第65回全日本吹奏楽コンクール 平成29年10月29日(日)/倉敷市民会館 |
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職場一般・前半の部 |
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1 | 東関東 神奈川県 横浜ブラスオルケスター(指揮/近藤久敦) ※5年連続13回目 | |
5/歌劇「ローエングリン」より 第1幕・第2幕(R.ワーグナー/近藤久敦) | ||
朝一番とは思えないほどバンドの鳴りが素晴らしいです。集中力の高い演奏で緻密なアンサンブルを聞かせてくれました。キレのあるサウンドで色彩鮮やかな課題曲でした。自由曲では美しいファンファーレでスタート。ほぼ「エルザの大聖堂への行列」でしたが、この聞きなれた作品を実に豊かで優美なサウンドで新鮮に聞きました。ラストのファンファーレではトランペットセクションが立奏で華やかな終曲でした。余裕すら感じる堂々たる演奏で8回目の金賞受賞です。 | ||
2 | 東京 東京都 創価グロリア吹奏楽団(指揮/中村睦郎) ※2年ぶり12回目 | |
5/キクロシス(中橋愛生) | ||
隅々まで計算された演奏です。メリハリ、緩急のコントラストも鮮やかに表現されており、この難しい課題曲すら余裕の感じられる演奏だったと思います。自由曲は委嘱作品の全国大会お披露目でした。エッジの効いたキレのあるサウンドと緻密なアンサンブルで、圧倒的なパフォーマンスを披露しました。このホールのキャパとしては爆音に近い部分もあり、審査員の評価にも影響したような気がします。残念ながら初の銀賞ということで、「でれば金賞」記録はストップしてしまいました。 | ||
3 | 中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー(指揮/佐藤道郎) ※3年連続16回目 | |
4/交響詩「ローマの噴水」より(O.レスピーギ/木村吉宏) | ||
どっしりと重厚なサウンドで若干遅めのテンポのマーチでした。リズムが重く、雑然とした感じで全体的に表現が平板な演奏だったと思います。自由曲も響きが暗めで、この作品がもつ華やかで煌びやかなサウンドには少し遠いような気がします。もっと色彩感のあるサウンドが欲しいと感じました。指揮の佐藤氏は今大会で全国大会15回出場による永年指揮者賞を受賞されました。 | ||
4 | 東北 宮城県 泉シンフォニックウィンドオーケストラ(指揮/荒井富雄) ※3年ぶり7回目 | |
2/トリトン・エムファシス(長生淳) | ||
課題曲はリズムの重さ、表現の平板さが残念でした。全般的に発音が不明瞭なところが散見し、Tuttiでのまとまりに欠けたところが多々ありました。自由曲は長生作品特有の幻想的な響きをよく出していて好演でした。木管セクションの優美なサウンドとしなやかな表現が美しく、流暢な音楽を奏でていました。全体的には曲のポイント(聞かせどころ)がぼやけてしまい、もう一歩踏み込んだ何かが足りないまま終曲してしまったようで残念でした。 | ||
5 | 東海 静岡県 浜松交響吹奏楽団(指揮/浅田享) ※7年連続16回目 | |
4/ラッキードラゴン 〜第五福竜丸の記憶〜(福島弘和) | ||
色彩豊かで華やかなサウンドで、大変美しいオープニングでした。金管セクションのセッティングもよく考えられており、各声部は非常にクリアに聞こえています。躍動感のある王道のような見事なマーチです。自由曲は重厚で安定したサウンドが見事です。広いダイナミクスレンジをもったバンドであり、弱奏の美しさと流麗な音楽の流れが秀逸です。強奏時、爆音まで紙一重といった感じで、バランスを欠く部分が散見したのは惜しかったです。全体的には申し分ないクオリティで納得の金賞です。2年連続10回目の金賞受賞です。 | ||
6 | 北陸 富山県 ムジカグラート氷見(指揮/瀬尾宗利) ※初出場 | |
3/富士山 〜北斎の版画に触発されて〜(真島俊夫) | ||
初出場で力が入ったでしょうか、全体的に力み過ぎの演奏で硬質なサウンドになってしまったようです。支部大会で聞かせたクリアで透明感のあるサウンドは聞かれず、全体的にギラギラした演奏になってしまいました。自由曲は色彩鮮やかな演奏ではありましたが、こちらも力み過ぎであり、音楽の広がりや伸びやかさが足りなかったように思いました。 | ||
7 | 東関東 千葉県 光ウィンドオーケストラ(指揮/佐藤博) ※5年連続5回目 | |
5/キリストの復活 〜ゲツセマネの祈り〜(樽屋雅徳) | ||
