Car information & Car life plan
東海オートモービル企画/細野一紀
ミニに始まり、ミニに終わる? 2018.12月〜2019.1月
貴方はこの新聞広告をご存知でしょうか?





















 そうです。日付のとおり、1999年(平成11年)12月の全面広告の一部分です。
内容は、ミニが20世紀を代表する欧州車として、世界のトップジャーナリスト130人が選ぶ「ヨーロピアン・カー・オブ・ザ・センチュリー」に選ばれた広告です。
その右は、「20世紀に、わすれ物はありませんか。」と問う、40周年限定車と1999年12月末までに成約した場合の特別金利「スーパバリューローン」の宣伝です。
これをもって日本でのローバーミニの販売終了(とローバーグループの解体)を世間に訴えた瞬間でした。
実際には2000年にイギリスでの生産が終了し、ニューミニ(BMW)がミニプラントオックスフォード(工場)で2001年から量産され、現在に至る。
 
 当時、この広告を見た私は強烈なショックを受けた。ミニなんていつでも買えるし、何時でも乗れると思っていましたが、もう今年で新車は永久に買えない。
2〜3日後には県下のディーラーを探していましたよ。まだあった残り2台のボディカラーは「ソーラーレッドのAT・249万円」と「ブルックランズ・グリーンのMT・239万円」の最後の2台。世界限定1,000台のクーパーモデル。勿論、買ったのは緑のMT(英国車はブリティシュレーシンググリーンに限ると思っていましたから、即決)。
 

店がオープン当時のミニ 2006年6月 (冬眠生活中)


現役当時のミニ 2002年頃
 その後3年間ミニ生活を楽しみましたが、他の車との複数台所有は物理的・経済的にも難しく、ミニはナンバープレートもそのままに(暫く、自動車税も払い続け)、車検も受けずに(廃車手続きもせず)店のショールーム? にミニカーと並び1/1のミニカーとして、長〜ぃ冬眠生活に入る。

 それから19年! 普通の大衆車ならモデルチェンジを繰り返すか、消滅か、博物館入り。 ミニ(クラシック)は数は少なくなれど、まだまだ(特に日本では)生息し、元気に走り回っています。 その気になれば、新品のボディシェル(ホワイトボディ)にパーツを組み込み新車を造ることも可能とか・・・。
 「鮒(フナ)に始まり、鮒に終わる」とか「ハゼに始まり、ハゼに終わる」の諺のとおり、入門で始まった近くの池の鮒釣りが、川、海などさまざまな釣りを体験し、最後にはまた鮒釣りに戻ると言う、釣りの原点と奥深さが表現されたこの諺にあやかり、「ミニに始まり、ミニに終わる?」の再車検(19年後の初めての車検)への挑戦でーす!

 眠りから覚まして、再度走らせたいミニですが、既に正規ディーラーは無し。日本中に専門店は数多く、できれば近くの専門店でと思いついたのが、10数年前に一度車のミニカーとカタログの事でお邪魔したことのある、鈴鹿市の「車庫B-TEAM」さん。ご主人(代表)の東さんはみえるかなぁ〜と急に来店したにもかかわらず、親身に相談に乗って頂き、指定工場の協力も得られ、車検取得計画が始まる。

 修理は専門家に任せるとしても、私に出来る事は〜・・・と。そうそう、自動車税と保険関係がありました。
自動車税は車検が切れたその後は、ナンバー「32-98(ミニクーパー)」を残したかったので2年間は支払済。県税事務所と相談し、将来の再車検取得までは支払い免除となる。
 今回、再度県税事務所に赴き、車検に必要な納税証明書をお願いすると、えぇ〜そんなに支払うの! 過去3年間の自動車税を請求されました。おまけに車は初度登録より13年を超えるため、年間34,500円(排気量1,300cc)の15%加算の39,600円(グリーン化税制)、これの3年間分、合計 118,800円の重税となる。 その他重量税として25,200円。
 自賠責保険(強制保険)は近くのJA(農協)で1ヶ月の余裕を見て25ヶ月分26,680円(強制保険はどこで加入しても掛金は同じですが、特に田舎ではJAが便利で〜す。)

 それから1ヵ月半、「車庫B-TEAM」さんと連絡を取りつつ、使える部品は使い、安く交換できる部品は新品と交換。何せ、新車登録から既に19年、一度も車検を受けること無く、でも室内保管で走行距離たった5,000km。外観と内装は新車同然?? 本当にまれな個体である。(自己満足?)
 
