カンナ: | よっ、隊長。 |
大神: | ……あ、カンナ。 |
カンナ: | なんだよ辛気くさい顔して。 悩み事でもあるのか? |
大神: | あぁ…実は……こんなこと言っちゃっていいのか解らないんだけど…思い切って言うよ。 最近カンナたち、顔の輪郭が丸くなってないか? |
帝都花組 一同: | うっ(凍り付く面々) |
カンナ: | あー……そりゃあれだなぁ。 隊長が帰ってくるって報せを受けてからちょっと…。 |
アイリス: | 毎日お祝いしてたんだよねっ。 だからぁ、さくらやすみれは… |
さくら: | きゃーっ、アイリス駄目ぇ! 最近袴の腰回りがきつくなったとか |
すみれ: | 体重計に乗るのが末恐ろしいだなんて言ってはいけませんわっ! |
織姫: | …きっちり言っちゃってるデース…。 |
レニ: | 幸せ太り。 |
紅蘭: | あぁっ、そないにはっきり言うたらあかん! |
マリア: | ……まぁでも事実は認めなくてはね……。 |
大神: | (やっぱり聞かない方がよかったかな…?) |
アイリス: | でもこれは幸せがつまってるんだもん。 太ってるんじゃないもんっ。 |
大神: | アイリス…それはフォローになってないよ…。 |
ほほう。 | |
大神: | いいっ!?エリカくん、グリシーヌ、コクリコ、ロベリア!? |
ロベリア: | 面白いことを聞いたねぇ…。 幸せが詰まってる、ね。 あんたも随分詰まってるじゃないか、幸せが? (と、大神の頬をさわる) |
大神: | いいっ? |
コクリコ: | うん…そういわれると…。 |
大神: | なっ、コクリコまで! |
グリシーヌ: | 貴公、巴里から出ていけたのがよほど嬉しいらしいな。 |
大神: | 斧を出さないでくれっグリシーヌ! |
エリカ: | ひどいです、大神さん! 巴里でのことは遊びだったんですね! |
大神: | 何言ってるんだエリカくん! さ、さくらくんたちも黙ってみてないで助けてくれーーッ!! |
さくら: | ぷん。知りません! |
一方その頃、花火はサロンでお茶を飲んでおりました。 | |
花火: | 日本茶…美味しいです……ぽっ。 |
エリカと結婚の約束をした大神。
心はもうすでに巴里へ行っていたのだが、 米田中将より総司令の任をまかされてしまう。 二剣二刀を構成する神刀滅却も託されてしまったし、 のっぴきならなくなってしまった。 さて、どうする大神一郎。 |
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大神: | ……支配人にみんなのことをまかされたけど……
エリカくんは……そろそろ巴里に帰ってしまうんだよな…… 俺はどうすればいいんだ。一緒に巴里にいくべきか…… 帝都に残るべきか…… |
ぼろろろろろ〜ん♪ |
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加山: | なにを悩むことがある、大神。答えは出ているだろう? |
大神: | か、加山!?
天井からでてくるのか窓から入るのかはっきりしろ! |
加山: | ……その話はあとだ、大神。今回は別の話をしに来たんだ。
古人曰く……「二兎を追うものは、一兎をも得ず」 帝都も平和になった……お前は今まで、人のために生きてきた。 そろそろ、自分のために…… 愛する人のために生きるのもいいんじゃないのか? |
大神: | 加山……。 |
加山: | お前のことだ。帝都になにかあったら、飛んでくるんだろ?
なら、それまでは……二人で幸せに生きろ。 米田支配人もそれが望みだ。 |
大神: | そうか……わかった。決心がついたよ。
俺はエリカくんと巴里へ行く。 |
加山: | それでいい……帝都のことは、俺たちにまかせておけ。 |
大神: | (じーん) ありがとう……加山。
お前と会えて、本当によかったよ。 |
そのとき、加山がにやりと笑った。 |
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…そして、大神は巴里へと向かった。 |
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その後、帝都では。 |
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かえで: | 川崎の工場で、大規模な火災発生!
