木喰: | フォーッフォッフォ。どうじゃ、攻める側にまわった帝劇は。ほれ、ぽちっとな。 |
大神: | さくらくん、加山が帝防を無力化するまで、なんとか時間を稼いで持ちこたえるんだ。 |
さくら: | はいっ! |
大神: | では防御重視の陣形で行くぞ。作戦『山』を通達! |
ドドンッ | |
総員: | 諒解ッ!! |
大神: | ・・・・・・ あ、あれ?? |
大神: | なぜだ? おれとさくらくんを除く残りのみんなは、帝劇地下の作戦室で維新軍相手に抗戦中だったはず。どうしてみんなの声が聞こえたんだろう…? |
すみれ: | キネマトロンですわ、少尉。 |
大神: | へ? キネマトロン? |
紅蘭: | 説明しまひょ。光武・改以降の霊子甲冑には、顔画像つきの通信機が装備されてるやろ。 |
さくら: | ええ。武蔵からの脱出時に、大神さんの機体のモニターにあたしと米田長官が映ってたの、みなさんもご存じですよね。 |
紅蘭: | あれのおかげで、搭乗時の意志疎通もずいぶんスムーズになったやろー、えっへん。あれは要するに、携帯型のキネマトロンをちょこっと改造して載せてあるだけなんや。 |
マリア: | なので、天武に乗った隊長とさくらとの交信は、すみれが持っていたキネマトロンのチャンネルを合わせれば簡単に受信できたわけです。 |
カンナ: | それで、隊長の『山』作戦の指示を受けて、みんなで「了解!」の返事をしたってわけさ。 |
大神: | なるほど! ということはあの了解の声は、キネマトロンから受信したものだったのか。 |
すみれ: | まあ、あの混乱の中にもかかわらずちゃんと自分のキネマトロンを持って退避するという、わたくしの冷静沈着な行動こそが花組を救ったのですわね、おーっほっほっほ! |
カンナ: | けっ、よく言うぜまったく。火事場のバカ力でタンス背負って部屋飛び出してきたのはどこのどいつだ。 |
アイリス: | たまたまタンスのうえにキネマトロンがのっかってたから、いっしょに地下までもってっちゃったんだよねー、きひひっ。 |
すみれ: | だっだだ黙ってなさいったらこのガキンチョっ!! |
紅蘭: | そ、そーゆーワケか、ぷっくっくく… |
大神: | ま、まあ、まずは結果オーライということで。いやしかし待てよ。天武に乗ってるならともかく、生身の体で『山』作戦を了解したところで、一体どうなるってんだ? |
織姫: | そ、それがー、なんだかいきなり足が重くなって、動きがにぶくなったかわりに… |
レニ: | 弾丸の2、3発腕を貫通しても、びくともしなくなる。 |
大神: | ってレニが言うと、冗談に聞こえないところが恐いよなあ。まあそういうことで、これにて一件落着… |
さくら: | 待ってください大神さん! なんだかこれだけじゃ、問題は終わらないみたいです。 |
第6話より | |
大神: | レニ、必ず助けるぞ! っとこのマップは「風」作戦で移動して「山」作戦で防御するのがセオリーだな。よし、 疾きこと風のごとく、風作戦を発動する! って一人でいってもなぁ…(アイリスは救援要請中) |
???: | 了解!! |
大神: | えっ? いま…了解って聞こえたよなぁ。き、気のせいか。とにかく移動して、 構えること山のごとく、山作戦を発動! |
???: | 了解!! |
大神: | な、なぜだ! この場にいないみんなの声が何故聞こえる! おまけに心なしかレニの声まで聞こえるような・・・。 |
レニ: | ・・・・・。 |
大神: | お、おーい! みんなー! か、隠れてないで出てきてくれぇー! |
さくら: | というお話が、MOSさんからのメールにあったんですけれど… |
アイリス: | このときって、たしかレニ、わるーいてきにつかまって「せんのう」されちゃってたんだよねー。 |
紅蘭: | ウチらの声はキネマトロンで解決として… なんでレニの声まではいっとるんや?? |
織姫: | これ、どーゆーことですかー、少尉さん! |
大神: | ぐむむ… れ、レニ、この時のこと何か覚えてないかい? |
レニ: | 無茶だよ、あのときの記憶はぜんぜん残ってないんだ。 |
