第48回全日本吹奏楽コンクール
平成12年9月30日(土)/普門館

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中学・前半の部
1
東北/秋田県  秋田市立山王中学校 (細谷 直)  ※2年連続22回目
銀賞

1/交響組曲「寄港地」より (J.イベール/P.デュポン)

白ブレザー&黒パンツのスタイルはカッコイイですね。新しくユニフォームを作られたんですね。 朝イチということで「音が飛ばない」ことを考慮していたんでしょうか?ちょっと力み過ぎかなという印象です。そのため音が直線的で、いつものゴージャスなサウンドを聞くことができませんでした。「寄港地」はオーボエのソロ頑張りましたが、ちょっとピッチが不安定だったのが残念。しかし後半への盛り上がりが見事で色彩豊かな演奏になっていました。


2
東関東/栃木県  宇都宮市立陽西中学校 (星 弘敏) ※お休みから復活4回目
銀賞

3/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(Z.コダーイ/森田一浩)

課題曲は冒頭の木管群のピッチも良く合っていて順調な滑り出しでした。課題曲・自由曲ともに若さ溢れる元気いっぱいの演奏で好感がもてました。くじゃくのフルートソロはハープとの絡みが非常に美しく素敵な演奏でした。

3
四国/愛媛県  松山市立雄新中学校 (杉澤嘉穂)  ※お休みから復活17回目
銀賞

1/交響詩「ローマの祭り」より (O.レスピーギ/仲田守)

ティンパニーのセッティングが左右逆になってしまったようで、アナウンスから演奏開始までにちょっと時間がかかってしまいましたね。こういう時間って演奏者の立場ではちょっと嫌な「間」ですが、それをモノともしませんでした。多少サウンドがかためでしたが元気いっぱいの課題曲でした。自由曲ではたった4人のTrpでの「祭り」は大変だったと思いますが、よく頑張りました。後半へ向かっても決して失速することなく見事な演奏だったと思います。

4
東京/東京都  江戸川女子中学校 (佐野直樹)  ※初出場
銀賞

3/吹奏楽のための神話〜天の岩屋戸の物語による (大栗 裕)

課題曲はテンポが早めで落ち着きがなかったように思います。課題曲、自由曲ともに言えることですが、Trpのベルアップが逆効果でした。クレッシェンドやアクセントの場面でよくベルアップをしていましたが、ベルを上げていく毎に音色が悪くなりバンド全体のサウンドを乱してしまいました。「神話」の物語を表現するという点ではなかなか好演だったので、惜しい感じがしました。

5
関西/奈良県  生駒市立生駒中学校 (牧野耕也)  ※3年連続3回目(3出)
金賞

1/ミシシッピ組曲より II, IV (グローフェ/森田一浩、瀬尾宗利)

私が見る限りでは全員女子生徒でしたね。非常にブラスセクションが良いサウンドをしています。自由曲では非常に生き生きとした演奏で、この曲の楽しさがうまく表現されていました。ファゴットソロ好演でした!輪郭がはっきりしたハッタリの無い演奏で、3年連続出場を3年連続金賞で飾りました!見事なパンチアウトでした!!

6
東海/長野県  松本市立筑摩野中学校  (妹尾圭子)  ※2年連続2回目
金賞

1/喜びの島 (C.ドビュッシー/真島俊夫)

前半の部における白眉。こちらも女子ばかりで、男子はたった一人。各セクションが整理されたクリアなサウンドでした。目から鱗が落ちたのは自由曲。冒頭のFl、Clのソロは素敵でした。この難しい曲を難しく感じさせないところが見事です。それだけ各奏者の技量が高いのでしょう。Trpがフリューゲルホルンに持ち替えていたのも効果的でしたし、全体のサウンドが本当に柔らかくて見事なドビュッシーでした! 絵画に例えるならば、前の生駒中が油絵の力強さ、筑摩野中は水彩画のような繊細な美しさですね。 私の席の近くには関係者の方だと思いますが、演奏が終わった瞬間に涙を流されていたのを覚えています。2年連続金賞受賞おめでとうございます。

7
中国/島根県  出雲市立第一中学校  (原田 実)  ※6年ぶり32回目
銀賞

1/朝鮮民謡の主題による変奏曲 (J.B.チャンス)

「出雲」の名前を聞くと、やはり全国大会だなぁと感じますね。 原田先生が戻られて見事に復活してきました。まずは良く鳴るバンドという印象ですが多少サウンドはカタメでしょうか。自由曲でのオーボエ、トランペットのソロは素朴な感じがよく出ていて好演。パーカッションも非常に上手でしたし、ラストのテーマを高らかに歌い上げるところは感動的でした。まだバンドそのものは成熟していない感じですが、これからが楽しみだと思います。

8
北海道/札幌  札幌市立宮の丘中学校  (田島夏樹)  ※2年ぶり2回目
銅賞

2/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より 夕べの祈り、パントマイム (E.フンパーディンク/中原達彦)