 何処が傷んでいたのかなぁ〜?
やっぱり来てました、経年劣化! まず、クラッチ・ブレーキ系統では、クラッチレリーズシリンダー、ブレーキマスターシリンダー、リアホイールシリンダー左右はAssy(アッセンブリー)交換、特にリアホイールシリンダーはリペアキットでOH(オーバーホール)するよりも、価格と工賃・時間の関係でAeey交換がお勧めとか。フロントキャリパーは左右ともOHで対応。クラッチ・ブレーキオイル交換。やはりこの様な稼働部品は長期間放置するのが劣化の一番の原因とか。

このエンジンルームから今後の作業の為、エアクリーナボックス(上)、
ECU(左下)等を外し、ブレーキ・クラッチ系統の部品を交換。

補器類を外して、ブレーキ、クラッチ系統の部品を外す。左側はコンデンサーとリキッドタンク

フロントキャリパーを外し、OH。

リアホイールシリンダーの交換。

取外した、ブレーキマスターシリンダー交換とフロントディスクブレーキOH。

取外した、クラッチレリーズシリンダーとリアホイールシリンダー交換。

右から交換したマスターシリンダー、レリーズシリンダ゙ー、ホイールシリンダー左右

 
 次は燃料系統。
車を長期間保管するには、ガソリン(燃料)を満タンにして置く、とか完全に抜いて空にして置く・・・。とか諸説あるようだが、私は何も考えずにほとんど使い切った状態(従って、完全に空ではなく)で車を眠らせてしまった。 それが原因かどうか分かりませんがフューエルインジェクションのインジェクター(ノズル)が詰まっていた。 インジェクターはハウジング全体としてしか純正部品が供給されず非常に高価、ノズルのクリーニングも外注で時間と工賃もかかると思案したが、丁度良好な中古部品を入手でき助かりましたよ。
 燃料ポンプ類もタンク内にタンクユニットとしてAssy供給されるので心配したが、フューエルタンク脱着、タンク、ポンプ、センダユニット(燃料の残量計測やフロート)類の燃料ライン清掃とフューエルフィルターの交換で燃料系統は蘇る。

エアフィルター、ファンベルト、ブーツキャップ

 ステアリング系統。
ステアリングラック両端のラバーブーツの損傷と劣化の兆候があり、ラックからの潤滑油の漏れが疑われるため交換。
アライメントの調整も行う。

  電装系統・冷却系統。
電装は基本的にバッテリー交換のみ。点火プラグ、その他電装機器類も問題無し。冷却はファンベルト交換、ラジェターもLLC(冷却水)入替えとラジエターキャップを交換。

燃料ポンプは燃料タンクに内蔵されている為、点検・清掃はトランクからタンクを外し、降ろす必要がある。 バッテリーも交換

降ろされたタンクとポンプ゚類


フューエルポンプ(右)とセンダユニットの清掃

ステアリングラックのブーツ交換

インジェクターハウジングとフューエルパイプ(左側)

フューエルフィルターとインジェクター(右)の交換

 オイル・油脂類とその他
 構造上、エンジンとトランスミッション共通のオイルを使用するが、純正指定の粘度は10W-40。旧車ゆえにクリアランスも多く、各種の銘柄、粘度が出揃っている。
 専門店では、鉱物油ベースの20W-50の硬い粘度を勧めるショップも多い。
「車庫B-TEAM」さんでは英国の「Coma Classic 20W-50 鉱物油100%」を勧められたので使用する。(1,200円/L、と意外に普通、5L)。勿論、オイルエレメントも同時交換。
 
 現代の車では今や考えられない「グリスアップ」、(それって、何?と言われそう)。サスペンションの8ヶ所のニップル(これも?)にグリスを注入しましたよ。
 最後にECUの調整やバキュームホース類の交換をして車検は無事終了!!


 これで全て終わりと思われたが、「どうもタイヤの状態が悪い?」との連絡を受け、試乗に出かける。20km/hを超えると平滑な路面でもコツン、コツンと段差を乗り越える時の音とショックが伝わり、スピードを上げるとさらに音と振動で車体が上下に小刻みに揺れる。
 どうも経年劣化がタイヤにも発生した様子。長年、動かさない状態が続くと、タイヤにフラットスポットができ、真円でなくなり振動が現れる。
これで、タイヤ交換も必要。
 ところがこの車が履く、175/50VR13インチは本当に特殊なサイズ。現代の軽自動車でさえ、14インチが主流で、偏平率50の13インチは全て生産中止。
ミニでも10インチから始まり、12インチへ変わり、最後のクーパー限定車のみがこのサイズを履く。
 最後の頼りはネット検索、あったぞー! メーカーは台湾のタイヤメーカー ナンカン(NANKANG)のAS-1、175/50R13の同サイズ。
このメーカーは結構日本へも輸出し、評価も高く、おまけにかなり安いです! 1本あたり税込4,460円、早速ネットで4本注文。
 
