第48回全日本吹奏楽コンクール
平成12年10月22日(日) /東京文化会館

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一般の部
1
東関東/千葉県  土気シビックウィンドオーケストラ (加養浩幸) ※休みから復活4回目
金賞

3/ゴッド・スピード (S.メリロ)

90人近い超大編成。課題曲は多少アンサンブルの乱れがあったものの、全体的には安定した演奏で後半に行くほど音に伸びが出てきました。自由曲は躍動感・色彩感の溢れる演奏で、非常に素晴らしい! スピード感のある演奏は聴衆を引き付けて離しませんでしたね。イングリッシュホルンのソロも好演でした。これだけの大人数をまとめあげる加養氏の力もまた素晴らしいものと思います。お休みからの復活、プログラム1番ながら見事な金賞で飾りました。


2
東北/秋田県  大曲吹奏楽団 (小塚 類)  ※2年連続8回目
銀賞

1/アンティフォナーレ (V.ネリベル)

明るいサウンドですね。課題曲ではソロ群が不安定でしたが、Tuttiの安定感は素晴らしいです。中間部のホルンアンサンブルも非常に美しく決まりました。 自由曲では見事なネリベルを聞かせてくれました。緊張感のある演奏で、この曲の魅力が十分に伝わりました。トランペットを始めとするブラスセクションが見事でした!


3
西関東/山梨県  創価学会山梨吹奏楽団 (吉田孝司)  ※初出場
銀賞

3/スペイン狂詩曲より II.マラゲーニャ IV. 祭り (M.ラヴェル/八田泰一)

初出場おめでとうございます。 課題曲では、トランペット・トロンボーンの音が直線的過ぎて、サウンドのブレンド感が今一つという印象でした。しかし、個々のプレーヤーの技量はかなり高いと思いました。自由曲はスムーズな滑り出しで色彩感溢れるラヴェルとなりました。イングリッシュホルンのソロも好演でしたね。強奏部分になるとサウンドがとたんに汚く荒くなったのが残念でした。


4
東北/山形県  米沢吹奏楽愛好会 (淀 彰) ※6年ぶり7回目
金賞

3/バレエ音楽「眠れる森の美女」より (P.チャイコフスキー/淀 彰)

「美しいサウンド」の一言に尽きました。木管金管のブレンド感が絶妙です。ただし、美しすぎてメリハリがもう少し欲しい気もしましたが・・・。自由曲も同様に、終始美しいサウンドでバレエ音楽を奏でています。強奏になっても決してうるさくありませんでした。2曲通してのサウンドの美しさに高い評価を得たようです。7回目の出場で初の金賞受賞となりました。おめでとうございます。


5
東京/東京都  創価グロリア吹奏楽団 (佐川聖二) ※3年ぶり2回目
金賞

4/交響曲第2番作品40より 第1、4楽章 (M.アーノルド/瀬尾宗利)

非常に明るく骨太なサウンドで安定感のある演奏でした。個々人のレベルが高いですね。課題曲では佐川節が随所に聞かれ、完成度の高い演奏でした。ホルンとサックスのピッチがちょっと合わなかったのは残念ですが、トランペット・ソロは中学〜一般の全部門を通じて最高の演奏だったと思います。自由曲は前日の文教大学と同じアーノルド。一糸乱れぬ演奏というのはこういう演奏のことをいうのでしょうね。しかしちょっとパワーがあり過ぎの感。確かに上手なのですが、ちょっと大味過ぎで胸いっぱいになってしまいました。まあ、それはさておいても、技術&表現ともにトップクラスの演奏だったことは間違いありません。2回目の出場で2回目の金賞受賞、おめでとうございます。


6
関西/滋賀県  大津シンフォニックバンド (森島洋一) ※3年連続4回目(3出)
金賞

2/大阪俗謡による幻想曲 (大栗 裕)

ステージに並んだ姿は風格すら感じさせましたね。課題曲2はこの2日間では最高の出来でしょう。この手の曲はきっと上手だろうという期待を裏切らない演奏で、技術・表現ともにアマチュアの粋を超えていました。自由曲・大阪俗謡は骨格のある演奏でした。オーボエソロも情感豊かで好演であり、打楽器群が随所でバンドを締めていたと思います。このホールではちょっとうるさいかなぁと感じるところもありましたが、ゴージャスなサウンドは横綱級でした。
今年の課題曲・自由曲をはじめ、98年「童夢&タプカーラ」、99年「海響」に見られるような"日本独特の節回し""間の取り方""土俗的旋律" にOSBサウンドという一つの「スタイル」を確立したようです。 3年連続出場は3年連続金賞。見事なパンチアウトでした。


