第57回全日本吹奏楽コンクール 平成21年10月18日(日) /名古屋国際会議場 |
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職場・一般 前半の部 |
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1 | 関西 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮/辻井清幸) ※3年連続26回目 | |
4/ウィークエンド・イン・ニューヨーク (P.スパーク) | ||
雛壇の下段に打楽器を配置し、管楽器は雛壇を使わず全てステージ上に配置されました。全体が良くブレンドされたサウンドだったと思います。課題曲はファンファーレも美しく決まり、落ち着いたテンポ設定のマーチでした。自由曲ではバンドの実力が遺憾なく発揮されたと思います。ガーシュインを思わせるようなテイストで、各ソリストは秀逸です。そうそう簡単にできる曲ではないと思いますが、色彩豊かなパフォーマンスでした。朝一番から非常にレベルの高い演奏が聞けて、一気に目が覚めました。個人的には金賞でも十分と感じた快演の一つです。 | ||
2 | 東関東 神奈川県 相模原市民吹奏楽団 (指揮/福本信太郎) ※3年連続4回目 | |
4/閾下の桜樹〜吹奏楽のための〜 (中橋愛生) | ||
クリアでキレのあるサウンドでした。課題曲では各パートのラインが良く見える演奏です。楽器の発音が明瞭で躍動感のしっかり感じられる秀演です。自由曲は大変難しい曲だと思いますが、手馴れた感じで演奏しているのは流石です。ただ全体的にニュアンスが軽い印象を受けました。もっと表現に重厚さ・重量感が欲しいと感じました。全体的にはこの曲の聞かせどころが不明瞭で、強烈な印象を残せなかったように思います。 | ||
3 | 四国 徳島県 BMSウィンドアンサンブル (指揮/益田郁夫) ※3年ぶり2回目 | |
5/吹奏楽のための「北海変奏曲」 (伊藤康英) | ||
コンクールという優劣のつける場においては仕方のないことだと思いますが、他支部の代表とは基礎的な部分に遅れをとっているようです。課題曲も譜面を音にするのが精一杯という感じで音楽が消極的でした。一つの楽曲としての完成には至りませんでした。自由曲は伸びやかな音楽作りで表現にも余裕が見られましたが、技術的なツメの甘さや未解決・未成熟な部分が多々見受けられました。ハイレベルな団体の中においては聞き劣りしていたのは残念です。2曲通してバンドのカラーが確立しておらず、個性的な職場一般の部においては埋もれてしまいました。 | ||
4 | 東北 宮城県 泉シンフォニックウィンドオーケストラ (指揮/荒井富雄) ※6年ぶり2回目 | |
4/バレエ音楽「眠れる森の美女」より 序奏、情景、リラの精 (P.チャイコフスキー/淀彰) | ||
マーチのオープニングは力が入りすぎたでしょうか、サウンド・表現ともに硬さが見られました。曲が進むにつれて伸びやかな演奏になっていきました。トリオ以降は非常にノリの良いマーチでした。自由曲では管弦楽作品ということが置き去りにされたような印象で、楽曲のしなやかさ優美さ、重厚感を表現するまでには至らなかったのが残念。終始サウンドが乾いた感じがして、表現も硬く平板なものになっていたように思います。 | ||
5 | 北海道 函館地区 上磯吹奏楽団 (指揮/高橋徹) ※10年ぶり2回目 | |
4/シダス (T.ドス) | ||
オープニングからもたつき感があり、バンドにエンジンがかからなかったようです。比較的消極的なマーチとなってしまったように思います。自由曲では一転し、大変豊かで深いサウンドの音楽を聞かせてくれました。音楽に勢いがあり、色彩の変化も十分に醸し出せていたと思います。課題曲とは別のバンドのような好演でした。 | ||
6 | 中国 広島県 NTT西日本中国吹奏楽クラブ (指揮/金田康孝) ※2年連続43回目 | |
4/組曲「展覧会の絵」より (M.ムソルグスキー/金田康孝) | ||
従来の小編成ではなく充実した大編成バンドに変貌を遂げていました。マーチはしっかりとコードを響かせることに重点を置いたようです。各セクションがクリアに聞こえており、優等生的な演奏でした。自由曲はプロムナードのTrpソロも秀逸。楽器の発音が明瞭でサウンドの美しさや安定感は素晴らしいですね。抑制の効いた安全運転気味な演奏ではありましたが完成度は高かったです。金賞バンドが油絵のような存在感(カラー)があったのに対し、NTT中国は洗練された水彩画のような存在でした。今回は強いカラーを持ったバンドに軍配が上がったという印象です。 | ||
7 | 九州 鹿児島県 宮之城吹奏楽団 (指揮/幸喜 隆) ※8年ぶり4回目 | |
1/ローザのための楽章 (M.キャンプハウス) | ||
