ラヤンラヤン

ラヤンラヤン

神話編

当然なんだけど、ゲストはみんなダイバー。
行きに乗るラヤンラヤンまでの飛行機で一緒だった人たちが、同じガイドのもとで、同じボートに乗りつづけると言うパターン。
途中から変われるらしいけど、まあ、大抵そのボートの中で結束みたいなのが生まれて、こっちではイルカ見たとか、むこうではハンマーでたとか、そんな対抗心とかも出てきて。
ガイドはエンジェル(おそらく、というか、絶対、愛称）というマレーシア人女性。
英語でブリーフィングした後、「ワカッタ？ダイジョーブ！」とだけ怪しい日本語で聞いてくれるのだが、某ダイビング雑誌に載ってた「日本語の解るダイビングスタッフ」とは彼女のことなんだろうか。
ボートは朝8時、11時と午後3時の1日合計3本。
ポイントはすべてアトールのドロップオフで、もちろんオールドリフト。
ここはしつこいようだけど絶海の孤島で、深海2000㍍近い深海から隆起してる環礁なので、どのポイントでも底なんて絶対に見えない！
空をカッ飛んでゆくような快感、煌く回遊魚の大群との戯れ、大型回遊生物との邂逅
・・・これは我々「ドリフターズ（？）」にとってこの上ない幸福。
但し！チッソには要注意！！
最大水深は1本目40-45㍍、2本目30-35㍍、3本目20-25㍍と言われてるけど、ポイントは変わらない（どのポイントも底なし）ので、あとは自己管理の世界。
ちょっと深みで気を抜くとスグ減圧停止が出てしまうので、ほどほどに・・・
ガイドは何もいわないし、環礁の外を凝視して大物を探しているから、やっぱりセルフコントロールが大事。
コンピュータとフロートは必携ね。
それではラヤンラヤン全13本のログを大公開！

ラヤンラヤンの魚達はみんなBIG。
タテキン君も異常にデカかった。

2000年3月5日日
#1 WRECK POINT (without Wreck！)
[50分／最大水深25.9㍍／透明度20㍍／水温27℃］

初日は雨模様。
昨日まではピーカンだったっていうから、今日到着したゲストのなかに相当おこないが悪い奴がいるのだろう。
もちろん私以外に。
ポイントは船で5分もかからない、島の滑走路のすぐ脇。
島を埋め立てる際に使われている船が沈んでいるらしいが、船影すらなかった。
深海に横たわっているのだろうか?
ポイント名(WRECK POINT)の横に堂々と「without WRECK！」ってつけるくらいなら別の名前にすれば良いのに・・
透明度は悪くないけど、太陽が出てないので暗い感じ。
大物はホワイトチップやグレイリーフシャーク、ナポなど。
グレイリーフの家族のうち、奥さんは身重で、気が立っている様子。
ラヤンラヤンはサンゴの大きさがハンパじゃない。
人の背丈の2倍はあるオバケノウサンゴやカイメンの類が印象的だった。
ミノウミウシ類もいた。

ヒトデに教われるタロー。
あるいは自称「STARMAN」。

#2 GORGONIAN FOREST
[50分／最大水深24.7㍍／透明度20㍍／水温27℃］

GORGONっていうのはギリシャ神話の怪物三姉妹のこと。
あの、目を見たら石になっちゃうっていうメドゥーサもその1人でしょう?
あいつの髪の毛っていうのは確かヘビで、そんな感じのウミウチワやイソバナが原色の森林を形成している。
環礁の東端にあって、流れは結構あった。
ここと、西端のTHE VALLEY が大物ポイントらしい。
実際、多数のネムリブカ、グレイリーフに、カメ･カメ･カメ！
イソマグロ、バラクーダにナポレオンあたりも常連。
この時点でもうナポレオンは単なるベラ扱いになってしまった。
ケラマとかで見た時はピューッって追っかけてったのに・・
所変われば品変わる・・・ちょっと違う？
棚の上にはオバケシャコ貝がふたつ。
シャコ貝って、挟まれて浮上できなくなって死ぬっていうけど、ＧＢＲと、ここでの実験の結果、しっかり殻を閉じられない生物であることが判明いたしました。

