第49回全日本吹奏楽コンクール
平成13年10月20日(土) /アクトシティ浜松

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大学の部

1
西関東/埼玉県  文教大学吹奏楽部 (佐川聖二) ※2年連続12回目
金賞

1/交響曲第5番「ハイドリオタフィア」より (W.オルウィン/瀬尾宗利)

見事に歌いこまれた前奏。まさに恍惚としてしまう演奏でした。続くマーチも節度をもった非常に丁寧な演奏で、格調高く仕上がっていました。自由曲は難しい曲ですね。しかしそれをサラリとやってのけてしまうところが素晴らしいです。表情豊かに歌い上げる部分も、テクニカルな部分も、細部まで心配りのある演奏で、見事2年連続6回目の金賞を受賞しました。

2
九州/福岡県  福岡教育大学吹奏楽部 (洲暁) ※20年ぶり2回目
銅賞

3/「舞踏組曲」より 第2・3・4楽章 (小倉朗/末永隆一)

出だしのトランペットが響いてこなかったのが残念。全体のサウンドも濁った感じがして結果的に雑然とした印象です。スネアドラムのセット位置がバンドの中のほうにあり、バンドの音との一体感がありました。自由曲では、木管と金管のバランスが多少悪かったかなと思います。また、各ソロ群は頑張りましたが、ピッチが不安定だったのが残念です。曲全体を通して「聞かせどころ」が不明確でしたね。学生指揮者のように見受けられましたが、音楽作りの方向性は決して悪くないと思いますし今後が楽しみなバンドだと感じました。


3
北陸/富山県  富山大学吹奏楽団 (秋山武司)  ※初出場
銅賞

1/伝説のアイルランド (R.W.スミス)

課題曲ではピッチの悪さが露呈してしまい魅力も半減。不正確かもしれませんが、Cla12人、Trp11人に対し、Hrn3人というのは物理的にもバランスが悪く、中音域が非常に薄いのでバンド全体のサウンドも貧弱な感じがしました。自由曲はいろいろ工夫しているのは分かりましたが、やはりピッチの悪さが曲そのものの魅力を損なう形となりましたね。2〜3人のアンサンブルになると安定感を欠き、逆にTuttiになるとバランスを崩しています。そんな中、打楽器群はかなりまとまっていたと思います。

4
東北/宮城県  東北学院大学シンフォニック・ウィンドアンサンブル (淀 彰) ※2年ぶり21回目
銀賞

1/歌劇「イーゴリ公」より ダッタン人の踊り (A.ボロディン/淀彰)

前奏は無難な滑り出しでしたが、この魅力を引き出すには至りませんでした。マーチ全体としても無難で平凡な演奏に終わってしまったのが残念です。自由曲、ダッタン人の各ソロ群は今一つ魅力に欠けていたように思います。ソロ部に限らず、バンド全体が安定感に欠け、聞き手側を不安にさせてしまったように思います。


5
北海道/札幌地区  札幌大学吹奏楽団 (今井敏勝)  ※2年ぶり3回目
金賞

3/組曲「馬あぶ」より  (D.ショスタコーヴィッチ/木村吉宏)

課題曲は大変軽快な滑り出しで、洒落た雰囲気も十分表現できていました。タンバリンとバンドが微妙にずれていたのが少し気になった他は、非常に好演だったと思います。自由曲は、実に鮮やかなオープニングで好スタート。どのセクションもよく鳴っており、何と言っても「バンドの持つ一体感」に素晴らしいものがありました。組曲としての構成も良く考えられており非常に聴き栄えのする演奏だったと思います。北海道の大学バンドとしては初の金賞受賞となりました。おめでとうございます。


6
関西/大阪府  関西大学応援団吹奏楽部  (西村正行) ※3年ぶり9回目
銀賞

1/バレエ音楽「四季」より 秋  (A.グラズノフ/渡辺秀之)

まとまりのある理性的なマーチとでも表現したいと思います。柔らかい木管とクリアな金管は非常にまとまったサウンドを作り上げていたと思います。特に前奏では表情豊かで好演でした。その美しいサウンドは自由曲でも発揮されましたね。中間部は本当に美しいアンサンブルを聞かせ、色彩豊かなグラズノフとなっていました。個人的にはイチバン好きなサウンドでした。「秋」は名曲ですね。


