オキナワ男2人旅

1997.8.31.-9.3.

大学時代からの親友・B氏/24歳独身・ハイエナ
私は大学時代、変態サークル(?)に所属していた。
その、変態の集団で代表をやった男が、B氏である。
彼は、いい人にみえて、狙った獲物は逃がさない、ケダモノである。
私は、ケダモノにみえて、その実、いい人だから、彼の方が100倍得している。
そのB氏と、2人で、ダイビングツアーに参加した。
ダイビングの合間、彼とビーチに寝そべって、日焼けをしていた。
ホモっぽいかと思ったが、そういう事は、気にしないのが我々のいい所(?)だ。
ビーチの動向を観察していると、手当たりしだい声をかけまくっている男4人の集団がいた。
B氏は、彼らを指して、「お、ハイエナ君が、がんばってるよ!」と言った。
確かに的を得ている。
彼らはハイエナ君だろう。
でも、B氏も大学時代はハイエナといわれていた。
一部では“鬼”とも呼ばれていた。
そんな彼とつるんでいると、私も勘違いされるが、私は決して、“鬼”コンテストでB氏に次ぐ2位とはなっていない。
決して・・・

みゆきビーチ

さて、2人は、休みをあわせてオキナワへと飛び立った。
8月31日から3泊4日、5ダイブの予定である。
今回は、ビッグホリデー系のビーパルツアーにてパックで申し込んだ。
「じゃらん」なんかと比べても断然安いツアーが、某MD誌に載っていた。
レンタカーとか、便指定とか、そういうのを含めると相当割安だったが、先方の計算間違いというハナシも・・・
ホテルは、“みゆきビーチ”。
10年前のリゾートホテルという感じで、家族連れが非常に多かった。
その隣の新館はツインルームのみのこぎれいな所で、そこが我々のベースとなった。
一応、プライベートビーチもあり、こじんまりしていて、悪くはない。
少なくとも、男2人で行って、カップルばかりで場違いになったり、ダイバー系ロッジでオタクに囲まれたりする不快感はなかった。
しかし、2人でビーチにいると、ホモっぽいのは否めないし、100歩譲ってホモじゃないにしても、淋しいのは間違いなかった。
それにしも、9月の沖縄の淋しさよ!!
8月末より異常に安くなるツアー料金。
その秘密が少し、解った気がする。

沖縄本島の現状と、今後

オニヒトデはサンゴを食べるヒトデとして悪名高い。
全長最大50cm、外見も棘だらけで、おまけに毒を持っている。
刺されると患部が真っ赤に膨れ上がり、発熱、吐き気、麻痺、呼吸困難を引き起こし、時には死に至るという。
当然、嫌われている。
我々が行った9月3日の地元紙「琉球新報」には、オニヒトデを3150匹退治したと、1面にでかでかと載っていた。
この、オニヒトデは熱帯の珊瑚礁域に広く分布しているが、特に沖縄周辺には異常発生しているらしい。
その規模たるや、一時は本島のサンゴが壊滅しかかったというくらいだという。
一説には、オニヒトデの異常発生は、本島の開発が原因だといわれる。
返還後の70年代中盤より、本島では、宅地・農地開発、リゾート開発、ゴルフ場開発が進んだ。
沖縄の土は、独特の赤土で、粒子が非常に細かい。
これが河川より海に流れ出た。
浅瀬のサンゴは、この粒子の細かい土によって全滅した。
ここまでは、現在、石垣島の白保海岸の問題などで、WWF等が声高に叫んでいる話である。
さて、オニヒトデは、浅瀬に大量に放卵して繁殖する性質である。
今までは、この卵を浅瀬のサンゴが捕食することによって、オニヒトデは一定数しか増えなかった。
しかし、開発によって浅瀬のサンゴが壊滅したことにより、オニヒトデの卵は食べられることなく、生き残った。
これが、より多くのサンゴを求めて深場へ移動し、本島のサンゴは食い荒らされた。
つまり、食物連鎖によって保たれていた沖縄珊瑚礁域の生命バランスを、人間が開発によって破壊したことになろう。

しかし、今回潜ったスポットには、どこも元気にサンゴが繁殖していて、素晴らしかった。先に述べたような、地元の人々の努力により、珊瑚礁は守られている。
ダイビングに行く途中、小船をひいた漁船にすれ違った。
見ると、小船にはオニヒトデがいっぱい。
頭が上がらない思いである。

