宇宙の騎士テッカマンブレード

もう一つのブレード〜コミック版「宇宙の騎士テッカマンブレード」〜



放映当時、タイアップとして『コミックコンプ』に連載された作品です。で内容は・・・
 連合宇宙暦192年、連合防衛軍は全兵力を投入した地球外生命体との最終決戦に破れさった。アキ、ノアル、ホンダ、レビンのスペースナイツのメンバーも愛機「ブルーアース号」を破壊され、漂着したオービタルリングシステム(以下、ORS)破棄ブロックで最後の戦艦が沈む光景を見るのだった。
 スペースナイツが漂着した破棄ブロックには、酸素や食料など生きていく為に必要な物は十分にあった、ただ一つこのブロックから脱出する手だて以外は・・・。そして、最後の戦艦が沈むのを見た時メンバーの上に深い敗北感と、ここから脱出することも、救出されることもなく、ただ死を待つのみという恐怖感がのしかかった。発狂寸前になるメンバー。そんな中、毅然とメンバーに地球への帰還の手だてを探すよう命令する者がいた、アキである。その迫力に圧倒されたメンバーは思わず「ラーサ!」と復唱するのであった。そしてその言葉は彼らより以前にそこの存在していたモノを目覚めさせるキーワードであった。
 そのモノはAI搭載のロボットであった、しかし地球でAI搭載のロボットの開発が成功した例は聞いた事は無い、さらにそのロボットの中から一人の少年が現われたのである。そして少年の発した言葉は「メシ・・・」である(^^;。
 貯蔵されていた大量の食料を全て食べ尽くさんばかりの勢いで、少年は食べていた。メンバーは半ば呆れながら、しかし、先程からの重たい空気を吹き飛ばしてくれるその姿を微笑ましく見ていた。誰もが少年の正体を疑問に思いながらも・・・。
 だが、彼が現われ豪快な食べ方を見せてくれたからといって、現在の状況が好転するわけではない。誰からとなく、これからの事が話題となった。そして敵の地球外生命体の事が話題に上がった時、それまで一心に食べていた少年が立ち上がった。驚くメンバーを気にも止めず、先程のロボットに乗り込み宇宙へ飛び出すのだった。「奴等は俺が倒す!」と言い残し。
 そして、外を見るメンバーの前でロボットは地球外生命体にむかって、突っ込んでいった。その背には白き魔神を乗せて。
 とここまで読まれた方は気が付いたと思いますが、TV版とはかなり違った内容です。連合防衛軍は最終決戦で全滅、スペースナイツのメンバーはその生き残り。そして、ペガスは地球製ロボットではなく、ラダム製であり各騎士(テッカマン)に与えられた馬、という設定になってます。これは連載当初ほとんどその設定がまだできて無かった為、コミック版の筆者は少ない設定でオリジナルストーリーを作成しなければならなかった様です。
 この後、ストーリーはダガーとの戦闘、そして地球への帰還(なんと、全員ペガスの背にのっての大気圏突入^^;)、人類の生き残りを探しての放浪(っていうか、その日の食料を求めるだけのサバイバル生活)、ブレードの事を「騎士」と呼ぶ謎の少女ミリーとの出会い、フリーマンを中心とするキャラバンとの接触、と続きます。
 Dボゥイと接触したキャラバンは、彼にオービタルリング内に残る宇宙船の推進エンジンの回収を依頼する。作戦は軌道エレベーターに発生する磁気フィールドでペガスを使用し、一気に最上階へ行き、エンジンを回収する、といった単純なものである。ただし、途中ラダムの妨害が予想される為、テッカマンであるDボゥイしか作戦遂行は不可能であった。Dボゥイはたった一人、オービタルリングに向った。「30分で戻る」と言い残して。
 この後、軌道エレベーターで、主を失い、復讐に燃えるダガーペガスと戦闘になる。ペガス嫌いのダガーだった為、体の中に空いた空間にクリスタルの光を満たすことが一度としてなかったダガーペガス、しかしそれでも尚、主に忠誠を尽くすダガーペガスに、かつてダガーが人間だった頃のフリッツを見るブレード。ペガスの戦闘力ではテッカマンを傷つける事など不可能。だが、ブレードはあえてダガーペガスの渾身の一撃を受けた。「哀れみなどいらぬ」と言うダガーペガスに対し、「俺はラダムを倒すまで死ぬわけにはいかない、だから今は協力してくれ。だが、ラダムを倒した時こそお前の手に討たれよう。」というブレードだった。その言葉に心打たれたダガーペガスは、仇を討つ為、あえて仇の仲間になる愚かな自分を主人に詫びながらブレードの差し出した手を取ろうとするのだった。
しかし、そのダガーペガスのランスが貫いた。それは、エビルをはじめとする新たなテッカマン達の仕業であった。エビルは、ブレードとダガーペガスのやりとりを茶番と言い放ち、見物料といって推進エンジンの入ったコンテナを投げつけた、そのコンテナには、無残に破壊されたペガスが磔にされていた。
ダガーペガスの心を愚弄し、ペガスを破壊された事に怒るブレード。しかし、彼の体にも異変が起きていた。最終調整ができてない彼は30分間しか変身できず、それ以上経つと組織崩壊を起こすのであった。次々と装甲が剥がれ落ちていくブレード、それを裏切り者にふさわしい末路と笑いながら、エビルらラダムテッカマンは襲い掛かるのであった。
地上でDボゥイの帰りを待つスペースナイツとキャラバンのメンバー達。そこにコンテナが落とされた、2体分のペガスとブレードのマスクと共に。
一年後、ブルーアース2世号のコックピットで発進準備をするスペースナイツ。コンテナの中身は無傷であった、「何をした所で無駄だ」と言わんばかりに。そして発進前のメンバーの心にあるのは唯一つ、Dボゥイの無事であった。
とここで連載の方は終了します。1年間のTVアニメのタイアップなのに、連載が3ヶ月、しかもこの終わり方では、打ち切りではないかと考えられます。理由はおそらく「コンプ」の読者には劇画タッチの絵は受け入れなかったのでは、と私は考えています。個人的には気に入ってた為、当時非常に残念でした。
まあ単行本の方ではこの後のストーリーも収録されちゃんと完結しています。巻末には、コミック版の設定資料(つまりTV版初期設定)も載ってます。面白いのは、TV版とコミック版ではペガスのデザインが違うのですが(コミック版では体内にDボゥイを入れた状態では手で歩行する)破壊された2体のペガスを使用して地球製ペガスが誕生するのですが、これがTV版のデザインになってます。ブレード関係の本としては比較的入手可能ですので興味のある方は探してみて下さい。
(Written by ねこみみ)


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