ドロップオフを悠然と泳ぐナポ君。
オキナワなら垂涎モノの彼も、ここではベラ扱い？

3月6日
#3 SHARK'S CAVE
[56分／最大水深43.0㍍／透明度25㍍／水温27℃］

2日目は雨こそは降らなかったものの、海況は相変わらず。
透明度は雨が入ってない分、昨日より良かった。
ポイント名がSHARK'S CAVEという割に、昨日あんなにいたサメに1匹も逢わなかった。
WRECK POINT が without Wreckであるように、SHARK'S CAVE も without SHARK であった。
水深40㍍の砂地に、いつもはトラフザメがいるらしいが、今日は代わりにマダラエイが入っていた。
最終日に、我々がボートを降りた後のダイビングでエンジェルが見たっていってたので、トラフザメもいることはいるのだろう。
この砂地で、アケボノハゼを見つけた。
初めてみる彼女は、とっても美しかった。
ハタタテハゼの中に、まるでおめかしした女優のような佇まいに見とれている。
と、コンピュータが聞いたことの無い音を出している。
うるさいなー、ってディスプレイ見た瞬間げっっ！減圧停止が出てる！！
ありゃりゃ～と焦りつつ、そこからはみんなより浅めを流しました。
ここでもナポレオンは登場し、みんなに無視されていた。
繁殖期なのか、黒いカスミアジがブンブン根の周りを飛んでいて、小魚を狙っている。
すると、どこからともなく大型のハタが出てきて「ここは俺の場所だ」と言わんばかりに追っ払っていた。
小魚達は1日何匹かハタに食べられながら、一方で守られているっていう世界なのか？
なんかの儀式みたいだなー。

#4 WRASSE STRIP
[54分／最大水深32.9㍍／透明度25㍍／水温27℃］

ここは環礁の西端を回り込んで行くスポットだから、船に乗る時間が結構長い。
それでも20分くらいなんだけど、うねりが高くボートは翻弄されっぱなし。
そこにあらわれたのはイルカの群れ！
しばらくボートの横をジャンプ＆ダイブしてくれて、みんなのオエーっていう気分が急に和んだ。
ラヤンラヤンがとんでもない外洋って事を痛感させられる。
WRASSE STRIP は直訳すると「ベラ通り」。
やっぱりナポくんが登場し、自分のベラさ加減（？）を披露していた。
ラヤンラヤンではナポレオンってホント、ベラ扱いなんだよねー！
地味めのポイント名とは違って、カメが泳いで、サメやイソマグロがビュンビュン飛び交っている。
ツムブリの群れやバラクーダの群れもなかなかの迫力。
大満足の1本でした。

Dogtoothの名の通り、鋭い牙。
高速でリーフを泳ぐ姿は、美しい。

#5 DOGTOOTH LAIR
[51分／最大水深21.9㍍／透明度15㍍／水温27℃］

DOGTOOTH は言わずと知れた DOGTOOTH TUNA（イソマグロ）のこと。
さて、ここも他の例に漏れず DOGTOOTH LAIR without DOGTOOTH TUNA でした。
他のところにはその弾丸的な泳ぎを披露してるんだけど、ポイントのネーミングがいいかげんなのか、たまたまなのか、おちょくってんのか、はたまた自然の神秘か･･
３本目はシャローダイブって言っても20㍍は潜るんだから、改めてラヤンラヤンのハードな海を実感。
コブがまだ出ていないナポレオン君が登場。
浅瀬ではヒメカマスが鋭い刃を見せながら群れていました。
ところで私はリゾートには3㍉のスプリングしか持って行かないんだけど、これが今回失敗だった。
みんな5㍉か3㍉のワンピースに、寒がりな人は重ね着とかしちゃったりして、明らかに軽装のスプリングは結構奇特な目で見られた。
でも、某誌の情報では「年間を通じて水温29℃であまりかわらない」ってあったのだから、そのへんがかなりいいかげんなのが（またもや）良く解った。
私も毎月楽しみに愛読しているけど、あのへんの雑盾は写真を見て心を和ませるだけにして、白黒の情報編のところは、話半分で読みましょう。
よっぽど、インターネットの生の体験談の方が信憑性高いと思います。

さて、明日はいよいよハンマーが・・・！？

つづく