●快速急行「おじか」の時代
 日光線急行列車は、1991年7月21日のダイヤ改正より登場。これまで運行されてきた6050系使用の快速急行「だいや」「おじか」(6000系時代から存在)「しもつけ」を、専用車300/350系に置き換え、「きりふり」(旧だいや)、「ゆのさと」「南会津」(旧おじか)、「しもつけ」の各急行列車としたものです。
 このうち「南会津」の前身「おじか」の会津高原乗り入れが、1988年10月19日よりスタート。野岩鉄道開業から2年後のことでした。これにより、東武初の乗り入れ優等列車が誕生します。その後1990年10月12日には、会津鉄道・会津田島までの電化が完成。さらなる直通運転が開始され、東武電車乗り入れの北限となります。
●急行「南会津」デビュー
 そして翌1991年7月、待望の専用車350系による急行「南会津」がデビュー。当日は浅草駅1番線にて「しもつけ」として到着した列車の折り返し時間を利用して、出発式が盛大に行われました。これにより、3社直通による190km、3時間を越える、日本有数のロングラン急行列車誕生となりました。
 なお急行料金ですが、東武線内は当時の「りょうもう」と同額の料金を適用ながら、新たに121km以上の区間を設定し、1030円としています。また、野岩鉄道では310円、会津鉄道では250円とし、浅草〜会津田島間の通算では1590円でした。その後の料金改訂により、浅草〜会津田島間は、1870円まで高騰。しかし、2003年の東武線内の料金値下げにより、1650円へと落ち着きます。
●凋落のはじまり
 転機が訪れたのは、1999年3月16日ダイヤ改正からです。同改正では、景気低迷による利用客離れを是正するため、近距離区間での料金区分を新たに設定し、特急「スペーシア」の一部が春日部停車となります。また「りょうもう」を特急化。日光線急行列車についても料金の見直しが行われましたが、これまで毎日運転されていた「ゆのさと」が土
休日運転へ。また「南会津」も浅草14:10発の277号が廃止され、1.5往復体制となります(「南会津」274号は、浅草到着後、折り返し新栃木まで回送扱い)。この頃から、利用客の少ない日光線急行は、その使命を見失いつつありました。
 2001年3月28日改正では、越谷〜北越谷間の複々線が完成。一連の工事が終了し、「スペーシア」の春日部停車が本格化します。一方で急行列車は「きりふり」「ゆのさと」は完全不定期化されてしまいます。さらに、半直開始となる2003年3月19日改正では、料金の値下げの本格化や、「りょうもう」の動物公園停車が実施されます。日光線急行では、「南会津」のうち会津田島10:08発の274号が廃止。ついに273・276号の1往復体制へとなり、廃止の日を迎えることになります。
「南会津」的雑学
デビュー時ダイヤ 簡単な年表
浅  草 会津高原 会津田島
南会津173号 10:10発 13:06着 13:23着
南会津175号 14:10発 17:06着 17:23着
会津田島 会津高原 浅  草
南会津174号 10:05発 10:23発 13:33着
南会津180号 13:58発 14:16発 17:13着
1991.7.21 急行「南会津」デビュー。4本体制
1999.3.15 下り「南会津」275号を廃止
1999.3.16 1日3本体制へ(下り1本、上り2本)
2001.3.27 上り「南会津」274号を廃止
2001.3.28 1日2本体制へ(下り1本、上り1本)
2005.2.28 全列車廃止
2005.3.1 AIZUマウントエクスプレス乗り入れ
浅草〜新藤原間で「ゆのさと」運転
料金の推移 全国の急行列車(座席指定制)と比較
1991年 1995年 1997年 2003年
東武鉄道 1030円 1200円 1220円 1000円
野岩鉄道 310円 350円 360円 360円
会津鉄道 250円 280円 290円 290円
1590円 1850円 1870円 1650円
急行 運転区間 距離 時間
南会津 浅草〜会津田島 190.7km 3h17m
ゆのさと 浅草〜新藤原 144.6km 2h12m
かすが 名古屋〜奈良 133.9km 2h10m
みよし 広島〜三次 68.8km 1h19m
つやま 岡山〜津山 58.7km 1h01m
2004.2月現在。夜行急行を除く。
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