「スーパーロボット大戦 −The First War−」

プロローグ


「司令官閣下!」  緊張したオペレーターの声が、この艦隊の司令官を呼ぶ。 「何事だ?」  それに答えたのは、小心そうな中年だった。そのきらびやかな制服で司令官と辛うじて分かるが、隣にいる副 司令の方が若いながらも、よほど司令官らしく堂々としていた。だが、外見は青年というよりも、まるっきり少
年だったが。

「例の宇宙生物が輸送艦の艦底を食い破り、逃走しました!」

 あわてふためき顔色をなくした艦隊司令に対して、副司令は、幼い顔をわずかに緊張させただけで、司令に代
わって極めて冷静に宇宙生物の逃走方向をオペレーターに反問していた。

「我が艦隊の進行方向の左舷を光速で直進中。このまま逃走しますと、最近確認された有人星系に約三日で接触
します」

 少年は目を閉じ、考え込んだ。しかし、間もなく目を開けると司令に意見を具申した。

「我が艦隊は目標を追尾しましょう。ですが、今から追跡しても、かの有人星系にたどり着く前に奴を捕捉する
ことは不可能だと思われます。そこで、艦隊は星系外で待機。偵察隊を出し、奴の行動を監視します。その後は、
必要に応じて強襲部隊を展開し、目標を拿捕、若しくは破壊するのが、現状では最善と考えます。司令官閣下
はどう思われますか?」

 それまで気死寸前だった艦隊司令は、その意見を聞くとわずかに生気を取り戻したが、あることに気が付いて
いた。

「も、もし、現地人に目標を拿捕された場合は、ど、どうするつもりだ?」

「現段階での彼らとの接触は、元老院の命に背くことになります。ですから、できうる限り彼らとの接触を避け
る必要があります。しかしながら、目標があの星に大きな被害を与えることも元老院の望むところではないでし
ょう。そこで、被害が大きくなりそうなときに限って、我々が介入します。それ以外では、敢えて介入する必要
はないでしょう。例え目標が彼らの手で拿捕されることになろうと」

 よどみなく答える副司令。他に選択肢を持たない艦隊司令は、賛成せざるを得なかった。滞りなく命令が遂行
される様を眺めながら、ウェンドロ副司令は司令にも聞こえない声で独語した。

「もっともどのような結果になろうとも、貴方に責任を取っていただくことになっていますけどね。それよりも、

この星系の連中がどの程度の力を持っているか。私の最大の興味はそこにあります。クックックック…」

予告

 突如地球に落下した謎の物体

 その正体を調査するべく、第十三独立部隊と早乙女研究所が行動を開始する


次回「戦端のはじまり」



第一話

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