救助活動のため、出動要請されたわ! ………。そ、総司令代理、命令を。 |
加山: | ふっ、わかりましたかえでさん。
大神華撃団、改め加山華撃団花組、出動せよ! |
予想していなかった事態。代理とはいえ総司令の座に座る加山。 加山ならば大丈夫と、その意志をくみとり、 大神は親友にその座を託したのだろうか…… |
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一方、巴里では。 |
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大神: | 帝都でモギリ〜、巴里でモギリ〜♪
あ、シャノワールへようこそ! |
グランマ: | ムッシュ……あんた、しあわせそうだね…… |
大神: | はい? |
全然気づいてなかった。 |
グランマ: | Monsieur! Vous êtes revenus à Paris! Je vous avais attendu pendant longtemps... |
大神: | しまった、久しぶりでコンニャク食べるのを忘れていた。 ぱくぱく…ふんがっくっく。 |
グランマ: | Tout le monde sera heureux de vous voir... ほんとによく帰ってきたね。 |
大神: | はい、只今戻りました。留守中ご不便をおかけしました。 |
グランマ: | 好きな女を追って帰ってきたのかい? ふふふ、ムッシュも男の甲斐性というやつがわかってきたね。 |
大神: | い、いえ、そういうわけでもないのですが… ともかく大神一郎、本日より巴里華撃団に復帰いたしました。今後ともよろしくお願いいたします! |
グランマ: | ん? あんた、何か勘違いしてやしないかい。 |
大神: | はあ? |
グランマ: | パリシィの魂は解放された。巴里も平和になった。華撃団は晴れてしばらく開店休業だよ。エリカたちは人気のダンサー。メルとシーは息の合った司会役。シャノワールは文字通りシャノワールというわけさ。 |
大神: | ええっ!? で、でも、ジャン班長や整備員の皆さんは… |
ジャン: | よう隊長さん、いや今はモギリの兄ちゃんだな。俺たち整備班はもともとシャノワールの大道具役よ。戦い終わってもとの仕事に戻るまでさ。 |
グランマ: | というわけで、シャノワールのモギリとしてなら大歓迎だよ。就労ビザはムッシュ迫水に頼めば何とかしてもらえるさ。さ、早速明日からがんばっておくれ。 |
大神: | ち、ちょっと待ってください。治にいて乱を忘れず、新たなる敵に備えて平時にこそ訓練を怠らず士気を保ち… |
グランマ: | なんだいなんだい。平和はそんなにムッシュの肌にあわないのかい。 |
大神: | そ、そういうわけではありませんが… そうだ、あと10年もすれば今度はドイツ兵が攻めてきますから、とりあえず役にたたないマジノ線あたりの改修など… |
グランマ: | 何いってんだい、ムッシュは海軍だろ。第一なんで華撃団がふつうの軍隊の相手をするのさ。 |
大神: | (し、しまった、何も考えずに巴里まで来てしまったが、華撃団がなければ俺の身分保証がない。でもまあ、エリカくんといっしょにシャノワールで一生モギリというのも悪くないか。いやまて、じゃ帝撃の総司令はどうするんだ… うがー!!) |
グランマ: | はっはっは! ムッシュは相変わらず冗談が通じないねえ。 |
ジャン: | 巴里華撃団がしばらく開店休業ってのは本当だが、活動停止とはひとことも言ってねえぜ。今後ともよろしく頼むぜ隊長さんよぉ。 |
グランマ: | ムッシュの身柄は再びこちらで預かると、ニッポンのお偉方にも話を通してあるから安心おし。 |
大神: | じ、じゃあ、俺は再び巴里華撃団の隊長ということでいいんですね! |
グランマ: | 当たり前じゃないかい。それにトーキョーでの総司令も任されたんだろう? これから忙しくなるよ。 |
ジャン: | 隊長さんがこっちに戻ってきたのは正解だぜ。トーキョーで何かあっても、リボルバーカノンを使えばものの30分でテーコク華撃団、参上!だ。 |
グランマ: | 逆にムッシュがトーキョーにいたら、いくら急いだってここまで二ヶ月はかかっちまうからね。 |
大神: | ははは…あのGを何回も受けたら、そのうちギックリ腰になりそうですが。 |
ジャン: | だらしねえこと言うなって。そのうち日帰りツアーでパリまで戻ってこれるようになるぜ。今あっちでも似たもんを作ってるらしいからよ。 |
グランマ: | そうだね。なんて言ったかね、「ツーテンカク・カノン」だか何だか… |
大神: | (なんで大阪なんだ! さては紅蘭…) |
ジャン: | ま、というわけで今日は隊長さんの復帰パーティだ! 華撃団の嬢ちゃんの相手もいいが、たまには男だけで派手にぱーっといこうぜ! な、いいだろ? |
大神: | は、はあ、どうぞお手柔らかに… |
−東京− | |
紅蘭: | ここから大阪まで、超特急「つばめ」でも7時間はかかる。そしたら大神はんもパリにとんぼ帰りせんと、東京に長いこといてくれはるやろ? |
レニ: | 帝都、パリどちらの非常事態にも、最小時間で対応するためには… 隊長は、常にパリで待機するようになると思う。 |
紅蘭: | (◎▽◎;)はっ。 ウチの、ウチのかんぺきな計算がぁ〜〜〜っ!! |
さくら: | だって、だって、サクラ大戦なんですよ、どう考えたってあたしが正統派ひろいんなのに、こんな結末…ぜったいに何かの間違いです! |
すみれ: | さっくらさん、うぬぼれるのもほどほどになさいまし。とはいえ、わたくしたち帝劇組が正統派、という意見には賛成ですわ。 |
アイリス: | そうだよそうだよー、こんなのぜったいにおかしいよー! |
マリア: | 米田総司令が引退、隊長兼新総司令が海外赴任で不在… たしかに、帝撃にとって大変な非常事態だわ。 |
カンナ: | お、マリア、いま非常事態と言ったな? そうだよな、これは非常事態だよな! |
すみれ: | そうですわ! 非常事態とあらば、さっそく中尉にリボルバーカノンで駆けつけてもらわなければ! |
織姫: | やったでーす! 花組の非常事態、認定でーす。 というわけでそこの吟遊詩人、さっさとボタンをおすでーす! |
加山: | たのむ〜戻ってきてくれ大神ぃー(;0;) やっぱり俺にはこのお嬢さん方の相手はむりだー… |