第63回全日本吹奏楽コンクール 平成27年10月31日(土)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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中学・後半の部 |
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1 | 北陸 福井県 坂井市立三国中学校 (指揮/武井晋) ※2年連続2回目 | |
4/フェスティバル・ヴァリエーション(C.T.スミス) | ||
よく鳴っていてバランスの良いサウンドです。明るい音色で躍動感十分、キレもありました。しかしながら決して熱くなり過ぎず、しっかりとコントロールの効いたスマートさがありました。自由曲、冒頭のホルンは小さい傷はありながらもしっかり吹き切り、続くピッコロとファゴットのソロは流暢な演奏を聞かせました。各セクションのまとまりが見事で、この難曲をつないでいきます。中間部のホルンソロも秀逸。やはり中学生にとっては難しすぎる部分も露呈していましたが、そこを差し引いても十分過ぎるほど素晴らしい演奏だったと思います。 | ||
2 | 九州 福岡県 福岡市立姪浜中学校 (指揮/宮本昇) ※初出場 | |
2/ラッキードラゴン〜第五福竜丸の記憶(福島弘和) | ||
明るく豪華なサウンドで堂々たるオープニング。よく歌いこまれた旋律とドライブ感のある伴奏が心地よいマーチに仕上がっていました。ラッキードラゴンは、重厚なサウンドで好演でした。ダイナミクスレンジがfffのほうに偏り気味ですが、場面転換の巧さと色彩豊かな音楽運びは素晴らしいものがあります。オーボエのソロは艶のある音色と豊かな表現力で音楽を良く引っ張っています。中学生にとっては体力的に厳しい作品ですが、息切れすることなくしっかり吹き切った快演でした。 | ||
3 | 東関東 千葉県 松戸市立第一中学校 (指揮/栢木幸宏) ※2年連続2回目 | |
2/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥) | ||
クリアで透明感のあるサウンドで、快活なマーチに仕上がっています。自然な歌い方に心地よいドライブ感・躍動感を備えた演奏でした。マインドスケープは大変キレのあるシャープな演奏で素晴らしいです。冒頭からグイグイと聴衆を引き付けていきます。サックスのソロ・ソリも秀逸。前半は十分過ぎるほど音楽に生命感がありました。中間のオーボエソロも魅力十分。木管セクションの豊かな歌いこみが素晴らしく、終曲に向けたバンドの一体感が実に見事な演奏でした。個人的には金賞行ったと思いましたが…。 | ||
4 | 東北 岩手県 北上市立上野中学校 (指揮/柿沢香織) ※初出場 | |
3/バレエ音楽「白鳥の湖」より(P.チャイコフスキー/保科洋) | ||
力みのない流れの良い演奏でしたが、細部におけるツメの甘さが露呈していたようです。4分ちょっとの中でもしっかりと緩急を付けメリハリが欲しいところですが、全体的に平板な表現で一本調子に終わってしまいました。白鳥は透明感のあるサウンドで良く吹き切りました。あまりにも良く知られた作品を演奏する難しさはあると思いますが、緊張もあったでしょうか、表現がおとなしい印象を受けました。 | ||
5 | 西関東 埼玉県 越谷市立大相模中学校 (指揮/田中秀和) ※2年連続2回目 | |
2/歌劇「トスカ」より(G.プッチーニ/後藤洋、田中秀和) | ||
明るくバランスの良いサウンド、楽器の発音がクリアで滑舌の良い演奏でした。非常に楽し気で爽やかなマーチです。トスカは豊かで温かみのあるサウンドを披露。内声部分が充実しており、Tuttiでの安定感が素晴らしいと思います。伸びやかで素直な歌いこみが美しく、スケールの大きい演奏だったと思います。これだけのパフォーマンスをしながら銅賞というのは厳しいですね。個人的には大変感銘を受けた演奏でした。 | ||
6 | 東海 静岡県 浜松市立開成中学校 (指揮/加藤幸太郎) ※3年連続3回目 | |
4/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より(O.レスピーギ/原田大雪) | ||
端正なつくりのマーチでサウンドにも透明感がありました。多少、音楽が硬質な感じで、もっと柔軟性が加わると更に良かったのではないかと思います。自由曲では安定したブラスセクションが秀逸。重厚なサウンドでベルキスの壮大な世界を表現しています。第4楽章では曲の性格もあってオーバーブロウ気味だったのが残念でしたが、豪華絢爛なサウンドで圧巻のラストでした。初の金賞受賞です。 | ||
7 | 関西 兵庫県 宝塚市立中山五月台中学校 (指揮/渡辺秀之) ※3年連続12回目 | |
2/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥) | ||
よくコントロールされた品のあるサウンドが素晴らしいです。小細工のない素直な表現と、程よい躍動感が素晴らしく、上質なマーチにしていたと思います。特にトリオの美しさは見事でした。自由曲では、フルート、オーボエ、ピッコロのソロが美しく秀逸。ダイナミクスレンジの広い伸びやかなサウンドが、この作品の魅力を十分に引き出していました。 | ||