   項   目 内   訳   小   計
部 品 代 特にクラッチ・ブレーキ・燃料系統とタイヤ 141,511円
工 賃(技術料) 交換と清掃・オーバーホール 145,368円
諸 費 用 自動車税(3年間分) 118,800円
自動車重量税 25,200円
自賠責保険(25ヶ月) 26,680円
印紙代 1,700円
車検代行・機器使用料等 15,120円
合   計 474,379円
 これで本当に全て終了。いったい、いくら掛かったのかな〜ぁ。
総合計474,379円掛かりました。うわー、凄い金額!!
 でも、中身を見れば諸費用(税金、自賠責他)だけでも18万円余り掛かっており、整備料金(部品・工賃)は29万円弱。
 
 もし、購入時より車検を取って今日まで乗り続け、1回の車両整備料金が仮に10万円で済んだとしても、この19年間では10万×9回の車検=90万円の出費。さらに諸費用や任意保険等の加入を考えると相当な維持費用になると想定される。
 今回の車両は、室内保管で程度が良かった為、外装(板金・塗装)の修理が必要なく、この金額で収まったのでむしろ良心的な整備料金だと思われる。
 
 「車は動かさなければ経年劣化する!」 例え新車であっても同様でしょう。


完成当日、店に居合わせたミニ仲間と撮影やミニ談議で楽しいひと時を過ごしました。 東さん、有難うございました。

お世話になった「車庫B-TEAM」代表の東さん(後方右)

やっと完成したMy Cooper
モデファィされたミニ

当日遊びに来ていた?ミニ仲間たち




カタログで綴るクラシックミニの歴史

MkTの時代(1959年〜1967年)

 1959年に発売されたミニはオースチン・セブンとモーリス・ミニ・マイナー848cc、34bhpで登場。1962年にはセブンは名称変更し、オースチン・ミニとなる。
クーパーモデルは1961年に997cc、56bhp、クーパーSは1963年に1,275cc、76bhpで登場する。
1960年にはバンとエステート登場。 エステートはオースチンがカントリーマン、モーリスはトラベラーと呼ばれた。1961年にはピックアップも登場し、ラインナップが充実した。

Austin Seven 1959y イギリス版

Morris Mini Minor 1959y イギリス版

Austin Cooper 1962y アメリカ版

Morris Mini Cooper 1962y イギリス版

Austin Mini Cooper and Cooper S 1964y イギリス版

Austin Seven Countryman 1960y イギリス版

Morris Mini Traveller 1960y イギリス版

Austin Mini Van and Picup 1960y イギリス版



MkUの時代(1967年〜1969年)

 1967年になると、標準モデル848cc、34bhp、の他に上級モデルには998cc、38bhpエンジンが選べるようになり、MkUモデルに移行した。
モーリス・ミニ・マイナーはモーリス・ミニと名称変更。 

Austin Mini 1967y イギリス版

Morris Mini 1967y ドイツ版

Morris Mini Cooper and Cooper S 1967y イギリス版 

Morris Mini Cooper S 1967y イギリス版



MkVの時代(1969年〜1976年)とミニクラブマンの登場

 MkVへの移行に当たっては合理化の影響を受け、ついにオースチンとモーリスのブランドが統一され、単にミニとなる。したがってカントリーマンとトラベラーの区別も無くなり整理された。外観上もコスト削減のためドアのアウトサイド・ヒンジが内部に移され、ドアウインドーも前後二分割のスライド式から巻き上げ式に変更された。
 このMkVと同時にミニの最上級モデルとして、新しくミニ・クラブマンが誕生する。ミニ・クーパーとクーパーSモデルは1971年には生産を終了し、その後継車として1,275ccエンジンを搭載したミニ1275GTが登場した。

Mini 1971y イギリス版

Mini Cooper S 1971y イギリス版

Mini Clubman 1969y イギリス版

Mini 1275 GT 1969y フランス版



MkWの時代と正規輸入が止まった時代(1976年〜1983年)

 この時代以降MkWからMk](1997y〜2000y)までの通称分類はあまり行われていない。この時期は排ガス対策の為、正規輸入が止まっていた時期でもある。
ミニクラブマンが1980年に生産を終了すると、ミニの人気は更に高まり、並行輸入で多くのミニが輸入された。

