。何か手伝えることあらへんか、大神はん? |
大神: | ありがとう、助かるよ。じゃ、ここ押さえといてもらえるかな。 |
紅蘭: | はいなはいな。 |
トンテンカンテン。
さくら: | おつかれさまです、大神さん! お茶がはいりましたよー。 |
大神: | やあ、さくらくん。悪いね、こんなとこまで運んできてもらっちゃって。 |
すみれ: | いえいえ、お安いご用ですのよ。それより...少尉、お疲れではありませんこと? 今日はずいぶんと派手にやってしまったものですから… |
紅蘭: | へー、すみれはんまで。珍しいな... ははーん、さては大神はんが気になっていっしょに来はったんか。へー、すみれはんもなかなかええとこあるやないの。 |
すみれ: | な、何をおっしゃるのっ! わたくしが少尉のお手伝いをしようだなんて、その、そそっかしいさくらさんがお茶ひっくり返したりなさらないか心配で、それでついてきただけですわっ! |
紅蘭: | もう〜素直やないなー、すみれはんも。はいはい、おおきに。 |
カンナ: | よお隊長、いつも舞台の修理押しつけちまってすまねえな。なんかあたいに手伝えることねえかい? |
すみれ: | んぐ、カンナさんっ! あなたは主役だから明日の舞台にそなえて早く休むように、マリアさんに言われているんじゃないんですのっ! |
カンナ: | そういうおめえだって主役だろうが、なんでおめえまでここにいるんだよ。ははーん、おめえ柄にもなく舞台壊しっぱなしなのが気になってここに来やがったのか。へー珍しいこともあるもんだねー、雨でも降るんじゃねぇのか。 |
すみれ: | な、何のことですの。わたくしはなにも悪いことなどしておりませんわ、何を気にする必要があるんですの。そういうあなたこそ、自分で散々舞台めちゃめちゃになさった懺悔にいらしたんですの? |
カンナ: | なに言ってやがるんでぃっ! 上手の植木っ、そのでけえケツで壊したのおめえじゃねえかっ! |
すみれ: | それはっ、、...野蛮なあなたにつきとばされたからですわっ! |
カンナ: | なんだとぉあたいが野蛮ならおめえはオバンだよこのサボテン女っ!! |
すみれ: | ぬぁ、ぬぁんですってぇぇぇっ!!! |
どんがらがっちゃんがっちゃんっ! | |
紅蘭: | あああやばいっ! はよふたり止めんとせっかくなおした舞台がまためちゃくちゃやあ! 大神はん、なにしてんねん早よ… |
大神: | …で、でっかいおしり…すみれくんの…ぷしゅぅぅぅぅ… |
紅蘭: | うわぁぁぁあかんっ、大神はんまで妄想モード爆走でオーバーヒートやあっ! さ、さくらはん、バケツ、バケツっ!! |
さくら: | は、はいっ! |
どざばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ←防火用水 | |
大神: | ハックションっ! ぶるぶるぶるぶる。 |
紅蘭: | これで目さめたか、大神はん。 |
大神: | さめすぎ、うー。 |
紅蘭: | ほーらほら、すみれはんにカンナはんもケンカやめたやめた! さっさと片づけ片づけ。 |
カンナ: | 仕方ねえなあ。ほらすみれ、そこ押さえときな。 |
すみれ: | いちいち指図されなくてもわかってますわよっ。よいしょ、これでいいですかしら。 |
トンカチトンカチ。 | |
紅蘭: | はは、なんやかんや言うてふたりともけっこうええ調子やないか。なあさくらはん。 |
さくら: | なによ、大神さんったらっ。あたしだって負けてないもん、おしり… |
紅蘭: | へんなもんで張り合うなっ! ...ほら大神はん、なんか質問あったんとちがうんかいな。 |
大神: | あ...そうだった。ええと…「愛はダイヤ」で気がついたんだけど、なんでバックグラウンドの音楽がへぼへぼなサターンの内蔵音源なのかなー、って。ふつう公演のバックにはオーケストラとかがつくもんだと思うんだけど… |
紅蘭: | ...大神はん。田中公平はんがタクト振ってくれはった夏の特別講演「愛ゆえに」は特別や。毎日毎日の公演にわざわざ専属のオーケストラつけとったらとても予算が足りひんわ。 |
大神: | そ、そりゃ...そうだ。 |
紅蘭: | かといって録音盤の音楽でぜんぶすましてしもたら、その日の雰囲気に合わせた音色の工夫とか、こまかい旋律の調整とかがでけへん。そこでウチがこしらえた「えんそうくん」の出番や! |
大神: | え、えんそうくん? |
