第57回全日本吹奏楽コンクール 平成21年10月17日(土) /名古屋国際会議場 |
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大学の部 |
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1 | 中国 山口県 山口大学文化会吹奏楽部 (指揮/松田和寛) ※2年連続4回目 | |
5/バベルの塔 (広瀬勇人) | ||
大変キレのあるサウンドで、スピード感を損なわない課題曲です。どの楽器もしっかりとした技術を持っているようで、譜面どおりにはしっかり演奏できていますが、この課題曲を「音楽」として聞かせるまでには至っていなかったように感じました。自由曲では華やかなサウンドになり、積極的な音楽作りが見える演奏でした。ただ全体的にはメリハリが無く、起承転結の感じられない演奏に終始してしまった感があります。 | ||
2 | 九州 福岡県 福岡教育大学吹奏楽部 (指揮/大石晃平) ※3出休み明け7回目 | |
2/我らに今日の糧を与えたまえ 〜吹奏楽の為の小交響曲 第二楽章 (D.マスランカ) | ||
非常に柔らかいサウンドでこの課題曲によく合っていたと思います。メロディの自然な歌い方、ドライブ感のあるビートが耳に心地よく、大変流暢なマーチだったと思います。自由曲も軽快な演奏で、各パートが平均的に高い技術を持っています。フレーズの受け渡しがスムーズで非常に流れの良い演奏でした。特に中間部は美しく秀逸。終曲へ向かうユニゾンのところも一体感があり、過去に聞いた福岡教育大の演奏の中では一番の出来ではなかったでしょうか。指揮者は学生でしたが、バンドをよく引っ張っていました。今後が楽しみな逸材だと思います。 | ||
3 | 関西 大阪府 近畿大学吹奏楽部 (指揮/森下治郎) ※3年連続26回目 | |
5/第一旋法によるティエントと皇帝の戦い (C.ハルフテル/角谷晃司) | ||
課題曲は各パート・奏者の歯車がかみ合わず、エンストしたようで不安定なまま終わってしまいました。奏者も「何かがいつもと違う・・・」と感じながら演奏していたのではないでしょうか。自由曲は初めて聞く曲でした。課題曲とは一転、重厚で変化に富んだサウンドでようやくエンジンがかかったという印象です。各場面でのサウンドの切替、魅せ方が上手です。色彩感豊かで変化に富んだ演奏でしたが、課題曲の不完全燃焼が残念でなりません。 | ||
4 | 九州 福岡県 福岡大学応援指導部吹奏楽団 (指揮/花岡金光) ※9年ぶり27回目 | |
5/ディオニソスの祭り (F.シュミット) | ||
課題曲は丁寧な演奏でしたが、逆にスピード感にかけた音楽になっていたようです。全体的にも流れを妨げる部分がいくつか見られました。自由曲は一つ一つをきっちり演奏していて好感が持てましたが、課題曲同様サウンドに推進力が無く、音楽が前に進まない印象だったのが残念。もっと狂喜・乱舞したようなクレイジーな雰囲気を出してほしかったと思いました。 | ||
5 | 東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※3出休み明け38回目 | |
5/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高昌帥) | ||
いつもの正確無比な演奏がこの課題曲にマッチしており神大らしさが良く出ています。数多くの「躍動する魂」を聞きましたが、模範のような演奏に出会えたと思います。ラストは他団体とは違うフットスタンプで驚きましたが、これもまたこのバンドの魅力の一つなのでしょう。自由曲はメリハリのある構成で安定感抜群の演奏です。音楽が立体的・圧倒的。ホール全体を神大の世界観でいっぱいにしており、ここまで聴衆を惹きつけることが出来るのは脱帽です。22回目の金賞おめでとうございます。 | ||
6 | 東京 東京都 駒澤大学吹奏楽部 (指揮/上埜孝) ※2年連続21回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より (M.ラヴェル/仲田守) | ||
重厚なサウンドで安定感のあるオープニングです。ドライブ感溢れる躍動的なマーチで、聞いているほうがワクワクしてきます。他のバンドとは音圧が数段階上にあり少々このホールには大きすぎたと思いますが、それを差し引いても申し分ない課題曲でした。自由曲でも勢いは止まらずパワー全開。フランスものらしかぬサウンドでミスマッチな印象は拭えませんでしたが、それでも吹奏楽コンクールという場においては金賞クラスの演奏だったことは間違いありません。「こういうダフニスも面白い」と許せちゃうくらいの存在感がありました。2年連続19回目の金賞受賞です。 | ||