よく練られた課題曲でTuttiでの安定したサウンドは見事です。しかしながら後半以降が雑然としてしまった感じで、整理不足に聞こえました。自由曲では色彩豊かで伸びやかな演奏が美しかったです。宗教色の強い作品をしなやかなアンサンブルで表現しています。全体的には粗っぽい部分が目立っていたようで、サウンドに安定を欠くところが残念でした。 | ||
8 | 東北 宮城県 名取交響吹奏楽団(指揮/楊鴻泰) ※6年連続22回目 | |
4/アウディヴィ・メディア・ノクテ 〜我は聴きぬ、真夜中に〜(O.ヴェスピ) | ||
力みのない非常にバランスの良いサウンドでした。作為的な表現もなく、流れの良い躍動感のあるマーチだったと思います。特にトリオの美しさとそれ以降のギアを上げた盛り上がりが実に見事でした。自由曲では話題の作品ですが、重厚なサウンドで圧巻の演奏を聞かせてくれました。場面転換、緩急の切り替えが鮮やかで、卓越したアンサンブルが素晴らしいです。個人的には前半部門では一番感銘度の高いバンドでした。 | ||
9 | 北海道 札幌地区 札幌ブラスバンド(指揮/米田浩哉) ※3年ぶり2回目 | |
4/交響曲第2番「キリストの受難」より(F.フェルラン) | ||
全体的に演奏が粗く、雑然としています。力み過ぎの演奏でTuttiでのバランスも不安定で、落ち着かないまま終曲してしまったのが残念です。自由曲では豊かなサウンドに切り替わりましたが、こちらも全体的には力み過ぎの印象です。聞かせどころもが不明瞭で、奏者のベクトルがいまいち揃っていないという印象を受けました。 | ||
10 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団(指揮/佐藤正人) ※2年ぶり16回目 | |
5/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の躍り(M.ラヴェル/佐藤正人) | ||
課題曲はアグレッシブな演奏で、ダイナミクスレンジもff〜fffよりに聞こえました。全体的に鳴らし過ぎは否めませんでした。例年聞く川越奏和のサウンドと比べると力み過ぎだったように思います。自由曲の「夜明け」では2台のグランドハープの音色が揃っておらず、幻想的なサウンドの中で違和感が残ったのが残念です。「全員の踊り」では実にエネルギッシュで高揚感のある演奏であり、バンドの高い技術力を存分にアピールしていたと思います。 | ||
11 | 九州 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米(指揮/冨田篤) ※3年連続44回目 | |
4/幻想交響曲より 第5楽章(H.ベルリオーズ/榛葉光治) | ||
力強く骨太なサウンドで、他の団体とは明らかに違うサウンドが光りました。課題曲は躍動感やドライブ感は損なうことのない王道の演奏でした。自由曲はまさに圧巻の演奏に圧倒されました。これまでレパートリーとして広く演奏されてきた管弦楽作品ですが、説得力のある表現力とサウンドで観客を黙らせてしまうほどのパワーがあり、実に新鮮に聞くことができました。ラストのコードが鳴り響いた後、大歓声で包まれました。ブラボーです。3年連続33回目の金賞受賞。33回金賞は今回不参加のヤマハ吹奏楽団と並び最多タイとなります。 | ||
12 | 関西 大阪府 創価学会関西吹奏楽団(指揮/伊勢敏之) ※4年連続19回目 | |
2/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥) | ||
輪郭のはっきりしたキレのあるシャープなサウンドです。マーチも楽器の発音が明瞭で、スッキリとしながらもドライブ感のある申し分ない仕上がりだったと思います。自由曲もシャープなサウンドが生きていました。前半の早い部分での緻密なアンサンブルに加え、後半からの柔らかく甘美なサウンドとしなやかなアンサンブルのコントラストが秀逸だったと思います。2曲とも十分な余力が感じられる演奏であり、隅々までを掌握したような安定感が素晴らしかったと思います。4年連続17回目の金賞です。 | ||
13 | 四国 愛媛県 藤原大征とゆかいな音楽仲間たち(指揮/藤原大征) ※4年連続5回目 | |
3/吹奏楽のための協奏曲(高昌帥) | ||
課題曲は柔らかく豊かなサウンドで、流れの良い演奏でした。よくアナリーゼされていて、大人の演奏を聞かせてくれました。自由曲では華々しいスタートを切りましたが、強奏になると楽器の音が開いてしまいサウンドのバランスを損ねることが多かったです。特に強奏時ではゴングの音量が過多で、バンドの音をかき消していました。弱奏での木管を中心としたアンサンブルはとても美しく、その部分とのコントラストがもっと出せると良かったかもしれません。 | ||