第二次スーパーロボット大戦 −DC戦争−」

第三話「ディバイン・クルセイダーズ」



 資源衛星ア・バオア・クー。
 サイド3がコロニー建設用にアステロイドベルトから運ばせた小惑星を改造したものだ。本来は鉱物採取用だったのだが、位置的にサイド3と月の中間点に位置することもあり、中継港としての機能を備えるようになった。 現在では、中に港湾設備、居住区はもちろん、造船廠やモビルスーツの生産施設も完備しており、いまだ建設途中であるとはいえ、その規模は連邦宇宙軍の拠点であるルナ・ツーに匹敵するほどであった。
 だが、ア・バオア・クーにはサイド3内部ですらほとんど知られていない裏の顔を持っていた。
 公表されているデータでは開発予定ブロックとなっている筈の衛星中心部にMS製造プラント――生産されているMSも公に発表されていない――や兵器廠が存在するのは事実の一端でしかなかった。

「何故貴方がここにいるんです? それにあの海賊の機体の正体を知ってるんですか?」
 剣鉄也に問いながら、アムロ・レイは改めてグレート・マジンガーを見た。以前とディテールが異なっているように思えたのだ。
 アムロの直感は正しかった。一見すると、以前と同じ――シンプルでありながら、力強く、精悍なフォルムの機体だったが、一部装甲の形状が変更され、細部にはアポジモーター等が追加されていた。この分だと内部も相当手が入っているに違いない。あれからより手を加え、さらに宇宙用に換装しているらしい。
「詳しくは言えないな。こちらにも都合があるんでな」
 冷たい、というより素っ気ない口調で鉄也は答えた。そして、アムロが答える前に口を開いた。
「俺がわざわざやって来たのは、お前達に伝言を頼まれたからだ。いや、お前達からコーウェン少将、ひいてはレビル将軍に伝えてもらいたいことがあるからだ」

「失礼します、閣下」
 一分の隙もなく軍服を着こなした壮年の男が一人で入室してきた。鋭すぎる目つきが印象に残る人物だった。
「準備は整ったようだな?」
 部屋の主は、入室してきた男に見向きもせずに書類に目を通しながら聞いていた。
「全艦隊、戦闘体制は整っております。MS、機械獣ともになんとか数を揃えることが出来ました。また、サイド1、2,4、5では反連邦の過激派どもには金と武器をばらまき、特殊部隊を潜伏させております。宣戦布告後には内外から各コロニー駐留軍に奇襲を仕掛けます」
「同時に、我々はそれぞれ、ソロモン、ア・バオア・クーより全艦出撃、サイド4,5の駐留軍を殲滅します。その後、サイド1、2駐留軍を掃討、もしくは接収します」
 部屋の主の無礼な態度を気にも止めず、男は簡潔に報告した。
「地上は?」
「まず、太平洋の要であるハワイ諸島を攻略、確保し、太平洋における連邦の制海権に楔を打ち込みます。その後、一軍を持って日本地区を占領します。あの地域は光子力研究所をはじめ、戦略的に重要な施設が数多く存在しており、早急に占領する必要がありますからな」
 軍服の男は、それがまるで既定の事実であるかのように作戦を説明した。
「おそらくこの段階で連邦軍は……」
「いや、もういい」
 男は低いがよく通る声で説明を遮った。
「いつだ?」
「宇宙世紀〇〇八七年一月三日」

「……こ……ら、ガ……ャノ、ン、カイ……! ……応答し、ろ、G−3! アムロ!!」
 後方からカイのガンキャノンがG−3に接近してきていたが、アムロは気付いていなかった。次第に明瞭になるカイからの通信も聞こえてはいたが、認識出来ていなかった。
「いやがった! ったく、心配かけやがって……。おい、ハヤト! G−3を発見した! ホワイトベースにも連絡しといてくれ。リュウが心配してたからな、っておい、どうしたんだよ、アムロ!」
 何の反応も示さないG−3に業を煮やしたカイはキャノンにG−3の腕を掴ませた。MS同士の接触会話だ。
「……ディバイン・クルセイダーズ。宇宙からの外敵と戦うために結成された宇宙世紀の十字軍、だというのか……」
 だが、そこでカイが見たのは呆然と同じ言葉を繰り返すアムロの姿だった。



予告

 仲間の助けによって窮地を脱したG−3
 しかし、そのグレーの機体に青い巨星が迫る
 そして、モビルスーツとは違う別の機体が蠢動する

次回、「機械の獣(けもの)」


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