第65回全日本吹奏楽コンクール 平成29年10月21日(土)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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中学・前半の部 |
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1 | 九州 熊本県 天草市立本渡中学校(指揮/福嶌一麿) ※2年ぶり2回目 | |
2/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(P.マスカーニ/宍倉晃) | ||
イチながら力任せではなく、力みのない自然体な演奏だったと思いました。多少躍動感に欠けた印象ではありましたが、小細工のない素晴らしいマーチでした。自由曲では冒頭のアンサンブルが非常に美しかったです。よく歌いこまれた演奏で音楽を紡いでいきました。TrpソロをS.Saxで代奏。上手オフステージで演奏されましたが、ボリュームがあり過ぎでオフステージの効果が出ていなかったように思います。全体的には木管セクションのサウンドが乾き気味で、もう少し艶が欲しいと感じました。 | ||
2 | 西関東 埼玉県 越谷市立大相模中学校(指揮/田中秀和) ※4年連続4回目 | |
2/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥) | ||
明るく華やかなサウンドが素晴らしいです。課題曲のマーチはバンドの推進力とドライブ感が見事で、実に生き生きとした演奏だったと思います。自由曲はどのパートもしっかり演奏できていますが、全体的に音楽が発散気味になる箇所もありました。終曲へ向かうサウンドのまとまりは秀逸で、圧巻のものがありました。 | ||
3 | 東北 山形県 山形市立第六中学校(指揮/小関恵美) ※30年ぶり2回目 | |
4/富士山 〜北斎の版画に触発されて〜(真島俊夫) | ||
課題曲は非常に明るいサウンドを聞かせましたが、時折メロディラインが埋もれてしまう部分がありバランスの乱れが気になります。自由曲では出だしから打楽器群が音楽を引き締めています。細かいパッセージや早いタンギングも明瞭に聞こえ練習の成果が十分に出せていました。Tuttiでのサウンドのうねりが見事でした。 | ||
4 | 四国 愛媛県 伊予市立港南中学校(指揮/本馬祐子) ※34年ぶり2回目 | |
2/富士山 〜北斎の版画に触発されて〜(真島俊夫) | ||
第1マーチの木管の音色が乾き気味で、全体のサウンドがまとまらない印象でした。菅打のアンサンブルもハマっていなくて雑然とした演奏になってしまいました。自由曲では冒頭の締め太鼓のピッチが低く、バンドに埋もれてしまっていたのが残念。全体的には「和」のサウンドが出せていましたが、もっと色彩感や艶が出ると良かったと思います。 | ||
5 | 北海道 札幌地区 札幌市立清田中学校(指揮/多米恵理子) ※5年ぶり3回目 | |
4/キリストの復活 〜ゲツセマネの祈り〜(樽屋雅徳) | ||
課題曲は余裕のある手慣れた演奏でしたが、いくつかリズムが滑ってしまう傾向があり、音楽の滑舌が良くない印象を受けました。自由曲ではドラマティックな場面転換、重厚で奥行きのあるサウンドが相まった演奏になりました。ただ全体的に聞かせどころが不明瞭で、ここぞという場面での求心力に欠けました。 | ||
6 | 東海 愛知県 日進市立日進西中学校(指揮/清野雅子) ※3年連続3回目 | |
3/歌劇「リエンツィ」序曲(R.ワーグナー/清野雅子) | ||
大変柔らかく温かみのあるサウンドで、他のバンドとは一線を画しています。課題曲は実に音楽がよく流れており、湧き上がる泉のように各旋律が浮かびあがり、見事に受け継がれていきました。自由曲は冒頭のTrpのA音の伸ばしは非常に緊張しますね。堂々たる演奏で民衆を導いていたと思います。サウンドにまとまりがあり、安定感抜群でした。決して華やかではありませんが、とにかくユニゾンが美しいバンドでした。2年ぶり2回目の金賞受賞です。 | ||
7 | 中国 島根県 出雲市立第一中学校(指揮/段真大) ※4年連続45回目 | |
3/スペイン狂詩曲より IV. 祭り(M.ラヴェル/森田一浩) | ||
課題曲では決め所のハーモニーが全て決まらず、曲が進むごとにマイナス要素が増えていった印象です。名門らしからぬミスの連発が連鎖反応を起こしたようでした。全体的に流れの悪い演奏で、ラストのハーモニーも乱れてしまい残念でした。課題曲の不調がそのまま自由曲にも見られました。サウンドが硬く、全体的には雑然とした演奏になってしまったようです。同校の銅賞は1982年以来35年ぶりです。 | ||
8 | 北陸 富山県 高岡市立芳野中学校(指揮/橘恭幸) ※6年ぶり6回目 | |
