知ってますか?
今、世界中の海では、国際規制を逃れて操業する漁船が増えています。
大型漁船が、巻網で魚を一気に漁獲したり、また、捕鯨が禁止されて増え続ける鯨が、魚やプランクトンを
餌として大量に食べたりで、水産資源が大幅に減っています。 まぐろ・たら・さけ・ます等は、持続的に末永く
利用するために、国際的な条約により規制が行われています。  まぐろに関しては、
ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)
CCSBT(みなみまぐろ保存委員会)
IATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)
IOTC(インド洋まぐろ類委員会)
ISC(北太平洋におけるまぐろ類及びまぐろ類類似種に関する暫定的科学委員会)  等です。
1998年、CCSBTにおいて、みなみまぐろ問題が起きました。 三国間・・・NZ オーストラリア 日本で認め
られていた調査漁獲 年1.000トンが、調査に名を借りた不法行為と申し立てられ、中止に追い込まれました。
三国間では、漁獲量11.750トン(日本6.065トン、オ−ストラリア5.265トン、NZ420トン)と決めていて、10年
将来、資源状態が回復した時には、漁獲量を増加する事になっていました。そのため日本は、資源状態が回復
している証拠を調査するため広い海域を対象にして調査漁獲を始めた訳です。 日本は、5年前から資源が増加
傾向にある具体的データを論じてきましたが、他の二国は、全く聞き入れなかったのです。
現在、まぐろ類の資源状況は非常に悪く、本まぐろは西大西洋とメキシコ湾系が初期資源の10%、地中海や
東洋系が50%、めばちまぐろも悪くなっています。世界中で過剰漁獲が行われているのです。  そこで日本は、
責任ある国家として遠洋まぐろ延縄漁船の20%減船をしました。  しかし、資源管理を設定し、資源を増やそう
としている一方で、まぐろ漁業の関する地域漁業管理機関の非加盟国(中国・韓国・台湾・インドネシア)が、
守らないのです。彼らには、漁業規制がありません。例えば、みなみまぐろなら、日本は6.065トンしか捕れません。
捕った時点で操業は中止します。しかし、その後も彼らの違反操業は永遠と続く訳です 世界中いたる所で!!
資源管理や、将来性の情報を的確に消費者に知らせ、適正な値段で今後も買える様にしなければ、まぐろの
将来はないと思います。  国際ルールを守らない国からのまぐろは入れない!  これが、日本市場から
非加盟国や便宜置籍船を撤退させる唯一の方法ではないでしょうか。


便宜置籍船について・・・・・・
便宜置籍船(Flag Of Convenience)という言葉が度々出てきましたが、簡単に言うと世界中の海でまぐろ類
を不当に漁獲する正規の国籍が無い漁船の事です。ただ、国籍らしいものはあります。操業の際、漁船に機器
資材や食料・飲料水を始め餌などを積み込む場所として、国際的機関に加入していない中南米のベリ-ズ・
ホンジュラス・パナマその他、セントビンセント・フィリピン・シンガポ-ル・ギニア等の国を根拠地としているのです。
水産庁の調査によると1999年10月末現在で、その数は350隻に上ると言われています。そして、このうち8割の
200数十隻は台湾の資本が関わった船だと言われます。実際は、台湾人が所有していながら表向きには台湾船
とはしていないのです。 さらに厄介な事に、この内の60% 100数十隻は、日本の中古船なのです。
最近になって、やっとこうした不当な便宜置籍船を取り締まる対策が施行されました。
一つは、日本の商社などが便宜置籍船の漁獲したまぐろを買わないようにすることです。 置籍船のまぐろを買い
付けている商社は、全体の半分の15社にあたります。特に内外からの強い批判を受けたM商事は、今後一切
置籍船との取引をしないと言う「不買宣言」をしました。大手商社8社がこれに合意しましたが、その一方で小さい
商社は、置籍船との取引がなければ経営がいきづまるとの理由でこれに合意していません。
もう一つは、日本と台湾の民間業者が共同で「責任あるまぐろ漁業推進機構」を設立し、当面、旧日本船で現在
台湾系資本で操業している便宜置籍船をスクラップ化しようとする対応が進められております。
トモ補償制度といい、正当に操業している漁船が資金を出し合い、便宜置籍船を買収、廃船しようとするものです。
これらの措置により世界の遠洋まぐろ船は、近い将来20%減船の1.350隻まで減らされる見込みです。


時の話題をひとつお伝えします。
水産庁では、年々減少している漁獲量の増加を図るために、2000年4月から2001年3月の予算で、海の
深層水を利用した好漁場を作る実験を行う方針です。 海面200メートル以下にある深層水は、太陽の光が届か
ないため、栄養分を大量に含んだ植物プランクトンや海藻類がそのまま存在しています。 計画によりますと、
深層2〜300メートルの海水を自家発電装置のポンプでくみ上げ、海面に拡散し、栄養のある植物プランクトンや
海藻類を増やすことによって、魚を集め、育てようとするものです。 計画の名称は、「環境保全型漁場造成
技術の開発」と言う何ともスゴイ名前ですが、新しい好漁場を作ると同時に環境問題でも大きく役立つ所が
ミソです。と言うのは、植物プランクトンや海藻類には、太陽などの光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収
する性質があることから、今問題となっている地球の温暖化などの防止に役立つ事が期待されているからです。
計画を詳しく説明しますと、まず、浮上式自家発電装置によって、深層水をくみ上げます。そして、プロペラで
海面の海水と混ぜる。くみ上げる量は、一日あたり数十トンを目標にしています。表面の海水と混合された深層水
は、潮流によって広い海域にばら撒かれます。深層にあった植物プランクトンや海藻類は、半年から一年近くで
増殖します。そこに魚介類がたくさん集まってくるようになるとともに産卵も行われ、好漁場となるしくみです。
深層水は、地球上の全海水の95%に相当し、日本やアメリカでは養殖場の一部に利用されていますが、広い
海域で利用されるのは世界でも始めての事と言われています。想像しただけでも何かわくわくしてきますね。
200海里体制の定着により、我が国の漁獲量は、昭和50年代後半には年間1.200万トンもあったのが、昨年は
600万トンと半分に減少しています。そう言った意味からも、今回のこの計画を是非成功させたいものですね!