既刊史書閻魔帳
  図書名         批  評
漫画中国の知識百科(1988) 出版社は主婦の友社で漫画を赤塚不二夫が描いている。一流の組み合わせであるが著者は知らない人である。中共の8千万人を殺した残虐政治を隠蔽しさりげなく虚偽情報がはさまれているように思われる。西安事件の説明では、いくつかの虚偽がある。@国共内戦は蒋介石が圧倒的に勝利していたのに、「ほとんど成果が上がらなかった」と書いている。ではなぜ毛沢東は辺境の延安に逃げ込んでいたのだろうか。これだけで嘘と分かるのである。Aさらに重要なのは肝心の中共を指揮するソ連の姿が見えないことである。Bまた「支那人同士が戦うことを望んでいなかった」とあるが、長年国共内戦で大量の殺し合いをしており、戦後も内戦で大殺し合いである。まったくの嘘であった。そして 肝心の通州日本人大虐殺も上海事変が入っていない。

戦後山のように反日情報が流されてきました。しかしソ連の崩壊で左翼系の反日宣伝はすべて虚偽とわかりました。もっとも今でもソ連の宣伝本である「カニ工船」を読む時代錯誤の人がいるということですが。しかし中共や南北朝鮮が被害者を偽装して反日情報を流しています。これらはなかなか手が込んでおり専門家でも騙されることがあるので要注意です。反論の基本は近代史を大きく抑えることです。本書を読まれた方はどこがおかしいか、すぐにわかり的確な反撃ができると思います。そこで手に入った歴史教科書や既刊史書のおかしいところを一部ですが批評してみましょう。

支那事変の背景 支那事変を日本が支那と満州を支配しようとした戦争としている。しかし日本の能力からいって広大な支那を支配することなど到底無理である。それよりドイツの台頭で緊迫する欧州の状況、ソ連のアジア政策と支那工作や米国のアジア政策の分析が隠蔽されている。大局的な観点を日本人に知らせたくないからであろう。
西安事件 例のとおり張学良の単独行為としている。張学良の内戦停止の主張は国共内戦が蒋介石の勝利で終止符が打たれようとしているのに不合理である。停止より終了のほうがよいからである。
ソ連の関与 スターリンの関与を隠蔽している。西安事件の蒋介石の降伏条件の一つが、スターリンに12年間も人質にされていた蒋介石の子息蒋経国の解放であったが記していない。都合が悪いからであろう。
国共合作時期の偽装 西安事件で国共協力が成立したわけではないとしている。発表は翌年の1937年9月である。しかし西安事件で国共内戦が停止したので、協力はすでに開始されたものと判断できる。それをあえて翌年の支那事変開戦後に公表したのは、西安事件で対日攻撃(支那事変)の約束ができたことを隠蔽するためであろう。すなわち戦争責任の回避工作である。
抗日表現 従来排日としていたが、ソ連の指導で抗日とした。抵抗している語感で正当性を印象付ける左翼得意の政治的な言語工作である。
日中戦争 太平洋戦争研究会 河出書房新社 本書は中共の対日工作宣伝用の歴史書の感があり本来の日本人用の歴史書ではない。そのかわり何を隠そうとしているのか、どうごまかそうとしているのか、など意図が見えて興味深い。


諸説世界史
(山川出版1993)
       批        評
盧溝橋事件 「日本が華北への侵略を狙って」と記しているが、蒋介石の陽動作戦であった。日本側は早期収拾に努めた。史実としても発砲したのは日本軍ではないことは証明されている。反日宣伝が堂々と教えられている。国民教育の大問題である。
アジアの解放 「第二次大戦で日本の侵略を受けたアジアの諸地域では」とある。しかしアジアを欧米の植民地から解放し民族主義により独立を支援した史実は隠ぺいされ、歪曲されている。虚偽である。侵略されたというのは欧米の立場である。アジアの立場ではない。