カルマール: | う〜む、過ごし易い。この国は気持ちがよい。気に入ったぞ。 | |
山崎: | 何が気に入った、だ。お前はまだ陸続きだが、こっちは来るのが大変なんだよ。 | |
京極: | まったくだ。おまけにここはイスラム圏。俺なんざさっきから髭がない髭がないって馬鹿にされまくってるんだからな。 | |
長安: | 陸軍大臣ともあろうものが髭のひとつもたくわえんからそうなるのじゃ。まったく最近の陸軍は堕落しておる。 | |
京極: | うるさい! 大体なんでこんなところで… | |
カルマール: | 単にフランスと日本の真ん中あたりにあるから、馬鹿な筆者は余たちが集まりやすいとでも思ったんじゃろ。 | |
京極: | いや、筆者が洒落でトルコ語を履修したからだそうな。それが証拠に「イスタンブール」が現地語読みの「イスタンブル」になっておる。 | |
山崎: | ふん。どうせ単位稼ぎに決まっておろう。 | |
長安: | で、今日は何の集まりじゃ。こんなに暑苦しい面子で。 | |
京極: | お前が一番暑苦しいんだよ! その暑苦しい能の衣装ぐらい脱げ! | |
カルマール: | イカにも。そんなことはともかく今日の議題は「長安はやる気があるのか」じゃ。 | |
長安: | どういうことじゃ。 | |
京極: | はっきりいおう。アンタの軍勢は弱すぎる。なんだあの魔操機兵は。 | |
山崎: | まったく。しかも
大型魔操機兵もやたらと弱い。 | |
長安: | あれは動力のせいじゃ。帝撃の連中の蒸気利用を止めるため、金色の蒸気を撒いたおかげでこっちも蒸気には頼れんのじゃ。よって、アレほど大量の魔操機兵も基本的にはわしの妖力のみで動かしておった。じゃがいかに強いわしの妖力とはいえ東京23区を離れたら力が及ばんからな。 | |
山崎: | 23区って…無料老人パスじゃあるまいし… | |
京極: | だがその金色の蒸気も、フィルターで相当防がれたうえに、エリカとやら一人の力によって吹き飛ばされてたではないか。 | |
長安: | やかましい!だいたいエリカの必殺技に力を貸しておったのは山崎! お前の恋人じゃろうが。もう少し悪役の自覚を持つように言っておけ! | |
山崎: | うるさい!貴様言うに事欠いて人の女の文句まで言うか? | |
カルマール: | なに、あの天使はお前の女だったのか? こっちもそれでどれだけ迷惑したか。 | |
山崎: | ほっとけ!俺だってあいつが思ったよりもはるかに弱くて迷惑したんだ… | |
京極: | まぁ山崎の弾劾は本会談の目的でないからそれは納得しておいてやる。だが長安!どうしても言い逃れできんことがある! | |
カルマール: | イカにも! | |
山崎: | 貴様、ミカサを使ったろう。 | |
長安: | うむ。それがどうした? | |
京極: | お前…仕様わかって使ってたか? | |
長安: | 一体どういうことかな? | |
京極: | まず花組のやつらが乗り込んできたとき。なんで高射砲で翔鯨丸を打ち落とさなかった?俺なんかそれで降魔兵器をどれだけ打ち落とされたとおもってるんだ。 | |
山崎: | それだけではない。あの副砲はなんだ。俺もミカサには降魔をどれだけ打ち落とされたか。おまけに米田の野郎、ミカサで人ん家の玄関まで壊しやがって。 | |
カルマール: | いかにも。われら悪役はいつも花組切り札の巨大兵器に泣かされた。今回はその巨大兵器を奪い、ようやくあの憎き花組を始末できると思ったのに。なんじゃあの様は! | |
山崎: | 大体、いくらやつらのいう愛の力とやらが強力でもなんであんなにミカサの主砲がぶった切れるんだよ! 大体口径わかってるか?93cmだぞ! まぁ、それだけ俺の設計して残した双武が優秀だったってことか。 | |
京極: | それはない。陸軍省の調査によると双武は攻撃こそ強いもののかなり打たれ弱い。攻撃力と防御力の単純な甲冑性能の和はカンナに負けるそうだ。 | |
山崎: | ぐ……もともとあれはあやめとハネムーンしけこむために作ったから防御なんか考えてないんだよ!大体シルシウス鋼ってのは高価いんだよ! | |
長安: | そこじゃ! | |
三人: | は? | |
長安: | ときに貴様ら、魔操機兵の材料費や運営費はどうやって稼いておった? | |
山崎: | 俺は天海に教えてもらった徳川埋蔵金を使った。 | |
京極: | あ、貴様!あんな下らんことに埋蔵金使ったのか!道理でヨ○イさんが探しても見つからんわけだ。 | |