8 | 四国 愛媛県 松山市立拓南中学校 (指揮/三棟優子) ※36年ぶり4回目 | |
2/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥) | ||
中学生らしい明るいサウンドでしたが、全体的に雑然とした印象です。強奏になると金管セクションの音がつぶれてしまうところが気になりました。もう少しサウンドに艶が欲しいと思います。自由曲もこの作品をアグレッシブに表現しています。久しぶりの全国出場で気負いもあったでしょうか、全体的に力み過ぎで、サウンドに硬さと荒さが全面に出てしまったのが残念でした。 | ||
9 | 関西 大阪府 豊中市立第十一中学校 (指揮/橋本裕行) ※3年ぶり4回目 | |
2/紺碧の波濤(長生淳) | ||
マーチは全体的にリズムが重く、バタついた音楽運びになってしまったようです。ピッチやアーティキュレーションなど揃うべき部分でツメの甘い部分もあり、消化不良なまま終わってしまいました。自由曲は一転。大人顔負けの演奏だったと思います。3本のファゴットは存在感も十分で、この作品の世界観を大切にした音楽がスタートしました。バンドの集中力と一体感が素晴らしく、色彩豊かなサウンドが魅力的な演奏となりました。また、ハープ奏者が非常に上手だったのが印象に残っています。 | ||
10 | 九州 熊本県 天草市立本渡中学校 (指揮/佐佐木仁) ※初出場 | |
2/交響曲第3番より 第1・3・4楽章(J.バーンズ) | ||
落ち着きのあるテンポで丁寧なマーチでした。歌い方も非常に丁寧でしたが、もう少し颯爽とした雰囲気が欲しい気がします。バーンズは大変豪華なサウンドに変わり好演です。特に第3楽章での深く豊かなサウンドと良く歌いこまれた表現が見事。特にソプラノとアルトサックスのソリは非常に美しく秀逸でした。第4楽章も快活でスケールの大きい表現が良かったです。金管群の発音がクリアで音楽をより際立たせていたように思います。 | ||
11 | 北海道 函館地区 北斗市立上磯中学校 (指揮/中條淳也) ※2年ぶり2回目 | |
3/ルイ・ブージョワーの賛歌による変奏曲(C.T.スミス) | ||
課題曲は隅々までよくアナリーゼされた跡が伺え、細かい部分にまで気配りの行き届いた演奏になりました。シャープなサウンドと巧みなアンサンブルで、感銘度の高い課題曲になりました。自由曲はサウンドが一転。明るく華やかな幕開けが素晴らしく、一気に会場の空気を変えました。後半部門の白眉だと思います。コラールでのオルガンサウンドの美しさ、早いパッセージでの機動力と推進力が見事。スミス作品ならではのホルンとトランペットセクションの技術力の高さは格別のものがあります。特にトランペットのデュエット、ファンファーレはブラボーでした! 2年ぶり2回目の金賞受賞です。 | ||
12 | 西関東 埼玉県 朝霞市立朝霞第一中学校 (指揮/外ア三吉) ※初出場 | |
3/歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/後藤洋) | ||
課題曲はキレのある演奏で、各パートがしっかりと役割を果たしています。Tuttiではしっかりとブレンドされて、堂々たるサウンドを響かせていました。自由曲でも重厚で骨太なサウンドが素晴らしいです。ソロも安定していましたし、弱奏〜強奏において音楽が生き生きとしています。中学生とは思えないほどスケールの大きい音楽は他を圧倒するほどの感銘度を残しました。初出場で初金賞受賞です。 | ||
13 | 東京 東京都 羽村市立羽村第一中学校 (指揮/玉寄勝治) ※2年ぶり8回目 | |
2/天雷无妄(天野正道) | ||
骨太なサウンドながらも、推進力と躍動感のあるマーチとなりました。自由曲では冒頭のトランペットのファンファーレはスタンドプレイで聞かせ、印象的なスタート。定評のある金管セクションの充実が素晴らしく、骨格のしっかりした演奏となっています。重厚なサウンドとしなやかなアンサンブルで、圧巻の音楽を築き上げていました。2年ぶり4回目の金賞受賞です。 | ||
14 | 東関東 神奈川県 横浜市立本郷中学校 (指揮/原口正一) ※2年ぶり2回目 | |
3/ハリソンの夢(P.グラハム) | ||
重厚なサウンドながらキレのある演奏で、この課題曲をうまく表現しています。重要な打楽器パートもセンスが光る演奏で、より完成度の高いものにしていたと思います。ハリソンでは広いダイナミクスレンジと、確かな技術が光っていました。緩急をうまくつけたメリハリのある演奏で、グレードの高い作品を感銘度の高いものにしています。特に後半から終曲に向かうバンドの一体感が見事だったと思います。 | ||
15 | 中国 山口県 防府市立桑山中学校 (指揮/野上慎二郎) ※4年連続11回目 | |
4/信長〜ルネサンスの光芒 (鈴木英史) | ||
透明感のあるサウンドで大変爽やかで素晴らしいマーチとなりました。細部にわたってしっかりアナリーゼされ、奏者もそれにしっかりと応えています。特にトリオ以降、ギアチェンジしたようにドライブ感に拍車がかかり、感銘度の高い仕上がりになったと思います。自由曲でもしなやかなアンサンブルと流麗且つ豪華なサウンドが光ります。生き生きとした音楽は、金賞でも十分と感じる快演だったと思います。 | ||