紅蘭: | そや! これは地下の蒸気演算機と連動しとるんやけどな、管弦打楽器をはじめまあたいていの音色があらかじめインプットされとる。で、楽譜のデータを「きの札」にして蒸気演算機にいれてやれば、あとは計算で和音を作って、拡声器に出力するって算段や! |
大神: | す、すごいじゃないか、それって今流行りのソフトウェアMIDI音源のはしりだ…。そうか、それでどうしても音が安っぽくなってしまうわけだな… |
紅蘭: | そこなんやなー、これ以上音質あげようと思うても蒸気演算機の計算がついてこんで。せめてあの蒸気演算機にMMXがついとったらなー。 |
大神: | ...ない、ない。 |
すみれ: | まったく。いくら予算がないとはいえ、いつもあのような安っぽい舞台音楽ではお客様に失礼ですことよ。次回の公演では、ぜひわたくしの素晴らしいお琴の調べをば、観客の皆さまにご披露いたしたいものですわー。 |
カンナ: | けっ、なにがご披露だ。おめぇが言うならお琴じゃなくてお小言だろうがこの愚痴グチヘビ女ぁっ! |
すみれ: | な、なんですってぇっ! あなたに聞かせるお琴だなんて更々ありませんわ、やはりカンナさんには野生のおたけび大合唱がお似合いですことよこの大ぶわっかザルっ! |
カンナ: | ほほー言ってくれるねぇ。これでも喰らいやがれこのザーマス女ぁっ! |
すみれ: | ほーほっほっほっ、手近の物を投げるだけだなんておサルさんの知能にぴったりですわ。攻撃は華麗にそして優雅に、てぇやあああああっ!!! |
どんしんがんがらがっちゃんっ!!! | |
紅蘭: | あっ、あーっ、あかんっっ、そこはまだ仮止めのままなんや、そこ乗ったらあかんってすみれはんにカンナはん、あ、あ、あ────っ!!! |
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ずっし────ん。 | |
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さくら: | ......... |
大神: | ...明日も、休演、だな..... |
紅蘭: | はいな..... |
アイリス: | わーい、あしたもおひるねだーっ☆ ←いつ来たの? |
・なぜ大神は帝劇に初めて来たのに
食堂だってわかったの?
ユタカさんのご質問に 関雅弘さんがお答え下さいます |
大神: | やあ、さくらくんにすみれくんじゃないか。二人が食堂にいるなんて珍しいね。 |
さくら: | ええ、今度の舞台の打ち合わせをしようと思ったんですけど、ロビーの方は掃除中だったものですから。 |
大神: | ああ、そうなんだ。でも食堂でさくらくんを見るのは初めてだし、すみれくんは初めて会った時以来だよね。 |
すみれ: | そういえばそうですわね。あの時はボーイと勘違いして失礼いたしましたわ。 |
大神: | ははは、そうだったね。食堂で声が聞こえたから何かと思って行ってみれば…… あれ、ちょっと待てよ。どうしてあの時に俺は初めて訪れたはずの帝劇で、ここが食堂だってわかったんだろう? |
すみれ: | あら少尉。そんなこと当たり前じゃありませんか。 |
大神: | え、どうして当たり前なんだい。 |
すみれ: | ほほほほ。それは少尉のわたくしへの愛のおかげですわ。愛する人がどこにいるかなんて、愛さえあれば、初めての場所でもすぐにわかるはずですわ! |
大神: | そ、そうなのかい… でも、俺はあの時に初めてすみれくんに会ったんだけれど…。 |
すみれ: | 照れなくてもよろしくてよ。それは少尉とわたくしが、生まれる前からう・ん・め・いの糸で結ばれていたからですわっ! |
さくら: | ふーん、そんなものなんですかねえ。ひょっとして、大神さんもそう思っているんですか。 |
大神: | いや、さくらくん。別に俺はそういったことは… |
すみれ: | 少尉。別にさくらさんに遠慮なさらなくてもよくってよ。少尉のわたくしへの愛の賜物と、はっきりおっしゃればいいじゃありませんか。ほーっほっほっほ。 |
さくら: | そうですか。でも、劇場って言えば、普通は『案・内・板』ってものが、見やす〜いところにあるんですよ。大神さんも、それを見て隣が食堂だってわかったとかって言うんじゃないんですか。 |
すみれ: | ……… |
大神: | ……… |
さくらの言葉に、硬直するすみれ、さくらのジト目に、座ったまま硬直する大神であった。