課題曲、冒頭のTrpは惜しかったですね。しかしその後に続くTuttiサウンドは北海道のバンドらしく大らかで豊かでした。自由曲。前日に同じ北海道の東海大四高がこの曲で見事な演奏を披露してくれましたが、宮の丘のヘンゼルも素晴らしい演奏でした。しかし欲を言うならば、もっともっと陶酔感がでるように歌ってほしいと思いました。

9
西関東/群馬県  玉村町立玉村中学校  (小川良介)  ※初出場
銅賞

1/舞踏組曲より (B.バルトーク/山本教生)

課題曲なかなかの好演でした。しかし初出場で普門館の雰囲気を掴めないまま課題曲が終わってしまった感じです。バルトークは難しい曲をよく練習してあるなという印象。どのセクションも良く吹けていてちゃんと交通整理された演奏でした。来年につなげてくださいね。

10
九州/福岡県  須恵町立須恵中学校  (南 光俊)  ※初出場
銀賞

1/朝鮮民謡の主題による変奏曲 (J.B.チャンス)

課題曲は軽快で好演。このバンドのサウンドは課題曲には非常にあっていましたね。朝鮮民謡は素朴な雰囲気が良く出ている演奏だったと思います。

11
東北山形県  米沢市立第四中学校  (加藤公一)   ※初出場
金賞

2/組曲「戦場にかける橋」より (M.アーノルド/木村吉宏)

課題曲良かったです。サウンドも明るくて申し分ない。とても初出場とは思えないほど伸び伸びとした演奏でした。自由曲もこの難しい曲をよく表現していました。「映画」とか見て参考にしたんでしょうかね?場面展開が見事な演奏でした。初出場で金賞受賞おめでとうございます。

12
九州福岡県  中間市立中間東中学校 (東 一郎)  ※8年ぶり4回目
銅賞

4/3つの夜想曲より II. 祭り (C.ドビュッシー/建部知弘)

男子生徒がけっこう多くて、最近の中学バンドでは逆に珍しいですね。前半の部唯一の課題曲4でした。各セクション毎のアンサンブルが上手でなかなかの好演でした。自由曲。私の大好きな曲ですが、素敵な演奏でした。ミュートTrp良かったですよ!

13
北陸富山県  福光町立吉江中学校 (山田 誠)  ※2年連続2回目
金賞

3/ケルト・ラプソディー (ケルト民謡/建部知弘)

黄色いブレザーが非常に鮮やか。黒いステージには良く映えます。課題曲は中学生らしい元気のある演奏でした。まずは良く鳴りますね!前日の高校バンドよりも鳴っていたと思いますよ。小細工の無い素直な表現がナイス。そして自由曲がまた素晴らしい出来でした。素朴なメロディを情緒豊かに歌い上げるところは中学生とは思えないほどでした。ノンペダルハープが非常に効果的でしたし、ピッコロのソロはとても上手でした!2年連続金賞おめでとうございます。

14
東関東/茨城県  ひたちなか市立田彦中学校 (志田信彦)  ※3年ぶり2回目
金賞

1/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」 (R.シュトラウス/斎藤 淳)

課題曲では各ソロの受け渡しでピッチが不安定になり残念でしたが、全体を通しては好演でした。自由曲。その充実した編成はまるで常総学院を見ているかのような豪華さです。ソプラニーノSax、コントラファゴット、チェレスタ、ハープ、、羨ましいですね。色彩豊かなサウンドになっていました。ホルンソロもまずまず。特に中間部での木管セクションは艶があってしなやかで絶品です。2曲通しても感銘度が高く金賞は当確といった感じでしたね。初の金賞受賞おめでとうございます。

15
関西/大阪府  大阪市立城陽中学校/梅田隆司 ※2年連続13回目
銀賞

2/交響詩「魔法使いの弟子」 (P.デュカス/F.ウィンターボトム)

音がよく前に飛んでくるバンドでした。課題曲はソロもよく吹けています。ピッチが危うい箇所もあってサウンドに濁りがあったのが残念です。梅田先生になって全国に復活した2年目。バンドの力は昨年よりもさらに大きくなっていて、来年がまた楽しみになりました。


【前半の部を聞いて・・・】
金賞5、銀賞7、銅賞3という結果。金賞は生駒(関西)、筑摩野(東海)、米沢第四(東北)、吉江(北陸)、田彦(東関東)と5支部にばらけました。特に生駒は3年連続、筑摩野と吉江は2年連続の金賞ですが、この3団体は初出場金賞で今年も連続の受賞です。金賞バンドはどこも情景描写が上手でした。特に筑摩野はこれまでの中学生バンドには無い「透明感・繊細さ・色彩感」を兼ね備えたバンドで、中学生の可能性を感じさせる名演だったと思います。 生駒中が3年連続出場により来年はお休みになります。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。