第49回全日本吹奏楽コンクール
平成13年10月21日(日) /アクトシティ浜松

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一般の部

1
東海/静岡県  浜松交響吹奏楽団  (浅田亨)  ※2年連続5回目
金賞

4/交響組曲「GR」より シンフォニックセレクション (天野正道)

大人数ながらも乱れを感じさせず、非常にまとまったマーチでした。自由曲「GR」は、全体を通してドラマチックな仕上がりです。中間部の歌い込みも実に自由自在。オーボエがよくリードしていましたね。素晴らしい構成も手伝って、スケールの大きいシンフォニックなGRの世界に聴衆を引き込んでいきました。終曲は本当に感動的でしたね! 5年ぶり4回目の金賞受賞です。


2
北陸/富山県  富山ミナミ吹奏楽団  (牧野 誠)  ※3年連続3回目
銀賞

4/交響組曲第7番「BR」より (天野正道) 

各セクションがよく楽器を鳴らしていますが、ちゃんと交通整理されているので強奏部もうるさくないですね。サウンドは決して分散せず、きちんとステージ上でまとまってから、客席に届けられている感じです。 マーチは骨格のしっかりした安定感のある仕上がりで、また打楽器がバンドを引き締めて好演でした。自由曲ではかなり高度な技術。「バトルロワイアル」では「緊張」「安堵」「興奮」といった人間の感情を見事に表現しきった演奏だったと思います。


3
四国/高知県  鏡野吹奏楽団  (弘田靖明)  ※5年ぶり9回目
銅賞

3/歌劇「トスカ」より (G.プッチーニ/鈴木英史)

すっきりと贅肉のない爽やかなマーチ。ベースがよく響いており心地良いサウンドがしていました。「トスカ」からは「テ・デウム」を披露。大きな流れの中で伸び伸びとした演奏でした。Tuttiも安定感のある豊かな響きがしていましたが、全体を通してみると平凡な演奏だったかもしれません。もっと良い意味での「アクの強さ」や「個性」をアピールしてみても良いのかなと思いましたが…。


4
東関東/神奈川県  グラールウィンドオーケストラ  (佐川聖二)  ※3年連続4回目
銀賞

2/バレエ音楽「青銅の騎士」より
   元老院前広場にて、広場での踊り、踊りの情景、偉大なる都市への讃歌 (R.グリエール/仲田守)

落ちついたテンポで、骨格のしっかりしたマーチになりました。超大編成ではありますが、ほどよく抑制がきいており好演だったと思います。自由曲では、特に緩やかな部分での歌い込みに「佐川節」がよく出ており、色彩感に溢れた演奏になりましたね。ラストの「偉大なる都市への讃歌」では合唱で聞かせましたが、少々しつこい印象かな。合唱を前面に持ってきましたが、座ったまま歌っているせいでしょうか、今一つ響かずに魅力に欠けたような気がします。しかしながら見事な終曲で締めた演奏でした。


5
関西/大阪府  創価学会関西吹奏楽団  (伊勢敏之)  ※3年ぶり9回目
金賞

2/交響詩「ローマの祭」より (O.レスピーギ/佐藤正人)

今大会、全部門を通じてイチバン素晴らしい課題曲2だったと思います。「この曲はこう演奏するんだぞ!」といったような技術・表現ともにお手本のようなマーチで本当に見事でした! 続く自由曲では充実した低音群が威力を発揮、続くホルンのメロディも完璧でしたね。主顕祭ではトランペットソロはちょっと力が入り過ぎてしまったようですが、スピード感&色彩感に溢れた見事な演奏でした。2曲通してホルンセクションがとても光っていたと思います!(全団体を通じてもNo1のホルンセクションでしょう) 8年ぶり8回目の金賞受賞、おめでとうございます。


6
九州/佐賀県  佐賀市民吹奏楽団  (南里隆弘)  ※6年ぶり7回目
銀賞

3/管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より  (M.アーノルド/瀬尾宗利)

サウンドが明るく丁寧な演奏をするバンドでした。ピッコロソロも好演で大変爽やかなマーチでした。各セクションがクリアに響いてきて、好きですねこういうサウンド。個人的にはかなり好きな音がしてました。アーノルドはスケール感や色彩感に長けた演奏でした。特に「ロマンティック・インターリュード」での美しいアンサンブルが秀逸。「ハッピーエンディング」も華やかで素晴らしかったですね。残念ながら今年も九州からは金賞はでませんでしたが、素敵な演奏だったと思います。佐賀市民は60人ぐらいだっでしょうか、超大編成バンドにも決して引けを取らないサウンドには魅了されました。来年も是非聞きたいバンドですね!


