八丈島はもうイヤ!!

10月の連休は八丈島へ。
3連休を使って、2泊3日(うち船中1泊)で行ったが、実質滞在日数はたった1日。
2ダイブしかできず、楽しめなかった。
いや、楽しめなかったのは他にもたくさんの理由がある。
まず第1に、過剰な期待をかけすぎていたこと。
八丈行きを決めたのは連休直前で、複数の雑誌に「秋の八丈島は凄い」と特集されていたからだった。
曰く、「何と賑やかな秋の八丈島」「固有種と死滅回遊魚のランデブー」等、単純な私の心をつかんで離さなかった。
しかも、大島以来、伊豆諸島は安く、手軽に、楽しめるというイメージが強かった。
八丈の方が大島より全然南だし、その分トロピカルなんだろう、と勝手に予想していた。
実際は、伊豆半島と変わらない景観、しかも魚があんまりいなかった。

なんもない海

おまけに遠い。
そう、アクセスの悪さが第2の理由。
八丈島への唯一の航路、東海汽船「すとれちあ丸」は荒波の中をもまれ続けた。
昔、地震体感車というのが小学校に来たが、その震度5くらいの揺れだったように思う。
しかも今回は2等しかとれず、ひどく惨めな思いをした。
めちゃくちゃ混んでいるのだ。
見知らぬ人と肩をくっつけて、膝を曲げて寝るのは苦痛以外の何でもない。
隣の人は29歳くらいで、50過ぎた婆サンたちと山登りに来てたみたい。
この3人はどういう関係何だろう?
狭い船室で赤ワインの宴をひらく3人を見て、常にそういう疑問が浮かんだ。
ボトルを2本空けて横になったその男性が、激しく揺れる中、1冊の新書を読んでいた。
酔いませんか?
いや、上向いて、本を読むぶんには、字が揺れないので、酔わないんですよ。
ほら、これ読んでるんです。
はあ・・・(聞いてねえよ!!)
「夜と霧」。知ってます?
いえ、うといもんで・・・
いやね、ナチスのね、アウシュビッツ収容所のハナシなんですよ。
だってね、今よりもひどい状況の本読んでいれば、少しは楽になれるんじゃないかと思って。
はははは・・!!
そ、そうですかねえ(二重苦だろ、そりゃ。)
というわけで、アウシュビッツを彷彿とさせるくらい、つらい船旅だった。
ちなみに私は、船に酔ったことは全くない。
そんな私でも、相当不快な思いをした船旅だった。

凄い波風
平気そうな顔をしているが、
かなり揺れている。

第3の理由は、宿が最悪だったこと。
宿は、某「ダイビングS」併設の民宿。
その「ダイビングS」にした1番のポイントは、ニュージーランドに支店があるという点。
正直な所、すごくおしゃれなペンションを想像し、また、確かに写真も綺麗そうだった。
ゆえにギャップが大きかった。
本来は広い古ぼけた畳の部屋を、襖で分けているだけだから、声は丸聞こえ、隙間から覗き放題。
布団は不潔そのもの。
食事も、全然八丈っぽくなかった。
カップルなら絶対止めた方がいいと思う。
見せるのが趣味の人以外は・・・

暇だったので、
こんな事して遊んでました

第4は、「ダイビングS」の体質。
ここのDSは、管理型ダイビングを要求したのだった。
まず港についてから2時間待たされた。
ま、しょうがない、連休だし・・・と思いながら、期待を膨らませていた。
いざ、乗船してみると、なんやかんやと独自のルールを言われた。
「いっせいの、せ」でエントリーするとの事だったので、従った。
すると、タイミングを逸した1人が、1テンポ遅れてバックロール。
浮かんでいる人の上にエントリーしてしまった。
当然、頭部から流血。
かわいそうな彼は船上に収容され、私たちは何事もなかったかのように潜降した。
アンカーロープにしっかりつかまって深度を下げていくように言われたので、従った。
なんか軽いな・・・と思いつつロープを引くと、いきなり目の前にアンカーが現れてびっくり!
アンカーがしっかり固定されていなかったのだった。
また、全員手をつないで輪になって浮上、というので、従った。
すると、2人くらいが吹き上げにあってしまい、それに引っ張られて全員が急浮上。
海中には、コンピュータの浮上スピード警告音が鳴り響いていた。
管理しようとするわりには色々とガサツで、「楽しいダイビング」とは程遠かった。
行き帰りとか、宿とか、少々嫌な思いをしたとしても、ダイビングが楽しければ「そんなこともあったっけ」と済まされると思う。
しかし、そのダイビングで嫌な思いをしてしまったので、八丈島に対するイメージは今でも非常に悪い。
海の中ではユウゼンを見たくらいで、特に賑やかでもなかった。

世界一シックなチョウチョウウオ。
和風である。

ま、たまにはこういう事もあるでしょう。
それにしてもあの雑誌の記事には納得が行かない。
八丈島の観光協会が作った広告記事のように思えてならない。
というわけで文句ばかり述べたが、私が行く前日にはニタリやハンマーヘッドシャークが現れたという事なので、いい時はいいのかも。
でも、私はもう行かない。