第65回全日本吹奏楽コンクール 平成29年10月22日(日)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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高校・後半の部 |
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1 | 東北 福島県 福島県立平商業高等学校(指揮/藤林二三夫) ※3年ぶり5回目 | |
1/シャコンヌ ホ短調(D.ブクステフーデ/篠崎卓美) | ||
クリアなサウンドで各楽器が鮮明に聞こえてきました。全体的にシャープな仕上がりで、全国大会ではなかなか聞けない課題曲1を実に流暢に演奏してくれたと思います。自由曲では新レパートリーへの挑戦で興味深く聞きましたが、この作品が吹奏楽によく合っていると思いました。冒頭からのアンサンブルが実に美しく、引き込まれました。全体を通じても派手な部分はありませんが、色鮮やかなサウンドを聞かせた好演だったと思います。 | ||
2 | 東海 静岡県 浜松聖星高等学校(指揮/土屋史人) ※3年連続5回目 | |
3/吹奏楽のための協奏曲(高昌帥) | ||
とても柔らかく安堵感の感じられるサウンドで美しい課題曲でした。細かいニュアンスも1人1人の意識が揃っていて、見事でした。もう少しテンポに変化があるとより際立ったかと思います。自由曲では冒頭のファンファーレが見事でした。重厚で力強いサウンドと、各ソロの見せ場も秀逸でした。ラストへのサウンドの一体感、高揚感も素晴らしかったと思います。 | ||
3 | 西関東 埼玉県 埼玉県立伊奈学園総合高等学校(指揮/宇畑知樹) ※7年連続19回目 | |
2/「ノートルダムの鐘」より(A.メンケン/森田一浩) | ||
力みのない自然体のマーチで、サウンドが耳に心地よいです。柔らかく優美なサウンドながらも、王道のマーチをしっかりと作り上げていました。自由曲では印象的なチャイムでスタートしました。言葉通り「美しい」アンサンブルを聞かせ、場面転換も実に鮮やかでした。コーラスを多用し過ぎの印象ではありましたが、全体的に美しく感銘度の高い演奏でした。15回目の金賞受賞です。 | ||
4 | 中国 岡山県 明誠学院高等学校(指揮/稲生健) ※2年連続8回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(M.ラヴェル/真島俊夫) | ||
すっきりとまとまったサウンドで、ドライブ感のある快活なマーチでした。演奏時に奏者が動き過ぎでしたね。自由曲の「夜明け」は幻想的な雰囲気にはもう一つという感じで、「全員の踊り」は全体的にバタバタとしてしまい、バタ臭い演奏になってしまいました。 | ||
5 | 東関東 茨城県 常総学院高等学校(指揮/本図智夫) ※2年連続19回目 | |
3/アルプス交響曲より 日の出、悲歌、嵐の前の静寂、雷雨と嵐、下山、夜(R.シュトラウス/本図智夫) |
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重厚且つ優美なサウンドで安定感がありました。課題曲でのフレーズの受け渡しが実に自然で、曲に聞き入ってしまいました。自由曲では色彩感豊かなサウンドが実に見事です。特に木管高音のしなやかでのびやかな音がこの作品をより魅力的にしています。やはりアルプスは常総でなきゃと感じる秀演です。個人的には金賞でも十分と思いました。 名古屋のホールとは相性が良くないかなとネガティブな印象を持っていましたが、これだけの演奏をしてくれたらファンとしては大満足です。 |
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6 | 東京 東京都 東京都立片倉高等学校(指揮/馬場正英) ※5年連続14回目 | |
5/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥) | ||
課題曲では流麗なサウンドと手慣れたアンサンブルが光りました。輪郭のあるクリアなサウンドで洗練された演奏だったと思います。全体的にメリハリがあり、緊張と安堵感をうまく対比した仕上がりでした。自由曲でも十分な音圧とうねるようなサウンドが素晴らしかったです。バンドの一体感と高揚感が見事でした。 | ||
7 | 四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校(指揮/長谷川公彦)※4年連続24回目 | |
3/歌劇「アラベラ」より(R.シュトラウス/田村文生) | ||
冒頭から音が厚すぎてこの作品のもつ繊細さとは相反するイメージを受け取りました。かなりユニークなアゴーギクやフレージング等、独特な解釈が面白かったですが、多少極端すぎる演奏で違和感がありました。自由曲では色彩豊かなサウンドが素晴らしいですが、この作品の魅力を伝えるにはもう一歩という印象です。全体的に雑然とした演奏で、聞かせどころも不明瞭でした。 | ||
8 | 九州 福岡県 精華女子高等学校(指揮/櫻内教昭) ※2年連続21回目 | |
4/アウディヴィ・メディア・ノクテ 〜我は聴きぬ、真夜中に〜(O.ヴェスピ) | ||
