戦車体当たりの真相

フィリピン攻略戦の時に、九五式軽戦車でM3軽戦車に体当たりしたという話が人口に膾炙している。しかし、私が調べた限り、当事者の回想では体当たりしたとは誰も書いていない。今回、戦車第4連隊史を確認したが、サントトーマスの戦いで、M3軽戦車の一群が進んできたとき、射撃では効果がないのを見た光岡中尉の小隊長車は体当たりするために突進したが、敵弾が戦車に命中、操縦手は死亡して戦車は停止したとある。実際には体当たりはなかったというのが真相だと思われる。これが体当たりの武勇伝となったのは、どうも新聞記事によるもののようだ。戦車第4連隊史に当時の新聞が載っているが、それには敵先頭戦車の横っ腹にドンとぶつけたと書かれている。記事では光岡中尉の話しとして書かれているが、おそらく新聞記者が聞いた話しを脚色して書いたのだろう。それがいまだに本や雑誌に繰り返し書かれているのには呆れる。

2013年12月15日 16:53