山崎: | ウルサい!そういう貴様はどうやって金を手に入れたのだ。 | |
京極: | いわずと知れたことよ。機密費横領に秘書給与ピンはねに決まっておるわ。 | |
山崎: | 貴様!俺だって納税者なんだぞ!政治に金を持ち出すのはいいかげんにやめろ! | |
京極: | えぇ〜、私はですね。国民の皆さんを、騙そうだとか税金を無駄遣いしてやろうとか、そういった考えは全くなかったということをひとつ明確にしておきたいと思います。 | |
山崎: | お前はム○オか…キャラが違いすぎる… | |
京極: | やかましい。お前だって発掘した埋蔵金の所得税払ってないだろうが!あやめから裏とって調べはついてるんだ! | |
山崎: | だから、これはFamilyの問題だから税務署には黙ってろってあれほどいってたのに… | |
京極: | ○ッチーじゃあるまいし…で、カルマール。貴様は? | |
カルマール: | 余か?余の軍勢は特徴的な連中が多かったからな。各地で「万国びっくり人間ショー」をやったら儲かること儲かること。かれこれ100年ぐらいかの。その興行収入で運営しておった。
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京極: | 万国びっくりはまだしも「人間」か? | |
カルマール: | 部下が土蜘蛛のお前に言われたくないわい。それに涙あり笑いありでなかなか評判がよくてな。いつか華撃団の連中と共演するのが夢じゃ。 | |
山崎: | 絶対無理だあきらめろ。で、これが一体なんだというのだ? | |
長安: | うむ。シカミ・ハクシキ・神体・雑魚魔操機兵までは一応マトモな金属使ったのじゃが、それでもう一杯一杯でな。ミカサがらみは全部ブリキと松材じゃ。1000門以上もある高射砲はどうせ補填が間に合わんから高射砲には一切弾丸は入れとらん。あの時のミカサの装備は主砲と副砲だけじゃ。
| |
京極: | ……だが、ミカサには相当数の弾丸が残っておっただろう。 | |
長安: | んなもん米田のボケが戦争利用はしないとか言ってとうの昔に鋳潰しておるわ。わずかに残っておった弾も魔操機兵作りの足しじゃ。じゃがそのままではシルシウス鋼でないことがバレてしまうから色紙でメッキだけしておいた。おかげで全員騙されてくれたわ。 | |
カルマール: | 考えてみれば、一度倒れた魔操機兵を雑魚魔操機兵まで含めて再起動して使ったのはお前だけであったな…納得… | |
京極: | ということは、お前が負けたあとに帝都に振ってきた銀色の蒸気はあれは… | |
長安: | うむ。やつらはわしの粋な計らい、と解釈しておったがあれはメッキじゃ。 | |
山崎: | まあ花組は確かに頑固なまでの楽観主義者揃いだからな…物事の明るい面しか見ようとしない頑固な幸福者集団…… | |
長安: | だから双武の攻撃力を持ってすればブリキの弾丸なぞ切れてあたりまえ。 | |
山崎: | しかし、ムービーを見るとあの時の主砲弾は確かに双武ほどの大きさがあった。貴様の術で弾丸を直径2m位まで大きくしたのではないのか? | |
長安: | 確かにそうだ。だがあれは体積だけ。見掛け倒しなんじゃ。大体いくら松だからといって密度を保ったまま直径93cmの弾丸を2mまで大きくするのに必要なエネルギーを考えてみろ。 | |
山崎: | 松の乾燥密度は0.52g/cm3だから、増加する質量はざっと2トン。相対性理論E=mc2に代入すると1.8×1020J。関東大震災(マグニチュード7.9)で放出されたエネルギー5.0×1016Jと比較すると…関東大震災3600回分か。そりゃ無理だな。
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カルマール: | じゃがならばなぜもっと金をためてから決起せなんだ。 | |
長安: | ぐ… | |
山崎: | 全くだ。天海のくそ爺など数百年も金をためて決起したのだぞ。 | |
長安: | それは……最大の贔屓先であったセ○屋のドリ○ムキャス○支社が文化事業から手をひくことをきめたので金もないのに決起せねばならなんだのじゃ。 | |
三人: | ………………………… | |
京極: | わ、わかった… | |
カルマール: | 攻め立てて悪かった。 | |
山崎: | な、今日は俺たちが奢るから思いっきり呑んでみんな忘れろ… | |
長安: | ふ…すまんな……所詮わしは広○王○なんだ……… | |
こうしてイスタンブルの日は暮れていく… |