49人という編成。大人のバンドによる課題曲1は味があり、とても耳に心地よい演奏でした。編成が小さくても各奏者がしっかりと演奏しているので安定感があります。特にTrpのトップ2人が高い技術を持っているようで、バンドの中での存在感が圧倒的ですね。自由曲でも音楽が良く流れており表情も豊かです。大音量バンドがたくさんある中、音量ではなく音質で勝負できる数少ないバンドだと思います。かつて全国大会で3出していた頃、管理人は宮之城のファンでした。8年ぶりですが、あの頃と変わらないサウンドを聞かせてくれて嬉しく思います。 | ||
8 | 東京 東京都 創価グロリア吹奏楽団 (指揮/中村睦郎) ※5年ぶり6回目 | |
3/交響詩「ローマの祭り」より (O.レスピーギ/中村睦郎) | ||
演奏前から存在感のあるバンドです。課題曲の冒頭から堂々たるサウンドを響かせ、音楽も非常に流暢です。ソロ群も艶があり表情豊かです。Tuttiでのサウンドが安定感・重厚感が抜群です。自由曲ではたっぷりと歌いこまれた「十月祭」と、色彩感豊かな「主顕祭」を聞かせてくれました。Trpソロのピッチが若干フラット気味ではありましたが、全体を通して申し分ない演奏でした。指揮台の中村氏も熱演でしたね。これで「ローマの祭り」の全国大会連続金賞記録を28年に更新しました。同バンドは6回目の金賞で「出れば金賞」記録を更新し、東京代表としても5年ぶりの金賞です。 | ||
9 | 北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ (指揮/仲田守) ※3出休み明け9回目 | |
4/ピンパンポン 〜歌劇「トゥーランドット」による吹奏楽のための序曲〜 (J.プケット) | ||
小細工のないスピード感のあるマーチでしたが、逆に表情に乏しく淡白な印象を受けました。自由曲は変化に富んだ楽曲で、めまぐるしく曲想が変わりますね。手馴れた感があり、大人の演奏でした。ただ全体的にサウンドが薄く、曲中での表情の変化がもっと欲しいと思います。平板なままに終わってしまったように思いますが、もっと色んな味付けができたのでは?と感じました。 | ||
10 | 東北 秋田県 秋田吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※3年連続10回目 | |
4/鼓響・・・故郷 T童歌 U奏春 V鼓響 (天野正道) | ||
重厚なサウンドで骨太なマーチです。随所に見られる佐藤氏の味付けも素晴らしく、トリオからはワクワクするような演奏で、こんなにもマーチは楽しいのだと感じさせてくれました。自由曲は十八番ともいえる天野作品。演奏そのものに余裕があるのは委嘱作品ならではだと思いますが、コンクールを忘れさせるような世界を作っています。お囃子が始まって、クラリネット奏者、打楽器奏者等が篠笛に持ち替えて演奏していたのも見せ所でしたね。ホールを大いに沸かせた見事な演奏でした。2年ぶり4回目の金賞受賞です。 | ||
11 | 東海 愛知県 東海市吹奏楽団 (指揮/大澤健一) ※6年ぶり2回目 | |
4/交響詩「ローマの祭り」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/仲田守) | ||
金管主体の大変明るいサウンドで積極的な表現の課題曲です。バンド全体が非常にノッていて、実に楽しげなマーチでした。自由曲のチルチェンセスでは気合が入りすぎの感があり、トランペットの音が開き気味になっていたのが気になりましたが、それでも感銘度は十分。主顕祭でも音楽の勢いが止まらず見事な色彩感を出していました。比較的落ち着いた創価グロリアの「祭り」に比べて、東海市吹は「イケイケ」的な演奏でしたが、十分にこの曲の魅力を引き出した快演でした。初の金賞で、「ローマの祭り」の全国大会28年連続金賞記録に東海市吹の名を連ねました。 | ||
12 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※3出休み明け10回目 | |
5/「交響的舞曲」作品45より 第3楽章 (S.ラフマニノフ/佐藤正人) | ||
前半の部の白眉。課題曲での安定感抜群の演奏は見事です。どの楽器も大きな流れの中で確実に音を奏でており、実に流暢な音楽を聞かせてくれました。そして、それ以上の素晴らしさだったのが自由曲です。まさに自由自在な音楽です。重厚で色彩感豊かなサウンドは、他団体より数段上のクラスにあると感じます。早い流れの中で色んな表情を確実に見せてくれました。まさに圧倒的な表現力・存在感で文句なしの金賞だと思います。8回目の金賞受賞で、佐藤氏は秋田吹とのW金賞です。 | ||
13 | 関西 兵庫県 宝塚市吹奏楽団 (指揮/渡辺秀之) ※4年ぶり4回目 | |
3/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高昌帥) | ||
60人を超える編成でも決して乱れることのない、上品で柔らかく優美なサウンドでした。12分間どこをとっても耳に痛いと感じるところは1箇所も無かったと思います。課題曲ではスケールの大きい演奏で、ソロ群が秀逸。特にシロフォン奏者が見事でした。自由曲でも変わらず品のある優美なサウンドで歌い上げましたが、ちょっと主張不足。また、カットに違和感があり、マインドスケープの良さが半減してしまったように思います。銅賞というのはちょっと厳しい気もしましたが…。 | ||