紅蘭: | さくらはん、すみれはん、実はウチ最近気になる情報を手に入れたんや。 |
すみれ: | なんですの、秘密めかして。 |
さくら: | なあに、また由里さんから? どんな情報なの、紅蘭? |
紅蘭: | まずはこの写真を見てや。 |
さくら: | これは……前大戦の時の大神さん。しかもあたしとの合体攻撃のときの写真!きゃあ、かっこいいわ大神さん!ね、紅蘭これ焼き増ししてくれる? |
すみれ: | (ムッ)ちょっと紅蘭、わたくしと少尉の写真はないんですの? |
紅蘭: | ああ、あるある。あとで全部廊下に貼り出しとくさかい、欲しい写真の下に名前書いといてや。焼き増し一枚10銭や。 |
すみれ: | ……あなた、関西人の「芸人」属性の上に「あきんど」属性まで身につけるおつもり? |
紅蘭: | う。ま、まあその話は後や。そんでもう一枚、この写真も見たってや。 |
さくら: | これは最近の写真ね。大神さんの必殺技の時の1カット……あたしこれも焼き増しっ。 |
すみれ: | で、この2枚の写真がなんだっておっしゃるの? |
紅蘭: | よーく見比べてみてや、なんか気づかへん? |
さくら: | あたし、もう少しにこやかなほうが良かったかな? |
紅蘭: | あんたの写りはどおでもええねん。大神はんや。とくに頭のあたりをよう見たってや。 |
すみれ: | 少尉の頭?(しげしげ)……あ、あら?ちょっと……いえ気のせいかしら…… |
さくら: | ? どうしたんです、すみれさん? |
すみれ: | い、いえ、ちょっとね。やっぱり気のせいですわ、ほほほほほ。 |
紅蘭: | なんやなんや、すみれはんらしくもない。なんでもええから、言うてみてや。 |
すみれ: | いえね、こちらの写真の少尉、なんだかちょっぴりおでこが広いように見えたものですから……ほほほ、わたくしの勘違いですわね。 |
さくら: | ええっ!?こっちって最近の方の写真?(じぃぃぃぃぃぃっ) ……そ、そういえばすこしおでこが広いような……い、いえそんなはずは…… |
紅蘭: | せや!ウチも由里はんに言われるまで気がつかへんかってんけど、明らかに広なってる! |
すみれ: | そ、そんな。ハ、は、生え際が後退なさってるとでも言うの?少尉はまだ22ですのよ!? |
紅蘭: | いや、ホンマ悲しいことやけど、22でもハゲるもんはハゲる。 |
すみれ: | こ、紅蘭、そうはっきりハゲるハゲると言わないでくださる? |
紅蘭: | 現実は直視せなあかん。 |
さくら: | ……だいじょぶ、あたしの大神さんはハゲたりしないわ……この写真も気のせいよ……あたしは何も見なかったし何も聞かなかった……本当のあたしは今あったかいおふとんの中に…… |
紅蘭: | こらそこっ、言うてるそばから現実逃避すなっ。 |
すみれ: | そうですわ、「あたしの」だなんて、いけずうずうしい! |
紅蘭: | すみれはん、あんたのツッコミ、ずれとる。 |
すみれ: | べつにずれてはおりませんわ。さあ、目を覚ましなさいな、この大ボケ娘がっ。 |
大神: | やあ、みんな。楽しそうだね。 |
すみれ: | しょ、少尉!? いついらしたんですの? |
大神: | ? たった今だけど。 |
紅蘭: | (実物や!ちょうどええで!) |
じいぃぃぃぃぃぃぃーっ | |
大神: | な、なんだい、3人して。俺の頭になんかついてる? |
紅蘭: | (ほれ、よう見てみい。生え際のV字切れ込みがするどなってるんとちゃうか?) |
すみれ: | (た、たしかに。実物を前にすると否定しきれない気が……) |
さくら: | (いやーっ、うそようそっ!大神さんはずっとフサフサなんだもん!すてきなロマンスグレーになって青葉城の並木道を一緒に散歩するんだもん!手だってつないじゃうんだからっ!) |
紅蘭: | (わけのわからん人生設計たてるなっ。) |
大神: | あ、あの。なにをこしょこしょ話してるんだい? |
