カンナ: | あれっ、お前、あたいたちと一緒の部屋に寝てたのか? |
レニ: | うん。 |
すみれ: | 完全にとけこんでいて、気付きませんでしたわ。 |
さくら: | た、たしかにいつのまに‥‥ でも誰が許したのかしら。 |
アイリス: | ふーん、レニはまだこどもだからいいんだよーだ。 |
紅蘭: | ほなアイリスはあと3年は子供っちゅうことやな。 |
アイリス: | アイリスこどもじゃないもん、れでぃーだもん! |
マリア: | でも15才という年齢を考えると、ちょっと問題ね。 |
織姫: | なーにごたごたいってるですかー。レニは女なんだから別に問題なしでーす。 |
レニ: | ‥‥性別なんて生殖能力の差だけだ。問題ない。 |
マリア: | 隊長は、このことには気付いていたんですか? |
大神: | ああああ、あたりまえじゃないか! 俺がそんなミスを犯すわけないだろ! (‥‥そういえば、水着に気を取られて全然気付かなかったんだよなー) |
紅蘭: | ちょっとまち。ほななにか? 大神はんはレニを女やと知ってて一緒に風呂に入ったっちゅーことか? |
さくら: | やだぁっ! そんなことがあったんですか、大神さん! |
すみれ: | ふ、不潔ですわ、少尉っ! |
織姫: | これだから日本のオトコ信用できないでーす。 |
レニ: | 計画的犯行。 |
大神: | いやっ、だから、それはその‥‥。 (しまった墓穴掘った! しかしなんでレニまで(T_T)) |
マリア: | 隊長! どうなんですか! |
大神: | そ、そうだ! あのときは暗くてよく見えなかったんだよ。狸かなんかが入ってるのかなーなんて思ったんだけど、いや〜、まさかレニだったなんて、おにいちゃんおどろいちゃったなー。(^^; |
みんな: | んなわけあるかーっ!!!! |
大神: | たしかに翔鯨丸といい霊子甲冑といい、ただの劇場にしては不似合いなものが多いよなあ。 |
さくら: | でも、どうやっていままで隠し通してきたのかしら。 |
サキ: | 簡単なことだわ。戦闘のあとに私が翔鯨丸出動を見た市民の記憶を消してるのよ。 |
大神: | いいっ!? サ、サキくん、君はそんなことができるのか!? |
サキ: | ふふっ、内緒よ。 |
紅蘭: | 大神はんもアホやな〜、そんなわけないやろ。サキはんが来るまえにも翔鯨丸は何度も出動してまっせ。 |
大神: | な、なるほど。じゃあいったいどうやって‥‥。 |
紅蘭: | ふっふっふ。どうやらウチの発明の秘密をあかすときが来たようやな。(-_☆)キラーン! |
織姫: | なんか嫌な予感がするでーす。 |
紅蘭: | 聞いておどろくな。翔鯨丸の外壁はウチの発明した「かめれおんくん」によって、普通の市民には見えへんようになっとるんや! |
みんな: | おおーっ! |
カンナ: | でもよー、翔鯨丸が見えねーんだったら何で地面を開く必要があるんだ? |
大神: | たしかに、それだけでかなりインパクトあるよなあ。 |
紅蘭: | そうなんや、結局たいして意味がないし、爆発で翔鯨丸の修理代もバカにならんっちゅーことで、この計画はボツになったんや。 |
さくら: | ボ‥‥ボツ? |
織姫: | そ〜れなら話す意味ナッシングでーす。 |
すみれ: | でも、おつむの弱いカンナさんにしてはいい指摘でしたわね。 |
カンナ: | おっ、でたなこのヘビ女。 |
すみれ: | おっほほほほほ。せっかくこの帝国歌劇団花組のトップスター、神崎すみれが秘密を教えてあげようとしているのに、そんなお下品な態度では取り止めですわ。 |
カンナ: | くっ‥‥い、いわせておけばーっ! |
大神: | まあしずまれ、カンナ。ここはすみれくんの話を聞こうじゃないか。 |
さくら: | それで、秘密っていうのはなんですか? |
すみれ: | 簡単なことですわ。翔鯨丸出動のあとに、我が神崎財閥が帝劇と協力して、市民のみなさまに生活援助金をお配りしているんですのよ。そのお金とひきかえに市民は誰も帝劇に対して不信を抱かないようになっているんですわ。 |
大神: | それってつまり‥‥。 |
紅蘭: | 単に口止め料を払っとるだけやんか!! |
織姫: | 帝劇の怪しさバレバレでーす! |
さくら: | そ、そんな‥‥。 |
カンナ: | 市民も市民だぜ、こんな汚い金に目がくらみやがって! |
大神: | たしかに財政難だとは思っていたけど、まさかこんな形で使われていたなんて‥‥。 |
織姫: | それで今までクサの上で生活してたですかー? |
さくら: | 織姫さん、それとこれとはちょっと‥‥。 |
