■急行「りょうもう」号からの離脱
 1800系「りょうもう」は1969年9月20日に4両編成でデビュー。その後需要の増加もあり、6両化や編成増備が続けられ、最終的に9編成が揃います。1991年2月から後継の200系がデビュー。これにより4編成が日光線急行用(現・特急)車両300/350系へと改造されます。(1814Fのみ一時保管→全車廃車)
 1997年からは、200系の増備が急ピッチで進められ、残る1800系4編成も最後の活躍が近くなってきます。翌1998年、1812Fを皮切りに順次運用離脱へ。そして新形式250系1編成の新製により完全離脱。運用を失った1800系は館林駅構内へ休車扱いとして留置され、運良く生き延びた1819Fを除き、3編成が処遇未定のまま留置され続けました。
全車休車扱いで館林駅構内へ留置される1800系 1814Fのみ北館林荷扱所にてシートを掛けて保管。結局廃車に(隣は廃車・解体待ちの3152F)
■空白の約3年間
 運用離脱から半年後の1998年10月、団体専用車として返り咲いた1819F。しかし、他の3編成はそのまま約3年もの間留置され続けます。「東上線へ?」「秩父鉄道へ売却?」といった臆測が飛び交う中でも動きは無く、「もうダメか?」と誰もが思ったことでしょう。
 ところが事態は動き出します。2001年1月、本線を走行する姿が捉えられます。長い間の留置によりピンク色に変色してしまった編成は、8000系2連にエスコートされて北館林荷扱所(現・留置線)へ。同所にて中間車2両(サハ1840形・モハ1850形)を抜き出し、今度は杉戸工場(当時)へ入場。アルナ工機の手による改造工事は3ヶ月にも及び、その衝撃的な姿を披露することになります。
第2陣として1812Fが杉戸工場へ改造入場
2度目の“衝撃”デビュー
581・583系寝台特急電車の改造で誕生した419系  2001年4月、急行時代の華やかな姿とは裏腹に変わり果てた姿となって再デビュー。外観だけでなく、その車内は空いた口が塞がらないほどの変貌ぶりに言葉も出ず、同時に旧国鉄時代に行われた581・583系の通勤化改造車419・715系を連想された方も多いはず・・・。
 主な改造点は、外装では前面窓ガラスの交換(旧1815F→新1813Fのみパノラミックウィンドウ化)前面HM部へのLED表示機設置・前部標識灯撤去、車体塗色を8000系などと同一化。また、車内では一部座席・デッキの撤去、つり革、ヒーター取付け、窓ガラスへ遮光フィルム貼り付け(後に撤去)、弱冷房車の設置・・・。 
 同年9月までに3編成12両が用意されます。結果的に最低限の改造にとどまり、この辺りからも長期的な使用は考慮されていない面が見て取れます。 改造車という特異性から、全編成が佐野・小泉線限定で運用されます。料金不要でのボックス座席車両は館林地区では初(?)で、通勤・通学時間帯の過ぎた車内では、かつての急行時代の雰囲気が伝わってきました。
 1800系通勤車のデビューにより、5000系4連1本、5050系4連2本を休車(廃車)扱いとなり、一連の改造による役割を達成しています。
衝撃的なデビュー
転機〜再び休車へ
再び館林駅構内へ留置される運命に・・・  デビュー後、しばらくは安泰に見えた1800系ですが、2006年3月18日改正を機に館林・太田地区へ専用車800/850系を投入し、支線のワンマン化を実施。5050系はすべて淘汰され、同系はワンマン化を免れた小泉線での限定運用となります。つまり1800系最後の活躍の場となった訳です。
 そして迎えた7月。小泉線ワンマン化を控え、対応車が完成したことからついに運用離脱。再び館林駅構内へと休車留置となりました。
 華やかな急行時代を離れて8年。奇跡の復活から5年。特別なイベントなども無く、ひっそりと迎えた最終運行。“イチハチ”は再び悲運な運命を辿ることになってしましました。
編成別履歴
編成 新製 メーカー 休車 改造後 施工 再デビュー 再休車
1811F 1969.8 日本車両 1998.3 1811F アルナ工機 2001.4 2006.7
1812F 1969.9 日本車両 1998.1 1812F アルナ工機 2001.6 2006.6
1813F 1969.9 日本車両 353F(352F) アルナ工機 1991.7
1814F 1969.8 ナニワ工機 1994.4? 廃車・解体
1815F 1969.9 ナニワ工機 1998.2 1813F アルナ工機 2001.9 2006.7
1816F 1969.9 ナニワ工機 351F(352F) 津覇車両 1991.7
1817F 1973.7 アルナ工機 302F 富士重工 1992.9
1818F 1973.7 アルナ工機 301F アルナ工機 1991.7
1819F 1987.11 アルナ工機 従来通り 1998.10
※352F:1843・1853号+1846・1856号で構成。アルナ改造
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