第50回全日本吹奏楽コンクール
平成14年11月2日(土) /大阪国際会議場(グランキューブ)

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大学の部

1
中国 山口県 山口大学文化会吹奏楽部 (指揮/松田和寛) ※初出場
銅賞

3/バレエ音楽「ライモンダ」より (A.グラズノフ/林紀人)

ちょっとおとなしめでしたが、とても柔らかいサウンドと、丁寧な演奏に好感を覚えました。全体に音が短めで、フレーズ感に乏しかったのが残念でしたが、課題曲の4曲目のクラリネットの掛け合いは見事でした。自由曲においては、音楽の流れが非常にスムーズでしたが、カスタネットがリズムを狂わせてしまったのが残念でした。

2
東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/高倉正巳) ※3年ぶり4回目
銀賞

1/シンフォニックバンドのためのパッサカリア (兼田敏)

課題曲の出だしは緊張感があり、バランスの取れたサウンドは素晴らしいと思いました。しかし、後半集中力が途切れてしまった感がありました。 パッサカリアは、もうひとつ曲のイメージを表現し切れなかったと思います。クラリネット・セクションの音程や音色は素晴らしいと感じました。全体に音を置きにいってしまう傾向があり、棒吹きという印象を与えてしまったのが残念です。


3
北陸 石川県 金沢大学吹奏楽団 (指揮/福田博之)  ※3出休み明け9回目
銅賞

2/バレエ音楽「赤いけしの花」より V. ワルツ、VI. ロシア水兵の踊り (R.M.グリエール/仲田守)

課題曲は情緒たっぷりに歌えていました。ただ、音程とアインザッツが合わなかったため、空回りしてしまったかもしれません。自由曲はとてもよく練習してあり、曲の出だしのワルツなど、雰囲気を上手く醸し出していました。終曲部では気合のこもった指揮に引っ張られて、スピード感溢れる快演でした。

4
東京 東京都 駒澤大学吹奏楽部 (指揮/上埜孝) ※3年連続16回目
金賞

2/交響詩「ローマの祭」より  (O.レスピーギ/仲田守)

課題曲の出だしがとてもスムーズで好感が持てました。サウンドも安定していて、重くなりがちなレジェーロもとても軽やかで自然です。若干の音程のズレと、音が短めになってしまったのが残念。自由曲は、冒頭から安定したサウンドと華やかなイメージがホールいっぱいに広がりました。ちょっとビブラートのかかったTrpがお洒落でした。最後まで集中力が途切れず、スピード感のある華やかな演奏は素晴らしかったと思います。昨年の雪辱を晴らし、見事14回目の金賞です。


5
西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※3年連続13回目
金賞

1/交響組曲第3番「GR」より  (天野正道)

音色の透明感やハーモニーバランスが秀逸でした。佐川氏の棒が素晴らしく、学生をぐいぐいと引っ張っておられたのが印象的でした。とくに弱奏部の透明感は特筆ものです。自由曲でも曲の怪しい雰囲気が良く出ており、合唱もハーモニーも整っていて魅了されましたが、強奏部でたまにバランスを崩していたのが残念。3年連続7回目の金賞受賞、おめでとうございます。


6
九州 福岡県 福岡教育大学吹奏楽部 (指揮/佐々木保高) ※2年連続3回目
銅賞

1/「管弦楽の為のディベルティメント」より I、II、V、VIII (L.バーンスタイン/C.グランドマン)

音程は合っているのに、音が「分散気味」という印象です。課題曲は平坦な演奏になってしまいましたが、Trpの音色は非常に明るく好演でした。自由曲は今ひとつパンチ力に欠け、バーンスタインの曲のイメージを出し切れなかったように思います。しかし、8楽章では躍動感があり、ステージ前方に出てきてのFl、Claのソロはは堂々としていて素晴らしかったと思います。最後のTrpソロは大変華やかで楽しく終演しました。


7
北海道 函館地区 北海道教育大学函館校吹奏楽部 (指揮/松代晃明) ※2年ぶり19回目
銀賞

3/吹奏楽のための抒情的「祭」  (伊藤康英)

軽やかな出だしの課題曲。とても端正な演奏でアインザッツもきれいに揃っていました。4曲目のClaの掛け合いは見事でした。自由曲では、冒頭のテンポ感がよく気持ちが良かったです。Euphのソロは曲の雰囲気によくマッチしていたと思います。音を置きに行ってしまう奏法が残念でしたが、後半和太鼓と小さいシンバルのリズムによって、曲がぐっとしまりました。終曲部のリズムが気持ちよく決まり、最後の一発も良い印象で終演しました。