7 | 北海道 函館地区 北海道教育大学函館校吹奏楽団 (指揮/中島誠一) ※5年ぶり21回目 | |
2/おほなゐ 〜1995.1.17 阪神淡路大震災へのオマージュより〜 (天野正道) | ||
力みのない明るく爽やかなサウンドで、このマーチの魅力を良く出しています。多少リズムが転びそうな危うさを感じるところもありましたが、全体的には無難にまとまっていました。自由曲は抜粋構成で、課題曲よりも音楽に積極性を感じました。2曲ともにソツなくまとめてあり、それなりの及第点な演奏だと思います。特に一つ前のバンドが超個性的だったこともあり、北教大函館の個性(カラー)が感じられない演奏だったことも確かです。更に上を目指すためには、バンドの個性の確立が必要な要素なのかもしれません。 | ||
8 | 北陸 富山県 富山大学吹奏楽部 (指揮/建部知弘) ※4年ぶり3回目 | |
4/祈り 〜その時、彼女は何を想ったのか〜 ドゥブロフカ劇場(モスクワ) 2002.10.26 (飯島俊成) | ||
冒頭のファンファーレは少し乱れましたが、全体的には躍動感のある積極的なマーチでした。木管と金管のバランスが若干悪いでしょうか、サウンドが固いと思いました。自由曲はメッセージ性の強い作品で、難曲をよくまとめていたと思います。課題曲同様、奏者の積極性は随所に見られて音楽は生き生きしていました。しかし細部にわたってツメの甘い部分が露呈したのも確かです。 | ||
9 | 東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/三田村健) ※3出休み明け8回目 | |
4/ディオニソスの祭り (F.シュミット) | ||
特に作りすぎな感じもなく、正統派なマーチを聞かせてくれました。実に清々しい仕上がりとなっていました。自由曲は「大曲を演奏するのだ!」という気合は十分に伝わって来る演奏でした。Tuttiでのバランスが良く、サウンドにもキレがあります。ただ、バンドのカラーでしょうか、理性的な部分が邪魔をしてディオニソスの魅力を十分に引き出すには至っていなかったように思います。しかし金賞3団体にも引けを取らない安定感は見事だったと思います。 | ||
10 | 関西 京都府 立命館大学応援団吹奏楽部 (指揮/茶屋克彦) ※3年ぶり4回目 | |
5/「アルプス交響曲」より 夜、日の出、頂上にて、嵐の前の静けさ、雷と嵐、下山、夜 (R.シュトラウス/森田一浩) |
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重厚なサウンドで骨太な課題曲を聞かせてくれました。どこか1つのパートが欠けるだけで全体が崩れてしまいがちな課題曲ですが、どのパートもしっかりと役割を果たしており聞いていて安定感・安心感は十分に感じられます。この曲で安定感があるということはバンドの合奏力がしっかりしているということです。自由曲では色彩感溢れる演奏で、木管の艶やかさ、金管の力強さに魅了されました。打楽器もツボを押さえた演奏で素晴らしかったと思います。管理人は十分金賞クラスと感じました。 | ||
11 | 東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部 (指揮/松崎泰賢) ※3年連続7回目 | |
5/「ヘリングの朝」〜そして暗闇は光に満ちた… (八木澤教司) | ||
シャープなサウンドですね。課題曲は全体的にバラつきが目立ち、音楽の流れが良くなったです。他団体にひけを取らない十分な技術は持っていると思うのですが、「ここぞ!」というときの一体感に欠けていたように思いました。自由曲は一転。非常に伸びやかで色彩豊かな音楽です。3年連続で八木澤作品を取り上げているこもあり、同氏の作品とバンドの相性も着実に良くなっているようです。聞かせどころが若干曖昧だったのが残念ですが、ラストのコードは実に美しく響き渡りました。 | ||
12 | 西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※2年連続18回目 | |
5/「交響曲第2番」より (S.ラフマニノフ/瀬尾宗利) | ||
神大とは違ったアプローチでの課題曲でした。下手をすると機械的で無機質な曲になりがちですが、実に流れのある流麗な演奏でした。不安要素が全くなかったといっても過言ではないでしょう。自由曲のラフマニノフは本日の白眉。かつてアーノルド作品を取り上げて「文教=アーノルド」を印象付けたときに似たような感覚を覚えました。サウンドが曲にマッチしているのに加え、指揮者の作りだす音楽にバンドがしっかりと答えているのがわかります。クラリネットの長いソロ(スタンドプレイ)は、本日のソリスト・グランプリでしょう。堂々たる演奏で聴衆を魅了したと思います。3年ぶり11回目の金賞です。 |