すみれ: | おほほほほ!なんでもございませんのよ少尉。いつもながらりりしいお姿だ、と話しておりましただけですの! |
大神: | えっ、俺がかい。いやあ照れるなあ〜。 |
さくら: | ああっ、大神さん頭かいちゃだめっ!(がしっ) |
大神: | ぐわっ、ど、どうしたんださくらくん。 |
さくら: | おねがいですぅ〜そっとしておいてあげてぇ〜(うるうる) |
大神: | (ぞわぞわっ)そ、そっとしとくって…… |
すみれ: | そうですわ。花組の士気のためにも早まってはいけませんことよ、少尉。 |
紅蘭: | せや。資源が無限やなんて思とったらあかんで。これからは限りあるもんをだましだまし使っていかなあかん。 |
大神: | し、士気?資源?なんの話だかさっぱりわかんないんだけど。 |
さくら: | 大神さん、これからあたし、大神さんにお料理作ってあげます。 |
大神: | (こ、今度は料理?なんだかわかんないけど、さくらくんの目が恐い) あ、ありが… |
さくら: | とりあえず、ワカメのおみおつけ、ワカメの酢の物、ワカメご飯…… |
大神: | ワ、ワカメご飯?さくらくん、気のせいか献立が偏ってるような…… |
さくら: | しかたないんです、大神さん!青葉城の散歩がかかってるんです! |
大神: | あ、青葉城?散歩? |
さくら: | そうです!それとも大神さん、あたしと青葉城を散歩できなくなってもいいんですか!?並木道ですよ!?手だってつないじゃうんですよ!? |
大神: | (こ、こわいっ) ももも、もちろん散歩したい、あ、青葉城が、さくらくんを、並木道とつないでっ。 |
すみれ: | ……少尉、気を確かに。 |
さくら: | それなら、ワカメご飯です。分かってくれますね、大神さん。 |
大神: | は、はい! 青葉城といえばそりゃもうワカメご飯に決まっております!! |
さくら: | 分かってくれるんですね。じゃあ厨房にいきましょう。(スタスタ) |
大神: | は、はい、同行させていただきます!(ぱたぱた) |
| |
す&紅: | ……………………。 |
すみれ: | ……最近のさくらさんの壊れっぷりにはついていけませんわ……「ライバル」という設定が遠い昔のよう……。 |
紅蘭: | ……なあ、すみれはん、ウチ思うんやけど…… |
すみれ: | ……なんですの? |
紅蘭: | こおゆうストレスが、大神はんの生え際後退の原因なんとちゃうやろか…… |
すみれ: | …………。 |
アイリス: | イリス・グラン・ジャンポールっ☆★ きゃははっ、やっぱりアイリスのジャンポールがいちばんかわいーもんねっ。 |
すみれ: | おーっほっほっほ、ガキンチョには熊のプーさんあたりがちょうどお似合いですことよ。 |
レニ: | 必殺技の魅力は、真剣勝負の中においても美意識の追求を忘れない個性の主張… |
織姫: | そのとおりでーす! そしてー、美とはなにか、華麗とはなにかをー、きゅーきょくの完成度でみなさんにお見せするこのわたしの『ヴィアッジョ・ローズ』がー… |
すみれ: | あーら、織姫さんたら指からキテレツなビームお出しになるだけでなくって。華麗とはすなわち戦いの中の様式美、技の形、すなわち鮮やかな長刀捌きをご披露するこのわたくしの『神崎風塵流・飛竜の舞』こそが… |
織姫: | よく言うでーす。すっみれさんのナギナタさばき、あの光武の腕のジョイントでは絶対むりでーす。どーせどっかでインチキやってるでーす。 |
すみれ: | んまーっ!! このわたくしの長刀にいちゃもんつけるとはいい度胸ですわっ!! |
アイリス: | ふーんだっ、ジャンポールがいないとみーんなかいふくできないんだもん、だからジャンポールがいっちばんえらいんだもん! |
レニ: | ボクは……ネギ。 |
きゃあきゃあがやがや | |
米田: | おいおい何でぇこの騒ぎはよぉー。この地下の霊子甲冑名鑑は大神、おめぇ以外はまだ誰にも教えてねぇはずだぞぉ。 |