8
関西 兵庫県 関西学院大学応援団総部吹奏楽部 (指揮/平倉昌章) ※5年ぶり28回目
銀賞

1/歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 間奏曲  (D.ショスタコーヴィチ/鈴木英史)

地元支部開催ということで、気合を感じました。それが緊張感とスピード感のある課題曲の冒頭に反映していたと思います。冒頭でホルンが音を濁してしまいましたが、音程、音色とも素晴らしかったと思います。自由曲においては、どんどんと前に行くテンポ感が心地よかったです。中間部の弱奏部の木管低音やクラ、Trpに至るまでトリルの表情が素晴らしいと思いました。Trpソロは音に伸びがありました。細かいパッセージも完璧に決まり、集中力の途切れない快演でした。


9
東北 宮城県 東北学院大学シンフォニックウィンドアンサンブル (指揮/淀彰) ※2年連続22回目
銀賞

1/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/淀彰)

冒頭のホルンをはじめ、ちょっとバランスを崩したサウンドになってしまいました。全体になんとなく締まらない印象があり、強奏になると音がひずんでしまうことがありました。自由曲ではこの曲(の吹奏楽コンクールの)の演奏にしては少し遅めのテンポ設定でした。Trbソロや、木管のパッセージも見事に決まっていました。最後まで勢いのある良い演奏でしたが、この曲の持つ緊迫感がもっと欲しかったですね。全体を通して見るとキズが目立ち精彩を欠いたような気がします。


10
東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※2年連続33回目
金賞

1/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/小澤俊朗)

冒頭のクラのトリルがおどろおどろしい雰囲気を出していました。続くブラスセクションは勢いと迫力のある演奏でしたが、ちょっと音が割れてしまい耳が痛かったです。中間部の弱奏は、たっぷりと息の入った安定した木管サウンドを披露してくれました。自由曲は歯切れの良い出だし。木管群が曲に乗って、サックスを中心にビブラートを多用した思い入れのある演奏を披露していました。ObやEnglish hornソロも秀逸でしたし、Trbのソロも歯切れのある素晴らしい演奏でした。終曲に向かってのブラスの大音量は圧巻でしたね。2年連続17回目の金賞受賞です。


11
関西 京都府 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部(指揮/若林義人)※3出休み明け9回目
金賞

1/三角の山 (酒井 格)

冒頭のサウンドは秀逸。バランス感、サウンドの輝かしさなどは他の追随をゆるさず、素晴らしい。スピード感も見事でした。ホルン・セクションのサウンドも素晴らしく、最後まで集中力の途切れないサウンドでした。自由曲は、早いパッセージで軽やかな出だしで、物語性のある曲でした。木管の美しい音色や、Trpの見事なソロをはじめ、色彩感溢れています。音楽の流れも鮮やかで、押し付けがましくない音楽作りと確かなテクニックの光る好演でした。待望の7年ぶり3回目の金賞受賞となりました。


12
九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団 (指揮/柴田裕二) ※15年ぶり5回目
銀賞

3/ウィンドアンサンブルのための幻想曲「不思議な旅」より   (小長谷宗一)

24人編成(内訳は、Fl2、Ob1、Cla4、Sax4、B.Cla1、Hr2、Trp3、Trb3、Euph1、Tub1、Perc2)の小編成でした。課題曲では、小編成を生かす歯切れの良さが欲しかったのですが、音程や、アインザッツが若干乱れることがあり、残念でした。また、ティンパニーの音程が合わないのが気になりました。4曲目Flソロ大変上手で、最後までFlに釘付けになりました。自由曲はObソロで始まり、続いて滑らかなA.Saxソロ。楽器間の受け渡し時で音程が合わないのが残念でした。伴奏のTubaや、木管低音が安定しています。パーカッションのリズムが褐色の大地の情景を思わせる曲で、全体として非常に好演でした。


金賞4、銀賞5、銅賞3。金賞は駒澤大(東京)、文教大(西関東)、神奈川大(東関東)、龍谷大(関西)。全体的には東高西低でしたね。2000年、2001年と金賞の無かった関西からは、龍谷大が金賞で激戦区の面目を保ちました。金賞バンドは流石にどこも素晴らしい演奏でした。また銀賞ではありましたが、福岡工業大の24名での演奏は非常に秀逸だったと思います。今年で駒澤大、文教大が3年連続出場となり来年はお休みとなります。


※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。

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