Mighty Mini 1975y カナダ版

Mini 1000 1977y ドイツ版

Mini E-Type 1982y イギリス版

Mini Clubman Estate 1977y ドイツ版



オースチン・ローバージャパン(後にローバージャパン)の時代(1985年〜1991年・MkX〜[)

 1981年の日英自動車の輸入に始まり、その後日本法人が設立され、ローバーミニは1985年から正規輸入が再開された。
この時期、日本での登録台数は1985年の1,623台から急増し1990年には過去最高の13,198台となった。(ローバージャパン提供資料)
毎年のごとく限定モデルが発売された時期でもあった。
 1987年にはミニ丸山がジョン・クーパーとクーパーバージョンを発売、クーパーの名が消えて16年後に復活した。その影響も受けてか1990年と1991年には、キャブレター付1.3L 61psのクーパーが特別限定モデルとして復活。

Mini Ritz 1985y イギリス版

Mini The Chelsea 1986y

Mini Piccadilly 1986y

Mini Parklane 1987y

Mini Advantage 1987y

Mini Cooper '87 1987y ミニ丸山版

Mini Red Hot 1988y ドイツ版

Mini Jet Black 1988y ドイツ版

Mini Designer 1988y イギリス版

Mini Red/Green/C.Mate1990y

Mini Studio 2 1990y オランダ版

Mini Cooper 1990y イギリス版

Mini Mayfair 1987y 珍しいクルマ型カタログ

Rover Mini クルマ型カタログ 1995y ドイツ版

Rover Mini 1990y

Rover Mini 1991y

Rover Mini ERA Turbo 1990y



ミニ1.3 インジェクションの時代(ローバージャパンの時代)(1992年〜2000年・Mk\〜])

 1991年に、1.3L インジェクション63psエンジンを搭載、クーパーがカタログモデルとなる。 1992年、日本市場ではクーパー1.3が1,271cc 62ps、クーパーに初めてのオートマチック仕様は53psエンジンを搭載。
国内登録台数は1992年以降も8,000台から9,000台を維持し続け、英国生産台数15,000台から25,000台の30〜60%を占め、世界一のミニ市場国となった。
 1996年にはエンジンのマルチポイント・インジェクション、フロントラジエター化、エアバッグ装着など最後の改良が施されたが、日本市場向けはエアコン装着などの為にエンジン関係は以前のままとなった。限定モデルも引き続き多く発売された。

Mini Cooper 1991y ドイツ版

Mini CheckMate 1991yドイツ版

Mini Italian Job1992y イギリス版

Mini Cabriolet1992y イギリス版

Mini Tahiti 1993y イギリス版

Mini Silverstone 1993yドイツ版

Mini MonteCarlo 1994yイギリス版

Mini British Open 1994yドイツ版

Mini Silverbullet 1995yドイツ版

Mini SideWalk 1995y イギリス版

Mini Equinox 1996y イギリス版

Paul Smith Mini 1998y

Mini 1300 オートマチック1992y

Mini 1996y

Mini 1996y

Mini SportsPack Limited1997y

Cooper/Kensington/Mayfai'97

Cooper BSCC Limited 1998y

Mini Series 1992y

Mini 1996y イギリス版

Minimania 1998y イタリア版

Mini 1998y

John CooperLE 1999yイギリス版

Mini Classic 2000y イギリス版
ミニは定期的に、周年記念モデルが発売された。

Mini 20周年記念 1979y イギリス版

Mini 25周年記念 1984y イタリア版

Mini 25周年記念 1984y

Mini 30周年記念1989y ドイツ版

Mini 30周年記念 1989y

Mini 35周年記念 1994y ドイツ版

Mini Cooper 35周年記念 1994y

Mini 40周年記念 1999y

Mini Cooper 40周年記念 1999y

Mini 生産車終了 2000y イギリス版



日本のディーラーやショップが輸入・販売していた時代(ローバー・ジャパン以前)

 この時代は、1985年にローバー・ジャパンからローバーミニが販売される以前の時期。特に1976年から1981年までは、ミニの正規輸入が止まっていた時代でもある。
古くからの英国車輸入販売会社や並行輸入により、あるいは英国ディーラーと代理店契約を結んだショップが高性能なミニ(改造許可済)を販売していた。

Mini CooperS MkU1968y 西部オート版

Mini1000 1974y キャピタル企業版

Mini1000 1978y JAX版

Mini 1000HL 1982y 日英自動車版

Mini1300S 1984y
ダイワオー

Mini Mayfair1985y ミツオカ版


終り。

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