7
東海/愛知県  愛知学泉大学オーケストラ吹奏楽研究会 (吉見光三) ※初出場
銀賞

3/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より  (M.ラヴェル/佐藤正人)

マーチの出だしは各セクションの歯車がうまく噛み合わず、ぎこちない演奏でした。しかし、曲が進行するにつれて段々ノッてきましたね。自由曲は「パントマイム」と「全員の踊り」を演奏。パントマイムではフルート、アルトフルートが好演。「全員の踊り」は細かいミスや、アンサンブルのズレなどが目立ってしまったのが残念ですが、非常に爽やかなラヴェルでした。


8
東関東/神奈川県  神奈川大学吹奏楽部 (小澤俊朗)  ※お休み明け32回目
金賞

2/…そしてどこにも山の姿はない  (J.シュワントナー)

本日唯一の課題曲2は比較的早めのテンポでした。冒頭のホルン&サックスは若干の乱れがあったものの、安定感のある見事なマーチとなりました。難しい課題曲も「さすが神大…」と感心させられました。 そして期待の自由曲。一言で表現すれば「圧巻」ですね。技術・表現はもとより、会場全体の空気さえも変えてしまう神大の集中力の高さは素晴らしいと思います。今回、この神大の醸し出す空間の中にいて、演奏を生で聞けたことを非常に嬉しく思いました。16回目の金賞受賞おめでとうございます。


9
中国/広島県  広島大学吹奏楽団 (柿本晃佑)  ※2年ぶり9回目
銅賞

1/「オセロ」より 前奏曲、オセロとデスデモーナ、廷臣たちの入場 (A.リード)

丁寧な演奏ではありましたが、表情に乏しいという印象。割りとアッサリとした演奏で、フレーズ処理やピッチの甘さも目立ってしまいました。「オセロ」はまずますの出だしだったのですが、サウンドをもっとまとめられるといいですね。強奏時でのバランスの悪さ、ピッチの揺らぎ等、マイナス要素が気になってしまう演奏だったのが残念。ラストは息切れすることなく、見事な演奏だったと思います。


10
東京/東京都  創価大学パイオニア吹奏楽団 (佐川聖二) ※2年連続2回目
金賞

1/交響曲第5番より 第3・4楽章  (M.アーノルド/瀬尾宗利)

しなやかさと力強さを兼ね備えたバンドですね。重厚な低音群の上で、「これでもか!」というほど美しく歌い込んだ前奏。マーチに入っても実に整然としており素晴らしい課題曲でした。 自由曲でも高い技術を披露。明るく豪華なサウンドで合奏に安定感があります。非常にレベルの高い演奏で、2年連続2回目の金賞受賞となりました。


11関西/大阪府  近畿大学吹奏楽部  (斎藤角博)  ※3年連続21回目
銀賞

3/地の精のバラード  (O.レスピーギ/木村吉宏)

比較的落ちついたテンポ設定で、丁寧なマーチでした。バンドの音をステージ上でしっかりとまとめて、ホールに響かせるといった感じで安定感がありました。自由曲は目の覚めるようなシャープな音で、カッコイイ出だし。ソリストも確実な演奏で、弱奏になっても音楽が貧弱にならないところは流石だと思います。


12
東京/東京都  駒澤大学吹奏楽部  (上埜 孝)  ※2年連続15回目
銀賞

4/「舞踏組曲」より IV, III, 終曲  (B.バルトーク/上埜孝)

本日唯一の課題曲4。ガッチリと骨太なマーチですが、リズムが重く、もっと軽快さや躍動感があったらなぁと思います。バルトークは実に「濃い」演奏でした。楽器は良く鳴っていて、まとまりは凄いものがありました。演奏に主張が感じられますね。「全国大会に出れば金賞」だった駒澤大にとっては初の銀賞に終わりましたが、大学の部のトリをしっかりまとめた好演でした。


金賞4、銀賞5、銅賞3。金賞内訳は、北海道1(札幌)、東京1(創価)、東関東1(神奈川)、西関東1(文教)で、完全な東高西低型となりました。明るい話題としては、札幌大が北海道代表として初の金賞バンドとなったこと。また文教大、創価大の2団体を指揮した佐川聖二氏がW金賞受賞で指導力の高さが光りました。 近畿大が3年連続出場で来年お休みとなります。


※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。

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