4/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥) | ||
安定した重厚なサウンドでした。マーチは若干落ち着きに欠け、雑然とした印象です。全体的に演奏に粗さが露呈してしまったように思います。自由曲は一転、持ち前の重厚なサウンドが曲にマッチしています。S.Saxのソロ、Sax群のソリ等の個人技も十分でしたし、中間部のオーボエソロも秀逸でした。時折見せるパイプオルガンのようなサウンドが見事でしたし、奏者全員の積極的な表現が印象的な演奏でした。 | ||
9 | 東関東 千葉県 松戸市立小金中学校(指揮/上村二三子) ※2年連続2回目 | |
2/シネマ・シメリック(天野正道) | ||
クリアですっきりしたサウンドです。楽器の発音が良く、マーチの各声部が鮮明に聞こえてきます。当日の課題曲の中でもかなり完成度の高い仕上がりでした。自由曲も実に素晴らしく、一体感とはこういう演奏だと感じさせるサウンドでした。隅々まで気配りの行き届いた演奏で、技術・表現力ともに中学生としては申し分無い出来だったと思います。12分間、聴衆をステージにぐっと引き寄せる演奏で、感銘度も高い仕上がりでした。初の金賞受賞。ブラボーでした! | ||
10 | 東京 東京都 羽村市立羽村第一中学校(指揮/玉寄勝治) ※3年連続10回目 | |
4/天雷无妄(天野正道) | ||
ホルン3名、ユーフォ1名という人数的にはバランスの悪い編成でしたが、期待通りの重厚な羽村サウンドを聞かせてくれました。マーチではしっかりしたビートに躍動感溢れる若々しい演奏が見事でした。自由曲ではうねるような圧倒的な音のまとまりが見事。色彩豊かなサウンドと多彩な表情が中学生離れしていると思います。文句なしの金賞でした。3年連続6回目の金賞受賞です。 | ||
11 | 関西 大阪府 豊中市立第十一中学校(指揮/橋本裕行) ※3年連続6回目 | |
4/トリトン・エムファシス(長生淳) | ||
課題曲では明るく輝かしいサウンドでしたが、全体的にはちょっと大人びたクールな仕上がり。聞かせどころのアピールが平板な印象を受けました。自由曲は得意の長生作品。課題曲とは違ったサウンドで、色彩感に富んだ柔軟な音楽を聞かせてくれました。自信に満ち溢れた演奏で、完成度・感銘度の非常に高い仕上がりで文句なしの金賞です。5年ぶり2回目の金賞受賞です。 | ||
12 | 東北 福島県 いわき市立植田中学校(指揮/石井直樹) ※2年連続3回目 | |
2/パガニーニの主題による狂詩曲(S.ラフマニノフ/森田一浩) | ||
課題曲では全体的にこじんまりした印象でした。打楽器がバンドから離れたところにセッティングしていたためか、管と打のブレンド感、一体感に欠けたように聞こえました。自由曲では一転、曲想の変化、サウンドの多彩さ等、実にうまくまとまっています。このバンドは強奏よりも弱奏が実に安定していて上手です。テーマを歌い上げるところは実に感動的な仕上がりだったと思います。 | ||
13 | 九州 福岡県 福岡市立姪浜中学校(指揮/宮本昇) ※3年連続3回目 | |
2/シネマ・シメリック(天野正道) | ||
課題曲は全体的にサウンドの輪郭がぼやけており、表現も平板な印象を受けました。フルート奏者は4名いましたが、ピッコロパートをカットしていたようです。そのせいでしょうか、全体的なサウンドの頂点がいないので、ぼやけた感じになってしまったのかもしれません。自由曲も平板な演奏でメリハリに欠けました。Tuttiになっても雑然とした印象で聞かせどころが不明瞭なまま曲が終わってしまった感があります。 | ||
14 | 中国 山口県 防府市立華陽中学校(指揮/谷村一美) ※初出場 | |
4/ウインドオーケストラのためのバラッド(高昌帥) | ||
シャープでクリアなサウンドが印象的。課題曲では楽器の発音が非常に美しく、バンド全体の音が洗練されていました。マーチはスマートながらも躍動感やドライブ感がよく出ており好演でした。自由曲は冒頭からのTrpソロ、S.Saxソロは秀逸。バンド全体の一体感が見事です。タランテラのリズムも軽快でサウンドのまとまりが秀でていました。特に金管セクションの巧さが光る演奏だたと思います。 | ||
15 | 西関東 埼玉県 さいたま市立岸中学校(指揮/丸茂新) ※3年ぶり4回目 | |
1/交響詩「英雄の生涯」より(R.シュトラウス/渚智佳) | ||
金管上位の編成ながらも非常にスッキリとしたサウンドで、小気味よい課題曲になりました。軽快なリズムで洒落た演奏になったと思います。自由曲は非常に難しい作品。冒頭の低音群からのつながりは流れが悪く、多少強引に感じました。吹奏楽でやるには多少力技的な印象でした。編曲のせいかもしれませんが、シンフォニックな響きにはもう一歩という感じで、R.シュトラウス作品の難しさを感じました。 | ||