7
北海道/北見地区  北見交響吹奏楽団   (江頭義人)  ※4年ぶり3回目
銅賞

2/歌劇「パリアッチ」より プロローグ  (R.レオンカヴァッロ/松田弘喜)

遅めのテンポ。冒頭のホルンはちょっと惜しかったですね。しかしガッチリとした作りで躍動感あるマーチでした。自由曲は難しい曲ですね。大らかで伸びやかなサウンド。音楽の作り方が非常に丁寧で、Tuttiではところどころでハッとするほど良い響きがしていましたし、劇的な雰囲気が良く出た好演だったと思います。


8
西関東/埼玉県  川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (福本信太郎) ※お休み明け8回目
銀賞

1/交響曲第5番より 第2楽章 「嵐のように…」  (G.マーラー/飯島俊成)

西関東大会とは別の指揮者ですね。たっぷりと歌いこまれた前奏でした。マーチではトランペットがちょっと頑張りすぎでバランスを崩し気味だったのが惜しい。 自由曲は話題のマーラー。Tuttiでの強奏部分になるとバランスが崩れ、うるさい演奏になってしまったのが残念ですね。多少荒さも目立ちましたが、聞き応えのある演奏だったと思います。


9
中国/広島県  MKU吹奏楽団  (金田康孝)  ※初出場
銅賞

3/バレエ音楽「ジゼル」より  (A.アダン/小長谷宗一)

今年の一般の部では恐らく最少の50名ほどの編成。クリアですっきりとしたサウンドで、中間部では中音楽器のオブリガートが聞かせました。細部に渡って心配りのある演奏で、曲想がよく表現できたマーチだったと思います。自由曲では、美しい木管アンサンブルが印象的でオーボエが良い音してました。全体を通しても丁寧な演奏であり、超大編成バンドの中でも、決して埋もれない何かをもっているバンドだと思います。銅賞ではありましたが秀逸な演奏でした。


10
九州/鹿児島県  宮之城吹奏楽団  (幸喜 隆)  ※3年連続3回目
銀賞

3/絵のない絵本 (樽屋雅徳)

私個人的に非常に好きなバンドなのですが…。クリアでしかも艶のあるサウンドは健在で、小細工の無いスッキリとしたマーチに仕上げていました。自由曲も素晴らしいです!強奏時になってもバランスが崩れないのは流石。弱奏でも音楽が貧弱にならず、美しい演奏でした。合唱も取り入れて表情豊かで色彩感溢れる快演でした。佐賀市民吹と同様、超大編成バンドにも負けない「大人のサウンド」は特筆すべき点でしょう。


11
東北/秋田県  大曲吹奏楽団 (小塚 類)  ※3年連続9回目
銀賞

1/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/築地隆)

小塚氏の音楽作りがよく伝わってくる演奏で、前奏も美しくマーチに入っても細部に心配りが感じられました。自由曲は緊張感のある快演で、どんどん聴衆を引き込んでいきました。気迫のこもった訴えかけるような演奏には、聴衆の多くが魅了されたと思います。難を言えば、この曲で重要な役割を果たすトロンボーンセクションにもう一つ「冴え」が無かったのが残念です。


12
東京/東京都  東京正人吹奏楽団  (鈴木正人)  ※初出場
銅賞

1/交響詩「ローマの祭」より  (O.レスピーギ/佐藤正人)

前奏の出だしはオーボエのピッチが安定せず残念。マーチ自体もどこか間延びした感じでした。自由曲は冒頭の低音群は堂々としており良かったです。主顕祭はハジけすぎてしまって、強奏になると抑制が効かずにバランスを崩す場面が多かったようです。Trp、Trbのソロは今一つ魅力に欠けましたね。全体を通して「若々しさ」を感じる熱演でしたが、紙一重で「荒っぽさ」が見え隠れしてしまい雑然とした印象が残りました。


