第56回全日本吹奏楽コンクール 平成20年10月26日(日) /大阪国際会議場 |
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職場の部 |
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1 | 中国 広島県 NTT西日本中国吹奏楽クラブ (指揮/金田康孝) ※3出休み明け42回目 | |
2/写楽 (高橋伸哉) | ||
各セクションの輪郭がクリアなサウンド。レベルの高い奏者が揃っており、マーチは軽快で安定感がありました。アルトサックスが良く音楽を引っ張っていて、全体的にもミスの無いお手本のような演奏でした。自由曲は冒頭のトランペット2本のソリは伸びやかな音で秀逸の出来。木管のソロ群も非常に高いレベルにあります。この曲は非常にシンプルな構成になっていますが、味付けが薄く比較的冷静な表現にとどまっているので、面白みに欠けてしまったようです。しかし朝1番でここまで精度の高い演奏をするところは名手揃いのバンドならではと感服します。 | ||
2 | 九州 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米 (指揮/小野照三) ※3出休み明け37回目 | |
5/バレエ音楽「火の鳥」より 王女たちのロンド、カスチェイ王の凶悪な踊り、終曲 (I.ストラヴィンスキー/M.デューカー) | ||
重厚なサウンドでスタートした課題曲。余裕のある響きで安定感は群を抜いています。4小節目から出るトランペットのF音が外れたのは惜しかったですが、その他は高い技術を見せ付けた演奏でした。自由曲はキレのあるサウンドが「火の鳥」には良く合っていました。各曲で音楽の流れを遮るような強引なカットがあったのは残念。良く知られた曲だけに逆にやり難いこともあると思いますが、全体的には期待に応えた演奏だったと思います。27回目の金賞受賞です。 | ||
3 | 北海道 帯広地区 六花亭管楽器アンサンブル (指揮/太田 究) ※2年ぶり2回目 | |
4/すべての答え (清水大輔) | ||
30数名の編成。力強さは無いが透明感のあるサウンドを聞かせてくれました。ただ個々人のレベルにはバラツキが見られ、自分たちのサウンドがまだ確立していないという印象を受けます。課題曲では要所での「決め」がイマイチで、何となく曲が進んでいきました…という感じで終わってしまったように思います。自由曲は打楽器と管楽器のバランスが悪く、うるさいだけの音楽になってしまう所もあり残念。譜面を音にしただけの印象があり、その中に何を伝えたいのかが不明瞭でした。 | ||
4 | 関西 大阪府 阪急阪神百貨店吹奏楽団 (指揮/井上 学) ※3年連続38回目 | |
1/エグモント序曲 (L.V.ベートベン/杉本幸一) | ||
せっかく広いステージにもかかわらず、かなり中央に固まったようなセッティングでした。課題曲ではかつての「マーチの阪急」と呼ぶにはまだまだという演奏でした。旋律が転んでしまっていてビート感に乏しいマーチでした。自由曲は昨今の自由曲選曲の流行の中で、ある意味挑戦的な曲ではあります。マーチとは違うので、奏法そのものをしっかり変えて演奏すべきではないでしょうか。全体的にサウンドが不明瞭で、ホールにも良く響いて来なかったように思います。 | ||
5 | 東北 宮城県 JR東日本東北吹奏楽団 (指揮/川村浩一) ※3年ぶり12回目 | |
1/万霊節 (R.シュトラウス/A.O.ディビス) |
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20人ほどの小編成。編成のバランスの悪さは仕方ないとしても、そこを工夫した演奏をしてほしかったです。マーチではコントラバス回しが登場しましたが、パフォーマンスだけが目立ってしまい演奏そのものはお世辞にも良いものとは言えませんでした。人数が少ないだけにピッチのずれがそのままサウンドの貧弱さに繋がってしまいました。自由曲は大きいホールを意識し過ぎたかオーバーブロウでスタミナ切れが残念。ミスも目立ち課題曲同様サウンドも貧弱なものとなってしまいました。 |
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6 | 東海 静岡県 ヤマハ吹奏楽団浜松 (指揮/須川展也) ※3年連続34回目 | |
1/シング・ウィズ・シンセリティー (長生淳) | ||
自信に溢れたオープニング。しっかりとブレンドされたサウンドで安定した音楽運びでした。トランペットの旋律はどこも四苦八苦していますが、流石に王者ヤマハというべきかピタリと合わせています。自由曲ではTrpがロータリーに持ち替えました。流暢な演奏で委嘱作品発表会ですといわんばかり。ソリストも質が高く、余裕が感じられる演奏というのは聴き手の感銘度をも高めることになりますね。Tuttiになってもバンドのバランスは崩れることなくホールを独自の世界で満たしていました。2年連続28回目の金賞受賞です。 | ||
7 | 東京 東京都 NTT東日本東京吹奏楽団 (指揮/山田昌弘) ※3出休み明け9回目 | |
5/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) |
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課題曲5はブリヂストンとは全く違うアプローチで個人技よりもTuttiのサウンドで勝負してきた感があります。オーボエのソロをアルトサックスで演奏していましたが特に違和感は感じませんでした。シャープでキレのあるサウンドと広いダイナミクスレンジにより見事な仕上がりです。自由曲はスピード感溢れる熱演でした。Tuttiでの重厚なサウンドとバンドの一体感が見事。ソロ群も秀逸で弱奏部分でも音楽が停滞せずに良く響いています。中低音がもう少し豊かになると更に良いと感じました。3回目の金賞受賞です。 |
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8 | 東関東 神奈川県 NEC玉川吹奏楽団 (指揮/稲垣征夫) ※2年連続29回目 | |
3/交響曲第3番より (C.サン=サーンス/淀彰) |
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課題曲はソロは良く響いてましたが、フレーズの取り方に違和感がありました。木管のふくよかなサウンドは耳に心地良いです。ダイナミクスレンジが狭く全体的にmf〜ffくらいの音楽がずっと続いていたような感じです。自由曲は冒頭のコードはオルガンを思わせる重厚であたたかいサウンドで非常に印象的。ただオルガンの響きを出そうとしてか、管楽器が必要以上に気を遣いすぎてスピード感のない音になってしまうところがいくつかあり気になりました。全体的にも安全運転な演奏でしたが終曲部はもっと高揚感が欲しかったです。 | ||