Car information & Car life plan
東海オートモービル企画/細野一紀
堺市ヒストリックカーコレクション 2007.3.11
堺市(堺市文化振興財団)が所有するクラシックBMWが一般公開されるとの情報を得、早速堺市に出かけた。戦後生まれの筆者にとって、戦前、それも1920年代からのBMWが見れる機会はほとんど無く、E30型BMWを15年ほど愛用した当方にとっても、貴重な機会である。
博物館的な恒常施設ではなく、「ドイBMWコレクション」から堺市に寄贈された車を市民に一般公開する、期間限定の見学会である。したがって全国的には発信されず、ローカルな一般公開である。
堺市所有の経緯によると
「カメラのドイの創業者である故土居君雄氏は、ドイツの工業技術に対する憧れから、名車BMWを長年にわたり収集されました。このコレクションは、古くは1920年代後半のものから80年代前半のものまで、系統立てて収集されており、ドイBMWコレクションとして、世界でも屈指のものです。土居氏は1990年に他界されましたが、ご夫人の満里恵様が新婚時代を堺の浜寺で過ごされた良き思い出から、1993年に堺市に寄贈されました。」
とのことである。
それでは、年代順に見て行きますか。

1920年代〜1930年代

DIXI3/15 1928年式 4気筒748cc 15ps BMW 3/20 1932年式 4気筒 782cc 20ps BMW 315 1935年式 6気筒 1490cc 34ps
デキシィは1904年から自社生産。その後BMWが事業を受け継ぎ、オースチン社からライセンス生産されていた車である。 一般的にAM4と呼ばれた新型である。AMとはミュンヘンを意味した。最高速度80km。 1934年に1.5Lの315と2Lの319が発表された。BMW6気筒の優秀性が示され、2Lはレースでも活躍した。最高速度120/130km


1930年代〜1950年代

  
BMW 327/328 1938年式 6気筒 1971cc BMW Isetta 250 1955年式 1気筒 245cc BMW 503 1958年式 V型8気筒 3168cc
1937年〜1941年までクーペとカブリオレのタイプがある。エンジンは55psと、レースで活躍した328ロードスターの80psエンジン仕様があり、最高速度は140km。 イタリアのイセッタ社と提携、BMWのオートバイ用エンジンを搭載。その後排気量を298ccにアップした300、2気筒 582ccの600も加わった。パワーは12/13/19.5ps アルブレヒト・ゲルツのデザインになる503と507はともに美しい曲面で構成され、503はよりラグジュアリーモデルである。2+2でクーペとカブリオレがある。(右後方の車がカブリオレ)

1950年代〜1960年代

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BMW 507 1958年式 V型8気筒 3168cc BMW 3200CS 1965年式 V型8気筒 BMW 3200S 1963年式 V型8気筒
1955年のフランクフルト・ショーでデビユ-。美しいアルミボディーにアルミV8 3,168ccを搭載、150psを発揮し、最高速度は220kmに達した。252台が製造された。 1961年のフランクフルト・ショーでデビュー。デザインはベルトーネによる。現在のBMW高性能クーペの基礎と言える。V8 3,168ccエンジンは160psまでチューンされた。 1952年501サルーンを発売、戦後BMWサルーン系譜の出発となる。その後502、2600、3200と発展し最終型3200SではクーペCSのエンジンと同仕様で最高速190kmを誇った。(クーペは200km)

1960年代〜1970年代

BMW 1600GT 1968年式 4気筒 1573cc BMW 1600-2 1971年式 4気筒 1573cc BMW 2002ターボ 1974年式 1990cc 170ps
1966年BMWは農機製造のグラス社を傘下に治め、グラス1300/1700GTのボディーにBMW1600Tiのコンポーネンツを乗せた。販売的には振るわず、1,259台のみ生産された。 1966年BMW1600 2ドアとして世に出、1602と改名された02シリーズは1802/2002に至る傑作車となる。 1,990cc 100ps 2002はti-120ps、tii-130psとチューンアップされ、ツーリングカーレースで大活躍した。 1973年フランクフルト・ショーで発表。量産車初のターボエンジンを搭載、最高速211kmは世界最速の2リッターサルーンとなる。その右側にはオーバーフェンダーとミラーが異なる日本仕様(正規輸入)ターボもある。
これら以降のモデルは筆者にとって馴染み深いが、戦前からのBMWを時系列的に見てみると、あらためてエレガント、スポーティーな雰囲気が伝わってくる。今日一般的にはMシリーズやアルピナなどレースとの関連が取り上げられる機会が多いが、過去の歴史に裏付けられた豪華・重厚感を味わった一日であった。最後にBMW唯一の商業車で世界にも数台(現存はこれ一台)と言われている、「BMW F79スリーホイーラー」を掲載して今日の見学会は終わりとします。

堺市ヒストリックカーコレクション
大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町1−3 財団法人 堺市文化振興財団

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