第56回全日本吹奏楽コンクール 平成20年10月19日(日)/東京・普門館 |
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高校・後半の部 |
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1 | 関西 大阪府 明浄学院高等学校 (指揮/小野川昭博) ※3年連続7回目 | |
2/バッハの名による幻想曲とフーガ (F.リスト/田村文生) | ||
クリアで輪郭のはっきりしたサウンドですが、Tuttiでは決して硬くならず、柔らかで豊かな音を響かせています。流れの良いマーチで秀逸でした。自由曲は、場面転換がスムーズでサウンドも自在な様変わりを見せてくれました。音の薄いところも安定感があります。何かバンド全体から揺るぎない自信のようなものを感じる演奏だったと思います。後半プログラム1番を、2年連続2回目の金賞で飾りました。 | ||
2 | 東海 長野県 長野県長野高等学校 (指揮/松井深之) ※2年ぶり3回目 | |
3/三つの交響的素描「海」より III. 風と海との対話 (C.ドビュッシー/八田泰一) | ||
緊張感のある空気をうまく表現できています。サウンドも痩せることなく、しっかり吹けているのは素晴らしいです。この曲に対する思いが十分に伝わる演奏でした。自由曲でも同様にピンと張り詰めた空気を表現するのが上手でした。細かいミス等がありましたが、ドビュッシーの世界をしっかり表現できていたと思います。 | ||
3 | 西関東 埼玉県 埼玉県立松伏高等学校 (指揮/小川 慎) ※初出場 | |
3/バレエ音楽「竹取物語」より (三善晃/天野正道) | ||
初出場バンドにありがちな萎縮したような演奏にはならずに、大変堂々としたサウンドを響かせてくれました。自由曲ではキレのあるサウンドです。個人技も高くソリストも安心して聞くことができますね。音楽に流れと勢いが感じられ、この曲の魅力をうまく引き出せていたと思います。銅賞というのは少々厳しいかなと思います。素晴らしい演奏でしたよ。今後も西関東支部の代表争いに絡むバンドになるのではないでしょうか。 | ||
4 | 東京 東京都 八王子高等学校 (指揮/高瀬新一郎) ※6年ぶり2回目 | |
3/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 (R.シュトラウス/齊藤淳) | ||
緊張感をうまく持続させた良い課題曲でした。Tuttiのサウンドが荒くなってしまうところがあり残念です。自由曲はホルンソロも危うい部分がありましたが、なんとか乗り切りました。本番で100%の力を出すのは難しいですね。全体通してものびやかで雄大なサウンドを聞かせてくれましたが、都大会に比べるとどこかピリッとしない箇所が見受けられたのが残念。 | ||
5 | 九州 鹿児島県 原田学園 鹿児島情報高等学校 (指揮/屋比久 勲) ※初出場 | |
1/交響曲第2番「オデッセイ」より (R.W.スミス) | ||
指揮者の前任であった福工大城東を彷彿とさせるような骨太なサウンドでした。どちらかというと金管上位なサウンドで非常に鳴るバンドですが、マーチのリズムが重く感じました。自由曲も安定した音楽運びです。メリハリの利いた構成で面白く聞けましたね。まだまだこれから伸びるバンドだと思いますので、期待したいですね。 | ||
6 | 東北 宮城県 宮城県泉館山高等学校 (指揮/細倉 博) ※3年連続3回目 | |
3/交響組曲「寄港地」より III. ヴァレンシア (J.イベール/P.デュポン) | ||
非常によく練習されているという印象で、難しい課題曲をうまく演奏できていると思います。Tuttiで力が入ると音が濁ってしまう傾向がありました。自由曲でも手馴れた演奏を聞かせてくれました。華やかで色彩豊かなサウンドで、立体感のある演奏だったと思います。個人的には好みの演奏でしたので、欲を言えば第二楽章も聞きたくなるような演奏でした。 | ||
7 | 九州 福岡県 精華女子高等学校 (指揮/藤重佳久) ※2年連続14回目 | |
1/フェスティバル・ヴァリエーション (C.T.スミス) | ||
課題曲の冒頭から安定感のある豪華なサウンドは見事。多くのバンドがこの旋律に四苦八苦する中、流れるように、それでいてビートの良く利いたマーチにしてくれました。自由曲はまさに圧巻。本日の白眉。ジェットコースターのようなスピード感で爽快に演奏してくれました。曲を知っている人なら、「あのフレーズは…、次のフレーズは…、あの場面は…」と先へ先へ期待を募らせながら聞くと思います。精華女子はその期待に次々と応えてくれ、まさに「心・技・体」が一つになった名演といえるでしょう。演奏後はホールが割れんばかりの大歓声に包まれました。ライブで聞くことができたことを心より嬉しく思います。2年連続5回目の金賞で、藤重先生の長年出場指揮者表彰に花を添えましたね。 | ||