13
関西/兵庫県  尼崎市吹奏楽団  (辻井清幸)  ※3年連続22回目
銀賞

1/バレエ組曲「ボルト」より
   序曲、コゼルコフの踊りと彼の友人たち、終曲の踊りと大団円  (D.ショスタコーヴィチ/木村吉宏)

丁寧に整理されたマーチでした。毎年思うのですが、強奏になっても決して乱れないバンドです。超大編成でありながら、弱奏で勝負のできるサウンドを持っています。個人的な好みでいうなら、尼崎のサウンドで課題曲3を聞きたかったですね。自由曲「ボルト」も鮮やかな序曲で始まり、細部にわたってしなやかで変化に富んだ秀演でした。強奏時のサウンドの美しさでいえば当日随一。ここ2年ほどは金賞に届かなくなっていますが、尼崎市吹の音楽は今後もこうであってほしいなと思います。


14
東関東/千葉県  土気シビックウィンドオーケストラ  (加養浩幸) ※2年連続5回目
金賞

3/「ウエイト・オブ・ザ・ワールド」より リメンバリング・ザ・フューチャー  (S.メリロ)

クリアでシャープなサウンド。マーチもスピード感溢れる演奏でした。音楽に「余裕」があり、絶対的な安定感があります。自由曲では冒頭から緊張感ある演奏で、スケール感のある劇的な演奏。緩急のつけ方も実に手馴れた感じで、特に緩やかな部分の表現が素晴らしいと思います。弱奏でも決して音楽が貧弱になったり停滞することなく非常にレベルの高い演奏でした。2年連続4回目の金賞受賞です。


15
西関東/埼玉県  川越奏和奏友会吹奏楽団  (佐藤正人)  ※お休み明け4回目
金賞

3/交響組曲第2番「GR」より (天野正道)

課題曲では、各のセクションがバランス良く響いており本当に上手ですね。大人数でも決して重くならず、 自由曲は勢いのある演奏でカッコイイ「GR」でした。ところどころ「力まかせ」で強引に感じる部分もありましたが、それもバンドの持つ「力」のなせる業でしょうね。また、静かな部分の上手さが光りました。たっぷりと歌い込まれた表情豊かな表現は流石という感じ。特に後半からののテーマを歌い上げるところは感動的な終曲となりました。お見事です!3年ぶり3回目の金賞受賞、おめでとうございます。


16
東北/秋田県  秋田吹奏楽団  (佐藤正人)  ※2年ぶり4回目
金賞

3/「放射と瞑想」より パート1、パート2  (天野正道)

軽快で洒落たマーチです。ピッコロソロは「大職一の部」では唯一のスタンドプレイで聞かせましたね。マーチは生き生きとしており、躍動感で溢れています。 自由曲は、まず各奏者の技術の高さに脱帽ですね。各セクションが安定しているので、Tuttiも実に見事なサウンドになっていました。バンドからの気迫・緊張感・集中力が会場全体を包み込み、終曲も実に感動的でした。指揮者は2団体連続での登場で本当にお疲れ様でした。2年ぶり2回目の金賞受賞です。

金賞5、銀賞7銅賞4という内訳になりました。今年も相変わらずのハイレベルな一般の部でした。金賞の、秋田(東北)、土気シビックW.O.(東関東)、川越奏和(西関東)、浜松交響(東海)、創価学会関西(関西)の5団体の内、邦人作品が3つ(全て天野作品)、吹奏楽オリジナル(S.メリロ)、管弦楽アレンジ(O.レスピーギ)がそれぞれ1つずつという結果。金賞の半分以上を邦人作品が占めるというのは過去に類を見ない結果になりました。ちなみに、1997年〜2001年までこれで5年練連続で出演順1番が金賞です。職場の部のすぐ後での演奏ということもあり、もしかするとラッキーな出演順なのかもしれないですね。
近年の一般の部では超大編成バンドが金賞を独占する傾向にありますが、今年は50〜60人のバンドが好演だったと思います。残念ながら、今年も九州支部からは金賞が出ませんでしたが、佐賀市民、宮之城は決して金賞バンドにも見劣りしない演奏だったと思います。大曲(東北)、グラールW.O.(東関東)、富山ミナミ(北陸)、尼崎市(関西)、宮之城(九州)の5団体が3年連続出場で、来年お休みになります。


※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。

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