堂々たる重厚なサウンドと躍動感あふれるマーチです。美しいトリオからラストに向けたアクセル全開の一体感は実に秀逸です。自由曲では各場面で見せる豊かな表情と確実な技術が見事。陰陽・強弱・緊張と安堵など、音楽的な対比を自在に操っています。安定したソロに加えてバンド全体から出る音楽への自信が圧巻の演奏に繋がっていました。2年連続12回目の金賞受賞です。 | ||
9 | 北陸 福井県 福井県立武生商業高等学校(指揮/植田薫) ※5年連続5回目 | |
5/メトロポリス 1927(P.グラハム) | ||
課題曲は難曲とは感じさせないほど自然な流れが見事でした。クリアでシャープなサウンドが作品に良く合っており、余裕さえ感じられる演奏だっと思います。自由曲は変化に富んだ作品を鮮やかに演奏してくれました。全体的にアグレッシブな表現で、何よりも奏者の「ノリ」が客席まで伝わってくるパフォーマンスは、聴衆の心を掴んでいました。 | ||
10 | 東京 東京都 東海大学付属高輪台高等学校(指揮/畠田貴生) ※4年連続12回目 | |
4/交響的狂詩曲(福島弘和) | ||
今大会では屈指の重厚で安定感のあるサウンドでした。湧き上がるような旋律、対旋律が実に美しく、王道のマーチを聞かせてくれました。自由曲では委嘱作品ということで、楽曲を完全に掌握したアプローチが見事です。強奏になっても決して崩れないサウンドが色彩豊かにそして鮮やかに響きました。ソリストのクオリティも大変高く、本当に素晴らしい演奏だったと思います。5年ぶり8回目の金賞受賞です。 | ||
11 | 関西 大阪府 大阪府立淀川工科高等学校(指揮/丸谷明夫) ※7年連続38回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り(M.ラヴェル/立田浩介) | ||
明るいサウンドで華やかなオープニングでした。小細工のない正統派のマーチだったと思います。トリオは非常に美しく、終曲にかけてのギアチェンジしたドライブ感は流石でした。自由曲はとにかく「粗い」演奏でした。「夜明け」はもっと密やかに幻想的な演奏を期待していましたが、いきなり太陽は昇り切って元気いっぱいという雰囲気でしたし、所々にピッチの悪さが露呈。ハーモニーも不安定だったのが残念です。「全員の踊り」も粗く、雑然としており、ドタバタした感じで終曲してしまいました。30回目の金賞受賞です。 | ||
12 | 北海道 札幌地区 札幌日本大学高等学校(指揮/木田恵介) ※6年連続6回目 | |
5/歌劇「アラベラ」より(R.シュトラウス/田村文生) | ||
ダイナミクスレンジが広く、色彩豊かなサウンドです。緊張と安堵、緩急の対比が鮮やかです。自由曲では立体的でシンフォニックなサウンドが美しかったです。特に木管セクションの柔らかくもしなやかなサウンドが秀逸でした。弱奏部分でのアンサンブルに若干不安定な箇所がありましたが、全体的にはよく整理された演奏でしたが、聞かせどころが不明瞭なまま終曲してしまったのが残念です。 | ||
13 | 東関東 千葉県 柏市立柏高等学校(指揮/石田修一) ※6年連続28回目 | |
4/パラフレーズ・パァ「スタティック・エ・エクスタティック」 アヴェック・プロローグ・エ・レピローグ(天野正道) |
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オープニングでは打楽器が叩き過ぎで、せっかくのサウンドをかき消してしまいました。好みの問題ではありますが、マーチは作為的な部分が多かったことと、終始バスドラムが大き過ぎた印象しか残っていません。自由曲ではドラマティックな仕上がり。オーボエのデュエットは本当に美しく見事でした! 変化に富んだ作品を高い技術と表現で色彩豊かに仕上げており、緩急織り交ぜたアンサンブルで感動的な演奏だったと思います。これで天野作品での5年連続金賞、通算17回目の金賞です。 | ||
14 | 東海 愛知県 光ヶ丘女子高等学校(指揮/日野謙太郎) ※7年連続16回目 | |
5/前奏曲とフーガ ニ長調BWV532(J.S.バッハ/O.レスピーギ、仲田守) | ||
課題曲は大変手慣れた演奏でアンサンブルの巧さが光りました。楽器の発音が明瞭でクリアであり、モチーフが変容していく様が見事に表現されていました。自由曲ではオルガンサウンドが全開で実に素晴らしい演奏だったと思います。個々の技術が素晴らしく、一糸乱れぬアンサンブルが見事であり、合奏体としての完成度が高いと思います。加えて、レベルの高いソリストが音楽を鮮やかに引き締めています。感動しました!! ブラボー! | ||
15 | 西関東 埼玉県 埼玉栄高等学校(指揮/奥章) ※5年連続26回目 | |
3/歌劇「トスカ」より(G.プッチーニ/宍倉晃) | ||
課題曲では冒頭のコントラバスをカットしていたのは失敗だと思います。全体的には柔らかく優美で甘美なサウンドで魅力的な課題曲になっていたと思います。自由曲での重厚で安定感のあるサウンドが見事です。特に木管のアンサンブルでは陶酔感さえ感じるようなサウンドとしなやかな表現が素晴らしいです。終曲へ向かう高揚感に引き込まれました。全体的には金賞でも十分と感じた好演です。 | ||