8 | 四国 愛媛県 愛媛県立北条高等学校 (指揮/石村新吾) ※3年連続3回目 | |
2/パンソリック・ラプソディ (高昌帥) | ||
大変豪華なサウンドで重厚感がありますが、強奏になるとバランスが崩れる部分があります。マーチは若干力任せで、先急いだ感じの演奏になってしまいました。自由曲はサックスのソロが大変秀逸。ソロ一つでこんなにも魅了できるバンドはないでしょう。もちろん荒削りなところはあるのですが、バンドの音楽に前向きな勢いがあるので心地よく聞くことができました。銅賞ではありましたが存在感のある演奏だったと思います。 | ||
9 | 東関東 千葉県 柏市立柏高等学校 (指揮/石田修一) ※3出休み明け20回目 | |
4/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高昌帥) | ||
壮大な物語を読み聞かせるような課題曲です。音の一つ一つに主張があり、音楽に推進力が備わっています。個々人の技術も高いレベルにありますね。冒頭の透明感のあるサウンドから始まり、表情豊かな表現は素晴らしいと思います。自由曲では緩急のついた構成が素晴らしく、また魅せ方が上手です。Tuttiのサウンドにも艶があり、大変豪華な音がしていました。3出明けを11回目の金賞で飾りましたね。 | ||
10 | 北陸 石川県 金沢市立工業高等学校 (指揮/幸正勤也) ※2年ぶり9回目 | |
1/左手のためのピアノ協奏曲 (M.ラヴェル/天野正道) | ||
躍動感のしっかり感じられるマーチで、支部大会の演奏に更にキレが加わって素晴らしい仕上がりになっていました。自由曲では色彩豊かなサウンドが印象的。実によく練習されていますね。変化に富んだ表情で深く引き込まれました。全体通して大変完成度も高く、正統派な演奏です。減点要素はほとんど見当たらない・・・。しかし、やはりアピール不足というか、審査員をぐっとひきつける個性や独創性には乏しいなという印象を受けました。このバンドのサウンドは好きなので、初の金賞を待っていますよ。 | ||
11 | 西関東 埼玉県 埼玉県立伊奈学園総合高等学校 (指揮/宇畑知樹) ※2年連続11回目 | |
2/シャコンヌ (J.S.バッハ/森田一浩) | ||
クリアですが豊かで深みのあるサウンドのバンドですね。よく練習されています。そのまま演奏すると味気ないマーチになってしまいがちですが、しっかりアナリーゼされ見事な味付けをして理性的且つ表情豊かに表現できていたと思います。自由曲では次々と変わる表情とサウンドの色づけが素晴らしく、実に色彩感あふれる演奏となりました。聴衆をバンドの世界にどんどん引き込んでいくような魅力的な演奏でした。2年連続10回目の金賞です。 | ||
12 | 東海 愛知県 安城学園高等学校 (指揮/吉見光三) ※3出休み明け10回目 | |
2/序曲「謝肉祭」 (A.ドヴォルザーク/鈴木英史) | ||
柔らかな安城サウンドは健在でした。非常にしなやかな木管と力みのない金管がマーチの旋律を心地よく奏でてくれます。「晴天の"そよ風"」を感じる爽やかな仕上がりです。自由曲でも木管を中心とした甘美なサウンドで、実に軽やかな演奏ですね。2曲通してどちらも似たような雰囲気に終始してしまったので、メリハリに欠けた感はありました。 | ||
13 | 中国 島根県 出雲北陵高等学校 (指揮/原田 実) ※2年連続5回目 | |
4/ディオニソスの祭り (F.シュミット) | ||
よく研究された課題曲だったと思います。全体的に作為的な部分もありましたが、バンドの主張が見える演奏でした。自由曲では明るく骨太なサウンドで本領発揮といったところです。伸び伸びとした表現で、少々発散しすぎかなとも思えましたが非常に個性的なディオニソスを聞かせてくれました。新しい指揮者になって2年目、昨年の銅賞から確実にレベルアップしていると思います。原田先生は長年出場指揮者表彰を受賞されました。 | ||
14 | 北海道 札幌地区 東海大学付属第四高等学校 (指揮/井田重芳) ※3出休み明け27回目 | |
3/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/後藤洋) | ||
スケールの大きい、安定感抜群なサウンドでした。完璧に曲を把握しており、いつもの練習どおりの演奏をしましたという感じです。課題曲では余裕のある音楽運びで、微塵の不安さえ感じさせないのは素晴らしいと思います。自由曲では課題曲で秘めていたパワーを一気にホールへ発散させた感じ。もちろん発散といってもしっかり計算されていて、よく知られたトゥーランドットを実に雄大な音楽で表現してくれました。特にエンディングにかけての盛り上がりは感動的であり当日の大トリに相応しい演奏になりました。3出明け14回目の金賞受賞です。 | ||
※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。 |