大神: | う、うぐぐ… じゃあ、こ、これはレニ自身の声なんだ。そうだ、レニは敵の洗脳を受けていても、深層意識ではちゃんとおれの指示に反応して、霊力で返事を送ってくれたんだよ! さすがはヴァクストゥームで鍛えあげられた脳味噌だ、うん。 |
紅蘭: | うわー、うさんくさー。 |
織姫: | そんなのウソでぇーす! わたし早起きと嘘つきとニッポンのオトコ大嫌いでーす! |
さくら: | あたしも… ダメだと思います、それ。 |
織姫: | 少尉さんホントのこと知ってるですねーっ、ホントの理由しゃべるでーす!!! |
大神: | (こ、ここで、CDの容量が足りなくて音声が1パターンしかないんだー! と叫ぶことは楽だ、し、しかし、おれは…) |
米田: | はい・・・はい。しかしですねぇ、その件は・・・こちらにも事情が・・・ はい、というわけでして、もうしばらく・・・ええ、ではそういうことで。 それでは失礼を。 |
かえで: | どうでした? 支配人。 |
米田: | ああ、うまくいったよ。ここですんなりあいつらを帰したら、よけい怪しまれちまうからな。 |
かえで: | そうですわね。陸軍幹部程度ならともかく、このことが皇室にでも知られてしまったら・・・。 |
米田: | まったく・・・大神の野郎、ここまで大それた事をしてくれるとはな。 俺ぁ、胃も頭も痛くてもう・・・ぶっ倒れちまいそうだぜ! |
かえで: | まぁまぁ支配人、落ち着いて・・・興奮すると余計に具合が悪くなりますよ。 |
コンコン | |
かえで: | あら? |
米田: | ・・・どうやら来たようだな。おう、入んな! |
琴音: | 失礼いたします。 |
斧彦: | 帝国華撃団、薔薇組・・・。 |
菊之条: | ただいま参上! ・・・いたしました・・・やだもう、恥ずかしい。 |
かえで: | ・・・(. .; よ、よく来てくれたわね、三人とも。これから米田支配人より重大なお話があります。心して聞いてね。 |
琴音: | 重大なお話・・・ ふっ、そう。とうとうこの時が来たのね。 |
米田: | ・・・? |
斧彦: | この時って、まさか・・・ 琴様!? |
琴音: | そうよ。重大な話と言えばこれしかないわ! 私たち薔薇組が、とうとう花組に編入される時がやってきたのよ!!! |
米田: | お、おい・・・ちょっ・・・。 |
斧彦: | きゃぁあああ! 嬉しい〜〜〜!! やったわ琴様ぁ〜!!! |
琴音: | 菊之条・・・どう? 花組に編入できる・・・感想は。 |
菊之条: | そ、そんな!・・・花組に編入だなんて・・・あたし・・・その・・・最高です。 |
米田: | おいおいおい! 今日はそんな話をするためにお前ぇらを呼んだわけじゃねぇ! ・・・つうか、そんな提案、した覚えはねぇぞ!!! |
琴音: | あら、私たちの花組編入以上に重要な話などがありまして? |
かえで: | (ある意味、最も重要な問題かもね・・・)違うのよ。今日はあなた達の陸軍復帰の件について、お話があるの。 |
米田: | 短刀直入に言うぞ。お前ぇらにはもうしばらく、この帝劇に残ってもらうことになった。もちろん「薔薇組」としてな。 |
斧彦: | ええ〜!? だけど米田支配人〜・・・あたし達が守らなくちゃいけない魔神器は、もう失われてしまったんだし・・・どうせ残るんなら、花組に編入した方がずっとお役に立てるんじゃないかしらぁん? |
菊之条: | あ、あたしも・・・そう思います。 |
米田: | (まだ言うか、こいつらは・・・)花組編入の件はともかく、今ここでお前ぇらに陸軍に戻られたんじゃあ、魔神器が失われちまった事をお偉方に感づかれてしまう・・・それだけは何としても避けなきゃならねぇ。 |
かえで: | 分かるでしょう? 魔神器は天皇家に伝わる、日本究極の祭器・・・それを守る事が華撃団の真の任務だったのに、それを自分達の手で破壊してしまったとあっては・・・。 |
琴音: | 帝撃の存在自体が危うくなってしまう・・・。 |
かえで: | そういうわけよ。 |
