ロベリア: | 全然まったくキョーミないんだが、仕方ないから聞いてやる。エリカ、お前のその赤い服なんだが…… |
エリカ: | はい! とっても似合ってるだなんて、エリカ照れちゃいます! |
ロベリア: | 言ってねぇよ。肩の部分が必要以上にでけぇんだな。その袖にゃ、どんな意味があるんだ? |
エリカ: | はい!(にこにこ) |
ロベリア: | ……「はい!」じゃねえ。 その袖には、どんな、意味が、あるんだ? |
エリカ: | それはいいとして、ロベリアさん。 |
ロベリア: | 人の質問を簡単に流すな! |
エリカ: | こういう袖のことを一般的には「パフスリーブ」っていいます。「赤毛のアン」でアンがあこがれるドレスが、こんな風なふくらんだ袖ですね。15世紀後半から16世紀前半ごろに、ヨーロッパ上流階級のモードとして生まれたと言われています。 |
ロベリア: | いきなりてきぱき進めんな! |
エリカ: | ふくらんだ袖にはパフスリーブ・バルーンスリーブ・ジゴスリーブ・レッグマトンスリーブ・ビショップスリーブなど様々な種類や呼び方がありますが、その分類はわりとあいまいなようです。私の服はひじまでが大きくふくらみ、ひじから下は細くなっていますから、1890年代に大流行したバルーンスリーブという形が一番近いです。フランス語だとマンシュ・バロン(manche ballon)、要するに「風船袖」ですね。 |
ロベリア: | (エ、エリカ……得体のしれないヤツ……) |
エリカ: | (にこにこ) |
ロベリア: | そ、それでな、そのでけえ袖の中には何が入っているのか、っていう質問が来てんだ。 |
エリカ: | はい! |
ロベリア: | 「愛」と「夢」が詰まってるって、言ってた奴がいるらしいな。 |
エリカ: | いやですねロベリアさん。「愛」と「夢」は心の奥にあるもの。こんなところに入っているものじゃありませんよ。 バカも休み休み言ってください! |
ロベリア: | (こ、こいつ、マジで腹たつ……) |
エリカ: | ロベリアさんは、何が入っていると思いますか? |
ロベリア: | けっ、知るかよ。 |
エリカ: | ちょっと考えてみてください! |
ロベリア: | ちっ、しゃーねーな……そうだな… |
エリカ: | ぶーっ! 時間切れでーす! |
ロベリア: | オマエが考えろって言ったんだろーが! |
エリカ: | それはともかく、やっぱりプリンはリンツに限りますよね! |
ロベリア: | だから勝手に話を変えんな! |
エリカ: | ええーっ!!! |
ロベリア: | な、なんだよ。 |
エリカ: | ロベリアさん、プリン嫌いですか? |
ロベリア: | そういう問題じゃねえだろ! |
エリカ: | ああ良かった。もしプリンが嫌いだったら、エリカのことも嫌いだってことですものね。 |
ロベリア: | 意味わかんねえよ! 「ですものね」じゃねえだろ?! ああそうさ! プリンもお前もきらいだ! |
エリカ: | 話は変るんですけどね。 |
ロベリア: | 勝手に変えんなって言ってんだ! |
エリカ: | プリンにおショーユかけるとタマゴドーフの味がするらしいですよ。 |
ロベリア: | 変ってねえだろ! プリンから! |
エリカ: | でも、タマゴドーフってなんでしょうね? |
ロベリア: | アタシに聞くな! タマゴドーフなんて知るか! |
エリカ: | 駄目ですよロベリアさん、食べ物を粗末にしたら。 |
ロベリア: | してねえだろ! むしろお前だ! |
エリカ: | あ、そうそう、どうでもいいことなんですけどね。 |
ロベリア: | オマエの話は全部そうだろうが! |
エリカ: | この袖の中には、マラカスが入ってるんですよー。エリカのマイマラカス! ほーらほら。(シャカシャカ) |
ロベリア: | …………。 |
ロベリア: | ちっ。エリカ! オマエのそのでかい袖に入ってるらしいマラカスの話だが、面倒くせぇことにいくつか異論反論が来ちまった。 | |
エリカ: | あれ、そんなこと言いましたっけ。 | |
ロベリア: | ああ言った上を見ろ! で、全然まったくキョーミないんだが、もう一度だけ聞いてやる。その袖にゃ、何が入ってるんだ? 今度こそちゃんと答えろ! | |
エリカ: | ロベリアさんは、どう思いますか〜? | |
ロベリア: | オマエがマラカスって言ったんだろうが! | |
エリカ: | ファイナルアンサー?(・_・) | |
ロベリア: | はぁ? | |
エリカ: | もう決めちゃっていいんですかー? お友達に質問できるテレフォン、客席のご意見が聞けちゃうオーディエンス… | |
ロベリア: | どこに客席があるってんだ! | |
エリカ: | コンピュータが二択にしてくれちゃうフィフティ・フィフティもありますよー。 | |
ロベリア: | その前に四択でさえないだろがっ! | |
エリカ: | 仕方ありませんね。ではマラカスでファイナルアンサー! きんこんかん…どろどろどろどろどろどろどろどろ(・_・) | |
ロベリア: | 効果音のつもりか… | |
エリカ: | どろどろどろどろどろどろどろどろ(・_・)…… ……ざんねーん!(^0^) | |
ロベリア: | 超むかつく… | |
エリカ: | 肩には「ガブリエル」の予備のマガジンが入ってるんですよー。腕をつたって袖口から取り出せるから、弾がからっぽになってもすぐ装填できるんですよね。エリカ頭いいです! | |