米田: | なんだなんだぁ、騒々しい。 |
みんな: | 支配人!! |
大神: | 米田支配人、この話は本当なんですか? |
カンナ: | みそこなったぜ!! |
米田: | はぁ? なんだそりゃ? 翔鯨丸は帝劇のCMに使っとるいわばマスコットみたいなもんだ。遠くからでも見えるからな。市民にも気にいられとるぞ。 |
すみれ: | そ、それでは神崎財閥からの援助金というのは‥‥? |
米田: | ああ、あれなら甲冑や機体の修理費に当てとる。維持費だけでもバカにならんからな。 |
すみれ: | ‥‥お、おーっほほほほほほほほほほほほ!! バタッ。 |
さくら: | キャーっ、すみれさんが!! |
カンナ: | ムリもねえさ、あんだけ自信満々だったんだからな。 |
紅蘭: | ま、2・3時間もすれば起きるやろ。さ、いこいこ。 |
織姫: | 花組のみなさんってヤッパリかわってまーす。 |
レニ: | ‥‥美人薄命。 |
大神: | かえでさん!‥‥実はかくかくしかじかというわけで、犬の名前を何にしようか迷ってるんですよ。 |
かえで: | ふーん、そういうわけね。それなら米田支配人に相談してみたらどうかしら? |
大神: | あっ、それはいい考えですね。支配人の決定ならみんな納得するだろうし。 |
かえで: | んふっ。がんばるのもいいけど、あんまり一人でかかえこまないようにね。 |
キネマトロンにて | |
大神: | 休養中、失礼します。 |
米田: | なんだ大神か。なにかあったのか? |
大神: | 実はかくかくしかじかというわけで是非支配人に犬の名前を決めて頂きたいと‥‥。 |
米田: | まあそう固くなるな。それじゃ何か?俺が名前を決めりゃ一件落着ってわけだな。 |
大神: | はい、花組にふさわしい名前をお願いします。 |
米田: | そうだな‥‥‥‥ よし!決まったぞ。その犬の名前は今日から「大神」だ! |
大神: | ええっ? |
米田: | どうした、おれの決めた名前が不服だってぇのか? |
大神: | いえ‥‥ しかし、それって僕の名前じゃないですか。 |
米田: | おう、花組の隊長のように強くたくましく育って欲しいって気持ちが入ってんだ。それじゃいけねぇか? |
大神: | そ、そんなことはないです。どうもありがとうございました! (なん〜か、だまされたような気がするけど‥‥) |
サロンにて | |
大神: | というわけで、今日からこいつの名前は大神だ。みんなよろしくな。 |
さくら: | ええっ?それって大神さんと同じ名前じゃないですか。 |
紅蘭: | まあ米田はんが決めたことならしゃーないわな。 |
織姫: | なんだかパッとしない名前でーす。 |
すみれ: | あら、なかなか素敵ですわよ。もっとも、犬にはもったいない名前ですけれど。 |
レニ: | ‥‥名前なんてただの記号にすぎない。 |
アイリス: | おいで、おおがみっ。 |
犬: | ワンワンッ! |
カンナ: | へへっ、なんだかちょっと照れるな。 |
大神: | まあ少しずつ慣れていこう。同じ名前どうし仲良くしような、大神。 |
犬: | ワンワンワンッ! |
〜数日後 | |
マリア: | ふぅ、思ったより早く帰ってこれたわ。みんな元気にしてるかしら。 |
アイリス: | おおがみでておいで〜、ごはんだよ〜! (叫びながら、残飯の入った鍋を持って歩き回る。) |
マリア: | こ、この声はアイリス!? |
さくら: | こらっ! 大神っ! 座敷の真ん中でウンチしたらだめでしょ! |
カンナ: | おい、大神! チンチンだ! どうした? チンチンだ! |
マリア: | こ、これはいったいどういうことなの!? |
紅蘭: | ああ、マリアはんか、早かったやないの。いや実は大神のヤツが母親もわからない子供をつくってしもてな。ここじゃ面倒見切んから、どうしようか迷っとるところなんや。 |
マリア: | そ、そんな‥‥隊長‥‥ バタッ。 |
紅蘭: | マリアはん? あれ、どないしたん? マリアはーん!! |
織姫: | 気絶したでーす。
|
| |
かえで: | それにしても支配人、少し遊びがすぎたんじゃないですか? |
米田: | なぁ〜に、病院に見舞いの一つも持ってこないようなやつにゃ〜ちょうどいいぐれぇだ。 |
かえで: | ‥‥意外と根にもつんですね。
|
| |
さくら: | あっ! 大神ったらまたこんなところにおしっこして! |
アイリス: | こんどはおおがみもいっしょにおフロにはいろうね〜。 |
カンナ: | うるせー! 夜中に吠えるな大神! |
大神: | た、頼むから名前を変えてくれぇ〜!!!! |