7
九州/福岡県  大牟田奏友会 (山本 聡) ※2年ぶり8回目
銀賞

1/交響組曲「寄港地」より II. チュニス〜ネフタ III.ヴァレンシア(J.イベール/P.デュポン)

丁寧な音楽作りという印象です。各ソロも好演でした。しかし欲を言えば、表現がおとなしくて平凡な演奏になってしまったかなという感じです。 寄港地はオーボエソロ頑張りましたね。伴奏がちょっと重く野暮ったく聞こえました。2曲ともにメリハリに欠け、もっと色彩感が欲しいところです。


8
西関東/埼玉県  ソールリジェール吹奏楽団 (瀬尾宗利) ※初出場
銀賞

3/管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より 第2、3楽章  (M.アーノルド/瀬尾宗利)

美しいサウンドなのですが、各楽器の音がストレートに客席に飛んでくる感じがしました。そのせいかサウンドが分散気味でまとまりが悪かったように思います。 自由曲では2楽章は美しく、3楽章は華やかでしたね。強奏部分でトランペットが荒くなりバンドのバランスを崩してしまったのが残念です。印象に残ったのは木管群の上手さ。特に木管低音が充実しているバンドでした。 文教大OBが母体のバンドですが、学生のノリを引き継いでいるかのような他のバンドにはない独特の一体感が感じられました。(指揮者の瀬尾氏も文教OBですしね。。) 激戦区・西関東のバンドとして十分全国にその存在をアピールできたのではないでしょうか!


9
東海/静岡県  浜松交響吹奏楽団 (浅田亨) ※4年ぶり4回目
銀賞

2/第2交響曲GRより (天野正道)

実力バンドが4年ぶりの全国復活!東海支部の激戦さを物語っているようです。課題曲では構成がしっかりしており、輪郭のはっきりした演奏で気持ちよく聞くことができました。 自由曲・ジャイアントロボは、スピード感のある演奏でしたね。中間部はコーラスが入っていたように聞こえましたが非常に美しいアンサンブルでした。強烈な派手さや華やかさは特に無いのですが正統派シンフォニックバンドの演奏は見事。


10
北海道/北見  北見吹奏楽団 (太田 究) ※初出場
銅賞

1/バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より (S.ブロコフィエフ/林紀人)

編成は40人ほどの中編成。課題曲は非常にすっきりしたサウンドです。表現がおとなしいかなとも思いましたが、下手な小細工をしない分、すんなり聞くことができました。中間部のホルンアンサンブルは美しい演奏でした。自由曲に入っても上手なホルンがよく響いていましたね。低音群がしっかりしているので、サウンドのバランスが良く好演だったと思います。特にバスクラリネットが印象的でした。


11
九州/鹿児島県  宮之城吹奏楽団 (幸喜 隆) ※2年連続2回目
銅賞

3/海の男達の歌 (R.スミス)

課題曲は冒頭の木管低音のテーマでアンサンブルが乱れてしまい残念です。各セクション毎のアンサンブルが乱れることが多く、全体的に雑然とした印象です。 自由曲は冒頭のトランペットとホルンが上手でした。サックスソロも情感豊かでしたし、全体的に好演でした。80人前後といった超大編成の演奏が続くなか、宮之城のようなバンドの存在意義は大きいと思います。決して音楽はボリュームではありません。評価こそ銅賞でしたが上手なバンドでした。


12
中国/岡山県  倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー (佐藤道郎) ※3年連続5回目(3出)
銅賞

1/映画音楽「ハムレット」より (W.ウォルトン/木村吉宏)

課題曲では細かいミスが目立ってしまいましたね。そのためかバンド全体が音楽に乗り切れないまま課題曲が終わってしまったように思います。しかしTuttiでのサウンドは柔らかく素晴らしいものがありました。 ハムレットは冒頭のブラスによるファンファーレが秀逸。緩急のある演奏でメリハリがありました。後半はちょっと鳴らしすぎかなとも思いましたが、劇的な音楽作りで好演だったと思います。