ロベリア: | じゃあ、この前のマラカスって答えは何なんだ! | |
エリカ: | 弾を使っちゃったあとは、肩がしぼまないようにマラカスを入れとくといいんですよ、ほら(しゃかしゃか) | |
ロベリア: | ……… | |
エリカ: | ただのマガジンだけじゃないですよ。ほかにも…(ガシャン!) | |
ぷしゅぷしゅぷしゅ! | ||
エリカ: | 音速以下の弾で発射音ゼロの「微声冲鋒(ウエイションチュンフェン)」、警察のひとにばれずに撃ちまくるにはぴったりです! | |
ロベリア: | 危ねぇだろうが! ていうかなんで共産圏の武器まで持ってんだ! | |
エリカ: | なら、これなんてどうですか(ガシャン!) | |
ドドドドドぷすドドドドドぷす! | ||
エリカ: | 6つに1つが不発弾の「逆ロシアンルーレット」、主に選ばれし幸運な方は命を救われます。ああ、神の祝福あれ! | |
ロベリア: | なら最初から撃つな!! | |
エリカ: | そうそう、こんなのもあるんですよー(ガシャン!) | |
ぽん♪ | ||
エリカ: | チューリップだま、かわいいです! | |
ロベリア: | 何に使うんだっ! | |
エリカ: | えーっ、修道院の子供たちに大人気なんですよー。この前はチューリップだまのつもりが微声冲鋒入れちゃって大変でした! | |
ロベリア: | はあ、頭イタイ… | |
エリカ: | あーーーっ! | |
ロベリア: | あーもう今度は何だ! | |
エリカ: | マガジン、いっぱい出しすぎましたー。この服、着たままだと肩にセットできないんです。こんなとこで脱げませんー(;_;) | |
ロベリア: | 頼む…コイツとのコンビは金輪際やめてくれ… |
シャノワール地下 作戦司令室 しゅいーーーん、ぷしゅーーーー… | |
大神: | 巴里華撃団・花組、全員集合しました! |
エリカ: | エリカ、集合しましたあ。今日もバシーッと行きましょう! |
グランマ: | わざわざごくろうだね。 |
グリシーヌ: | 今日はどうしたと言うのだ。街では特に変わったことは無いようだが…。 |
グランマ: | ふふふ、そのとおりさ。今の緊急信号はただの訓練だよ。 |
コクリコ: | なあんだぁ、あわてて来たのにぃ。アレクサンドロス(フクロモモンガ)の御飯の途中なんだよぉ(ぷんすか)。 |
花火: | まあ、随分とハイカラなお名前ですね。 |
グランマ: | たまにはこういうことでもないとダレちゃうだろ。5分38秒…まあ上出来ってとこだね。 というわけで、今日はもう解散だよ。 |
わいわい、がやがや、ぶーぶー… | |
大神: | ……。 |
グリシーヌ: | どうした、隊長。帰らぬのか? |
大神: | いや、ちょっと考え事をね。 |
グリシーヌ: | 何を考えていたのだ。わたくしでよければ相談に乗ろう。 |
大神: | うん、実は、作戦司令室に通じている広告塔のシュートなんだけど。 |
グリシーヌ: | ああ、エリカがよく使っておる奴だな。わたくしはあまり街を歩かんので使う機会が無いが。 |
大神: | あれって、街の人がまちがって、転げ落ちてきたりしないのかな。 |
グリシーヌ: | ふむ、よくある質問、FAQだな。 それなら、このファミ通編集「サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜ファイナルガイド」461ページを見るとよい。これによると、あの装置は12個のセンサーで隊員を識別するうえ通常は入れないようロックしてあるそうだ。 というわけで、大丈夫だ、隊長。案ずるな。 |
大神: | いや…ケチをつける気は無いんだけど、ほんとにそうなのかな。 たとえそんな仕掛けでも、エリカくん級の超絶お間抜けマドモアゼルが間違って転げ落ちてこない保証は無いんじゃないかな。 |
グリシーヌ: | まあ、ゼロとは言えんが、そんなことを気にしてもはじまるまい。 |
大神: | それにだよ、そんな複雑な機構にしていたら、急いでるときなんか、エリカくん級の超絶お間抜け隊員はいつまで立っても中に入れないってことにならないだろうか。たとえば、センサーの位置がわかんなくなるとか。 |
グリシーヌ: | …それは…まあ…大丈夫…であろう…と、思いたい…。 |
大神: | なにしろ、刑務所での一件もあるからね…。そこでだ、次のようなシステムを提案したい。 |
グリシーヌ: | ほう。 |
大神: | まずセンサーの数を減らし、作動スイッチも思い切って簡素化する。 |
グリシーヌ: | それだと、エリカは入って来れようが、無関係な者も入ってくるのではないか? |
大神: | うん、そういう場合どうするか、これから実際に見てもらおう。 |
しゅいーーーん ぷしゅーーーー… | |
ダニエル: | な、何だここは!? 真っ暗で何も見えないぞ! さ、さては金目当ての誘拐か? ミーを拉致するとはいい度胸じゃないかっ。どこにいるんだ、でてこいっ。 |
グリシーヌ: | して、こういう場合は? |
がしゃがしゃがしゃん | |
ダニエル: | ひいい、こ、今度はなんだっ。か、金ならやるから、ミーの命だけはお助け… |
大神: | 3、2、1… Va-t'en!(出てけ!) |
どひゅーーーーん | |
ダニエル: | うわーーーーっ! |
ざっぱーん | |
大神: | セーヌ川に叩き込むんだ。 |
グリシーヌ: | …。 (^_^;) |