ダイビング

今回はパックツアーだったので、ホテルみゆきビーチに付属のDS、"Sea Fox"を利用した。
DSというか、マリンアクティビティをすべて手掛けており、その中の一つとしてファンダイブもやっている、という感じだった。
とはいえ、那覇を本社に色々やっているみたいで、ガイドはしっかりしており、対応も良かった。
正月には、年賀状も来た。
些細なことだが、こういう事がとても嬉しく感じるほど、今の世の中はせちがらい。
ツアーは4ダイブ付きだったが、1本チェックダイブをした為、実際は5本潜った。

チェックはホテル前の、水深3bくらいの所で軽くやる、と言っていたので、あまり期待していなかった。
で、プライベートビーチのすぐ隣の岩場から、しょうがねぇなあといいつつエントリー。
いきなり右側に枝サンゴが広がっている。
デバスズメ、ミスジリュウキュウスズメ、トゲチョウチョウウオ等・・・浅瀬の珊瑚礁にいる魚がたくさん!!
本島で、ビーチエントリーで、しかもホテルの真ん前で、こんな情景に出会えるとは、と感嘆することしきり。
本島の珊瑚礁が壊滅状態とは、とても言えないのでは・・
と、喜んでいることをガイドのマキさんも察知したらしく、一通りチェックが済むと、どんどん沖の方へ向かい、30分以上のファンダイブを楽しませてくれた。
沖縄というと、離島が中心で、私もぜひ訪れたいと思ってはいるが、本島でもこんなに楽しめるものだ。

あとの4本はすべてボート。みゆきビーチから南下し、万座ビーチホテルと万座毛の間にある小さな港から出船。
ボートでポイントに向かうと、万座毛の上にいる観光客がこちらに向けて手を振っている。
しょうがないので(?)投げキッスをすると、ちゃんと返してくれた。
やっぱり沖縄はいい所だ。
万座毛は海からそそり立つ絶壁で有名だが、その下に珊瑚礁の棚が広がっている。
海上の豪快な景観と、海中の穏やかな風景とのコントラストが凄い。
まずは、「恩納ポイント」へ。
エントリーすると、一面に広がるサンゴ、サンゴ・・・
今回の5本の中で、一番サンゴ&魚が多く、B氏は「一番良かった」と言っていた。
ドロップオフを20b近くまで潜降、数々のトロピカルフィッシュに囲まれた。
一周して戻ってくると、安全停止もかねて、エアが50になるまでリーフ上でフィッシュウォッチング。
こんなに自由に、こんなに気軽に、こういう事をしたのは初めてで、モンハナシャコやクマノミと戯れた。

3本目は「トウアカポイント」
沖縄本島に2つしかない、トウアカクマノミを見られるスポットのうちの一つだとか。
日本で見られるクマノミ属は6種といわれるが、このダイビングでは、トウアカクマノミ、クマノミ、ハマクマノミ、ハナビラクマノミの4種を見る事ができた。
(ちなみにカクレクマノミは別のスポットで見た。セジロクマノミは見たことがない)
これら6種の中では、トウアカクマノミ、セジロクマノミの順に少ないという。
トウアカクマノミが少ないのは、その生息場所が原因らしい。
トウアカクマノミの住む内湾の砂地は、どんどん埋め立て、開発されており、そのために数が激減したらしい。
また、トウアカクマノミはイボハタゴイソギンチャクとしか共生できず、こいつは触手が短いため、外敵にさらされやすいのも一因だそうだ。
そして何よりも、こういった場所はあまりダイビングスポットにならないため、見つけにくいのだとか。
はじめて見るトウアカクマノミは気性が荒く、グローブに噛み付いてくる。
感じ悪いなぁ・・・とか思っていると、イソギンチャクのすぐ横の石に、赤い卵がびっしりと産み付けられていた。
繁殖中だったのだ。
また、ただのクマノミのコロニーにもこどもを発見したし、ハマクマノミとカクレクマノミが共生していると思ったら、ハマクマノミも子どもの頃は2本線だとかで、結局いずれも繁殖中だったのだ。
まあ、クマノミ・フェチの私には大満足の1本でした。
クマノミだけでなく、砂に潜るテンスとか、たくさんのイラブウミヘビとかもいた。

2日め、台風16号は本州をかすめていったけど、沖縄には全く影響なし。
今日の1本めは「ホーシュー」
馬の足の形をしている事から、「HORSE SHOE」→「ホースシュー」→「ホーシュー」となったとか。
ここでは、イロブダイの幼魚から、イソマグロまで、実にバラエティに富んだダイビングを満喫。

2本目は「アポガマ」
ドロップオフと、アーチとトンネルといった地形も楽しめるポイント。
もちろんサンゴも素晴らしかった。
私たちがこんなにも沖縄本島を楽しめるのは、ひとえに地元の方々の努力の賜物である。
常に、感謝の気持ちを忘れないようにしたい。


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