13
東関東/神奈川県  グラールウィンドオーケストラ  (佐川聖二)  ※2年連続3回目
金賞

4/交響的断章「時の逝く」 (伊藤康英)

80人を超える超大編成は分厚いサウンド。課題曲では音楽に推進力が無くて重い感じになってしまい、強奏部分ではバランスが崩れてしまいました。トランペットソロは立奏で頑張りましたが、ピッチがフラット気味だったのが残念。その後に続くTuttiではよく歌いこまれていて良い感じで終曲につながっていきましたね。自由曲は劇的な曲をよく熱演されました。細かいことを言えばところどころアンサンブルの乱れはありましたが、曲全体を通しての緊張感や劇的表現が評価に繋がったのでしょう。3回目の出場で初の金賞受賞、おめでとうございます。


14
関西/兵庫県  尼崎市吹奏楽団 (辻井清幸) ※2年連続21回目
銀賞

3/映画音楽「来るべき世界」より (A.ブリス/木村吉宏)

こちらも80人ほどの超大編成。しかしこの人数なのに、決して乱れず理性が感じられるバンドです。余裕をもった奏法で、ステージ上でバンドの響きを作ってから客席に送り出すような演奏です。やはり期待通り弱奏が非常に上手いバンドですね。各セクションのレベルの高さが光っていました。終曲でのサウンドはゴージャス且つ圧巻でした。昨年の演奏よりも良かったと思いましたが、この演奏が銀賞というのは理解に苦しみましたねぇ。(^^;; 金賞だと思いましたが・・・。


15
四国/香川県  高松市民吹奏楽団 (金川公久) ※2年ぶり3回目
銅賞

2/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より (M.ラヴェル/林紀人)

80人を超す超大編成。歴代の四国代表バンドとしては最大編成ではないでしょうか? 課題曲の冒頭はトランペットのピッチがちょっと不安定だったのが残念。バンドのサウンド自体が濁り気味かなぁ。ダフニスはバンドの音が分散してしまい、まとまりに欠けました。「夜明け」の部分はもっともっと密やかに幻想的であればよかったと思います。全員の踊りは強奏部分での音が直線的で荒っぽい印象を受けましたが、後半から終曲に向かう勢いは素晴らしく見事なラストでした。


16
北陸/富山県  富山ミナミ吹奏楽団 (牧野 誠) ※2年連続2回目
銀賞

1/交響組曲第3番より (天野正道)  

豊かで大らかなサウンドです。当日のトリということで緊張もあったでしょうか、課題曲ではぎこちない部分があり、バンド全体が戸惑っているような印象を受けました。ホルンアンサンブルは当日の課題曲1をやったバンドの中では一番良かったと思います。 自由曲はなんというか「自信」に満ち溢れた演奏でした。弱奏部分になっても決して音楽が痩せることが無く安定感があり、更には場面展開が非常に上手なので聞き手を飽きさせません。中間部でのクラリネットパートの乱れがちょっと残念でしたが、終曲に向かう部分はホール全体に響きわたるサウンドが劇的・感動的でありました。演奏後、「ジャイアントロボってかっこいいね!」という声が近くから聞こえていましたね。審査発表での「銀賞」というアナウンスには、会場からため息が漏れるほど。それだけ聴衆の心には深く刻まれたのでしょう。20世紀の最後のコンクール、大トリにふさわしい素晴らしい演奏でした。

【一般の部を聞いて・・・】
金賞5、銀賞7、銅賞4。金賞は米沢吹(東北)、土気シビック(東関東)、グラール(東関東)、創価グロリア(東京)、大津SB(関西)の5つ。昨年の7団体にくらべると評価は辛めでしょうか。 個人的には浜松交響吹(東海)、尼崎市吹(関西)、富山ミナミ(北陸)も金賞レベルだったと思います。技術・表現・感銘度など、金賞バンドにもヒケを取らない演奏でした。金・銀・銅の比率配分があるのでしょうが、「良いものは良い」というような審査を望みたいですね。今年も80人クラスの超大編成が主流でしたが、個人的には宮之城(九州)を高く評価したいと思います。 一般の部のレベルの高さは毎年驚愕ものですね。来年の浜松がまたまた楽しみになりました。今年で大津SB、倉敷GH(中国)が3年連続出場を達成しました。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。