大神: | す、すみません。みんなも蒸気演算室で必殺技を見てみたいというものですから、つい… |
米田: | ったく仕方ねぇなあ。まぁ、各自自分の必殺技、ないし他の隊員の技をよく研究しィ、今後の戦術に生かすというのであればぁ自由に使ってよろしい。 |
アイ&織: | はーいっ\(^o^)/ |
米田: | (馬鹿野郎! 蒸気演算機がこれでふさがっちまったじゃねぇか。ったく明日は大勝負の帝都ダービーだってのによぉ…) |
大神: | (また勝ち馬予想ですかっ) |
米田: | (くれぐれもかえでくんには内緒だぞ) |
レニ: | あ、ボクの技… |
アイリス: | わーいっ、つぎは『ダス・ラインゴルト』だねっ。うわーレニかっこいいーっ! |
'Erster... Das Rheingold.' | |
大神: | 超重量級のアイゼンクライトに見合ったパワー系の必殺技だね。普段のレニのイメージからは想像できない力強さだ。 |
織姫: | そうでーす。攻撃範囲はぜんぜん狭いですけどー、このすさまじい破壊力にはみならうとこがたくさんありまーす。 あれ? ちょっとまつでーす、あれは、ダス・レニ・・・・・? ぷぷぷぷぷ。 |
大神: | ? いったいどうしたんだい織姫くん。 |
織姫: | うしろの文字でーす、うしろのスペル見るでーす! ぎゃーははははははっ! |
アイリス: | うしろのもじ〜? って、だす・らいんごるとって、かいてあるんじゃないのー? |
大神: | いや、まてよ。そういえば、背景のスペルになんか違和感があるような… Das Rheningold… う、nがひとつ、多い。 |
アイリス: | ほんとだー。これじゃダス・レニンゴルト、になっちゃうよー。 |
織姫: | キャハハハハ、レニが、レーニがスペルまちがえてるでーす。なんか「おしょうさんがペンでミス!」ってカンジー! |
すみれ: | 弘法にも筆の誤り、と言いたいらしいですわね。 |
大神: | しかし、レニが母国語であるドイツ語のスペル間違えるだなんて…一体どうしたんだい? |
レニ: | う…… |
加山: | はっはっは。ついにこの時が来てしまったようだな、大神ぃ。 |
大神: | う、その声は加山っ? どこだ、ここは地下室だぞ、どこにも窓がない。どこだっ、いったいどこから現れるっ! |
加山: | …おまえの横に立ってるではないか。俺だってたまには普通に現れる。 |
大神: | おおう横にいたか。で今日はなんの用事だ加山。 |
加山: | 今日はおまえに用事ではないのだ。…レニくん、バレてしまったものは仕方ない。以前から打ち合わせしてあった通りにいくぞ。このギターだ、そらっ! |
レニ: | (ぱしっ)←ギター受け取る 加山隊長、ボク、こんなの、したくない… |
加山: | だめだ、このままだと誤解はとけないままだぞ。ほら、自分に自信を持って、やるんだ! |
レニ: | うう… わかった、やるよ… |
ボロロ〜ン♪ い、いやぁ、必殺技の背景はいいなぁ〜… 書き割りだけど。 | |
・・・(・O・;)( ・O・;)(・O・;) ← 一同あ然 | |
加山: | というわけだ大神ぃ。あの背景は、必殺技の雰囲気を盛り上げるために大帝国劇場の大道具さんたちが作ったものなのだ。だから慣れない独逸語でスペルを間違えたのだ。よってレニくんに罪はない。 |
大神: | ち、ちょっと待て、じゃあいままでの必殺技の背景は、みんな書き割りだってのか? |
加山: | 当たり前だ。戦場にいきなり軍艦やら桜の花やらが出てくるわけないだろう。あれらはすべて、花組が必殺技を放つたびに、帝劇の黒子部隊たちが砲弾をかいくぐって書き割りを並べた苦労の産物なのだ。 |
レニ: | ううう、ボク、穴があったら…入りたい… |
加山: | レニくん、恥を忍んでよくやったぞ! ではさらばだ、とうっ! しまった窓がなかったっ! しゅたしゅたしゅたっ ← 走り去る。 |
大&す&織: | …………………… |