米田: | だからお前ぇらにはこれまで通り、魔神器を守る”振り”を続けて欲しい。 軍人のお前ぇらにとって、これが辛い注文だって事はよ〜く分かってる。だが、帝撃の存続のためだ。こらえてくれ! |
斧彦: | や、やだ、支配人ったら〜、頭なんか下げて。あたし達は一郎ちゃん達と一緒にいられれば、それで十〜分、幸せなんだからっ! |
菊之条: | そ、そうですよ、支配人。あたし達、なんとも思ってませんから。 |
米田: | お前ぇら・・・。 |
琴音: | しかし支配人・・・そうは言っても、いつまでも隠し通せるものではないでしょう。いずれは・・・。 |
米田: | それについては、問題ねぇ。 |
かえで: | 現在、夢組が総動員で、魔神器のレプリカを作っている最中なのよ。ただ、偽物とは言ってもやはり魔神器・・・出来上がるまでにあと数カ月は必要になるわ。だから・・・。 |
琴音: | 分かりました。それまでの間、時を稼げばいいわけですね。 それでは、要件が済んだのでしたら、私たちはこれで・・・行くわよ。斧彦、菊之条。 |
米田: | 清流院・・・。 |
琴音: | あ、そうだ・・・米田支配人、私たちの事は気にしないで下さいね。さっき二人も言っていたけれど、私たちはこの帝劇にいられれば、それで幸せなんですから・・・。 |
米田: | すまねぇ。 |
琴音: | それでは、失礼いたします。 |
斧彦: | 元気だしてねぇん、支配人! |
菊之条: | あっ、待って下さい、琴音さん、斧彦さん!! |
バタン | |
米田: | ・・・ふうっ。 |
かえで: | 彼ら・・・ああは言ってるけど、結構ショックだったみたいですね。 |
米田: | ああ。まったく・・・大神が魔神器を壊しさえしけりゃぁ、こんな事には・・・。 |
かえで: | しかし、あの時はさくらが・・・。 |
米田: | 分かってる! 魔神器なんか必要ねぇ、ましてやさくらの命を犠牲にして帝都を守るなんてもっての他だ!! ・・・ただな・・・必要なくなったからってすぐに壊せる様な代物なら、大神にやらせるまでもなくこの俺がとっくにやってるってんだ。 天皇家の家宝なんだぞ・・・そんなもん、俺達がどうこうできるようなレベルのモンじゃねぇだろ! あいつもそれ位の事は認識してると思ってたんだが・・・ ハァ・・・また胃が痛くなって来やがったぜ・・・。 |
かえで: | まぁ・・・何とかなりますよ。ね、支配人! 元気を出して!!(あ、あたしもあの時けしかけちゃったから・・・責任重大よね) |
トントン | |
かえで: | あら? またお客さん・・・。 |
米田: | こんな時に一体だれだ? ・・・ぉおう! さっさと入りやがれぇ!! |
大神: | 失礼します。 |
かえで: | あら、大神くん? |
大神: | ああ、かえでさんもいらっしゃったんですか。ちょうどいい。実はお話・・・というか、お願いがありまして。 |
米田: | 何だ!? 言ってみろ!! |
大神: | (な、なんか今日の支配人、機嫌悪そうだなぁ)実はその・・・もう11月も半ばを過ぎて、随分寒くなってきましたので、よければ自室に暖炉かこたつを入れていただけたらなぁって思って。(へらへら) |
かえで: | 大神くん、それ以上は!!! |
大神: | へ? |
米田: | ・・・大神、てめえは何様だ!? 言ってみろい!!! |
大神: | は、はぁ・・・ 自分は帝劇のモギリですが・・・。 |
米田: | そうだ! てめえは単なるモギリだ!! わかってんならコタツだ暖炉だ贅沢ぬかしてんじゃねぇ!!! |
米田: | そんな・・・暖房くらいいいじゃないですかぁ。(ぶつぶつ) |
かえで: | お・・・大神くん、今日はそれくらいにして、部屋に戻りなさい。話なら明日あたしが聞いてあげるから。 |
大神: | ほんとですか!? ぃやったー! かえでさんと二人きりでお話できるんならもう暖房なんていらないや!! それでは・・・失礼しまーす!!! |
バタン | |
米田: | あんな奴のために、俺達ぁこんな苦労を・・・。 |
かえで: | ほんと・・・疲れますわね、米田支配人・・・。 |
二人: | はぁ〜〜〜〜〜。 |